会社名 | ソフトバンクグループ株式会社 |
業種 | 情報・通信業 |
従業員数 | 連67229名 単274名 |
従業員平均年齢 | 41.3歳 |
従業員平均勤続年数 | 10.1年 |
平均年収 | 13631161円 |
1株当たりの純資産 | 3701.94円 |
1株当たりの純利益(連結) | 780.82円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 44円 |
配当性向 | 5.9% |
株価収益率(PER) | 10倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 23.2% |
営業活動によるCF | 2035億円 |
投資活動によるCF | ▲16315億円 |
財務活動によるCF | ▲11163億円 |
研究開発費※1 | 3688.06億円 |
設備投資額※1 | 951.58億円 |
販売費および一般管理費※1 | 4276.14億円 |
株主資本比率※2 | 21.3% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の本有価証券報告書の提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下の通りです。また、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針当社は、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするテクノロジーやサービスを提供する企業グループとなることを目指すとともに、企業価値の最大化を図っています。 (2)重視する経営指標当社は、戦略的投資持株会社であるソフトバンクグループ㈱が、子会社・関連会社および投資先を投資ポートフォリオとして統括するマネジメント体制の下、保有株式価値の増大を通じてNAV(Net Asset Value:保有株式価値-調整後純有利子負債で算出(注1))を中長期的に最大化することを目指しています。また、これを支えるための財務方針として、財務の安定性を確保するという観点から、ソフトバンクグループ㈱のLTV(Loan to Value:調整後純有利子負債÷保有株式価値で算出(注1)。保有資産に対する負債の割合)を金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、今後2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保しています。 (注1)保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除く。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、上場子会社であるソフトバンク㈱(同社子会社を含む)およびアーム、ならびにSVF1、SVF2、LatAmファンドなど独立採算で運営される事業体に帰属する有利子負債および現預金等(債券投資を含む)を除く。 (3)中長期的な会社の経営戦略当社は、情報技術の発展によって社会やライフスタイルが変革する「情報革命」を主要な成長機会として確実に捉え、長きにわたり人々の幸せに貢献していきたいと考えています。そのためには、社会ニーズの変化をいち早く捉え、今後の牽引役となるテクノロジーやビジネスモデルに合わせてグループの構成を最適化しながら自己変革を繰り返していくことが不可欠です。パソコン、インターネット、ブロードバンド、スマートフォンと変遷してきた「情報革命」の中心は、現在、AI(人工知能)へと移行しています。とりわけ近年の生成AIの進化は、自然言語処理や創造的コンテンツの生成において飛躍的な技術革新をもたらし、各産業に急速な変革を促しています。当社は、この生成AIのさらなる進化が、今後数年のうちに人間と同等の知的能力を備えるAGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)の実現へとつながり、さらに今後10年以内に人類の叡智を大きく超えるASI(Artificial Super Intelligence:人工超知能)の実現に至ると予測しています。このような時代の転換期において、当社は人類の進化のためにASIを実現することを使命に掲げて新たな自己変革のさなかにあります。具体的には、グループの総力を挙げて、その実現に不可欠な①AIチップ、②AIロボット、③AIデータセンターおよび④それを支える電力の4つの分野で積極的に投資・事業活動を行うとともに、生成AI分野をリードする企業への投資や連携を進めています。こうした取り組みによって成長機会を確実に捉えるとともに、「群戦略」という独自の組織戦略の下、各グループ会社・投資先が刺激を与え合いながらそれぞれの事業の拡大やビジネスモデルの進化を実現することで、当社の保有株式価値の増大、ひいてはNAVの中長期的な最大化を目指しています。 「群戦略」とは「群戦略」は、特定の分野において優れたテクノロジーやビジネスモデルを持つ多様な企業群が、それぞれ自律的に意思決定を行いつつも、資本関係と同志的結合を通じてシナジーを創出しながら共に進化・成長を続けていくことを志向するものです。ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、群を構成する各企業の意思決定に影響を与えつつも、自律性を重んじ、出資比率は過半にこだわらず、ブランドの統一を志向しません。こうした多種多様な企業でグループを構成することにより、柔軟に業容を変化・拡大させ、長期にわたり成長を続けることを目指しています。 (4)経営環境および優先的に対処すべき課題2024年4月から12月にかけて、世界の株式市場は米国・欧州中央銀行による利下げ開始や底堅く推移する米国経済を背景に、総じて上昇基調を維持しました。特にナスダック総合指数やS&P500指数は、ハイテク企業の好業績や半導体関連企業の株価上昇を受けて高いパフォーマンスを示し、生成AI関連の需要拡大が市場全体の上昇を牽引しました。その後2025年1月には米国でトランプ政権が発足し、減税や規制緩和に対する期待から米国株式市場では一時的に株価が上昇する場面も見られたものの、同月に中国の新興AI企業DeepSeekが低コストで高度なAIモデルを発表すると、米国の巨大テクノロジー企業の優位性が脅かされるとともに最先端のAI半導体の需要が伸び悩むとの懸念が広がり、巨大テクノロジー・半導体関連企業の株価は一時急落しました。一方で、DeepSeekの台頭をきっかけに、中国テクノロジー産業への期待が高まり、関連銘柄の株価が上昇しました。その後2025年3月末にかけて、関税を含む通商政策の不透明感や米国におけるインフレ率の高止まりに対する警戒感から、米国の株式市場は下落傾向が続きました。一方で、ドイツ、英国、香港などの株式市場は2025年1月から3月にかけても引き続き堅調に推移するなど、世界の株式市場は地域ごとに異なる動きを見せました。2024年のベンチャー・キャピタル(VC)市場においては、世界の投資総額は依然としてピークとなった2021年の水準を大幅に下回ったものの、AI企業への資金流入は顕著で、投資額全体の37%を占め過去最高水準となりました(注2)。2024年の新規株式公開(IPO)市場においては、中国の不振が続いたものの、米国は回復基調にありインドも好調が続くなど、国ごとで温度差が浮き彫りになりました。米国のテクノロジー分野では、2024年にいくつかの大型案件があり今後のIPO市場への期待感が高まっていましたが、2025年4月にトランプ政権が「相互関税」を発表して以降、米国経済の先行きへの警戒感が高まり、企業がIPOのタイミングを慎重に見極める動きも見られます。かかる経営環境において、当社は中長期的にNAVを最大化させるために以下1~3に注力しています。また、当社保有株式価値に占める割合が大きく、最重要資産と位置付けられるアーム、SVFおよびソフトバンク㈱はそれぞれの株式価値の拡大を図るため以下4~6に挙げた取り組みを行っています。 (注2)CBインサイツ『State of Venture 2024 Report』による。 1 既存投資先の価値拡大と新規投資の実行当期、当社のNAVは2024年6月末に過去最高を記録したものの、期末にかけて主に米国株式市場全体の下落を背景にアームの株価が下落したことにより前期末から減少しました。短期的には株式市場の変動による影響を避けられないものの、アームを中核とした現在のポートフォリオは、主にAIの進化を支えるハードウエアレイヤーからAIを活用したアプリケーションレイヤーまで幅広い投資先で構成されており、AI主導の新たな産業構造の変革を捉える基盤が整っています。当社は、こうしたポートフォリオの強みを活かしながら、既存投資先の価値最大化に向けた取り組みを加速させるとともに、成長性の高いAI関連企業への新規投資を引き続き推進しています。既存投資先のうちアームおよびソフトバンク㈱については、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下でそれぞれが後述の成長戦略を着実に遂行することで、当社保有株式価値の拡大につながると期待しています。SVFについては、今後、IPO市場の本格的な再開に伴い投資先の株式公開とその後のエグジットが順次進んでいくと期待しています。また、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却の機会も引き続き探っていきます。新規投資については、エグジットによる回収資金も活用しつつ、AIという投資テーマに基づき投資案件を厳選し、経営に深く関わることで付加価値を提供できるような投資についてはソフトバンクグループ㈱または100%子会社から行い、それ以外はSVFを通じた投資を行うことを想定しています。なお、AIに関する新たな取り組みとして、米国のAI研究開発企業であるOpenAI Inc.およびその関係会社(以下総称して「OpenAI」)のためにAIインフラストラクチャーを米国内で構築する「Stargate Project」を2025年1月に、企業用最先端AI「クリスタル・インテリジェンス(注3)」の開発・販売に関するOpenAIとのパートナーシップを2025年2月に、それぞれ発表しました。また、OpenAI Inc.の営利子会社であるOpenAI Global, LLCに最大400億米ドル(外部投資家へのシンジケーション予定額100億米ドルを差し引いた当社の実質的な出資額は最大300億米ドル)の追加出資を行うことについて、OpenAIと2025年3月に合意しました。このほか、Armコンピュートプラットフォームに基づいた高性能・省エネルギー・持続可能なAIコンピューティングに特化した半導体設計企業である米国のAmpere Computing Holdings LLCの全持分を取得することについて、同社および同社の特定の持分保有者と2025年3月に合意しました。 (注3)「クリスタル・インテリジェンス」は正式名称ではなく仮称。 2 財務方針の堅持当社は、「(2)重視する経営指標」の通り、ソフトバンクグループ㈱のLTVを金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保することを財務方針として掲げています。当期において主にAI関連企業への投資を積極的に行った結果、当期末のLTVは前期末から上昇し、手元流動性は前期末から減少しましたが、いずれも財務方針の範囲内に収まっています。来期においては、「(4)経営環境および優先的に対処すべき課題 1 既存投資先の価値拡大と新規投資の実行」に挙げたAIに関する新たな取り組みを実行に移すために、その必要資金の一部を銀行借入や社債発行などで調達することにより調整後純有利子負債が増加するものと見込んでいます。