会社名 | 東京海上ホールディングス株式会社 |
業種 | 保険業 |
従業員数 | 連43870名 単1117名 |
従業員平均年齢 | 42.8歳 |
従業員平均勤続年数 | 16.8年 |
平均年収 | 13902022円 |
1株当たりの純資産 | 2623.94円 |
1株当たりの純利益 | 351.59円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 123円 |
配当性向 | 123.83% |
株価収益率(PER) | 13.38倍 |
自己資本利益率(ROE) | 15.88% |
営業活動によるCF | 10721億円 |
投資活動によるCF | ▲6276億円 |
財務活動によるCF | ▲4062億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | 1335.26億円 |
販売費および一般管理費※1 | 953.22億円 |
株主資本比率※2 | 99.9% |
有利子負債残高(連結)※3 | 2244.04億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)経営方針①経営理念 当社は、東京海上グループの全役職員が共有する経営理念を策定しており、その内容は次のとおりです。<東京海上グループ経営理念> 東京海上グループは、お客様の信頼をあらゆる活動の原点におき、企業価値を永続的に高めていきます。 ○お客様に最高品質の商品・サービスを提供し、安心と安全をひろげます。 ○株主の負託に応え、収益性・成長性・健全性を備えた事業をグローバルに展開します。 ○社員一人ひとりが創造性を発揮できる自由闊達な企業風土を築きます。 ○良き企業市民として公正な経営を貫き、広く社会の発展に貢献します。②東京海上グループ中期経営計画2026 ~次の一歩の力になる。~ 東京海上グループは、お客様や社会のいざをお守りすることをパーパスとし、2035年にめざす姿として、お客様や社会の課題およびリスクに対して「イノベーティブなソリューションを届け続けるパートナー」を掲げています。 この実現に向けて、中期経営計画(2024年度~2026年度)においては、グローバルなリスク分散およびグループ一体経営をグループの基本戦略とし、成長の3本柱(①価値提供領域の飛躍的な拡大、②ディストリビューションの多様化・複線化および③生産性の徹底的な向上)ならびに規律の2本柱(①内部統制およびガバナンスの強化および向上ならびに②事業ポートフォリオおよび資本管理の高度化)をグループの重点戦略として取り組んでいきます。 ③目標とする経営指標等 東京海上グループは、企業価値を的確に把握しその拡大に努める観点から、グループ全体の業績を示す経営指標として修正純利益および修正ROEを掲げており、中期経営計画(2024年度~2026年度)においては、修正純利益の持続的な成長および規律ある資本政策を通じて、修正EPSの年平均成長率(CAGR)+8%以上(含む政策株式売却益では+16%以上)、修正ROE14%以上(含む政策株式売却益では20%以上)をめざします。 2023年度の修正純利益および修正ROEは、当事業年度の第3四半期報告書提出日時点においては、それぞれ6,900億円、16.1%を見込んでいましたが、その実績はそれぞれ7,116億円、15.5%となりました。 2024年度の修正純利益および修正ROEは、国内外での自然災害に伴う発生保険金の増加等の減益要素はあるものの、政策株式の売却加速による売却益の増加や円安による海外事業の利益増加を主因として、本有価証券報告書提出日現在においては、それぞれ10,000億円、18.1%を見込んでいます。 なお、修正純利益および修正ROEは、次の方法で算出します。・修正純利益*1 修正純利益=連結当期純利益*2+異常危険準備金繰入額*3+危険準備金繰入額*3+価格変動準備金繰入額*3+自然災害責任準備金*4繰入額*3+初年度収支残*5の影響額*6-ALM*7債券・金利スワップ取引に関する売却・評価損益-事業投資に係る株式・固定資産に関する売却損益・評価損+のれん・その他無形固定資産償却額-その他特別損益・評価性引当等・修正EPS 修正EPS=修正純利益÷発行済株式総数・修正純資産*1,8 修正純資産=連結純資産+異常危険準備金+危険準備金+価格変動準備金+自然災害責任準備金*4+初年度収支残-のれん・その他無形固定資産・修正ROE 修正ROE=修正純利益÷修正純資産*1 各調整額は税引後です。*2 連結財務諸表上の「親会社株主に帰属する当期純利益」です。*3 戻入の場合はマイナスとなります。*4 大規模自然災害リスクに対応した火災保険の未経過保険料です。*5 保険料から発生保険金の一部と事業費を控除した残高を、翌期以降の保険事故に備えて繰り越すものです。*6 普通責任準備金積増額のうち、未経過保険料の積増額を控除したものです。*7 ALMとは、資産・負債の総合管理をいいます。*8 平均残高ベースで算出しています。 (2)経営環境及び対処すべき課題 2024年度の世界経済は、これまでの大幅な金融引締めによる効果がより一層顕在化すると見込まれること等から、米国景気の減速や欧州景気の低迷継続が懸念されます。わが国経済は、2023年度を超える賃上げが見込まれる一方でインフレ率も引き続き高いことから、当面は実質賃金の伸びがマイナスの状態が続く可能性が高く、回復のペースは鈍化する見込みです。 こうした状況のなか、東京海上グループは、長期ビジョン「世界のお客様にあんしんをお届けし、成長し続けるグローバル保険グループ」の実現に向け、2024年度からの3か年計画「東京海上グループ中期経営計画2026~次の一歩の力になる。