会社名 | NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社 |
業種 | 陸運業 |
従業員数 | 連76389名 単286名 |
従業員平均年齢 | 47.7歳 |
従業員平均勤続年数 | 22.3年 |
平均年収 | 8915000円 |
1株当たりの純資産 | 2797.32円 |
1株当たりの純利益(連結) | 121.47円 |
決算時期 | 12月 |
配当金 | 300円 |
配当性向 | 69.8% |
株価収益率(PER) | 6.2倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 15.9% |
営業活動によるCF | 2411億円 |
投資活動によるCF | 149億円 |
財務活動によるCF | ▲1204億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | 32.48億円 |
販売費および一般管理費※1 | 1276.13億円 |
株主資本比率※2 | 63.3% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(以下「NXグループ」という。)が判断したものです。 (1)長期ビジョン NXグループは、企業理念を拠り所として、創業以来ものを運ぶことを通して、人、企業、地域を結び、社会の発展を支えてきました。この変わらぬ使命を果たすため、社会の変化をとらえ、自らを進化させ続けます。また、安全に徹し、環境に配慮し、世界を舞台に全ての力を結集して、物流から新たな価値を創造することに挑戦していきます。そして、いつの時代にも、社会から求められ、信頼されることを誇りに行動します。この企業理念に込められた想いを実践していくために、創立100周年の節目となる2037年のありたい姿として「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」に成長することを長期ビジョンに掲げております。長期ビジョンの実現には、ロジスティクスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けるとともに、NXグループ自らが持続的な成長を果たす企業であり続けなければなりません。そのためには、多様な社員が、お客様や社会を支える仕事に誇りを持って活躍し、幸せを感じる企業であり続けられるよう邁進してまいります。「安全・コンプライアンス・品質」に対するこだわりを基本とした現場力、企業メッセージ「We Find the Way」に表現されるお客様第一の姿勢は、大切にする価値観としてこれからも徹底的にこだわっていきます。加えて、NXグループがグローバル市場での成長を加速していくために、グループ・グローバルで全体最適やありたい姿・長期ビジョンに対するバックキャストで物事を捉えられるよう社員一人ひとりの意識と行動を変容させ、自律的で挑戦的な価値観を醸成させる企業風土への変革を進めてまいります。そのような変革を通して、NXグループが「イノベーションによる新たな価値創造」、つまり、ロジスティクスを通じてお客様や社会へ新たな価値を提供していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。そして、その先にある「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という姿を、NXグループ全体で共有し、その実現に向け進んでまいります。 長期ビジョンの実現に向けたステップを、上図に示しております。グローバル市場での存在感を高めるべく、2037年度に海外売上比率50%を目指すという長期目標を掲げ、2024年1月から「NXグループ経営計画2028」をスタートしました。本計画の1年目においては、売上の拡大とともに収益性の向上についても目標指標を定め、諸施策の取組みを進めてまいりました。引き続き変革に挑戦し、長期ビジョンの実現を目指してまいります。長期的な目標を見据え、引き続きバックキャストの考え方に基づき、経営計画に掲げた諸施策を着実に実行してまいります。 (2)NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0 “ Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~ ”①経営計画の取組みNXグループは、長期ビジョンの実現に向けたバックキャスト思考のもと、2024年1月1日より、5年間の経営計画「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0 “ Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~ ”」を策定し、グループ価値の向上を目指して取り組んでまいりました。 ■基本方針・グループ全体最適志向の下、グローバルな競争力の向上と事業の成長を実現する。・明確な事業ポートフォリオと役割分担のもと、事業の競争力・収益性を高め、企業価値を高める。