会社名 | 株式会社NTTデータグループ |
業種 | 情報・通信業 |
従業員数 | 連193513名 単1702名 |
従業員平均年齢 | 39.9歳 |
従業員平均勤続年数 | 14.6年 |
平均年収 | 9057000円 |
1株当たりの純資産 | 882.32円 |
1株当たりの純利益 | 43.07円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 23円 |
配当性向 | 53.4% |
株価収益率(PER) | 56.4倍 |
自己資本利益率(ROE) | 4.9% |
営業活動によるCF | 4987億円 |
投資活動によるCF | ▲6245億円 |
財務活動によるCF | 1091億円 |
研究開発費※1 | 204.91億円 |
設備投資額※1 | 4559億円 |
販売費および一般管理費※1 | 2101.71億円 |
株主資本比率※2 | 78% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当連結会計年度の経済及び情報サービス産業における経営環境は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。国内及び海外の経済は、世界的な金融引締めや物価上昇等の影響があるものの、全体としては緩やかな回復基調にあります。景気の先行きについては、引き続き改善方向とは思われますが、地政学的問題等による海外景気の下振れ、金融資本市場の変動等のリスクには十分に注意する必要があります。国内の情報サービス産業においては、お客様企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが引き続き本格化しており、物価上昇等IT投資抑制の要因となり得る要素はあるものの、需要環境はより堅調に推移していくものと見られています。海外の情報サービス産業においても、世界的な金融引締めの影響によるIT投資抑制は懸念され、一部の地域において弱さが見られるものの、お客様企業におけるDXの加速、デジタル領域シフトの需要は継続しており、需要環境は堅調に推移していくものと見られています。 [経営施策の取り組み状況]当社グループは、2025年のGlobal 3rd Stage達成に向けて、「Realizing a Sustainable Future」をスローガンに掲げ、未来に向けた価値をつくり、さまざまな人々をテクノロジーでつなぐことでお客様とともにサステナブルな社会を実現することを目指します。その実現に向け、中期経営計画で策定した5つの戦略とサステナビリティ経営を推進しました。2023年7月に、当社グループは持株会社体制に移行し、当社は「株式会社NTTデータグループ」に商号変更しました。 戦略1. ITとConnectivityの融合による新たなサービスの創出ITとConnectivityを融合したEdgeからCloudまでを含む総合的なマネージドサービスの提供や、企業・業界の枠を超えた業際連携を実現し、新たな社会プラットフォームや革新的なサービスの創出に取り組んでいます。当社グループの従来からの強みであるシステム構築力と、2022年から新たにグループに加わったNTT Ltd.のEdge to Cloud におけるサービスオペレーション力を連携させた成果が、2023年度においても引き続き上がっています。例えば北米では、グローバルに事業展開する製造業のお客様から、倉庫内でのフォークリフトの自動制御を目的としたプラットフォーム構築案件を獲得しました。また、社会課題への取り組みにおいては、防災情報処理伝達システム「DPIS」をインドネシアに提供することが決定しました。政府から災害情報を迅速に発信して国民の安全・安心を守るためのシステムであり、将来的にインドネシアにおいて複数の防災関係機関情報の統合化・標準化を目指します。さらに、世界各国へ日本の防災DXソリューション・防災ノウハウの展開を目指します。 戦略2.Foresight起点のコンサルティング力強化お客様・業界の未来を構想するインダストリコンサルティング力と、テクノロジー起点で未来を構想するテクノロジーコンサルティング力を強化し、共創パートナーとしてお客様の成長を支え、ビジネス変革を実現していきます。Foresight起点でのお客様への価値提供力を生かし、2023年度においては、運輸業界のお客様に対して、経営課題にアプローチし、変革の提言から成果創出まで遂行するなど、既存の事業領域を超えた案件を獲得しました。 戦略3.アセットベースのビジネスモデルへの進化グローバルレベルで当社グループ内の技術・知見・経験等をアセット化し、それらを有効活用することで、お客様への提供価値を最大化していきます。2023年度においては、地方銀行様向け共同システム「MEJAR」(注1)に、勘定系システムをオープン化するフレームワーク「PITON」(注2)を適用し、銀行業界初となるマルチバンクオープン勘定系システムの稼働を開始しました。今後も「PITON」を活用し金融勘定系システムのオープン化を進めるとともに、将来的なバンキングシステム専用クラウドの実現に向け取り組みます。 戦略4.先進技術活用力とシステム開発技術力の強化未来の競争力獲得に向けた先進技術活用力の強化と生産性向上に向けたシステム開発技術力の強化を両輪で進めています。2023年度においては、Generative AI 推進室を設立し、グローバルレベルでの生成AI展開戦略を通じてお客様のバリューチェーンの変革に注力するとともに、生成AIを活用した抜本的な業務効率の向上、イノベーションの促進、企業文化の醸成等社内の大きな変革を推進しています。