ソフトバンクグループ株式会社の基本情報

会社名ソフトバンクグループ株式会社
業種情報・通信業
従業員数連65352名 単255名
従業員平均年齢41.5歳
従業員平均勤続年数10.3年
平均年収13601179円
1株当たりの純資産3633.53円
1株当たりの純利益47.11円
決算時期3月
配当金44円
配当性向93.4%
株価収益率(PER)190.2倍
自己資本利益率(ROE)1.3%
営業活動によるCF2505億円
投資活動によるCF▲8414億円
財務活動によるCF▲6062億円
研究開発費※13493.05億円
設備投資額※1250.9億円
販売費および一般管理費※129823.83億円
株主資本比率※218.2%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社の本有価証券報告書の提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下の通りです。また、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針当社は、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするテクノロジーやサービスを提供する企業グループとなることを目指すとともに、企業価値の最大化を図っています。 (2)重視する経営指標当社は、戦略的投資持株会社であるソフトバンクグループ㈱が、子会社・関連会社および投資先を投資ポートフォリオとして統括するマネジメント体制の下、保有株式価値の増大を通じてNAV(Net Asset Value:保有株式価値-調整後純有利子負債で算出(注1))を中長期的に最大化することを目指しています。また、これを支えるための財務方針として、財務の安定性を確保するという観点から、ソフトバンクグループ㈱のLTV(Loan to Value:調整後純有利子負債÷保有株式価値で算出(注1)。保有資産に対する負債の割合)を金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、今後2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保しています。 (注1)保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除く。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、上場子会社であるソフトバンク㈱(LINEヤフー㈱およびPayPay㈱をはじめとする子会社を含む)およびアーム、ならびにSVF1、SVF2、LatAmファンドなど独立採算で運営される事業体に帰属する有利子負債および現預金等(債券投資を含む)を除く。なお、SB Northstarの有利子負債(ただし、特定の有利子負債を除く)および現預金等(債券投資を含む)は調整後純有利子負債の算出に含む。 (3)中長期的な会社の経営戦略当社は、情報技術の発展によって社会やライフスタイルが変革する「情報革命」を主要な成長機会として確実に捉え、長きにわたり人々の幸せに貢献していきたいと考えています。そのためには、社会ニーズの変化をいち早く捉え、今後の牽引役となるテクノロジーやビジネスモデルに合わせてグループの構成を最適化しながら自己変革を繰り返していくことが不可欠です。現在、人工知能(AI)がさまざまなビジネスモデルに組み込まれることにより、価値創造の在り方が塗り替えられ、多くの産業が再定義されようとしています。こうした中、当社は、AIの進化と普及がもたらす市場拡大や新産業創出といった大きな機会を確実に捉えるため、ソフトバンクグループ㈱による戦略投資のほか、SVFを通じた投資を行っています。さらに「群戦略」という独自の組織戦略の下、各投資先が刺激を与え合いながらそれぞれの事業の拡大やビジネスモデルの進化を可能にすることで、各投資先の企業価値、ひいては当社の保有株式価値の向上を図っています。 「群戦略」とは「群戦略」は、特定の分野において優れたテクノロジーやビジネスモデルを持つ多様な企業群が、それぞれ自律的に意思決定を行いつつも、資本関係と同志的結合を通じてシナジーを創出しながら共に進化・成長を続けていくことを志向するものです。ソフトバンクグループ㈱は、戦略的投資持株会社として、群を構成する各企業の意思決定に影響を与えつつも、自律性を重んじ、出資比率は過半にこだわらず、ブランドの統一を志向しません。こうした多種多様な企業でグループを構成することにより、柔軟に業容を変化・拡大させ、長期にわたり成長を続けることを目指しています。 (4)経営環境および優先的に対処すべき課題世界の株式市場は米国・欧州中央銀行による金融引き締めや地政学リスクの高まりの影響で前期に下落したものの、多くの市場が当期は上昇基調で推移しました。当期において、上期は、米国景気の先行きを巡って見方が分かれる中でも、生成AIへの期待の高まりを背景に米国半導体企業および大型テクノロジー企業の株価が上昇しました。その後、利上げ打ち止めとその後の利下げ期待、米国景気が軟着陸するとの見方が広がったことで、2023年10月後半には米国長期金利が低下に転じ、下期は米国株式市場全般が上昇基調で推移しました。米国以外では、香港や上海に上場する中国企業の株価は厳しい状況が続いたものの、株高の流れが日本やインドをはじめ世界的に広がりを見せました。ベンチャー・キャピタル市場においては、2023年の米国の投資総額は依然として2021年の水準を大幅に下回ったものの(注2)、生成AIを手掛ける有力企業に対して活発に投資が行われました。新規株式公開(IPO)市場においては、2023年の米国のIPO件数は引き続き前年を下回ったものの(注2)、2023年末から本格的な再開の機運が高まっていると考えられます。かかる経営環境において、当社は中長期的にNAVを最大化させるために以下1~3に注力しています。また、当社保有株式価値に占める割合が大きく、最重要資産と位置付けられるアーム、SVFおよびソフトバンク㈱はそれぞれの株式価値の拡大を図るため以下4~6に挙げた取り組みを行っています。 (注2)CBインサイツ『State of Venture 2023 Report』による。 1 既存投資先の価値拡大と新規投資の実行2023年9月にIPOを果たしたアームの株価が当期末までに大幅に上昇したことにより、当社の保有株式価値およびNAVは前期末から大幅に増加しました。アームを中核とした現在のポートフォリオは、主にAIの進化を支えるハードウエアレイヤーからAIを活用したアプリケーションレイヤーまで幅広い投資先で構成されており、AIによって生まれつつある新潮流を捉えるための基盤が整っています。その上で将来の成長をより着実なものにするため、当社は既存投資先のさらなる価値拡大に取り組むとともに、成長性の高いAI関連企業への新規投資を進めています。既存投資先のうちアームおよびソフトバンク㈱については、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下でそれぞれが後述の成長戦略を着実に遂行することで、当社保有株式価値の拡大につながると期待しています。SVFについては、今後、IPO市場の本格的な再開に伴い投資先の株式公開とその後のエグジットが順次進んでいくと期待しています。また、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却の機会も引き続き探っていきます。新規投資については、エグジットによる回収資金も活用しつつ、AIという投資テーマに基づき投資案件を厳選し、経営に深く関わることで付加価値を提供できるような戦略投資についてはソフトバンクグループ㈱または100%子会社から行い、それ以外はSVFを通じた投資を行うことを想定しています。 2 財務方針の堅持当社は、「(2)重視する経営指標」の通り、ソフトバンクグループ㈱のLTVを金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保することを財務方針として掲げています。前期は新規投資を大幅に抑制するとともに資産の資金化や負債の返済を進める「守り」を徹底し、財務基盤を大幅に強化しました。当期は投資を徐々に再開しましたが、LTVは依然として25%を大幅に下回る水準で推移しました。2年分の社債償還資金を大きく上回る潤沢な手元流動性とあわせて、当社の財務は極めて安全な状態にあると考えており、今後の成長投資に向けて十分な調達余力を有していると認識しています。来期以降、NAVのさらなる拡大に向けて継続的に新規投資を実行する中で、LTVは市場環境に合わせた適切な水準に回帰していくことが見込まれますが、当社は、新規投資や保有株式価値の状況に応じて適切に純有利子負債をコントロールするとともに、資産の資金化や子会社を含む投資先からの配当収入および分配金なども得ることで、財務方針を遵守していきます。 3 サステナビリティの推進当社は、社会の持続的な発展と当社の中長期的な成長の両立を実現するために、企業活動においてサステナビリティを推進することが重要だと考えています。こうした考えの下、サステナビリティに関するリスクおよび機会を認識した上で、それぞれのリスクの軽減と機会の追求に取り組んでいます。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 4 アーム:AI革命を捉えた成長戦略の遂行アームは、半導体技術が世界で最も重要な資源の一つとなった現在、半導体技術開発のグローバル・リーダーとしてこれからのコンピューティングの在り方を左右する存在になりつつあると当社では認識しています。アームのプロセッサー・テクノロジーは、高機能プロセッサーとしては世界で最も広くライセンス供与・採用されており、スマートフォンではほぼ全て、タブレットとデジタルテレビのほとんどで使用されているほか、組込プロセッサー用チップでも高い割合で搭載されています。世界中の2,800億台以上のデジタル機器に採用されているアームのアーキテクチャーは、高性能と高エネルギー効率を両立しており、クラウドからエッジ、エンドポイントに至るまで、現在そして未来のAIワークロードを実行するために一貫性がありセキュアな基盤を提供しています。当社は、アームはAIが築く未来の根幹を支えていくと考えています。現在、生成AIや大規模言語モデルをはじめとするAI技術の進展・普及が、アームの技術に対する需要を加速度的に後押ししています。多くのAIアルゴリズムは非常に計算量が多く、質問に対する答えを迅速に提供するために高性能な中央演算処理装置(CPU)を必要とします。現在AI処理の多くはクラウド上で行われていますが、スマートフォンや自動車等の端末側でリアルタイムにデータを処理するエッジAI(注3)へのシフトが着実に進んでいます。アームが提供する高性能かつエネルギー効率に優れたCPUは、エッジAIにおける推論を実行するために最適なソリューションであり、エッジ・コンピューティング(注3)の進化とともに、AI時代におけるアームの存在感は高まっていると認識しています。アームは持続的な成長のため、以下に挙げた市場シェアの維持・拡大、ロイヤルティー単価の増加、およびエコシステムの強化に継続的に取り組んでいます。 (注3)スマートフォンや防犯カメラ等の利用者側の端末(エンドポイント)やその近くに設置するサーバーなどのネットワーク周縁(エッジ)部分でデータを処理するコンピューティング手法をエッジ・コンピューティングといい、データをクラウドに集約しクラウド上の高性能サーバーで処理を行うクラウド・コンピューティングに対し、不要な通信を避けることで通信遅延やネットワーク負荷の低減などを実現する。この仕組みをAI処理に応用・発展させたものをエッジAIという。 a. 市場シェアの維持・拡大アームは、99%以上のシェアを持つモバイル・アプリケーション分野に加えて、自動車やクラウド・サーバー分野を中心に市場シェアを拡大しています。アームの顧客は、未来のAIアルゴリズムを実行するために欠かせない高性能かつ高エネルギー効率のチップを開発するための投資を加速しており、アームのテクノロジーに対する需要が増加しています。アームは、各エンドマーケットに特化した幅広いコンピュート・テクノロジー・ポートフォリオの提供に加えて、顧客がより高いライセンス料を支払うことでより広範なアームのテクノロジーにアクセス可能となるサブスクリプション型のライセンス契約を導入するなど、市場シェアの拡大に向けた柔軟な取り組みを行っています。アームは今後も、技術革新の最前線で、次世代のコンピューティング・デバイスのために必要な半導体IP(回路の設計情報などの知的財産)を提供していくことを企図しています。 b. ロイヤルティー単価の増加AIが急速に進化を遂げる中、高性能かつ高エネルギー効率のチップへの需要が高まり、チップ設計はますます複雑化しています。近年、アームの最新世代テクノロジーである「Armv9」や、アームの複数のIPを組み合わせたコンピュート・サブシステム(CSS)の採用が、ハイエンドのスマートフォン向けチップやサーバー向けチップを中心に進んでいます。CSSはアームのCPUと他のオンチップ・テクノロジーを組み合わせたもので、事前に統合・検証され、主要なファウンドリー(半導体受託生産事業者)の製造プロセスのために最適化されています。CSSの採用により、顧客はより短い期間でより簡単にチップを設計し、市場投入までの時間を短縮することが可能になります。アームは、「Armv9」やCSSといったより高度な技術のチップ当たりのロイヤルティー単価を高く設定しており、ロイヤルティー収入を牽引役とした中長期的な売上高の拡大を実現するため、これらの技術の普及・拡大を推し進めています。 c. エコシステムの強化アームの成長は、アームベースの製品向けにソフトウエアを開発する1,500万人を超えるエンジニアから成るエコシステムにより下支えされています。プログラムやアプリケーションは特定のCPUアーキテクチャー上で最適に動作するように作られるため、より多くのソフトウエアと互換性があることがCPUの成功を左右します。アームは過去30年以上にわたり、ソフトウエアエンジニアがアームベースのチップ向けにプログラムやアプリケーションを効率的に開発するために必要なツールやライブラリーを提供するなど、エコシステムの構築・醸成に注力してきました。今後も、あらゆる場所でAIがアームの基盤上で動作するために必要なエコシステムへの投資を継続していきます。 5 SVF:投資リターンの最大化SVF1、SVF2およびLatAmファンドは、主にAIを活用した成長可能性の大きなテクノロジー企業への投資を目的としたファンドです。各投資ファンドを運営する当社100%子会社(SVF1を運営するSBIAおよびSVF2とLatAmファンドを運営するSBGA、以下総称して「ファンド運営子会社」)は、以下の取り組みを通じてそれぞれの存続期間の中で各投資ファンドのリターンの最大化を目指しています。 a. さまざまな地域やセクター、テクノロジーへの分散投資SVF1、SVF2およびLatAmファンドはいずれも、存続期間が設立から10年超の長期にわたる私募投資ファンドです。AIという投資テーマの下、中長期的な視点からさまざまな地域やセクター、テクノロジーに分散投資を行うことで、株式市場の変動を乗り越えながら、中長期的なリターンの創出に取り組んでいます。 b. 投資先価値向上の追求ファンド運営子会社は、既存投資先の中で株式価値の大きい会社またはその向上の余地の大きい会社を選定し、さまざまな戦略的支援やネットワークを通じて投資先の持続的な成長を促すことにより、SVFの保有株式価値の最大化を追求しています。具体的には、当社およびその投資先、取引先までを含めたエコシステムを通じてパートナーシップや協力関係を築くことにより、収益性と成長性を高める機会を捉え、実行することを目指しています。また、投資先の経営陣が成長を模索する中、クロスボーダーでの事業拡大や収益性改善のための助言を提供するとともにガバナンス体制のモニタリングを行い、投資先の健全な成長を支援しています。 c. 最適な出口戦略による投資回収ファンドのリターン、ひいてはソフトバンクグループ㈱を含むリミテッド・パートナーへの分配を最大化するために、ファンド運営子会社は規律あるアプローチの下で適時・適切な保有資産のエグジットを実施する方針です。エグジットは、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却、または投資先の上場を通じて行われます。投資先の上場後は、投資時の計画に対するパフォーマンスや市場環境、株価の動向を慎重に評価しつつ、計画的に売却する仕組みを設定しています。また、株式を担保とした資金調達を行いリミテッド・パートナーへの分配を行う一方、リターンを最大化するために実際の売却は最適と考えるタイミングで行うこともあります。当期においては、SVFの投資先5社が上場を果たし、活動開始以来累計の上場社数は50社となりました。SVFは長期投資ファンドであり、ファンド運営子会社は最適なエグジットの手段・時期を見極め、短期的な市場の変動による影響を抑えながら、中長期的な視点でリターンの最大化を目指しています。 d. 適切な運用体制の構築投資の成功の再現性を高め、持続的にリターンを生み出すためには、それを可能にする組織体制を構築すること、特に優秀な人材の確保および維持が不可欠です。ファンド運営子会社では、投資銀行やベンチャー・キャピタルなどで豊富な経験を積んだシニア・リーダーたちが運営に当たっています。これまでに、グローバル展開およびポートフォリオ管理のためのニーズと規模を満たす投資・運用・資金調達・管理の各機能およびマネジメント陣を備えた組織を築き、継続的にその改善を行っています。こうした専門家集団によるチームアプローチを取ることにより、組織的に知見の蓄積・共有を図り各投資ファンドの持続的な成長を目指しています。 6 ソフトバンク㈱:「Beyond Carrier」戦略の遂行コロナ禍をきっかけとした人々の生活様式の変化や深刻化する人手不足に対応するため、テレワークやオンラインショッピング、非接触型決済の利用拡大など、企業や行政のデジタル化は必要不可欠となりました。デジタル化は、生産性向上やイノベーションの創発を促すことで今後の日本の社会を変革していく原動力となっています。加えて、文章・画像・プログラムコードなどさまざまなコンテンツを生成することができる生成AIにより、この変革のスピードは加速すると考えています。こうした中、当社で国内事業を担うソフトバンク㈱は、成長戦略「Beyond Carrier」の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的に事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指しています。具体的には、①通信事業のさらなる成長、②エンタープライズ事業におけるDX/ソリューションビジネスの拡大、③メディア・EC事業の成長、④ファイナンス事業の成長、および⑤新規事業の創出・拡大に加え、⑥コスト効率化に取り組んでいます。財務戦略としては、ソフトバンク㈱は、調整後フリー・キャッシュ・フロー(注4)を重要な経営指標と考えており、高い株主還元を維持しながら、成長への投資を実施していくため、今後も同フリー・キャッシュ・フローの安定的な創出を目指しています。また、健全な財務体質を維持しつつ、適切な財務レバレッジを伴った資本効率の高い経営を行っていきます。なお、メディア・EC事業の中心的な企業であるLINEヤフー㈱は、2023年11月に公表した不正アクセスによる情報漏洩に関して、2024年3月および4月に総務省から行政指導を、同年3月に個人情報保護委員会から勧告および指導を受けました。同社では、今回の行政指導および勧告・指導を真摯に受け止め、安全管理措置および委託先管理の抜本的な見直しや対策の強化、セキュリティガバナンスの本質的な見直しや強化を進めるとともに、再発防止策を順次実施していきます。ソフトバンク㈱は、同社の親会社として、実効的なセキュリティガバナンス確保の方策を検討していきます。 (注4)調整後フリー・キャッシュ・フロー=フリー・キャッシュ・フロー+(割賦債権の流動化による調達額―同返済額)
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。 なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものです。 (1)財政状態及び経営成績の状況1.アームがNasdaq Global Select Marketへ上場-2023年9月14日、アームが新規株式公開でNasdaq Global Select Marketへ上場。本新規株式公開において、当社100%子会社がアームの普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)102,500,000ADS(発行済株式総数の10%(注1))を売り出し、手取金51.2億米ドルを受領-本売出し後もアームは引き続き当社の子会社であるため、売却益は連結損益計算書に計上せず、連結財政状態計算書の資本剰余金に売却益相当額6,744億円(46.5億米ドル)を計上 2.条件付対価の条件充足に伴い、Tモバイル株式48.8百万株を無償で取得2020年4月1日に完了したT-Mobile USと当社米国子会社であったスプリントの合併取引の対価の一部として当社が受領した条件付対価の条件が2023年12月22日に充足されたことにより、2023年12月28日にTモバイル株式48.8百万株(77.4億米ドル(1.1兆円)相当)を無償で取得 3.業績ハイライト◆ 投資損失5,594億円(前期の投資損失:8,351億円)-持株会社投資事業からの投資損失4,590億円・Tモバイル株式関連で3,711億円の投資利益を計上したものの、アリババ株式に係る実現および未実現評価損失9,599億円を補えず(アリババ株式に係る実現および未実現評価損失9,599億円は、同株式を利用した先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益1兆5,174億円(別科目「デリバティブ関連利益(投資損益を除く)」に計上)で相殺)-SVF事業からの投資損失1,673億円(当社子会社への投資に係る投資利益を含まない)(セグメント情報におけるSVF事業からの投資利益7,243億円は、SVFによる当社子会社(主にアーム)への投資に係る投資利益を含む)・ByteDance、Coupang、DoorDashを含む一部の投資先の公正価値は増加したものの、WeWork株式および債券をはじめとする他の投資の公正価値の減少を補えず、未実現評価損失を計上・活動開始来累計損益はSVF1で167億米ドルのプラス、SVF2で193億米ドルのマイナス(注2)※アームやソフトバンク㈱などの子会社は連結されるため、株式の公正価値の変動は連結損益計算書に計上せず◆ 税引前利益578億円(前期比5,269億円改善)-財務費用5,560億円-為替差損7,031億円:主にソフトバンクグループ㈱において米ドル建負債が米ドル建現預金・貸付金を上回っている中、円安となった影響により損失を計上-デリバティブ関連利益(投資損益を除く)1兆5,023億円:アリババ株式の株価下落に伴い、同株式の先渡売買契約に係るデリバティブ関連利益を計上。