会社名 | ANAホールディングス株式会社 |
業種 | 空運業 |
従業員数 | 連41225名 単260名 |
従業員平均年齢 | 45.3歳 |
従業員平均勤続年数 | 2.33年 |
平均年収 | 7140000円 |
1株当たりの純資産 | 2222.03円 |
1株当たりの純利益 | 335.09円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 50円 |
配当性向 | 172.1% |
株価収益率(PER) | 9.6倍 |
自己資本利益率(ROE) | 16.5% |
営業活動によるCF | 4206億円 |
投資活動によるCF | ▲3995億円 |
財務活動によるCF | ▲1360億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | 1.27億円 |
販売費および一般管理費※1 | 2057.54億円 |
株主資本比率※2 | 42.9% |
有利子負債残高(連結)※3 | 11902.59億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社グループは、グループの使命・存在意義である経営理念として「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します」を掲げています。経営の基盤である安全を堅持しつつ、「世界中のグループ社員がイキイキと挑戦を続け、お客様や社会に寄り添いながら新たな価値を提供し、世界を期待や喜びで満たしたい」という想いを込め、グループ経営ビジョンを「ワクワクで満たされる世界を」と定めています。 (2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略今後の見通しにつきまして、日本経済は、雇用・所得環境が改善し、景気の緩やかな回復が続くことが期待されています。一方、世界経済は、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き懸念などが景気の下振れリスクとして想定されます。航空業界を取り巻く環境は、国内線ではレジャーを中心に需要が回復し、国際線では訪日需要やビジネス需要の回復傾向が続くと見込まれますが、物価上昇やウクライナ・中東地域をめぐる情勢等の地政学リスクに注視が必要です。このような状況下で、当社グループは2023年2月15日に策定した「2023~2025年度 ANAグループ中期経営戦略」に基づき、新しい経営ビジョンである「ワクワクで満たされる世界を」の実現に向け、取り組んでまいります。そのために市場の動向を見極めながら、航空事業を中核事業として非航空事業でも事業領域を拡げ、収益の拡大を追求するとともに、環境や人権などの社会問題にも取り組み、持続的な企業価値の向上を目指します。 (3) 対処すべき課題「2023~2025年度 ANAグループ中期経営戦略」の期間を「2030年に目指す姿の実現に向けた変革」を進める3年間と位置付けており、コロナ禍からの回復を果たし、持続的な価値成長に向けたビジネスモデルの変革を加速して成長軌道への転換を図ります。本戦略では、経営テーマとして事業戦略の3本柱を掲げています。航空事業を中心に収益を拡大しつつ非航空事業を強化し、航空事業と非航空事業間におけるお客様の回遊を促進します。これにより、コロナ前を上回る利益の創出と強靭な財務基盤の構築を目指します。 ① エアライン事業の利益最大化ANA、Peach、AirJapanの3つのブランドで最適なポートフォリオを追求します。運賃や品揃え、運航距離等の違いに応じて役割を分担し、航空需要の変化に合わせて収益性を高めていきます。併せて、ブランド間におけるマーケティング連携・ブランド間の回遊性向上、協業・機能集約を進めることで、市場シェアと収益の拡大を目指します。国際線旅客事業においては、中長期的な成長軌道に乗せるため、ネットワークを再編・強化しながら生産量を回復し、需要を幅広くカバーしていきます。国内線旅客事業においては、安定した事業基盤を構築するため、グループ全体で連携しながら最適な運航スケジュールの策定を継続します。貨物事業においては、旅客機とフレイターのネットワークバランスを最適化し、需要動向に応じた柔軟な供給量の調整で収益を拡大します。成長するアジア・欧米間の輸送需要を取り込むとともに、フレイターで大型貨物等をカバーし、貨物事業の収益を最大化します。当社は、日本郵船株式会社との間で、同社が保有する日本貨物航空株式会社の株式全てを取得することにより、子会社化することに関し、2023年3月7日に基本合意書を締結しました。その後、具体的な取得方法について検討を行い、国内外の関係当局の認可等を得られることを前提に、当社を株式交換完全親会社、日本貨物航空株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換を実施することに関し、日本貨物航空株式会社との間で2023年7月10日に株式交換契約を締結しました。現在は、関係当局から認可等を取得すべく、必要な対応を実施しています。貨物事業の拡大を持続的成長の重要な手段として位置付け、中核事業であるエアライン事業の利益最大化に向けて取り組んでまいります。 ② 航空非連動収益ドメインの拡大社会の変化に応じた新たな事業の創出と更なる安定した経営に繋げるため、非航空事業における事業分類に応じた適切な経営資源配分により、収益拡大を目指します。航空事業とは一線を画した運営体制の導入、人財育成など、事業拡大を支える仕組みを整備します。 ③ ANA経済圏の拡大による持続的な成長「マイルで生活できる世界」を実現し、ANA経済圏の早期拡大を目指します。ANAマイレージクラブアプリを中核に置き、「ANA Mall」や「ANA Pay」等のコンテンツ・決済手段を拡充させるとともに、データ活用を進めることで顧客の回遊を促し、ANA経済圏内のサービス・商品の利用を促進します。