また、保有株式価値は、その中核をなすアーム株式の価値が米国株式市場の動向の影響を受けやすいことから、市況によっては大きく変動する可能性があります。しかしながら、こうした状況下においても上記の財務方針は不変であり、投資機会や資本市場の動向を注視しつつ、アセットバック・ファイナンスの活用も含めて適切に調整後純有利子負債をコントロールすることで適切に財務運営を行っていきます。 3 サステナビリティの推進当社は、社会の持続的な発展と当社の中長期的な成長の両立を実現するために、企業活動においてサステナビリティを推進することが重要だと考えています。こうした考えの下、サステナビリティに関するリスクおよび機会を認識した上で、それぞれのリスクの軽減と機会の追求に取り組んでいます。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 4 アーム:AI革命を捉えた成長戦略の遂行アームは、半導体技術が世界で最も重要な資源の一つとなった現在、半導体技術開発のグローバル・リーダーとしてこれからのコンピューティングの在り方を左右する存在になりつつあると当社では認識しています。アームのプロセッサー・テクノロジーは、高機能プロセッサーとしては世界で最も広くライセンス供与・採用されており、スマートフォンではほぼ全て、タブレットとデジタルテレビのほとんどで使用されているほか、組込プロセッサー用チップでも高い割合で搭載されています。世界中の3,100億台以上のデジタル機器に採用されているアームのアーキテクチャーは、高性能と高エネルギー効率を両立しており、クラウドからエッジ、エンドポイントに至るまで、現在そして未来のAIワークロードを実行するために一貫性がありセキュアな基盤を提供しています。当社は、アームはAIが築く未来の根幹を支えていくと考えています。現在、生成AIや大規模言語モデルをはじめとするAI技術の進展・普及が、アームの技術に対する需要を加速度的に後押ししています。多くのAIアルゴリズムは非常に計算量が多く、質問に対する答えを迅速に提供するために高性能な中央演算処理装置(CPU)を必要とします。現在AI処理の多くはクラウド上で行われていますが、スマートフォンや自動車等の端末側でリアルタイムにデータを処理するエッジAI(注4)へのシフトが着実に進んでいます。アームが提供する高性能かつエネルギー効率に優れたCPUは、エッジAIにおける推論を実行するために最適なソリューションであり、エッジ・コンピューティング(注4)の進化とともに、AI時代におけるアームの存在感は高まっていると認識しています。アームは持続的な成長のため、以下に挙げた市場シェアの維持・拡大、ロイヤルティー単価の増加、およびエコシステムの強化に継続的に取り組んでいます。 (注4)スマートフォンや防犯カメラ等の利用者側の端末(エンドポイント)やその近くに設置するサーバーなどのネットワーク周縁(エッジ)部分でデータを処理するコンピューティング手法をエッジ・コンピューティングといい、データをクラウドに集約しクラウド上の高性能サーバーで処理を行うクラウド・コンピューティングに対し、不要な通信を避けることで通信遅延やネットワーク負荷の低減などを実現する。この仕組みをAI処理に応用・発展させたものをエッジAIという。 a. 市場シェアの維持・拡大アームは、99%以上のシェアを持つモバイル・アプリケーション分野に加えて、自動車やクラウド・サーバー、PC分野を中心に市場シェアを拡大しています。アームの顧客は、未来のAIアルゴリズムを実行するために欠かせない高性能かつ高エネルギー効率のチップを開発するための投資を加速しており、アームのテクノロジーに対する需要が増加しています。アームは、各エンドマーケットに特化した幅広いコンピュート・テクノロジー・ポートフォリオの提供に加えて、顧客がより高いライセンス料を支払うことでより広範なアームのテクノロジーにアクセス可能となるサブスクリプション型のライセンス契約を導入するなど、市場シェアの拡大に向けた柔軟な取り組みを行っています。アームは今後も、技術革新の最前線で、次世代のコンピューティング・デバイスのために必要な半導体IP(回路の設計情報などの知的財産)を提供していくことを企図しています。 b. ロイヤルティー単価の増加AIが急速に進化を遂げる中、高性能かつ高エネルギー効率のチップへの需要が高まり、チップ設計はますます複雑化しています。近年、アームの最新世代テクノロジーである「Armv9」や、アームの複数のIPを組み合わせたコンピュート・サブシステム(CSS)の採用が、ハイエンドのスマートフォン向けチップやサーバー向けチップを中心に進んでいます。CSSはアームのCPUと他のオンチップ・テクノロジーを組み合わせたもので、事前に統合・検証され、主要なファウンドリー(半導体受託生産事業者)の製造プロセスのために最適化されています。CSSの採用により、顧客はより短い期間でより簡単にチップを設計し、市場投入までの時間を短縮することが可能になります。アームは、「Armv9」やCSSといったより高度な技術のチップ当たりのロイヤルティー単価を高く設定しており、ロイヤルティー収入を牽引役とした中長期的な売上高の拡大を実現するため、これらの技術の普及・拡大を推し進めています。 c. エコシステムの強化アームの成長は、アームベースの製品向けにソフトウエアを開発する2,000万人を超えるエンジニアから成るエコシステムにより下支えされています。プログラムやアプリケーションは特定のCPUアーキテクチャー上で最適に動作するように作られるため、より多くのソフトウエアと互換性があることがCPUの成功を左右します。アームは過去30年以上にわたり、ソフトウエアエンジニアがアームベースのチップ向けにプログラムやアプリケーションを効率的に開発するために必要なツールやライブラリーを提供するなど、エコシステムの構築・醸成に注力してきました。今後も、あらゆる場所でAIがアームの基盤上で動作するために必要なエコシステムへの投資を継続していきます。 5 SVF:投資リターンの最大化SVF1、SVF2およびLatAmファンドは、主にAIを活用した成長可能性の大きなテクノロジー企業への投資を目的としたファンドです。各投資ファンドを運営する当社100%子会社(SVF1を運営するSBIAおよびSVF2とLatAmファンドを運営するSBGA、以下総称して「ファンド運営子会社」)は、以下の取り組みを通じてそれぞれの存続期間の中で各投資ファンドのリターンの最大化を目指しています。 a. 大型資金の中長期的運用SVF1、SVF2およびLatAmファンドはいずれも、多額の出資コミットメントを有し、設立から10年以上にわたり運用される私募投資ファンドです。すでに投資期間を終え、回収期間に入っているSVF1は2029年11月(注5)の存続期間終了に向けて資産の最適な回収を通じたリターンの最大化に取り組んでいます。一方、引き続き投資期間中であるSVF2およびLatAmファンドは、AIという投資テーマの下、重点領域への機動的な投資を組み合わせつつ、さまざまな地域やセクター、テクノロジーに投資を行うことで、株式市場の変動を乗り越えながら、2032年10月(注5)までの存続期間にわたり中長期的なリターンの創出に取り組んでいます。 (注5)各ファンド運営子会社に最大2回の1年延長オプションあり。 b. 投資先価値向上の追求ファンド運営子会社は、既存投資先の中で株式価値の大きい会社またはその向上の余地の大きい会社を選定し、さまざまな戦略的支援やネットワークを通じて投資先の持続的な成長を促すことにより、SVFの保有株式価値の最大化を追求しています。具体的には、当社およびその投資先、取引先までを含めたエコシステムを通じてパートナーシップや協力関係を築くことにより、収益性と成長性を高める機会を捉え、実行することを目指しています。また、投資先の経営陣が成長を模索する中、クロスボーダーでの事業拡大や収益性改善のための助言を提供するとともにガバナンス体制のモニタリングを行い、投資先の健全な成長を支援しています。 c. 最適な出口戦略による投資回収ファンドのリターン、ひいてはソフトバンクグループ㈱を含むリミテッド・パートナーへの分配を最大化するために、ファンド運営子会社は規律あるアプローチの下で適時・適切な保有資産のエグジットを実施する方針です。エグジットは、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却、または投資先の上場を通じて行われます。投資先の上場後は、投資時の計画に対するパフォーマンスや市場環境、株価の動向を慎重に評価しつつ、計画的に売却する仕組みを設定しています。また、株式を担保とした資金調達を行いリミテッド・パートナーへの分配を行う一方、リターンを最大化するために実際の売却は最適と考えるタイミングで行うこともあります。当期においては、SVFの投資先5社が上場を果たし、活動開始以来累計の上場社数は55社となりました。SVFは長期投資ファンドであり、ファンド運営子会社は最適なエグジットの手段・時期を見極め、短期的な市場の変動による影響を抑えながら、中長期的な視点でリターンの最大化を目指しています。 d. 適切な運用体制の構築投資の成功の再現性を高め、持続的にリターンを生み出すためには、それを可能にする組織体制を構築すること、特に優秀な人材の確保および維持が不可欠です。ファンド運営子会社では、投資銀行やベンチャー・キャピタルなどで豊富な経験を積んだシニア・リーダーたちが運営に当たっています。これまでに、グローバル展開およびポートフォリオ管理のためのニーズと規模を満たす投資・運用・資金調達・管理の各機能およびマネジメント陣を備えた組織を築き、継続的にその改善を行っています。こうした専門家集団によるチームアプローチを取ることにより、組織的に知見の蓄積・共有を図り各投資ファンドの持続的な成長を目指しています。 6 ソフトバンク㈱:「Beyond Carrier」戦略の遂行コロナ禍をきっかけとした人々の生活様式の変化や深刻化する人手不足に対応するため、テレワークやオンラインショッピング、非接触型決済の利用拡大など、企業や行政のデジタル化は必要不可欠なものとなりました。デジタル化は、生産性向上やイノベーションの創発を促すことで今後の日本の社会を変革していく原動力となり、さらに、文章・画像・プログラムコードなどさまざまなコンテンツを生成することができる生成AIの出現により、変革のスピードは加速しています。こうした中、当社で国内事業を担うソフトバンク㈱は、成長戦略「Beyond Carrier」の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的に事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指しています。具体的には、①通信事業のさらなる成長、②エンタープライズ事業におけるDX/ソリューションビジネスの拡大、③メディア・EC事業の成長、④ファイナンス事業の成長、および⑤新規事業の創出・拡大に加え、⑥コスト効率化に取り組んでいます。財務戦略としては、ソフトバンク㈱は、プライマリー・フリー・キャッシュ・フロー(注6)を重要な経営指標と考えており、高い株主還元を維持しながら、成長への投資を実施していくため、今後も安定的なプライマリー・フリー・キャッシュ・フローの創出を目指しています。また、健全な財務体質を維持しつつ、適切な財務レバレッジを伴った資本効率の高い経営を行っていきます。なお、メディア・EC事業の中心的な企業であるLINEヤフー㈱は、2023年11月に公表した不正アクセスによる情報漏洩に関して、2024年3月および4月に総務省から行政指導を、同年3月に個人情報保護委員会から勧告および指導を受けました。これに対し同社は、2024年4月以降総務省および個人情報保護委員会へ定期的に報告書を提出しています。同社は、多数のユーザーを抱えるプラットフォーム事業者としての信頼を損なう重大な事態であると重く受け止め、再発防止策を推進しています。