当社の保有する10以上の生成AI関連アセットを活用し、お客様との共創プロジェクトを200件程度グローバル横断で展開しているほか、社内でも生成AIの活用を推進しソフトウェア開発等における生産性向上に取り組んでいます。これらの取り組みが評価され、HFS Research社発行の「HFS Horizons:Generative Enterprise Services, 2023」レポートにおいて最高位の評価である「Horizon 3 Market Leader」の1社に選出されました。 戦略5.人財・組織力の最大化「Best Place to Work」をキーワードに、多様な人財が成長し活躍する魅力的な企業へと変革していくことを目指し、先進技術が学べる育成プログラムの導入、自律的キャリア支援、多様な人財が活躍できる制度・先進的な職場環境の整備に取り組んでいます。約2カ月の集中プログラムでデジタルスキルの習得を図るDigital Boot Camp、先端領域での業務経験を獲得するためのDigital Acceleration Programや、AWS、Microsoft、Google Cloud等のパートナー企業とのアライアンスを通じたデジタル人財育成、若手から経営トップに至るまでの多くの女性社員が活躍できる環境づくり、LGBTQ等性的マイノリティに関する取り組み、障がい者雇用の促進施策を通じたDiversity Equity & Inclusion(注3)を推進しています。これらの結果として、トップ・エンプロイヤー・インスティチュートより、世界29カ国と4地域においてTop Employer認定を受けるとともに、「Global Top Employer 2024」として認定を受けた企業17社の一つに名を連ねることとなりました。また、Diversity Equity & Inclusionの領域で、包括的な評価を行う「Global Equality Standard」の認証を2023年5月に取得しました。 サステナビリティ経営サステナブルな社会の実現に向けて、「Realizing a Sustainable Future」というスローガンのもと、事業活動と企業活動により、社会課題の解決や地球環境への貢献に取り組むことで、お客様とともに成長していきます。2022年7月には、「Regenerating Ecosystems(環境)」、「Clients’ Growth(経済)」、「Inclusive Society(社会)」の3つの軸に加え、サステナビリティ経営を推進するために取り組むべき重要な課題として、9つのマテリアリティを策定しました。2023年度における地球環境への貢献(Regenerating Ecosystems)については、グローバルで加速するNet-Zeroへの取り組み要請を踏まえ、2021年策定の気候変動対応ビジョンを改定し、2050年を改めて2040年までに自社並びにサプライチェーンの温室効果ガス排出量(Scope1~3)の実質ゼロ実現を目指す「NTT DATA NET-ZERO Vision 2040」を新たに策定しました。この計画に基づき、再生可能エネルギーの導入やデータセンターの低PUE化を推進し、自社のオペレーションにおけるデータセンターの直接・間接排出量(Scope1・2)について2030年までに、オフィス・その他を含めた自社全体のScope1・2について2035年までに、実質ゼロを目指します。Science Based Targets initiativeよりNet-Zero目標の認定も取得しました。また、お客様のサステナビリティ経営に貢献するC-Turtle等のサステナビリティオファリングの創出を推進しており、C-Turtleはこれまでに累計1,000社への導入を達成しています。これら当社の取り組みが評価され、CDP(注4)が実施するサプライヤーエンゲージメント評価において、最高評価の「サプライヤーエンゲージメント・リーダー」に2年連続で選定されたほか、米国のS&P Global社が発行した「The S&P Sustainability Yearbook 2024」において「情報技術サービスおよびインターネットソフトウェア・サービス」分野の上位1%に選定されました。また、2024年4月から、国内外をまたぐサステナビリティ経営推進のためのガバナンス体制として、取締役副社長執行役員(提出日現在においては、代表取締役副社長執行役員)であるコーポレート総括担当役員を委員長とするサステナビリティ経営推進委員会を設置しています。詳細については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。持株会社体制への移行と新たな海外事業運営体制これまで当社の日本国内の事業は継続的に拡大し、海外においても2022年10月のNTT Ltd.との事業統合により急速に事業が拡大しています。これらの状況を踏まえて、当社グループは今後のさらなる事業拡大に向けたグローバル経営体制にシフトし、グローバルを前提とした戦略の下で国内・海外のニーズ、商習慣、法規制を踏まえてイノベーション、マーケティング、ガバナンス、デリバリーの仕組みを構築し、事業環境の変化に迅速に対応するため、2023年7月に持株会社体制へ移行しました。当社がグループ経営における指揮管理を、国内事業会社である株式会社NTTデータ及び海外事業会社である株式会社NTT DATA, Inc.が自律的な事業運営を担う体制とすることで、機動的な事業運営と適切なガバナンスを推進しています。また、2024年4月から株式会社NTT DATA, Inc.は新たなグローバル事業運営体制に移行しています。地域単位で一元的にオファリングを提供するリージョナルユニット、グローバルで共通的なサービスを提供するグローバルユニット、コーポレート機能を担うグローバル本社からなる体制とし、お客様エンゲージメントを強化するとともに、スケールメリットを生かしたグローバルでのサービスの提供能力を強化していきます。 [経営環境の見通し] 社会を取り巻く環境は日々大きく変化しており、地球環境への貢献を含む社会課題の解決と、新しい価値創造をはじめとする経済価値向上の両立等、企業経営に求められる要素は多様化しています。また、テクノロジーの進化を背景にさまざまなモノ・ヒトがつながることで、企業活動から人々の消費・生活スタイルまであらゆる社会トレンドが変化しています。これらにより、お客様のニーズも多様化・高度化し、ITサービスの重要性は引き続き高まっており、需要環境については堅調に推移していくものと見られています。 一方で、世界的な金融引締めと物価上昇等の影響による投資抑制や地政学的問題等による景気の下振れが懸念されているほか、IT市場においては、コンサルティング企業との競合や新規プレイヤーの参入等により競争環境は依然として激化しています。 このような環境において当社グループがお客様へ貢献し続けるために、グローバルレベルでのさらなる競争力強化及び財務健全性の確保が必要と考えています。 [対処すべき課題]海外事業の質を伴った成長国内事業に比べ収益性が低い海外事業の収益性改善に引き続き取り組む必要があると認識しています。 競争力の強化DXに代表されるITサービスの重要性の高まり、また、競争環境の激化に対応するため、さらなるデジタル関連ケイパビリティの獲得等を進める必要があると認識しています。 事業成長に向けた投資さらなる事業成長に向けた投資と、投資収益性や財務健全性への影響を考慮した適切な投資管理の必要性を認識しています。 人財の拡充世界的に人財獲得競争が激化していることを踏まえ、多様な人財が長期に活躍できる環境・文化への変革に取り組む必要があると認識しています。 [課題への対処]海外事業の質を伴った成長海外事業全体の収益性・競争力を高めるため事業構造改革を進めており、海外EBITA率※は2022年度の8.0%から2023年度に8.6%まで改善しています。2024年4月から3つのリージョナルユニットと2つのグローバルユニットに再編し、シナジー創出を含む事業成長、海外事業構造改革の効果の発現により2025年度の海外EBITA率10%※の達成を目指します。※M&A・構造改革等の一時的なコストを除く 競争力の強化中期経営計画の5つの戦略の徹底を継続し、競争優位性強化を進め、高度化したニーズ・技術等に対応していきます。 事業成長に向けた投資投資と成長の好循環の確立と、Global 3rd Stageに向けた事業成長のため、Strategic Investments、M&A投資、データセンター投資の枠組みで積極的な投資を継続します。注力技術・Industry領域の強化や次世代ビジネスの創出を目的とするStrategic Investmentsは、投資枠を今中期経営計画から大幅に拡大しており、2023年度は300億円規模の支出を伴った施策を実施しました。2024年度も継続して同規模の投資を行います。 M&A投資については、デジタル関連ケイパビリティ獲得や北米等主要マーケットにおけるシェア拡大に向け、進めていきます。また、国内においても、コンサルティング力やデジタルテクノロジー及びシステム開発力の強化、アセット拡充を進め、さらに事業を拡大させていくため、積極的にM&A投資を行います。データセンター投資については、当社グループはグローバルでプレゼンスの高いデータセンター事業者であり、また本事業は将来的にも成長の継続が予測されていることから、中長期的な事業基盤の重要領域と位置付け積極的に投資を行います。一方で、データセンター事業において設備投資額は有利子負債で調達しているため、金融費用も増加傾向にあります。引き続きNet Debt EBITDA 倍率を財務健全性の指標として、EBITDA創出力増加に合わせて有利子負債の増加をコントロールしていきます。 人財の拡充国内では、新卒採用の拡充に加え、経験者採用の強化に向けジョブ型雇用制度が適用されるFlexible Grade、スペシャリストのキャリアパスを実現するTechnical Grade等の新人事制度活用や対外ブランディング強化を行い、デジタル人財の獲得を増加・拡充させていきます。海外においては、グローバル成長戦略に必要な人財の確保をM&A等の手段も含めて進めています。また、獲得した人財の多様な力を新たな競争力につなげ、高度化したニーズ・技術等への対応力を高めていくことが必要であると考えており、人財の活躍に向けた制度の充実と、グローバル共通のトレーニングメニューの確立や人財交流等を中長期視点で進めていきます。 (注1) MEJAR(Most Efficient Joint Advanced Regional banking-system)当社グループが構築・銀行が主体で運営する、地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センターです。次期MEJARは2030年頃開始予定です。参加行は ㈱横浜銀行、㈱北海道銀行、㈱北陸銀行、㈱七十七銀行、㈱東日本銀行であり、㈱広島銀行が2030年度に参加予定です。 (注2) PITON当社グループが提供する、メインフレーム上に構築されたシステムをオープン化するためのフレームワークです。 (注3) Diversity Equity & Inclusion持続可能な社会の実現のために取り組むべき多様性、公平性、包摂性のことです。 (注4) CDP投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するための、グローバルな情報開示システムを運営する、英国の慈善団体が管理する非政府組織(NGO)のことです。