大阪瓦斯株式会社の基本情報

会社名大阪瓦斯株式会社
業種電気・ガス業
従業員数連21404名 単1283名
従業員平均年齢43.8歳
従業員平均勤続年数15.9年
平均年収7381559円
1株当たりの純資産4254.13円
1株当たりの純利益(連結)333.31円
決算時期3月
配当金95円
配当性向72.9%
株価収益率(PER)10.15倍
自己資本利益率(ROE)(連結)8.2%
営業活動によるCF2836億円
投資活動によるCF▲2556億円
財務活動によるCF▲340億円
研究開発費※133.16億円
設備投資額※12217.35億円
販売費および一般管理費※1611.1億円
株主資本比率※237.4%
有利子負債残高(連結)※38649.38億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営環境2024年度のわが国経済は、物価高で個人消費が伸び悩んだものの、円安の進行による好調な企業収益や人手不足下でのデジタル化・省力化需要を背景とした設備投資の増加、インバウンド需要の拡大等により、緩やかな回復傾向が続きました。エネルギーに関しては、国内における人口減少や工場の海外移転等による需要の減少に加えて、電力・ガス小売全面自由化により、市場の競争は激しい状況が続いており、エネルギー資源の需給バランスの不安定化や激しい価格変動等、LNG調達環境の不確実性等のリスクはさらに高まっております。また、気候変動問題に対応する国内外におけるカーボンニュートラル潮流の加速やデジタル化の進展、価値観の多様化、労働人口の減少、自然災害の甚大化、国際情勢の悪化等、経営環境の変化はスピードを増している一方、カーボンニュートラル社会実現へのトランジションエネルギーとして、CO2排出量の少ない天然ガスに対する期待が高まっております。 (2) 経営方針・経営戦略等こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」として、天然ガス・電力・LPG等のエネルギーとその周辺サービスや、都市開発・材料・情報等のエネルギー以外の様々な商品・サービスを通じて、「お客さま価値」「社会価値」「株主さま価値」「従業員価値」の創造を目指します。そのためには、持続的な成長を実現することが最大の経営課題であると認識し、2017年に長期経営ビジョン2030「Going Forward Beyond Borders」を、2024年には新中期経営計画2026「Connecting Ambitious Dreams」を策定しました。また、2021年に、当社グループの事業活動におけるカーボンニュートラルの実現の方向性や取り組みを示した「カーボンニュートラルビジョン」を策定し、2023年には、2030年までのエネルギートランジションに向けた考え方や具体的な方策を示した「エネルギートランジション2030」を、2025年2月には、2050年に向けたロードマップとソリューションを示した「エネルギートランジション2050」を、それぞれ策定しています。当社グループは、これらのビジョン・計画に沿って、時代を超えて選ばれ続ける革新的なエネルギー&サービスカンパニーとなることを目指します。また、経営環境の変化に対応しながら、安定供給やトランジション期における低炭素化等「今日の安心」をまもり続けるとともに、カーボンニュートラル等社会課題の解決が進む「未来の日常」の創造に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。 (3) 経営指標中期経営計画2026では、各事業の収益性向上や財務健全性の維持、事業の成長に応じた株主還元の実現を掲げ、着実に取り組みを進めていきます。① 収益性、成長性ROIC(投下資本利益率)(※)5%程度、ROE8%程度を目標に掲げ、資本効率の向上を通じて、各事業の成長力の向上を目指します。※ (経常利益+支払利息-受取利息-法人税等)÷(有利子負債+自己資本)有利子負債は、当社にリスクのないリース負債を除きます。② 財務健全性連結自己資本比率(※)45%以上、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)(※)0.8以下を目指します。※ 利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の資本性50%を調整③ 株主さまへの還元原則、減配を実施せず、増配又は維持を目指す累進配当を基本に据えて、株主資本を基準に配当を行う株主資本配当率(DOE)3%を目指します。 (4) 対処すべき課題中期経営計画2026では、重点戦略「3つの約束」として、カーボンニュートラルと天然ガスの高度利用の両輪で社会課題の解決を進める「ミライ価値の共創」、多様な人材が集い切磋琢磨し合う企業文化を目指す「従業員の輝き向上」、資産価値の最大化を図るアセットライトな経営意識の徹底を中心とする「経営基盤の進化」を掲げます。これらの取り組みを通じて、社会課題の解決に資する価値創造と、「国内エネルギー事業」「海外エネルギー事業」「ライフ&ビジネス ソリューション事業」を3つの柱とした、将来の経営環境の変化に対応するポートフォリオ経営の実践を目指します。それらの実現に向け、以下のとおり、課題に取り組みます。① 国内エネルギー事業a 安定的、経済的な原燃料調達多数の生産者から分散して調達することにより、天然ガス等の原燃料の安定確保に努めるとともに、契約価格指標の多様化等により、市場競争力を高める原燃料調達を目指します。また、原燃料調達の不測の事態に対しては、トレーディング等で培ったノウハウを活かし、迅速かつ柔軟に原燃料の確保を図ります。b 競争力のある電源の確保及び再生可能エネルギーの普及拡大新規電源の開発、卸電力市場やアライアンス先からの調達等を通じ、競争力のある電源ポートフォリオの構築を進めます。特に再生可能エネルギーは、カーボンニュートラル化に向けて開発や事業参画を推進し、協業等を通じて調達先の拡大や案件取得を進めていきます。c 安定供給と保安の確保安全かつ安定的な操業を最優先にして、ガス製造・供給設備、発電設備等の維持・増強・改修、地震・津波等の自然災害対策及び感染症の流行等の事態への対策等、安定供給とレジリエンスの向上に継続的に取り組みます。また、万一のガス漏れ等の緊急時への対応を引き続き行い、お客さま先の保安の確保に努めていきます。d マーケタービジネスの拡大燃料電池等のガスコージェネレーションシステムやガス冷暖房の普及、電力・LPG販売の拡大、「D-Lineup」等の提案メニューの拡充、分散型電源と再生可能エネルギーを組み合わせたエネルギーネットワークの構築等を通じて、カーボンニュートラル化やレジリエンスの向上といった社会課題の解決に貢献していきます。また、デジタルを活用したライフサービスプラットフォームの「スマイLINK」や「住ミカタ・サービス」、リノベーション等のライフサポートサービス、建物・設備の管理やメンテナンス、空調・換気、水処理、省エネルギーや設備稼働状況等の見える化等、エネルギー周辺サービスを拡充するとともに、固定通信サービスや冷蔵食品の定期宅配サービスの「FitDish」、お客さまのライフスタイルやビジネスニーズに応じたエネルギー料金メニューも総合的に提供することで、お客さまの快適な生活の実現やビジネスの発展に貢献していきます。さらに、各地のエネルギー事業者を含めた様々なパートナーとの連携等を通じ、幅広くマーケタービジネスを拡大していきます。e エネルギーインフラ開発、エンジニアリング事業の推進天然ガス火力発電所等の新規エネルギーインフラ開発を推進します。また、LNGの導入等を検討しているお客さまに対し、これまでの事業展開で培ったノウハウを活かし、ニーズに応じたソリューションを提案することでエンジニアリング事業を推進していきます。f 公正で効率的なガス導管事業の推進一般ガス導管事業者として、託送供給の中立性・透明性の確保や利便性の向上を図りつつ、地域社会や需要家のニーズに応えながら、都市ガス需要の維持・拡大に継続的に取り組みます。 ② 海外エネルギー事業天然ガス等の安定調達と収益獲得のため、現在取り組んでいる北米サビン社によるシェールガス開発等を着実に推進するとともに、北米フリーポートプロジェクトの液化事業や豪州ゴーゴン・イクシスプロジェクトの生産事業の安全かつ安定的な操業に向け働きかけていきます。IPP事業では、ガス火力発電事業の安定的な操業に努めるとともに、再生可能エネルギー等の開発・取得を進めていきます。マーケタービジネスでは、国内で培った知見を活かし、ガス・電力・エネルギーサービス事業の運営や新規案件の開発等に着実に取り組むとともに、事業参画等を通じて新しい領域におけるノウハウの取得を進めます。さらに、ニーズに応じたソリューションを提案することで、エネルギーインフラ開発やエンジニアリング事業を推進していきます。 ③ ライフ&ビジネス ソリューション事業エネルギー事業で培った技術と知見を基盤に、都市開発・材料・情報等の事業で、固有の強みを活かした商品・サービスを提供することで、国内外のお客さまの快適・便利・健康の実現をサポートし、お客さまの豊かな暮らしやビジネスの発展に貢献していきます。 ④ 経営基盤a サステナビリティ経営の実践「Daigasグループ企業行動憲章」に基づき、サステナビリティ経営を実践し、国内外における当社グループのサプライチェーンに関わる皆さまとともに、お客さまや社会からのさらなる信頼獲得に努めていきます。