・社会課題解決や持続可能社会の実現へ貢献するサステナビリティ経営を実践し、顧客・社会・株主・社員から選ばれる企業グループへ変革する。上記、3点を掲げ、重要な数値目標(KGI)として、2028年度における売上収益3兆円、事業利益1,500億円、RОE10%以上を目指します。 ■重点取組み「グローバル市場での事業成長の加速」営業戦略の中核に「グローバルアカウントマネジメント」を据え、お客様のグローバル・サプライチェーンにEnd to Endソリューションを提供することで取り扱う事業領域の拡大を目指し、航空及び海運フォワーディングの販売拡大や倉庫を中心とした幅広いロジスティクスソリューションの提供強化に注力してまいりました。≪主なKPI≫・海外売上(M&A含む)・重点産業売上、倉庫・配送等売上・航空フォワーディング数量(t)、海上フォワーディング数量(TEU) 「日本事業の再構築」アカウントマネジメント推進体制の構築やロジスティクス事業の強化、重点産業での取扱い拡大など売上の拡大に取り組むとともに、日本事業強靭化施策の継続・深化に加え、事業基盤の変革・見直しなど収益性や資本効率の向上に取り組んでまいりました。≪主なKPI≫・事業利益率(ロジスティクス日本セグメント)・事業成長による売上・利益・料金改定、コーポレート業務の効率化による効果額 「サステナビリティ経営の推進」企業価値の向上と社会課題の解決のために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)である「サステナブル・ソリューションの開発・強化」「グローバル・サプライチェーンの強靭化」「気候変動への対応強化」「イノベーションを生む人財力の向上」「人権の尊重と責任ある企業活動の実現」に対する取組みを進めてまいりました。≪主なKPI≫・CO2排出量の削減量(Scope1~3)・NXコアエンゲージメントスコア 「企業価値向上に向けた取組み」資本コストを上回る資本収益性確保に向け、RОEの改善に取り組んでまいりました。経営計画に織り込んだ成長戦略の取組みを進めるとともに、新たに内部経営指標にRОICを導入するなど資本収益性を意識した経営への転換を進め、更には、資本政策の見直しによる資本構成の最適化や事業ポートフォリオマネジメントの強化にも着手してまいりました。≪主なKPI≫・RОE、RОIC、自己資本比率 ②経営計画における経営数値目標及び実績について■経営数値目標経営計画の初年度である2024年度の実績及び最終目標に対する進捗状況は、以下のとおりです。 (単位:億円、%)項目2023年12月期実績2024年12月期実績2028年度最終目標最終目標数値進捗率売上収益22,39025,77630,00085.9事業利益8126351,50042.4事業利益率3.62.55.0-親会社の所有者に帰属する当期利益3703171,00031.7海外売上収益5,8559,26212,00077.2RОE4.83.810.0以上- ※「海外売上収益」は連結調整後数値となります。※国際会計基準(IFRS会計基準)に基づく金額を記載しています。 セグメント別(単位:億円、%)セグメント項目2023年12月期実績2024年12月期実績2028年度最終目標最終目標数値進捗率日本売上収益12,56512,62013,50093.5事業利益48540579051.3米州売上収益1,5121,5302,18070.2事業利益925313539.7欧州売上収益1,9265,0172,530198.3事業利益9811213086.5東アジア売上収益1,5761,7392,22078.3事業利益374511041.2南アジア・オセアニア売上収益1,4081,5762,17072.7事業利益835412543.8警備輸送売上収益67868573093.9事業利益33244060.2重量品建設売上収益51150058086.3事業利益65537075.7物流サポート売上収益4,2584,2044,76088.3事業利益13812216574.1 ※連結調整前数値、億円未満切り捨てとなります。※国際会計基準(IFRS会計基準)に基づく金額を記載しています。※欧州の2024年12月期実績にはM&A(cargo-partner社、Tramo社)の実績を含んでおります。 ■経営計画各種戦略の実施状況及び経営成績についての評価経営計画達成に向けた2024年度の重点戦略の取組み、及びKPIの進捗状況、それらについての分析と評価については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績」をご覧下さい。 ■資本政策≪目標数値≫・ROE 10.0%以上・配当性向 40%以上・総還元性向 55%以上(2024年度~2028年度累計)・自己資本比率 35%程度 ≪実績の推移≫ ③対処すべき課題今後の経済動向につきましては、欧米を中心とした金融政策の緩和などにより、安定化の兆しを見せながらも、アメリカの政権交代による貿易政策の見直し、中東情勢やロシアによるウクライナ侵攻の長期化など地政学リスクの高まりにより、引き続き不透明な状況が続くことが予測されます。