会社名 | セコム株式会社 |
業種 | サービス業 |
従業員数 | 連64744名 単15672名 |
従業員平均年齢 | 44.4歳 |
従業員平均勤続年数 | 18年 |
平均年収 | 6212414円 |
1株当たりの純資産 | 5816.74円 |
1株当たりの純利益 | 482.04円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 190円 |
配当性向 | 46.2% |
株価収益率(PER) | 22.7倍 |
自己資本利益率(ROE) | 8.5% |
営業活動によるCF | 1657億円 |
投資活動によるCF | ▲1622億円 |
財務活動によるCF | ▲954億円 |
研究開発費※1 | 3.08億円 |
設備投資額※1 | 34.95億円 |
販売費および一般管理費※1 | 132.94億円 |
株主資本比率※2 | 85.9% |
有利子負債残高(連結)※3 | 685.66億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは、社業を通じて社会に貢献することを企業理念とし、セキュリティサービス事業を中心として、防災、メディカルサービス、保険、地理空間情報サービス、BPO・ICT、その他の様々な分野の事業を展開しており、これらを複合的・融合的に提供することで、より「安全・安心・快適・便利」な社会を実現する「社会システム産業」の構築を目指しております。(2)中長期的な会社の経営戦略及び業績目標外部環境が大きく変化し不確実性の増す今日において、当社グループの方向性を明確にするために、2017年に策定した「セコムグループ2030年ビジョン」では、これまで当社グループが培ってきた社会とのつながりをベースに、想いを共にするパートナーが参加して様々な技術や知識を持ち寄り、暮らしや社会に安心を提供する社会インフラ「あんしんプラットフォーム」構想を掲げております。「あんしんプラットフォーム」構想では、時間や空間にとらわれないサービスの提供、一人ひとりのお客様に寄り添った最適なサービスの提供および生活の中にある様々なリスクに対して、事前の備えから事後の復旧まで、安心にフォーカスしたきめ細やかな切れ目のないサービスの提供を目指し、当社グループが展開する様々な事業間の連携をさらに深め、当社グループの総合力を最大限活用できるように努めております。このような中、「セコムグループ2030年ビジョン」の実現に向けて、今後の目指すべき方向性をより明確化し、2030年に向けた成長をさらに確かなものとするため、2023年5月に「セコムグループ ロードマップ2027」を策定いたしました。社会環境の変化から生じる様々なニーズを捉え、新たなサービスとして次々と提供していくことで、これからもあらゆる場面で、確かな「安全・安心」をお客様にお届けすることを目指してまいります。あわせて、新たな価値創造による新事業の創出・育成や、既存業務の拡充を着実に進め、当社グループの成長スピードをさらに加速してまいります。以上の経営戦略のもと、実効性のあるコーポレートガバナンスを実現し、ESG(E:環境、S:社会、G:企業統治)課題へ適切に対処するとともに、社会とのつながりを強め、様々な社会課題を解決することで、社会と共に成長を続け、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。(3)経営環境及び優先的に対処すべき課題当社は、日本のセキュリティサービス事業のパイオニアとして、創業以来社会の変化に先んじてサービスを進化させ、業界をリードしてまいりました。現在は、セキュリティサービス事業を中心に、防災、メディカルサービス、保険、地理空間情報サービス、BPO・ICT、その他事業を展開しています。また、海外では、16の国と地域に進出し、現地の状況を踏まえた当社グループならではのサービスを提供し、セコムブランドのグローバル市場への浸透を進めております。一方、当社グループを取り巻く環境においては、テクノロジーの進化、労働力人口の減少、体感治安の悪化、高齢化の進行、自然災害の頻発化・激甚化等への対応が課題となっております。このような状況下において、当社グループは、これらの課題解決に貢献するため、以下の取り組みを推進しております。①新しい技術・ノウハウの積極的な活用テクノロジーの進化が進む中、最先端技術を活用した付加価値創造・サービス品質向上等を実現するため、新しい技術やノウハウを積極的に情報収集し、活用してまいります。また、こうした取り組みを通じて、国内および海外において、最新技術と人財を融合した新商品・新サービスの創出に取り組んでまいります。 ②国内事業(サービス・商品の競争力の向上)国内事業においては、法人マーケット向けのサービスや商品の品質向上・機能向上を図り競争力を高めていくとともに、高齢者見守り等の新サービスを提供することにより、個人マーケットの更なる開拓等に注力してまいります。また、セコムグループの経営資源を最大限に活用することにより、多様化するお客様のニーズに応える付加価値の高いサービスを提供することで、「安全・安心・快適・便利」な社会の構築を目指してまいります。③海外事業の強化海外事業においては、広告宣伝をはじめとした販売促進を行いながら、高まる安心ニーズに対して、最先端技術を積極的に取り入れ、現地ニーズに合った海外のローカルマーケット向けの事業企画・商品開発や大型物件への対応など、事業展開を強化してまいります。また、現地における積極的な採用、教育・研修の充実により、海外事業におけるサービス品質を向上してまいります。④業務効率化及び業務品質の向上労働力人口の減少による人手不足への対応に当たり、システムへの投資により機能改善を図ることで業務の効率化を推進し、生産性向上、収益性向上、サービス品質の向上に繋げてまいります。あわせて、業務プロセスおよび社内の事務処理や組織の見直しを図り、コスト削減を促進してまいります。⑤競争力向上のための人財確保当社グループでは、最新技術の活用や海外展開のためのIT人財およびグローバル人財が必須であることに加え、国内事業におけるサービス向上の面においても人員の確保が必要です。労働力人口が減少する中でも、事業展開を支える人財の採用強化を進め、成長分野を強化するための人財の再配置などの組織戦略を推進してまいります。