環境の側面では、カーボンニュートラル社会へのトランジション期において、石炭・重油等から天然ガスへの燃料転換や高効率な設備の導入等を推進するとともに、再生可能エネルギーの導入や、カーボンニュートラルなLNGや都市ガスの普及等により、お客さま先や自らの事業活動におけるCO2排出削減の取り組みを一層拡大してまいります。さらに、カーボンニュートラル社会の実現に向け、e-メタン・水素等の技術開発やサプライチェーン構築を進めていきます。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を踏まえて、カーボンニュートラル化への取り組みに関する情報開示の充実に取り組みます。社会の側面では、国際規範に則り、2021年4月に制定した「Daigasグループ人権方針」に基づき、人権や労働・安全衛生への取り組みを進めるとともに、女性取締役の登用等によるDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の風土醸成を進めていきます。ガバナンスの側面では、コンプライアンスの意識向上の取り組みを継続するとともに、リスク管理の体制強化や実効性の向上、情報セキュリティ対策等を推進します。b イノベーション・技術開発・デジタルトランスフォーメーションの推進IoTやAI等、最先端のデジタル技術や当社グループ内外のアイデアを活用した新しいサービスの創造による価値向上と、社内での業務改革・システム刷新による生産性の向上に取り組みます。また、燃料電池をはじめとするガス機器・設備のさらなる高効率化とコストダウン、新たな材料や情報処理、カーボンニュートラル化等に関する技術開発を推進します。c 人材・組織の強化当社グループのアウトプットの最大化に向けて、多様な人材が集い切磋琢磨しあうことで従業員の力が最大限発揮される環境づくりを進めていきます。人材の面では、多様で専門性の高い人材の獲得を拡大するとともに、従業員の成長を促進する制度・育成策を強化していきます。組織の面では、タレントマネジメントにより適所適材の配置を実現するとともに、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進や、働き方・仕事の進め方の変革、成長と挑戦を促す組織風土のさらなる醸成等に取り組んでいきます。会社と人材の双方向のコミュニケーションを通じて各取り組みを活性化させ、従業員のエンゲージメント向上を図ります。 (5) おわりにグループの内部統制システムの運用状況の確認及び評価を継続的に行い、所要の措置を講じることにより、実効性の高い内部統制を行っていきます。これらの仕組みのもと、以上の課題に対処するとともに、「Daigasグループ企業理念」を実践し、持続的成長に向けて不断の努力を続けていきます。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営成績の分析① 概要当期におけるわが国経済は、物価高で個人消費が伸び悩んだものの、円安の進行による好調な企業業績や、人手不足下でのデジタル化・省力化需要を背景とした設備投資の増加、インバウンド需要の拡大等により、緩やかな回復傾向が続きました。こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」となることを目指し、積極的に事業活動を展開してまいりました。当期の売上高は、国内エネルギー事業で、電力販売量が増加したものの、LNG販売量が減少したことや原料費調整制度に基づきガス販売単価が低めに推移したことなどにより、前期に比べて140億円減(△0.7%)の2兆690億円となりました。経常利益は、国内エネルギー事業で、原料価格等の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる増益影響(*)が縮小したことなどにより、369億円減(△16.3%)の1,896億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、17億円増(+1.3%)の1,344億円となりました。(*)原料価格及び燃料価格の変動が、原料費及び燃料費調整制度に基づく販売単価に反映されるまでには一定の時間差があるため、一時的な増減益要因となります。 ② 売上高売上高は、国内エネルギー事業で、電力販売量が増加したものの、LNG販売量が減少したことや原料費調整制度に基づきガス販売単価が低めに推移したことなどにより、前期に比べて140億円減(△0.7%)の2兆690億円となりました。