会社名 | ソフトバンク株式会社 |
業種 | 情報・通信業 |
従業員数 | 連55070名 単18895名 |
従業員平均年齢 | 41.7歳 |
従業員平均勤続年数 | 14.5年 |
平均年収 | 8491000円 |
1株当たりの純資産 | 19.8円 |
1株当たりの純利益(連結) | 10.99円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 47.3円 |
配当性向 | 98.7% |
株価収益率(PER) | 23.9倍 |
自己資本利益率(ROE)(単体) | 36.9% |
営業活動によるCF | 13678億円 |
投資活動によるCF | ▲9951億円 |
財務活動によるCF | ▲9564億円 |
研究開発費※1 | 739.34億円 |
設備投資額※1 | 9127.99億円 |
販売費および一般管理費※1 | 4276.14億円 |
株主資本比率※2 | 22.3% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営理念当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、創業以来一貫して情報革命を通じた人類と社会への貢献を推進してきました。情報・テクノロジー領域においてさまざまな事業に取り組み、「世界に最も必要とされる会社」になるというビジョンを掲げ、企業価値の最大化に取り組んでいます。 (2) マテリアリティ(重要課題)上記の経営理念に基づき、社会インフラを提供する当社グループは、本業を通じて、さまざまな社会課題の解決に貢献すべく、「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中」の実現を通じて、持続可能な社会の維持に貢献し、中長期的な企業価値向上を達成すべく、当社グループが優先的に取り組むべき課題として、6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。各マテリアリティ(重要課題)の概要については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) サステナビリティ全般 c.戦略及び指標と目標 (b)マテリアリティ(重要課題)の特定」をご参照ください。 (3) 経営方針a. 経営環境2024年度の経営環境は、地政学リスクの高まり、インフレおよび為替の大幅な変動による先行き不透明感が続くなか、大企業の堅調な設備投資需要などにより緩やかな回復傾向にありました。一方、テレワークやオンラインショッピング、非接触型決済の利用拡大など、コロナ禍をきっかけとした人々の生活様式の変化や深刻化する人手不足に対応するため、企業や行政のデジタル化は必要不可欠なものとなりました。デジタル化は、生産性向上やイノベーションの創発を促すことで今後の日本の社会を変革していく原動力となり、さらに、文章・画像・プログラムコードなどさまざまなコンテンツを生成することができる生成AIの出現により、変革のスピードは加速しています。 b. 中期経営計画(2023年度?2025年度)当社は長期的に「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」を目指します。これは、AIの加速度的な進化により急増すると予見されるデータ処理や電力の需要に対応できる構造を持ったインフラを構築し、未来の多様なデジタルサービスを支える不可欠な存在となることを意図しています。当社は、この実現のために必要となるテクノロジーを特定し、これまでさまざまな準備を行ってきました。2023年度から2025年度における中期経営計画では、この実現に向けた事業基盤の再構築を目指しています。 c. 事業戦略当社グループの掲げる成長戦略「Beyond Carrier」は、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的にグループの事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指すものです。また、通信事業とそれらのグループ事業との連携を強化することで、通信事業の競争力を強化するとともに、グループ事業のサービス利用者数の拡大やユーザーエンゲージメントの向上といったシナジーを創出することを推進しています。 (a) 通信事業のさらなる成長当社グループのビジネスの基盤となる通信事業では、5Gの展開やスマートフォン・ブロードバンドの契約数の拡大、モバイルサービスにおけるARPU(1契約当たりの月間平均収入)の向上を図ることで、さらなる成長を目指します。 ⅰ.スマートフォン契約数・ブロードバンド契約数の拡大当社グループは特長の異なる3つのモバイルブランドを展開することで、大容量ユーザーから節約志向まで、幅広いユーザーのニーズに応えています。引き続き、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」の各種サービスやコミュニケーションアプリ「LINE」、キャッシュレス決済サービス「PayPay」といった、当社グループが提供するさまざまなサービスとの連携を強化することで、スマートフォン契約数の着実な拡大を図ります。また、「SoftBank 光」を中心とする家庭向け高速インターネットサービスについても、販売の拡大に注力します。 ⅱ.モバイルサービスにおけるARPUの向上当社グループはモバイルサービスにおいて、セキュリティや端末保証、エンターテインメント、店舗でのサポートなどの領域で、ユーザーにとって魅力的な付加価値サービスを拡充しています。加えて、さまざまな特典を付与することで「ソフトバンク」ブランドの魅力を高め、「ワイモバイル」からのブランド移行を促進しています。 ⅲ.5Gの展開当社グループが2020年3月に商用サービスの提供を開始した5Gは、人口カバー率95%を超え、その後もエリアを拡大しています。これまでは主に、ノンスタンドアローン方式と呼ばれる5Gサービスで、超高速・大容量の通信を実現していました。これに引き続き、スタンドアローン方式と呼ばれる5Gサービスの高度化を順次進めることにより、超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続の通信を実現し、これらの特長を生かした5Gサービスの提供を目指しています。一方、設備投資については、既存の基地局サイトを最大限に活用するほか、他社との協業、通信設備の効率化などのさまざまな工夫を行うことで、コスト効率化を図ります。なお、当社はモバイルブロードバンドのさらなる高速化とトラフィックの需要増加に対応するため、4.9GHz帯を使用する特定基地局の開設計画を総務省に申請し、2024年12月に総務大臣より認定を受けました。今後、当社は2031年3月期末までにすべての都道府県に特定基地局を開設し、2032年3月期末までにサービスを開始することを目指していきます。 (b) エンタープライズ事業におけるDX/ソリューションビジネスの拡大当社グループは、法人顧客向けに通信サービスを提供することに加えて、急速に拡大する企業のデジタル化ニーズに応えたDX/ソリューション商材の販売や生成AI関連ソリューションの開発・提供に注力し、新規顧客の獲得および顧客1社当たりの取引額拡大を目指します。また、社員のリスキルや採用活動を通じてデジタル人材を確保し、企業の抱える課題を解決する高付加価値なソリューションの提案を行います。さらに最先端テクノロジーの知見を駆使し、社会課題の解決に繋がる新事業の創出を目指します。2024年9月には、ICTサービスの中核子会社であったSBテクノロジー㈱を完全子会社化しました。同社の有するエンジニアやセキュリティ・クラウドサービスおよび当社の有する経営資源を相互活用し、高付加価値なサービスにより注力することによって収益力の向上を目指します。 (c) メディア・EC事業の成長当社グループはメディア・EC事業において、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」など、国内最大級のユーザー基盤を有するインターネットサービスを提供しています。同事業では、検索やニュース、オンラインショッピングなど、多様なサービスを展開しています。 ⅰ.メディア領域の拡大インターネット広告などを扱うメディア領域では、グループの技術やアセットを活用した配信精度の向上などにより広告単価を高めることで、既存広告の売上の最大化を図ります。