ソフトバンク㈱は、同社の親会社として、定期的なリスク状況の評価や緊急事態発生時の連絡体制強化などの実効的なセキュリティガバナンス確保の取り組みを進めています。 (注6)プライマリー・フリー・キャッシュ・フローは、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフー㈱グループ、PayPay㈱等除く)に長期性の成長投資として支出した金額を足し戻した指標。調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフー㈱グループ、PayPay㈱等除く)=フリー・キャッシュ・フロー+(割賦債権の流動化による調達額-同返済額)-LINEヤフー㈱グループ、PayPay㈱等のフリー・キャッシュ・フロー+Aホールディングス㈱からの受取配当、PayPay証券㈱への出資など。LINEヤフー㈱グループ、PayPay㈱等にはAホールディングス㈱、LINEヤフー㈱および子会社(LINEヤフー㈱グループ)、Bホールディングス㈱、PayPay㈱、PayPayカード㈱、PayPay証券㈱などを含む。なお、長期性の成長投資はAI計算基盤・AIデータセンター関連投資、Cubic Telecom Ltd.への出資を含む。 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。 なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものです。 (1)財政状態及び経営成績の状況1.業績ハイライト◆ 投資利益3兆7,011億円(前期の投資損失:5,594億円)- 持株会社投資事業からの投資利益3兆4,138億円・アリババ株式に係る投資利益1兆8,759億円、Tモバイル株式に係る投資利益1兆3,522億円(注1)、ドイツテレコム株式に係る投資利益4,342億円をそれぞれ計上(アリババ株式に係る投資利益1兆8,759億円およびドイツテレコム株式に係る投資利益4,342億円は、アリババ株式を利用した先渡売買契約およびドイツテレコム株式を利用したカラー取引に係るデリバティブ関連損失2兆184億円(別科目「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」に計上)で相殺)- SVF事業からの投資利益3,876億円(当社子会社への投資に係る投資利益を含まない)・ByteDanceやCoupangなど一部の投資先の公正価値が増加・活動開始来累計損益はSVF1で234億米ドルのプラス、SVF2で229億米ドルのマイナス(注2)※アームやソフトバンク㈱などの子会社は連結されるため、株式の公正価値の変動は連結損益計算書に計上せず ◆ 税引前利益1兆7,047億円(前期比1兆6,469億円増加)- 販売費及び一般管理費3兆244億円- 財務費用5,816億円- デリバティブ関連損失(投資損益を除く)2兆340億円:アリババ株式およびドイツテレコム株式の株価上昇に伴い、同株式の先渡売買契約およびカラー取引に係るデリバティブ関連損失を計上。上記の通り、アリババ株式およびドイツテレコムに係る投資利益を相殺- SVFにおける外部投資家持分の増加額4,919億円:外部投資家持分の割合が大きいSVF1において投資利益1兆230億円(SVF1単体ベース)を計上したことに伴い、外部投資家持分の増加額4,028億円(成果分配型投資家帰属分)を計上 ◆ 親会社の所有者に帰属する純利益1兆1,533億円(前期比1兆3,810億円改善)- 法人所得税1,016億円- 非支配持分に帰属する純利益4,498億円 2.成長に向けて投資を積極化- 米国のAI研究開発企業であるOpenAIのためにAIインフラストラクチャーを構築する「Stargate Project」を発表- OpenAI Globalに最大400億米ドル(外部投資家へのシンジケーション予定額100億米ドルを差し引いた当社の実質的な出資予定額は最大300億米ドル)の追加出資を行うことをコミット。当期末以降の2025年4月15日、このうちファーストクロージングが完了し、100億米ドルの資金をOpenAI Globalに提供(うち、15億米ドルはシンジケーションにより外部投資家が、残りの85億米ドルはSVF2が出資)- 米国の半導体設計企業であるAmpereの全持分を65億米ドルで取得し、100%子会社化することを決定。2025年度後半に完了の見込み- AIや機械学習に特化した半導体チップの設計・開発を手掛ける英国のGraphcoreを子会社化- AIを活用したデータ学習型の自動運転プラットフォームを開発する英国のWayve Technologiesへ投資(注3)- 米国で太陽光発電所の建設および運営を手掛ける持分法適用関連会社のSBE Globalの持分を追加取得し、同社を子会社化- SVFからエンタープライズやフロンティアテックセクターの企業を中心に合計37.9億米ドルを投資(当社からSVFへの移管に伴う投資額および当社子会社への追加投資額を連結消去後)(注4) 3.社債リファイナンス・新規発行に加えて、ローン調達を実行◆ 国内普通社債(ソフトバンクグループ㈱)2024年4月に機関投資家向け国内普通社債1,000億円、同年6月および12月に個人投資家向け国内普通社債5,500億円、3,500億円をそれぞれ発行。一方で、同年6月に国内普通社債4,500億円を満期償還。なお、当期末以降の2025年5月、個人投資家向け国内普通社債6,000億円を発行 ◆ 外貨建普通社債(ソフトバンクグループ㈱)2024年7月に米ドル建普通社債900百万米ドル、ユーロ建普通社債900百万ユーロをそれぞれ発行。一方で、同月に米ドル建普通社債767百万米ドルとユーロ建普通社債638百万ユーロをそれぞれ期限前償還および満期償還。このほか、2025年1月に米ドル建普通社債449百万米ドルを満期償還 ◆ 各種シンジケートローン(ソフトバンクグループ㈱および100%子会社)- シニアローン2024年9月にタームローンにより29億米ドルの借入を実行。なお、当期末以降の2025年4月、OpenAI Globalへの追加出資(ファーストクロージング)に際し、外部投資家へのシンジケーション分を差し引いた85億米ドルの借入をブリッジローンにより実行。Ampere全持分の取得対価65億米ドルのブリッジローンも組成済- コミットメントライン契約2024年9月にコミットメントライン契約を更改。更改後の借入限度額は米ドル建トランシェが5,465百万米ドル、円建トランシェが356億円。当期末現在、全額借入実行済- ハイブリッドローン2024年11月にハイブリッドローン1,350億円を借り入れ、同月に初回期限前返済日を迎えたハイブリッドローン840億円のリファイナンスを完了- アーム株式を利用したマージンローン2024年12月、アーム株式を利用したマージンローンについて、借入枠を85億米ドルから135億米ドルへ増額するなどの条件を変更。当期末現在、増額分の50億米ドルは全額未使用- ソフトバンク株式を利用したマージンローン2025年2月、ソフトバンク株式を利用したマージンローンについて、従前の借入額5,000億円から8,000億円への増額リファイナンスを完了 4.株主還元- 自己株式の取得2024年8月に取締役会で決議した最大5,000億円の自己株式取得枠のうち、当期末までに累計2,370億円、2025年4月末までに累計2,862億円の自己株式を取得- 配当期末配当1株当たり22円で定時株主総会(2025年6月27日開催予定)に付議することを取締役会で決議。中間配当と合わせた当期の年間配当金は前期と同額の1株当たり44円に(当期の年間配当金の総額635億円)(注1)投資に係るデリバティブ関連損益および為替換算影響額を含む金額です。(注2)外部投資家持分および税金等の控除前のグロスの金額です。(注3)ソフトバンクグループ㈱および主要投資子会社の投資ポートフォリオの再整理の一環として、Wayve Technologies Ltd(以下「Wayve」)への投資を当第4四半期にSVF2へ移管しました。詳細は「b. セグメントの業績概況(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」をご参照ください。(注4)連結キャッシュ・フロー計算書で計上された金額です。 <アーム株式のグループ内取引の対価のうち、第3回目を支払い>2023年9月のアームの新規株式公開に先立つ同年8月、当社100%子会社はSVF1が保有していたアームの普通株式(発行済株式総数の24.99%相当)を161億米ドル(以下「本取引対価」)で取得しました。本取引対価は4分割で支払うこととなっており、同年8月の取引完了時に第1回目の41億米ドルを、2024年8月に第2回目の41億米ドルを、2025年2月に第3回目の41億米ドルをそれぞれ支払いました。これらの支払いは、グループ内で行われた当社子会社株式の譲渡対価に係る債権債務の精算のため、連結財務諸表に影響はありません。 本取引対価の分割払いの支払タイミングおよび支払額の内訳 第1回目(支払い済)第2回目(支払い済)第3回目(支払い済)第4回目(予定)支払タイミング2023年8月2024年8月2025年2月2025年8月支払額41億米ドル41億米ドル41億米ドル38億米ドル <ロボティクス関連投資を中間持株会社へ集約>グループ内で複数のエンティティに分散していたロボティクス関連投資を一元管理し、シナジー創出による価値向上を図るため、中間持株会社(以下「ロボHD」)を設立し、その傘下にロボティクス関連投資を集約することを2025年1月23日の取締役会で決議しました。当第4四半期においては、当社から10銘柄(注1)を現物出資または売却により、SVF2から6銘柄(注2)を現物出資によりロボHDに移管しました。このほか、投資等に係るコミットメントに充当するため、当社およびSVF2から現金を拠出しました。当社が保有するソフトバンクロボティクスグループ㈱やBalyo SAおよびSVF2が保有するAutoStore Holdings Ltd.(以下「AutoStore」)については、2026年3月期に移管を完了する予定です。これら今後予定している移管を完了した後、ロボHDの持分は、当社が過半を保有し、SVF2が残余を保有する見込みです。当社およびSVF2からロボHDへの移管価額は移管日の公正価値を使用します。移管日の公正価値は、全ての投資の移管が完了した後、独立した外部機関による評価査定に基づき最終化する予定です。このため、当第4四半期に移管した投資については、暫定的に算定した価額を使用しています。なお、これらの移管および現金拠出の取引は、グループ内取引のため連結上消去しています。(注1)Berkshire Grey, Inc.やStack AV Co.など(注2)1X Holdings, Inc.、Agile Robots SE、Skild AI, Inc.、Terabase Energy, Inc.など <OpenAIへの追加出資>ソフトバンクグループ㈱は、2025年3月31日、米国の人工知能(AI)研究開発企業OpenAI Global, LLC(以下「OpenAI Global」)に最大400億米ドルの追加出資を行うこと(以下、本項目において「本取引」)について、OpenAIと最終的な合意に至りました。当社は、本取引における最大400億米ドルの出資額のうち100億米ドルを外部投資家にシンジケーションする予定です。その場合、当社の実質的な出資額は最大300億米ドルになる見込みです。当期末以降の2025年4月15日、OpenAI Globalに対する最大400億米ドルの出資額のうち、ファーストクロージングが完了し、100億米ドルの資金がOpenAI Globalに提供されました。このうち、15億米ドルは同日にシンジケーションにより外部投資家が出資し、残りの85億米ドルはSVF2が出資しました。その後、外部投資家に対して追加のシンジケーションが実行され、SVF2の出資額は85億米ドルから75億米ドルに減額されました。