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1) 業績[事業活動の取り組み状況及び業績]グローバルでのDX等の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、当社グループの強みであるつくる力とつなぐ力を生かしたオファリングの拡充やクロスセルの拡大を進めました。2023年7月に機動性を高める持株会社体制に移行し、コンサルティングからアプリケーション開発、インフラサービスまでを含めた多様なITサービスの提供に取り組みました。 当期における業績につきましては、NTT Ltd.連結拡大及び為替影響等に加え、日本・欧州における規模拡大等により売上高・営業利益は増収増益となりました。一方、当社株主に帰属する当期利益は、有利子負債の増等に伴う金融費用の増加及び税金費用の増加により減益となりました。 ・売上高4,367,387百万円(前年同期比25.1%増)・営業利益309,551百万円(同19.5%増)・税引前当期利益248,602百万円(同2.4%増)・当社株主に帰属する当期利益133,869百万円(同10.7%減) セグメント別の取り組み及び業績については、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。また、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しています。 (日本)主に日本国内において、中期経営計画で策定した5つの戦略を軸に、世界最先端のベストプラクティスやテクノロジーを活用し、日本の競争力強化に資するサービスを提供しました。サービスの提供価値を高めていく一方、提供価格については、近年の労務費・原材料費・エネルギー費等のコスト上昇を踏まえ、適切に取引価格に反映できるよう取り組みました。 当期の日本セグメントの業績は以下のとおりです。・売上高は、中央府省向け案件の規模拡大等により、1,756,962百万円(前期比6.2%増)となりました。・営業利益は、規模拡大による増益等により、186,735百万円(前期比9.9%増)となりました。 日本セグメントにおける各分野の取り組みは次のとおりです。 [公共・社会基盤]「デジタル社会の実現に向けた重点計画」における行政や準公共分野(医療・教育・防災・モビリティ等)のデジタルサービス拡充等により、デジタル社会実現に向けた取り組みが加速しています。当社グループは、その実現に向け、Foresight起点で社会の未来を描き、先進技術適用・付加価値提案による『顧客ビジネス深化』、利用者目線での『社会システム創出』に取り組むことにより、事業拡大を目指しました。 <国内外におけるハイレジリエント社会の実現に貢献>・D-Resilio連携基盤の提供開始行政や企業が持つ防災情報の収集・連携を支援する「D-Resilio連携基盤」の提供を開始しました。本基盤は防災情報の集約と連携を重視し、災害時に迅速かつ正確な情報収集を行政や企業に提供することを通じてプロアクティブな防災対応を実現します。 ・インドネシア「防災情報処理伝達システム(DPIS)」の構築開始政府から災害情報を迅速に発信し、国民の安全・安心を守るためのシステムである「防災情報処理伝達システム(DPIS)」の構築プロジェクトをインドネシアで開始しました。当社グループは本プロジェクトにより、日本の防災情報共有システムであるLアラートの海外展開を初めて実現します。LアラートのアーキテクチャーをベースにD-Resilio連携基盤で培った情報配信のノウハウを活用し、インドネシア国民に津波・地震情報を迅速に伝達することでインドネシア国民の避難促進等の災害対策に貢献します。また、今後は噴火・洪水等他の災害情報にも範囲を拡張する予定です。当社グループは、防災DXソリューション・ノウハウについて国内外の展開を進め、ハイレジリエント社会の実現に貢献します。 <環境行動や電力データを活用した脱炭素化支援アプリ等の開発>当社グループが電力データの活用による社会課題解決を目的に出資する㈱GDBL(注1)は、環境行動(注2)のスコア化や家庭の電力データの活用により脱炭素化を支援する「ZeroCa(ゼロカ)」(以下、本サービス)の提供を開始しました。昨今、脱炭素化の考え方や取り組みは徐々に浸透していますが、依然として個人や世帯においては環境行動に取り組むことに対するハードルの高さや得られる効果の実感が湧きづらいこと、企業や自治体においてはCO2排出量の多いエリアの把握や施策の優先順位付けが難解であること及び個人の行動変容を定着化させる手段が少ないこと等の課題がありました。本サービスは“環境行動をもっと心地よく”をコンセプトに、環境行動の習慣化により、二酸化炭素排出由来の多くを占める“電力”を軸とした行動変容を促し、脱炭素(ゼロカーボン)社会の実現を後押しするサービスです。ユーザーの環境行動や電力データをわかりやすくスコアとして可視化することで、個人や世帯が脱炭素に取り組む上での確かな実感と新たな気づきを提供し、環境行動を無理なく続ける支援をします。また、電力データを用いて実数値に基づく電気由来の二酸化炭素排出量や電力需給状況を可視化することにより、脱炭素関連事業・街づくりに取り組む企業や自治体による脱炭素化に向けた計画策定・施策実行・振り返りの推進を支援します。当社グループは本サービスの提供に係るシステムの構築等を実施しました。当社グループは㈱GDBLと協力し、個人や世帯の環境行動を心地よいものへと変化させるとともに、企業や自治体の脱炭素化推進を支援し、持続可能な社会の実現に向けた道標となることを目指します。 [金融]社会のデジタル化の進展により、生活に密着した金融サービスが次々と登場している中、金融システムには、信頼性と先進性の両立がいっそう求められています。当社はサステナブルな社会の実現に向けて、安心・安全な金融インフラを永続的に支え続けるとともに、業界をつなぐ新たな金融サービスの創出・拡大を目指しました。 <共同利用型勘定系システムのクラウドシフト化に向けた取り組み> 当社グループは、地域金融機関5行が共同利用しているシステム「MEJAR」に当社グループが提供するフレームワークである「PITON」を適用し、オープン系システムへの移行を完了し、国内銀行業界で初めて、マルチバンクオープン勘定系システムの稼働を開始しました。当社グループは、本実績により、共同利用型勘定系スキームをクラウド化するための実現性を確認できたことから、本取り組みをさらに一歩進め、安心・安全・安価に永続的なバンキングサービスを提供するための「統合バンキングクラウド」を地銀共同センター(注3)へ2028年1月目途に適用することを決定し、開発に着手しました。「統合バンキングクラウド」は、バンキングシステム専用の国産かつ金融機関に求められる高い信頼性を備えたクラウドで、データセンター・ハードウェア・ミドルウェア等を集約し、当社グループがワンストップで提供することにより、効率的な運用や金融機関の管理負担の軽減へ寄与するだけでなく、永続的なサービスの実現を可能とします。当社グループは、今後も先進的なデジタル技術を生かし、銀行システムのクラウドシフト等を進め、「OSA(注4)」のコンセプトに基づき、金融機関のビジネスパートナーとして、顧客体験価値の向上に向けたDXの加速に貢献していきます。 <デジタルアセット市場における金融機関のオープンな共創をサポート> ・デジタル社債向け「標準化インフラ」構築に向けた提携 当社グループと三菱UFJ信託銀行㈱(以下、三菱UFJ信託銀行)は、当社グループが持つ国内で圧倒的なシェアを誇る社債管理基盤と、三菱UFJ信託銀行が持つデジタルアセットの発行・管理基盤である「Progmat(プログマ)サービス(注5)」とを連携させ、デジタル社債向け標準化インフラ(以下、本基盤)の構築を進めることについて合意しました。さらに、㈱三菱UFJ銀行は、本基盤を用いたデジタル社債の発行支援を開始します。 日本ではデジタル社債の発行はいまだ試験的な段階にあり、ブロックチェーン技術を活用したデジタル社債の拡大には、固有の付加価値の提供や利便性の向上に加え、市場参加者である金融機関や事業会社が導入・移行に要する負荷の軽減が求められています。本基盤の構築でProgmatサービスでのデジタル社債の取り扱いを容易にすることにより、市場参加者のデジタル社債市場参入を容易にし、デジタル社債市場の活性化を図ります。・デジタルアセット市場のナショナルインフラ構築に向けた法人設立への参画 当社グループを含む8社(注6)は、本基盤の一部を担うProgmatサービス、及び「デジタルアセット共創コンソーシアム(注7)」の運営を担う㈱Progmat(以下、Progmat社)を設立しました。 同8社は、デジタルアセット市場のナショナルインフラを目指す本基盤を構築するためには、金融市場に関する深いドメイン知識と圧倒的なインフラ構築力が必要であり、金融機関と経験豊富なソフトウェア企業である当社グループが手を携えて「共同企業体」を創ることで、より早く、より広く、インパクトを出せる開発集団を目指しました。当社グループは金融インフラや先端技術、ブロックチェーンに関するノウハウを生かし、関係者の皆さまとともに同社の発展に寄与します。同8社はProgmat社設立を通じ、業界を挙げて「共創領域」を「標準規格」で円滑に実装し、市場参加者の圧倒的な利便性向上を実現することで、日本のデジタルアセット市場の発展と競争力を高めていきます。 [法人]2023年4月に法人分野の組織再編を行いました。コンサルティング、ペイメント、テクノロジーそれぞれの専門性を発揮し提供価値向上を担う組織と、インダストリー軸でそれらを束ね、Foresight起点でEnd to Endでお客様に価値提供するインダストリー組織のマトリクス運営を進めました。さまざまなインダストリーのお客様の、ビジネス変革を加速するビジネスパートナーとして、業界・お客様のあるべきビジネスの姿をお客様と描き、それを実現するための企画策定から、先進技術とシステム開発技術を活用した変革の実現まで、一貫して高い価値を提供しました。 <JR東海のDXプロジェクトに一気通貫で参画>当社グループは、東海旅客鉄道株式会社(以下、JR東海)のデジタル変革施策プロジェクトに参画し、デジタルマーケティング基盤と駅ビル共通営業システムを連携することで、お客様の会員基盤強化を実現しました。 鉄道業界ではコロナ禍以降事業環境の変化に対応する新たな取り組みを加速させる必要がありました。JR東海においても、鉄道事業以外のグループ事業を含めた事業全体の収益拡大を推進するため、沿線都市と移動の価値向上を目指した世界観をもとにグループ共通ポイント(注8)の構想を持っていました。このような課題を背景として当社グループは、構想を実現するための具体的なポイント制度や業務設計のコンサルティング、システムの実装方式の提案や構築、その後のサービス拡大に向けた企画の具体化や効果検証等まで、プロジェクトを通して一気通貫でJR東海に伴走しています。 本取り組みによりデジタルマーケティング基盤と駅ビル共通営業システムが連携することで、JR東海はグループ事業の顧客情報やポイント残高を一元的に管理することが可能となり、さらに、EXサービス(注9)と連携することで、鉄道事業とその他のグループ事業双方の価値向上に寄与しています。当社グループは、今後もお客様の事業パートナーとして現行サービスの改善活動だけでなく、会員基盤強化に向けたさらなる提案を実施し、お客様のビジネス発展に貢献していきます。 (海外)グローバル全体でのシナジーを生み出すために事業構造の転換を目指し、コンサルティング及びデジタル領域を中心としたオファリングの拡充、既存ビジネス領域での自動化促進等を含めた収益性向上、デジタル人財の拡充及び育成をグローバル一体となって行ってきました。