加えて、データの連携によるマーケティング分析の強化やコミュニケーションアプリを通じたリピート購入の促進により、新規顧客の獲得から継続的な利用の促進まで一貫したマーケティング支援を行うことで、さらなる売上成長を目指します。2023年11月からクロスユース施策として、新たな会員サービス「LYPプレミアム」の提供を開始しました。旧「Yahoo!プレミアム」で提供していた特典に加えて、「LINE」アプリがもっと楽しく便利になる特典を利用できる サービスを通して新規会員を獲得し、LINEヤフーグループのサービス利用の拡大を目指します。 ⅱ.コマース領域の成長オンラインショッピングなどを扱うコマース領域では、ユーザーのニーズが多様化する中、「Yahoo!ショッピング」や「ZOZOTOWN」など、特長の異なる複数のコマースサービスを展開することで幅広いユーザーの取り込みを図っています。今後は、「LINE」「Yahoo! JAPAN」「PayPay」という国内最大級のユーザー基盤を持つグループサービスの相互利用をさらに促進し、グループ経済圏を拡大することで、収益の持続的な成長を目指します。また、今後の取り組みとして、「LINE」アプリのリニューアルを予定しています。新たに「ショッピング」タブを追加することで、メッセンジャーアプリを起点とした購入体験を提供します。「LINE」アプリのリニューアルを通じて、「LINE」の利便性向上と、さらなるクロスユースの促進強化に取り組みます。 ⅲ.セキュリティガバナンスの改善メディア・EC事業の中心的な企業であるLINEヤフー㈱は、2023年11月に公表した不正アクセスによる情報漏洩に関して、2024年3月および4月に総務省から行政指導を、同年3月に個人情報保護委員会から勧告および報告等の求めを受けました。これに対し、同社は2024年4月以降総務省および個人情報保護委員会へ定期的に報告書を提出しています。また、2024年11月に生じた「LINE」のアルバムでサムネイル画像が正しく表示されない不具合に関して、2025年3月に総務省より行政指導を受けました。同社は、多数のユーザーを抱えるプラットフォーム事業者としての信頼を損なう重大な事態であると重く受け止め、再発防止策を推進しています。当社は、同社の親会社として、定期的なリスク状況の評価や緊急事態発生時の連絡体制強化などの実効的なセキュリティガバナンス確保の取り組みを進めています。 (d) ファイナンス事業の成長ファイナンス事業には、PayPay㈱とPayPayカード㈱に加えて、決済代行サービスを提供するSBペイメントサービス㈱やスマートフォン専業の証券サービスを提供するPayPay証券㈱などが含まれます。 ⅰ.「PayPay」のさらなる成長と周辺金融サービスの成長促進効率的なプロモーションを通じたMTU(Monthly Transaction Users:月間取引ユーザー数)の増加、「PayPayクレジット」「PayPayカード」の利用拡大による決済単価・決済回数の増加、およびグループシナジーで「PayPay」のさらなる成長を図ります。加えて、「PayPay」の決済プラットフォームとしての強みを生かし周辺金融サービスの成長を促進することにより、当社グループのファイナンス事業の拡大を目指します。なお、PayPay㈱は2024年12月にPayPay銀行㈱の株式取得(注)を、2025年2月にPayPay証券㈱の子会社化(注)を発表しました。今後は、PayPay㈱主導で銀行・証券サービスの強化を目指します。(注) PayPay証券㈱は2025年4月1日に、PayPay銀行㈱は2025年4月11日にPayPay㈱による子会社化を完了しました。 ⅱ.決済代行サービスの決済取扱高の最大化SBペイメントサービス㈱が提供する決済代行サービスにおいては、当社の通信料金などの決済以外の領域(非通信領域)における決済機会を積極的に取り込み、決済取扱高の最大化を図ります。 (e) 新規事業の創出・拡大当社グループが有する通信、eコマース、決済、SNSといった異なる複数の分野における数千万人規模のユーザー基盤を強みに、AI、FinTech、モビリティ、ヘルスケア、再生可能エネルギーなどの領域で、最先端テクノロジーを活用した革新的な新規事業の創出・拡大を目指します。 当社では特に生成AI領域に注力しており、複数の大規模言語モデル(LLM)を顧客のニーズに応じて提供する「マルチモデル戦略」を推進しています。その取り組みの一環として、日本語に特化したLLM(Sarashina)の自社開発に取り組みつつ、米Googleが提供する「Google Workspace with Gemini」や、米マイクロソフトが提供する「Azure OpenAI Service」「Microsoft 365 Copilot」など、さまざまな生成AIソリューションの販売を行っています。さらに、2025年2月には、米OpenAIと企業用の最先端AIサービス開発・販売に関する提携を発表しました。加えて、今後の生成AIサービスの提供に必要となる大規模AIデータセンターの構築にも取り組んでいます。 (f) コスト効率化当社グループは、事業投資を機動的に実施する一方で、コストの効率化に継続的に取り組みます。例えば、コールセンター業務やネットワーク運用・監視業務等を、AIを活用して自動化することに取り組み、さらなる効率化を図ります。また、PHS・3GサービスやADSLサービスの終了などに合わせ、通信設備の最適化を継続します。加えて、グループ企業との共同購買や、グループ企業を活用した業務の内製化などを推進し、グループ全体のコスト効率化を図ります。 d. 財務戦略当社グループは、プライマリー・フリー・キャッシュ・フロー(注)を重要な経営指標と考えています。高い株主還元を維持しながら、成長への投資を実施していくため、今後も安定的なプライマリー・フリー・キャッシュ・フローの創出を図ります。また、健全な財務体質を維持しつつ、適切な財務レバレッジを伴った資本効率の高い経営を行っていきます。なお、生成AIを用いたサービスの実現や次世代社会インフラの構築などの長期性の成長投資には、社債型種類株式などを活用する予定です。 (注) プライマリー・フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。 |
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りです。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 連結経営成績の状況a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況(a) 事業全体の状況ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、情報・テクノロジー領域においてさまざまな事業を手がけ、「世界に最も必要とされる会社」になるというビジョンを掲げ企業価値の最大化に取り組んでいます。このため、取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)(注1)を特定し、事業を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献しています。2025年3月期の国内景気は、地政学リスクの高まり、インフレおよび為替の大幅な変動による先行き不透明感が続くなか、大企業の堅調な設備投資需要などにより緩やかな回復傾向にありました。一方、テレワークやオンラインショッピング、非接触型決済の利用拡大など、コロナ禍をきっかけとした人々の生活様式の変化や深刻化する人手不足に対応するため、企業や行政のデジタル化は必要不可欠なものとなりました。デジタル化は、生産性向上やイノベーションの創発を促すことで今後の日本の社会を変革していく原動力となり、さらに、文章・画像・プログラムコードなどさまざまなコンテンツを生成することができる生成AIの出現により、変革のスピードは加速しています。このような環境の下、情報・テクノロジー領域のさまざまな事業を展開する当社グループが果たすべき役割は、ますます重要性を増しています。当社は2023年5月、3カ年の中期経営計画とともに、長期的に「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」を目指すことを発表しました。これは、AIの加速度的な進化により急増すると予見されるデータ処理や電力の需要に対応できる構造を持ったインフラを構築し、未来の多様なデジタルサービスを支える不可欠な存在となることを意図しています。そして、この長期ビジョンの実現に向け、本中期経営計画においては事業基盤を着実に再構築することを掲げています。