ファーストクロージングに係る出資を目的として、2025年4月に当社は㈱みずほ銀行をはじめとする取引金融機関から85億米ドルの借入による調達を行い、同額をSVF2に貸し付けています。なお追加のシンジケーションに伴い、2025年5月に、当社は貸付金元本の一部回収および利息としてSVF2から10億米ドルを受領しました。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記48.追加情報 (2)OpenAIへの投資について」をご参照ください。 <Ampereの買収(100%子会社化)>ソフトバンクグループ㈱は、米国の100%子会社を通じて、Armコンピュートプラットフォームに基づいた高性能・省エネルギー・持続可能なAIコンピューティングに特化した半導体設計企業である米国のAmpereの全持分を総額65億米ドルで取得すること(以下、本項目において「本取引」)について、Ampereおよび同社の特定の持分保有者との間で、2025年3月19日付で合意しました。本取引はソフトバンクグループ㈱の取締役会で承認されていますが、米国における競争法上の承認、対米外国投資委員会(CFIUS:Committee on Foreign Investment in the United States)による承認その他監督官庁の通常の承認、そして、誓約事項があらゆる重大な点において遵守されていること、Ampereへの重大な悪影響が発生しないこと、特定の雇用関連の事項等、その他の前提条件の充足(または放棄)が条件となります。当社は、本取引が2025年度後半に完了するものと見込んでいます。本取引の結果、Ampereはソフトバンクグループ㈱の100%子会社となります。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記48.追加情報 (1)Ampere Computing Holdings LLCの買収について」をご参照ください。 為替換算レート2024年3月期2025年3月期1米ドル第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期期中平均レート138.11円145.44円147.00円147.87円156.53円150.26円151.32円152.95円期末日レート 151.41円 149.52円 a.連結経営成績の状況 (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率 売上高6,756,5007,243,752487,2527.2%A売上総利益3,542,3923,754,203211,8116.0% 投資損益 持株会社投資事業からの投資損益△459,0453,413,8213,872,866-BSVF事業からの投資損益△167,290387,584554,874-Cその他の投資損益66,985△100,298△167,283- 投資損益合計△559,3503,701,1074,260,457- 販売費及び一般管理費△2,982,383△3,024,409△42,0261.4%D財務費用△556,004△581,559△25,5554.6%E為替差損益△703,12227,055730,177-Fデリバティブ関連損益(投資損益を除く)1,502,326△2,034,029△3,536,355-GSVFにおける外部投資家持分の増減額△390,137△491,898△101,76126.1%Hその他の損益204,079354,251150,17273.6%I税引前利益57,8011,704,7211,646,920- 法人所得税151,416△101,613△253,029-J純利益209,2171,603,1081,393,891666.2% 非支配持分に帰属する利益436,863449,77612,9133.0% 親会社の所有者に帰属する純利益△227,6461,153,3321,380,978- 包括利益合計2,241,4411,082,348△1,159,093△51.7% 親会社の所有者に帰属する包括利益1,809,984666,237△1,143,747△63.2% 以下、連結損益計算書の主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。 A 売上高ソフトバンク事業およびアーム事業はいずれも増収となりました。詳細は「b. セグメントの業績概況」の「(c)ソフトバンク事業」および「(d)アーム事業」をご参照ください。 B 持株会社投資事業からの投資損益持株会社投資事業からの投資利益は3,413,821百万円となりました。これは主に、アリババ株式に係る投資利益1,875,908百万円、Tモバイル株式に係る投資利益1,352,177百万円(投資に係るデリバティブ関連損益および為替換算影響額を含む)、ドイツテレコム株式に係る投資利益434,224百万円をそれぞれ計上したことによるものです。詳細は「b. セグメントの業績概況(a)持株会社投資事業」をご参照ください。 C SVF事業からの投資損益SVF事業からの投資利益は387,584百万円となりました。その内訳は、SVF1で940,483百万円の利益、SVF2で526,496百万円の損失、LatAmファンドで8,110百万円の利益、その他で34,513百万円の損失です。SVF1の投資利益は、主に当期末に保有する投資の未実現評価利益889,312百万円(純額)を計上したことによるものです。そのうち、公開投資先については、Coupang, Inc.(以下「Coupang」)やDiDi Global Inc.(以下「DiDi」)などの株価上昇に伴い合計580,211百万円の未実現評価利益(純額)を計上しました。未公開投資先については、公開類似企業の株価上昇および好調な業績を反映したBytedance Ltd.(以下「ByteDance」)の公正価値の増加が牽引役となり、合計309,101百万円の未実現評価利益(純額)を計上しました。SVF2の投資損失は、主に当期末に保有する投資の未実現評価損失539,320百万円(純額)を計上したことによるものです。AutoStoreやSymbotic Inc.などの公開投資先の株価が下落したほか、主に業績低迷や公開類似企業の株価下落を反映して未公開投資先の公正価値も減少しました。詳細は「b. セグメントの業績概況(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」をご参照ください。 主にB~Cの結果、投資損益合計は3,701,107百万円の利益となりました。 D 販売費及び一般管理費ソフトバンク事業の販売費及び一般管理費が前期比119,701百万円増の2,174,555百万円に、アーム事業の販売費及び一般管理費が前期比43,463百万円増の536,898百万円になりました。前者は主に、スマートフォン契約の獲得強化およびコマースサービスにおける既存顧客の継続利用促進のための販売関連費が増加したことによるものです。後者は、主に研究開発の強化を目的として技術関連人員を中心に従業員数を増加させた結果、株式報酬費用を含む人件費が増加したことによるものです。 E 財務費用SVFの支払利息が借入金の大幅減少に伴い前期比35,691百万円減の32,713百万円となった一方で、ソフトバンクグループ㈱1の支払利息が前期比40,744百万円増の443,765百万円となりました。また、2024年7月にSBE Globalが当社の子会社となったことに伴い、同社の支払利息16,008百万円を計上しました。ソフトバンクグループ㈱の支払利息が増加したのは主に、発行残高の増加に伴い国内社債に係る支払利息が増加したことに加え、2024年9月にタームローンにより29億米ドルの借入を実行したことによるものです。 F 為替差損益主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建負債(子会社からの借入や外貨建普通社債など)および米ドル建現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、期末日為替換算レートが前期末に比して円高となったことにより為替差益27,055百万円(純額)を計上しました。なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなど機能通貨が外貨(主に米ドル)の在外子会社・関連会社の純資産については、期末日為替換算レートが前期末に比して円高となったことにより円換算後の価値が減少しましたが、そのマイナス影響は為替差損益には含まれず、連結財政状態計算書の資本の部の「その他の包括利益累計額」に在外営業活動体の為替換算差額の減少額521,272百万円として計上されています。 G デリバティブ関連損益(投資損益を除く)アリババ株式を利用した先渡売買契約等に係るデリバティブ関連損失1,698,697百万円、ドイツテレコム株式を利用したカラー取引に係るデリバティブ関連損失319,735百万円をそれぞれ計上しました。 H SVFにおける外部投資家持分の増減額「SVFにおける外部投資家持分の増減額」は、SVFの投資損益から当社100%子会社である運営会社が受領する管理報酬、業績連動型管理報酬、成功報酬、SVFの営業費用およびその他の費用を控除した金額をもとに算出された、外部投資家に帰属する損益です。連結損益計算書においては、通常、SVFにおいて投資利益を計上した場合には外部投資家に帰属する利益が外部投資家持分(成果分配型投資家帰属分)の増加額として費用方向(マイナス)に、投資損失を計上した場合には外部投資家に帰属する損失が外部投資家持分(成果分配型投資家帰属分)の減少額として利益方向(プラス)に寄与します。このほか、SVFにおける投資損益にかかわらず、外部投資家によるプリファード・エクイティの拠出額残高に応じて外部投資家持分(固定分配型投資家帰属分)の増加額が費用方向(マイナス)に寄与するものとして計上されます。当期において、SVF事業からの投資利益387,584百万円に対してSVFにおける外部投資家持分の増加額が491,898百万円となったのは、外部投資家持分の割合が大きいSVF1において投資利益1,022,971百万円(SVF1単体ベース)を計上したことに伴い、成果分配型投資家帰属分の増加額402,783百万円を計上したことによるものです。このほか、固定分配型投資家帰属分の増加額98,201百万円を計上したことも寄与しました。 I その他の損益2024年5月に、ソフトバンクグループ㈱の子会社を通じて保有していたフォートレスの全持分をMubadala Investment Company PJSCの子会社に売却した結果、フォートレスに対する支配を喪失したことに伴い、子会社の支配喪失利益93,139百万円を計上しました。また、2024年7月に、当社の持分法適用関連会社であったSBE Globalの持分を追加取得し、同社が当社の子会社となったことに伴い、既存の投資持分を公正価値測定した結果、企業結合に伴う再測定による利益55,553百万円を計上しました。その他の内訳は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記41.その他の損益」をご参照ください。 主にA~Iの結果、税引前利益は前期比1,646,920百万円増加の1,704,721百万円の利益となりました。 J 法人所得税法人所得税は101,613百万円となりました。当期税金費用645,668百万円を計上した一方で、繰延税金費用を利益方向に544,055百万円計上したことによるものです。当期税金費用は、主にアリババ株式を利用した先渡売買契約の現物決済に伴いソフトバンクグループ㈱において295,679百万円計上したほか、ソフトバンク㈱などの事業会社で269,357百万円計上しました。繰延税金費用(利益)は、主にアリババ株式を利用した先渡売買契約の現物決済に伴い、前期末にアリババ株式および関連するデリバティブに対して計上していた繰延税金負債を取り崩したことによるものです。