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日、以下「当期」という)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。 ①財政状態及び経営成績の状況当期のわが国経済は、企業収益及び雇用環境の改善が続く中、景気についてはこのところ足踏みも見られるものの、各種政策の効果もあり緩やかに回復しています。航空業界を取り巻く環境は、ウクライナや中東地域情勢等の地政学リスクが懸念されるものの、旅客需要は回復基調が続いています。このような経済情勢の下、航空事業を中心に増収となったことから、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも過去最高となりました。 財政状態では、売上高の増加等により利益剰余金が増加しています。 また、現金及び預金に有価証券を加えた手元流動性資金は1兆2,578億円となりました。 以上の結果、当期の財政状態及び経営成績等は以下のとおりとなりました。 1)財政状態 当期末の資産合計は、前期末に比べ2,028億円増加し、3兆5,695億円となりました。 当期末の負債合計は、前期末に比べ205億円増加し、2兆5,169億円となりました。 当期末の純資産合計は、前期末に比べ1,822億円増加し、1兆526億円となりました。 2)経営成績 当期における売上高は2兆559億円(前期比20.4%増)、営業費用は1兆8,480億円(前期比16.4%増)となり、営業利益は2,079億円(前期 営業利益1,200億円)、経常利益は2,076億円(前期 経常利益1,118億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,570億円(前期 親会社株主に帰属する当期純利益894億円)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 営業活動によるキャッシュ・フローは4,206億円の収入となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは3,995億円の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは1,360億円の支出となりました。 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて1,109億円減少し、1兆25億円となりました。 ③生産及び販売の実績1)セグメント別売上高 最近2連結会計年度のセグメント別売上高は次のとおりです。 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)セグメントの名称金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)航空事業 国際線 旅客収入433,47021.7728,16830.3貨物収入308,08815.4155,5036.5郵便収入6,2680.35,0480.2 小計747,82637.4888,71937.0国内線 旅客収入529,59326.5644,90226.8貨物収入24,1191.222,4850.9郵便収入2,8980.12,7280.1 小計556,61027.8670,11527.8航空事業収入合計1,304,43665.21,558,83464.8LCC収入90,2654.5138,0305.7その他の収入144,7427.2172,6887.2 航空事業小計1,539,44376.91,869,55277.7航空関連事業 航空関連収入247,12912.3298,82012.4 航空関連事業小計247,12912.3298,82012.4旅行事業 パッケージ商品収入(国内)45,9542.344,8881.9パッケージ商品収入(国際)1,5120.13,9470.2その他の収入26,3491.329,7061.2 旅行事業小計73,8153.778,5413.3商社事業 商社収入103,2525.2117,9194.9 商社事業小計103,2525.2117,9194.9 報告セグメント計1,963,63998.12,364,83298.3その他 その他の収入38,0661.941,2441.7 その他小計38,0661.941,2441.7売上高合計2,001,705100.02,406,076100.0セグメント間取引△294,221-△350,148-売上高(連結)1,707,484-2,055,928-(注)1.セグメント内の内訳は内部管理上採用している区分によっています。2.各セグメントの営業収入はセグメント間の売上高を含みます。3.LCC収入は、Peach Aviation㈱の収入です。 2)セグメント別取扱実績(a) 航空事業(ア) ANAブランド輸送実績 最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。 項目 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)国際線 旅客数(人)4,212,5817,134,828座席キロ(千席キロ)35,875,93953,281,075旅客キロ(千人キロ)26,408,99041,192,324利用率(%)73.677.3有効貨物トンキロ(千トンキロ)6,605,1846,316,267貨物輸送重量(トン)805,799679,797貨物トンキロ(千トンキロ)4,147,0263,464,347郵便輸送重量(トン)15,99913,101郵便トンキロ(千トンキロ)78,11470,701貨物重量利用率(%)64.056.0国内線 旅客数(人)34,534,79840,763,692座席キロ(千席キロ)49,901,65054,225,165旅客キロ(千人キロ)32,201,97838,060,121利用率(%)64.570.2有効貨物トンキロ(千トンキロ)1,413,4371,687,725貨物輸送重量(トン)253,661253,083貨物トンキロ(千トンキロ)281,531280,487郵便輸送重量(トン)25,08623,388郵便トンキロ(千トンキロ)24,79523,473貨物重量利用率(%)21.718.0 (イ) ANAブランド運航実績 最近2連結会計年度の運航実績は次のとおりです。 