すなわち、成長戦略「Beyond Carrier」を推進することにより通信料の値下げの影響からの回復に取り組み、この計画期間の最終年度である2026年3月期には、親会社の所有者に帰属する純利益を最高益とすることを目指しています。なお、2023年5月には2026年3月期の親会社の所有者に帰属する純利益の予想を5,350億円と発表しましたが、好調な業績を背景として、2025年5月に5,400億円へ上方修正しました。成長戦略「Beyond Carrier」とは、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的にグループの事業を拡大し、企業価値の最大化を目指すものです。また、通信事業とそれらのグループ事業との連携を強化することを通じて、通信事業の競争力を高め、さらにグループ事業のサービス利用者数の拡大やユーザーエンゲージメントの向上などのシナジーの創出を推進します。 <経営環境に関する認識>当社グループが認識している主な外部環境要因および対応は以下の通りです。金利上昇当社は長期有利子負債の9割程度について固定金利での借り入れを行っており、直ちに重要な影響はありません。(注2)為替変動当社の為替エクスポージャーは限定的ですが、よりリスクの低減を図るため、必要に応じて為替予約取引を利用しています。 <主な取り組み>・通信分野では、2024年5月、当社とKDDI㈱は5G(注3)ネットワークにおける共同構築に関する取り組みについて、その対象を地方から全国(注4)へ拡大するなど、協業範囲を拡大する検討を開始することに合意しました。今後は、5Gに加えて、4Gの基地局資産の相互利用についても検討を進めます。また、当社は2024年11月に、AIとRAN(注5)を統合したソリューション「AITRAS(アイトラス)」を発表しました。「AITRAS」はNVIDIA AIコンピューティングインフラ上に、大容量、高性能かつ高品質なRANを提供するだけでなく、生成AIなどさまざまなAIアプリケーションの提供も、同時かつ効率的に運用できるソリューションです。今後、当社は「AITRAS」を自社の商用ネットワークへ導入するだけではなく、国内外の通信事業者などへ展開・拡大することを目指します。さらに、当社は、モバイルブロードバンドのさらなる高速化とトラフィックの需要増加に対応するため、4.9GHz帯を使用する特定基地局の開設計画を総務省に申請し、2024年12月に総務大臣より認定を受けました。今後、当社は2031年3月期末までにすべての都道府県に特定基地局を開設し、2032年3月期末までにサービスを開始することを目指します。・生成AI等の新規領域では、2024年5月、経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資クラウドプログラムの供給確保計画」について、経済産業省から認定を受けました。当社はAI計算基盤をさらに拡張するため、約1,500億円の設備投資を行い、2025年3月期から2026年3月期にかけて国内の複数の拠点にAI計算基盤を新たに構築予定です。今回、この拡張計画が経済産業省に認定され、最大421億円の助成を受ける予定です。また、2025年2月、当社、ソフトバンクグループ㈱およびOpenAIは、個々の企業のすべてのシステム、データを安全に統合し、各企業専用にカスタマイズされた最先端AI「クリスタル・インテリジェンス(Cristal intelligence)」の開発・販売に関するパートナーシップを発表し、当該AIの日本企業向けの独占販売権を持つ合弁会社「SB OpenAI Japan」を設立することに合意しました。さらに、当社は2025年3月に、大規模なAIデータセンターの構築に向けて、大阪府堺市にあるシャープ㈱の液晶パネル工場関連の土地や建物などを取得することについて、同社と売買契約を締結しました。受電容量が約150メガワット規模のAIデータセンターを構築し、2026年中の稼働開始を目指します。・エンタープライズ事業では、2024年9月に、当社グループのICTサービス中核会社であり当社の子会社であるSBテクノロジー㈱を完全子会社化するための株式併合を実施しました。SBテクノロジー㈱の完全子会社化により、同社の有するエンジニアやセキュリティ・クラウドサービスおよび当社の有する顧客基盤、エンジニア、ネットワークをはじめとするコミュニケーションサービス、AI/IoT/5G/デジタルマーケティングサービス等の経営資源を相互活用していきます。両社が一体となって、DX(注6)推進を課題と感じている顧客に対する効果的なITサービスを提供することが可能となり、ひいては国内ITサービス市場において競争優位性を維持・強化することができると考えています。・ファイナンス事業では、2024年12月に、LINEヤフー㈱の子会社であるZフィナンシャル㈱が保有するPayPay銀行㈱(注7)の株式をPayPay㈱に譲渡することを決定しました。また、2025年2月には、PayPay㈱は当社およびLINEヤフー㈱からPayPay証券㈱(注7)の株式を譲り受けるとともに、PayPay証券㈱が実施する第三者割当増資を引き受けることを決定しました。今後、PayPay㈱は、PayPay銀行㈱とPayPay証券㈱の親会社となることで連携を強化し、金融サービスのさらなる利便性や顧客満足度の向上を目指します。・当社は、2024年10月1日を効力発生日として普通株式1株につき10株の割合をもって株式分割を実施するとともに、普通株式に係る株主優待制度を新設しました。株主優待制度については、普通株式を1年以上かつ100株以上保有の株主を対象(注8)に、PayPayマネーライト(1,000円分)(注9)を贈呈します。当社は、株式分割の実施と株主優待制度の新設を通じて、若年層を含む新たに投資を始める方に、初めて投資する株式として当社株式を選択いただき、その長期保有を促していきます。さらに、当社関連サービスの利用を通じて、当社グループの事業に関する理解を深めていただくことを目指します。株式分割の実施と株主優待制度を新設した効果もあり、株主数は2025年3月末時点で約136万人となり、2024年3月末から約50万人増加しました。・当社は、2024年10月3日を払込期日として第2回社債型種類株式を発行しました。2023年11月に発行した第1回社債型種類株式と同じく、普通株式への転換権がない、累積配当ではあるものの当初設定された優先配当金以上の配当が行われない、議決権の希薄化が生じない設計となっており、普通株式の株主に配慮した形での自己資本の拡充を行いました。調達資金は、生成AIを用いたサービスの実現、次世代社会インフラの構築など中長期的な企業価値の向上に資する成長投資資金として、その設備投資資金に充当していくことを想定しています。・当社は2024年11月に、国連のSDGs(持続可能な開発目標)に貢献する企業を選出する「第6回日経SDGs経営大賞」において、史上初めて2年連続で大賞を受賞しました。さらに、継続して高い評価を得ている企業を別途認定する「プライムシート企業」にも選出されました。また、2024年12月には、世界の代表的なESG指数である「Dow Jones Sustainability Index(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)」の「World Index」構成銘柄に3年連続で選定されました。 (注1) マテリアリティ(重要課題)の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) サステナビリティ全般 c.戦略及び指標及び目標 (b)マテリアリティ(重要課題)の特定」をご参照ください。(注2) 長期有利子負債は、短期借入金およびIFRS第16号「リース」適用による影響を除いた有利子負債(銀行ローン・社債・リース負債・債権流動化)を指します。固定金利での借り入れは、固定金利および金利スワップ取引等により支払利息の固定化を行った一部の変動金利の借入金を含みます。(注3) 5G(5th Generation)とは、第5世代移動通信システムのことを指します。(注4) 沖縄セルラーを除きます。(注5) RAN(Radio Access Network)とは、無線アクセスネットワークのことを指します。(注6) DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術の活用による新たな価値・体験の提供および社会の変革を指します。(注7) PayPay証券㈱は2025年4月1日に、PayPay銀行㈱は2025年4月11日にPayPay㈱による子会社化を完了しました。