なお、当期より適用となったグローバル・ミニマム課税の所得合算ルール(IIR)に関して、当期におけるトップアップ課税を見積もった結果、ソフトバンクグループ㈱において計上された税金費用はありません。 主にA~Jの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は前期比1,380,978百万円改善の1,153,332百万円の利益となりました。 b.セグメントの業績概況 当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当期末現在、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」の4つを報告セグメントとしています。 報告セグメントの概要は以下の通りです。 セグメント名称主な事業の内容主な会社報告セグメント 持株会社投資事業・ソフトバンクグループ㈱およびその子会社による投資事業 ソフトバンクグループ㈱SoftBank Group Capital Limitedソフトバンクグループジャパン㈱ソフトバンクグループオーバーシーズ合同会社SB Northstar LP ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業・SVF1、SVF2およびLatAmファンドによる投資事業SB Investment Advisers (UK) LimitedSoftBank Vision Fund L.P.SB Global Advisers LimitedSoftBank Vision Fund II-2 L.P.SBLA Latin America Fund LLC ソフトバンク事業・コンシューマ事業:個人顧客を対象とした日本国内でのモバイルサービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドサービスの提供・エンタープライズ事業:法人顧客を対象とした日本国内でのモバイルサービスやソリューションサービスの提供・ディストリビューション事業:法人顧客を対象としたICTサービス商材の提供、個人顧客を対象とした通信端末関連商品・IoT機器の提供・メディア・EC事業:メディア・広告やコマースサービスの提供・ファイナンス事業:決済、金融サービスの提供 ソフトバンク㈱LINEヤフー㈱PayPay㈱ アーム事業・半導体のIPおよび関連テクノロジーのデザイン・ソフトウエアツールの販売および関連サービスの提供 Arm Holdings plcその他(注1)・太陽光発電所の建設および運営・福岡ソフトバンクホークス関連事業SBE Global, LP福岡ソフトバンクホークス㈱(注1)2024年5月14日、ソフトバンクグループ㈱は、ソフトバンクグループ㈱の子会社を通じて保有していたフォートレスの全持分をMubadala Investment Company PJSCの子会社に売却しました。本取引の完了をもって、フォートレスはソフトバンクグループ㈱の子会社でなくなりました。 (a)持株会社投資事業1.アリババ株式に係る投資利益1兆8,759億円、Tモバイル株式に係る投資利益1兆3,522億円(注1)、ドイツテレコム株式に係る投資利益4,342億円をそれぞれ計上した結果、持株会社投資事業からの投資利益は3兆4,138億円2.アリババ株式を利用した先渡売買契約に係るデリバティブ関連損失1兆6,987億円、ドイツテレコム株式を利用したカラー取引に係るデリバティブ関連損失3,197億円に加え、財務費用5,313億円などを計上した結果、セグメント利益は7,943億円に(注1)投資に係るデリバティブ関連損益および為替換算影響額を含む金額です。 <事業概要>当事業においては、主にソフトバンクグループ㈱が、戦略的投資持株会社として直接または子会社を通じて投資活動を行っています。当事業は、ソフトバンクグループ㈱、SoftBank Group Capital Limited、ソフトバンクグループジャパン㈱、ソフトバンクグループオーバーシーズ合同会社および資産運用子会社であるSB Northstarのほか、投資または資金調達を行う一部の子会社で構成されています。持株会社投資事業からの投資損益は、ソフトバンクグループ㈱が、直接または子会社を通じて保有する投資からの投資損益により構成されています。ただし、子会社からの受取配当金および子会社株式に係る減損損失などの子会社株式に関連する投資損益を含みません。当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、ドイツテレコムなどであり、そのほとんどがFVTPLの金融資産として認識されるものです。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。 資産運用子会社からの上場株式や社債等への投資SB Northstarはソフトバンクグループ㈱の余剰資金を用いて上場株式や社債等の取得および売却を行っています。当期における資産運用子会社に係る投資損失(債券投資による受取利息を含む)は144億円(活動開始来の累計投資損失:9,655億円)(注1)、当期末における投資残高は1兆1,348億円(うち、社債:8,195億円)です。社債は主に残存年数が短い投資適格債に投資しています。同社における持分は、ソフトバンクグループ㈱が67%、ソフトバンクグループ㈱代表取締役 会長兼社長執行役員の孫 正義が33%をそれぞれ間接的に保有しています。孫 正義の持分は非支配持分として同社の投資損益から差し引かれるため、投資損益の67%が親会社の所有者に帰属する純利益に影響を与えます。ソフトバンクグループ㈱が同社に対しファンド存続期間(12年+延長2年)満了時に債権を保有し、その債権に返済不能分が発生した場合、持分比率に応じて孫 正義は損害額を補償します。(注1)累計投資損失は、受取配当金および債券投資による受取利息を含む一方、SB NorthstarからSB Investment Advisers (US) Inc.子会社のSPAC3社への投資の影響を含みません。 <業績全般> (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率 持株会社投資事業からの投資損益△459,0453,413,8213,872,866-A 資産運用子会社からの投資の実現損益△90,360△39,32351,037- 資産運用子会社からの投資の未実現評価損益12,692△10,888△23,580- 投資の実現損益(注1)△38,429537,805576,234- 投資の未実現評価損益△611,6273,134,2533,745,880- 当期計上額△647,4142,379,5083,026,922- 過年度計上額のうち実現損益への振替額(注1)35,787754,745718,958- 投資に係るデリバティブ関連損益226,050△297,653△523,703- 為替換算影響額(注2)6,532△1,963△8,495- その他36,09791,59055,493153.7% 販売費及び一般管理費△89,285△131,856△42,57147.7% 財務費用△473,811△531,252△57,44112.1%B為替差損益△703,43819,257722,695- デリバティブ関連損益(投資損益を除く)(主にアリババ株式の先渡売買契約の影響)1,500,015△2,041,830△3,541,845- その他の損益128,03866,111△61,927△48.4% セグメント利益(税引前利益)△97,526794,251891,777- (注1)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。(注2)投資の未実現評価損益は当該評価損益が生じた四半期の平均為替レートを用いて換算する一方、投資の実現損益は当該株式を処分した四半期の平均為替レートを用いて換算します。「為替換算影響額」は、未実現評価損益と実現損益の換算に使用する為替レートの差により生じた金額です。 A 持株会社投資事業からの投資利益:3,413,821百万円・2024年6月7日に、当社がドイツテレコムに付与したTモバイル株式を対象とする株式購入オプションの一部が行使されたため、当社はTモバイル株式6.7百万株を670百万米ドルで売却しました。この結果、当期において、投資の実現利益78,277百万円、投資の未実現評価損失50,043百万円(過年度計上額のうち実現損益への振替額)、投資に係るデリバティブ関連損失17,753百万円、為替換算影響額11,066百万円の損失を計上しました。なお、同株式購入オプションのうち残りの未行使分については、2024年6月22日に行使期限が到来し消滅しました。・アリババ株式を利用した株式先渡売買契約の現物決済により、投資の実現利益280,516百万円、投資の未実現評価利益900,335百万円(過年度計上額のうち実現損益への振替額)を計上しました。・投資の未実現評価利益3,134,253百万円を計上しました。このうち当期計上額は2,379,508百万円でした。これは主に、当期末に引き続き保有するTモバイル株式に係る未実現評価利益1,346,194百万円、アリババ株式に係る未実現評価利益695,057百万円、ドイツテレコム株式に係る未実現評価利益398,793百万円をそれぞれ計上したことによるものです。・投資に係るデリバティブ関連損失297,653百万円を計上しました。これは主に上場株式を対象としたオプション取引に係る損失285,533百万円を計上したことによるものです。 B 財務費用:531,252百万円(前期比57,441百万円増加)・ソフトバンクグループ㈱1のグループ外への支払利息が前期比40,744百万円増の443,765百万円となりました。これは主に、発行残高の増加に伴い国内社債に係る支払利息が増加したことに加え、2024年9月にタームローンにより29億米ドルの借入を実行したことによるものです。・2023年8月に行ったSVF1からのアーム株式の取得の対価のうち未払金に係る償却原価83,715百万円を計上しました。なお、当該償却原価は連結上、消去されています。 (参考情報)資産運用子会社の当社連結財政状態計算書への影響 (単位:百万円) 2025年3月31日 現金及び現金同等物1,328 資産運用子会社からの投資1,086,807 うち、社債819,499 資産運用子会社における担保差入有価証券47,947 資産運用子会社におけるデリバティブ金融資産9 その他9,303 資産合計1,145,394 有利子負債29,796 その他の金融負債1,141 その他915 負債合計31,852 Delaware子会社からの出資(注1)1,971,699 ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への現金出資相当額39,786 ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への貸付相当額(ソフトバンクグループ㈱からの運用委託金)1,912,020 孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額19,893A利益剰余金△1,014,555B為替換算差額156,398 純資産1,113,542C(注1)当社の子会社であるDelaware Project 1 L.L.C.、Delaware Project 2 L.L.C.およびDelaware Project 3 L.L.C.