また、既存社員の育成、変化適応力の向上のための教育・研修の強化、社員それぞれの個性を活かし、公私ともに豊かで充実した人生を送る基盤としての環境整備等を継続して進めてまいります。⑥コンプライアンス・ガバナンス体制の強化上記の取り組みを推進するに当たり、「安全・安心」を提供する当社グループにとって、法および法の精神の遵守によりお客様からの信頼を確保・維持し続けることは、経営上極めて重要な課題であります。当社グループでは、創業以来受け継がれてきた「セコムの理念」を通じて、より一層のコンプライアンス体制の強化に努めております。また、ガバナンス体制の強化も継続して推進し、ステークホルダーの皆様から選ばれ続ける会社づくりに取り組んでまいります。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。①財政状態及び経営成績の状況(経営成績の状況)当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の日本経済は、雇用・所得環境が改善する下で、設備投資や個人消費などで緩やかな回復の動きが見られました。一方、物価上昇や世界的な金融引締め等による経済の下振れリスク、海外経済情勢、さらには金融・為替市場の動向などに留意が必要な状況が続きました。このような状況において、当社グループは、「安全・安心・快適・便利」な社会を実現する「社会システム産業」の構築をめざし、「セコムグループ2030年ビジョン」の実現に取り組んでいます。また、2023年5月には、ビジョン実現に向けて今後の目指すべき方向性をより明確化し、成長をさらに確かなものとするために「セコムグループ ロードマップ2027」を策定し、各種取り組みを積極的に展開しております。2023年4月には、「セコム・ホームセキュリティ」のご契約先向けに、日本初となる「Apple Watch」の転倒検出機能と連携したセコムへの緊急通報と、日常の健康管理ができる「YORiSOS(よりそす)」アプリの提供を開始しました。また、10月には、日本初となる、AIを活用して巡回・侵入監視を行うセキュリティドローン「セコムドローンXX(ダブルエックス)」の開発を発表するなど、様々な取り組みを通じて、ますます多様化・高度化するお客様の安心ニーズに対し、きめ細やかな切れ目のないサービスを提供することに努めました。なお、2024年3月には、国際的な環境NGOのCDPが2023年に実施した気候変動質問書の「サプライヤー・エンゲージメント評価」において、4年連続で最高評価である「リーダー・ボード」に選定されました。 セグメントごとの業績につきましては、次のとおりであります。セキュリティサービス事業では、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)を中心に、常駐警備や現金護送のサービスを提供するとともに、安全商品を販売しております。事業所向けでは、防犯や防災をはじめ、従業員の就業管理などによる事業効率化に至るまで、企業の事業運営に有益な機能をオールインワンで提供するシステムセキュリティ「AZ」を提供しております。当連結会計年度は、オフィスビルや研究施設、工場、大型商業施設などあらゆる建物に対応した入退室管理システム「AZ-Access」(エーゼット・アクセス)の販売を開始し、「AZ」とともに拡販に努めました。家庭向けでは、防犯・防火ニーズに加え、お客様の生活スタイルに柔軟に対応でき、様々な機器と接続することでサービスを拡張できる「セコム・ホームセキュリティNEO」を提供しております。当連結会計年度は、「セコム・ホームセキュリティ」のオプションサービスとして配信している「YORiSOS(よりそす)」アプリの利用拡大を図るなど、利便性の向上したホームセキュリティシステムを積極的に拡販しました。海外では、経済発展が続く東南アジアを中心に、緊急対処サービスや画像監視を特長とするセキュリティサービスの拡販に努めるとともに、最先端技術を取り込みながら機械警備のデジタルトランスフォーメーションを推進し、現地市場に適応したサービス、システムの開発・導入を推進しました。当連結会計年度は2022年7月より連結子会社となった株式会社セノンの寄与、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売が堅調に推移したこと、安全商品の売上が増大したことなどにより、売上高は6,140億円(前期比5.3%増加)となり、営業利益は人件費の増加により、1,127億円(前期比1.1%増加)となりました。 防災事業では、オフィスビル、プラント、トンネル、文化財、船舶、住宅といった様々な施設に対し、お客様のご要望に応えた高品質な自動火災報知設備や消火設備などの各種防災システムを提供しております。当連結会計年度も、国内防災業界大手2社である能美防災株式会社およびニッタン株式会社が、それぞれの営業基盤や商品開発力などを活かした防災システムの受注に努めました。当連結会計年度は火災報知設備や消火設備の増収により、売上高は1,606億円(前期比10.3%増加)となり、営業利益は火災報知設備の原価率の改善などにより、153億円(前期比33.7%増加)となりました。メディカルサービス事業では、訪問看護サービスや薬剤提供サービスなどの在宅医療サービスを中心として、シニアレジデンスの運営、電子カルテの提供、医療機器・医薬品等の販売、介護サービス、医療機関向け不動産賃貸等様々なメディカルサービスを提供しております。当連結会計年度はインドにおける総合病院事業会社タクシャシーラ ホスピタルズ オペレーティング Pvt.Ltd.の増収および医薬品の販売が好調となったことなどにより、売上高は801億円(前期比3.2%増加)となり、営業利益は原価率の上昇などにより、51億円(前期比11.8%減少)となりました。保険事業では、当連結会計年度もセキュリティシステム導入によるリスク軽減を保険料に反映した事業所向けの「火災保険セキュリティ割引」や家庭総合保険「セコム安心マイホーム保険」、ガン治療費の実額を補償する「自由診療保険メディコム」、セコムの緊急対処員が要請に応じて事故現場に急行するサービスを付帯した自動車総合保険「セコム安心マイカー保険」など、当社グループならではの保険の販売を推進しました。