~」を開始しました。めざす姿として「お客様や社会の課題・リスクに対して革新的な解決策を届け続けるパートナー」を掲げ、その実現に向け、保険に留まらない価値提供領域の飛躍的な拡大、ディストリビューションの多様化・複線化および生産性の徹底的な向上に取り組むと同時に、内部統制・ガバナンス強化にも徹底して取り組んでまいります。また、サステナブルな社会の実現に向け、サステナビリティ戦略と事業活動を一体化させ、事業活動を通じた社会課題の解決の取組みを強力に推進してまいります。 国内損害保険事業では、東京海上日動は、同社の新中期経営計画のキーコンセプトである「Re-New」のもと、新しい会社につくりかえる覚悟をもって、適正な競争を阻害してきた業界慣行をはじめ、あらゆる業務プロセスをお客様起点で見直し、「本当に信頼されるお客様起点の会社」となることをめざします。 政策株式については、同社はこれまでも事業ポートフォリオの変革および財務基盤の安定性向上を目的に、20年以上に亘りその削減に取り組んできました。結果として、2002年以降、累計2.7兆円を売却し、簿価ベースで72%の削減を行ってきています。今般、適正な競争実施のための環境整備という新たな目的を加え、その取組みをさらに加速し、2029年度末までに政策株式(非上場株式および資本業務提携による出資等を除く)の残高をゼロにすべく取り組んでまいります。 また、保険の提供に留まらず、事故の未然防止といった「事前」の領域、あるいは早期復旧・再発防止といった「事後」の領域を含め、「リスクソリューション(保険+α)で次代を支える会社」をめざし取り組んでまいります。 国内生命保険事業では、あんしん生命は、お客様をお守りする領域を拡大すべく、未病・早期発見・重症化予防等の領域で新たな保障やサービス開発等に引き続き取り組みます。加えて、お客様の健康状態に応じた保障と一体型のヘルスケアサービス提供等の新たな取組みも行ってまいります。また、デジタル技術の進化に対応することで、お客様への直接アプローチを拡大しながら、生産性を向上させ、持続的な成長の実現をめざします。 海外保険事業では、高度な保険引受能力や専門性を活かした保険料収入の拡大、保険料率の見直し等を通じて、保険引受利益を持続的かつ安定的に拡大してまいります。加えて、競争力ある商品のグローバル展開や資産運用の高度化等、海外保険事業全体におけるシナジーの拡大に取り組むとともに、デジタル活用および業務のアウトソーシング等による生産性の向上およびオペレーションの高度化を進めます。また、戦略的なM&Aの実行に向けた市場動向調査にも継続的に取り組み、優良な投資機会を着実に捉えてまいります。 資産運用では、国内外のグループ会社と連携しながら、資産と負債の総合管理(ALM)を軸としたグローバルな運用態勢の強化に引き続き努めてまいります。今後の世界経済や金融市場の変化を注視しつつ、資産ポートフォリオの多様化とリスク分散を進めることによって、長期安定的な運用収益の確保と健全な財務基盤の維持に取り組んでまいります。 ソリューション事業については、東京海上グループにおける保険引受および資産運用に続く3本目の収益の柱にすることをめざし、今後、防災・減災、モビリティに加え、ヘルスケア(予防・未病)や脱炭素といった複数の領域での事業化を加速してまいります。 これらの各事業を支えるのは人です。東京海上グループは、人材を資本と捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」に注力しています。「People’s Business」(人とその信用・信頼からなる事業)である保険事業を営む東京海上グループの競争力の源泉は、昔も今もこれからも人です。社員一人ひとりが適材適所で情熱と意欲をもって活躍できるよう支援し、多様な人材が持てる力を遺憾なく発揮できる公正な環境を整えます。将来に向けた人材投資も行い、100年後もお客様や社会のいざをお守りする存在であり続けるための人的資本および人材基盤の強化にグループを挙げて取り組んでまいります。 株主還元については、配当を基本とする方針としています。事業を通じた利益成長と配当の拡大は整合的であるべきとの考えに基づき、新中期経営計画期間においては、力強い利益成長を通じ、継続的な増配を実現できるよう努めてまいります。 東京海上グループは、「お客様の信頼をあらゆる活動の原点におく」という経営理念を掲げ、健全性と透明性の高いガバナンス体制を基盤に、収益性と成長性を兼ね備えた企業グループとしてさらに発展していくため、グループを挙げて業務に邁進してまいります。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりです。① 財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度の世界経済は、個人消費が拡大した米国を中心に堅調であり、中国における経済減速はみられたものの、全体としては持ち直しました。わが国経済は、引き続き物価上昇による内需の弱さがみられ、回復のペースは緩やかなものに留まりました。 このような情勢のもと損害保険・生命保険を中心に国内外で事業展開を行った結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は、以下のとおりとなりました。 連結総資産は、前連結会計年度末に比べて3兆1,970億円増加し、30兆5,948億円となりました。 保険引受収益5兆9,699億円、資産運用収益1兆2,927億円等を合計した経常収益は、前連結会計年度に比べて8,146億円増加し、7兆4,246億円となりました。