(以下「Delaware子会社」)から資産運用子会社であるSB Northstarへの出資額 (非支配持分の計算) (単位:百万円)孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額19,893A非支配持分損益(累計)(注2)△338,085 為替換算差額59,901 非支配持分(孫 正義の持分)△258,291D(注2)表中Bの3分の1 (純資産(上記C)に対する持分) (単位:百万円)ソフトバンクグループ㈱の持分1,371,833 非支配持分(孫 正義の持分)△258,291D純資産1,113,542C 当事業における主な有利子負債およびリース負債 借入者種別当期末連結財政状態計算書残高ソフトバンクグループ㈱借入金1兆7,754億円社債6兆6,685億円リース負債80億円コマーシャル・ペーパー1,415億円 資金調達を行う100%子会社アーム株式を利用した借入(マージンローン)1兆2,585億円アリババ株式を利用した株式先渡売買契約(フォワード契約)9,978億円ソフトバンク㈱株式を利用した借入(マージンローン)7,960億円ドイツテレコム株式を利用したカラー取引4,094億円(注)資金調達を行う100%子会社による借入はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。 (b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業1.活動開始来累計損益はSVF1で234億米ドルのプラス、SVF2で229億米ドルのマイナス(注1)SVF1:投資額896億米ドルに対しリターン(注2)1,130億米ドル、活動開始来累計利益は234億米ドル・当期の投資利益は67億米ドル(1兆230億円)・当第4四半期末に保有する投資の合計公正価値が前四半期末比4.1%上昇(注3)- 公開投資先(注4):前四半期末比0.8%上昇。FirstCryなどの株価が下落した一方、DiDiやAuto1などの株価が上昇- 未公開投資先(注4):前四半期末比6.6%上昇。公開類似企業の株価上昇および好調な業績を反映したByteDanceが牽引役となり公正価値が上昇SVF2:投資額608億米ドルに対しリターン379億米ドル、活動開始来累計損失は229億米ドル・当期の投資損失は36億米ドル(5,617億円)・当第4四半期末に保有する投資の合計公正価値が前四半期末比2.7%減少- 公開投資先:前四半期末比21.7%減少。SwiggyやOla Electric Mobilityの株価が下落- 未公開投資先:前四半期末比0.7%上昇。公開類似企業の株価下落や業績低迷を反映して一部銘柄の公正価値が下落したものの、直近取引における評価額上昇を反映した複数銘柄の公正価値上昇がそれを上回った (2025年3月31日現在;単位:十億米ドル) 活動開始来累計当期(注5) 投資額(注6)リターン(注6)損益1~3月損益計上額累計損益計上額 SVF1 エグジットした投資45.467.321.9△0.1△4.1 エグジット前の投資44.243.3△0.91.75.8 当期にエグジットした投資の未実現評価損益過去計上額の振替0.25.0 デリバティブ/ 受取利息/配当金△0.02.42.40.00.0 合計89.6113.023.41.86.7 2,827億円10,230億円 SVF2 エグジットした投資9.75.4△4.3△0.3△4.6 エグジット前の投資50.832.3△18.5△0.8△3.6 当期にエグジットした投資の未実現評価損益過去計上額の振替0.34.6 デリバティブ/ 受取利息/配当金0.30.2△0.10.1△0.0 合計60.837.9△22.9△0.7△3.6 △1,083億円△5,617億円 (注)2024年6月にWeWorkによる米国連邦破産法11条に基づく手続きが完了したことに伴い、SVF1および2が保有していた旧WeWork株式は消滅しました。また、同手続き申請前にSVF2が保有していた債権の一部が消滅し、残りは再建後の新WeWork株式に転換されました。これに伴い、SVF1および2による旧WeWork株式、ワラントおよび債券への投資が実現したことから、過年度において計上していた投資の未実現損失67.1億米ドル(SVF1:31.8億米ドル、SVF2:35.3億米ドル)を実現損失に振り替えました。 2.規律あるアプローチの下で投資および資金化を継続- 当期にSVF2でエンタープライズやフロンティアテックセクターの企業を中心に合計82.0億米ドルを投資2(SVF2が当社より取得した投資を含む)- 当期にSVF1およびSVF2でDoorDash、SenseTimeを含む24銘柄の全株式(SVF2からロボHDへ移管した投資6銘柄を含む)および複数の銘柄の一部株式などを合計53.5億米ドルで売却2(注1)累計リターンおよび投資損益は外部投資家持分および税金等の控除前のグロスの金額です。以下本項の累計パフォーマンスの表示において同じです。(注2)売却額等+保有投資の公正価値。以下同じです。(注3)当第4四半期中に実行した投資と売却による変動を除いた公正価値(米ドルベース)の増減率です。なお、投資先の公開/未公開の区分は、当第4四半期末時点の状態に基づいており、当第4四半期中に公開/未公開の区分が変更になった投資先については、当第3四半期末の状態を当第4四半期末時点の状態に合わせた上で比較を行っています。以下本項における四半期末に保有する投資の公正価値の増減において同じです。(注4)公開投資先は証券取引所および店頭市場で取引される株式を、未公開投資先は公開投資先に該当しない投資先を指します。以下同じです。(注5)「エグジットした投資」の当期1~3月および当期累計損益計上額は、当該投資のエグジット金額から投資額を差し引いた金額です。過年度または当第3四半期までに計上した当該投資に係る未実現評価損益については、「当期にエグジットした投資の未実現評価損益過去計上額の振替」に表示しています。そのため、「エグジット前の投資」の当第3四半期までの決算において開示した各四半期の損益計上額と、上記「当期1~3月」の損益計上額との合計は、上記「当期累計」の損益計上額と一致しない場合があります。(注6)投資額は、デリバティブについてはデリバティブ原価を表します。リターンは、エグジットした投資についてはエグジット金額を、エグジット前の投資については公正価値を、デリバティブについては既決済契約の決済額または未決済契約の公正価値を、受取利息または配当金については各受領額を指します。 <事業概要>当事業の業績には、主にソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)およびソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド(LatAmファンド)における投資および事業活動の結果が含まれています。 当事業における主なファンドの概要2025年3月31日現在 AIを活用した成長可能性の大きな企業へ投資し、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。SVF1の投資期間は終了しましたが、固定分配やファンド運営関連費用への充当を目的に出資コミットメント総額の残額が留保されています。 SVF1SVF2LatAmファンド主なリミテッド・パートナーシップSoftBank Vision Fund L.P.SoftBank Vision Fund II-2 L.P.SBLA Latin America Fund LLC出資コミットメント総額986億米ドル658億米ドル78億米ドル 当社:331億米ドル(注1)外部投資家:655億米ドル当社:632億米ドル外部投資家(MgmtCo):26億米ドル(注2)当社:74億米ドル外部投資家(MgmtCo):4億米ドル(注2)運営会社SBIA(当社英国100%子会社)SBGA(当社英国100%子会社)投資期間2019年9月12日に終了運営会社の裁量により決定存続期間2029年11月20日まで(SBIAに最大2回の1年延長オプションあり)2032年10月4日まで(SBGAに最大2回の1年延長オプションあり) (注1)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。(注2)SVF2およびLatAmファンドには当社経営陣による共同出資プログラムが導入されており、経営陣の投資エンティティであるMgmtCoが参画しています。当社連結財務諸表上、MgmtCoの出資持分は外部投資家持分として扱われています。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記45.関連当事者(1)関連当事者との取引 a. 配当受領権制限付き共同出資プログラム」をご参照ください。 SVFにおける借入SVF1、SVF2およびLatAmファンドは、レバレッジの活用や手元流動性の確保などを目的として、ソフトバンクグループ㈱にはノンリコースの借入を独自に行うことがあります。このような借入には、例えばリターンの向上およびリミテッド・パートナーへの分配を目的とした保有資産を活用するアセットバック・ファイナンスがあります。 投資先の公正価値評価SVF1、SVF2およびLatAmファンドはIFRS第13号「公正価値測定」に従い、SBIA Global Valuation PolicyおよびInternational Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelines(IPEVガイドライン)に基づいて、毎四半期末日における投資先の公正価値を算定しています。公開投資先のうち、証券取引所で取引される株式については相場価格を用いて、店頭市場で取引される株式については相場価格および観察可能なその他のインプットを単一もしくは複数用いて公正価値を算定しています。未公開投資先の公正価値算定については、公開類似企業の情報を用いたマーケット・アプローチ、予想される将来キャッシュ・フローを用いたインカム・アプローチに加えて、直近の資金調達ラウンドや類似取引の価格を用いた取引事例法などの評価手法を単一もしくは複数用いています。 <業績全般> (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率 SVF事業からの投資損益(注1)724,341434,903△289,438△40.0%A SVF1、SVF2およびLatAmファンドからの投資損益696,261469,416△226,845△32.6% 投資の実現損益(注2)984,409△1,366,533△2,350,942- 投資の未実現評価損益△144,8351,552,6871,697,522- 当期計上額△189,604314,724504,328- 過年度計上額のうち実現損益への振替額 (注2)44,7691,237,9631,193,194- 投資先からの利息及び配当金21,6688,451△13,217△61.0% 投資に係るデリバティブ関連損益△7,3378,15115,488- 為替換算影響額△157,644266,660424,304- その他の投資損益28,080△34,513△62,593- 販売費及び一般管理費△84,986△62,16922,817△26.9% 財務費用△74,322△40,24434,078△45.9% SVFにおける外部投資家持分の増減額△390,137△491,898△101,76126.1%Bその他の損益△46,71744,39091,107- セグメント利益(税引前利益)128,179△115,018△243,197- (注1)SVFによる当社子会社(主にアーム、PayPay㈱)への投資に係る投資損益は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業のセグメント利益において「SVF事業からの投資損益」に含まれますが、連結上消去し、連結損益計算書上の「SVF事業からの投資損益」には含まれません。(注2)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。 