小田急電鉄株式会社の基本情報

会社名小田急電鉄株式会社
業種陸運業
従業員数連11661名 単3682名
従業員平均年齢42.9歳
従業員平均勤続年数21.7年
平均年収7533063円
1株当たりの純資産1283.47円
1株当たりの純利益225.28円
決算時期3月
配当金30円
配当性向15.4%
株価収益率(PER)9.2倍
自己資本利益率(ROE)19.3%
営業活動によるCF716億円
投資活動によるCF234億円
財務活動によるCF▲1020億円
研究開発費※15.33億円
設備投資額※1834.02億円
販売費および一般管理費※1776.38億円
株主資本比率※234.1%
有利子負債残高(連結)※35787.18億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」を策定し、グループ価値・沿線価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」① 全体方針「地域価値創造型企業にむけて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループの経営理念の実現に向けて、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」のもと、外部環境の変化を捉えた改革を継続しつつ、飛躍的成長を目指します。加えて、「サステナビリティ経営の推進」を経営計画体系に包含するとともに、6つのマテリアリティ(重要テーマ)について、目標・モニタリング指標を設定し、社会課題の解決を通じた持続可能な成長を実現します。 (参考1)経営計画体系 (参考2)マテリアリティおよび目標・モニタリング指標マテリアリティ目標・モニタリング指標1.安全・安心◆鉄道事業における自社起因の運転事故・インシデント数:ゼロ(毎年度)◆バス・タクシー事業における死者・重傷者の発生:ゼロ(毎年度)□鉄道サービスの総合満足度2.まちづくり・地域社会□沿線エリアの人口□強化エリア主要駅の乗降客数(1日あたり)□居住地域の総合満足度□生き方(well-being)の総合満足度3.日々のくらしと観光体験□小田急ONE ID数□フリーパス販売枚数(箱根/江の島・鎌倉)□沿線観光エリアの来訪者数(箱根町/藤沢市)4.環境(カーボンニュートラル)◆小田急グループCO2排出量: 2013年度比△50%(2030年度)/実質ゼロ(2050年度)5.価値創造型人財の育成◆女性従業員(正社員)比率:20%(2030年度)/35%(2050年度)◆女性管理職比率:15%(2030年度)/30%(2050年度)◆男性育児休業取得率:100%(2030年度)/100%(2050年度)6.ガバナンス◆重大な法令違反の発生件数:ゼロ(毎年度)◆女性役員比率:30%(2030年度)□独立社外取締役比率◆目標 □モニタリング指標 ② 変革の取り組み2021年度から2023年度までを体質変革期、2024年度から2030年度までを飛躍期と定めています。 体質変革期(2021~2023年度)3つの経営課題(「利益水準の回復」、「有利子負債のコントロール」、「事業ポートフォリオの再構築」)と3つの発想(「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、「共創」、「ローカライズ」)を通じた事業の変革に取り組んだ結果、財務健全性の回復目安を上回りました(2023年度実績:有利子負債残高6,269億円、有利子負債/EBITDA倍率6.5倍)。 飛躍期(2024~2030年度)未来の小田急の持続的な成長につながる事業創造や拡大を進め、地域価値創造型企業として次の100年を歩むため、「経営ビジョンを実現する2つの進化」により、新たな価値を生み出します。<経営ビジョンを実現する2つの進化>ア 地域経済圏発想での事業展開新宿や海老名をはじめとする中核都市それぞれを“地域経済圏”単位で捉え、地域・パートナーと連携し、4つの事業領域(「交通」、「不動産」、「デジタル」、「生活サービス」)を連動させた施策を実施します。イ 事業ポートフォリオの最適化不動産領域を収益の第一の柱としつつ、デジタル領域を新たな成長領域と位置付けます。また、4つの事業領域において、成長投資を拡大するとともに、適切なKPIの設定および進捗状況のモニタリングの実施により、2030年度営業利益目標の達成を目指します。 ③ 連結財務目標「地域価値創造型企業」を目指し、社会的価値や株主価値の向上を図りつつ、持続的な利益成長を実現します。重要指標2026年度計画2030年度目標 長期方針利益の成長営業利益500億円前回目標比※1+40億円700億円前回目標比※1+100億円 持続的な利益成長資本コストを意識した経営ROE※26.2%7%以上 さらなる向上財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7.8倍7倍程度 利益成長による改善※1 2023年4月公表目標比※2 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く) ④ 株主還元基本方針自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施配当2023年度および2024年度は1株あたり年間30円を予定 ※ 2023年度は年間22円から配当予想を修正自己株式取得経営環境の変化や業績等を総合的に勘案したうえで実施時期を検討 ※ 2023年度実績:123億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題経営ビジョンの実現のため、4つの重点施策に取り組むとともに、3つの戦略およびガバナンスによる経営基盤の強化を推進します。