さらに、DXが加速する中で求められるサービスにNTT Ltd.が持つデータセンターやネットワークサービス等のインフラ・Connectivityの強みを加えトータルに提供し、複雑化・多様化するニーズにグローバルレベルで対応してきました。 当期の海外セグメントの業績は以下のとおりです。・売上高は、NTT Ltd.の連結拡大影響、為替影響、及び欧州での規模拡大等により、2,654,548百万円(前期比41.2%増)となりました。・営業利益は、NTT Ltd.の連結拡大影響や増収等により、115,779百万円(前期比41.9%増)となりました。 <Hyster-Yale Group向けフォークリフトの自動制御を目的としたプラットフォーム構築案件獲得>NTT DATA ServicesとNTT Ltd.は、グローバルに事業展開するフォークリフト製造企業であるHyster-Yale Groupから、自動フォークリフトの移動サポートを実現するトラフィックマネジメントプラットフォーム(以下、本プラットフォーム)構築案件及び大規模ITアウトソーシング案件を受注しました。NTT DATA Servicesのサブブランドである「Launch by NTT DATA(注10)」が中心となり、MVP開発手法(注11)によるお客様提案を通じた専門性が評価されたこと、及びNTT Ltd.のインフラ領域のケイパビリティを高く評価されたことにより 本プラットフォーム構築案件の受注につながりました。NTT DATA Servicesは、本プラットフォームをお客様及びその顧客へSaaSライセンス製品として提供し、NTT Ltd.は、本プラットフォームに関するネットワークのマネージドサービスを提供することで、One NTT DATAとしてEnd to Endのデリバリーを実現します。お客様のITアウトソーシングに関わるDX推進について、NTT DATA Servicesは、Azureクラウドへの移行、サービスデスク業務へのAI導入、デバイス更改支援機能の導入を通じて、NTT Ltd.は、ネットワークの改善・更改によりインフラモダナイゼーションをそれぞれ支援します。 <大手多国籍企業向けにインフラからアプリケーション領域にわたるフルスタックサービスを提供>NTT Ltd.とNTT DATA Servicesは、大手多国籍企業向けに親会社からのスピンアウトに伴うIT環境構築案件を受注しました。NTT Ltd.が要件ヒアリングを丁寧に実施し、NTT DATA Servicesのアプリケーション領域のケイパビリティを加えることにより、インフラ領域だけでなくアプリケーション領域の顧客要件を充足できたことが本案件の受注につながりました。 同社は親会社からのスピンアウトに伴い親会社からアプリケーション及びインフラを切り離し、スタンドアロンとして稼働させる必要がありました。NTT Ltd.はインフラ領域(ワークプレイス、ネットワーク、セキュリティ、ホスティングプラットフォーム環境等)を、NTT DATA Servicesはアプリケーション領域(Oracle Fusion Cloud ERP、Workday HCM、ServiceNow、MuleSoft等)を担当し、One NTT DATAとしてお客様をサポートし、2024年3月に予定されていたIT環境の移行作業を全て完了しました。 <データセンター事業への積極投資>データセンター事業は、旺盛な需要を背景に成長が見込めることから、当社グループは積極的に投資を進めています。2023年度においては、インド、ドイツ、アメリカ、マレーシアに13のデータセンター(電力容量で226MW)の提供を開始し、全世界で約30都市、約120棟、約1,120MWの規模でサービスを提供しています。他社との提携も進めており、2023年度は、東京電力パワーグリッド株式会社と千葉県印西白井エリアにおける、データセンターの共同開発及び運用を目的とした新会社の設立に向けて合意し、また、東京センチュリ―株式会社のグループ会社とは米国シカゴのデータセンター事業の共同運営を決定しました。 (注1)㈱GDBL当社グループ、東京電力パワーグリッド㈱、中部電力㈱、関西電力送配電㈱が出資し、2022年4月に設立された企業です。電力データを活用した各種サービスを提供するとともに、電力データと異業種データの掛け合わせによる価値向上・新たな価値創造の実証やコンサルティング等、あらたなサービスを創出するための活動を展開しています。 (注2)環境行動地球温暖化をはじめとした環境問題に対し、日々の生活や経済活動を委縮させることなく、持続可能な発展をさせるために、個人や事業者等が自主的かつ積極的に環境保全に配慮した取り組みを行うことをいいます。 (注3)地銀共同センター当社グループが構築・運営する、地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センターのことです。参加行は以下のとおりです。(利用開始及び銀行コード順)㈱京都銀行、㈱千葉興業銀行、㈱岩手銀行、㈱池田泉州銀行、㈱愛知銀行、㈱福井銀行、㈱青森銀行、㈱秋田銀行、㈱四国銀行、㈱鳥取銀行、㈱西日本シティ銀行、㈱大分銀行、㈱山陰合同銀行 (注4)OSA(Open Service Architecture)当社グループにて推し進めている、ポストコロナに求められる新しい金融ITの姿を具体化した標準アーキテクチャーです。 (注5)Progmat(プログマ)サービス現時点では、㈱Progmatに帰属しています。 (注6)当社グループを含む8社㈱NTTデータ、三菱UFJ信託銀行㈱、みずほ信託銀行㈱、三井住友信託銀行㈱、㈱三井住友銀行、SBIホールディングス㈱、㈱日本取引所グループ、㈱Datachainの8社を指します。 (注7)デジタルアセット共創コンソーシアムデジタルアセット全般を対象とした、業界横断での新たなエコシステムの共創を目指す枠組みです。同コンソーシアムにおいては、会員企業(2024年3月時点で228社)の協力の下、「Progmatサービス」を軸に、複数の関係者間を跨ったワーキンググループや個別プロジェクトについての検討を行っています。 (注8)グループ共通ポイントJR東海グループの駅商業施設・店舗の共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」のことです。 (注9)EXサービス東海道・山陽・九州新幹線のインターネット予約&チケットレス乗車サービス「エクスプレス予約」「スマートEX」のことです。 (注10)Launch by NTT DATAコンサルティングやデジタルを通じたケイパビリティの拡充を目的としたM&Aにより加わった5社、及びNTT DATA Servicesの既存組織であるModern Applications 及びUser/Customer Experienceチームが一体となって、2023年4月に立ち上げた北米リージョンのサブブランドのことです。デジタル(Digital)、IoT、体験型(Experience)、没入型(Immersive)といったオファリングを提供することにより、お客様組織が「デジタル体験」を作り出すことを支援し、カスタマーエンゲージメントの実現とお客様の成長を牽引します。 (注11)MVP(Minimum Viable Product)開発手法必要最小限のプロダクト開発、リリース、ユーザーからの有効なフィードバックを繰り返し、改善していく開発手法のことです。 (2) 財政状態の状況当連結会計年度末の資産は、為替影響含む有形固定資産及びのれんの増加等により、前連結会計年度末に比べ1,061,234百万円増加して、7,219,429百万円となりました。負債も、為替影響含む有利子負債の増加等により前連結会計年度末に比べ677,185百万円増加して、4,439,015百万円となりました。 また、資本は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ384,049百万円増加して、2,780,414百万円となりました。 (3) キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は431,774百万円と前連結会計年度末に比べ16,414百万円増加となりました。当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税等の支払はあるものの、当期利益145,541百万円、減価償却費及び償却費341,541百万円等により498,789百万円の収入(前年同期比148,222百万円の収入増加)となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出654,473百万円等により624,508百万円の支出(前年同期比302,226百万円の支出増加)となったことから、当期のフリー・キャッシュ・フローは125,718百万円の赤字(前年同期は28,286百万円の黒字)となりました。 また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金等の支出があるものの、有利子負債の調達等により、109,166百万円の収入(前年同期比26,494百万円の収入減少)となりました。 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりです。 区 分2023年3月期2024年3月期D/Eレシオ (倍)1.191.27 (注)D/Eレシオ:有利子負債/自己資本(資本合計-非支配持分)なお有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、社債及び借入金を対象としています。 (生産、受注及び販売の状況)(1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称 当連結会計年度(自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日)(百万円)前年同期比(%)日本406,51013.4海外69△95.4その他5,310△28.5合計411,89012.1 (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。 2 金額は、製造原価(販売価格)によっています。(2) 受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日)前年同期比受注高(百万円)期末受注残高(百万円)受注高(%)期末受注残高(%)日本1,646,7471,764,103 13.98.4海外3,130,4014,090,532(注)3146.935.3その他13,7744,970 9.221.0合計4,790,9225,859,605 75.825.9 (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。 2 ANSER、CAFIS等利用量に見合う料金をいただくサービスについては、受注高に含めていま せん。 3 前連結会計年度の受注高には、NTT Ltd.連結拡大影響を含めていません。 (3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度 (自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日) (百万円)前年同期比(%)日本1,718,3786.6海外2,636,27541.3その他12,7343.1合計4,367,38725.1 (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。 