(注8) 保有期間は3月31日から翌年3月31日まで、または9月30日から翌年9月30日までの間とし、初回は2025年3月31日から2026年3月31日までとします。当社株主名簿に記載または記録された日付であり、株式を取得した日等とは異なります。また、同一の株主番号で3月31日および9月30日最終の当社株主名簿に3回以上連続で記載または記録されている株主が対象です。(注9) PayPayマネーライトは譲渡・請求書払い(税金以外)およびPayPay/PayPayカード公式ストアでも利用可能です。出金や自治体への請求書払い(税金など)には利用できません。 ⅱ.連結経営成績の概況(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率売上高60,84065,4434,6037.6%営業利益8,7619,8901,12912.9%税引前利益8,0598,8017419.2% 法人所得税△2,156△2,248△914.2%純利益5,9036,55365011.0% 親会社の所有者4,8915,2613717.6% 非支配持分1,0121,29228027.6% 調整後EBITDA(注)16,67717,5318555.1% (注) 調整後EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費(固定資産除却損含む)+株式報酬費用±その他の調整項目。詳細は「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。 当期の連結経営成績の概況は、以下の通りです。(ⅰ) 売上高当期の売上高は、全報告セグメントで増収となり、前期比4,603億円(7.6%)増の65,443億円となりました。ディストリビューション事業は法人向けICT関連商材および継続収入商材の堅調な増加、AI計算基盤に係るセグメント間取引の影響などにより2,429億円(注)、コンシューマ事業は物販等売上およびモバイル売上の増加などにより1,303億円、エンタープライズ事業はデジタル化に伴うソリューション需要の増加などにより885億円、メディア・EC事業はメディア売上およびコマース売上の増加などにより640億円、ファイナンス事業はPayPay㈱およびPayPayカード㈱が展開するQRコード決済やクレジットカードの決済取扱高の増加などにより445億円、それぞれ増収となりました。(注) AI計算基盤に係るセグメント間取引の影響を除く売上高の増加分は1,621億円です。 (ⅱ) 営業利益当期の営業利益は、全報告セグメントで増益となり、前期比1,129億円(12.9%)増の9,890億円となりました。メディア・EC事業がLINEヤフーグループにおいて子会社の支配喪失に伴う利益を計上したことや広告売上が増加したことなどにより693億円の増益となったほか、ファイナンス事業が382億円、コンシューマ事業が352億円、ディストリビューション事業が42億円、エンタープライズ事業が34億円、それぞれ増益となりました。なお、PayPay㈱およびPayPayカード㈱が展開するQRコード決済やクレジットカードの決済取扱高の増加に伴い、当期のファイナンス事業のセグメント利益は黒字に転じています。 (ⅲ) 純利益当期の純利益は、前期比650億円(11.0%)増の6,553億円となりました。これは主として、保有する投資有価証券の評価損の計上、LINEヤフーグループが保有するWebtoon Entertainment Inc.に対する持分比率の変動に伴う持分変動利益の剥落、持分法適用関連会社を対象とするプット・オプションの評価損の計上があった一方、前述した営業利益の大幅増加によるものです。 (ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益当期の親会社の所有者に帰属する純利益は、前期比371億円(7.6%)増の5,261億円となりました。なお、非支配持分に帰属する純利益は、主としてLINEヤフーグループの純利益が増加したことに伴い、前期比280億円(27.6%)増の1,292億円となりました。 (ⅴ) 調整後EBITDA当期の調整後EBITDAは、前期比855億円(5.1%)増の17,531億円となりました。これは主として、営業利益が増加したことによるものです。 (b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況ⅰ.コンシューマ事業<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、モバイルサービス、ブロードバンドサービスおよび「おうちでんき」などの電力サービスを提供しています。また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。 <業績全般>(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率売上高28,22629,5291,3034.6%営業費用(注1)23,27424,2249504.1% うち、減価償却費及び償却費3,9563,788△168△4.2%セグメント利益4,9525,3043527.1% (注) 2024年6月30日に終了した3カ月間より、「コンシューマ事業」に区分されていた一部の子会社を「その他」に移管しました。これに伴い、2024年3月31日に終了した1年間の数値を遡及修正しています。(注1) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。 売上高の内訳(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率サービス売上21,87222,3905182.4% モバイル15,21915,7455263.5% ブロードバンド4,0384,088491.2% でんき2,6152,558△57△2.2%物販等売上6,3547,13978412.3% 売上高合計28,22629,5291,3034.6% (注) 2024年6月30日に終了した3カ月間より、「コンシューマ事業」に区分されていた一部の子会社を「その他」に移管したことに伴い、同社が含まれていた「ブロードバンド」について、2024年3月31日に終了した1年間の数値を遡及修正しています。 コンシューマ事業の売上高は、前期比1,303億円(4.6%)増の29,529億円となりました。そのうち、サービス売上は前期比518億円(2.4%)増の22,390億円となり、物販等売上は前期比784億円(12.3%)増の7,139億円となりました。サービス売上のうち、モバイルは前期比526億円(3.5%)増加しました。これは主として、売上から控除している顧客獲得施策の影響が減少したこと、およびスマートフォン契約数が「ワイモバイル」ブランドを中心に伸びたことによるものです。なお、通信料の年度平均単価は、前期には120円低下したものの、当期は前期比で横ばいとなりました。これは主として、低価格の「ワイモバイル」ブランドのユーザー数の増加による下落影響を、2023年10月に導入した新料金プランの浸透により吸収したことによるものです。なお、各四半期連結会計期間のモバイル売上(顧客獲得施策影響を除く)は、2024年3月期第3四半期以降、前年同期比で増収に転じています。 (単位:億円) 2024年3月期2025年3月期 第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期モバイル売上3,8463,9203,7483,7043,9233,9653,8823,975うち、顧客獲得施策影響(注)--△183△227--△112△20モバイル売上(顧客獲得施策影響を除く)3,8463,9203,9303,9313,9233,9653,9943,995前年同期比△58△5496476456364 (注) 一部の顧客獲得施策はIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」に基づき、モバイル売上から控除しています。 ブロードバンドは前期比49億円(1.2%)増加しました。これは主として、光回線サービス「SoftBank 光」契約数(注)が増加したことによるものです。でんきは前期比57億円(2.2%)減少しました。これは主として、「おうちでんき」契約数が減少したことによるものです。物販等売上の増加は、主として、販売端末の平均単価が増加したことによるものです。営業費用は24,224億円となり、前期比で950億円(4.1%)増加しました。