会社名 | 中部電力株式会社 |
業種 | 電気・ガス業 |
従業員数 | 連22566名 単3289名 |
従業員平均年齢 | 42.8歳 |
従業員平均勤続年数 | 19.5年 |
平均年収 | 8988818円 |
1株当たりの純資産 | 3689.67円 |
1株当たりの純利益(連結) | 267.41円 |
決算時期 | 年3 |
配当金 | 60円 |
配当性向 | 84.2% |
株価収益率(PER) | 6.07倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 7.5% |
営業活動によるCF | 3013億円 |
投資活動によるCF | ▲3917億円 |
財務活動によるCF | ▲276億円 |
研究開発費※1 | 21.57億円 |
設備投資額※1 | 829.45億円 |
販売費および一般管理費※1 | -円 |
株主資本比率※2 | 30% |
有利子負債残高(連結)※3 | 27571.68億円 |
経営方針
1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2025年6月25日)現在において判断したものである。 (1) 会社の経営の基本方針当社は,変化する事業環境に対応し,ステークホルダーのみなさまとともに持続的な成長を実現するため,2025年4月に企業理念を「人と社会のつながりを,幸せのエネルギーに」へ改定いたしました。新たな企業理念のもと,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって事業に取り組んでまいります。当社を取巻く事業環境として,燃料価格につきましては,足元では低位に推移しておりますが,地政学リスクをはじめとする国際的な政治情勢の変化などにより,ボラティリティ(変動性)・不確実性が高い状態が継続しております。また,物価・労務単価・金利の上昇などにより投資環境の不透明性が増しております。さらに,再生可能エネルギーの大量導入による電気の流れの複雑化などにより,適切な電力品質の維持が難しくなっております。中長期的には,GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などにより電力需要は増加傾向に変化しており,エネルギー安定供給確保,経済成長,脱炭素を同時実現するべく「GX2040ビジョン」や「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定されました。また,電力システム改革の検証結果が取りまとめられ,安定供給確保や脱炭素化に必要な投資を確保していく仕組みを整備するとの方向性が示されております。当社は,新たな企業理念のもと,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって,電力の安定供給確保,分散・循環型システムが併用された安全で安心な脱炭素社会の実現,事業構造の変革を通じた新たな収益源の獲得・拡大,電化等による需要創出に取り組んでおります。また,お客さまや地域・社会などのステークホルダーが求める価値を起点に新たなサービスを創出し,エネルギーとともにお届けするビジネスモデルへの変革に,当社グループの人財一人ひとりが取り組み,2050年に向けて持続的に成長してまいります。加えて,脱炭素社会の実現,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。 (2) 目標とする経営指標2025年度は中期経営目標の最終年度であり,引き続き,国内エネルギー事業において安定的な利益の確保に取り組むとともに,新成長領域やグローバル事業において収益の拡大などに努め,「連結経常利益2,000億円以上,ROIC3.2%以上」の達成を目指してまいります。 (3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題当社は,2020年4月から,送配電部門を中部電力パワーグリッド㈱,販売部門を中部電力ミライズ㈱にそれぞれ分社し,これらに㈱JERAを加えた3つの事業会社を核とする体制といたしました。中部電力パワーグリッド㈱においては,一層の中立性・公平性を図るとともに,中部電力ミライズ㈱・㈱JERAにおいては,それぞれの市場,お客さまと向き合い,より強靭な企業グループへの成長を目指してまいります。このような事業体制のもと,以下の課題への対応をはじめ,グループを挙げてエネルギーの安定供給に努めるとともに,お客さまの期待を超えるサービスの実現・提供により,中部電力グループ全体の持続的成長と企業価値の向上を果たしてまいります。 (S(安全性の確保)+3E(エネルギー安定供給・経済効率性・環境適合性)の実現に向けた取り組み)中部電力グループは,特定の電源に依存せず,多様かつバランスの取れた電源構成が重要であるとの考えにもとづき,エネルギー安全保障に寄与し脱炭素効果の高い再生可能エネルギーや原子力発電の最大限の活用などに取り組むとともに,供給力・調整力として重要な役割を担う火力発電の活用継続とその着実な脱炭素化を推進してまいります。