会社名 | 小田急電鉄株式会社 |
業種 | 陸運業 |
従業員数 | 連11517名 単3682名 |
従業員平均年齢 | 43.4歳 |
従業員平均勤続年数 | 22年 |
平均年収 | 7997380円 |
1株当たりの純資産 | 1385.44円 |
1株当たりの純利益(連結) | 147.51円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 40円 |
配当性向 | 34.1% |
株価収益率(PER) | 10倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 11.1% |
営業活動によるCF | 558億円 |
投資活動によるCF | ▲744億円 |
財務活動によるCF | ▲70億円 |
研究開発費※1 | 1.46億円 |
設備投資額※1 | 653.88億円 |
販売費および一般管理費※1 | 3074.91億円 |
株主資本比率※2 | 35.5% |
有利子負債残高(連結)※3 | 5890.51億円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」を策定し、企業価値・地域価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」① 全体方針「地域価値創造型企業に向けて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループ経営理念のもと、サステナビリティ経営を根幹に、地域経済圏発想での事業展開および事業ポートフォリオの最適化を図ることで、地域価値創造型企業としての持続的成長と企業価値向上を両立し、経営ビジョンの実現を目指してまいります。 (参考)経営計画体系 ② 2030年度に向けた成長ストーリー新たな連結財務目標を達成するため、成長領域への積極投資、株主還元の強化、人的資本の拡充の3つの柱に特に重点的に取り組むことで、資本コストや株価を意識した経営の実践を加速させてまいります。 ③ 企業価値向上に向けた財務方針 エクイティ・スプレッドの拡大に向けたROE向上と株主資本コストのコントロールを課題とし、なかでもROE向上のため、「セグメント別営業利益ROAによる目標管理」「継続的な資産入替え」「株主還元の強化」に注力してまいります。 ア 連結財務目標重要指標2026年度計画2030年度目標資本コストや株価を意識した経営ROE※18.0%前回目標※26.2%(+1.8P)10%以上前回目標※27%以上(+3P)利益の成長営業利益540億円前回目標※2500億円(+40億円)800億円前回目標※2700億円(+100億円)財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7倍台でコントロール※1 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く)※2 2024年5月公表目標 イ 株主還元 2025~2030年度累計で2,000億円の株主還元を実施し、2030年度までに自己資本比率を30%に圧縮してまいります。基本方針(2023~2026年度)自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上※を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施※ 4ヵ年合計総還元額/4ヵ年合計親会社株主に帰属する当期純利益額≧40%配当2024年度:1株当たり年間40円を予定(年間30円から配当予想を修正)2025年度:1株当たり年間50円を予定自己株式取得経営環境の変化や業績等を総合的に勘案したうえで実施時期を検討金融機関等の当社株式売却による株式需給バランス悪化への対応も考慮(取得実績)2023年度・2024年度合計:327億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題インバウンド需要の拡大等を事業機会と捉え、重点施策として定めた事業や経営基盤の強化を推進してまいります。各施策の概要は、以下のとおりです。 ① 事業強化ア 観光需要の取り込み日本一のインバウンド観光ハブ化を目指す新宿と観光地の箱根・湘南を拠点に、沿線全体で国内外の観光客を誘引し、観光拠点での収益拡大や拠点間の移動需要最大化に努めるほか、沿線観光の多拠点化を図ることで、2030年度における観光収益1,200億円、営業利益150億円の達成を目指してまいります。具体的には、プロモーション強化やデジタル施策連携の実施等を通じて、宿泊・買い物等の需要の取り込み、および箱根・湘南での閑散期における収益の底上げに努めてまいります。加えて、特急の魅力向上等による当社線利用者・顧客単価の増加や、新たな目的地およびコンテンツの育成・増加による当社線への観光客誘引を図ってまいります。 イ ホテル業の拡大新宿や箱根周辺地域を中心に、既存ホテルのリニューアルや新規ホテルの開発等を進め、旺盛なインバウンド需要を取り込むことで、2030年度における営業利益50億円の達成を目指してまいります。具体的には、2030年度までに、「旧箱根レイクホテル※」、「箱根ハイランドホテル」、「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」のリニューアルをはじめ、高付加価値ホテルの新規開発やホテルの運営受託を推進するとともに、M&Aの活用を図ってまいります。※ 旧箱根レイクホテルは、「RETONA HAKONE」としてリニューアル開業予定(2025年12月)です。 ウ 不動産業の強化従来から取り組む長期保有型の開発・リニューアルや既存物件の収益性向上施策のみならず、短期回収型の投資手法(国内SPC・海外不動産・回転型投資・住宅分譲)を強化し、不動産業の2030年度における営業利益300億円の達成およびROA向上を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画において、新たな体験を実現する商業機能や最新かつハイグレードなオフィス機能、顧客起点のビジネス創発機能の提供等により、新宿エリアの価値向上・収益最大化に取り組むとともに、引き続き海老名駅間地区の開発計画を推進するなど、沿線での不動産開発に努めてまいります。加えて、短期回収型の手法については、外部環境や取り組み実績のほか、リスク分散等を考慮しながら投資を配分し、短期収益の獲得とROA向上を図ってまいります。 