これは主として、スマートフォンなどの仕入原価および販売促進費が増加したことによるものです。上記の結果、セグメント利益は、前期比352億円(7.1%)増の5,304億円となりました。(注)「SoftBank Air」契約数を含みます。 ⅱ.エンタープライズ事業<事業概要>エンタープライズ事業では、法人のお客さまに対し、モバイル回線提供や携帯端末レンタルなどのモバイルサービス、固定電話やデータ通信などの固定通信サービス、データセンター、クラウド、セキュリティ、グローバル、AI、IoT、デジタルマーケティング等のソリューションサービスなど、多様な法人向けサービスを提供しています。 <業績全般> (単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率売上高8,3399,22488510.6%営業費用(注1)6,6717,52185012.7% うち、減価償却費及び償却費1,5671,663966.1%セグメント利益1,6681,703342.1% (注) 2024年6月30日に終了した3カ月間より、「その他」に区分されていたSBテクノロジー㈱およびサイバートラスト㈱等を「エンタープライズ事業」に移管しました。これに伴い、2024年3月31日に終了した1年間の数値を遡及修正しています。(注1) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。 売上高の内訳(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率モバイル3,1463,159130.4%固定1,7381,693△44△2.6%ソリューション等3,4564,37291626.5% 売上高合計8,3399,22488510.6% (注) 2024年6月30日に終了した3カ月間より「エンタープライズ事業」に移管したSBテクノロジー㈱およびサイバートラスト㈱等の売上高は「ソリューション等」に含まれています。また、2024年6月30日に終了した3カ月間より事業の管理区分を見直し、「モバイル」および「固定」における一部商材を「ソリューション等」へ移管しました。これらに伴い、2024年3月31日に終了した1年間の「エンタープライズ事業」の売上高の内訳すべてを遡及修正しています。 エンタープライズ事業の売上高は、前期比885億円(10.6%)増の9,224億円となりました。そのうち、モバイルは前期比13億円(0.4%)増の3,159億円、固定は前期比44億円(2.6%)減の1,693億円、ソリューション等は前期比916億円(26.5%)増の4,372億円となりました。モバイル売上の増加は、主として、契約者数の増加に伴い通信売上が増加したことによるものです。固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数が減少したことによるものです。ソリューション等売上の増加は、WeWork Japan合同会社の事業を承継したことに加え、企業のデジタル化需要をとらえ、クラウドサービス、セキュリティソリューション、IoTソリューションなどの売上が増加したこと、およびCubic Telecom Ltd.の子会社化の影響などによるものです。営業費用は7,521億円となり、前期比で850億円(12.7%)増加しました。これは主として、前述のWeWork Japan合同会社の事業承継やCubic Telecom Ltd.の子会社化による影響、上記ソリューション等売上の増加に伴う原価の増加、前期に計上した訴訟に係る引当金の戻入の剥落によるものです。上記の結果、セグメント利益は、前期比34億円(2.1%)増の1,703億円となりました。 ⅲ.ディストリビューション事業<事業概要>ディストリビューション事業は、変化する市場環境を迅速にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、クラウドサービス、AIを含めた先進テクノロジーを活用した商材を提供しています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、ソフトウエアやモバイルアクセサリー、IoTプロダクト等、多岐にわたる商品の企画・提供を行っています。 <業績全般>(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率売上高6,4668,8952,42937.6%営業費用(注)6,2048,5912,38738.5% うち、減価償却費及び償却費4443△1△2.8%セグメント利益2623044216.0% (注) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。 ディストリビューション事業の売上高は、前期比2,429億円(37.6%)増の8,895億円となりました。これは主として、法人向けのICT関連の商材や注力しているクラウドやSaaSなどの継続収入商材の堅調な伸長、AI計算基盤に係るセグメント間取引(注)の影響、およびサポートが終了するWindows 10からの移行に伴うPC売上の増加によるものです。営業費用は8,591億円となり、前期比で2,387億円(38.5%)増加しました。これは主として、売上高の増加に伴い売上原価が増加したことによるものです。上記の結果、セグメント利益は、前期比42億円(16.0%)増の304億円となりました。(注) SB C&S㈱が、NVIDIAから仕入れたAI計算基盤をソフトバンク㈱へ売却したことに伴う、「その他」への売上高です。 ⅳ.メディア・EC事業<事業概要>メディア・EC事業は、メディアおよびコマースを中心としたサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。メディア領域においては、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」での広告関連サービス、コマース領域においては「Yahoo!ショッピング」、「ZOZOTOWN」などのオンラインショッピングサービスや「Yahoo!オークション」などのリユースサービス、戦略領域においては、メディア・コマースに次ぐ新たな収益の柱となるよう取り組んでいるFinTechサービス等の提供を行っています。 <業績全般>(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率売上高16,14116,7816404.0%営業費用(注)14,16214,108△54△0.4% うち、減価償却費及び償却費1,6131,633211.3%セグメント利益1,9802,67369335.0% (注) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。 売上高の内訳(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率メディア6,9447,2392954.2%コマース8,2528,4612092.5%戦略8761,00312714.5%その他6977812.1% 売上高合計16,14116,7816404.0% (注) 2024年12月31日に終了した3カ月間において、LINEヤフーグループでは事業の管理区分を見直し、「メディア」に区分されていた一部のサービスを「コマース」に移管しました。これに伴い、2024年3月31日に終了した1年間の「メディア・EC事業」の売上高のうち、「メディア」および「コマース」の内訳を遡及修正しています。 メディア・EC事業の売上高は、前期比640億円(4.0%)増の16,781億円となりました。そのうち、メディアは前期比295億円(4.2%)増の7,239億円、コマースは前期比209億円(2.5%)増の8,461億円、戦略は前期比127億円(14.5%)増の1,003億円、その他は前期比8億円(12.1%)増の77億円となりました。メディア売上の増加は、主として、アカウント広告の増収によるものです。コマース売上の増加は、主として、ZOZOグループ(㈱ZOZOおよび子会社)やアスクルグループ(アスクル㈱および子会社)における取扱高が増加したことや、トラベル・飲食予約などを扱うサービスEC事業が好調に推移したことによるものです。戦略売上の増加は、主として、PayPay銀行㈱等のFinTech領域の売上が増加したことによるものです。営業費用は14,108億円となり、前期比で54億円(0.4%)減少しました。