当連結会計年度は保険引受収益および運用収益の増収などにより、売上高は581億円(前期比4.7%増加)となり、営業利益は自然災害による損害の減少などにより、25億円(前期比146.1%増加)となりました。地理空間情報サービス事業では、航空機や車両、人工衛星などを利用した測量や計測で地理情報を集積し、加工・処理・解析した空間情報サービスを、国および地方自治体などの公共機関や民間企業、さらには新興国や発展途上国を含めた諸外国政府機関に提供しております。当連結会計年度は国内公共部門および国内民間部門の減収などにより、売上高は605億円(前期比2.6%減少)となり、営業利益は人件費の増加による販売費及び一般管理費の増加により、53億円(前期比21.5%減少)となりました。BPO・ICT事業では、データセンターを中核に、セコムならではのBCP(事業継続計画)支援や情報セキュリティ、クラウドサービス、認証サービスの提供に加えて、コンタクトセンター業務を含む様々なBPO業務の受託・運営を行っています。当連結会計年度はコンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの減収により、売上高は1,272億円(前期比0.7%減少)となり、営業利益はデータセンター事業の原価率の改善により、118億円(前期比1.8%増加)となりました。その他事業には、不動産賃貸および建築設備工事などが含まれます。当連結会計年度は売上高は540億円(前期比10.4%増加)となり、営業利益は73億円(前期比10.4%増加)となりました。これらの結果、当連結会計年度における連結売上高は2022年7月より連結子会社となった株式会社セノンの寄与や、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売が堅調に推移したこと、安全商品の売上が増大したことなどによる、セキュリティサービス事業の増収などにより、1兆1,547億円(前期比4.9%増加)となりました。営業利益は地理空間情報サービス事業などの減益はありますが、セキュリティサービス事業、防災事業および保険事業などの増益により、1,406億円(前期比2.9%増加)となりました。経常利益は米国などにおける投資事業組合運用益で75億円増加したことなどにより、1,668億円(前期比6.9%増加)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,019億円(前期比6.1%増加)となりました。なお、当連結会計年度の売上高、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高を達成することができました。 (財政状態の状況)当連結会計年度末の総資産は、前期末比917億円(4.6%)増加の2兆807億円となりました。流動資産は、現金及び預金が814億円(15.6%)減少の4,409億円となり、流動資産合計は前期末比699億円(6.9%)減少の9,375億円となりました。固定資産は、投資有価証券が1,273億円(42.7%)増加の4,256億円、有形固定資産が284億円(7.1%)増加の4,323億円、退職給付に係る資産が140億円(25.3%)増加の695億円となり、固定資産合計は前期末比1,616億円(16.5%)増加の1兆1,432億円となりました。 当連結会計年度末の負債は、前期末比170億円(2.5%)増加の6,900億円となりました。流動負債は、未払金が64億円(14.6%)増加の510億円、現金護送業務用預り金が45億円(3.8%)増加の1,235億円、設備未払金等の減少によりその他が96億円(31.8%)減少の208億円となり、流動負債合計は前期末比8億円(0.2%)増加の3,783億円となりました。固定負債は、繰延税金負債が89億円(81.8%)増加の198億円、リース債務が82億円(56.0%)増加の228億円となり、固定負債合計は前期末比162億円(5.5%)増加の3,117億円となりました。 当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が614億円(5.6%)の増加、自己株式が407億円(37.3%)の減少、その他有価証券評価差額金が218億円(116.5%)の増加、為替換算調整勘定が117億円(112.0%)の増加、非支配株主持分が146億円(9.7%)の増加となり、純資産合計は前期末比746億円(5.7%)増加の1兆3,906億円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の58.5%から58.8%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の5,427.63円から5,816.74円となりました。 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物の状況は、以下のとおりであります。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー146,426165,76019,333投資活動によるキャッシュ・フロー△ 70,446△162,269△ 91,823財務活動によるキャッシュ・フロー△ 77,836△ 95,488△ 17,652現金及び現金同等物に係る換算差額1,5462,5791,033現金及び現金同等物の増減額△ 310△ 89,418△ 89,108現金及び現金同等物の期首残高513,902513,592△ 310現金及び現金同等物の期末残高513,592424,173△ 89,418 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、全体で1,657億円の資金の増加(前連結会計年度は1,464億円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益1,637億円、減価償却費652億円であります。また、主な資金の減少要因は、法人税等の支払額441億円であります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、全体で1,622億円の資金の減少(前連結会計年度は704億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出812億円、投資有価証券の取得による支出601億円、関連会社株式の取得による支出337億円であります。