再生可能エネルギーの拡大については,2017年度比で「2030年頃に保有・施工・保守を通じた320万kW(80億kWh)以上」を目指し,投資環境を見極めながら開発に取り組むとともに,グループ会社による太陽光発電設備の保守・施工などを進めてまいります。浜岡原子力発電所については,今後も,地域のみなさまのご理解をいただけるようコミュニケーションを図り,安全確保を大前提に早期の再稼働に向けて取り組んでまいります。また,電力需要の趨勢に応じて安定供給に必要な火力発電の維持等や燃料の確保に加え,JERAゼロエミッション2050のもと,非効率石炭火力の停廃止や水素・アンモニアのサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求などに取り組んでまいります。さらに,系統の次世代化や経済合理的な設備形成を進めるとともに,電力需給の大きな転換を踏まえ,ウェルカムゾーンの公表を通じた大型需要の適地誘導等のより良い連系サービスの提供に取り組んでまいります。加えて,太陽光発電をはじめとした自然変動電源の予測精度向上,他の一般送配電事業者と連携した広域的な需給運用の拡大などにより,中部エリアを中心に全国の安定供給の維持に寄与してまいります。 (浜岡原子力発電所の再稼働に向けた取り組み)浜岡原子力発電所については,「福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさない」という固い決意のもと,安全性向上対策を進めております。3・4号機については,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査の審査会合において,基準地震動に引き続き基準津波も「おおむね妥当」と評価され,これらにもとづくプラント関係の審査に進んでおります。今後も,新規制基準への適合性確認を早期にいただけるよう最大限努力するとともに,地域のみなさまのご理解をいただけるようコミュニケーションを図り,安全確保を大前提に浜岡原子力発電所の早期の再稼働に向けて取り組んでまいります。 (地域課題解決に向けた取り組み)中部電力グループは,エネルギー事業とさまざまなサービスを掛け合わせた新たなサービスをお届けすることで,新たな価値の創出を目指しております。不動産事業については,2025年4月に不動産事業本部を設置し,日本エスコン及び中電不動産とともに,グループの強みを活かしたまちづくりを推進してまいります。また,資源循環・上下水道・森林などの地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して,地域のみなさまの安全・安心・利便性向上につながる取り組みを推進してまいります。今後も,これらの取り組みを通じて,地域課題の解決に貢献してまいります。 (資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組み)中部電力グループは,企業価値向上を重要な経営課題と考えており,東京証券取引所の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請も踏まえ,取り組みを進めております。資本効率の向上については,政策保有株の売却などに取り組んできておりますが,今後は,事業ポートフォリオの組み替えや資産の入れ替え,事業別目標管理の高度化などを進めるほか,中期的な事業リスクの変化に応じた自己資本の水準を念頭に置きながら,自己株取得の検討も含め,最適な資本構成の追求,ROE(自己資本利益率)向上に努めてまいります。また,浜岡原子力発電所の再稼働に向けた取り組みや新成長領域における取り組みなどについても,定量的な情報を開示するとともに,対話を通じて資本市場のご理解をいただくよう努めてまいります。なお,これらの取り組みについては,次期中期経営計画において具体的に取りまとめ,公表させていただきます。 中部電力グループは,脱炭素社会の実現,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続やサイバーセキュリティの高度化など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長に努めてまいります。今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,企業の社会的責任(CSR)を果たすことで,ステークホルダーのみなさまとともに,社会の持続的な発展(サステナビリティ)に貢献してまいります。 |
