会社名 | 大阪瓦斯株式会社 |
業種 | 電気・ガス業 |
従業員数 | 連21159名 単1137名 |
従業員平均年齢 | 44歳 |
従業員平均勤続年数 | 16.5年 |
平均年収 | 7125308円 |
1株当たりの純資産 | 3857.51円 |
1株当たりの純利益 | 320.6円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 82.5円 |
配当性向 | 49.9% |
株価収益率(PER) | 10.58倍 |
自己資本利益率(ROE) | 8.9% |
営業活動によるCF | 3126億円 |
投資活動によるCF | ▲2159億円 |
財務活動によるCF | ▲1101億円 |
研究開発費※1 | 32.18億円 |
設備投資額※1 | 1984.21億円 |
販売費および一般管理費※1 | 2378.14億円 |
株主資本比率※2 | 41.2% |
有利子負債残高(連結)※3 | 8145.87億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営環境2023年度のわが国経済は、コロナウイルス禍から社会経済活動が正常化するとともに、輸出や設備投資が堅調に推移し、緩やかな回復傾向が続きました。エネルギーに関しては、国内における人口減少や工場の海外移転等による需要の減少に加えて、電力・ガス小売全面自由化により、市場の競争は激しい状況が続いており、エネルギー資源の需給バランスの不安定化や激しい価格変動等、LNG調達環境の不確実性等のリスクはさらに高まっております。また、気候変動問題に対応する国内外におけるカーボンニュートラル潮流の加速やデジタル化の進展、価値観の多様化、労働人口の減少、自然災害の甚大化、国際情勢の悪化等、経営環境の変化はスピードを増している一方、カーボンニュートラル社会実現へのトランジションエネルギーとして、CO2排出量の少ない天然ガスに対する期待が高まっております。 (2) 経営方針・経営戦略等こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」として、天然ガス・電力・LPG等のエネルギーとその周辺サービスや、都市開発・材料・情報等のエネルギー以外の様々な商品・サービスを通じて、「お客さま価値」「社会価値」「株主さま価値」「従業員価値」の創造を目指します。そのためには、持続的な成長を実現することが最大の経営課題であると認識し、2017年に長期経営ビジョン2030「Going Forward Beyond Borders」を、2024年3月には新中期経営計画2026「Connecting Ambitious Dreams」を策定しました。また、当社グループの事業活動におけるカーボンニュートラルの実現の方向性や取り組みを示した「カーボンニュートラルビジョン」を2021年に、「エネルギートランジション2030」を2023年に策定しております。当社グループは、これらのビジョン・計画に沿って、時代を超えて選ばれ続ける革新的なエネルギー&サービスカンパニーとなることを目指します。また、経営環境の変化に対応しながら、安定供給やトランジション期における低炭素化等「今日の安心」をまもり続けるとともに、カーボンニュートラル等社会課題の解決が進む「未来の日常」の創造に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。 (3) 経営指標中期経営計画2026では、各事業の収益性向上や財務健全性の維持、事業の成長に応じた株主還元の実現を掲げ、着実に取り組みを進めていきます。① 収益性、成長性ROIC(投下資本利益率)(※)5%程度、ROE8%程度を目標に掲げ、資本効率の向上を通じて、各事業の成長力の向上を目指します。※ (経常利益+支払利息-受取利息-法人税等)÷(有利子負債+自己資本)有利子負債は、当社にリスクのないリース負債を除きます。② 財務健全性連結自己資本比率(※)45%以上、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)(※)0.8以下を目指します。※ 利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の資本性50%を調整③ 株主さまへの還元原則、減配を実施せず、増配又は維持を目指す累進配当を基本に据えて、株主資本を基準に配当を行う株主資本配当率(DOE)3%を目指します。 (4) 対処すべき課題中期経営計画2026では、重点戦略「3つの約束」として、カーボンニュートラルと天然ガスの高度利用の両輪で社会課題の解決を進める「ミライ価値の共創」、多様な人材が集い切磋琢磨し合う企業文化を目指す「従業員の輝き向上」、資産価値の最大化を図るアセットライトな経営意識の徹底を中心とする「経営基盤の進化」を掲げます。これらの取り組みを通じて、社会課題の解決に資する価値創造と、「国内エネルギー事業」「海外エネルギー事業」「ライフ&ビジネス ソリューション事業」を3つの柱とした、将来の経営環境の変化に対応するポートフォリオ経営の実践を目指します。それらの実現に向け、以下のとおり、課題に取り組みます。① 国内エネルギー事業a 安定的、経済的な原燃料調達多数の生産者から分散して調達することにより、天然ガス等の原燃料の安定確保に努めるとともに、契約価格指標の多様化等により、市場競争力を高める原燃料調達を目指します。また、原燃料調達の不測の事態に対しては、トレーディング等で培ったノウハウを活かし、迅速かつ柔軟に原燃料の確保を図ります。b 競争力のある電源の確保及び再生可能エネルギーの普及拡大新規電源の開発、卸電力市場やアライアンス先からの調達等を通じ、競争力のある電源ポートフォリオの構築を進めます。特に再生可能エネルギーは、カーボンニュートラル化に向けて開発や事業参画を推進し、協業等を通じて調達先の拡大や案件取得を進めていきます。c 安定供給と保安の確保安全かつ安定的な操業を最優先にして、ガス製造・供給設備、発電設備等の維持・増強・改修、地震・津波等の自然災害対策及び感染症の流行等の事態への対策等、安定供給とレジリエンスの向上に継続的に取り組みます。また、万一のガス漏れ等の緊急時への対応を引き続き行い、お客さま先の保安の確保に努めていきます。d マーケタービジネスの拡大燃料電池等のガスコージェネレーションシステムやガス冷暖房の普及、電力・LPG販売の拡大、「D-Lineup」等の提案メニューの拡充、分散型電源と再生可能エネルギーを組み合わせたエネルギーネットワークの構築等を通じて、カーボンニュートラル化やレジリエンスの向上といった社会課題の解決に貢献していきます。また、デジタルを活用したライフサービスプラットフォームの「スマイLINK」や「住ミカタ・サービス」、リノベーション等のライフサポートサービス、建物・設備の管理やメンテナンス、空調・換気、水処理、省エネルギーや設備稼働状況等の見える化等、エネルギー周辺サービスを拡充するとともに、固定通信サービスや冷蔵食品の定期宅配サービスの「FitDish」、お客さまのライフスタイルやビジネスニーズに応じたエネルギー料金メニューも総合的に提供することで、お客さまの快適な生活の実現やビジネスの発展に貢献していきます。さらに、各地のエネルギー事業者を含めた様々なパートナーとの連携等を通じ、幅広くマーケタービジネスを拡大していきます。e エネルギーインフラ開発、エンジニアリング事業の推進天然ガス火力発電所等の新規エネルギーインフラ開発を推進します。また、LNGの導入等を検討しているお客さまに対し、これまでの事業展開で培ったノウハウを活かし、ニーズに応じたソリューションを提案することでエンジニアリング事業を推進していきます。f 公正で効率的なガス導管事業の推進一般ガス導管事業者として、託送供給の中立性・透明性の確保や利便性の向上を図りつつ、地域社会や需要家のニーズに応えながら、都市ガス需要の維持・拡大に継続的に取り組みます。 ② 海外エネルギー事業天然ガス等の安定調達と収益獲得のため、現在取り組んでいる北米サビン社によるシェールガス開発等を着実に推進するとともに、北米フリーポートプロジェクトの液化事業や豪州ゴーゴン・イクシスプロジェクトの生産事業の安全かつ安定的な操業に向け働きかけていきます。IPP事業では、ガス火力発電事業の安定的な操業に努めるとともに、再生可能エネルギー等の開発・取得を進めていきます。マーケタービジネスでは、国内で培った知見を活かし、ガス・電力・エネルギーサービス事業の運営や新規案件の開発等に着実に取り組むとともに、事業参画等を通じて新しい領域におけるノウハウの取得を進めます。さらに、ニーズに応じたソリューションを提案することで、エネルギーインフラ開発やエンジニアリング事業を推進していきます。③ ライフ&ビジネス ソリューション事業エネルギー事業で培った技術と知見を基盤に、都市開発・材料・情報等の事業で、固有の強みを活かした商品・サービスを提供することで、国内外のお客さまの快適・便利・健康の実現をサポートし、お客さまの豊かな暮らしやビジネスの発展に貢献していきます。