項目 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)国際線国内線国際線国内線運航回数(回)41,521365,96748,340371,895飛行距離(km)229,546,353310,896,747256,524,853312,858,702飛行時間(時間)306,327544,243345,834553,561 (注) 1.国内線旅客実績には、アイベックスエアラインズ㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績及びオリエンタルエアブリッジ㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。また、2021年8月27日から2022年10月29日のPeach Aviation㈱とのコードシェア便実績を含み、2022年10月30日から天草エアライン㈱及び日本エアコミューター㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。2.国際線、国内線ともに不定期便実績を除きます。3.国際線貨物及び郵便実績には、コードシェア便実績、エアラインチャーター便実績、ブロック・スペース契約締結便実績及び地上輸送実績を含みます。4.国内線貨物及び郵便実績には、Peach Aviation㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジ㈱及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績、エアラインチャーター便実績及び地上輸送実績を含みます。5.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。6.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。7.有効貨物トンキロは、各路線各区間の有効貨物重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。なお、旅客便については、床下貨物室(ベリー)の有効貨物重量に各区間距離を乗じています。また、床下貨物室の有効貨物重量には、貨物・郵便の他、搭乗旅客から預かる手荷物搭載の有効搭載重量も含まれています。8.貨物トンキロ及び郵便トンキロは、各路線各区間の輸送重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。9.貨物重量利用率は、貨物トンキロと郵便トンキロの合計を有効貨物トンキロで除した数値です。 (ウ)LCC輸送実績 最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。 項目 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)旅客数(人)7,775,0729,343,805座席キロ(千席キロ)12,232,70213,461,725旅客キロ(千人キロ)8,991,27611,677,625利用率(%)73.586.7(注)1.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。2.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。3.LCC実績は、Peach Aviation㈱の実績です。 (b) 航空関連事業航空関連事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。 (c) 旅行事業旅行事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。 (d) 商社事業商社事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。 (e) その他その他に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当期末時点において判断したものです。 ①財政状態 <資産の部> 流動資産は、現金及び預金等が増加したことから、前期末に比べて1,503億円増加し、1兆7,011億円となりました。 固定資産は、航空機を取得したこと等により、前期末に比べ529億円増加し、1兆8,678億円となりました。 以上により、当期末における総資産は前期末に比べて2,028億円増加し、3兆5,695億円となりました。 <負債の部> 負債の部は、借入金の返済等があったことから、有利子負債(無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含む)が前期末に比べて1,238億円減少し、1兆4,840億円となる一方、航空券の予約発券数の拡大に伴う契約負債の増加等により、前期末に比べて205億円増加し、2兆5,169億円となりました。 <純資産の部> 株主資本は、当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことから、前期末に比べて1,566億円増加し、9,511億円となりました。 その他の包括利益累計額は繰延ヘッジ損益の増加等により、前期末に比べて254億円増加し、933億円となりました。 これらの結果、純資産合計は前期末に比べて1,822億円増加し、1兆526億円となりました。 なお、自己資本比率は29.3%(前期末25.6%)となり、有利子負債と自己資本の比率を示すD/Eレシオは1.4倍(前期末1.9倍)となりました。 ②経営成績 航空業界を取り巻く環境は、ウクライナや中東地域情勢等の地政学リスクが懸念されるものの、旅客需要は回復基調が続いています。 