ヤマトホールディングス株式会社の基本情報

会社名ヤマトホールディングス株式会社
業種陸運業
従業員数連177430名 単19名
従業員平均年齢51.3歳
従業員平均勤続年数24.1年
平均年収11917837円
1株当たりの純資産1708円
1株当たりの純利益107.23円
決算時期3月
配当金46円
配当性向49.9%
株価収益率(PER)20.1倍
自己資本利益率(ROE)6.3%
営業活動によるCF643億円
投資活動によるCF▲224億円
財務活動によるCF▲307億円
研究開発費※133.45億円
設備投資額※141.84億円
販売費および一般管理費※1542.49億円
株主資本比率※266.9%
有利子負債残高(連結)※3925.26億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ヤマトグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。 (1)経営方針 ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、より便利で快適な生活関連サービスの創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献することを経営理念に掲げ、生活利便性の向上に役立つ商品・サービスを開発してまいりました。 今後も、社会の一員として社会の課題に正面から向き合い、お客様、社会のニーズに応える「新たな物流のエコシステム」を創出することで、豊かな社会の創造に持続的に貢献してまいります。また、テクノロジーを起点に次世代の営業・幹線輸送・ラストマイルオペレーションを構築し、収益力の強化に努めることで、安定した経営を目指してまいります。 (2)経営環境、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社は、2027年3月期を最終年度とするヤマトグループ中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」(「SX2030 ~1st Stage~」)を策定しました。 ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、グループ各社の経営資源を結集したグループ経営体制の下、中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、生活様式の変化と流通構造の変化に対応するサプライチェーンの変革に向けて、お客様や社会のニーズに対し総合的な価値提供に取り組んでまいりました。グループ経営構造改革により、経営資源を結集した「Oneヤマト体制」を2021年4月からスタートさせるとともに、「法人ビジネス領域の拡大」「ネットワーク・オペレーション構造改革」を柱とした事業構造改革を推進しました。 小売市場全体は伸び悩む一方、BtoC-EC市場(物販)においては市場規模およびEC化率は拡大傾向にあり、CtoCからBtoCへと物流が変化しつつある中、「ネットワーク・オペレーション構造改革」については、既存(宅急便)ネットワークの強靭化を進めるための土台として、都市部を中心に、増加するEC荷物専用の「EC物流ネットワーク」を構築し、運用を開始しました。 また、EC以外の荷物が伸び悩む中、既存(宅急便)ネットワークについては、セールスドライバーの集荷割合が低下するなど宅配便の顧客構成が変化していること、都市部を中心に小型のラストマイル集配拠点が密集していること、ターミナル拠点については、老朽化・狭隘化が進んでいること、都市部を中心に荷物の発送と到着のバランスが崩れていること、仕分け作業に関わる社員数が多く、単純作業の外注化が進んでいないなどの構造的な課題を抱えていることから、ラストマイル集配拠点の集約・大型化、ターミナル機能の見直しに加え、デジタルテクノロジーを駆使した人事戦略などの強靭化施策をスタートさせました。 一方、「法人ビジネス領域の拡大」においては、アカウントマネジメントを強化するとともに、サプライチェーンの「End to End」に対する提供価値の拡大に取り組み、越境ECや3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)ロジスティクスへの対応、LLP(リード・ロジスティクス・パートナー)案件創出など、新たな領域における成果が出始めました。 このような「Oneヤマト2023」における取組みを確固たる成果に結びつけていくとともに、目指す姿として定めた「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」に向けて、今般策定した「SX2030 ~1st Stage~」では、2025年3月期~2027年3月期の3年間を「ヤマトグループにおけるサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を実現する期間」と位置付け、下記の主要施策に取り組んでいきます。 目指す姿 「SX2030 ~1st Stage~」主要施策①基盤領域:宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大 「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」のカーボンニュートラリティ、サービスラインアップの拡充、顧客体験価値の向上、および外部コスト上昇などを踏まえたプライシング戦略の強化により、営業収益を拡大するとともに、ネットワーク・オペレーション構造改革を推進し、個当たりコストの改善と安定的に利益成長できる構造へ転換していきます。 ②成長領域:法人ビジネス領域の拡大 宅急便ネットワークや貨物専用機(フレイター)での輸送を活用し、顧客のサプライチェーン改革に資するビジネスソリューションを推進するとともに、M&Aや提携による事業の拡大を推進します。 ③新規領域:新たなビジネスモデルの事業化 持続可能な未来の実現に向けて、既存の経営資源を活用しつつ、多様なパートナーとともに、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化を推進します。 ④グループ経営基盤の強化 持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、サステナブル経営の強化、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組みます。 ⑤資本効率をより重視した経営の浸透 資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、ROICを新たな経営指標として設定し、資本効率をより重視した経営の浸透を図ります。  なお、当該中期経営計画の最終年度となる2027年3月期において、連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上の達成を目標として設定し、事業ポートフォリオの変革を進めていきます。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ヤマトグループを取り巻く事業環境は、世界的なインフレ傾向に落ち着きが見られるものの、国内においては、個人消費の低迷が続いているなど、依然として本格的な景気回復が見通しづらい状況にあります。また、2024年4月から、自動車運転業務における時間外労働の上限規制が適用(2024年問題)されるなど、外部環境の変化に伴うコスト上昇が見込まれます。さらに、中長期的には、EC化の進展や地政学リスクの増大、少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動のさらなる深刻化などを想定しています。このような中、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定め、2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき、以下①~⑤の取組みを推進していきます。 ① 宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大 EC化の進展や少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動のさらなる深刻化を踏まえ、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化すべく、引き続き、ネットワーク・オペレーションの構造改革を推進します。具体的には、業務量変動への柔軟な対応や拠点間輸送の効率化、荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した「仕分け作業」や 「運び方」、「働き方」の変革に取り組みます。さらに、第一線の社員の管理間接業務やバックオフィス業務の標準化、電子化によるBPR(業務プロセス改革)にも継続して取り組むことにより、オペレーションの安全・品質および、社員・パートナーにとっての働きやすさや働きがいの維持・向上を図るとともに、オペレーティングコストの適正化を実現していきます。 また、輸送サービスのラインアップ拡充や個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」を通じた顧客体験価値の向上、宅配便3商品の「カーボンニュートラル配送」などにより、お客様への提供価値を拡大するとともに、外部環境の変化を踏まえた届出運賃の年次での見直し、および法人顧客との個別契約の見直しなど、適正な運賃・料金収受を推進していきます。 ② 法人ビジネス領域の拡大 ヤマトグループは、世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大する中、サプライチェーン全体に拡がるお客様の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置付け、コントラクト・ロジスティクス事業とグローバル事業の拡大に注力します。 コントラクト・ロジスティクス事業においては、エクスプレス事業とのシナジーを重視し、宅配便を利用するお客様の課題解決や事業成長を支援するソリューションの提供を通じて、宅配便のさらなる利用拡大や提供価値に応じたプライシングの適正収受、新たなロジスティクス収入の獲得などの取組みを強化します。また、セールスドライバーがお客様との接点から得る気づきなどの情報を活用し、各地域に配置した法人営業担当者が最適な提案を行えるよう、営業サポート体制の整備や営業担当者のスキル向上などに取り組んでいきます。 グローバル事業においては、サプライチェーンの変化を好機と捉え、これまで宅配便で培った国内の膨大な顧客基盤を活かしつつ、オートモーティブやハイテク産業など、ヤマトグループが強みを発揮している領域のさらなる拡大に努めるとともに、日本、米国・メキシコ、インド、東南アジアを中心に営業力を強化します。また、注力市場を絞り込むことでフォワーディングの混載効率を向上させることや、拡大する越境ECへの提案強化、注力する地域における消費財などの内需拡大に伴う物流需要の取り込みなどに取り組んでいきます。 