④ 経営基盤a ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営の実践「Daigasグループ企業行動憲章」に基づき、ESGに配慮した経営を実践し、国内外における当社グループのサプライチェーンに関わる皆さまとともに、お客さまや社会からのさらなる信頼獲得に努めていきます。環境の側面では、カーボンニュートラル社会へのトランジション期において、石炭・重油等から天然ガスへの燃料転換や高効率な設備の導入等を推進するとともに、再生可能エネルギーの導入や、カーボンニュートラルなLNGや都市ガスの普及等により、お客さま先や自らの事業活動におけるCO2排出削減の取り組みを一層拡大してまいります。さらに、カーボンニュートラル社会の実現に向け、e-メタン・水素等の技術開発やサプライチェーン構築を進めていきます。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を踏まえて、カーボンニュートラル化への取り組みに関する情報開示の充実に取り組みます。社会の側面では、国際規範に則り、2021年4月に制定した「Daigasグループ人権方針」に基づき、人権や労働・安全衛生への取り組みを進めるとともに、女性取締役の登用等によるDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の風土醸成を進めていきます。ガバナンスの側面では、コンプライアンスの意識向上の取り組みを継続するとともに、監査等委員会設置会社への移行等を通じたガバナンス体制の強化や、情報セキュリティ対策等を推進します。b イノベーション・技術開発・デジタルトランスフォーメーションの推進IoTやAI等、最先端のデジタル技術や当社グループ内外のアイデアを活用した新しいサービスの創造による価値向上と、社内での業務改革・システム刷新による生産性の向上に取り組みます。また、燃料電池をはじめとするガス機器・設備のさらなる高効率化とコストダウン、新たな材料や情報処理、カーボンニュートラル化等に関する技術開発を推進します。c 人材・組織の強化当社グループのアウトプットの最大化に向けて、多様な人材が集い切磋琢磨しあうことで従業員の力が最大限発揮される環境づくりを進めていきます。人材の面では、多様で専門性の高い人材の獲得を拡大するとともに、従業員の成長を促進する制度・育成策を強化していきます。組織の面では、タレントマネジメントにより適所適材の配置を実現するとともに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進や、働き方・仕事の進め方の変革、成長と挑戦を促す組織風土のさらなる醸成等に取り組んでいきます。会社と人材の双方向のコミュニケーションを通じて各取り組みを活性化させ、従業員のエンゲージメント向上を図ります。 (5) おわりにグループの内部統制システムの運用状況の確認及び評価を継続的に行い、所要の措置を講じることにより、実効性の高い内部統制を行っていきます。これらの仕組みのもと、以上の課題に対処するとともに、「Daigasグループ企業理念」を実践し、持続的成長に向けて不断の努力を続けていきます。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営成績の分析① 概要当期におけるわが国経済は、コロナウイルス禍からの社会経済活動の正常化が進むとともに、輸出や設備投資が堅調に推移し、緩やかな回復傾向が続きました。こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」となることを目指し、積極的に事業活動を展開してまいりました。当期の売上高は、国内エネルギー事業で販売量が多い冬期において原料費調整制度に基づきガス販売単価が前期に比べて低めに推移したことやLNG販売価格が下落したことなどにより、前期に比べて1,920億円減(△8.4%)の2兆830億円となりました。経常利益は、国内エネルギー事業での前年度のフリーポートLNGプロジェクトの液化基地の操業停止を受けたLNG調達等に伴う費用増加の反動や、原料価格等の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる増益影響(*)等により、1,509億円増(+199.5%)の2,265億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、755億円増(+132.3%)の1,326億円となりました。