一方、保険引受費用5兆274億円、資産運用費用2,603億円、営業費及び一般管理費1兆2,556億円等を合計した経常費用は、前連結会計年度に比べて4,662億円増加し、6兆5,820億円となりました。 この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べて3,484億円増加し、8,425億円となりました。 経常利益に特別利益、特別損失、法人税等合計などを加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて3,212億円増加し、6,958億円となりました。 また、親会社株主に帰属する当期純利益から保険事業特有の各種準備金の影響や資産の売却・評価損益等の当該年度の特殊要因を控除した修正純利益(グループ全体の業績を示す管理会計上の経営指標)は、前連結会計年度に比べて2,675億円増加し、7,116億円となりました。 なお、「第5. 経理の状況 注記事項 追加情報」に記載のとおり、国際財務報告基準(IFRS)を適用している海外連結子会社において、IFRS第17号「保険契約」を当連結会計年度の期首から適用しています。当該会計基準は遡及適用され、本項に記載の前連結会計年度については遡及適用後の数値となっています。 報告セグメント別の状況は、以下のとおりです。 [国内損害保険事業] 国内損害保険事業においては、経常収益は、前連結会計年度に比べて2,261億円増加し、3兆2,667億円となりました。経常利益は、前連結会計年度に比べて389億円増加し、3,234億円となりました。国内損害保険事業における保険引受および資産運用の状況は、以下のとおりです。 a)保険引受業務イ)元受正味保険料(含む収入積立保険料)区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)火災保険530,93218.657.25537,26418.721.19海上保険95,3803.3518.5993,8483.27△1.61傷害保険249,1778.753.60248,5228.66△0.26自動車保険1,233,67043.33△0.691,253,17243.671.58自動車損害賠償責任保険223,4007.851.21197,4916.88△11.60その他514,27018.062.97539,35218.804.88合計2,846,830100.002.462,869,651100.000.80(うち収入積立保険料)(50,480)(1.77)(△19.99)(42,515)(1.48)(△15.78)(注)1.諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。2.元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金および元受その他返戻金を控除したものです(積立型保険の積立保険料を含みます。)。ロ)正味収入保険料区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)火災保険438,56617.1314.42444,53817.141.36海上保険85,0193.3215.5785,1273.280.13傷害保険192,5837.5210.72200,4237.734.07自動車保険1,228,97148.01△0.601,247,81648.121.53自動車損害賠償責任保険225,2698.80△3.18209,0408.06△7.20その他389,61415.226.05406,21415.664.26合計2,560,025100.003.762,593,160100.001.29(注)諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。 ハ)正味支払保険金区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)火災保険273,74018.8522.65262,39817.29△4.14海上保険39,3862.71△1.1649,1173.2424.71傷害保険102,3147.0425.7898,6046.50△3.63自動車保険664,93045.7810.55726,07847.839.20自動車損害賠償責任保険157,83210.87△7.73162,91810.733.22その他214,30714.7526.19218,78514.412.09合計1,452,510100.0012.881,517,902100.004.50(注)諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。 b)資産運用業務イ)運用資産区分前連結会計年度(2023年3月31日)当連結会計年度(2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)預貯金452,9536.04402,5514.60買現先勘定9990.019990.01買入金銭債権28,4750.382,7220.03金銭の信託8,0000.1170.00有価証券5,297,55070.686,459,52773.77貸付金481,5476.43549,7236.28土地・建物204,5372.73199,7632.28運用資産計6,474,06486.387,615,29586.97総資産7,494,722100.008,756,578100.00(注)諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。