なお、成長領域の拡大を加速させるため、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携を推進していきます。M&Aの検討においては、コントラクト・ロジスティクス事業やグローバル事業の成長戦略との適合性を重視するとともに、投資効果を測る定量基準の設定など、収益責任部門とM&A専門部署が一体となり、規律を持って推進していきます。 ③ 新たなビジネスモデルの事業化 持続可能な未来の実現に向けて、既存の経営資源を活用しつつ、多様なパートナーとともに、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化を推進します。 モビリティ事業においては、車両整備事業を基盤に、これまでにヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用した商用EV導入・運用支援など、脱炭素と経済性を両立する基盤・エコシステムを開発し、社会・物流業界全体のサステナビリティに貢献します。また、地域社会の多様なニーズに応えるため、荷物の発送・受取サービスに加えて、新たなサービス提供を目指す「ネコサポステーション」の展開や、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」の拡販など、新たな価値の創出に取り組みます。さらに、安定的なスピード輸送の提供による新たな需要の獲得と流通拡大による地域経済の活性化、輸送サービス品質の維持・向上を図るため、2024年4月より貨物専用機(フレイター)の運航を開始しました。今後、順次運航数を拡大するとともに、柔軟な運航区間・ダイヤの設定によりお客様の新たなニーズに対応していきます。 ④ グループ経営基盤の強化 ヤマトグループは、持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、サステナブル経営の強化、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組みます。 人事戦略については、事業構造改革と連動した人材の最適配置を優先課題として、組織・要員の適正化と評価・報酬制度の見直しに取り組みます。また、付加価値を創出する人材の育成に向けて、自主・自律的なキャリア形成を促進する人材マネジメント体系の整備・運用を推進します。そして、多様な社員の働きやすさと働きがいの向上に向けて、多様化する社員のライフプランに適合する福利厚生制度の構築や社員の健康管理・健康増進施策を推進するとともに、ダイバーシティの推進や人権デューデリジェンスの実施、女性活躍の推進に継続的に取り組みます。これらの取組みを通じて、社員一人ひとりの活躍と貢献を最大化し、より高い付加価値の創出を目指していきます。 デジタル戦略については、DX推進体制を強化し、デジタル基盤を活用したお客様への提供価値の拡大や「仕分け作業」や「運び方」、「働き方」の変革、バックオフィスの業務プロセス改革など、事業と一体となったDX推進に取り組みます。 サステナブル経営の強化については、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」に基づき、特定した各重要課題(マテリアリティ)に対する取組みを強化していきます。環境の領域については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、引き続き「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーン(Scope3)排出量の把握方法の策定などに取り組みます。また、社会の領域については、引き続き、人材の多様性を尊重し、社員が活躍できる職場環境を整備するとともに、社会の諸課題に向き合い、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施や課題の早期発見と解消のための体制・プロセス・仕組みの整備など、適切な関係構築を通じたサステナブル・サプライチェーンの構築を推進していきます。 コーポレート・ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持・強化などに取り組むとともに、株主・投資家との建設的な対話や情報開示の充実を通じて、持続的な企業価値向上に努めていきます。 ⑤ 資本効率をより重視した経営の浸透 ヤマトグループは、上記の①~④の戦略施策を推進することに加え、資本効率をより重視した経営の浸透を図ることで、資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、営業利益率やROEに加えて、ROICを新たな経営指標として設定しました。本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やDX推進などへの成長投資を積極的に実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。 上記計画を財務面から支えるため、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から自己資本比率は45~50%程度、D/Eレシオは0.3~0.5倍程度を目安とし、格付け水準(R&I格付投資情報センター/AA-)の維持に努めます。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上、総還元性向50%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況ⅰ.