上記の通り、アリババ株式に係る実現および未実現評価損失を相殺◆ 親会社の所有者に帰属する純損失2,276億円(前期比7,425億円改善)-法人所得税1,514億円のマイナス(利益)-非支配持分に帰属する純利益4,369億円 4.資産の資金化と新規投資を継続◆ 資産の資金化-アリババ株式を利用した先渡売買契約により43.9億米ドルを調達-アームの新規株式公開に際して同社発行済株式総数10%相当の持分を売り出し、手取金51.2億米ドルを受領-SVFによる投資の売却で合計63.3億米ドルを受領(当社子会社へのアーム株式などの売却の対価を連結消去後)(注3)◆ 新規投資-SVFによる投資の取得で合計15.0億米ドルを支出(当社子会社への投資額を連結消去後)(注3)-ソフトバンクグループ㈱および100%子会社で戦略投資を中心に合計3,488億円を投資(注4) 5.社債のリファイナンスを実行◆ 米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債のリファイナンスを完了2023年4月に国内ハイブリッド社債2,220億円を発行し、同年5月のハイブリッドローン531億円(注5)の借入実行とあわせて、2023年7月に初回任意償還日を迎えた米ドル建ノンコール6年永久ハイブリッド社債(20億米ドル)のリファイナンスを完了。また、2023年9月に、同月に初回任意償還日を迎えた国内ハイブリッド社債(154億円)のリファイナンスを完了◆ 国内普通社債のリファイナンスを実行2024年3月に満期を迎えた国内普通社債3,999億円を償還し、同年3月に個人投資家向け国内普通社債5,500億円を発行。当期末以降、2024年4月に機関投資家向け国内普通社債1,000億円、同年6月に個人投資家向け国内普通社債5,500億円をそれぞれ発行し、同年6月に満期を迎えた国内普通社債4,500億円を償還(注1)2023年9月末の同社発行済株式総数(自己株式を除く)1,025,234,000株に基づき算出しています。(注2)外部投資家持分および税金等の控除前のグロスの金額です。(注3)連結キャッシュ・フロー計算書で計上された金額です。(注4)連結キャッシュ・フロー計算書の「投資の取得による支出」に含まれるソフトバンクグループ㈱および主要な100%子会社による支出額(米国債への投資を除く)に、Berkshire Grey, Inc.(2023年7月)およびBalyo SA(2023年10月)の子会社化に伴う外部株主への支出額と両社が保有していた現金及び現金同等物との差額を加えた金額です。(注5)本ハイブリッドローンは、㈱日本格付研究所およびS&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱より資本性の認定(借入実行額の50%)を受けています。 <アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>1. アーム株式のグループ内取引①取引概要アームの新規株式公開(以下「本新規株式公開」)に先立つ2023年8月、当社100%子会社はSVF1が保有していたアームの普通株式(発行済株式総数の24.99%相当)の実質的に全て(注6)を161億米ドル(以下「本取引対価」)で取得(以下「本取引」)しました。本取引対価は、当事者間の従前の契約上の条件を参照して決定されたものです。本取引対価は4分割で支払うこととなっており、2023年8月の取引完了時に第1回目の41億米ドルを支払い済みで、2025年8月までの2年間にわたって残りの3回分を支払う予定です。SVF1においては、第1回目の手取金41億米ドル全額を借入金の返済に充当しました。第2回目以降の手取金については、リミテッド・パートナーシップ・アグリーメントに定められた配分方法に基づき、当社を含むリミテッド・パートナーへの支払いなどに充当されます。 本取引対価の分割払いの支払タイミングおよび支払額の内訳 第1回目第2回目第3回目第4回目支払タイミング2023年8月2024年8月2025年2月2025年8月支払額41億米ドル41億米ドル41億米ドル38億米ドル なお、本取引に併せて、過去にアームからスピンアウトしたArm Technology (China) Co., Ltd.(以下「Arm China」)とTreasure Data, Inc.(以下「Treasure Data」)の持分の取得も合意しており、この両社の持分を含めたグループ内取引の対価は総額164億米ドルです。(注6)本新規株式公開に先立つアームの組織再編完了後、SVF1はArm Limitedの完全親会社であるArm Holdings plcの普通株式1株を引き続き保有しています。 ②連結財務諸表への主な影響本取引対価の2023年8月時点の割引現在価値は151億米ドルです。SVF1では、この151億米ドルから投資額82億米ドルを差し引いた69億米ドルが2023年8月時点の投資利益となります。161億米ドルと151億米ドルの差額については、2025年8月までの2年間にわたって投資利益として計上します。セグメント情報のソフトバンク・ビジョン・ファンド事業では、当期において「SVF事業からの投資利益」に、実現利益1,074,039百万円(74億米ドル)、未実現損失(過年度計上額のうち実現損益への振替額)189,817百万円(18億米ドル)および為替換算影響額として76,902百万円の損失を計上しました。ただし、本取引はグループ内で行われた当社子会社株式の譲渡のため、これらの投資利益は連結上消去します。なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業のセグメント利益は、投資利益のうち外部投資家に帰属する利益が控除されています。外部投資家に帰属する利益は、外部投資家持分の増加額として連結損益計算書にも計上されています。 セグメント情報と連結損益計算書の差異                            (単位:百万円) (セグメント情報)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業調整額連結損益計算書SVF事業からの投資損益724,341△891,631△167,290 子会社等に係る投資損益891,631△891,631- うち、アーム株式に係る投資損益807,320△807,320- 子会社等以外に係る投資損益△167,290-△167,290SVFにおける外部投資家持分の増減△390,137-△390,137 2. アームの新規株式公開①取引概要2023年9月14日、アームは本新規株式公開においてティッカーシンボル「ARM」でNasdaq Global Select Marketへの上場を果たしました。本新規株式公開においては、当社100%子会社がアームの普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)102,500,000ADS(発行済株式総数の10%)を1ADS当たり51.00米ドルの公開価格で売り出しました(以下「本売出し」)。 ②連結財務諸表への主な影響本売出し後もアームは引き続き当社の子会社であるため、本売出しによる売却益は連結損益計算書に計上せず、連結財政状態計算書の資本剰余金に売却益相当額674,370百万円(46.5億米ドル)を計上しました。また、連結キャッシュ・フロー計算書において、財務活動によるキャッシュ・フローの「非支配持分への子会社持分の一部売却による収入」に手取金745,082百万円(51.2億米ドル)を計上しました。なお、アームは引き続き当社の子会社であり、連結されるため、株式の公正価値の変動は連結損益計算書に計上されません。 <条件付対価の条件充足に伴う、Tモバイル株式48.8百万株の無償での取得>①取引概要当社は、T-Mobile US, Inc.、当社およびDeutsche Telekom AG(以下「ドイツテレコム」)の間で締結された2020年2月20日付のレターアグリーメントに基づき、2020年4月1日に完了したT-Mobile US, Inc.と当社米国子会社であったスプリントの合併取引(以下「本合併取引」)の対価の一部として、一定の条件を満たした際にTモバイル株式48,751,557株(以下「本株式」)を無償で取得できる権利を受領していました(以下「条件付対価」)。2023年12月22日に当該条件が充足されたことに伴い、2023年12月28日に本株式(7,744百万米ドル(1,098,435百万円)相当)を無償で取得しました。 ②連結財務諸表への主な影響2020年4月1日の本合併取引完了時、当社は条件付対価の公正価値1,825百万米ドル(196,313百万円)をスプリント売却益の一部として連結損益計算書に計上するとともに、「デリバティブ金融資産」として連結財政状態計算書に計上しました。その後、公正価値の変動を連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益(投資に係るデリバティブ関連損益)」に計上してきました。本株式の取得日である2023年12月28日に当該デリバティブ金融資産(同日の公正価値:7,744百万米ドル(1,098,435百万円))の認識を中止するとともに、本株式を「投資有価証券」として同額で連結財政状態計算書に計上しました。当期においては、連結損益計算書の「持株会社投資事業からの投資損益(投資に係るデリバティブ関連損益)」に227,012百万円の利益を計上しました。このほか、従来から保有するTモバイル株式と合わせて「持株会社投資事業からの投資損益(投資の未実現評価損益)」に154,538百万円の利益を計上しました。このうち2023年12月28日に受領した本株式に係る投資の未実現評価利益は31,440百万円です。 <WeWorkによる米国連邦破産法11条に基づく手続きの申請>2023年11月6日、SVFの投資先であるWeWork Inc.(以下「WeWork」)が米国連邦破産法11条に基づく手続きを申請しました。同社に対する投資および財務サポートに関連して当期において連結損益計算書に計上した損益は以下の通りです(当第3四半期累計期間における計上額と同一)。当第3四半期末時点で、SVF1および2が保有する同社株式およびワラント、ならびにSVF2が保有する同社債券の帳簿価額は0円まで引き下げています。また、金融機関から同社への支払保証枠に対するSVF2によるクレジットサポートについては、当第2四半期末までに支払保証枠の未履行分も含めた全額を金融保証契約損失評価引当金として計上し、当第3四半期に保証を履行しました。なお、2024年6月11日に、WeWorkは米国連邦破産法11条に基づく手続きを完了したと発表しました。 (単位:百万円) 連結損益計算書計上科目当期計上額SVF1および2が保有するWeWork株式およびワラントSVF事業からの投資損益△115,796持分法による投資損益/その他の損益△5,082SVF2が保有する額面4.6億米ドルの転換社債SVF事業からの投資損益△25,924当社およびSVF2が保有していた額面16.5億米ドルのWeWork無担保債券(当第1四半期に株式および転換社債に交換)その他の損益(WeWork無担保債券の認識中止損失)△21,579SVF2が保有していた額面3.0億米ドルのWeWork担保付シニア債券(当第1四半期に償還)SVF事業からの投資損益439その他の損益16SVF2が保有する額面3億米ドルのWeWork債券(当第1四半期末時点では同債券の買い受けに係る貸出コミットメント、当第2四半期に同債券を買い受け)SVF事業からの投資損益△41,810金融機関からWeWorkへの最大14.3億米ドルの支払保証枠に対するSVF2によるクレジットサポート(当第3四半期に保証を履行済み)その他の損益(WeWorkクレジットサポート関連損失)△42,072 合計△251,808 為替換算レート2023年3月期2024年3月期1米ドル第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期期中平均レート129.04円138.68円141.16円133.26円138.11円145.44円147.00円147.87円期末日レート 133.53円 151.41円 a.連結経営成績の状況 (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率 売上高6,570,4396,756,500186,0612.8%A売上総利益3,328,0423,542,392214,3506.4% 投資損益 持株会社投資事業からの投資損益4,560,500△459,045△5,019,545-BSVF事業からの投資損益△5,322,265△167,2905,154,975-Cその他の投資損益△73,29466,985140,279-D投資損益合計△835,059△559,350275,709- 販売費及び一般管理費△2,695,328△2,982,383△287,05510.7% 財務費用△555,902△556,004△1020.0%E為替差損益△772,270△703,12269,148-F持分法による投資損益△96,677△38,64158,036-Gデリバティブ関連損益(投資損益を除く)54,2561,502,3261,448,070-HSVFにおける外部投資家持分の増減額1,127,949△390,137△1,518,086-Iその他の損益△24,138242,720266,858-J税引前利益△469,12757,801526,928- 法人所得税△320,674151,416472,090-K純利益△789,801209,217999,018- 非支配持分に帰属する利益△180,343△436,863△256,520- 親会社の所有者に帰属する純利益△970,144△227,646742,498- 包括利益合計468,1402,241,4411,773,301378.8% 親会社の所有者に帰属する包括利益293,1161,809,9841,516,868517.5% 以下、連結損益計算書の主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。 A 売上高ソフトバンク事業およびアーム事業はいずれも増収となりました。詳細は「b. セグメントの業績概況」の「(c)ソフトバンク事業」および「(d)アーム事業」をご参照ください。 B 持株会社投資事業からの投資損益持株会社投資事業からの投資損失は459,045百万円となりました。これは主に、Tモバイル株式48.8百万株を受領するまでの条件付対価の公正価値の上昇に伴うデリバティブ関連利益や同株式の未実現評価益などTモバイル株式関連で371,108百万円の投資利益を計上したものの、アリババ株式に係る実現および未実現評価損失959,935百万円が大きく上回ったことによるものです。詳細は「b. セグメントの業績概況(a)持株会社投資事業」をご参照ください。 C SVF事業からの投資損益SVF事業からの投資損失は167,290百万円となりました。その内訳は、SVF1で37,903百万円の損失、SVF2で231,329百万円の損失、LatAmファンドで73,862百万円の利益、その他で28,080百万円の利益です。SVF1においては、投資先7銘柄の全株式および複数の投資先の一部株式の売却1により投資の実現益19,892百万円(純額)を計上しました。また、当期末に保有する投資の未実現評価損失77,693百万円(純額)を計上しました。当期末に保有する投資のうち、公開投資先については株価上昇に伴い合計42,648百万円の未実現評価益(純額)を計上した一方、未公開投資先についてはBytedance Ltd.を含む一部の投資先の公正価値が増加したものの、主に業績の低迷を反映して他の投資先の公正価値が減少したことに伴い合計120,341百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。SVF2においては、投資先7銘柄の全株式および複数の投資先の一部株式などの売却1により投資の実現損失107,912百万円(純額)を計上しました。また、当期末に保有する投資について、2023年11月に米国連邦破産法11条に基づく手続きを申請したWeWork株式および債券の公正価値を0円まで引き下げたことに加え、主に業績の低迷を反映して未公開投資先の公正価値が減少した結果、合計261,865百万円の未実現評価損失(純額)を計上しました。LatAmファンドにおいては、主に公開投資先の株価上昇により、合計67,227百万円の未実現評価益(純額)を計上しました。なお、連結損益計算書の「SVF事業からの投資損益」には、SVFからアームやPayPay㈱などの当社子会社への投資に係る投資損益は含まれません。詳細は「b. セグメントの業績概況(b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」をご参照ください。 D その他の投資損益その他の投資利益は66,985百万円となりました。当社100%子会社が2023年7月に取得したSymbotic Inc.(以下「Symbotic」)株式の株価上昇に伴う評価益などです。 主にB~Dの結果、投資損益合計は559,350百万円の損失となりました。 E 財務費用ソフトバンクグループ㈱2の支払利息が前期比6,781百万円増の403,021百万円となりました。これは主に、前期第2四半期にアリババ株式を活用したマージンローンの全額返済、前期第3四半期に外貨建普通社債の買入れ、当第1四半期に外貨建普通社債の満期償還をそれぞれ行ったことにより、これらに係る支払利息が減少した一方、ベース金利の上昇および為替換算レートの円安進行の影響でアーム株式を活用したファイナンスに係る支払利息が増加したことによるものです。 F 為替差損益主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建負債(子会社からの借入や外貨建普通社債など)および米ドル建現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損703,122百万円(純額)を計上しました。なお、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなど機能通貨が外貨(主に米ドル)の在外子会社・関連会社の純資産については、為替換算レートが円安となったことにより円換算後の価値が増加しましたが、そのプラス影響は為替差損益には含まれず、連結財政状態計算書の資本の部の「その他の包括利益累計額」に在外営業活動体の為替換算差額の増加額2,009,461百万円として計上されています。 G 持分法による投資損益前期にはアリババに係る持分法投資損失25,394百万円3が計上されていましたが、同社は前期第2四半期に当社関連会社から除外されています。 H デリバティブ関連損益(投資損益を除く)アリババ株式を利用した先渡売買契約等に係るデリバティブ関連利益1,517,350百万円を計上しました。なお、デリバティブ関連損益のうち、株式の取得や売却などの投資活動に係るデリバティブから生じる損益は「投資損益」に含まれています。例えば、Tモバイル株式48.8百万株を受領するまでの条件付対価の公正価値変動に伴うデリバティブ関連損益がこれに該当します。一方で、投資活動以外のもの、特に資金調達に伴うデリバティブから生じる損益は「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」に含まれています。例えば、アリババ株式やTモバイル株式を活用した先渡売買契約に係るデリバティブ関連損益がこれに該当します。 I SVFにおける外部投資家持分の増減額「SVFにおける外部投資家持分の増減額」は、SVFの投資損益から当社100%子会社である運営会社が受領する管理報酬や成功報酬、SVFの営業費用およびその他の費用を控除した金額をもとに算出された、外部投資家に帰属する損益です。連結損益計算書においては、通常、SVFにおいて投資利益を計上した場合には外部投資家に帰属する利益が外部投資家持分の増加額として費用方向(マイナス)に、投資損失を計上した場合には外部投資家に帰属する損失が外部投資家持分の減少額として利益方向(プラス)に寄与します。しかし、当期においては、連結損益計算書の「SVF事業からの投資損益」が167,290百万円の損失となったにもかかわらず、「SVFにおける外部投資家持分の増減額」が390,137百万円のマイナスになりました。これは主に、2023年8月にSVF1が保有していたアーム株式を当社100%子会社に売却した結果、SVFにおいて807,320百万円の投資利益を計上したことによるものです。本取引は当社子会社株式のグループ内譲渡のため、当該投資利益は連結消去されます。一方で、当該投資利益のうち外部投資家に帰属する利益は、外部投資家持分の増加額として連結損益計算書に計上されています。詳細は、「(1)財政状態及び経営成績の状況<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開> 1. アーム株式のグループ内取引」をご参照ください。 J その他の損益当社100%子会社であったSBエナジー㈱株式の85%を売却した結果、同社に対する支配を喪失したことに伴い、子会社の支配喪失利益108,832百万円を計上しました。また、主に米ドル建預金の金利上昇に伴いソフトバンクグループ㈱の受取利息が前期比62,171百万円増の130,854百万円となりました。その他の内訳は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記41.その他の損益」をご参照ください。 主にA~Jの結果、税引前利益は前期比526,928百万円改善の57,801百万円の利益となりました。 K 法人所得税法人所得税は、151,416百万円のマイナス(利益)となりました。これは主に、ソフトバンク㈱などの事業会社で当期税金費用429,070百万円を計上した一方で、繰延税金費用を利益方向に580,486百万円計上したことによるものです。