また、主な資金の増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入340億円であります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、全体で954億円の資金の減少(前連結会計年度は778億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、自己株式の増加額440億円、配当金の支払額404億円、リース債務の返済による支出64億円であります。 これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ894億円減少して4,241億円となりました。 ③生産、受注及び販売の実績a. 受注実績当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)セキュリティサービス事業8,434△ 6.63,392△ 20.7防災事業168,3788.980,69712.0地理空間情報サービス事業61,8602.426,1835.5BPO・ICT事業5,775△ 10.01,435△ 7.2その他事業13,78842.58,79161.7合計258,2387.5120,49911.4 (注) セグメント間の取引については相殺消去しております。 b. 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)(百万円)前期比(%)セキュリティサービス事業614,0835.3防災事業160,60210.3メディカルサービス事業80,1243.2保険事業58,1464.7地理空間情報サービス事業60,500△ 2.6BPO・ICT事業127,228△ 0.7その他事業54,05310.4合計1,154,7404.9 (注) セグメント間の取引については相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。 経営成績の分析(概要)当社グループは、セキュリティサービスを中心に防災、メディカルサービス、保険、地理空間情報サービス、BPO・ICT、不動産賃貸などの事業活動全般にわたってサービスの拡充、営業の拡大、システムの構築、商品の開発に努めるなど、積極的な事業展開を図ってまいりました。当連結会計年度における連結売上高は2022年7月より連結子会社となった株式会社セノンの寄与や、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売が堅調に推移したこと、安全商品の売上が増大したことなどによる、セキュリティサービス事業の増収などにより、1兆1,547億円(前期比4.9%増加)となりました。営業利益は地理空間情報サービス事業などの減益はありますが、セキュリティサービス事業、防災事業および保険事業などの増益により、1,406億円(前期比2.9%増加)となりました。経常利益は米国などにおける投資事業組合運用益で75億円増加したことなどにより、1,668億円(前期比6.9%増加)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,019億円(前期比6.1%増加)となりました。 (売上高)2022年7月より新たに連結子会社となった株式会社セノンの寄与もあり、売上高は前期比4.9%増加の1兆1,547億円となりました。各事業セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、セキュリティサービス事業が53.2%、防災事業が13.9%、メディカルサービス事業が6.9%、保険事業が5.0%、地理空間情報サービス事業が5.2%、BPO・ICT事業が11.0%、その他事業が4.8%となりました。 (売上原価、販売費及び一般管理費)当連結会計年度の売上原価は、前期比5.1%増加の7,974億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の68.9%から69.1%になりました。販売費及び一般管理費は、前期比5.3%増加の2,166億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の18.7%から18.8%になりました。これらの結果、当連結会計年度の営業利益は1,406億円(前期比2.9%増加)となりました。 (経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度は、米国などにおける投資事業組合運用益の増加などにより、営業外収益が前期比82億円(35.5%)増加となり、営業外費用が前期比15億円(38.7%)増加したことにより、経常利益は1,668億円(前期比6.9%増加)となりました。法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額の合計は前期比23億円(4.9%)増加の495億円となり、税金等調整前当期純利益に対する負担率は前連結会計年度の30.8%から30.3%に低下しました。また、非支配株主に帰属する当期純利益が前期比22億円(22.0%)増加の122億円となりました。これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,019億円(前期比6.1%増加)となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度の8.7%から8.8%になりました。また、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の445.02円から482.04円、ROEは前連結会計年度の8.4%から8.5%となりました。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。 