物流業界におきましては、地政学リスク及び経済安全保障リスクの高まりを踏まえ、安全調達の観点から既存のサプライチェーンを見直す顧客企業への対応に加え、気候変動への対応や、慢性的な人材不足、デジタル化への対応、先端技術の導入による新たな物流サービスの開発など、業界全体として社会の持続的な成長を支える新たな価値創造産業への転換が求められております。NXグループは、このような経営環境のもと、創立100周年となる2037年にありたい姿として定めた「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という長期ビジョンの実現に向けて、5年間の経営計画である「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0 “ Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~ ”」の達成に向けて、引き続き取り組んでまいります。 「グローバル市場での事業成長の加速」重点産業を中心としたアカウントマネジメント体制の更なる強化とグローバルに展開するフォワーディングネットワークや倉庫業務などNXグループの幅広いロジスティクスソリューションを駆使して、お客様のグローバル・サプライチェーンに対するEnd to Endソリューションの提供強化に注力してまいります。また、M&Aや提携、戦略投資によるダイナミックな事業成長の実現にも引き続き取り組んでまいります。特に、直近のM&Aにより子会社化したcargo-partner社、Simon Hegele社へのPMI早期実行により、グローバルネットワークの拡大など、グローバル市場における競争力の強化に取り組んでまいります。また、エリア戦略として、中長期的な視点で、更なる経済成長が見込まれるインドでの事業拡大にも引き続き挑戦してまいります。 「日本事業の再構築」カンパニー制を導入した日本通運株式会社においては、引き続き東名阪を中心としたアカウントマネジメント推進体制の構築やロジスティクス事業の強化、重点産業での取扱い拡大など売上の拡大に取り組むとともに、事業体制の見直しも進めてまいります。East・West両カンパニーにおいては、収益性と資本効率の向上に徹底的にこだわり、エリアに応じた経営を推進してまいります。これらのマーケットに応じた経営の推進と事業基盤の変革により、日本事業の再構築を進めてまいります。また、専門ロジスティクス事業については、専門性の向上と品質の強化に努めるとともに、物流サポート事業においては、ロジスティクス・トータル・ソリューションの展開によるNXグループ全体の競争力強化に取り組んでまいります。 「サステナビリティ経営の推進」「サステナブル・ソリューションの開発・強化」では、脱炭素に繋がるロジスティクスソリューションの強化やDX推進によるソリューションの開発など、NXグループ全体で喫緊の課題として捉えている脱炭素、人手不足といった課題解決に引き続き取り組んでまいります。「気候変動への対応強化」では、Scope1・2(自社排出)だけでなく、Scope3(自社以外の排出)の削減にも取り組んでまいります。また、「イノベーションを生む人財力の向上」では、優秀な人財の確保・育成、Well-beingの充実、DE&Iの推進により、多様な人財が能力を発揮し活躍できる環境作りに引き続き取り組んでまいります。 「企業価値向上に向けた取組み」PBR1倍割れの解消と株主資本コストを上回るRОE向上によるエクイティ・スプレッドの確保を当面の課題として、経営計画に織り込んだ成長戦略を推し進めるとともに、低収益不動産の売却など従来にないBS(Balance Sheet)マネジメントの強化と資本政策の見直しを進めてまいります。あわせて、事業ポートフォリオマネジメントの更なる強化として、成長事業へのシフトと低収益・ノンコア事業の抜本的改革にも取り組んでまいります。これらの取組みにより生み出したキャッシュについては、財務健全性を維持しながら、成長投資や株主還元のための資金にバランスよく配分していくことで、資本創出の好循環を生み出し、持続的な企業価値向上を目指してまいります。 |
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】前連結会計年度に取得したTramo社との企業結合について前連結会計年度に暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNXグループが判断したものです。 (1)経営成績当連結会計年度の世界経済は、米国や新興国の一部において内需主導による景気拡大がみられ、また、その他の国や地域における実質賃金の上昇による個人消費の回復などに下支えされ、底堅い成長を維持しました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化、米中間の対立など地政学リスクや経済安全保障リスクの高まりにより、依然として先行き不透明な状況で推移しました。