当社グループのセグメント別売上高の中で最も大きな割合を占める国内エネルギーセグメントの売上高は、電力販売量が増加したものの、LNG販売量が減少したことや原料費調整制度に基づきガス販売単価が低めに推移したことなどにより、前期に比べて327億円減(△1.9%)の1兆7,379億円となりました。ガス供給件数は、前期末に比べて1.3%増の511万4千件となり、ガス販売量は、前期に比べて0.1%増の66億5千万m3となりました。ガス販売量の状況を用途別に見ると、家庭用ガス販売量は、気温・水温が高く推移した影響等により、前期に比べて3.6%減の16億5千9百万m3となりました。業務用等のガス販売量は、業務用におけるお客さま設備の稼働増加等により、前期に比べて1.4%増の49億9千2百万m3となりました。家庭用のガス機器・サービスにつきましては、給湯、暖房、調理等の機器・設備の開発及び販売拡大に努めました。また、ガス機器・水まわりの修理等や防災・防犯に関する「住ミカタ・サービス」や、デジタルを活用したライフサービスプラットフォーム「スマイLINK」、インターネットサービス「さすガねっと」等の各種サービスの提供とさらなるメニュー拡充に努めました。2025年1月、食と住まいのショールーム「hu+g MUSEUM(ハグミュージアム)」がオープン10周年を迎えました。また、2025年2月には、施設の一部をリニューアルし、体験型でエネルギーを学べる「hu+g BASE(ハグベース)」を新設いたしました。業務用のガス機器・サービスにつきましては、コージェネレーションシステム、冷暖房システム、厨房機器、ボイラ、工業炉、バーナ等の商品の開発及び販売拡大に努めました。また、エンジニアリング力を活用し、脱炭素化・分散化・デジタル化の視点でお客さまの様々な経営課題を解決する「D-Lineup(ディーラインアップ)」等、お客さまのニーズに応じた高付加価値のソリューションの提供に努めました。都市ガスのカーボンニュートラル化の有望技術として期待される高効率なSOECメタネーション技術等、低・脱炭素化に資する触媒・燃焼技術等の研究開発にも取り組んでおります。 2024年6月、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で実施しているSOECメタネーションの技術開発事業において、0.1Nm3/hのe-メタンを製造する試験装置が完成し、試験を開始いたしました。2025年3月、再生可能エネルギー由来の水素とバイオガスを用いたメタネーション実証事業において、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)会場内で発生する生ごみやCO2を用いて7Nm3/hのe-メタンを製造する実証設備「化けるLABO(ラボ)」が竣工し、実証を開始いたしました。カーボンニュートラル社会へのトランジション期における取り組みとして、石炭・重油等から天然ガスへの燃料転換や高効率な設備の導入等を推進し、お客さま先でのCO2排出削減に努めました。安定供給・保安の確保につきましては、天然ガスの調達先の多様化、AI技術活用も含めた製造・供給設備の保全と計画的な改修、安全機能を備えたガス機器の普及促進等に継続的に取り組みました。また、大阪ガスネットワーク(株)は、2024年11月、東京ガスネットワーク株式会社及び東邦ガスネットワーク株式会社と、災害時の相互支援・連携強化に向けた合同訓練を実施するなど、引き続き、地震対策・津波対策に取り組みました。低圧電気供給件数は、前期末に比べて4.8%増の192万2千件となり、電力販売量は、前期に比べて10.9%増の169億8千2百万kWhとなりました。ガスとセットでお得にご利用いただける料金メニュー、お客さまのライフスタイルや趣味にあわせた料金メニュー、脱炭素に資する料金メニュー等、多彩な電気料金メニューの提供に努めました。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギー電源の拡大に積極的に取り組みました。海外エネルギーセグメントに含まれる海外分も含め、再生可能エネルギー電源の普及貢献量は、当期末時点で約370万kWとなりました。当期中に参画した主な再生可能エネルギー電源は、岩手県における2か所の太陽光発電所(発電容量計約4万kW、営業運転開始済。出資比率40%)等であります。2024年10月、宮崎県日向市における日向バイオマス発電所(発電容量約5万kW、出資比率35%)が、2024年11月には、愛知県田原市における愛知田原バイオマス発電所(発電容量約7万kW、出資比率25%)が、それぞれ営業運転を開始いたしました。