このような経済情勢の下、航空事業を中心に増収となったことから売上高は2兆559億円(前期比20.4%増)となりました。また、営業利益は2,079億円(前期比73.2%増)、経常利益は2,076億円(同85.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,570億円(同75.6%増)となり、いずれも過去最高益となりました。 なお、従業員の健康をサポートする取り組み等が評価され、2年連続で「健康経営銘柄」に選定されたほか、世界の代表的な社会的責任投資の指標である「Dow Jones Sustainability World Index」の構成銘柄に7年連続で選定されるとともに、国際的な環境評価を手掛ける非営利団体であるCDPより、最高評価の「Aリスト企業」に2年連続で選定されました。今後も人的資本経営を強化しつつ、事業を通じて環境問題等の社会課題解決に取り組み、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。 以下、当期におけるセグメント別の概況をお知らせいたします。(なお、各事業における売上高はセグメント間内部売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。) ◎航空事業 新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に変更されたこと等を背景に、旺盛な訪日需要と国内のレジャー需要に支えられ、国際線旅客・国内線旅客ともに好調に推移し、売上高は前期を大幅に上回り、1兆8,695億円(前期比21.4%増)となりました。費用面では、運航規模を拡大したこと等に伴い、変動費を中心に増加しましたが、コストマネジメントの徹底を継続したこと等から、営業利益は2,079億円(前期比67.5%増)となりました。 なお、当社グループは英国SKYTRAX社から顧客満足で最高評価となる「5スター」に11年連続で認定されたほか、「2023 World Airline Awards」にて、昨年に引き続き「空港サービス全般」をはじめ3部門で、最も優秀な航空会社に選ばれました。 また、本年2月に新たなブランドとしてAirJapanが事業を開始し、成田=バンコク線、成田=仁川線を開設しました。当社グループは3つのブランドの強みを最大限に活かして、お客様の利便性向上と航空事業の利益拡大に努めてまいります。<国際線旅客(ANAブランド)> 国際線旅客では、訪日需要が好調に推移したことに加え、回復する日本発のレジャー需要やビジネス需要を積極的に取り込んだ結果、旅客数・収入ともに前期を大幅に上回りました。 路線ネットワークでは、4月から羽田=北京線、羽田=上海(浦東・虹橋)線をはじめとした中国路線、10月から成田=パース線等を順次再開したことに加え、12月から成田=ホノルル線をエアバスA380型機「FLYING HONU」で毎日2往復運航し、通期で運航規模を拡大しました。 営業・サービス面では、国際線の復便に伴い、関西空港と羽田空港第2ターミナル国際線施設のANAラウンジの営業を再開しました。また、本年3月から著名なシェフ監修による国際線機内食のコラボレーションメニューを3年ぶりに刷新し、機内サービスの充実に努めました。 以上の結果、当期の国際線旅客数は713万人(前期比69.4%増)となり、収入は7,281億円(同68.0%増)となりました。 <国内線旅客(ANAブランド)> 国内線旅客では、ビジネス需要の回復の遅れに加え、プラット・アンド・ホイットニー社製エンジンの点検整備等による減便の影響があったものの、「ANA SUPER VALUEセール」の実施等によりレジャー需要の喚起に努めた結果、旅客数・収入ともに前期を上回りました。 路線ネットワークでは、週末や連休を中心に機材の大型化等を行い、レジャー需要を積極的に取り込みました。また、能登半島地震の復旧支援として、本年1月27日から羽田=能登線を臨時便として運航したほか、能登復旧支援割引の設定や救援物資の輸送協力等を実施しました。 営業・サービス面では、7月の羽田空港国内線ANA SUITE LOUNGEのリニューアルに伴い、座席数を増やしたことに加え、パーソナルブース席を新設する等、利便性と快適性の向上に努めました。また、10月から特別塗装機「ANA Future Promise Prop」の定期運航を開始しました。再生素材を使用した機内サービス品の活用やCO2排出抑制に繋がる運航オペレーションを行う等、環境に配慮した取り組みを推進してまいります。 以上の結果、当期の国内線旅客数は4,076万人(前期比18.0%増)となり、収入は6,449億円(同21.8%増)となりました。 <貨物(ANAブランド)> 国際線貨物では、北米=アジア・中国間の需要の取り込みに努めたものの、半導体・電子機器、自動車関連をはじめとした主要産業のマーケット需要が減退したこと等から、輸送重量・収入ともに前期を下回りました。 路線ネットワークでは、需要動向を見極め、貨物専用機の供給量を柔軟に調整することで収益性の確保に努めました。 営業・サービス面では、航空便をご利用いただく企業の脱炭素化をサポートするプログラム 「SAF Flight Initiative」において、9月から貨物代理店に加え荷主企業を対象としてCO2削減証書を発行する新たなサービスを開始しました。航空貨物の輸送により発生するCO2排出量の可視化を通じて、プログラム参加企業の環境目標実現に貢献してまいります。 以上の結果、当期の国際線貨物輸送重量は679千トン(前期比15.6%減)となり、収入は1,555億円(同49.5%減)となりました。 また、当社は7月に日本貨物航空株式会社を完全子会社とする株式交換契約を締結しました。なお、株式交換の効力発生日は2025年3月31日を予定しています。 <LCC> LCCでは、国際線においては訪日需要等を積極的に取り込み、国内線においてはレジャー需要が好調に推移した結果、旅客数・収入ともに前期を上回りました。 