ロ)有価証券区分前連結会計年度(2023年3月31日)当連結会計年度(2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)国債1,220,50423.041,094,09216.94地方債61,8761.1748,3440.75社債520,8679.83513,9307.96株式2,438,25146.033,567,46355.23外国証券1,030,82619.461,214,27518.80その他の証券25,2230.4821,4200.33合計5,297,550100.006,459,527100.00(注)諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。 ハ)利回りⅰ)運用資産利回り(インカム利回り)区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)収入金額(百万円)平均運用額(百万円)年利回り(%)収入金額(百万円)平均運用額(百万円)年利回り(%)預貯金194433,8210.04327388,3770.08コールローン-20.00-80.00買現先勘定01,9870.0209990.01買入金銭債権2023,2600.091632,6110.05金銭の信託△07,333△0.00-6750.00有価証券139,6013,391,6744.12153,1423,232,2504.74貸付金18,003410,9264.3827,664481,4715.75土地・建物5,693207,7062.745,267201,8372.61小計163,5134,476,7133.65186,4194,338,2314.30その他2,531--4,542--合計166,045--190,961--(注)1.諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。2.収入金額は、連結損益計算書における「利息及び配当金収入」に、「金銭の信託運用益」のうち利息及び配当金収入相当額を含めた金額です。3.平均運用額は、原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。ただし、コールローン、買現先勘定および買入金銭債権については、日々の残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。 ⅱ)資産運用利回り(実現利回り)区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)資産運用損益(実現ベース)(百万円)平均運用額(取得原価ベース)(百万円)年利回り(%)資産運用損益(実現ベース)(百万円)平均運用額(取得原価ベース)(百万円)年利回り(%)預貯金9,847433,8212.2713,243388,3773.41コールローン-20.00-80.00買現先勘定01,9870.0209990.01買入金銭債権2023,2600.091632,6110.05金銭の信託2937,3334.0006750.02有価証券244,2083,391,6747.20339,9283,232,25010.52貸付金31,242410,9267.6046,342481,4719.63土地・建物5,693207,7062.745,267201,8372.61金融派生商品△59,617--△128,363--その他2,905--7,686--合計234,5944,476,7135.24284,1234,338,2316.55(注)1.諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。2.資産運用損益(実現ベース)は、連結損益計算書における「資産運用収益」および「積立保険料等運用益」の合計額から「資産運用費用」を控除した金額です。3.平均運用額(取得原価ベース)は、原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。ただし、コールローン、買現先勘定および買入金銭債権については、日々の残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。[国内生命保険事業]国内生命保険事業においては、経常収益は、前連結会計年度に比べて586億円減少し、6,410億円となりました。経常利益は、前連結会計年度に比べて54億円増加し、571億円となりました。国内生命保険事業における保険引受および資産運用の状況は、以下のとおりです。 a)保険引受業務イ)保有契約高区分前連結会計年度(2023年3月31日)当連結会計年度(2024年3月31日)金額(百万円)対前年増減(△)率(%)金額(百万円)対前年増減(△)率(%)個人保険28,386,051△1.1327,858,055△1.86個人年金保険1,878,882△4.321,796,195△4.40団体保険1,912,540△3.351,664,237△12.98団体年金保険2,768△9.962,712△2.04(注)1.諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。2.個人年金保険については、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金を合計したものです。3.団体年金保険については、責任準備金の金額です。 