各施策および戦略等の概要は、以下のとおりです。 ① 重点施策ア 交通領域の進化人手不足への対策と災害への耐性強化に重点的に取り組み、持続可能な運営体制を早期に確立するとともに、移動需要の喚起等による安定的な利益獲得を目指します。具体的には、少人数での鉄道事業運営体制の構築を目指し、ワンマン運転の詳細な仕様やオペレーション等の検討の深度化を図るとともに、各種業務の効率化を進めます。加えて、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドアの設置や耐震補強工事の推進により、安全・防災対策を強化しつつ、大野総合車両所の移転をはじめとした大規模な設備更新を推進するなど、持続可能な運営体制の強化に努めます。また、子育て世代への応援施策の推進や顧客データ等を活用した新たな増収施策の展開により、収益の最大化を図ります。 イ 不動産領域の強化収益の第一の柱として集中的に資本を投下し、沿線開発および投資手法・フィールドの拡大を推進することで、2030年度の営業利益300億円の達成と収益力・資産効率の向上を目指します。具体的には、新宿駅西口地区開発計画において、共同事業者等との共創によるプロジェクト価値の最大化に取り組むとともに、ハイグレードなオフィス機能や新たな顧客体験を実現する商業機能、来街者と企業等の交流を促すビジネス創発機能を提供します。また、引き続き海老名駅間地区の開発計画を推進するなど、沿線中核都市を中心とした多彩なまちづくりを進めます。加えて、回転型投資や国内SPC投資、海外不動産事業にも取り組み、獲得した資金やノウハウを、沿線開発をはじめとした更なる不動産事業の強化に活かします。 ウ デジタルを活用した新規事業の探索・成長事業創造ノウハウ・多様な人財の活用や研究開発費の投下により、社会課題の解決を起点とした新規事業を創出するとともに、デジタルの強みを活かし、沿線外にも事業展開することで、2030年度の営業利益30億円を目指します。具体的には、「MaaS Japan」や「EMot」等のMaaSプラットフォームにおいて、顧客接点および取扱額の拡大を図るとともに、資源・廃棄物の収集運搬の最適化に向けたコンサルティングサービス等を提供するウェイストマネジメント事業「WOOMS(ウームス)」や、自治体・町内会の電子回覧板や災害時の情報共有ソリューションを提供する自治会・町内会SNS「いちのいち」等の新規事業の収益・利益規模の拡大に努めます。あわせて、地域のインフラ分野を中心とした新規事業の探索・創出を図ります。 エ 観光需要の取り込み/地域を彩る生活サービス日本屈指の観光地を持つポテンシャルを活かし、インバウンドを含む旺盛な観光需要を着実に取り込みます。また、日々のくらしに密着したサービスや心躍るコンテンツの展開により、将来にわたって選ばれる沿線を目指します。具体的には、観光需要の取り込みに向けて、箱根エリアにおける既存ホテルのバリューアップ等を進めるとともに、ダイナミックパッケージの拡充により、利便性や顧客体験価値を高めます。また、生活サービスについては、ストア・小売業において、新規出店の積極的な推進や、㈱セブン&アイ・ホールディングスとの業務提携を通じたMD・オペレーションの継続的な改善等により、営業利益の拡大を図ります。さらに、地域密着型サービスプラットフォーム「小田急ONE(オーネ)」について、顧客とのデジタル接点の中心に据え、鉄道・駅ナカサービス・地域限定のサブスクリプション商品等、コンテンツを充実させることで、2026年度での会員数60万人(2023年度末:32万人)の実現に努めます。 ② 経営基盤の強化 概要と取り組みの例DX戦略リアルな資産・サービス・仕事とデジタル技術の融合により、「Smart(業務のスマート化)」、「Update(心躍る顧客体験)」、「Create(ゆたかな未来の創造)」の3つの価値を創出します。●ローコードツールの活用によるアプリケーション開発・運用を推進●当社全社員のデジタル関連基礎知識保有に向けた取り組みを推進環境戦略「小田急グループ カーボンニュートラル2050」の実現に向けた施策を具体化するとともに、資源循環の取り組みやTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示を推進します。●EVバス(電動バス)を2030年度までに約500台導入予定※ ※ 神奈川中央交通㈱での導入台数を含みます●当社グループ施設等から排出される食品廃棄物を、パートナー企業とともに飼料およびバイオガス 発電の燃料としてリサイクルし、発電された電力を利用人財戦略従業員のエンゲージメントや労働生産性の向上に資する施策を実行します。●「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」に基づき、女性活躍推進目標の達成に向けた施策や 健康経営を推進●処遇改善等の施策の推進による人財の確保・定着ガバナンス各ステークホルダーの利益の最大化や当社グループの持続的な成長、中長期的な企業価値の向上等に向けて、各種施策を推進します。●過半数が独立社外取締役で構成される指名・報酬諮問委員会や、取締役会実効性評価の仕組み等を 活用した取締役会の監督機能の強化●「小田急グループ人権方針」および「小田急グループ サステナブル サプライチェーン方針」 「小田急電鉄 マルチステークホルダー方針」に基づく取引先等とのコミュニケーションを実施