繰延税金費用を利益方向に計上したのは、主に、資金調達を目的とした当社100%子会社であるSkybridge LLCにおいて2021年10月以降段階的に実施してきたアリババ株式を利用した先渡売買契約の現物決済が2024年1月に全て完了したことに伴い、当該アリババ株式および関連するデリバティブに係る将来の課税見込みに基づき前期末に計上していた繰延税金負債を取り崩したことによるものです。 主にA~Kの結果、親会社の所有者に帰属する純利益は前期比742,498百万円改善の227,646百万円の損失となりました。 b.セグメントの業績概況 当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎としています。当期末現在、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」の4つを報告セグメントとしています。  報告セグメントの概要は以下の通りです。セグメント名称主な事業の内容主な会社報告セグメント 持株会社投資事業・ソフトバンクグループ㈱およびその子会社による投資事業 ソフトバンクグループ㈱SoftBank Group Capital Limitedソフトバンクグループジャパン㈱ソフトバンクグループオーバーシーズ合同会社SB Northstar LP ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業・SVF1、SVF2およびLatAmファンドによる投資事業SB Investment Advisers (UK) LimitedSoftBank Vision Fund L.P.SB Global Advisers LimitedSoftBank Vision Fund II-2 L.P.SBLA Latin America Fund LLC ソフトバンク事業(注1)・コンシューマ事業:個人顧客を対象とした日本国内でのモバイルサービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドサービスの提供・エンタープライズ事業:法人顧客を対象とした日本国内でのモバイルサービスやソリューションサービスの提供・ディストリビューション事業:法人顧客を対象としたICTサービス商材の提供、個人顧客を対象とした通信端末関連商品・IoT機器の提供・メディア・EC事業:メディア・広告やコマースサービスの提供・ファイナンス事業:決済、金融サービスの提供 ソフトバンク㈱LINEヤフー㈱PayPay㈱ アーム事業・マイクロプロセッサーのIPおよび関連テクノロジーのデザイン・ソフトウエアツールの販売および関連サービスの提供 Arm Holdings plcその他・オルタナティブ投資の資産運用事業・福岡ソフトバンクホークス関連事業Fortress Investment Group LLC(注2)福岡ソフトバンクホークス㈱(注1)当第1四半期よりソフトバンク事業の管理区分の名称を一部見直し、「コンシューマ」、「法人」、「流通」、「ヤフー・LINE」、「金融」から「コンシューマ」、「エンタープライズ」、「ディストリビューション」、「メディア・EC」、「ファイナンス」へ変更しています。(注2)2024年5月14日、ソフトバンクグループ㈱は、子会社を通じて保有するFortress Investment Group LLCの全持分をMubadala Investment Company PJSCの子会社に売却しました。本取引の完了をもって、同社はソフトバンクグループ㈱の子会社でなくなりました。 (a)持株会社投資事業1.Tモバイル株式関連で3,711億円の投資利益を計上- 2020年4月1日に完了したT-Mobile USとスプリントの合併取引の対価の一部として当社が受領した条件付対価の条件が2023年12月22日に充足されたことにより、2023年12月28日にTモバイル株式48.8百万株(77.4億米ドル(1.1兆円)相当)を無償で取得- 条件付対価の公正価値上昇に伴い、投資に係るデリバティブ関連利益2,270億円を計上。このほか、従来から保有するTモバイル株式と合わせて投資の未実現評価利益1,545億円を計上(うち2023年12月28日に受領した株式に係る利益は314億円)2.主に、Tモバイル株式関連利益をアリババ株式に係る実現および未実現評価損失9,599億円が上回ったことにより、投資損失4,590億円を計上3.上記の投資損失を大きく上回るデリバティブ関連利益(投資損益を除く)1兆5,000億円を計上したものの、財務費用4,738億円や為替差損7,034億円などを計上した結果、975億円のセグメント損失に <事業概要>当事業においては、主にソフトバンクグループ㈱が、戦略的投資持株会社として直接または子会社を通じて投資活動を行っています。当事業は、ソフトバンクグループ㈱、SoftBank Group Capital Limited、ソフトバンクグループジャパン㈱、ソフトバンクグループオーバーシーズ合同会社および資産運用子会社であるSB Northstarのほか、投資または資金調達を行う一部の子会社で構成されています。持株会社投資事業からの投資損益は、ソフトバンクグループ㈱が、直接または子会社を通じて保有する投資からの投資損益により構成されています。ただし、子会社からの受取配当金および子会社株式に係る減損損失などの子会社株式に関連する投資損益を含みません。当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、ドイツテレコムなどであり、そのほとんどがFVTPLの金融資産として認識されるものです。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。 アリババ当社が保有するアリババ株式については、FVTPLの金融資産に分類しており、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上しています。また、アリババ株式を利用した先渡売買契約等について、デリバティブ金融資産・負債を認識しており、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「デリバティブ関連損益(投資損益を除く)」として連結損益計算書に計上しています。 資産運用子会社からの上場株式や社債等への投資SB Northstarはソフトバンクグループ㈱の余剰資金を用いて上場株式や社債等の取得および売却を行っています。当期における資産運用子会社に係る投資損失は696億円(活動開始来の累計投資損失:9,620億円)(注)、当期末における投資残高は3,477億円(うち、社債:2,649億円)です。社債は主に残存年数が短い投資適格債に投資しています。同社における持分は、ソフトバンクグループ㈱が67%、ソフトバンクグループ㈱代表取締役 会長兼社長執行役員の孫 正義が33%をそれぞれ間接的に保有しています。孫 正義の持分は非支配持分として同社の投資損益から差し引かれるため、投資損益の67%が親会社の所有者に帰属する純利益に影響を与えます。ソフトバンクグループ㈱が同社に対しファンド存続期間(12年+延長2年)満了時に債権を保有し、その債権に返済不能分が発生した場合、持分比率に応じて孫 正義は損害額を補償します。(注)累計投資損失は、SB NorthstarからSB Investment Advisers (US) Inc.子会社のSPAC(特別買収目的会社)3社への投資の影響を含まない金額です。 <業績全般> (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率 持株会社投資事業からの投資損益4,560,568△459,045△5,019,613-A アリババ株式先渡売買契約決済益4,838,251-△4,838,251- Tモバイル株式売却関連損益24,842-△24,842- 資産運用子会社からの投資の実現損益△73,950△90,360△16,410- 資産運用子会社からの投資の未実現評価損益△67,05412,69279,746- 資産運用子会社からの投資に係るデリバティブ関 連損益△5,102△7924,310- 投資の実現損益(注1)△235,617△38,429197,188- 投資の未実現評価損益△144,198△611,627△467,429- 当期計上額△132,423△647,414△514,991- 過年度計上額のうち実現損益への振替額(注1)△11,77535,78747,562- 投資に係るデリバティブ関連損益205,506226,05020,54410.0% 為替換算影響額(注2)-6,5326,532- その他17,89036,88918,999106.2% 販売費及び一般管理費△73,796△89,285△15,48921.0% 財務費用△398,541△473,811△75,27018.9%B為替差損益△772,053△703,43868,615-C持分法による投資損益△22,8361,90424,740- デリバティブ関連損益(投資損益を除く)(主にアリババ株式の先渡売買契約の影響)65,7321,500,0151,434,283-Dその他の損益△9,228126,134135,362- セグメント利益(税引前利益)3,349,846△97,526△3,447,372- (注1)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。(注2)投資の未実現評価損益は当該評価損益が生じた四半期の平均為替レートを用いて換算する一方、投資の実現損益は当該株式を処分した四半期の平均為替レートを用いて換算します。「為替換算影響額」は、未実現評価損益と実現損益の換算に使用する為替レートの差により生じた金額です。 A 持株会社投資事業からの投資損失:459,045百万円・投資の未実現評価損失611,627百万円を計上しました。これは主に、Tモバイルの株価上昇に伴い同株式に係る未実現評価利益154,538百万円を計上した一方、アリババの株価下落に伴い同株式に係る未実現評価損失913,156百万円を計上したことによるものです。・投資に係るデリバティブ関連利益226,050百万円を計上しました。これは主に、条件付対価に係るデリバティブ関連利益227,012百万円を計上したことによるものです。 B 財務費用:473,811百万円(前期比75,270百万円増加)ソフトバンクグループ㈱2のグループ外への支払利息は前期比6,781百万円増の403,021百万円とほぼ横ばいに留まったものの、2023年8月に行ったSVF1からのアーム株式の取得の対価のうち未払金に係る償却原価67,390百万円を計上しました。なお、当該償却原価は連結上、消去されています。 C 為替差損:703,438百万円主にソフトバンクグループ㈱と国内の資金調達子会社の米ドル建負債(子会社からの借入や外貨建普通社債など)および米ドル建現預金・貸付金について、前者が後者を上回っていたことから、為替レートが円安となったことにより為替差損703,438百万円(純額)を計上しました。 D デリバティブ関連利益(投資損益を除く):1,500,015百万円アリババ株式を利用した先渡売買契約等に係るデリバティブ関連利益1,517,350百万円を計上しました。 (参考情報)資産運用子会社の当社連結財政状態計算書への影響 (単位:百万円) 2024年3月31日 現金及び現金同等物794,508 資産運用子会社からの投資347,679 うち、社債264,854 資産運用子会社におけるデリバティブ金融資産11 その他の金融資産3,672 その他4,660 資産合計1,150,530 その他の金融負債3,672 その他521 負債合計4,193 Delaware子会社からの出資(注1)1,971,699 ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への現金出資相当額39,786 ソフトバンクグループ㈱からDelaware子会社への貸付相当額(ソフトバンクグループ㈱からの運用委託金)1,912,020 孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額19,893A利益剰余金△994,680B為替換算差額169,318 純資産1,146,337C(注1)当社の子会社であるDelaware Project 1 L.L.C.、Delaware Project 2 L.L.C.およびDelaware Project 3 L.L.C.(以下「Delaware子会社」)から資産運用子会社であるSB Northstarへの出資額 (非支配持分の計算) (単位:百万円)孫 正義からDelaware子会社への現金出資相当額19,893A非支配持分損益(累計)(注2)△331,460 為替換算差額64,557 非支配持分(孫 正義の持分)△247,010D(注2)表中Bの3分の1 (純資産(上記C)に対する持分) (単位:百万円)ソフトバンクグループ㈱の持分1,393,347 非支配持分(孫 正義の持分)△247,010D純資産1,146,337C 当事業における主な有利子負債およびリース負債 借入者種別当期末連結財政状態計算書残高ソフトバンクグループ㈱借入金4,630億円社債6兆1,476億円リース負債94億円コマーシャル・ペーパー1,765億円 資金調達を行う100%子会社(注)アーム株式を利用した借入(マージンローン)1兆2,749億円アリババ株式を利用した株式先渡売買契約(カラー契約およびフォワード契約)4兆6,766億円ソフトバンク㈱株式を利用した借入(マージンローン)4,988億円Tモバイル株式を利用した株式先渡売買契約(カラー契約)4,322億円ドイツテレコム株式を利用したカラー取引4,969億円(注)資金調達を行う100%子会社による借入はソフトバンクグループ㈱に対してノンリコースです。 (b)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業1.活動開始来累計損益はSVF1で167億米ドルのプラス、SVF2で193億米ドルのマイナス(注1)SVF1:投資額896億米ドルに対しリターン(注2)1,063億米ドル、活動開始来累計利益は167億米ドル・当期の投資利益は53億米ドル(7,689億円)。当社100%子会社へのアーム株式の売却による投資利益56億米ドル(8,073億円)を含む・当第4四半期末に保有する投資の合計公正価値が前四半期末比0.4%減少(注3)-公開投資先(注4):前四半期末比0.9%増加。Coupang、DoorDashなどの株価が上昇-未公開投資先(注4):前四半期末比1.2%減少。主に業績の低迷を反映し複数の銘柄の公正価値が減少SVF2:投資額524億米ドルに対しリターン331億米ドル、活動開始来累計損失は193億米ドル・当期の投資損失は10億米ドル(1,465億円)・当第4四半期末に保有する投資の合計公正価値が前四半期末比1.1%減少-公開投資先:前四半期末比10.3%減少。AutoStore、Symboticなどの株価が下落-未公開投資先:前四半期末比0.4%増加。公開類似企業の株価上昇などを反映なお、SVFによる当社子会社(主にアーム)への投資に係る投資損益は当事業における「SVF事業からの投資損益」に含まれるが、連結上消去され、連結損益計算書上の「SVF事業からの投資損益」には含まれない。 (2024年3月31日現在;単位:十億米ドル) 活動開始来累計当期(注5) 投資額(注6)リターン(注6)損益1~3月損益計上額累計損益計上額 SVF1 エグジットした投資38.064.126.10.47.3 エグジット前の投資51.639.9△11.7△0.1△0.6 当期にエグジットした投資の未実現評価損益過去計上額の振替△0.2△1.4 デリバティブ/ 受取利息/配当金△0.02.32.3△0.1△0.0 合計89.6106.316.70.05.3 15億円7,689億円 SVF2 エグジットした投資3.03.40.4△0.2△0.7 エグジット前の投資49.429.9△19.5△0.3△1.2 当期にエグジットした投資の未実現評価損益過去計上額の振替0.20.8 デリバティブ/ 受取利息/配当金△0.0△0.2△0.20.00.1 合計52.433.1△19.3△0.3△1.0 △497億円△1,465億円 2.規律あるアプローチの下で資金化および投資を継続◆当期にSVF2で21.4億米ドルを投資1◆当期にSVF1およびSVF2でアームを含む17銘柄の全株式および複数の銘柄の一部株式などを合計219.9億米ドルで売却1(注1)累計リターンおよび投資損益は外部投資家持分および税金等の控除前のグロスの金額です。以下本項の累計パフォーマンスの表示において同じです。(注2)売却額等+保有投資の公正価値。以下同じです。(注3)当第4四半期中に実行した投資と売却による変動を除いた公正価値(米ドルベース)の増減率です。なお、投資先の公開/未公開の区分は、当第4四半期末時点の状態に基づいており、当第4四半期中に公開/未公開の区分が変更になった投資先については、当第3四半期末の状態を当第4四半期末時点の状態に合わせた上で比較を行っています。以下本項における四半期末に保有する投資の公正価値の増減において同じです。(注4)公開投資先は証券取引所および店頭市場で取引される株式を、未公開投資先は公開投資先に該当しない投資先を指します。以下同じです。(注5)「エグジットした投資」の当期損益計上額は、当該投資のエグジット金額から投資額を差し引いた金額です。過年度または当期第3四半期までに計上した当該投資に係る未実現評価損益については、「当期にエグジットした投資の未実現評価損益過去計上額の振替」に表示しています。そのため、「エグジット前の投資」の当期第3四半期までの決算において開示した各四半期の損益計上額と、上記「当期1~3月」の損益計上額との合計は、上記「当期累計」の損益計上額と一致しない場合があります。(注6)投資額は、デリバティブについてはデリバティブ原価を表します。リターンは、エグジットした投資についてはエグジット金額を、エグジット前の投資については公正価値を、デリバティブについては既決済契約の決済額または未決済契約の公正価値を、受取利息または配当金については各受領額を指します。 <事業概要>当事業の業績には、主にソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)およびソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド(LatAmファンド)における投資および事業活動の結果が含まれています。 当事業における主なファンドの概要2024年3月31日現在 AIを活用した成長可能性の大きな企業へ投資し、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指しています。SVF1の投資期間は終了しましたが、固定分配やファンド運営関連費用への充当を目的に出資コミットメント総額の残額が留保されています。 SVF1SVF2LatAmファンド主なリミテッド・パートナーシップSoftBank Vision Fund L.P.SoftBank Vision Fund II-2 L.P.SBLA Latin America Fund LLC出資コミットメント総額986億米ドル598億米ドル(注2)78億米ドル(注2) 当社:331億米ドル(注1)外部投資家:655億米ドル当社:572億米ドル外部投資家(MgmtCo):26億米ドル(注3)当社:74億米ドル外部投資家(MgmtCo):4億米ドル(注3)運営会社SBIA(当社英国100%子会社)SBGA(当社英国100%子会社)投資期間2019年9月12日に終了運営会社の裁量により決定存続期間2029年11月20日まで(SBIAに最大2回の1年延長オプションあり)2032年10月4日まで(SBGAに最大2回の1年延長オプションあり) (注1)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。(注2)2023年9月27日から、SVF2の出資コミットメント残額は、40億米ドルを上限として運営会社であるSBGAの裁量でLatAmファンドに配分することが可能となりました。係る配分がなされた場合、SVF2の出資コミットメント総額は減少することとなります。(注3)SVF2およびLatAmファンドには当社経営陣による共同出資プログラムが導入されており、経営陣の投資エンティティであるMASA USA LLC(以下「MgmtCo」)が参画しています。当社連結財務諸表上、MgmtCoの出資持分は外部投資家持分として扱われています。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記45.関連当事者(1)関連当事者との取引 a.配当受領権制限付き共同出資プログラム」をご参照ください。 SVFにおける借入SVF1、SVF2およびLatAmファンドは、レバレッジの活用や手元流動性の確保などを目的として、ソフトバンクグループ㈱にはノンリコースの借入を独自に行うことがあります。このような借入には、例えばリターンの向上およびリミテッド・パートナーへの分配を目的とした保有資産を活用するアセットバック・ファイナンスがあります。 投資先の公正価値評価SVF1、SVF2およびLatAmファンドはIFRS第13号「公正価値測定」に従い、SBIA Global Valuation PolicyおよびInternational Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelines(IPEVガイドライン)に基づいて、毎四半期末日における投資先の公正価値を算定しています。公開投資先のうち、証券取引所で取引される株式については相場価格を用いて、店頭市場で取引される株式については相場価格および観察可能なその他のインプットを単一もしくは複数用いて公正価値を算定しています。未公開投資先の公正価値算定については、公開類似企業の情報を用いたマーケット・アプローチ、予想される将来キャッシュ・フローを用いたインカム・アプローチに加えて、直近の資金調達ラウンドや類似取引の価格を用いた取引事例法などの評価手法を単一もしくは複数用いています。 <業績全般> (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率 SVF事業からの投資損益(注1)△5,279,494724,3416,003,835-A SVF1、SVF2およびLatAmファンドからの投資損益△5,298,458696,2615,994,719- 投資の実現損益(注2)78,616984,409905,793- 投資の未実現評価損益△5,267,270△144,8355,122,435- 当期計上額△4,978,591△189,6044,788,987- 過年度計上額のうち実現損益への振替額 (注2)△288,67944,769333,448- 投資先からの利息及び配当金1,51221,66820,156- 投資に係るデリバティブ関連損益14,537△7,337△21,874- 為替換算影響額△125,853△157,644△31,791- その他の投資損益18,96428,0809,11648.1% 販売費及び一般管理費△65,999△84,986△18,98728.8% 財務費用△81,181△74,3226,859△8.4% デリバティブ関連損益(投資損益を除く)907-△907- SVFにおける外部投資家持分の増減額1,127,949△390,137△1,518,086-Bその他の損益△10,473△46,717△36,244- セグメント利益(税引前利益)△4,308,291128,1794,436,470- (注1)SVFによる当社子会社(主にアーム、PayPay㈱)への投資に係る投資損益は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業のセグメント利益において「SVF事業からの投資損益」に含まれますが、連結上消去し、連結損益計算書上の「SVF事業からの投資損益」には含まれません。(注2)当期に実現した投資に係る未実現評価損益の過年度計上額を「投資の実現損益」に振り替えています。 SVF1およびSVF2の投資・売却実績 (単位:十億米ドル) 当期投資実行額 当期売却額4 Q1Q2Q3Q4累計 Q1Q2Q3Q4累計SVF1----- 0.5616.362.042.4121.37SVF21.560.370.090.122.14 0.330.120.120.050.62合計1.560.370.090.122.14 0.8916.482.162.4621.99(注)投資額は、新規および既存投資先への追加投資を含みます。 セグメント利益A SVF事業からの投資利益:724,341百万円 (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減SVF1からの投資損益△2,311,213768,8913,080,104SVF2からの投資損益△2,445,427△146,4722,298,955LatAmファンドからの投資損益△541,81873,862615,680その他の投資損益等18,96428,0609,096SVF事業からの投資損益(A)△5,279,494724,3416,003,835 当社子会社等への投資に係る投資損益(B)42,771891,631848,860連結損益計算書におけるSVF事業からの投資損益(A)-(B)△5,322,265△167,2905,154,975 当期の「当社子会社等への投資に係る投資損益」には、主にアームへの投資に係る投資利益807,320百万円(56億米ドル)が含まれています。2023年8月に、SVF1が保有していたアーム株式を当社100%子会社へ売却したことにより、当事業において、実現利益1,074,039百万円(74億米ドル)、未実現損失(過年度計上額のうち実現損益への振替額)189,817百万円(18億米ドル)および為替換算影響額として76,902百万円の損失を計上しました。当該売却の詳細は「(1)財政状態及び経営成績の状況<アーム株式のグループ内取引およびアームの新規株式公開>」をご参照ください。 B SVFにおける外部投資家持分の増減額:△390,137百万円各ファンドからの投資損益から、①SBIAがSVF1から受領する管理報酬および成功報酬、②SBGAがSVF2から受領する管理報酬および業績連動型管理報酬、③SBGAがLatAmファンドから受領する管理報酬、業績連動型管理報酬および成功報酬、④各ファンドの営業費用およびその他の費用を控除した金額をもとに算出された外部投資家に帰属する損益です。詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記7.ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業 (2)SVFにおける外部投資家持分」をご参照ください。 投資の状況2024年3月31日現在 SVF1(単位:十億米ドル)合計(下記①+②+③+④) 累計投資銘柄数累計投資額累計リターン累計損益(注1) 投資損益当期計上額 1~3月累計 10289.6106.316.7 0.05.3(参考) 累計投資銘柄数累計投資額累計リターン累計損益(注1)株式交換による影響(注2)△4△2.0△2.0-現物配当による影響(注3)△4---上記による影響考慮後9487.6104.316.7①エグジットした投資 銘柄数 投資額 エグジット金額 累計実現損益(注1) 実現損益当期計上額 1~3月累計一部エグジット-7.616.99.3 0.6全部エグジット(注4)3430.447.216.8 6.7合計3438.064.126.1 0.47.3②エグジット前の投資(当期末に保有する投資)(注5) 銘柄数 投資額 公正価値 累計未実現評価損益(注7) 未実現評価損益当期計上額 1~3月累計公開投資(注6)2126.416.0△10.4 0.10.3未公開投資4725.223.9△1.3 △0.2△0.9合計6851.639.9△11.7 △0.1△0.6③デリバティブ デリバティブ原価公正価値/決済額累計デリバティブ関連損益 デリバティブ関連損益当期計上額 1~3月累計未決済 △0.0△0.0△0.0 △0.0既決済 0.01.41.4 △0.0合計 △0.01.41.4 △0.1△0.0④投資先からの利息および配当金 利息および配当金累計損益 利息および配当金当期計上額 1~3月累計合計 0.90.9 --(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。(注1)外部投資家持分および税金等の控除前(注2)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。Uber Advanced Technologies GroupとAurora Innovation Inc.、PT TokopediaとPT GoTo Gojek Tokopedia Tbk、Grofers International Pte. Ltd.とZomato Limited、Zymergen, Inc.とGinkgo Bioworks Holdings, Inc.、Candy Digital, Inc.とFanatics Holdings, Inc.(既存投資先)の株式交換が含まれます。なお、SVF1は過年度において既存投資先2社の株式を同じく既存投資先であるその関係会社株式に交換したため、当項目において該当する投資の取得額および処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。(注3)既存投資先からの現物配当として受領した投資について投資件数から控除しています。アームから受領した2銘柄(Treasure DataおよびAcetone Limited(Arm China株式の約48%を保有する中間持株会社))およびReef Global Inc.から受領した2銘柄(REEF Proximity Aggregator LLCおよびParking Aggregator LLC)が含まれます。(注4)株式交換および投資先の組織再編による処分(売却)を含みます。(注5)投資先の公開/未公開の区分は、当期末時点の状態に基づいています。(注6)公開株式には店頭市場で取引されているDiDi Global Inc.およびWeWorkへの投資を含みます。なお、WeWork株式の帳簿価額は0米ドルまで引き下げています。これは、2023年11月6日に同社と主要な債券投資家との間で締結されたリストラクチャリングサポート契約(RSA)に基づき判断したものです。(注7)当社からSVF1への移管が決定されていたものの実行されなかった投資について、移管の取りやめを決定するまでの期間に発生した未実現評価損益は含めていません。 SVF2(単位:十億米ドル)合計(下記①+②+③+④) 累計投資銘柄数累計投資額累計リターン累計損益(注1) 投資損益当期計上額 1~3月累計 28352.433.1△19.3 △0.3△1.0(参考) 累計投資銘柄数累計投資額累計リターン累計損益(注1)WeWorkへの財務サポートによる影響(注2)△4---株式交換による影響(注3)△2△0.0△0.0-上記による影響考慮後27752.433.1△19.3①エグジットした投資 銘柄数 投資額 エグジット金額 累計実現損益(注1) 実現損益当期計上額 1~3月累計一部エグジット-0.40.3△0.1 △0.0全部エグジット112.63.10.5 △0.7合計113.03.40.4 △0.2△0.7②エグジット前の投資(当期末に保有する投資)(注4) 銘柄数 投資額(注6)公正価値(注6)累計未実現評価損益 未実現評価損益当期計上額 1~3月累計公開投資(注5)168.64.0△4.6 △0.4△1.0未公開投資25640.825.9△14.9 0.1△0.2合計27249.429.9△19.5 △0.3△1.2③デリバティブ デリバティブ原価公正価値/決済額累計デリバティブ関連損益 デリバティブ関連損益当期計上額 1~3月累計未決済 △0.00.00.0 △0.0既決済 -△0.3△0.3 0.0合計 △0.0△0.3△0.3 0.00.0④投資先からの利息および配当金 利息および配当金累計損益 利息および配当金当期計上額 1~3月累計合計 0.10.1 -0.1(注)各項目の金額は、単位未満を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。(注1)外部投資家持分および税金等の控除前(注2)2019年10月の当社とWeWorkの合意に基づきSVF2が買い受けた同社担保付シニア債券(当第1四半期に同社が償還済み)(i)、2023年3月のWeWorkと主要な債券投資家およびSVF2等における同社の債務リストラクチャリングに対するサポートに係る合意に基づきSVF2が保有する転換社債(ii、iii)ならびに額面3.0億米ドルの債券(iv)を投資件数から控除しています。(注3)累計投資パフォーマンスを純額で示すため、株式交換を行った投資について交換先の株式の取得額および当初保有株式の処分額(売却額)をそれぞれ控除しています。当第2四半期にSVF2が保有していたXCOM Labs, Inc.の株式の一部をGlobalstar, Inc.の株式に交換し、当第4四半期にSVF2が保有していたODA Group Holding ASの株式をMathem Holdings ABの株式に交換しました。(注4)投資先の公開/未公開の区分は、当期末時点の状態に基づいています。(注5)公開株式には店頭市場で取引されているPear Therapeutics, Inc.およびWeWorkへの投資を含みます。なお、WeWork株式の帳簿価額は0米ドルまで引き下げています。これは、2023年11月6日に同社と主要な債券投資家との間で締結されたリストラクチャリングサポート契約(RSA)に基づき判断したものです。(注6)SVF2のエグジット前の投資の投資額および公正価値には、投資の取得対価の一部として受領した他会社の非支配持分に係るものが含まれています。 LatAmファンド当期末現在、LatAmファンドは累計投資額74億米ドルに対し累計リターンは63億米ドルとなり、活動開始来累計損失は11億米ドルとなりました。