(*)原料価格及び燃料価格の変動が、原料費及び燃料費調整制度に基づく販売単価に反映されるまでには一定の時間差があるため、一時的な増減益要因となります。 ② 売上高売上高は、国内エネルギー事業で販売量が多い冬期において原料費調整制度に基づきガス販売単価が前期に比べて低めに推移したことやLNG販売価格が下落したことなどにより、前期に比べて1,920億円減(△8.4%)の2兆830億円となりました。当社グループのセグメント別売上高の中で最も大きな割合を占める国内エネルギーセグメントの売上高は、販売量が多い冬期において原料費調整制度に基づきガス販売単価が前期に比べて低めに推移したことやLNG販売価格が下落したことなどにより、前期に比べて2,010億円減(△10.2%)の1兆7,706億円となりました。ガス供給件数は、前期末に比べて0.9%増の504万8千件となり、ガス販売量は、前期に比べて2.9%減の66億4千6百万m3となりました。ガス販売量の状況を用途別に見ると、家庭用ガス販売量は、供給件数の増加等により、前期に比べて1.4%増の17億2千1百万m3となりました。業務用等のガス販売量は、特定のお客さま設備の稼働減少等により、前期に比べて4.3%減の49億2千5百万m3となりました。家庭用のガス機器・サービスにつきましては、給湯、暖房、調理等の機器・設備に加え、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」等の商品の開発及び販売拡大に努め、2024年4月には、「エネファーム」の累計販売台数が20万台を突破いたしました。また、ガス機器・水まわりの修理等や防災・防犯に関する「住ミカタ・サービス」や、デジタルを活用したライフサービスプラットフォーム「スマイLINK」、インターネットサービス「さすガねっと」等の各種サービスの提供とさらなるメニュー拡充に努めました。2023年9月、ライフスタイルや嗜好を入力することで、お客さまごとのニーズにあわせた冷蔵パウチ食品をお届けする定期宅配サービス「FitDish」を開始いたしました。業務用のガス機器・サービスにつきましては、コージェネレーションシステム、冷暖房システム、厨房機器、ボイラ、工業炉、バーナ等の商品の開発及び販売拡大に努めました。また、エンジニアリング力を活用し、脱炭素化・分散化・デジタル化の視点でお客さまの様々な経営課題を解決する「D-Lineup」等、お客さまのニーズに応じた高付加価値のソリューションの提供に努めました。 都市ガスのカーボンニュートラル化の有望技術として期待される高効率なSOECメタネーション技術の基礎研究等に取り組んでおります。その他、低・脱炭素化に資する触媒・燃焼技術等の研究開発にも取り組んでおります。2023年10月、株式会社INPEXと共同で実施しているCO2-メタネーション技術の実用化を目指した技術開発事業において、家庭用1万戸分に相当する400Nm3-CO2/hのe-メタンを製造できる試験設備の本工事を開始いたしました。カーボンニュートラル社会へのトランジション期における取り組みとして、石炭・重油等から天然ガスへの燃料転換や高効率な設備の導入等を推進し、お客さま先でのCO2排出削減に努めました。安定供給・保安の確保につきましては、天然ガスの調達先の多様化、AI技術活用も含めた製造・供給設備の保全と計画的な改修、安全機能を備えたガス機器の普及促進等に継続的に取り組みました。また、2023年9月、南海トラフ地震を想定し、より実践的な総合防災訓練を実施するなど、引き続き、地震対策・津波対策に取り組みました。低圧電気供給件数は、前期末に比べて7.5%増の183万5千件となり、電力販売量は、前期に比べて3.6%減の153億8百万kWhとなりました。ガスとセットでお得にご利用いただける料金メニュー、お客さまのライフスタイルや趣味にあわせた料金メニュー、脱炭素に資する料金メニュー等、多彩な電気料金メニューの提供に努めました。当社の子会社であるDaigasエナジー㈱は、2023年11月、業務用のお客さまを対象に、お客さまの初期投資なしでEV充電器を設置し、エネルギーマネジメントを組み合わせてご提供するサービス「D-Charge」を開始いたしました。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギー電源の拡大に積極的に取り組みました。海外エネルギーセグメントに含まれる海外分も含め、再生可能エネルギー電源の普及貢献量は、当期末時点で約316万kWとなりました。当期中に参画した主な再生可能エネルギー電源は、栃木県佐野市における太陽光発電事業(発電容量約4万kW、営業運転開始済。