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績当期のわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境が緩やかに改善する中、個人消費が持ち直すなど、全体として緩やかな景気の回復が続きました。このような状況のもと、新型コロナウイルス感染症の5類移行等により事業環境が改善し、鉄道業やホテル業において増収となったことなどにより、営業収益は409,837百万円(前期比3.7%増)、営業利益は50,766百万円(同90.8%増)となったほか、経常利益は50,670百万円(同101.7%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、小田急センチュリービルの売却に伴い固定資産売却益を計上したことなどにより、81,524百万円(同100.1%増)となりました。セグメントごとの業績は、次のとおりです。 ア 運輸業鉄道業では、輸送面において、本年3月、ホームドアの設置が予定されている特急停車駅における、ゆとりを持った運行計画への変更等を目的としたダイヤ修正を実施しました。また、通勤車両3000形について、多様なお客さまのニーズに対応すべく、各車両へ「車いす・ベビーカースペース」を1箇所設けるとともに、環境面に配慮したリニューアルを実施し、3編成が営業運転を開始するなど、輸送サービスの向上を図りました。営業面では、昨年4月、江ノ島電鉄㈱が首都圏で初めて、全駅でタッチ決済対応のカード(クレジット、デビット、プリペイド)やスマートフォン等による鉄道乗車を開始するなど、各社で決済方法を拡充し、利便性の向上を図りました。また、昨年8月、子育て応援を象徴するマスコットキャラクター「もころん」がデビューするとともに、通勤車両5000形1編成を期間限定で「もころん号」として運行するなど、「子育て応援ポリシー」に基づく取り組みを推進しました。施設面では、列車運行の安全性を一層高めるため、町田駅および本厚木駅(3、4番ホーム)にホームドアを設置したほか、大規模地震による被害を抑制すべく、町田駅~相模大野駅間等の橋梁での耐震補強工事を実施しました。また、犯罪の抑止や事件の早期解決等を目的として、通勤車両16編成および特急車両4編成に車内防犯カメラを設置しました。バス業では、各社において、安定した輸送サービスを今後も持続的に提供していくため、運賃改定を実施しました。また、小田急バス㈱、㈱江ノ電バスおよび立川バス㈱において、EVバス(電動バス)の運行を開始し、環境負荷の低減に努めました。このほか、各社でお客さまのニーズに対応したダイヤ改正等を実施し、利便性の向上を図りました。以上の結果、当社鉄道事業において、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い通勤・外出需要が増加し、定期・定期外ともに輸送人員が前期を上回ったことに加え、鉄道駅バリアフリー料金制度を適用したことなどにより、営業収益は170,304百万円(前期比12.3%増)、営業利益は25,571百万円(同202.1%増)となりました。 (提出会社の鉄道事業運輸成績表)種別単位当連結会計年度(2023.4.1~2024.3.31) 対前期増減率(%)営業日数 日3660.3営業キロ キロ120.50.0客車走行キロ 千キロ174,0780.6 定期千人396,6933.9輸送人員定期外〃287,0177.5 計〃683,7105.4 定期百万円41,4889.7旅客運輸収入定期外〃71,42613.0 計〃112,91511.8運輸雑収 〃3,0862.7運輸収入合計 〃116,00211.5乗車効率 %42.6-(注) 乗車効率の算出方法乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100 イ 流通業百貨店業では、㈱小田急百貨店町田店において、昨年4月、新規導入ブランドを中心に13ブランドを展開し、感度の高いゴルフファッションウェアとゴルフ用品をメインに取り揃えたスポーツファッションフロア「ハルクスポーツ マチダ」がグランドオープンしました。また、全店において、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開するなど、収益の確保に努めました。ストア・小売業では、小田急商事㈱が運営する「Odakyu OX」において、新百合ヶ丘店がリニューアルオープンするとともに、全店で同社の創業60周年を記念した感謝祭やキャンペーンを実施しました。加えて、「Odakyu OX MART」において、祖師谷店および町田店が新規オープンするなど、積極的な営業活動を推進しました。このほか、各店で買い回りしやすい売場づくりに努めるなど、お客さまの利便性向上を図りました。しかしながら、百貨店業において2022年10月に新宿店本館の営業終了に伴い売場面積が大幅に縮小したことに加え、㈱白鳩が株式の一部売却に伴い連結除外となったことなどにより、営業収益は87,516百万円(前期比9.0%減)となりました。一方、ストア・小売業において売場構成や運営の改善が増収・増益に寄与したことなどにより、営業利益は1,936百万円(同123.6%増)となりました。 