これは主として、販売促進費の増加、セキュリティ対策費用の増加および売上高の増加に伴う売上原価等の増加があった一方、IPX Corporation、LINE NEXT Corporation、バリューコマース㈱のそれぞれにつき子会社の支配喪失に伴う利益の計上、LINEヤフー㈱等で減損損失が減少したことによるものです。上記の結果、セグメント利益は、前期比693億円(35.0%)増の2,673億円となりました。 ⅴ.ファイナンス事業<事業概要>ファイナンス事業では、QRコード決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービス、加盟店のマーケティングソリューションの開発・提供、資産運用などの金融サービス、およびクレジットカード・電子マネー・QRコードなど多様化する決済を一括で提供する決済代行サービスなどを提供しています。 <業績全般>(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減増減率売上高2,3282,77344519.1%営業費用(注)2,3782,441632.7% うち、減価償却費及び償却費2092352612.4%セグメント利益△50332382-% (注) 営業費用には、売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。 ファイナンス事業の売上高は、前期比445億円(19.1%)増の2,773億円となりました。これは主として、PayPay㈱およびPayPayカード㈱が展開するQRコード決済やクレジットカードの決済取扱高が増加したことによるものです。営業費用は2,441億円となり、前期比で63億円(2.7%)増加しました。これは主として、固定費の最適化に伴う費用抑制があった一方で、前述の通りPayPay㈱およびPayPayカード㈱が展開するQRコード決済やクレジットカードの決済取扱高の増加により、ポイント還元などに係る販売促進費が増加したことによるものです。上記の結果、セグメント利益は、前期比382億円増の332億円となり、黒字化しました。 b. 生産、受注及び販売の実績当社グループは、コンシューマ、エンタープライズ、ディストリビューション、メディア・EC、ファイナンスの5つのセグメントと、それ以外の事業から構成されています。いずれも、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。なお、当連結会計年度における販売の状況については以下の通りです。 セグメントの名称金額(億円)前期比(%)コンシューマ29,5294.6エンタープライズ9,22410.6ディストリビューション8,89537.6メディア・EC16,7814.0ファイナンス2,77319.1その他1,2346.0セグメント間の内部売上高または振替高△2,99264.0合計65,4437.6 (注) 1 金額は、外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高または振替高の合計です。2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しています。 (2) 連結財政状態の状況 (単位:億円) 2024年3月31日2025年3月31日増減増減率 流動資産52,68048,587△4,094△7.8% 非流動資産102,539112,4359,8979.7%資産合計155,219161,0225,8033.7% 流動負債70,85368,352△2,501△3.5% 非流動負債45,01050,0165,00611.1%負債合計115,863118,3682,5062.2%資本合計39,35642,6543,2978.4% (単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減設備投資(注1)6,5099,1282,619 うち、コンシューマ事業およびエンタープライズ事業の設備投資(注2)3,1283,21890 (注1) 設備投資は検収ベースでの記載です。(注2) コンシューマ事業およびエンタープライズ事業の設備投資は、レンタル端末への投資額、他事業者との共用設備投資(他事業者負担額)、4.9GHz帯の特定基地局開設料およびIFRS第16号「リース」適用による影響は除きます。 (資産)当期末の資産合計は、前期末から5,803億円(3.7%)増加し、161,022億円となりました。これは主として、現金及び現金同等物の減少5,573億円があった一方で、その他の金融資産の増加3,744億円、銀行事業の有価証券の増加2,248億円、有形固定資産の増加1,982億円、営業債権及びその他の債権の増加1,446億円、使用権資産の増加870億円があったことによるものです。なお、有形固定資産の増加は、シャープ㈱の堺工場の土地建物やAI計算基盤等の取得があったことによるものです。使用権資産の増加は、WeWork Japan合同会社の事業承継の影響によるものであり、承継した不動産賃貸借契約の定める将来の施設利用権を資産として認識したものです。 (負債)当期末の負債合計は、前期末から2,506億円(2.2%)増加し、118,368億円となりました。これは主として、有利子負債の減少3,587億円があった一方で、営業債務及びその他の債務の増加2,936億円、銀行事業の預金の増加1,528億円があったことによるものです。有利子負債は、社債発行やWeWork Japan合同会社の事業承継に伴いリース負債を計上したことによる増加があったものの、各種借入の約定弁済をしたことなどにより減少となりました。 (資本)当期末の資本合計は、前期末から3,297億円(8.4%)増加し、42,654億円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は、3,666億円増加しました。これは主として、剰余金の配当による減少4,089億円があった一方で、当期の純利益の計上による増加5,261億円、第2回社債型種類株式を含む新株の発行による増加2,238億円があったことによるものです。 (設備投資)当期の設備投資は、前期比2,619億円増の9,128億円となりました。これは主として、AI計算基盤・AIデータセンター関連投資およびLINEヤフーグループの設備投資が増加したこと、並びに2025年3月期第3四半期連結会計期間において、4.9GHz帯を使用する特定基地局開設料として無形資産に665億円(注3)を計上したことによるものです。(注3) 特定基地局開設料の支払期間は16年間です。認定期間にわたる長期の支払い方式である点を踏まえ、現在価値に割り引いて算出しています。 (3) 連結キャッシュ・フローの状況(単位:億円) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年増減営業活動によるキャッシュ・フロー12,39713,6791,282投資活動によるキャッシュ・フロー△9,276△9,952△676財務活動によるキャッシュ・フロー△3,571△9,564△5,993現金及び現金同等物の期末残高19,92914,355△5,573フリー・キャッシュ・フロー(注1)3,1213,727606調整後フリー・キャッシュ・フロー (LINEヤフーグループ、PayPay等除く)(注1、2)5,3284,365△963プライマリー・フリー・キャッシュ・フロー(注1、3)6,0776,033△43 (注1) フリー・キャッシュ・フロー、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)、プライマリー・フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。(注2) 調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)=フリー・キャッシュ・フロー+(割賦債権の流動化による調達額-同返済額)-LINEヤフーグループ、PayPay等のフリー・キャッシュ・フロー+Aホールディングス㈱からの受取配当、PayPay証券㈱への出資など。なお、LINEヤフーグループ、PayPay等にはAホールディングス㈱、LINEヤフー㈱および子会社(LINEヤフーグループ)、Bホールディングス㈱、PayPay㈱、PayPayカード㈱、PayPay証券㈱などを含みます。(注3) プライマリー・フリー・キャッシュ・フローは、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)に、長期性の成長投資として支出した金額を足し戻した指標です。