出資比率40%)、北海道夕張郡長沼町をはじめとする営農型太陽光発電所を含む国内7か所の非FIT/非FIP太陽光発電所(発電容量計約1万kW、2024年2月完工。出資比率50%)等であります。2023年12月、徳島県徳島市における徳島津田バイオマス発電所(発電容量約7万kW、出資比率33.5%)と、兵庫県姫路市における広畑バイオマス発電所(発電容量約7万kW、出資比率90%)が、それぞれ営業運転を開始いたしました。2023年12月、当社は、経済産業省及び国土交通省より、新潟県村上市及び胎内市沖における洋上風力発電事業(発電出力約68万kW、2029年6月営業運転開始予定)の事業者に、コンソーシアムの一員として選定されました。海外エネルギーセグメントの売上高は、米国及び豪州の上流事業等の減収により、前期に比べて68億円減(△5.6%)の1,164億円となりました。北米における再生可能エネルギー事業につきましては、2023年5月、米国の太陽光発電開発事業者であるEuropean Energy North America, LLCとの間で、同社が米国テキサス州で開発を進めていた太陽光発電所の全持分を取得するための契約を締結いたしました。また、同年6月には、米国の分散型太陽光発電・系統用蓄電池開発事業者であるSummit Ridge Energy, LLCとの間で、米国バージニア州における分散型太陽光発電事業及び米国ニューヨーク州における系統用蓄電池事業の共同実施に関する契約をそれぞれ締結いたしました。また、豪州においても、2023年10月、再生可能エネルギー電源開発事業者であるACE Power Development Pty Ltdとの間で、豪州東部における大規模集中型太陽光発電事業及び蓄電池事業の共同開発に合意いたしました。北米、南米、欧州、中東及びアジアのエネルギー事業者等との間で、e-メタン等の製造・日本への輸出等に向けた共同検討に関する契約を締結しております。今後もカーボンニュートラルに資するe-メタン等のサプライチェーン構築に向けて取り組んでまいります。ライフ&ビジネス ソリューションセグメントの売上高は、都市開発事業や情報ソリューション事業等での増収により、前期に比べて154億円増(+6.0%)の2,740億円となりました。都市開発事業を展開する大阪ガス都市開発㈱は、当期中に「アーバネックス本町Ⅱ」(大阪府)等の8物件の賃貸マンションを取得し、資産の拡充に努めました。また、「シーンズ京都四条烏丸」(京都府)等の6物件の分譲マンションが竣工いたしました。 三井不動産株式会社と共同で開発し、2024年2月に竣工した物流施設「MFLP・OGUD大阪酉島」(大阪府)は、竣工前に全区画が成約済となっております。また、2023年9月、大阪ガス都市開発アセットマネジメント㈱は、私募リート事業の運用受託を開始いたしました。情報ソリューション事業を展開する㈱オージス総研は、企業情報システムのコンサルティング・設計・開発・運用や、AI・クラウドサービス等、総合的なITサービスの提供やお客さまのDX推進支援に努めました。材料ソリューション事業を展開する大阪ガスケミカル㈱は、ファイン材料、炭素材製品、保存剤等、付加価値の高い材料等の開発及び販売拡大に努めました。 ③ 営業利益売上原価は、原材料費が減少したことなどにより、前期に比べて3,202億円減(△16.1%)の1兆6,726億円となりました。販売費及び一般管理費は、委託作業費が増加したことなどにより、前期に比べて155億円増(+7.0%)の2,378億円となりました。国内エネルギーセグメントでは、営業利益は、前年度のフリーポートLNGプロジェクトの液化基地の操業停止を受けたLNG調達等に伴う費用増加の反動や、原料価格等の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる増益影響等により、1,197億円増の884億円となりました。海外エネルギーセグメントでは、営業利益は、米国及び豪州の上流事業等の減益により、前期に比べて93億円減(△15.3%)の515億円となりました。ライフ&ビジネス ソリューションセグメントでは、営業利益は、都市開発事業等での増益により、前期に比べて18億円増(+6.2%)の310億円となりました。以上の結果、営業利益は、前期に比べて1,125億円増(+187.6%)の1,725億円となりました。 ④ 経常利益営業外収益は、前期に比べて393億円増の783億円となりました。これは持分法による投資利益が増加したことなどによるものであります。営業外費用は、前期に比べて9億円増の242億円となりました。