ウ 不動産業不動産分譲業では、小田急不動産㈱において、「リーフィア世田谷桜丘ザ・ブルーム」等の戸建住宅や、「リーフィアレジデンス麻生五月台」をはじめとしたマンションを分譲するなど、収益の確保に努めました。不動産賃貸業では、当社および東京地下鉄㈱を事業主体として推進してきた新宿駅西口地区開発計画において、本年2月、プロジェクト価値の最大化を図るべく、東急不動産㈱が共同事業者として正式に参画することが決定しました。また、同計画において、旧小田急百貨店新宿店本館の解体工事を推進するとともに、本年3月、3社共同事業として新築工事に着手しました。さらに、㈱小田急SCディベロップメントにおいて、商業施設「ビナフロント」や「アコルデ代々木上原」の大規模リニューアルを実施するなど、施設の充実および活性化を図りました。しかしながら、不動産分譲業において投資用不動産の売却件数が減少したことや、不動産賃貸業において前期末に小田急第一生命ビル持分を売却した影響等により、営業収益は79,393百万円(前期比5.5%減)、営業利益は17,190百万円(同4.7%減)となりました。 エ その他の事業ホテル業では、㈱ホテル小田急サザンタワーが運営する「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」において、昨年12月、多様化する顧客ニーズに対応すべく、シングルルームからセミダブルルームへの客室形態の変更を推進するなど、収益の確保に努めました。また、当社グループが運営する各ホテルにおいて、積極的な営業施策を展開し、宿泊需要の取込みを図りました。レストラン飲食業では、㈱小田急レストランシステムにおいて、新規業態の開発や新規出店を実施するなど、各社で集客力の強化を図りました。以上の結果、ホテル業における稼働の回復やリゾート人材派遣業の需要回復等により、営業収益は100,366百万円(前期比10.6%増)、営業利益は6,031百万円(前期 営業損失821百万円)となりました。② キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益101,610百万円に減価償却費や法人税等の支払額等を加減した結果、71,626百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ、8,697百万円の資金収入の増加となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、23,435百万円の資金収入と、前連結会計年度に比べ、11,276百万円の資金収入の減少となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは95,062百万円の資金収入となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、102,079百万円の資金支出と、前連結会計年度に比べ、51,022百万円の資金支出の増加となりました。これは、社債の償還や自己株式の取得による支出が増加したことなどによるものです。なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ6,941百万円減少し、60,532百万円となりました。③ 生産、受注および販売の実績当社グループは、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産および受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしていません。そのため生産、受注および販売の実績については、「① 経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債および報告期間における収入・費用の金額ならびに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において判断したものです。また、連結財務諸表の作成における会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しています。ア 棚卸資産の評価当社グループは、多くの棚卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しています。これらのうち、分譲土地建物については原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切り下げの方法により算定)を採用しており、市場価格が下落した場合には、簿価の切り下げにより費用が発生する可能性があります。イ 有価証券の減損当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しています。これらのうち、市場価格のない株式等以外の有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性があります。ウ 固定資産の減損当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。エ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少または増加した場合には、評価性引当額の追加計上または取崩しが必要となる場合があります。