兵庫県姫路市における姫路天然ガス火力発電所1号機及び2号機(発電容量計約125万kW、2026年5月までに営業運転開始予定)については、建設工事を順調に進めております。また、2025年3月、株式会社日本政策投資銀行をはじめとする3社と共同で、3号機(発電容量約62万kW)を建設することを決定いたしました。海外エネルギーセグメントの売上高は、米国及び豪州の上流事業等の増収により、前期に比べて117億円増(+10.0%)の1,281億円となりました。米国テキサス州でシェールガス生産開発事業を行うサビン社(Sabine Oil & Gas Corporation。出資比率100%)は、新規の井戸開発を中心に、順調に事業展開しております。2025年2月、アラブ首長国連邦アブダビ首長国の国営石油会社Abu Dhabi National Oil Company PJSCとの間で、LNG売買契約を締結いたしました。当社は、この契約に基づき最大約80万トン/年のLNGを調達する予定であり、トランジション期に重要な役割を担うエネルギーである天然ガスの安定調達・開発・供給に取り組んでまいります。また、アジアにおいては、当社の子会社であるOsaka Gas Singapore Pte. Ltd.が、2024年4月、合弁子会社を通じて、インドで都市ガス事業等を行う事業会社の持株会社であるAG&P LNG Marketing Pte. Ltd.の持分の一部を取得いたしました。また、2025年3月、合弁子会社を通じて、インドで再生可能エネルギー電源開発等を行う事業会社Clean Max Enviro Energy Solutionsとの間で、再生可能エネルギー電源の開発・保有を行う合弁会社を設立するための契約を締結いたしました。北米、南米、欧州、中東、豪州及びアジアのエネルギー事業者等との間で、e-メタン等の製造・日本への輸出等に向けた共同検討を進めております。今後もカーボンニュートラルに資するe-メタン等のサプライチェーン構築に向けて取り組んでまいります。ライフ&ビジネス ソリューションセグメントの売上高は、材料ソリューション事業や都市開発事業等での増収により、前期に比べて84億円増(+3.1%)の2,824億円となりました。都市開発事業を展開する大阪ガス都市開発(株)は、当期中に「アーバネックス早稲田テラス」(東京都)等の19物件の賃貸マンションを取得し、資産の拡充に努めました。また、「シーンズ京都鴨川河原町」(京都府)等の5物件の分譲マンションが竣工いたしました。 また、京都リサーチパーク(株)が運営する京都リサーチパーク地区(KRP地区)において、2027年竣工を目指して、レンタルラボを備える新棟建設を推進しております。情報ソリューション事業を展開する(株)オージス総研は、企業情報システムのコンサルティング・設計・開発・運用や、AI・クラウドサービス等、総合的なITサービスの提供やお客さまのDX推進支援に努めました。また、2025年1月、フィリピンで基幹業務システムのパッケージ商品の導入・運用支援を行うFasttrack Solutions Inc.グループの事業を取得し、東南アジアにおける基幹業務システム関連事業を開始いたしました。材料ソリューション事業を展開する大阪ガスケミカル(株)は、ファイン材料、炭素材製品、保存剤等、付加価値の高い材料等の開発及び販売拡大に努めました。木材保護塗料「キシラデコール」シリーズ製品が、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において大阪府や大阪市等が出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」の内部・外部壁面に採用されました。 ③ 営業利益売上原価は、原材料費が減少したことなどにより、前期に比べて92億円減(△0.6%)の1兆6,634億円となりました。販売費及び一般管理費は、ほぼ前期並みの2,448億円となりました。国内エネルギーセグメントでは、営業利益は、原料価格等の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる増益影響が縮小したことなどにより、135億円減(△15.3%)の748億円となりました。海外エネルギーセグメントでは、営業利益は、米国及び豪州の上流事業等の増益により、前期に比べて24億円増(+4.7%)の539億円となりました。ライフ&ビジネス ソリューションセグメントでは、営業利益は、情報ソリューション事業等での減益により、前期に比べて22億円減(△7.3%)の287億円となりました。以上の結果、営業利益は、前期に比べて118億円減(△6.9%)の1,607億円となりました。 ④ 経常利益営業外収益は、前期に比べて240億円減の542億円となりました。これは持分法による投資利益が減少したことなどによるものであります。営業外費用は、前期に比べて10億円増の253億円となりました。これは支払利息が増加したことなどによるものであります。以上の結果、経常利益は、前期に比べて369億円減(△16.3%)の1,896億円となりました。 ⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益特別利益は、前期に比べて254億円増の254億円となりました。これは当期に投資有価証券売却益を計上したことによるものであります。特別損失は、前期に比べて47億円減の258億円となりました。これは減損損失(※)が減少したことなどによるものであります。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて17億円増(+1.3%)の1,344億円となりました。1株当たり当期純利益は、前期の320.60円に対し、当期は333.31円となりました。(※) 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係) ※5 減損損失」をご参照ください。 ⑥ 収益性、成長性に関する経営指標当社グループは、当期の収益性、成長性の経営指標として、ROIC(投下資本利益率)4.7%、ROE(自己資本利益率)7.2%、EBITDA(※)2,800億円を計画として掲げ、ROIC5.4%、ROE8.2%、EBITDA(※)3,089億円の実績となりました。また、当社グループは、2024年3月に策定した中期経営計画2026「Connecting Ambitious Dreams」における2026年度の収益性、成長性の経営指標として、ROIC(投下資本利益率)5%程度、ROE(自己資本利益率)8%程度を計画として掲げております。上記の経営指標の推移を踏まえながら、当社グループは引き続き収益性、成長性の向上に努めます。(※) 営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法投資損益 (注) 1 上記のセグメント別売上高、セグメント損益には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでおります。2 本報告書では、ガス量はすべて1m3当たり45MJ(メガジュール)で表示しております。 (2) 資本の財源及び資金の流動性についての分析① キャッシュ・フロー当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べて289億円収入減の2,836億円の収入となりました。これは、利息及び配当金の受取額が前期に比べて387億円増加した一方で、売上債権の増加による支出が前期に比べて558億円増加したことなどによるものであります。投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて396億円支出増の2,556億円の支出となりました。これは、投資有価証券の売却による収入が前期に比べて250億円増加した一方で、有形固定資産の取得による支出が前期に比べて362億円増加したこと、関係会社株式の取得による支出が前期に比べて350億円増加したことなどによるものであります。 財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて760億円支出減の340億円の支出となりました。これは、長期借入による収入が前期に比べて326億円増加したこと、非支配株主からの払込みによる収入が前期に比べて214億円増加したこと、コマーシャル・ペーパーの純減による支払が前期に比べて210億円減少したことなどによるものであります。以上の活動の結果、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べて50億円増の823億円となりました。当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、社債、借入金及び自己資金を財源としながら、ガス事業の基盤である本支供給管等の品質向上投資や、国内エネルギー、海外エネルギー、ライフ&ビジネス ソリューション事業への成長投資を行っていきます。 ② 資産・負債及び純資産当期末の総資産は3兆2,005億円となり、前期末に比べて2,203億円増加しました。これは、投資の進捗等に伴い、有形固定資産及び投資有価証券が前期末に比べて、それぞれ1,227億円、304億円増加したことなどによるものであります。