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(経営成績等の状況の概要) (1) 業績等の概要当連結会計年度におけるわが国経済は,一部に弱めの動きもみられたが,雇用・所得環境の改善などもあり,緩やかな景気回復が継続した。一方で,海外景気の減速などによる景気の下振れが懸念されている。燃料価格については,足元では低位に推移しているが,地政学リスクをはじめとする国際的な政治情勢の変化などにより,ボラティリティ(変動性)・不確実性が高い状態が継続している。また,物価・労務単価・金利の上昇などにより投資環境の不透明性が増している。さらに,再生可能エネルギーの大量導入による電気の流れの複雑化などにより,適切な電力品質の維持が難しくなっている。 このような中,当連結会計年度の収支状況について,連結売上高は,3兆6,692億円となり,前連結会計年度と比べ588億円の増収となった。連結経常損益は,2,764億円の利益となり,前連結会計年度と比べ2,328億円の減益となった。 (2) 生産,受注及び販売の状況当社グループは,電力・ガスの販売と各種サービスの提供を行う「ミライズ」,電力ネットワークサービスの提供を行う「パワーグリッド」,燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売を行う「JERA」等が,バリューチェーンを通じて,電気事業を運営している。当社グループにおける生産,受注及び販売の状況については,その大半を占める電気事業のうち主要な実績を記載している。 ① 発電実績種別当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)対前年増減率(%)発電電力量(百万kWh)水力9,2636.1原子力――新エネルギー412△4.5合計9,6745.6出水率(%)104.9― (注) 1 発電電力量及び出水率は,中部電力㈱の実績を記載している。2 出水率は,1993年度から2022年度までの30カ年平均に対する比である。3 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 ② 販売実績ア 販売電力量及び料金収入種別当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)対前年増減率(%)販売電力量(百万kWh)低圧31,2743.0高圧・特別高圧76,5904.3合計107,8643.9料金収入(百万円)2,350,857△2.6 (注) 1 販売電力量及び料金収入は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。3 料金収入には「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及び「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」に基づく施策である「電気・ガス料金支援」により受領する補助金90,280百万円を含む。 〔参考1〕グループ合計の販売電力量(百万kWh)117,2815.5 (注) 中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。 〔参考2〕他社販売電力量(百万kWh)21,48782.7 (注) 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。 イ 中部エリアの需要電力量及び料金収入種別当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)対前年増減率(%)中部エリアの需要電力量(百万kWh)124,5071.5料金収入(百万円)640,2092.2 (注) 1 中部エリアの需要電力量及び料金収入は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。2 料金収入は,接続供給託送収益(インバランスの供給に係る収益を除く)を記載している。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)当社グループに関する財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については,連結財務諸表に基づいて分析した内容である。 (1) 財政状態の分析① 資産固定資産については,㈱JERA などの関係会社長期投資の増加により投資その他の資産が増加したことなどから,前連結会計年度末と比べ1,633億円増加し,5兆9,820億円となった。流動資産については,㈱トーエネックが子会社から関連会社となったことなどから,前連結会計年度末と比べ1,471億円減少し,1兆1,427億円となった。 ② 負債有利子負債が増加したものの,㈱トーエネックが子会社から関連会社となったことなどから,負債合計は,前連結会計年度末と比べ1,472億円減少し,4兆2,662億円となった。 ③ 純資産配当金の支払いはあったが,親会社株主に帰属する当期純利益の計上やその他の包括利益累計額の増加などから,純資産合計は,前連結会計年度末と比べ1,634億円増加し,2兆8,585億円となった。この結果,自己資本比率は,39.1%となった。 