なお、長期性の成長投資はAI計算基盤・AIデータセンター関連投資、Cubic Telecom Ltd.への出資を含みます。 a.営業活動によるキャッシュ・フロー当期の営業活動によるキャッシュ・フローは13,679億円の収入となり、前期比では1,282億円収入が増加となりました。これは主として、EBITDAが増加したことに加えて、法人所得税の支出の減少や還付の増加があったことによるものです。 b.投資活動によるキャッシュ・フロー当期の投資活動によるキャッシュ・フローは9,952億円の支出となり、前期比では676億円支出が増加となりました。これは主として、前期においてCubic Telecom Ltd.の子会社化に伴う株式の取得があり、当期では通信事業関連の支出が減少しましたが、シャープ㈱の堺工場の土地建物の取得やAI計算基盤等への成長投資がそれらを上回ったことによるものです。なお、この投資活動によるキャッシュ・フローには、長期性の成長投資に係る支出1,669億円が含まれています。 c.財務活動によるキャッシュ・フロー当期の財務活動によるキャッシュ・フローは9,564億円の支出となりました。これは、銀行借入・リース・社債・債権流動化・第2回社債型種類株式の発行などの資金調達による収入が18,943億円あった一方で、借入金の約定弁済・配当金支払・子会社株式の取得などの支出が28,507億円あったことによるものです。 d.現金及び現金同等物の期末残高a.~c.ほかの結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末比5,573億円減の14,355億円となりました。 e.プライマリー・フリー・キャッシュ・フロー当期のプライマリー・フリー・キャッシュ・フローは6,033億円の収入となり、前期比では43億円の収入の減少となりました。これは主として、2025年3月期第2四半期連結会計期間にAホールディングス㈱が実施した、LINEヤフー㈱株式の売却に伴う手取金にかかる当社への配当金があった一方で、割賦債権の流動化による収入が減少したことによるものです。 f.資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社の財務戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営方針 d.財務戦略」をご参照ください。 (キャッシュ・フロー関連指標の推移) 3月31日に終了した1年間 2024年2025年親会社所有者帰属持分比率15.3%17.0%キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)5.14.4インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)26.522.3 <各指標の計算方法> 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分合計/資産合計キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(※1)/キャッシュ・フロー(※2)インタレスト・カバレッジ・レシオ:調整後EBITDA(※3)/支払利息(※4)(※1) 有利子負債は連結財政状態計算書の流動負債と非流動負債の中の有利子負債の合計値を使用しています。(※2) キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。(※3) 算出方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標 a.調整後EBITDA」をご参照ください。(※4) 支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。 (4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。 a.調整後EBITDA調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」、「株式報酬費用」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」には、連結損益計算書に記載されている「その他の営業収益」および「その他の営業費用」が含まれています。当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。 営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。(単位:億円) 2024年3月31日に終了した1年間 2025年3月31日に終了した1年間営業利益 8,761 9,890(加算)減価償却費及び償却費(注) 7,691 7,700(加算)株式報酬費用 230 193(加算(△は減算))その他の調整項目:減損損失 147 138(加算(△は減算))その他の調整項目:子会社の支配喪失に伴う利益 △48 △390(加算(△は減算))その他の調整項目:事業譲渡益 △105 -調整後EBITDA 16,677 17,531 (注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 d. 連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2024年3月31日に終了した1年間7,438億円 2025年3月31日に終了した1年間7,480億円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2024年3月31日に終了した1年間253億円 2025年3月31日に終了した1年間220億円)が含まれています。 b.フリー・キャッシュ・フロー、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)、およびプライマリー・フリー・キャッシュ・フローフリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)は、フリー・キャッシュ・フローから端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算するとともに、Aホールディングス㈱からの受取配当を加算し、LINEヤフーグループ、PayPay等のフリー・キャッシュ・フローを除くなどして計算される指標です。プライマリー・フリー・キャッシュ・フローは、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)から中長期的な成長に資するAI計算基盤の構築などの戦略投資を除いた指標であり、主として当社および当社の完全子会社での既存事業における継続的な資金創出能力すなわち債務返済能力や配当金の支払い能力を評価するために有用な指標であると考えています。なお、連結キャッシュ・フロー計算書上、割賦債権流動化による資金調達額および返済額は、財務活動によるキャッシュ・フローに含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。従って、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)およびプライマリー・フリー・キャッシュ・フローの算出の過程において、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算しています。 フリー・キャッシュ・フロー、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く)、プライマリー・フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。