ロ)新契約高区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)新契約+転換による純増加(百万円)新契約(百万円)転換による純増加(百万円)新契約+転換による純増加(百万円)新契約(百万円)転換による純増加(百万円)個人保険2,123,2122,123,212-1,935,5171,935,517-個人年金保険------団体保険25,09225,092-8,9708,970-団体年金保険------(注)1.諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。2.新契約の個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資の額です。3.新契約の団体年金保険の金額は、第1回収入保険料です。 b)資産運用業務イ)運用資産区分前連結会計年度(2023年3月31日)当連結会計年度(2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)預貯金74,5810.8570,5670.80有価証券8,238,75494.238,345,14094.21貸付金254,4722.91253,4182.86土地・建物8330.011,5140.02運用資産計8,568,64198.008,670,64097.88総資産8,743,102100.008,858,300100.00(注)諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。 ロ)有価証券区分前連結会計年度(2023年3月31日)当連結会計年度(2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)国債7,130,63586.557,061,54084.62地方債5,6100.075,6100.07社債528,7766.42533,0326.39株式1510.001940.00外国証券385,4544.68448,0145.37その他の証券188,1252.28297,1783.56合計8,238,754100.008,345,140100.00(注)諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。 ハ)利回りⅰ)運用資産利回り(インカム利回り)区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)収入金額(百万円)平均運用額(百万円)年利回り(%)収入金額(百万円)平均運用額(百万円)年利回り(%)預貯金085,0260.00064,2900.00有価証券105,6318,254,4711.28106,9457,948,5641.35貸付金13,885243,5585.7018,639254,8747.31土地・建物-1,0250.00-1,4110.00小計119,5178,584,0811.39125,5848,269,1411.52その他------合計119,517--125,584--(注)1.諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。なお、保険業法第118条に規定する特別勘定に係る収入金額および平均運用額については、除外しています。2.収入金額は、連結損益計算書における「利息及び配当金収入」です。3.平均運用額は、原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。 ⅱ)資産運用利回り(実現利回り)区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)資産運用損益(実現ベース)(百万円)平均運用額(取得原価ベース)(百万円)年利回り(%)資産運用損益(実現ベース)(百万円)平均運用額(取得原価ベース)(百万円)年利回り(%)預貯金6185,0260.0712464,2900.19有価証券140,1388,254,4711.70115,6177,948,5641.45貸付金13,822243,5585.6814,034254,8745.51土地・建物-1,0250.00-1,4110.00金融派生商品△19,356--△39,725--その他------合計134,6658,584,0811.5790,0508,269,1411.09(注)1.諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。なお、保険業法第118条に規定する特別勘定に係る資産運用損益および平均運用額については、除外しています。2.資産運用損益(実現ベース)は、連結損益計算書における「資産運用収益」から「資産運用費用」を控除した金額です。3.平均運用額(取得原価ベース)は、原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。[海外保険事業]海外保険事業においては、経常収益は、前連結会計年度に比べて7,282億円増加し、3兆6,508億円となりました。経常利益は、前連結会計年度に比べて3,030億円増加し、4,528億円となりました。海外保険事業における保険引受および資産運用の状況は、以下のとおりです。 