これは支払利息が増加したことなどによるものであります。以上の結果、経常利益は、前期に比べて1,509億円増(+199.5%)の2,265億円となりました。 ⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益当期においては、特別利益の発生はありません。特別損失は、前期に比べて211億円増の305億円となりました。これは減損損失(※)が増加したことなどによるものであります。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて755億円増(+132.3%)の1,326億円となりました。1株当たり当期純利益は、前期の137.39円に対し、当期は320.60円となりました。(※) 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係) ※5 減損損失」をご参照ください。 ⑥ 収益性、成長性に関する経営指標当社グループは、当期の収益性、成長性の経営指標として、連結ROE(自己資本利益率)8.5%、連結ROIC(投下資本利益率)5.4%、連結EBITDA(※)2,645億円を計画として掲げ、連結ROE8.9%、連結ROIC7.0%、連結EBITDA(※)3,281億円の実績となりました。また、当社グループは、2024年3月に策定した中期経営計画2026「Connecting Ambitious Dreams」における2026年度計画として、ROIC(投下資本利益率)5%程度、ROE(自己資本利益率)8%程度を収益性、成長性の経営指標として掲げております。上記の経営指標の推移を踏まえながら、当社グループは引き続き収益性、成長性の向上に努めます。(※) 営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法投資損益 (注) 1 上記のセグメント別売上高、セグメント損益には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでおります。2 本報告書では、ガス量はすべて1m3当たり45MJ(メガジュール)で表示しております。 (2) 資本の財源及び資金の流動性についての分析① キャッシュ・フロー当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べて2,790億円収入増の3,126億円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益の増加による収入が前期に比べて1,123億円増加したこと、棚卸資産の減少による収入が前期に比べて850億円増加したこと、売上債権の減少による収入が前期に比べて608億円増加したなどによるものであります。投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて120億円支出増の2,159億円の支出となりました。これは、無形固定資産の取得による支出が前期に比べて93億円減少した一方で、投資有価証券の売却による収入が前期に比べて177億円減少したこと、関係会社株式の取得による支出が前期に比べて59億円増加したことなどによるものであります。 財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて2,297億円支出増の1,101億円の支出となりました。これは、コマーシャル・ペーパーの純減による支払が前期に比べて1,140億円増加したこと、長期借入による収入が前期に比べて531億円減少したこと、社債の発行による収入が前期に比べて350億円減少したことなどによるものであります。以上の活動の結果、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べて75億円減の772億円となりました。当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、社債、借入金及び自己資金を財源としながら、ガス事業の基盤である本支供給管等の品質向上投資や、国内エネルギー、海外エネルギー、ライフ&ビジネス ソリューション事業への成長投資を行っていきます。 ② 資産・負債及び純資産当期末の総資産は2兆9,801億円となり、前期末に比べて1,605億円増加しました。これは、投資の進捗等に伴い、投資有価証券及び有形固定資産が前期末に比べて、それぞれ978億円、611億円増加したことなどによるものであります。当期末の負債は1兆3,751億円となり、前期末に比べて272億円減少しました。