セキュリティサービス事業は、2022年7月より連結子会社となった株式会社セノンの寄与、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)の販売が堅調に推移したこと、安全商品の売上が増大したことなどにより、売上高は6,268億円(前期比5.3%増加)となり、営業利益は人件費の増加により、1,127億円(前期比1.1%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の18.7%から18.0%になりました。資産は、長期貸付金、退職給付に係る資産、有形固定資産などが増加しましたが、現金及び預金などの減少により、9,715億円(前期比3.8%減少)となりました。防災事業は、火災報知設備や消火設備の増収により、売上高は1,638億円(前期比10.1%増加)となり、営業利益は火災報知設備の原価率の改善などにより、153億円(前期比33.7%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.7%から9.4%になりました。資産は、繰延税金資産などが減少しましたが、投資有価証券、退職給付に係る資産、受取手形、売掛金及び契約資産などの増加により、1,961億円(前期比5.0%増加)となりました。メディカルサービス事業は、インドにおける総合病院事業会社タクシャシーラ ホスピタルズ オペレーティング Pvt.Ltd.の増収および医薬品の販売が好調となったことなどにより、売上高は803億円(前期比3.2%増加)となり、営業利益は原価率の上昇などにより、51億円(前期比11.8%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.5%から6.4%になりました。資産は、長期貸付金などが減少しましたが、現金及び預金、有形固定資産などの増加により、1,426億円(前期比4.6%増加)となりました。保険事業は、保険引受収益および運用収益の増収などにより、売上高は608億円(前期比3.9%増加)となり、営業利益は自然災害による損害の減少などにより、25億円(前期比146.1%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の1.8%から4.2%になりました。資産は、有価証券、現金及び預金などが減少しましたが、投資有価証券などの増加により、2,569億円(前期比7.6%増加)となりました。地理空間情報サービス事業は、国内公共部門および国内民間部門の減収などにより、売上高は607億円(前期比2.6%減少)となり、営業利益は人件費の増加による販売費及び一般管理費の増加により、53億円(前期比21.5%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の10.9%から8.8%になりました。資産は、退職給付に係る資産、受取手形、売掛金及び契約資産などの増加により、731億円(前期比4.3%増加)となりました。BPO・ICT事業は、コンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの減収により、売上高は1,403億円(前期比1.0%増加)となり、営業利益はデータセンター事業の原価率の改善により、118億円(前期比1.8%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度と同率の8.4%になりました。資産は、有形固定資産などの増加により、1,809億円(前期比11.2%増加)となりました。その他事業は、売上高は554億円(前期比9.7%増加)となり、営業利益は73億円(前期比10.4%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の13.2%から13.3%になりました。資産は、短期貸付金などの減少により、1,453億円(前期比1.8%減少)となりました。なお、以上のセグメント売上高および営業損益はセグメント間取引を含む数値であり、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(経営成績の状況)」に記載した売上高(セグメント間取引を含まない外部顧客に対する売上高)とは一致しません。 財政状態の分析財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(財政状態の状況)」に記載のとおりであります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額が441億円となりましたが、税金等調整前当期純利益が1,637億円、減価償却費が652億円となったことなどにより、全体では1,657億円の資金の増加となりました。前連結会計年度との比較では、投資事業組合運用益が75億円増加となりましたが、税金等調整前当期純利益が103億円の増加、リース債権及びリース投資資産の増減額が前連結会計年度の36億円の増加に対し12億円の減少、未払消費税等の増減額が前連結会計年度の12億円の減少に対し30億円の増加、法人税等の支払額が33億円減少となったことなどにより、営業活動から得た資金は前期比193億円(13.2%)の増加となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入が340億円となりましたが、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出が812億円、投資有価証券の取得による支出が601億円、関連会社株式の取得による支出が337億円となったことなどにより、全体では1,622億円の資金の減少となりました。前連結会計年度との比較では、関連会社株式の取得による支出が335億円増加、有形固定資産の取得による支出が315億円増加、投資有価証券の売却及び償還による収入が192億円減少となったことなどにより、投資活動に使用した資金は前期比918億円(130.3%)の増加となりました。 この結果、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの純額)は、34億円の資金の増加(前連結会計年度は759億円の資金の増加)となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の増加額440億円、配当金の支払額404億円、リース債務の返済による支出64億円となったことなどにより、全体では954億円の資金の減少となりました。