a)保険引受業務イ)正味収入保険料区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)火災保険379,23919.8641.26488,14021.8728.72海上保険89,2714.6730.52106,9184.7919.77傷害保険35,3471.8511.7838,7201.739.54自動車保険437,38322.9057.16521,91023.3819.33その他968,77750.7225.191,076,19148.2211.09合計1,910,019100.0034.452,231,880100.0016.85(注)諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。 ロ)正味支払保険金区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)火災保険153,48618.252.35232,70121.9351.61海上保険34,1844.0629.5643,6574.1127.71傷害保険14,7131.75△2.3321,5202.0346.26自動車保険223,40126.5650.01279,59926.3525.16その他415,27249.3826.43483,54845.5716.44合計841,058100.0025.761,061,026100.0026.15(注)諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。 b)資産運用業務イ)運用資産区分前連結会計年度(2023年3月31日)当連結会計年度(2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)預貯金307,0352.70385,9332.90買入金銭債権1,835,34816.172,323,60117.44有価証券4,951,14743.625,873,40044.08貸付金1,993,79317.562,276,80517.09土地・建物121,8751.07131,1520.98運用資産計9,209,20181.1310,990,89482.49総資産11,351,487100.0013,324,604100.00(注)諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。 ロ)利回りⅰ)運用資産利回り(インカム利回り)区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)収入金額(百万円)平均運用額(百万円)年利回り(%)収入金額(百万円)平均運用額(百万円)年利回り(%)預貯金3,071298,7271.038,770346,4872.53買入金銭債権90,0301,759,2585.12150,3292,196,6026.84有価証券174,6584,817,8153.63198,1225,586,8023.55貸付金140,0781,767,6107.92213,3852,137,6139.98土地・建物1,00097,9691.0214,378126,47411.37小計408,8398,741,3824.68584,98610,393,9805.63その他2,088--2,088--合計410,927--587,074--(注)1.諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。なお、連結貸借対照表における有価証券には持分法適用会社に対する株式が含まれていますが、平均運用額および年利回りの算定上は同株式を除外しています。2.収入金額は、連結損益計算書における「利息及び配当金収入」です。3.平均運用額は、期首・期末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。 ⅱ)資産運用利回り(実現利回り)区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)資産運用損益(実現ベース)(百万円)平均運用額(取得原価ベース)(百万円)年利回り(%)資産運用損益(実現ベース)(百万円)平均運用額(取得原価ベース)(百万円)年利回り(%)預貯金31298,7270.0110,215346,4872.95買現先勘定2,531--211--買入金銭債権81,7771,759,2584.65148,8092,196,6026.77有価証券142,0844,817,8152.95274,2985,586,8024.91貸付金127,1331,767,6107.19162,1112,137,6137.58土地・建物1,00097,9691.0214,378126,47411.37金融派生商品△13,254--17,512--その他2,466--1,082--合計343,7708,741,3823.93628,62110,393,9806.05(注)1.諸数値は、セグメント間の内部取引相殺前の金額です。なお、連結貸借対照表における有価証券には持分法適用会社に対する株式が含まれていますが、平均運用額および年利回りの算定上は同株式を除外しています。2.資産運用損益(実現ベース)は、連結損益計算書における「資産運用収益」から「資産運用費用」を控除した金額です。3.平均運用額(取得原価ベース)は、期首・期末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しています。 (参考)全事業の状況 a)元受正味保険料(含む収入積立保険料)区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)火災保険1,097,68821.3918.491,269,42722.8815.65海上保険218,3154.2523.87228,0334.114.45傷害保険288,7375.634.56292,6035.271.34自動車保険1,665,80032.468.451,778,54332.066.77自動車損害賠償責任保険223,4004.351.21197,4913.56△11.60その他1,637,83531.9216.401,781,26932.118.76合計5,131,778100.0012.975,547,369100.008.10(うち収入積立保険料)(50,480)(0.98)(△19.99)(42,515)(0.77)(△15.78)(注)1.諸数値は、セグメント間の内部取引相殺後の金額です。2.元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金および元受その他返戻金を控除したものです(積立型保険の積立保険料を含みます。)。 b)正味収入保険料区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)火災保険817,80518.3025.48932,67819.3314.05海上保険174,2913.9022.77192,0463.9810.19傷害保険227,9235.1010.89239,1364.964.92自動車保険1,666,35337.2810.011,769,72536.686.20自動車損害賠償責任保険225,2695.04△3.18209,0404.33△7.20その他1,358,34530.3919.031,482,35830.729.13合計4,469,989100.0014.974,824,986100.007.94(注)諸数値は、セグメント間の内部取引相殺後の金額です。 c)正味支払保険金区分 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)金額(百万円)構成比(%)対前年増減(△)率(%)火災保険427,22618.6314.49495,09919.2015.89海上保険73,4823.2011.0792,6933.5926.14傷害保険116,8045.0921.35120,1234.662.84自動車保険888,33038.7418.381,005,28938.9913.17自動車損害賠償責任保険157,8326.88△7.73162,9186.323.22その他629,57327.4526.35702,33127.2411.56合計2,293,251100.0017.282,578,456100.0012.44(注)諸数値は、セグメント間の内部取引相殺後の金額です。② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フローは、利息及び配当金の受取額の増加等により、前連結会計年度に比べて644億円収入が増加し、1兆721億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却・償還による収入の減少等により、前連結会計年度に比べて6,457億円支出が増加し、6,276億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達目的の債券貸借取引受入担保金の純増減額の増加等により、前連結会計年度に比べて6,030億円支出が減少し、4,062億円の支出となりました。 これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より1,015億円増加し、1兆869億円となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績 保険持株会社としての業務の特性から、該当する情報がないので記載していません。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。 なお、本項に含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りを必要としますが、実際には見積りと異なる結果となることもあります。 当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針および見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えています。a)金融商品の時価の算定方法 有価証券、デリバティブ取引等について、時価の算定は原則として市場価格に基づいていますが、一部の市場価格のない有価証券、デリバティブ取引等については、将来キャッシュ・フローの現在価値や契約期間等の構成要素に基づく合理的な見積りによって算出された価額等を時価としています。b)有価証券の減損処理 売買目的有価証券以外の有価証券について、時価または実質価額が取得原価に比べて著しく下落した場合、回復する見込みがあると認められるものを除き、減損処理を行っています。なお、その他有価証券(市場価格のない株式等を除く。)については、原則として、連結会計年度末の時価が取得原価に比べて30%以上下落した場合に減損処理を行っています。c)固定資産の減損処理 収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように、帳簿価額を減額する会計処理を行っています。