路線ネットワークでは、5月から関西=上海(浦東)線、羽田=上海(浦東)線、8月から関西=高雄線を再開し、コロナ禍で運休していた羽田空港と関西空港発着の国際線就航路線が全て復活したことに加え、9月から関西=香港線、関西=台北線等を増便しました。 営業・サービス面では、割引対象路線が毎月変わる「シークレットセール」やANAと共同で行った「ピーチポイントプレゼントキャンペーン」等の実施を通じて、レジャー需要の喚起を図るとともに新規顧客の取り込みに努めました。 以上の結果、当期のLCC旅客数は934万人(前期比20.2%増)となり、収入は1,380億円(同52.9%増)となりました。 <その他> 航空事業におけるその他の収入は1,726億円(前期比19.3%増)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入、本年2月に運航を開始したAirJapanブランドの収入等が含まれています。 ◎航空関連事業 外国航空会社から旅客の搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託が増えたことに加え、旅客需要の回復に伴い機内食関連業務が増加したこと等により、売上高は2,988億円(前期比20.9%増)となり、営業利益は67億円(同190.3%増)となりました。 ◎旅行事業 国内旅行については、「ANAトラベラーズホテル」商品等が好調に推移したものの、全国旅行支援が実施された前期と比べてダイナミックパッケージ商品の取扱いが減少したこと等から、売上高は前期を下回りました。 海外旅行については、主力のハワイ方面に加え韓国・台湾を中心としたアジア方面への個人旅行等の需要を積極的に取り込み、売上高は前期を上回りました。 以上の結果、当期の旅行事業における売上高は785億円(前期比6.4%増)、営業利益は13億円(前期 営業損失2億円)となりました。 当社グループは、航空予約データをもとにお客様の行動にあわせた情報を提供するデジタル広告配信サービス「ANA Moment Ads」を11月から開始しました。また、モバイルペイメントサービス「ANA Pay」において、5月から1マイルよりチャージが可能となったほか、11月からコード決済に対応する等、機能強化に取り組みました。今後もお客様の更なる利便性向上に努め、「マイルで生活できる世界」の具現化を推進してまいります。 ◎商社事業 旅客需要の増加に伴い、空港物販店「ANA FESTA」、免税店「ANA DUTY FREE SHOP」や観光土産品卸売「FUJISEY」が好調に推移したことに加え、食品事業において主力商品であるバナナの取扱高が増加したこと等により、売上高・営業利益は前期を上回りました。 以上の結果、当期の商社事業における売上高は1,179億円(前期比14.2%増)、営業利益は45億円(同30.3%増)となりました。 ◎その他 不動産関連事業や空港設備保守管理事業において取扱高が増加したこと等から、売上高は前期を上回ったものの、人件費が増加したこと等から営業利益は前期を下回りました。 以上の結果、当期のその他の売上高は412億円(前期比8.3%増)、営業利益は5億円(同8.8%減)となりました。 ③キャッシュ・フローの状況<営業活動によるキャッシュ・フロー> 当期の税金等調整前当期純利益2,048億円に、減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは4,206億円の収入となりました。 <投資活動によるキャッシュ・フロー> 設備投資や定期預金の預入による支出があったこと等から、3,995億円の支出となりました。 以上の結果、フリー・キャッシュ・フローは210億円の収入となりました。 <財務活動によるキャッシュ・フロー> 円建無担保普通社債の償還及び借入金の返済等があったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは1,360億円の支出となりました。 ④資本の財源及び資金の流動性 当社グループは、運転資金及び設備投資資金(主に航空機等)につきましては、自己資金または金融機関からの借入、及び社債発行等により資金調達することとしており、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。 当期においては、設備投資資金等の手当てのため民間金融機関から840億円の借り換えを実施しました。 当期末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、1兆4,840億円となっています。また、現金及び預金に有価証券を加えた手元流動性資金は1兆2,578億円となりました。 なお、2024年3月31日現在、複数の金融機関との間で合計1,000億円のコミットメントライン契約を締結しています。 ⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況 指標2021年度2022年度2023年度売上高 (百万円)1,020,3241,707,4842,055,928営業利益又は営業損失(△) (百万円)△173,127120,030207,911売上高営業利益率 (%)△17.07.010.1株主資本利益率(ROE)(%)△15.910.816.5総資本利益率(ROA)(%)△5.33.76.1自己資本比率 (%)24.825.629.3 当社グループは、「2023~2025年度 ANAグループ中期経営戦略」(2023年2月15日開示)のもと、ビジネスチャンスを確実に捉え、各事業において価値創造を実現し、安定的経営基盤の構築に取り組んでまいります。 ⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。 |
※本記事は「ANAホールディングス株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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