このような経済情勢のなか、物流業界におきましては、国際物流では、中国発の越境eコマース(電子商取引)の拡大による航空貨物輸送の増加などにより貨物輸送の需要は回復基調にあるものの、海上貨物輸送では中東の情勢不安に伴うスエズ運河の航行回避の長期化やパナマ運河の記録的な干ばつによる通航制限等、貨物輸送に直接影響を与える地政学・自然災害リスクが顕在化し、不安定な状況で推移いたしました。国内物流では、個人消費に持ち直しの動きがみられた一方で、設備投資の減速を受け生産関連貨物輸送は低調に推移し、全体としての荷動きは力強さに欠ける状況で推移しました。また、物流業界における2024年問題への対応や人件費・燃料費の高騰等コスト上昇圧力への対応に迫られる状況が続きました。引き続き、地政学および経済安全保障上のリスクによるサプライチェーンへの影響、労働力の不足や燃料費の高止まりによる各種調達コストの上昇等、その動向に注視が必要な状況にあります。NXグループは、このような経営環境のもと、2024年1月1日より新たな経営計画である「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0“Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~”」がスタートしています。目指す姿や方向に変わりはありませんが、よりスピード感をもって長期ビジョンである「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」の実現に向け、経営計画に掲げる諸施策及び企業価値向上を意識した経営に取り組んでまいりました。当連結会計年度につきましては、物流需要の回復やNXグループに新たにcargo-partner社が加わったことにより売上収益は対前年比増加となりましたが、エネルギー価格の高止まり、人件費をはじめとしたコスト上昇等の外部環境の影響を受け、セグメント利益は減少という結果になりました。 「グローバル市場での事業成長の加速」「グローバル市場での事業成長の加速」につきましては、お客様のグローバル・サプライチェーンにEnd to Endソリューションを提供することで取扱う事業領域の拡大を目指し、航空及び海運フォワーディングの販売拡大や倉庫を中心とした幅広いロジスティクスソリューションの提供強化に注力してまいりました。グローバル事業本部(GBHQ:Global Business Headquarters)を中心に、営業戦略の中核に「グローバルアカウントマネジメント」を据え、グローバルな営業体制、組織の更なる強化に努めてまいりました。重点産業の取組みとして、テクノロジー、モビリティ、ライフスタイル、ヘルスケア、半導体関連の5つを選定し、継続的にお客様へのアプローチに取り組むとともに、新たな顧客基盤を構築するため、グローバル市場においてプレゼンスを持つ非日系顧客の開拓にも取り組んでまいりました。また、cargo-partner社へのPMIによるグループシナジー創出やインド市場における事業体制の拡充を図ってまいりました。 主なKPIの進捗は以下のとおりです。重点産業(売上収益)2024年度実績2024年度目標対2024年度目標進捗率2028年目標テクノロジー基盤領域:電機電子成長、挑戦領域:産業用機械3,054億円3,295億円92.7%4,000億円モビリティ基盤領域:自動車成長、挑戦領域:建機、農機、鉄道、航空機2,650億円2,260億円117.3%2,600億円ライフスタイル基盤領域:アパレル成長、挑戦領域:家具、装飾品、コスメティクス1,543億円1,295億円119.2%1,600億円ヘルスケア成長、挑戦領域:医薬品、医療機器1,077億円945億円114.0%1,300億円半導体成長、挑戦領域:半導体593億円516億円114.9%1,000億円 ※日本通運株式会社、海外4セグメント合計(cargo-partner社、Tramo社は除く) フォワーディングの拡販2024年実績2023年実績前年対比増減率2028年目標航空フォワーディング数量92.1万t69.3万t32.9%130万t海運フォワーディング数量89.9万TEU72.0万TEU24.8%140万TEU ※2023年実績にはcargo-partner社は含まない。 ロジスティクスソリューションの提供強化(売上収益)2024年実績2023年実績前年対比増減率2028年目標倉庫・配送等売上4,818億円4,515億円6.7%5,900億円 ※倉庫・配送等売上にはcargo-partner社は含まない。 「日本事業の再構築」「日本事業の再構築」につきましては、アカウントマネジメント推進体制の構築やロジスティクス事業の強化、重点産業での取扱い拡大等売上の拡大に取り組むとともに、日本事業強靭化施策の継続・深化に加え、事業基盤の変革・見直し等収益性や資本効率の向上に取り組んでまいりました。特に、日本事業の再構築の根幹となる事業基盤の変革の取組みとして、日本通運株式会社においては、マーケットの特性に応じて、各エリアの役割を明確にし、経営の自由度を高めていくことを目的とした社内カンパニー制導入の検討を進めてまいりました。