〔資産・負債・純資産比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度末(2024年3月31日)当連結会計年度末(2025年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)資 産固定資産58,18759,8201,6332.8 電気事業固定資産23,86823,633△235△1.0 その他の固定資産4,8744,017△856△17.6 固定資産仮勘定4,6435,21056612.2 投資その他の資産22,81324,9532,1399.4流動資産12,89811,427△1,471△11.4 現金及び預金3,9082,935△972△24.9 受取手形、売掛金及び契約資産3,5393,119△420△11.9 棚卸資産2,7053,05034512.8 合 計71,08671,2481610.2負 債 ・ 純 資 産固定負債31,15630,092△1,064△3.4 社債7,2806,760△520△7.1 長期借入金17,50518,1956903.9流動負債12,96312,550△413△3.2 1年以内に期限到来の固定負債2,8253,32850317.8 短期借入金3,1952,615△579△18.1 支払手形及び買掛金2,7122,293△419△15.4 負債合計44,13542,662△1,472△3.3株主資本22,56924,0051,4366.4 利益剰余金17,58419,0961,5118.6その他の包括利益累計額3,2853,85957417.5非支配株主持分1,096720△376△34.3 純資産合計26,95028,5851,6346.1 合 計71,08671,2481610.2 前連結会計年度末(2024年3月31日)当連結会計年度末(2025年3月31日)増 減増減率(%)自己資本比率(%)36.439.12.77.4有利子負債残高(億円)30,79130,778△12△0.0 (注) 1 億円未満切り捨て2 有利子負債残高の増減の内訳は,次のとおりである。 連結範囲の変更による影響 △311億円 調達・返済による影響 299億円 (2) 経営成績の分析中部電力ミライズ㈱の販売電力量は,中部エリア内外における契約獲得及び気温影響による空調設備の稼動増などから,前連結会計年度と比べ3.9%増加し1,079億kWhとなった。なお,中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の合計の販売電力量は,中部エリア外を中心とした契約獲得などから,前連結会計年度と比べ5.5%増加し1,173億kWhとなった。 〔販売電力量〕 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)増 減増減率(%)低圧(億kWh)30431393.0高圧・特別高圧(億kWh)734766324.3合 計1,0381,079413.9 (注) 1 販売電力量は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。 〔参考1〕グループ合計の販売電力量(億kWh)1,1111,173615.5 (注) 中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。 〔参考2〕他社販売電力量(億kWh)1182159782.7 (注) 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。 中部エリアの需要電力量は,気温影響による空調設備の稼動増などから,前連結会計年度と比べ1.5%増加し1,245億kWhとなった。 〔中部エリアの需要電力量〕 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)増 減増減率(%)中部エリアの需要電力量(億kWh)1,2271,245181.5 (注) 中部エリアの需要電力量は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。 収支の状況については,連結売上高は,燃料費調整額(燃調収入)等の減少はあったものの,販売電力量の増加などから,前連結会計年度と比べ1.6%増加し3兆6,692億円となった。連結経常損益は,燃料価格等の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差益が減少したことや,中部電力ミライズにおける電源調達ポートフォリオの組み替えによる費用削減効果等の減少,中部電力パワーグリッドにおける需給バランス調整などを適切に実施するための調整力確保費用の増加などから,前連結会計年度と比べ2,328億円減少し2,764億円の利益となった。なお,期ずれを除いた連結経常損益は,2,640億円程度の利益と,前連結会計年度と比べ1,070億円程度の減益となった。また,子会社などにおける有価証券評価損64億円を特別損失に計上した。この結果,親会社株主に帰属する当期純損益は,前連結会計年度と比べ2,010億円減少し2,020億円の利益となった。 当連結会計年度におけるセグメント別の業績(内部取引消去前)及び取り組みは以下のとおりである。なお,㈱JERAは持分法適用関連会社のため,売上高は計上されない。 [ミライズ]〔業績〕電力・ガスの販売と各種サービスの提供に伴う売上高については,燃調収入等の減少はあったものの,販売電力量の増加などから,前連結会計年度と比べ2.5%増加し2兆9,622億円となった。