前連結会計年度との比較では、自己株式の増加額が142億円増加となったことなどにより、財務活動に使用した資金は前期比176億円(22.7%)の増加となりました。 これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比894億円(17.4%)減少の4,241億円となりました。 当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。 第59期2020年3月期第60期2021年3月期第61期2022年3月期第62期2023年3月期第63期2024年3月期自己資本比率(%)57.058.158.858.558.8時価ベースの自己資本比率(%)107.9109.0101.488.1110.9キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)0.40.40.40.40.4インタレスト・カバレッジ・レシオ260.6237.0195.9165.6152.4 ※ 自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い (注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりであります。 当社グループは、柔軟な事業活動を行い、強固な財務基盤を保つために、高い流動性を維持することを基本方針としております。また、「社会システム産業」の構築に向けて、営業活動から得た資金や、市場調達および金融機関からの借入等により調達した資金で、積極的に事業投資活動を行っております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は692億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,241億円となっております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告金額に影響を与える判断、見積りの設定を行うことが必要となります。これらの見積りは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 a. 有形固定資産当社グループでは、有形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。事業用資産においては管理会計上の区分で資産グルーピングを行い、賃貸不動産および遊休資産などは個別物件単位で区分を行い、当連結会計年度で収益性が著しく低下した場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。なお、資産グループの回収可能価額の見積りは、処分価額、不動産鑑定評価額などで算出する正味売却価額、将来キャッシュ・フロー、割引率などで算出する使用価値などにより測定しております。正味売却価額上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資産グループの使用期間中および使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。b. のれん及びその他無形資産当社グループでは、のれん及びその他の無形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。のれん及びその他の無形固定資産の回収可能価額の見積りや減損判定に当たっては、必要に応じて外部専門家などによる評価を活用しております。なお、回収可能価額の測定で使用する、将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。c. 貸倒引当金当社グループでは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、過去の実績、将来の見通し等を総合的に勘案して見積もられた回収不能見込額を、貸倒引当金として計上しております。回収不能見込額の見積りにおいて使用される仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収不能見込額が増減し、貸倒引当金を増額または減額する可能性があります。d. 繰延税金資産当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、将来の課税所得の見積りにあたっては、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されていますが、見積りは、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化などにより、影響を受ける可能性があり、また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。 e. 退職給付費用及び退職給付に係る負債当社および当社と同一の退職給付制度を有する国内連結子会社においては、退職金制度と確定拠出型年金制度を採用しております。退職給付費用及び退職給付に係る負債について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、金利変動の市場動向等、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断して決定した割引率、予想昇給率、退職率、統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期期待運用収益率などが含まれております。これら年金数理計算の前提条件には将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって影響を受ける可能性があるため、前提条件と実際の結果が異なる場合、または前提条件の変更がある場合には、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。 |
※本記事は「セコム株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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