SVF1およびSVF2の投資・売却実績 (単位:十億米ドル) 当期投資実行額 当期売却額3 Q1Q2Q3Q4累計 Q1Q2Q3Q4累計SVF1----- 0.810.960.750.713.23SVF20.620.621.315.658.20 0.030.050.381.662.12合計0.620.621.315.658.20 0.841.011.132.375.35(注)投資額は、新規および既存投資先への追加投資を含みます。当第3四半期にSVF2が280百万米ドルで取得したPayPay㈱の新株予約権をはじめとするデリバティブへの投資額を含みません。 セグメント利益A SVF事業からの投資利益:434,903百万円 (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減SVF1からの投資損益768,8911,022,971254,080SVF2からの投資損益△146,472△561,656△415,184LatAmファンドからの投資損益73,8628,110△65,752その他の投資損益等28,060△34,522△62,582SVF事業からの投資損益724,341434,903△289,438 B SVFにおける外部投資家持分の増減額:△491,898百万円各ファンドからの投資損益から、①SBIAがSVF1から受領する管理報酬および成功報酬、②SBGAがSVF2から受領する管理報酬および業績連動型管理報酬、③SBGAがLatAmファンドから受領する管理報酬、業績連動型管理報酬および成功報酬、④各ファンドの営業費用およびその他の費用を控除した金額をもとに算出された外部投資家に帰属する損益です。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 (2)SVFにおける外部投資家持分」をご参照ください。 当社からSVF2への投資移管ソフトバンクグループ㈱および主要投資子会社の投資ポートフォリオの再整理の一環として、当社が支配もしくは共同支配を有していない未公開投資先6銘柄(注1)をSVF2へ移管することを、2024年10月21日のソフトバンクグループ㈱取締役会で決議し、当第3四半期および当第4四半期に移管日の公正価値でSVF2へ移管しました。これらの投資の当社取得額は19.5億米ドルであり、移管価額は当第4四半期に独立した外部機関による評価査定に基づき最終化した結果、当第3四半期に暫定的に算定した価額と同額の19.0億米ドルでした。(注1)1X Holdings, Inc.、AI Lens Co., Ltd.、Mapbox, Inc.(デリバティブを含む)、Skild AI, Inc.、WayveおよびZipline International Inc.の6銘柄です。このうち、1X Holdings, Inc.およびSkild AI, Inc.を当第4四半期にロボHDへ移管しました。ロボHDへの移管の詳細は「(1)財政状態及び経営成績の状況<ロボティクス関連投資を中間持株会社へ集約>」をご参照ください。 投資の状況2025年3月31日現在 SVF1(単位:十億米ドル)合計(下記①+②+③+④) 累計投資銘柄数累計投資額累計リターン累計損益(注1) 投資損益当期計上額 1~3月累計 10289.6113.023.4 1.86.7(参考) 累計投資銘柄数累計投資額累計リターン累計損益(注1)株式交換による影響(注2)△4△2.0△2.0-現物配当による影響(注3)△4---上記による影響考慮後9487.6111.023.4①エグジットした投資 銘柄数 投資額 エグジット金額 累計実現損益(注1) 実現損益当期計上額 1~3月累計一部エグジット-5.79.33.6 0.1全部エグジット(注4)4539.758.018.3 △4.2合計4545.467.321.9 △0.1△4.1②エグジット前の投資(当期末に保有する投資)(注5) 銘柄数 投資額 公正価値 累計未実現評価損益(注7) 未実現評価損益当期計上額 1~3月累計公開投資(注6)1720.518.7△1.8 0.23.8未公開投資4023.724.60.9 1.52.0合計5744.243.3△0.9 1.75.8③デリバティブ デリバティブ原価公正価値/決済額累計デリバティブ関連損益 デリバティブ関連損益当期計上額 1~3月累計未決済 — △0.0既決済 △0.01.41.4 0.0合計 △0.01.41.4 0.00.0④投資先からの利息および配当金 利息および配当金累計損益 利息および配当金当期計上額 1~3月累計合計 1.01.0 -0.0(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。(注1)外部投資家持分および税金等の控除前(注2)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。Uber Advanced Technologies GroupとAurora Innovation Inc.、PT TokopediaとPT GoTo Gojek Tokopedia Tbk、Grofers International Pte. Ltd.とZomato Limited、Zymergen, Inc.とGinkgo Bioworks Holdings, Inc.、Candy Digital, Inc.とFanatics Holdings, Inc.(既存投資先)の株式交換が含まれます。なお、SVF1は過年度において既存投資先2社の株式を同じく既存投資先であるその関係会社株式に交換したため、当項目において該当する投資の取得額および処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。(注3)既存投資先からの現物配当として受領した投資について投資件数から控除しています。アームから受領した2銘柄(Treasure Data, Inc.およびAcetone Limited(Arm Technology (China) Co., Ltd.株式の約48%を保有する中間持株会社))およびReef Global Inc.から受領した2銘柄(REEF Proximity Aggregator LLCおよびParking Aggregator LLC)が含まれます。(注4)株式交換および投資先の組織再編による処分(売却)を含みます。(注5)投資先の公開/未公開の区分は、当期末時点の状態に基づいています。(注6)公開株式には店頭市場で取引されているDiDiへの投資を含みます。(注7)当社からSVF1への移管が決定されていたものの実行されなかった投資について、移管の取りやめを決定するまでの期間に発生した未実現評価損益は含めていません。 SVF2(単位:十億米ドル)合計(下記①+②+③+④) 累計投資銘柄数累計投資額累計リターン累計損益(注1) 投資損益当期計上額 1~3月累計 31060.837.9△22.9 △0.7△3.6(参考) 累計投資銘柄数累計投資額累計リターン累計損益(注1)ロボHDへの移管による影響(注2)-△1.6△1.6-WeWorkへの財務サポートによる影響(注3)△5---株式交換による影響(注4)△3△0.1△0.1-上記による影響考慮後30259.136.2△22.9①エグジットした投資 銘柄数 投資額 エグジット金額 累計実現損益(注1) 実現損益当期計上額 1~3月累計一部エグジット-1.00.6△0.4 △0.3全部エグジット(注5)278.74.8△3.9 △4.3 うち、ロボHDへの移管61.91.6△0.3 △0.3△0.3合計279.75.4△4.3 △0.3△4.6②エグジット前の投資(当期末に保有する投資)(注6) 銘柄数 投資額(注7)公正価値(注7)累計未実現評価損益 未実現評価損益当期計上額 1~3月累計公開投資176.13.3△2.8 △0.9△1.9未公開投資26644.729.0△15.7 0.1△1.7 うち、ロボHDの取得12.22.20.0 0.00.0合計28350.832.3△18.5 △0.8△3.6③デリバティブ デリバティブ原価公正価値/決済額累計デリバティブ関連損益 デリバティブ関連損益当期計上額 1~3月累計未決済 0.30.30.0 0.0既決済 △0.0△0.3△0.3 △0.0合計 0.3△0.0△0.3 0.1△0.0④投資先からの利息および配当金 利息および配当金累計損益 利息および配当金当期計上額 1~3月累計合計 0.20.2 0.00.0(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。(注1)外部投資家持分および税金等の控除前(注2)1X Holdings, Inc.、Agile Robots SE、Skild AI, Inc.、Terabase Energy, Inc.などの6銘柄をロボHDへ現物出資により移管しました。また、投資に係るコミットメントに充当するため、575百万米ドルの現金を拠出しました。「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」では、当該6銘柄を全部エグジット、ロボHDを新規投資として扱いますが、連結上では、当社の100%子会社であるロボHDを通じて継続して保有しています。累計投資パフォーマンスを純額で示すため、SVF2の当初保有株式の移管価額および対価として取得したロボHD株式の公正価値をそれぞれ控除しています。(注3)SVF2が保有していたWeWorkの債券(計4銘柄)および同社による米国連邦破産法11条に基づく手続き完了に伴い同債権の対価として受領した再建後の新WeWork株式(1銘柄)を投資銘柄数から控除しています。(注4)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。XCOM Labs, Inc.とGlobalstar, Inc.、ODA Group Holding ASとMathem Holdings AB、Exscientia PLCとRecursion Pharmaceuticals, Inc.の株式交換が含まれます。(注5)株式交換および投資先の組織再編による処分(売却)を含みます。(注6)投資先の公開/未公開の区分は、当期末時点の状態に基づいています。(注7)SVF2のエグジット前の投資の投資額および公正価値には、投資の取得対価の一部として受領した他会社の非支配持分に係るものが含まれています。 LatAmファンド当期末現在、LatAmファンドは累計投資額75億米ドルに対し累計リターンは64億米ドルとなり、活動開始来累計損失は11億米ドルとなりました。当期においては、投資利益57百万米ドルを計上しました。 資金の状況2025年3月31日現在SVF1 (単位:十億米ドル) 合計当社外部投資家出資コミットメント(A)98.633.165.5拠出額4(B)87.229.957.3 拠出額返還額(再コール不可)(C)47.810.537.3 拠出額残高(注1)(D)=(B)-(C)39.419.420.0コミットメント残額(E)=(A)-(B)11.43.28.2(注)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。(注1)当期末現在、外部投資家の拠出額残高の200億米ドルのうち、51億米ドルはプリファード・エクイティ出資です。 SVF2(単位:十億米ドル) 合計出資コミットメント(A)65.8拠出額(B)63.9コミットメント残額(C)=(A)-(B)1.9(注)コミットメント残額には再コール可能な払込資金返還額を含みます。 (参考:2025年3月31日現在 出資コミットメントの内訳)出資コミットメント総額65.8 共同出資プログラムの対象外の投資への当社エクイティ出資12.7 SVF2 LLCへの当社プリファード・エクイティ出資(注1)38.1 SVF2 LLCへの当社エクイティ出資12.4 SVF2 LLCへのMgmtCoエクイティ出資2.6 (注)当期末現在、MgmtCoによる出資額の支払いは実施されていません。