同時に、重量品建設事業の分社化や特積み事業の再編も進めてまいりました。また、2024年問題に伴う人手不足等の解消のため、先端技術の導入やロジスティクス人財の育成による倉庫オペレーションの強化、オフィス業務の自動化・簡素化による生産性の向上にも取り組んでまいりました。 「サステナビリティ経営の推進」今次経営計画では、サステナビリティ経営をすべての事業の土台と位置付け、企業価値の向上と社会課題の解決のために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を、「サステナブル・ソリューションの開発・強化」「グローバル・サプライチェーンの強靭化」「気候変動への対応強化」「イノベーションを生む人財力の向上」「人権の尊重と責任ある企業活動の実現」の5つに見直し、それぞれの課題解決に向けて取組みを進めてまいりました。「サステナブル・ソリューションの開発・強化」では、モーダルシフトや低炭素輸送商品の開発等顧客ニーズへの対応を進め、「気候変動への対応強化」では、施設照明のLED化等経済合理性の高いScope2(間接排出)の削減を優先的に進めてまいりました。また、「イノベーションを生む人財力の向上」では、Well-beingの充実の施策の一つとしてNXエンゲージメントサーベイを実施し、課題の経年変化や新たな課題の可視化などエンゲージメント向上に繋がる取組みを進めてまいりました。 「企業価値向上に向けた取組み」企業価値向上に向けた取組みにつきましては、資本コストを上回る資本収益性の達成、すなわち、エクイティ・スプレッドの拡大を図るために、ROEの改善が最優先課題との認識のもと、M&Aも活用しながら売上収益の拡大を図るとともに、利益率向上の取組みとして日本セグメントのセグメント利益改善に注力する等、経営計画に織り込んだ成長戦略の取組みを進めてまいりました。加えて、新たに内部経営指標にROICを導入する等資本収益性を意識した経営への転換を進め、更には、資本政策の見直しによる資本構成の最適化や事業ポートフォリオマネジメントの強化にも着手してまいりました。 NXグループの当連結会計年度の業績は、売上収益は2兆5,776億円と前年同期に比べ3,386億円、15.1%の増収となり、営業利益は490億円と前年同期に比べ110億円、18.3%の減益、税引前利益は518億円と前年同期に比べ93億円、15.2%の減益となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は317億円と前年同期に比べ53億円、14.4%の減益となりました。 報告セグメントの業績概況は以下のとおりであります。 売上収益の明細セグメントの名称前連結会計年度(自 2023年 1月 1日 至 2023年12月31日)(百万円)当連結会計年度(自 2024年 1月 1日 至 2024年12月31日)(百万円)ロジスティクス日本1,256,5711,262,027米州151,291153,068欧州192,655501,757東アジア157,663173,913南アジア・オセアニア140,840157,655警備輸送67,89268,538重量品建設51,11150,068物流サポート425,896420,489計2,443,9232,787,518調整額△204,906△209,874合計2,239,0172,577,643 セグメント利益の明細セグメントの名称前連結会計年度(自 2023年 1月 1日 至 2023年12月31日)(百万円)当連結会計年度(自 2024年 1月 1日 至 2024年12月31日)(百万円)ロジスティクス日本48,57940,529米州9,2625,363欧州9,85311,247東アジア3,7634,532南アジア・オセアニア8,3485,472警備輸送3,3862,407重量品建設6,5205,301物流サポート13,84412,233計103,55987,088調整額△22,302△23,504合計81,25663,584 ①日本(ロジスティクス)航空貨物、海運貨物の取扱いが増加し、売上収益は1兆2,620億円と前年同期に比べ54億円、0.4%の増収となりましたが、人件費をはじめとする各種コスト増の影響により、セグメント利益は405億円と前年同期に比べ80億円、16.6%の減益となりました。 ②米州(ロジスティクス)倉庫配送の取扱いが好調を維持し、売上収益は1,530億円と前年同期に比べ17億円、1.2%の増収となりましたが、航空貨物、海運貨物の利用費上昇の影響を受け、セグメント利益は53億円と前年同期に比べ38億円、42.1%の減益となりました。 ③欧州(ロジスティクス)航空貨物は紅海危機による海運輸送からのシフト貨物等もあり取扱いが増加したことに加え、cargo-partner社グループを新たに連結の範囲に含めたことにより、売上収益は5,017億円と前年同期に比べ3,091億円、160.4%の増収となり、セグメント利益は112億円と前年同期に比べ13億円、14.1%の増益となりました。 ④東アジア(ロジスティクス)航空貨物、海運貨物の取扱いが半導体関連を中心に増加し、売上収益は1,739億円と前年同期に比べ162億円、10.3%の増収となり、セグメント利益は45億円と前年同期に比べ7億円、20.4%の増益となりました。 ⑤南アジア・オセアニア(ロジスティクス)航空貨物の取扱いが半導体関連を中心に増加し、売上収益は1,576億円と前年同期に比べ168億円、11.9%の増収となりましたが、販売単価の下落の影響を受け、セグメント利益は54億円と前年同期に比べ28億円、34.5%の減益となりました。 ⑥警備輸送設定便の減便はあったものの、新紙幣切替に伴う改刷対応や金融機関アウトソーシング業務の受託拡大等により、売上収益は685億円と前年同期に比べ6億円、1.0%の増収となりましたが、各種コスト増の影響により、セグメント利益は24億円と前年同期に比べ9億円、28.9%の減益となりました。 ⑦重量品建設産業機械関連の取扱いが大幅に減少し、売上収益は500億円と前年同期に比べ10億円、2.0%の減収となり、セグメント利益は53億円と前年同期に比べ12億円、18.7%の減益となりました。 ⑧物流サポート物流部門及び整備製作部門の取扱いの減少等により、売上収益は4,204億円と前年同期に比べ54億円、1.3%の減収となり、セグメント利益は122億円と前年同期に比べ16億円、11.6%の減益となりました。 なお、NXグループの取り扱う輸送手段は多岐にわたるとともに、実運送や利用運送も行っており、セグメント情報に関連付けて、輸送手段ごとの販売実績の的確な表示を行うことは困難であります。 このため、生産、受注及び販売の状況につきましては、上記セグメントの業績に示しており、記載を省略しております。 (2) 財政状態当連結会計年度末の資産合計は2兆2,971億円となり、前連結会計年度末に比べ1,878億円、8.9%増となりました。流動資産は9,348億円で前連結会計年度末に比べ385億円、4.3%増、非流動資産は1兆3,622億円で前連結会計年度末に比べ1,493億円、12.3%増となりました。流動資産増加の主な要因は、営業債権及びその他の債権の増加等によるものです。非流動資産増加の主な要因は、のれん及び無形資産の増加等によるものです。流動負債は7,578億円で前連結会計年度末に比べ1,667億円、28.2%増、非流動負債は6,662億円で前連結会計年度末に比べ341億円、4.9%減となりました。流動負債増加の主な要因は、短期償還社債の増加等によるものです。非流動負債減少の主な要因は、長期借入金の減少等によるものです。当連結会計年度末の資本合計は8,730億円で、前連結会計年度末に比べ552億円、6.8%増となりました。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、2,513億円となり、前連結会計年度末に比べ637億円減となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは2,278億円の収入となり、前年同期に比べ421億円収入が増加しました。その主な要因は、法人所得税の支払額が減少したこと等によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは1,407億円の支出となり、前年同期に比べ814億円支出が増加しました。その主な要因は、連結範囲の変更を伴う子会社株式取得による支出が増加したこと等によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは1,641億円の支出となり、前年同期に比べ639億円支出が増加しました。その主な要因は、長期借入れによる収入が減少したこと等によるものです。 NXグループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、NXグループの主要な資金需要は、利用運送費、燃油費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びにNXグループの設備の新設、改修及びM&A等に係る投資であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。手許の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金の一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表は、IFRS会計基準に準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 |
※本記事は「NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社」の令和6年12期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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