財政状態 総資産は1兆1,358億95百万円となり、前連結会計年度末に比べ283億8百万円増加しました。 負債は5,439億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ527億57百万円増加しました。 純資産は5,919億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ244億49百万円減少しました。 ⅱ.経営成績 当連結会計年度における経済環境は、国際情勢の不安定化に伴い高騰した資源・エネルギー価格が下落に転じるなど、世界的なインフレ傾向に落ち着きが見られる中、欧米の金融当局は政策金利を据え置くなど、今後の景気減速に備えた動きが進んでいます。一方、国内においては、物価上昇に対する価格転嫁の動きが続く中、行楽需要やインバウンド需要の回復に伴うサービス消費の拡大や設備投資の増加など、足元の景況感は改善しつつあるものの、実質賃金が上昇していないことなどによる個人消費の低迷、人手不足の深刻化など、依然として本格的な景気回復が見通しづらい状況にあります。 このような状況下、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、グループ各社の経営資源を結集したグループ経営体制の下、お客様や社会の多様化するニーズに対する総合的な提供価値の拡大に向けた取組みを推進しています。 当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。 区分前連結会計年度当連結会計年度増減伸率(%)営業収益(百万円)1,800,6681,758,626△42,041△2.3営業利益(百万円)60,08540,059△20,025△33.3経常利益(百万円)58,06640,458△17,607△30.3親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)45,89837,626△8,271△18.0  当連結会計年度の営業収益は1兆7,586億26百万円となり、前連結会計年度に比べ420億41百万円の減収となりました。これは、プライシングの適正化を進めたものの、宅配便の取扱数量や国際輸送の需要が減少したことなどによるものです。 営業費用は1兆7,185億66百万円となり、前連結会計年度に比べ220億16百万円減少しました。これは、資源・エネルギー価格、時給単価など外部環境の変化によるコスト上昇が継続した中で、オペレーティングコストの適正化に向けた取組みに注力したことなどによるものです。 この結果、当連結会計年度の営業利益は400億59百万円となり、前連結会計年度に比べ200億25百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益の計上などにより376億26百万円となり、前連結会計年度に比べ82億71百万円の減益となりました。 なお、当社は、2023年7月27日開催の取締役会において、株式会社ワールドホールディングスとの戦略的な業務提携に関する合意書の締結を決議するとともに、当社の連結子会社であるヤマト・スタッフ・サプライ株式会社の発行済株式の51%を、株式会社ワールドホールディングスの連結子会社である株式会社ワールドスタッフィングに譲渡しました。本株式譲渡に伴い、当社のヤマト・スタッフ・サプライ株式会社に対する議決権所有割合は49%となり、第2四半期連結会計期間より、同社は当社の持分法適用関連会社になりました。 <ヤマトグループ全体としての取組み> ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、お客様や社会の多様化するニーズに対する総合的な提供価値の拡大に向けた取組みを推進しています。また、外部環境の変化等に伴うコスト上昇に対応するため、プライシングの適正化を進めるとともに、パートナー企業のコスト上昇に対して適時適切に対応するなど、輸配送ネットワークの維持・強化とお客様により良いサービスを提供し続ける環境の構築に取り組んでいます。 イ.ネットワーク・オペレーションの構造改革EC需要への対応や企業間物流における小口・多頻度化の進展など、多様化する物流ニーズに最適化した専用ネットワークの構築を進めるとともに、業務量の変動に対するより柔軟な対応や拠点間輸送の効率化、荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した「仕分け作業」や「運び方」の変革、事務処理の効率化など、宅急便ネットワークの強靭化に向けた取組みを推進しています。また、当連結会計年度においては、日本郵政グループと締結した協業に関する基本合意書に基づき、「クロネコゆうパケット」「クロネコゆうメール」の取扱いを開始しました。引き続き、両社の経営資源を有効活用し、お客様の利便性向上に資する輸送サービスの構築と事業成長を図るとともに、物流業界が抱える「2024年問題」や「カーボンニュートラル」などの課題解決に向けた取組みを推進しています。 ロ.法人ビジネス領域の拡大世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大する中、ヤマトグループは、サプライチェーン全体に拡がる顧客の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを新たな成長領域と位置づけています。かかる中、引き続き、営業とオペレーションが一体となり、グループの経営資源を最大限活用し、国内からグローバルに拡がるサプライチェーン全体に対する提供価値の拡大に取り組んでいます。