2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 各販売先における販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、主な相手先 別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しています。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(1) 当連結会計年度の経営成績の分析以下は、前年度実績対比及び2022年5月12日に公表の業績予想対比の分析を記載しています。① 売上高の状況当連結会計年度の実績値比較情報増減金額増減率4,367,387百万円前年度実績対比877,205百万円25.1%の増加業績予想対比267,387百万円 6.5%の増加 前年度実績対比においては、NTT Ltd.連結拡大及び為替影響等に加え、日本・欧州における規模拡大等により、前連結会計年度を上回りました。また、業績予想対比においては、為替影響及び日本における規模拡大等により、業績予想を上回りました。 ② 営業利益の状況当連結会計年度の実績値比較情報増減金額増減率309,551百万円前年度実績対比50,440百万円19.5%の増加業績予想対比17,551百万円6.0%の増加 前年度実績対比においては、NTT Ltd.連結拡大や増収等により、前連結会計年度を上回りました。また、業績予想対比においても、為替影響及び日本における増収に伴う増益により、業績予想を上回りました。 ③ 当社株主に帰属する当期利益の状況当連結会計年度の実績値比較情報増減金額増減率133,869百万円前年度実績対比△16,092百万円10.7%の減少業績予想対比△10,131百万円7.0%の減少 前年度実績対比においては、有利子負債の増等に伴う金融費用の増加及び税金費用の増加により、前連結会計年度を下回りました。また、業績予想対比においても、税金費用の増加により、業績予想を下回りました。 (2) 当連結会計年度末の財政状態の分析当連結会計年度末における財政状態の概況については、「業績等の概要 (2) 財政状態の状況」をご参照ください。 (3) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報① 財務方針社会や金融・経済を支える大規模システムの開発・構築を担う企業として、ビジネスを安定的に継続し、中長期的な企業価値の向上を実現していくためには、強固な財務基盤を維持することが重要と考えています。現中期経営計画においては、財務レバレッジを高め将来の利益源獲得に向けたさらなる積極投資を実施することで、中長期的な競争優位性の維持・強化していく方針ですが、一定の財務健全性と積極投資とのバランスをコントロールするために、Net Debt EBITDA倍率(注)を重要指標と位置付け、2026年3月期に2倍程度を目安としてキャッシュ・フロー創出力と有利子負債のバランスをコントロールしていきます。(注)Net Debt EBITDA倍率=(有利子負債-現預金)/EBITDA② 経営資源の配分(資金需要)・株主還元社会を支える情報インフラの開発・運用のための先行投資に加え、グローバルで質の伴った成長をするために、デジタル対応力強化やM&A等の成長に必要な事業投資に優先的にキャッシュを振り向けていきます。 株主還元については、成長に必要な事業投資と健全な財務基盤の維持のバランスを総合的に勘案した上で、中長期的に充実していく方針です。資本効率の向上については、EBITDAの拡大とREITを活用したデータセンター資産の流動化を通じた投下資本の圧縮等により対応を図っていきます。③ 資金調達 資金調達は、金融機関等からの借入、各種社債の発行等にて対応する方針です。長期的な資金については、当社はNTTグループの強固な財務基盤を背景としたNTTグループファイナンスによる資金調達に加え、多様な資金調達手段を確保するために、国内の2つの格付機関から長期債の格付けを取得しています。短期的な資金についても、国内の2つの格付機関からコマーシャル・ペーパーの格付けを取得し、150,000百万円の発行枠を保有するとともに、NTTグループのキャッシュマネジメントシステムにも加入しており、現金及び現金同等物の代替となる資金流動性も十分確保しています。また、当社グループの国内外の子会社にグループキャッシュマネジメントシステムを導入し、当社グループ内の資金集中・配分を実施しています。これら複数の安定的な資金調達手段を確保しつつ、金利条件や為替リスク等を勘案して、さまざまな資金調達・配分方法を組み合わせることで、当社グループ全体の有利子負債と支払利息の低減を図っています。④ キャッシュ・フロー当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「業績等の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 (4) 重要な会計方針及び見積り当社グループにおける重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。 |
※本記事は「株式会社NTTデータグループ」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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