(単位:億円) 2024年3月31日に終了した1年間 2025年3月31日に終了した1年間営業活動によるキャッシュ・フロー 12,397 13,679投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)(注1) △5,522 △7,435投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)(注2) △3,754 △2,517フリー・キャッシュ・フロー 3,121 3,727割賦債権の流動化による影響 779 △86 割賦債権流動化取引:調達額(注3) 4,588 3,706 割賦債権流動化取引:返済額(注3) △3,809 △3,792LINEヤフーグループ、PayPay等のフリー・キャッシュ・フローによる影響(注4) 1,308 △152その他(注5) 120 877調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフーグループ、PayPay等除く) 5,328 4,365長期性の成長投資(注6) △749 △1,669プライマリー・フリー・キャッシュ・フロー 6,077 6,033 (注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」、「子会社の支配喪失による収支(△は支出)」および「その他」の純額です。(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。なお、割賦債権流動化取引のうち、短期間で調達および返済を行う取引については純額表示しています。(注4) LINEヤフーグループ、PayPay等にはAホールディングス㈱、LINEヤフー㈱および子会社(LINEヤフーグループ)、Bホールディングス㈱、PayPay㈱、PayPayカード㈱、PayPay証券㈱などを含みます。(注5) Aホールディングス㈱からの受取配当(2025年3月期第2四半期連結会計期間に同社が実施したLINEヤフー㈱株式の売却に伴う、当社への当該手取金の配当を含みます)、PayPay証券㈱への出資などを含みます。(注6) AI計算基盤・AIデータセンター関連投資、Cubic Telecom Ltd.への出資を含みます。 (5) 重要な判断を要する会計方針及び見積りIFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、当社グループにとって最適な会計方針を採用し、一定の前提条件に基づく見積りを行う必要があります。連結財政状態計算書上の資産および負債、連結損益計算書上の収益および費用、または開示対象となる偶発負債および偶発資産などに重要な影響を与える可能性がある項目に関して、経営者は、過去の経験や決算日時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき見積りを行っています。以下の各項目は、その認識および測定にあたり、経営者の重要な判断および会計上の見積りを必要とするものです。 a.企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値測定ならびに減損に係る見積り企業結合により取得した無形資産およびのれんは、支配獲得日における公正価値で認識しています。企業結合時の取得対価の配分に際しては、経営者の判断および見積りが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。企業結合により識別した無形資産(顧客基盤や商標権など)およびのれんは、見積将来キャッシュ・フローや割引率、既存顧客の逓減率、対象商標権から生み出される将来売上予想やロイヤルティレート等の仮定に基づいて測定しています。企業結合により取得した無形資産およびのれんの取得価額は、当連結会計年度は223億円(前連結会計年度は904億円)です。また、無形資産およびのれんの減損を判断する際に、資金生成単位の回収可能価額の見積りが必要となりますが、減損テストで用いる回収可能価額は、資産の耐用年数、資金生成単位により生じることが予想される見積将来キャッシュ・フロー、市場成長率見込、市場占有率見込および割引率等の仮定に基づいて測定しています。これらの仮定は、経営者の最善の見積りによって決定されますが、将来の不確実な経済条件の変動により影響を受ける可能性があり、仮定の見直しが必要となった場合には連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 (2) 企業結合」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6.企業結合」をご参照ください。無形資産およびのれんの減損に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 (11) 有形固定資産、使用権資産、無形資産およびのれんの減損」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.のれんおよび無形資産」をご参照ください。 b.有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積り有形固定資産および無形資産は、当社グループの総資産に対する重要な構成要素です。見積りおよび仮定は、資産の帳簿価額および減価償却費または償却費に重要な影響を及ぼす可能性があります。資産の減価償却費は、耐用年数の見積りおよび残存価額(有形固定資産の場合)を用いて算出されます。資産の耐用年数および残存価額は、資産を取得または創出した時点で見積りを行い、その後、各連結会計年度末に見直しを行います。資産の耐用年数および残存価額の変更は、連結財務諸表に対して重要な調整を必要とする可能性があります。経営者は、資産を取得または創出した時点ならびに見直し時に、同種資産に対する経験に基づき、予想される技術上の変化、除却時の見積費用、当該資産の利用可能見込期間、既存顧客の逓減率、当該資産から得られると見込まれる生産高またはこれに類似する単位数および資産の耐用年数に制約を与える契約上の取決めなどの関連する要素を勘案して、当該資産の耐用年数および残存価額を決定しています。有形固定資産の減価償却費は、当連結会計年度は3,073億円(前連結会計年度は3,079億円)であり、無形資産の償却費は、当連結会計年度は2,720億円(前連結会計年度は2,764億円)です。有形固定資産および無形資産の帳簿価額・減価償却費または償却費に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.有形固定資産」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.のれんおよび無形資産」をご参照ください。有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積りに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 (7) 有形固定資産、(9) 無形資産」をご参照ください。 c.金融商品の公正価値の測定方法当社グループは、特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いています。観察可能ではないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。市場で観察可能ではないインプットを用いた金融資産の公正価値は、当連結会計年度末は3,750億円(前連結会計年度末は3,451億円)です。金融商品の公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 30.金融商品の公正価値 (1) 公正価値ヒエラルキーのレベル別分類、(2) レベル3に分類した金融商品の公正価値測定」をご参照ください。 d.契約獲得コストの償却期間の見積り当社グループは、契約獲得コストについて、契約獲得コストに直接関連する財またはサービスが提供されると予想される期間(すなわち、契約獲得コストの償却期間)にわたって、定額法により償却しています。契約獲得コストの償却期間は、契約条件および過去の実績データなどに基づいた解約率や機種変更までの予想期間などの関連する要素を勘案して決定しています。契約獲得コストの償却期間の変更は、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。契約獲得コストに係る償却費は、当連結会計年度は2,415億円(前連結会計年度は2,421億円)です。契約獲得コストに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 (16) 収益 b.契約コスト」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 16.契約コスト」をご参照ください。 |
※本記事は「ソフトバンク株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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