これは、長期借入金が前期末に比べて319億円減少したなど、有利子負債が減少したことなどによるものであります。当期末の純資産は1兆6,049億円となり、前期末に比べて1,878億円増加しました。これは、株主資本が利益剰余金の増加等により前期末に比べて870億円増加したこと、その他の包括利益累計額が為替換算調整勘定の増加等により前期末に比べて990億円増加したことなどによるものであります。以上の結果、当期末の自己資本比率は52.9%となり、前期末に比べて3.6ポイント増加しました。 ③ 財務戦略当社グループの財務戦略の基本的な考え方は以下のとおりです。a 社会インフラを担う事業者として、将来の経営環境変化や有事にも耐えられる健全な財務基盤を維持するb 事業の成長と投資を通じて、キャッシュ・フローと収益性・効率性を向上させ、持続的な成長と中長期的 な企業価値向上を実現するc 対話や価値共創を進め、ステークホルダーの期待にバランス良く応える 当社グループは、健全な財務基盤を維持するために高い財務規律を設けるとともに、エネルギー価格、為替、金利等の収支変動抑制のためのデリバティブの活用や、有事に備えたリスク管理を実施しております。そして、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために、ROICを導入しつつ、高格付を活かした経済的かつ安定的な事業運営・資金調達に取り組むこととしております。また、お客さまやビジネスパートナー、成長投資・株主還元、人的資本等のステークホルダーの期待にバランス良く応えます。当社グループは、2017年3月に策定した長期経営ビジョン2030「Going Forward Beyond Borders」・2024年3月に策定した中期経営計画2026「Connecting Ambitious Dreams」において経営指標を定めました。財務健全性指標としては、連結自己資本比率(※)45%以上、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)(※)0.8以下を中長期的に維持していくことを掲げております。(※) 利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の資本性50%を調整 今後も長期経営ビジョン2030・中期経営計画2026の実現に向け、財務健全性を考慮した上で、成長投資と株主還元により更なる企業価値の向上を図っていきます。 (3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (生産、受注及び販売の状況)当社グループにおいては、国内エネルギーセグメントにおいて当社及び名張近鉄ガス㈱等が営むガス事業が生産活動の中心となっており、販売活動では、ガス事業に加えて、当社等が営む電力事業の比重も高まりつつあります。また、当該セグメント以外のセグメントが生産・販売する製品やサービスは広範囲かつ多様であり、受注形態をとらないものも多くあります。このため、以下は、国内エネルギーセグメントにおけるガス事業の生産実績及び販売実績、並びに電力事業の販売実績について記載しております。(1) 生産実績(ガス)当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。製品生産量(百万m3)前期比(%)ガス6,710△2.4 (2) 受注状況(ガス)ガス販売については、その性質上受注生産は行いません。 (3) 販売実績(ガス)当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。 家庭用1,721百万m3(+1.4)ガス販売量業務用等4,925百万m3(△4.3) 計6,646百万m3(△2.9)ガス供給件数5,048千件(+0.9) (注) ( )内数値は前期比(%)であります。 (電力)当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。電力販売量小売6,858百万kWh(+7.3)卸等8,450百万kWh(△11.0)計15,308百万kWh(△3.6)低圧電気供給件数1,835千件(+7.5) (注) ( )内数値は前期比(%)であります。 |
※本記事は「大阪瓦斯株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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