(注1)SVF2 LLC(SVF II Investment Holdings LLC)はSVF2の傘下に設立された当社の子会社であり、共同出資プログラムの対象となる投資を間接的に保有しています。 当期末現在、LatAmファンドに対する出資コミットメント総額は78億米ドル、拠出額は76億米ドルです。 (c)ソフトバンク事業メディア・EC事業、コンシューマ事業およびエンタープライズ事業が引き続き増益となったことに加え、PayPay㈱グループが黒字に転じたことにより、セグメント利益は前期比8.5%増加 (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率売上高6,083,8466,544,275460,4297.6%セグメント利益(税引前利益)835,076906,30971,2338.5%減価償却費及び償却費△738,762△739,874△1,1120.2%投資損益6,664△25,074△31,738-財務費用△63,706△81,453△17,74727.9%その他の損益10,53720,63110,09495.8% <事業概要>当事業の業績には、ソフトバンク㈱および同社子会社が主に日本国内で行っているモバイルサービスの提供や携帯端末の販売、ブロードバンドサービスや広告サービス、コマースサービスの提供などの事業活動の結果が含まれています。「Beyond Carrier」戦略の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」といったインターネットサービスや、キャッシュレス決済サービス「PayPay」などのAI・IoT・FinTechを含む最先端テクノロジーを活用したビジネスの展開を通じ、通信以外の領域の拡大を目指しています。 <業績全般>セグメント利益は、前期比71,233百万円(8.5%)増加の906,309百万円となりました。これは主に、メディア・EC事業、コンシューマ事業およびエンタープライズ事業が引き続き増益となったことに加え、ファイナンス事業の主な担い手であるPayPay㈱グループが黒字に転じたことによるものです。メディア・EC事業は、アカウント広告の成長に伴うメディア売上の増加やコマース売上の増加に加えて、複数の子会社に係る支配喪失利益を計上(上表「その他の損益」に計上)したことにより増益となりました。コンシューマ事業は、主にモバイルサービス売上や物販売上、ブロードバンドサービス売上の増収効果で増益となりました。このうちモバイルサービス売上は、スマートフォン契約数の増加等により引き続き増収となりました。エンタープライズ事業は、企業のデジタル化が加速する中でクラウドサービスの売上が拡大したことなどにより増益となりました。PayPay㈱グループは、主に決済取扱高の拡大に伴う手数料収入の増加およびリボ払い残高の拡大に伴う金利収入の増加により増収となったことに加え、固定費の最適化や、キャンペーン設計の変更などによる販売促進費の効率化により収益性が改善したことにより黒字に転じました。なお、当期の投資損失の計上は主に、LINEヤフー㈱の子会社において持分法適用関連会社のLINEヤフー㈱以外の持分所有者の一部に付与している売建プットオプションについて公正価値で測定したことによるものです。 (d)アーム事業顧客のテクノロジー企業によるAI投資の増加を背景に、当期の売上高(米ドルベース)は過去最高を記録◆ 米ドルベースの売上高は前期比25.3%増(円ベースでは同32.0%増)- 米ドルベースのロイヤルティー収入は、チップ当たりのロイヤルティー単価が高いアームの最新技術の採用拡大および複数市場でのシェア拡大により、前期比22.7%増加し過去最高を記録- 米ドルベースのライセンスおよびその他の収入は、主要なテクノロジー企業との間で締結した高額かつ長期のライセンス契約により、前期比28.5%増加し過去最高を記録。これらの契約により、アームの顧客は次世代スマートフォン、データセンター、ネットワーク機器、自動車、コンシューマー・エレクトロニクスおよびAIアプリケーション等、幅広い用途に向けたチップ開発が可能に◆ 将来の成長に向けた研究開発投資の強化が利益の伸びを一部相殺するも、力強い増収がセグメント利益の改善に貢献 (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率売上高464,025612,347148,32232.0%セグメント利益(税引前利益)△33,21547,66780,882-(注)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当期は63,715百万円、前期は65,581百万円含まれています。 <事業概要>アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。アームの業績は半導体市場の動向にプラスにもマイナスにも大きく影響を受けることがあります。市場の売上高はその成長に応じて増加し、アームのロイヤルティー収入の増加をもたらします。また、市場の成長はアームの顧客による活発な製品設計活動を促す可能性があり、アームがより多くの最新テクノロジーをライセンスする機会が生まれ、ライセンスおよびその他の収入の増加につながります。アームは、コンピューティングの未来を築くため、研究開発投資を継続して強化しています。CPUや、グラフィックスプロセッサー、AIアクセラレーターおよび統合サブシステムなどの関連技術を開発することで、顧客が次世代のコンピューティングデバイスを開発できるようサポートしています。 <業績全般>売上高(米ドルベース)アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。 (単位:百万米ドル)3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率ロイヤルティー収入1,7672,16840122.7%ライセンスおよびその他の収入1,4311,83940828.5%合計3,1984,00780925.3% 売上高は、前期から809百万米ドル(25.3%)増加しアーム史上最高となりました。 ロイヤルティー収入ロイヤルティー収入は、前期から401百万米ドル(22.7%)増加し、過去最高となりました。特にスマートフォン分野において、従来の「Armv8」からチップ当たりのロイヤルティー単価が約2倍となる「Armv9」への置き換えが進んだことが成長を牽引しました。加えて、スマートフォンおよびクラウド分野において、アームのコンピュート・サブシステム(CSS)をベースにしたチップの量産出荷が始まり、ロイヤルティー収入の拡大に寄与しました。CSSベースの設計は、事前に統合・検証された構成で提供されるため、顧客によるチップ開発期間の短縮およびコスト削減を可能とすることで、より高いロイヤルティー料率が適用されます。さらに、当期においてクラウドおよび自動車分野においてアームのシェアが拡大したことも、ロイヤルティー収入の成長を後押ししました。前者ではアームベースのカスタムシリコン(自社設計の半導体チップ)の採用拡大が、後者では自動車の高機能化が、それぞれ成長の背景にあります。一方で、IoT機器およびネットワーク機器分野では、期初の在庫調整の影響を受けて収益成長が一部抑制されました。 ライセンスおよびその他の収入ライセンスおよびその他の収入は前期から408百万米ドル(28.5%)増加し、過去最高となりました。複数の大手テクノロジー企業と高額かつ長期のライセンス契約を締結したことが力強い増収に寄与しました。アームの顧客は、次世代スマートフォン、データセンター、ネットワーク機器、自動車、コンシューマー・エレクトロニクスおよびAIアプリケーションなど多岐にわたる用途に向けたチップを開発しています。これらの顧客の多くは、アームの最先端技術へのアクセスを通じて、将来のAIアルゴリズムを実行可能なチップを設計し、それらが搭載された製品が市場に投入される際に高い競争力を発揮することを目指しています。現在の旺盛なライセンス需要は、今後開発され数年後に市場に投入されるチップからのロイヤルティー収入の基盤となることが期待されます。 セグメント利益セグメント利益は、前期から80,882百万円改善し、47,667百万円の利益となりました。大幅な増収が、次世代のテクノロジーを開発する技術関連人員の増加などに伴うコストの増加を上回ったことによるものです。なお、アームは当期から金銭による賞与を廃止し、株式報酬を従業員への主なインセンティブ報酬としています。株式報酬はIFRS第2号「株式に基づく報酬」に基づき費用計上されています。 <技術開発>当期、アームおよびライセンシー企業は技術開発に関する以下の発表を行いました。なお、各技術開発の詳細については、発表各社のウェブサイトに掲載されているプレスリリースをご参照ください。 ・Google LLCは、同社初となる自社開発のデータセンター向けアームベースCPU、Google Axionを発表(2024年4月)。同等の現行世代のx86ベースCPUと比較して最大50%の性能向上と、最大60%の高いエネルギー効率を実現・Microsoft Corporationは、AI向けに設計されたCopilot+ PCを発表(2024年5月)。これまでで最も高速でインテリジェントなWindows PCであり、第1世代はアームのエネルギー効率に優れた高性能アーキテクチャーで動作・アームは、スマートフォン、ラップトップおよびコンシューマー・エレクトロニクス向けの次世代のCPUおよびGPU製品を発表(2024年5月)。新しいコンピュート・サブシステム(CSS)は、ソフトウエアやゲームで35%以上、大規模言語モデルを含むオンデバイスの生成AIで40%以上の性能向上を実現・Meta Platforms Inc.とアームは、Llama 3.2の小規模および大規模言語モデル(10億?900億パラメーター)を、コンシューマー・エレクトロニクスからスマートフォン、データセンターサーバーに至るまで、アームベースのCPUに最適化するために協力すると発表(2024年9月)・MediaTek Inc.は、フラッグシップスマートフォン向け次世代チップDimensity 9400を発表(2024年10月)。同チップは「Armv9」をベースとした最新のコンピュート・サブシステム(CSS)を基に開発され、CPUコア「Arm Cortex-X925」およびGPUコア「Arm Immortalis-G925」を搭載・NVIDIA Corporationは、アームベースのデスクトップAIスーパーコンピュータProject DIGITSを発表(2025年1月)。データサイエンティスト、AI研究者および学生等の個人が、クラウドへのアップロード前にAIモデルを試作、調整および実行することを可能に・アームは、IoT機器向けにAI処理能力を強化する最新CPU「Arm Cortex-A320」を発表(2025年2月)。同社のNPU「Ethos-U85」との組み合わせにより、10億超のパラメーターを持つAIモデルの実行が可能となり、産業用ロボットの高度な制御、スマートカメラの認識精度向上、家庭用デバイスの利便性向上などに寄与 c.財政状態の状況1.投資資産の状況◆ SVFからの投資(FVTPL)(注1)の帳簿価額は11兆4,109億円(前期末比3,964億円増加)(注2)- SVF1は前期末比4,256億円増加:米ドルベースでは33.5億米ドル増加。投資の売却により24.9億米ドル減少した一方、当期末に保有する投資先の公正価値増加により58.4億米ドル増加- SVF2は前期末比26億円減少 |
※本記事は「ソフトバンクグループ株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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