このうち当期の投資損益は5億米ドル(739億円)の利益です。 資金の状況2024年3月31日現在SVF1 (単位:十億米ドル) 合計当社外部投資家出資コミットメント(A)98.633.165.5拠出額5(B)87.229.957.3 拠出額返還額(再コール不可)(C)37.39.228.1 拠出額残高(注1)(D)=(B)-(C)49.920.729.2コミットメント残額(E)=(A)-(B)11.43.28.2(注)SVF1への当社の出資コミットメントは、アーム株式を活用した約82億米ドル相当の支払義務履行分(全該当株式を拠出済み)のほか、SVF1に関連するインセンティブ・スキームへ活用される25億米ドルを含みます。(注1)当期末現在、外部投資家の拠出額残高の292億米ドルのうち、133億米ドルはプリファード・エクイティ出資です。 SVF2(単位:十億米ドル) 合計出資コミットメント(A)59.8拠出額(B)57.3コミットメント残額(C)=(A)-(B)2.5(注)コミットメント残額には再コール可能な払込資金返還額を含みます。 (参考:2024年3月31日現在 出資コミットメントの内訳)出資コミットメント合計59.8 共同出資プログラムの対象外の投資への当社エクイティ出資12.5 SVF2 LLCへの当社プリファード・エクイティ出資(注1)32.3 SVF2 LLCへの当社エクイティ出資12.4 SVF2 LLCへのMgmtCoエクイティ出資2.6(注)当期末現在、MgmtCoによる出資額の支払いは実施されていません。(注1)SVF2 LLC(SVF II Investment Holdings LLC)はSVF2の傘下に設立された当社の子会社であり、共同出資プログラムの対象となる投資を間接的に保有しています。 当期末現在、LatAmファンドに対する出資コミットメント総額は78億米ドル、拠出額は74億米ドルです。 (c)ソフトバンク事業1. コンシューマ事業が増益に転じたほか、メディア・EC事業およびエンタープライズ事業が引き続き増益となったことなどにより、セグメント利益は前期比40.9%増加2. モバイルサービス売上が通信料値下げの影響の縮小やスマートフォン契約数の増加などにより3期ぶりに増収 (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率売上高5,956,5376,083,846127,3092.1%セグメント利益(税引前利益)592,782835,076242,29440.9%減価償却費及び償却費△768,712△738,76229,950△3.9%投資損益△25,3816,66432,045-財務費用△64,020△63,706314△0.5%持分法による投資損益△46,783△22,59524,188-その他の損益△42,75333,13275,885- <事業概要>当事業の業績には、ソフトバンク㈱および同社子会社が主に日本国内で行っているモバイルサービスの提供や携帯端末の販売、ブロードバンドサービスや広告サービス、コマースサービスの提供などの事業活動の結果が含まれています。「Beyond Carrier」戦略の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」といったインターネットサービスや、キャッシュレス決済サービス「PayPay」などのAI・IoT・FinTechを含む最先端テクノロジーを活用したビジネスの展開を通じ、通信以外の領域の拡大を目指しています。 <業績全般>セグメント利益は、前期比242,294百万円(40.9%)増加の835,076百万円となりました。これは、メディア・EC事業およびエンタープライズ事業が引き続き増益だったことに加えて、コンシューマ事業も増益に転じたことによるものです。その他の損益が大きく改善したことも寄与しました。なお、ソフトバンク㈱は前期第3四半期にPayPay㈱の子会社化に係る企業結合に伴う再測定益294,843百万円を計上しましたが、ソフトバンクグループ㈱の連結財務諸表においてはPayPay㈱は従前より一貫して子会社であるため当該再測定益は計上していません。コンシューマ事業は、主に物販売上やモバイルサービス売上、ブロードバンドサービス売上の増収効果で増益となりました。このうちモバイルサービス売上は、2021年春に実施した通信料値下げの影響が縮小傾向にある中、スマートフォン契約数が増加したことなどにより3期ぶりに増収となりました。メディア・EC事業は、コマース売上の増加やアカウント広告の成長に伴うメディア売上の増加に加えて、販売促進費や広告宣伝費の減少などにより増益となりました。エンタープライズ事業は、企業のデジタル化が加速する中でクラウドサービスなどの売上が拡大したことなどにより増益となりました。その他の損益の改善は、主に、日本郵政グループから受注した通信回線敷設工事等を巡る訴訟に関連し前期に計上していた引当金繰入額19,176百万円について、ソフトバンク㈱に賠償金等の支払いを命じた第一審判決が2024年3月の控訴審判決により破棄されたことに基づき当期に全額を戻し入れたことや、持分法適用関連会社であるWebtoon Entertainment Inc.などの持分変動利益20,299百万円を当期に計上したことによるものです。このほか、㈱出前館に係る持分法投資の減損損失を前期に31,304百万円、当期に22,345百万円それぞれ計上しました。その他の損益の詳細は「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、連結財務諸表注記41.その他の損益」をご参照ください。なお、PayPay㈱およびPayPayカード㈱は主に決済取扱高の拡大に伴う売上の増加や、リボ払い残高の拡大に伴う金利収入の増加により損失が縮小しました。一部の残高チャージ方法(「ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い」)において新たに手数料を設定したことや、キャンペーン対象者の絞り込みなどにより費用が減少したことも損失縮小に寄与しました。 <Zホールディングス㈱と同社の中核完全子会社であるLINE㈱、ヤフー㈱を中心としたグループ内再編>2023年10月1日付で、Zホールディングス㈱は、同社ならびに同社の中核完全子会社であるLINE㈱およびヤフー㈱の3社を中心とした合併を含むグループ内再編に関する手続きを予定通り完了するとともに、商号を「LINEヤフー株式会社」に変更しました。今後、よりプロダクトファーストの組織体制の下で、経営統合によるシナジーの拡大の加速を目指します。 (d)アーム事業顧客のテクノロジー企業によるAI投資の増加を背景に、四半期および通期のいずれでもアーム史上最高の売上高(米ドルベース)を記録◆ 米ドルベースの売上高は前期比13.6%増(円ベースでは同21.6%増)。ライセンスおよびその他の収入が過去最高となったほか、ロイヤルティー収入も過去最高を記録した前期にわずかに及ばなかったものの力強い結果に-米ドルベースのロイヤルティー収入は0.9%の微減:上期は半導体チップの販売低迷による影響を受けたものの、下期はアームの最新世代テクノロジー「Armv9」の普及促進に伴うロイヤルティー単価の上昇を背景にロイヤルティー収入が回復。当第4四半期のロイヤルティー収入は四半期ベースで過去最高を記録-米ドルベースのライセンスおよびその他の収入は38.5%増:次世代スマートフォン、自動車、コンシューマー・エレクトロニクスおよびAIアプリケーション向けチップを開発する大手テクノロジー企業と高額かつ長期のライセンス契約を締結◆ 株式報酬費用の増加や研究開発強化に伴う従業員数の増加が増収影響を打ち消し、332億円のセグメント損失に (単位:百万円) 3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率売上高381,746464,02582,27921.6%セグメント利益(税引前利益)(注)48,663△33,215△81,878-(注)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当期は65,581百万円、前期は61,467百万円含まれています。 <事業概要>アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。アームの業績は半導体市場の動向にプラスにもマイナスにも大きく影響を受けることがあります。市場の売上高はその成長に応じて増加し、アームのロイヤルティー収入の増加をもたらします。また、市場の成長はアームの顧客による活発な製品設計活動を促す可能性があり、アームがより多くの最新テクノロジーをライセンスする機会が生まれ、ライセンスおよびその他の収入の増加につながります。アームは、コンピューティングの未来を築くため、研究開発投資を継続して強化しています。CPUや、グラフィックスプロセッサー、AIアクセラレーターおよび統合サブシステムなどの関連技術を開発することで、顧客が次世代のコンピューティングデバイスを開発できるようサポートしています。 <業績全般>売上高(米ドルベース)アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。 (単位:百万米ドル)3月31日に終了した1年間 2023年2024年増減増減率ロイヤルティー収入1,7831,767△16△0.9%ライセンスおよびその他の収入1,0341,43139738.5%合計2,8173,19838113.6%(注)当第1四半期より、売上区分の名称を「テクノロジー・ロイヤルティー収入」および「非ロイヤルティー収入」から、それぞれ「ロイヤルティー収入」および「ライセンスおよびその他の収入」に変更しています。なお、集計方法については従来から変更ありません。 売上高は、前期から381百万米ドル(13.6%)増加しアーム史上最高となりました。 ロイヤルティー収入ロイヤルティー収入は過去最高を記録した前期にわずかに及ばず、16百万米ドル(0.9%)減少しました。上期は、前期から続く世界的な半導体市場縮小の影響を受けて、特にスマートフォンおよびその他のコンシューマー・エレクトロニクス分野でロイヤルティー収入が伸び悩んだものの、下期は半導体市場全体の回復に加えて、アームの最新世代テクノロジーでありより高いロイヤルティー単価を見込める「Armv9」の普及を背景にロイヤルティー収入が力強く成長しました。当第4四半期は、四半期ベースのロイヤルティー収入がアーム史上最高となりました。WSTS(世界半導体市場統計)は2024年の世界半導体売上高は前年対比で13.1%増加すると予測しています6。市場の回復はアームのロイヤルティー収入を増加させるとともに、アームの注力分野である自動車やクラウド・サーバーでの市場シェア拡大、「Armv9」やアームの複数のIPを組み合わせたコンピュート・サブシステム(CSS)といった最新技術の普及が、今後のロイヤルティー収入の一層の原動力となることが見込まれます。 ライセンスおよびその他の収入ライセンスおよびその他の収入は前期から397百万米ドル(38.5%)増加し、過去最高

※本記事は「ソフトバンクグループ株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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