また、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」に向けて、EVの導入やドライアイスを使わない保冷輸送など、当社のGHG排出量削減を推進するとともに、お客様が保有する在庫や生産活動の最適化に向けて、より環境負荷の少ないサプライチェーンを構築するため、国際規格ISO 14083:2023に準拠したGHG排出量可視化ツールの開発など、引き続き、法人顧客への新たな提供価値の創出に取り組んでいます。当連結会計年度においては、「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」(宅配便3商品)を対象とした「カーボンニュートラリティ宣言」を実施しました。本宣言は、2023年3月期(2022年4月~2023年3月)において、国際規格ISO 14068-1:2023に準拠したカーボンニュートラリティを達成したことを示すとともに、今後も事業活動に伴うGHG自社排出量の削減に向けて継続的に取り組むことで、2050年までの宅配便3商品のカーボンニュートラリティ実現をコミットメントしたものです。ヤマトグループは、このような気候変動に配慮した輸送サービスの提供を通じて、個人および法人顧客のさらなる利用促進につなげていきます。 ハ.持続的な企業価値向上を実現する戦略の推進ヤマトグループは、サプライチェーンの「End to End」に対する提供価値を拡大し、持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、デジタル戦略、人事戦略の推進、サステナブル経営およびガバナンスの強化に取り組んでいます。デジタル戦略については、「事業とデジタル」を一体的に推進する体制を整備するとともに、あらゆる情報をリアルタイムに把握し、社内外のシステムと連携できるデジタル情報基盤「ヤマトデジタルプラットフォーム」の活用による、お客様に対する提供価値の拡大やオペレーションの効率化に取り組んでいます。当連結会計年度においては、引き続き、顧客体験価値のさらなる向上を図るため、デジタルテクノロジーを活用して、お客様の声の収集・分析およびサービスの改善・設計を推進しています。人事戦略については、社員の成長をグループの成長につなげる「人材マネジメント方針」に基づき、新たな付加価値創出に向けた最適な人材ポートフォリオの構築や、多様な社員の働きやすさと働きがいの向上などに取り組んでいます。サステナブル経営の強化については、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」に基づき、特定した重要課題(マテリアリティ)への取組みを推進しています。環境の領域については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、引き続き、「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進しています。当連結会計年度においては、EV運用オペレーションの最適化に向けた取組みや再生可能エネルギー由来電力の活用など、エネルギーマネジメントの実証拠点となる京都府の八幡営業所がリニューアルオープンしました。同営業所はモデル店として、全国で初めて、全集配トラック(32台)をEV化するとともに、太陽光発電設備や蓄電池を導入し、再生可能エネルギー由来電力の活用や電力平準化システムの導入による電力使用ピークの偏りの緩和などに取り組んでいます。また、自動車メーカー様と連携し、カートリッジ式バッテリーを用いた軽EVの集配業務における実証実験を開始するなど、サステナブルな物流の実現に向けた取組みを進めています。社会の領域については、引き続き、人材の多様性を尊重し、社員が活躍できる職場環境を整備するとともに、社会の諸課題に向き合い、共創による地域づくりを推進するなど、豊かな社会の実現に向けて取り組んでいます。ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持、強化など、コーポレート・ガバナンスの強化を推進するとともに、意思決定のスピードを重視したガバナンス体制の下で、事業構造改革に取り組んでいます。 ニ.中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」の策定ヤマトグループは「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定め、本年2月、2027年3月期を最終年度とした中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を策定しました。本中期経営計画では、宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大、サプライチェーン全体に拡がるソリューションの提供を通じた法人ビジネス領域の拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化、グループ経営基盤の強化などに取り組み、「経済価値」を生み出すとともに、社会の持続可能性への取組みによる「環境価値」「社会価値」を創造していきます。なお、2025年3月期より本中期経営計画で定義した「エクスプレス事業」「コントラクト・ロジスティクス事業」「グローバル事業」「モビリティ事業」の4事業によるセグメントに変更します。 <セグメント別の概況>○リテール部門イ.