オ 退職給付債務および費用従業員の退職給付債務および費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、予想昇給率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付債務および費用に影響する可能性があります。② 財政状態および経営成績(財政状態)総資産は、新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴い建設仮勘定が増加したことなどから、1,301,567百万円(前連結会計年度末比21,590百万円増)となりました。負債の部は、社債の償還に伴い有利子負債が減少したことなどから、841,458百万円(同50,027百万円減)となりました。純資産の部は、自己株式を取得したものの、利益剰余金が増加したことなどから、460,109百万円(同71,618百万円増)となりました。(経営成績)ア 営業収益および営業利益当連結会計年度における営業収益は409,837百万円(前期比3.7%増)、営業利益は50,766百万円(同90.8%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益および営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しています。イ 営業外損益および経常利益営業利益の増加に伴い、経常利益は50,670百万円(同101.7%増)となりました。ウ 特別損益および親会社株主に帰属する当期純利益特別利益に小田急センチュリービルの売却に伴い固定資産売却益を計上したことなどにより、税金等調整前当期純利益は101,610百万円(同72.9%増)となり、ここから法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は81,524百万円(同100.1%増)となりました。③ 資本の財源および資金の流動性についての分析ア 設備投資による資本の投下当社グループは、鉄道事業において、安全防災対策に積極的に取り組みながら、快適かつスピーディーな鉄道運行の実現に努めているほか、他の事業においても、沿線の魅力を高めることを目指して継続的な設備投資を行っています。当連結会計年度は総額83,402百万円の設備投資を実施しました。なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しています。イ 資金需要の主な内容と動向当社グループの主要な資金需要は、安心・便利・快適に鉄道をご利用いただくために不可欠な設備投資や、沿線価値の向上に資する開発投資等ですが、そのほかに人件費等の事業運営のための運転資金の支出があります。また、今後の動向としては、設備投資が資金需要の中で最も高い割合を占める状況が続くと考えています。ウ 資金調達当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債および民間金融機関からの借入金等、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しています。なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、資金繰りの波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グループ内資金を活用するほか、適宜、コマーシャル・ペーパー(CP)の発行等により緊急時の流動性を確保しています。エ 資金の流動性当社グループは、鉄道事業や流通業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。 ④ 経営指標当社グループでは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針 ③ 連結財務目標」に記載のとおり、営業利益、ROE、有利子負債/EBITDA倍率を重要指標としています。なお、当連結会計年度については、以下のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)営業利益26,60150,766ROE(注)11.6%20.3%有利子負債/EBITDA倍率9.5倍6.5倍(注) 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く) (参考) 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)借入金・社債等647,473576,974鉄道・運輸機構長期未払金(注1)59,00549,976有利子負債計(注2)706,479626,950EBITDA74,46896,552(注) 1 鉄道・運輸機構長期未払金は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表〔借入金等明細表〕」における鉄道・運輸機構長期未払金の額とは異なり、上表では消費税等相当額を加えています。2 リース債務および社内預金は除いています。

※本記事は「小田急電鉄株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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