エ 交通業の進化安全・防災対策の強化とサービスの向上や持続可能な運営体制の構築に取り組むほか、観光体験の付加価値向上を図ることで、収益拡大を目指してまいります。具体的には、当社鉄道事業において、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドア整備や耐震補強工事、大野総合車両所の移転をはじめとした大規模設備更新を実施するほか、労働人口の減少を見据え、ワンマン運転の導入や駅業務の省力化等により、2035年度における要員30%削減(2020年度比)を図ってまいります。加えて、これらの取り組みを着実に推進するため、適切な時期での運賃改定を目指してまいります。また、大涌谷駅における新展望エリア「ちきゅうの谷」のオープン等を通じた箱根の各施設の魅力向上を図るとともに、新型特急ロマンスカーの導入に向けた検討を進めてまいります。 オ ストア・小売業の強化/デジタルによる事業創造積極的な新規出店による事業規模の拡大を図るとともに、店舗運営力の強化やDX施策の実施等を通じた生産性向上に取り組むことで、2030年度におけるストア業の営業利益率3%超を目指してまいります。また、ソリューション開発・提供を強みとしたデジタルによる新規事業の創造に努めてまいります。具体的には、ストア・小売業において、既存店舗の改装による少人数運営体制の構築および売場面積の最大化、ならびにセルフレジやAIを活用した提案発注システムによる運営効率化等に努めるとともに、MD戦略やオペレーション改革等を実行してまいります。また、デジタル領域では、沿線起点で新規事業を検討するほか、「WOOMS」をはじめとした新規事業の早期黒字化を図ってまいります。 ② 経営基盤の強化 概要と取り組みの例人的資本の拡充構造改革の推進や人財確保をはじめとした重点課題を踏まえた人的資本の投下により、従業員エンゲージメントと労働生産性の向上を図ることで、事業成長を目指してまいります。●私鉄業界トップを目指した労働生産性の向上および人財投資の推進●エンゲージメントサーベイを活用した福利厚生施策等の実施●不動産業等の成長領域における有資格者の育成や専門人財・即戦力の採用●経営管理能力や専門スキルの獲得を可能とするモデルキャリアパスの策定・運用環境再エネ活用、バスのEV化等による脱炭素化およびTNFD提言に基づく情報開示を推進してまいります。●EVバス(電動バス)を2030年度までに約500台導入※ ※ 神奈川中央交通㈱での導入台数を含みます。●不動産(新規・既存物件)の環境性能評価の取得推進DX情報システム環境の最適化、情報セキュリティの確保および人財育成に向けた各種施策を推進してまいります。●クラウド環境の活用推進による最新技術への対応力強化●DX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成(2026年度末までに約520名育成)ガバナンス人権尊重への取り組み、リスクマネジメント方針に基づくコンプライアンス意識の醸成および取締役会の監督機能強化を通じてガバナンスの向上を目指してまいります。●サステナビリティアンケートの実施を通じた取引先との連携拡充●外部機関による取締役会の評価を活用した実効性向上 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績当期のわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境が緩やかに改善する中、個人消費に持ち直しの動きがみられるなど、全体として緩やかな景気の回復が続きました。このような状況のもと、生活サービス業を中心に増収となったことから、営業収益は422,700百万円(前期比3.1%増)、営業利益は51,431百万円(同1.3%増)となりました。また、経常利益は50,474百万円(同0.4%減)となったほか、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に小田急センチュリービルの売却に伴う固定資産売却益を計上した反動等により、51,958百万円(同36.3%減)となりました。セグメントごとの業績は、次のとおりです。なお、当社は、2030年度営業利益目標の達成に向けた事業ポートフォリオの最適化のため、業績管理区分を変更しました。これに伴い、従来「運輸業」「流通業」「不動産業」および「その他の事業」としていたセグメント区分を、当連結会計年度から、「交通業」「不動産業」および「生活サービス業」に変更しました。そのため、前連結会計年度の実績を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで比較しています。 ア 交通業鉄道業では、輸送面において、本年3月、ご利用ニーズの高い平日夜間の特急ロマンスカー増発や、列車種別ごとの停車駅の見直し等、利便性の向上を目的としたダイヤ改正を実施しました。また、通勤車両5000形2編成を増備したほか、通勤車両3000形について、多様なお客さまのニーズに対応すべく、全車両へ「車いす・ベビーカースペース」を設けるとともに、環境面に配慮したリニューアルを実施し、3編成が営業運転を開始するなど、輸送サービスの向上を図りました。営業面では、昨年4月、特急ロマンスカーをお得にご利用いただけるサブスクリプション電子チケット「EMot(エモット)ロマンスカーパスポート」の販売を開始しました。さらに、昨年9月、インバウンド旅行者向けに、月間6,500万人が訪問する旅行・レジャー予約サイト「Klook(クルック)」で購入した交通・体験等のチケットを「EMotオンラインチケット」で発券できるデジタルチケットサービスを開始するなど、MaaSアプリケーション「EMot」を活用した諸施策を引き続き実施しました。また、多摩線開業50周年を記念した各種イベントを開催するなど、積極的な旅客誘致による収益の向上に努めました。施設面では、列車運行の安全性を一層高めるため、相模大野駅、海老名駅、中央林間駅および大和駅にホームドアを設置したほか、大規模地震による被害を抑制すべく、相模大野駅~東林間駅間の橋梁等の耐震補強工事を実施しました。また、犯罪の抑止や事件の早期解決等を目的として、特急車両2編成および通勤車両32編成に車内防犯カメラを設置しました。バス業では、小田急バス㈱において、昨年10月、乗車ポイントサービス「小田急おでかけポイント」を導入し、乗車時にPASMOを利用したお客さまに対して小田急ポイントの付与を開始するなど、利便性の向上を図りました。