リテール部門は、宅急便をはじめとする高品質な小口輸送サービスを提供するとともに、グループ全体のビジネスの起点として、生活様式やビジネス環境に伴うお客様の変化を第一線の社員が汲み取り、法人営業担当者と連携してグループの経営資源を活用したソリューション提案を行うなど、宅急便のサービス提供によって生み出されるお客様との接点という利点を活かし、お客様のニーズに応える価値提供に取り組んでいます。そして、5,000万人以上にご登録いただいている「クロネコメンバーズ」、法人のお客様170万社以上にご利用いただいている「ヤマトビジネスメンバーズ」を中心に「送る」「受け取る」をより便利にするサービスの提供や、輸送以外の生活・ビジネスに役立つ様々なサービスの拡充に取り組んでいます。 ロ.また、ネットワーク・オペレーション全体の生産性を向上させるため、宅急便ネットワークの強靭化に向けた取組みを推進しています。当連結会計年度は、引き続き、都市部を中心に小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化や、保冷専用ネットワークの構築を推進するとともに、配達エリアや配達ルートを、業務量の変動に合わせて柔軟に設定する仕組みの構築を進めました。ハ.外部顧客への営業収益は、宅配便の単価は上昇したものの、取扱数量が減少したことなどにより8,779億48百万円となり、前連結会計年度に比べ1.9%減少しました。営業利益は、オペレーティングコストの適正化に向けた取組みを推進しているものの取扱数量の減少分を補うには至らず、前連結会計年度に比べ97億8百万円減少しました。 ○法人部門イ.法人部門は、国内からグローバルに拡がるサプライチェーン全体に対する提供価値の拡大に向けて、営業とオペレーションが一体となり、専用ネットワークの構築・拡大を推進するとともに、物流オペレーションの改善や効率化に留まらず、お客様の経営課題に立脚した改善提案や、より実効性のあるプロジェクトの構築や管理運営など、アカウント営業の強化に取り組んでいます。ロ.EC需要が集中する都市部において、仕分け・輸送からラストマイルまでのオペレーションプロセスを簡素化したEC物流ネットワークの構築を推進するとともに、大手EC事業者様との連携の下、オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けて、受注から出荷・配送までの全部または一部の機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組んでいます。ハ.また、成長が加速する越境ECにおいては、輸入通関に関わるシステムと国内配送ネットワークを円滑に連携し、お届けまでのリードタイム短縮を実現する取組みを推進するなど、サプライチェーンの「End to End」に対する提供価値の拡大に向けた取組みを進めています。当連結会計年度においては、越境ECを利用する購入者に対し、低コストかつスピーディーな納品を実現する、越境EC事業者向け海上小口輸送サービスの提供を開始しました。ニ.外部顧客への営業収益は、国際輸送の需要が減少したことなどにより8,240億96百万円となり、前連結会計年度に比べ2.6%減少しました。営業利益は、リテール部門への配達委託に関する費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ85億51百万円減少しました。(参考)区分前連結会計年度当連結会計年度増減伸率(%)宅急便・宅急便コンパクト・EAZY(百万個)1,9261,886△40△2.1ネコポス・クロネコゆうパケット(百万個)413409△3△0.9クロネコDM便・クロネコゆうメール(百万冊)800626△173△21.7 ○その他イ.当連結会計年度においては、引き続き、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送や車両整備サービスの拡販に取り組みました。ロ.外部顧客への営業収益は565億81百万円となり、前連結会計年度に比べ5.8%減少しました。また、営業利益は127億34百万円となり、前連結会計年度に比べ8.4%減少しました。 <安全・地域共創などの取組み>イ.ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。当連結会計年度においては、引き続き「こども交通安全教室」を幼稚園・小学校などで開催するとともに、グループ全体での「交通事故ゼロ運動」や全国のドライバーが安全運転の技能や知識を競い合う「全国安全大会」を開催するなど、安全意識の向上を図る取組みを推進しました。ロ.ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。引き続き、地域社会の健全で持続的な発展と地域の皆様の安心・快適な生活をサポートする地域密着のコミュニティ拠点として「ネコサポステーション」を運営し、家事サポートサービスや、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービスハローライト 訪問プラン」を展開するなど、生活全般に関わる相談窓口の設置、地域の皆様が交流できるイベント開催などに取り組んでいます。また、当連結会計年度においては、北海道でドラッグストアを展開する小売事業者様とヤマト運輸株式会社が締結したパートナーシップ協定に関する基本合意書に基づき、宅急便営業所や移動販売専用車を活用した買い物支援の拡充、ドラッグストア店舗での荷物の受け取り、店舗で購入した商品の自宅への配送、効率的で安定した店舗納品など、北海道が抱える社会課題の解決や持続可能な地域社会の実現に向けた取組みを推進しています。ハ.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。 ② キャッシュ・フローの状況○営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フローは643億33百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が256億20百万円減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が517億4百万円となり、収入が51億11百万円減少したこと、および土地売却に伴う固定資産売却益を122億39百万円計上したことによるものであります。○投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フローは224億35百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が269億85百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が161億63百万円増加したこと、およびその他の支出が56億84百万円減少したことによるものであります。○財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フローは307億77百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が78億39百万円減少しました。これは主に、借入れによる収支が265億53百万円増加したことおよび社債の発行による収入が199億28百万円あった一方で、自己株式の取得による支出が400億6百万円増加したことによるものであります。  以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,947億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ114億76百万円増加しました。 ③ 生産、受注及び販売の実績 セグメントごとの営業収益は次のとおりであります。 なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。 セグメントの名称 前連結会計年度(自 2022年4月1日  至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日  至 2024年3月31日) 比 較 増減率 (%) 収入金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)リテール部門運送収入1,191,26466.21,181,25167.2△0.8物流支援収入3,3520.23,6400.28.6その他25,8581.428,9131.611.8内部売上消去△325,901△18.1△335,857△19.13.1計894,57449.7877,94849.9△1.9法人部門運送収入617,22134.3627,09635.71.6物流支援収入259,52514.4226,52212.9△12.7その他33,3571.931,8421.8△4.5内部売上消去△64,051△3.6△61,364△3.5△4.2計846,05347.0824,09646.9△2.6その他運送収入24,6161.422,8351.3△7.2その他155,1878.6141,1158.0△9.1内部売上消去△119,763△6.7△107,369△6.1△10.3計60,0403.356,5813.2△5.8合   計1,800,668100.01,758,626100.0△2.3 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容ⅰ.財政状態 総資産は1兆1,358億95百万円となり、前連結会計年度末に比べ283億8百万円増加しました。これは主に、リテール部門を中心に拠点の新設や改修をしたことなどにより有形固定資産が117億36百万円、現金及び預金が96億87百万円、および投資有価証券が時価評価等により81億8百万円増加したことによるものであります。 負債は5,439億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ527億57百万円増加しました。これは主に、借入金が210億円増加したこと、およびグリーンボンドの発行により社債が200億円増加したことによるものであります。 純資産は5,919億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ244億49百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が376億26百万円となった一方で、剰余金の配当を164億32百万円実施したことに加え、自己株式を500億1百万円取得したことによるものであります。 以上により、自己資本比率は前連結会計年度の55.1%から51.6%となりました。 ⅱ.経営成績 当連結会計年度の営業収益は1兆7,586億26百万円となり、前連結会計年度に比べ420億41百万円の減収となりました。これは、プライシングの適正化を進めたものの、宅配便の取扱数量や国際輸送の需要が減少したことなどによるものです。 営業費用は1兆7,185億66百万円となり、前連結会計年度に比べ220億16百万円減少しました。これは、資源・エネルギー価格、時給単価など外部環境の変化によるコスト上昇が継続した中で、オペレーティングコストの適正化に向けた取組みに注力したことなどによるものです。 