経常損益は,電源調達ポートフォリオの組み替えによる費用削減効果等が減少したことなどから,前連結会計年度と比べ867億円減少し1,170億円の利益となった。〔当連結会計年度の取り組み〕電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとのつながりをもとに,お客さまのくらしを豊かにするサービスや,ビジネス上の課題解決を実現するサービスを提供し,新たな価値をお届けしている。ご家庭のエネルギー最適化を提案し,快適で安心な生活の実現を支援するために「中部電力ミライズショップ」を2024年4月にオープンし,12月には,お客さま一人ひとりに便利でお得な毎日をお届けするためにご家庭向け銀行サービス「カテエネBANK」の提供を開始した。脱炭素の実現に向けては,CO2フリー電気をお届けする「ミライズGreenでんき」,電気を効率的にご利用いただくためのデマンドレスポンスサービス「NACHARGE」などを提供している。また,EV充電事業を拡大するため,新たに「ミライズエネチェンジ株式会社」を設立した。経営環境は依然として不透明な状況が継続しているものの,燃料価格が安定的に推移していることや,中部電力グループ全体で取り組んでいる経営努力などを踏まえ,2023年度に引き続き,電気料金などの負担軽減策を実施した。具体的には,特別高圧・高圧とご家庭を中心とした低圧のお客さまの電気料金の割引に加え,ライフステージの変化を迎えたお客さまの暮らしを支えるためのキャンペーンなどを行った。2025年度においても,電気料金などの負担軽減策を実施するとともに,お客さまのニーズに応じた魅力的なサービスの開発・提供に努めていく。 [パワーグリッド]〔業績〕電力ネットワークサービスの提供に伴う売上高については,再生可能エネルギー特別措置法にもとづく購入電力の卸電力取引市場への販売単価の上昇などから,前連結会計年度と比べ6.3%増加し9,632億円となった。経常損益は,需要電力量の増加に伴う託送収益の増加はあったものの,需給バランス調整などを適切に実施するための調整力確保費用の増加などから,前連結会計年度と比べ480億円減少し475億円の利益となった。〔当連結会計年度の取り組み〕再生可能エネルギーの導入拡大や設備の高経年化が進む中において,日々の設備保守を確実に行うとともに,他の一般送配電事業者等との連携も含めた系統運用・需給調整により,中部エリアの安定供給に加え,全国の安定供給にも寄与してきた。また,中部エリアにおける電力需給の中長期的な見通しが大きく変化する中においても,将来にわたり電力の安定供給と脱炭素を両立していくため,電力系統の次世代化に向けた取り組みを実施している。具体的には,他エリアとの電力融通の拡大に向けた設備の増強を進めるとともに,人口減少や省エネ等に起因する電力需要の減少や分散型電源の導入拡大といった地域ごとの実情に応じ,設備形成の最適化などを進めている。さらに,GXやDXの進展等による電力需要増加に早期に対応するために,「中部地方のウェルカムゾーンマップ」を公開した。これを,特別高圧供給をご希望されるお客さまや,自治体等とのコミュニケーションツールとして活用するなど,より良い連系サービスの提供に努め,中部エリアの経済成長に貢献していく。 [JERA]〔業績〕燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売に伴う経常損益は,燃料価格の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差益が減少したことなどから,前連結会計年度と比べ1,115億円減少し673億円の利益となった。なお,期ずれを除いたJERAによる連結経常損益への影響は470億円程度の利益となった。〔当連結会計年度の取り組み〕燃料上流・調達から発電,電力・ガス販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めつつ,安定的な燃料調達などエネルギーの安定供給確保における重要な役割も担っている。燃料制約や需給ひっ迫の回避に向けては,最新鋭の火力発電設備へのリプレース,火力発電所における補修点検時期の調整やボイラ等重要設備の重点巡視等を通じ,安定的な供給力の確保に取り組むとともに,需給変化を迅速に捉え,JERAの子会社であるJERA Global Marketsを通じた機動的な調達や,認定供給確保事業者としての戦略的余剰LNGの確保など,安定的な燃料供給に努めている。また,エネルギーの安定供給を確保しながら,2050年時点で国内外の事業から排出されるCO2を実質ゼロとするJERAゼロエミッション2050に向けた取り組みを進めている。まずは発電時にCO2を排出しない燃料であるアンモニア転換の技術確立と商用運転開始を目指し,碧南火力発電所4号機において,アンモニア20%転換の実証試験を実施した。引き続き,燃料アンモニアの製造や調達,輸送に向けた協業の検討を進めるなどサプライチェーン構築にも取り組んでいく。