また、各社において、運転士不足が生じている状況を踏まえ、安定した輸送サービスを今後も持続的に提供していくため、適正な労働環境の確保を目的としたダイヤ改正や待遇改善等に向けた運賃改定を実施しました。以上の結果、鉄道業において定期・定期外ともに輸送人員が増加したことに加え、バス業において運賃改定を実施したことなどにより、営業収益は174,927百万円(前期比1.9%増)、営業利益は26,495百万円(同2.2%増)となりました。 (提出会社の鉄道事業運輸成績表)種別単位当連結会計年度(2024.4.1~2025.3.31) 対前期増減率(%)営業日数 日365△0.3営業キロ キロ120.50.0客車走行キロ 千キロ172,355△1.0 定期千人404,5562.0輸送人員定期外〃294,3152.5 計〃698,8712.2 定期百万円42,4542.3旅客運輸収入定期外〃72,8542.0 計〃115,3092.1運輸雑収 〃3,1993.7運輸収入合計 〃118,5082.2乗車効率 %43.8-(注) 乗車効率の算出方法乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100 イ 不動産業不動産分譲業では、小田急不動産㈱において、「リーフィア狛江 蒼翠の街」等の戸建住宅や、「リーフィアレジデンス調布小島町」をはじめとしたマンションを分譲するなど、収益の確保に努めました。不動産賃貸業では、当社、東京地下鉄㈱および東急不動産㈱を事業主体とする新宿駅西口地区開発計画において、新築工事や、旧小田急百貨店新宿店本館跡地の地下部分等の解体工事を引き続き実施しました。加えて、当社は、㈱小田急SCディベロップメント等と協働のうえ、昨年6月、「藤沢市立鵠沼海浜公園」について、スケートパークのスケールアップおよび商業機能の新設等を行い、「鵠沼海浜公園HUG-RIDE PARK(ハグ-ライド パーク)」としてリニューアルオープンするなど、各エリアの開発計画を鋭意推進しました。また、㈱小田急SCディベロップメントにおいて、新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴う「新宿ミロード」の閉館に先立ち、「新宿ミロード フィナーレキャンペーン」を開催し、各種イベントの実施を通じた集客に努めたほか、商業施設「新百合ヶ丘エルミロード」や「本厚木ミロード」のリニューアルを実施するなど、施設の充実および活性化を図りました。このほか、小田急不動産㈱において、昨年9月、物流施設「小田急不動産ロジスティクスセンター蟹江」が竣工するなど、事業規模拡大に努めました。以上の結果、不動産分譲業においてマンション販売価格が上昇したことに加え、不動産賃貸業において商業施設やオフィスの賃料収入が増加したことなどにより、営業収益は95,897百万円(前期比4.2%増)となりました。一方、不動産分譲業において前期に利益率の高い自社用地開発物件を売却した反動や販促費の増加等により、営業利益は15,852百万円(同10.7%減)となりました。 ウ 生活サービス業百貨店業では、㈱小田急百貨店の全店において、昨年9月、㈱NTTドコモが提供するポイントサービス「dポイント」を導入したことに加え、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開するなど、収益の確保に努めました。ストア・小売業では、小田急商事㈱が運営するスーパーマーケット「Odakyu OX」において、愛甲石田店が新規オープンするとともに、狛江店の専門店フロアがリニューアルオープンしました。加えて、各店で買い回りしやすい売り場づくりに努めるなど、お客さまの利便性向上を図りました。ホテル業では、UDS㈱を外部譲渡したものの、㈱ホテル小田急サザンタワーが運営する「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」において、昨年6月、「サザンタワーダイニング」のメニューを充実させるとともに、眺望を楽しめる食事スペースを増席するなど、より使いやすく、居心地の良い食体験の提供に努めました。レストラン飲食業では、ジローレストランシステム㈱において新規業態を開発したほか、㈱小田急レストランシステムにおいて新規出店を実施するなど、集客力の強化を図りました。また、グループ通算制度の適用に伴い、百貨店業およびストア・小売業において決算期を変更し13ヵ月間を連結したことなどにより、増収となりました。以上の結果、営業収益は168,695百万円(前期比4.5%増)、営業利益は9,062百万円(同28.4%増)となりました。② キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益72,054百万円に減価償却費や法人税等の支払額等を加減した結果、55,877百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ、15,748百万円の資金収入の減少となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、74,495百万円の資金支出となりました。この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは18,618百万円の資金支出となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、7,040百万円の資金支出と、前連結会計年度に比べ、95,038百万円の資金支出の減少となりました。これは、借入れや社債の発行による収入が増加したことなどによるものです。なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ25,580百万円減少し、34,952百万円となりました。③ 生産、受注および販売の実績当社グループは、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産および受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしていません。そのため生産、受注および販売の実績については、「① 経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債および報告期間における収入・費用の金額ならびに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において判断したものです。