この結果、当連結会計年度の営業利益は400億59百万円となり、前連結会計年度に比べ200億25百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益の計上などにより376億26百万円となり、前連結会計年度に比べ82億71百万円の減益となりました。 1株当たり当期純利益は107.23円となり、前連結会計年度に比べ19.41円減少しました。 ○リテール部門 外部顧客への営業収益は、宅配便の単価は上昇したものの、取扱数量が減少したことなどにより8,779億48百万円となり、前連結会計年度に比べ1.9%減少しました。営業利益は、オペレーティングコストの適正化に向けた取組みを推進しているものの取扱数量の減少分を補うには至らず、前連結会計年度に比べ97億8百万円減少しました。 ○法人部門 外部顧客への営業収益は、国際輸送の需要が減少したことなどにより8,240億96百万円となり、前連結会計年度に比べ2.6%減少しました。営業利益は、リテール部門への配達委託に関する費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ85億51百万円減少しました。 ○その他 外部顧客への営業収益は565億81百万円となり、前連結会計年度に比べ5.8%減少しました。また、営業利益は127億34百万円となり、前連結会計年度に比べ8.4%減少しました。② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報ⅰ.キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ⅱ.資本の財源及び資金の流動性 ヤマトグループは、本年2月、中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を策定しました。本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やDX推進などへの成長投資を積極的に実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。 上記計画を財務面から支えるため、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入れおよび社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から、自己資本比率は45~50%程度、D/Eレシオは0.3~0.5倍程度を目安とし、格付け水準(R&I格付投資情報センター/AA-)の維持に努めます。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上、総還元性向50%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。 ③ 目標とする指標の達成状況等 ヤマトグループは、サプライチェーン全体の変革を支援することで、個人、法人のお客様、そして社会全体に対する価値提供を目指す中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、持続的成長に向けた事業構造改革を推進しました。当中期経営計画の最終年度となる2024年3月期の連結業績については、物価高や消費動向など外的環境の変化などを考慮し、計画策定時に設定した連結営業収益2兆円、連結営業利益1,200億円(連結営業利益率6.0%)、ROE10%の目標を見直し、連結営業収益1兆8,600億円、連結営業利益800億円(連結営業利益率4.3%)、ROE8.3%に目標を変更しましたが、実績は連結営業収益1兆7,586億26百万円、連結営業利益400億59百万円(連結営業利益率2.3%)、ROE6.3%となりました。当中期経営計画においては、グループ各社の経営資源を結集したOneヤマト体制が始動するとともに、多様化する物流ニーズに最適化した専用ネットワークの構築や小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化など、ネットワーク・オペレーションの構造改革を推進したことで、経営基盤の強化に一定の成果があったものと考えています。 2027年3月期を最終年度とした中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」では、宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大、サプライチェーン全体に拡がるソリューションの提供を通じた法人ビジネス領域の拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化、グループ経営基盤の強化などに取り組み、「経済価値」を生み出すとともに、社会の持続可能性への取組みによる「環境価値」「社会価値」を創造していきます。なお、本中期経営計画の最終年度となる2027年3月期の連結業績については、連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上を目標としています。 ④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定 ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

※本記事は「ヤマトホールディングス株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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