また,再生可能エネルギーの拡大に向けて,JERA Nexを発足させるとともに,英国のbpとの間で,JERA Nex bpを設立して両社の洋上風力発電事業を統合することに基本合意した。(注) JERAゼロエミッション2050は,脱炭素技術の着実な進展と経済合理性,政策との整合性を前提としている。JERAは,引き続き,自ら脱炭素技術の開発を進め,経済合理性の確保に向けて主体的に取り組んでいく。 (目標とする経営指標の達成状況等)当社は,2024年4月,中期経営目標を「2025年度の連結経常利益2,000億円以上,ROIC3.2%以上」に引き上げており,当連結会計年度における期ずれ影響を除いた連結経常利益は2,640億円程度,ROIC(期ずれ除き)は3.8%となった。 〔連結収支比較表〕項 目前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)経常収益営業収益(売上高)36,10436,6925881.6営業外収益1,994783△1,211△60.7合 計38,09837,475△623△1.6経常費用営業費用32,67034,2711,6014.9営業外費用33543910431.2合 計33,00534,7111,7055.2(営業損益)(3,433)(2,420)(△1,012)(△29.5)経常損益5,0922,764△2,328△45.7渇水準備金△156―特別利益92―△92―特別損失12664△62△49.4法人税等948603△345△36.4非支配株主に帰属する当期純損益8070△9△12.0親会社株主に帰属する当期純損益4,0312,020△2,010△49.9 (注) 1 特別利益:有価証券売却益(前連結会計年度)2 特別損失:減損損失,独占禁止法関連損失(前連結会計年度),有価証券評価損(当連結会計年度)3 内部取引相殺消去後(億円未満切り捨て) (3) キャッシュ・フローの状況の分析営業活動によるキャッシュ・フローは,中部電力パワーグリッドにおける需給調整費用の支出の増加などから,前連結会計年度と比べ427億円減少し3,013億円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは,固定資産の支出が増加したことなどから,前連結会計年度と比べ34億円支出が増加し3,917億円の支出となった。この結果,フリー・キャッシュ・フローは,前連結会計年度と比べ461億円悪化し904億円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは,資金調達による収入が減少したことなどから,前連結会計年度と比べ1,147億円減少し276億円の支出となった。これらにより,当連結会計年度末の現金及び現金同等物は,前連結会計年度末と比べ1,260億円減少した。 資本の財源及び資金の流動性について,当社グループは,主に電気事業の運営上必要な設備資金を,社債発行や銀行借入等により調達し,短期的な運転資金は,主に短期社債により調達することを基本としている。 〔連結キャッシュ・フロー比較表(要旨)〕項 目前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)営業活動によるキャッシュ・フロー ①3,4403,013△427△12.4投資活動によるキャッシュ・フロー ②△3,883△3,917△340.9財務活動によるキャッシュ・フロー870△276△1,147― フリー・キャッシュ・フロー ①+②△442△904△461― 項 目前連結会計年度末(2024年3月31日)当連結会計年度末(2025年3月31日)増 減金額(億円)金額(億円)金額(億円)増減率(%)現金及び現金同等物の期末残高4,1852,924△1,260△30.1 (注) 億円未満切り捨て (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は,わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については,「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりである。当社グループは,固定資産の評価,繰延税金資産,貸倒引当金,退職給付に係る負債及び資産,企業結合などに関して,過去の実績や当該取引の状況に照らして,合理的と考えられる見積り及び判断を行い,その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しているが,実際の結果は見積り特有の不確実性があるため,これらの見積りと異なる場合がある。また,連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち,重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。 |
※本記事は「中部電力株式会社」の令和7年年3期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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