また、連結財務諸表の作成における会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しています。ア 棚卸資産の評価当社グループは、多くの棚卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しています。これらのうち、分譲土地建物については原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切り下げの方法により算定)を採用しており、市場価格が下落した場合には、簿価の切り下げにより費用が発生する可能性があります。イ 有価証券の減損当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しています。これらのうち、市場価格のない株式等以外の有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性があります。ウ 固定資産の減損当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。エ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少または増加した場合には、評価性引当額の追加計上または取崩しが必要となる場合があります。オ 退職給付債務および費用従業員の退職給付債務および費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、予想昇給率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付債務および費用に影響する可能性があります。② 財政状態および経営成績(財政状態)総資産は、新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴い建設仮勘定が増加したものの、現金及び預金が減少したことなどから、1,299,991百万円(前連結会計年度末比1,586百万円減)となりました。負債は、有利子負債が増加したものの、新宿駅西口地区開発計画に係る未払金が減少したことなどから、820,728百万円(同20,673百万円減)となりました。純資産は、自己株式を取得したものの、利益剰余金が増加したことなどから、479,263百万円(同19,086百万円増)となりました。(経営成績)ア 営業収益および営業利益当連結会計年度における営業収益は422,700百万円(前期比3.1%増)、営業利益は51,431百万円(同1.3%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益および営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しています。イ 営業外損益および経常利益経常利益は50,474百万円(同0.4%減)となりました。ウ 特別損益および親会社株主に帰属する当期純利益前期に小田急センチュリービルの売却に伴う固定資産売却益を計上した反動等により、税金等調整前当期純利益は72,054百万円(同29.1%減)となり、ここから法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は51,958百万円(同36.3%減)となりました。③ 資本の財源および資金の流動性についての分析ア 設備投資による資本の投下当社グループは、鉄道事業において、安全・防災対策の強化やサービスの向上、持続可能な運営体制の構築に努めているほか、他の事業においても、沿線価値の向上を目指して継続的な設備投資を行っています。当連結会計年度は総額65,388百万円の設備投資を実施しました。なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しています。イ 資金需要の主な内容と動向当社グループの主要な資金需要は、鉄道事業における安全・防災対策の強化やサービスの向上、持続可能な運営体制の構築に不可欠な設備投資や、沿線価値の向上に資する開発投資等ですが、そのほかに人件費等の事業運営のための運転資金の支出があります。また、今後の動向としては、設備投資が資金需要の中で最も高い割合を占める状況が続くと考えています。ウ 資金調達当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債および民間金融機関からの借入金等、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しています。なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、資金繰りの波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グループ内資金を活用するほか、適宜、コマーシャル・ペーパー(CP)の発行等により緊急時の流動性を確保しています。エ 資金の流動性当社グループは、鉄道事業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。 ④ 経営指標当社グループでは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針 ③ 企業価値向上に向けた財務方針」に記載のとおり、ROE、営業利益、有利子負債/EBITDA倍率を重要指標としています。なお、当連結会計年度については、以下のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)ROE(注)20.3%11.7%営業利益50,76651,431有利子負債/EBITDA倍率6.5倍6.8倍(注) 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く) (参考) 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)借入金・社債等576,974609,051鉄道・運輸機構長期未払金49,97643,737有利子負債計(注)626,950652,789EBITDA96,55295,386(注) リース債務および社内預金は除いています。 |
※本記事は「小田急電鉄株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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