当期末の負債は1兆4,612億円となり、前期末に比べて860億円増加しました。これは、支払手形及び買掛金が前期末に比べて207億円増加したことや、社債が前期末に比べて410億円増加したなど、有利子負債が増加したことなどによるものであります。当期末の純資産は1兆7,392億円となり、前期末に比べて1,342億円増加しました。これは、株主資本が利益剰余金の増加等により前期末に比べて556億円増加したことや、その他の包括利益累計額が為替換算調整勘定の増加等により前期末に比べて555億円増加したことなどによるものであります。以上の結果、当期末の自己資本比率は52.8%となり、前期末に比べて0.2ポイント減少しました。 ③ 財務戦略当社グループの財務戦略の基本的な考え方は以下のとおりです。a 社会インフラを担う事業者として、将来の経営環境変化や有事にも耐えられる健全な財務基盤を維持するb 事業の成長と投資を通じて、キャッシュ・フローと収益性・効率性を向上させ、持続的な成長と中長期的 な企業価値向上を実現するc 対話や価値共創を進め、ステークホルダーの期待にバランス良く応える当社グループは、健全な財務基盤を維持するために高い財務規律を設けるとともに、エネルギー価格、為替、金利等の収支変動抑制のためのデリバティブの活用や、有事に備えたリスク管理を実施しております。そして、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために、ROICを導入しつつ、高格付を活かした経済的かつ安定的な事業運営・資金調達に取り組むこととしております。また、お客さまやビジネスパートナー、成長投資・株主還元、従業員等のステークホルダーの期待にバランス良く応えます。当社グループは、2017年3月に策定した長期経営ビジョン2030「Going Forward Beyond Borders」・2024年3月に策定した中期経営計画2026「Connecting Ambitious Dreams」において経営指標を定めました。財務健全性指標としては、連結自己資本比率(※)45%以上、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)(※)0.8以下を中長期的に維持していくことを掲げております。(※) 利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の資本性50%を調整 今後も長期経営ビジョン2030・中期経営計画2026の実現に向け、財務健全性を考慮した上で、成長投資と株主還元により更なる企業価値の向上を図っていきます。 (3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (生産、受注及び販売の状況)当社グループにおいては、国内エネルギーセグメントにおいて当社及び名張近鉄ガス㈱等が営むガス事業が生産活動の中心となっており、販売活動では、ガス事業に加えて、当社等が営む電力事業の比重も高まりつつあります。また、当該セグメント以外のセグメントが生産・販売する製品やサービスは広範囲かつ多様であり、受注形態をとらないものも多くあります。このため、以下は、国内エネルギーセグメントにおけるガス事業の生産実績及び販売実績、並びに電力事業の販売実績について記載しております。(1) 生産実績(ガス)当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。製品生産量(百万m3)前期比(%)ガス6,762+0.8 (2) 受注状況(ガス)ガス販売については、その性質上受注生産は行いません。 (3) 販売実績(ガス)当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。 家庭用1,659百万m3(△3.6)ガス販売量業務用等4,992百万m3(+1.4) 計6,650百万m3(+0.1)ガス供給件数5,114千件(+1.3) (注) ( )内数値は前期比(%)であります。 (電力)当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。電力販売量小売7,509百万kWh(+9.5)卸等9,473百万kWh(+12.1)計16,982百万kWh(+10.9)低圧電気供給件数1,922千件(+4.8) (注) ( )内数値は前期比(%)であります。

※本記事は「大阪瓦斯株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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