資産または資産グループの回収可能価額は、正味売却価額(資産または資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定される価額)と使用価値(資産または資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値)のいずれか高い方の金額であることから、固定資産の減損損失の金額は合理的な仮定および予測に基づく将来キャッシュ・フローの見積りに依存しています。従って、固定資産の使用方法を変更した場合、不動産取引相場や賃料相場等が変動した場合およびのれんが認識された取引において取得した事業の状況に変動が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。d)繰延税金資産 繰延税金資産の回収可能性の判断に際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。将来の課税所得は過去の業績等に基づいて見積っているため、将来において当社グループを取り巻く環境に大きな変化があった場合、税制改正によって法定実効税率が変更された場合等においては、繰延税金資産の回収可能額が変動する可能性があります。e)貸倒引当金 債権の貸倒れによる損失に備えて、回収不能見積額を貸倒引当金として計上していますが、貸付先の財務状況が変化した場合には、貸倒損失や貸倒引当金の計上額が、当初の見積額から変動する可能性があります。f)支払備金 保険契約に基づいて支払義務が発生したと認められる保険金等のうち、未だ支払っていない金額を見積り、支払備金として積み立てています。このうち既発生未報告の支払備金については、主に統計的見積法により算出しています。各事象の将来における状況変化、為替変動の影響等により、支払備金の計上額が、当初の見積額から変動する可能性があります。g)責任準備金等 保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金等を積み立てています。当初想定した環境や条件等が大きく変化し、責任準備金等を上回る支払が発生する可能性があります。h)退職給付債務等 退職給付費用および退職給付債務は、連結会計年度末時点の制度を前提とし、割引率や長期期待運用収益率、将来の退職率および死亡率等、一定の前提条件に基づいて計算しています。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、また前提条件を変更する必要が生じた場合には、将来の退職給付費用および退職給付債務は変動する可能性があります。② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、以下のとおりです。なお、当社グループの課題認識および経営成績に重要な影響を与えるリスクについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境及び対処すべき課題」および「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。 a)経営成績の分析 当連結会計年度の状況については、以下のとおりです。連結主要指標 (単位:百万円) 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)増減増減率経常収益6,610,0467,424,667814,62112.3%正味収入保険料4,469,9894,824,986354,9967.9%生命保険料1,071,6451,049,852△21,792△2.0%経常利益494,165842,576348,41070.5%親会社株主に帰属する当期純利益374,605695,808321,20285.7%修正純利益444,098711,634267,53660.2% 経常収益は、前連結会計年度に比べて8,146億円増加し、7兆4,246億円となりました。 経常利益は、国内損害保険事業において、政策株式売却益が増加したことや、海外保険事業において、北米、欧州およびブラジルの子会社における保険引受が好調であったことならびに北米の子会社において資産運用が好調であったこと等により、前連結会計年度に比べて3,484億円増加し、8,425億円となりました。 経常利益に特別利益、特別損失、法人税等合計などを加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて3,212億円増加し、6,958億円となりました。 また、親会社株主に帰属する当期純利益から保険事業特有の各種準備金の影響や資産の売却・評価損益等の当該年度の特殊要因を控除した修正純利益(グループ全体の業績を示す管理会計上の経営指標)は、前連結会計年度に比べて2,675億円増加し、7,116億円となりました。 報告セグメント別の状況は、以下のとおりです。[国内損害保険事業] 国内損害保険事業において、東京海上日動火災保険株式会社は、令和6年能登半島地震の発生を受け、直ちに社長直轄の対策本部を立ち上げました。社員を全国から被災地に派遣するとともに、テクノロジーを駆使し、全国の拠点で保険金支払業務を分担するなど、全社を挙げて迅速に災害対応にあたりました。また、自動車保険の特約として提供しているドライブレコーダーの走行データを活用し、道路の地割れや隆起等の情報を表示した地図を提供するなど、被災地向けの情報提供にも取り組みました。 多様化・複雑化する社会課題に対し、防災・減災、気候変動、ヘルスケア、サイバーリスク等を重点分野として定め、社会課題解決に貢献することを通じた新たなマーケット創造をめざし取組みを推進しました。社会課題の一つである認知症に対し、新たな治療薬が承認されたことを受け、早期発見や早期治療を経済的に支援する認知症治療支援保険をエーザイ社と共同で開発しました。また、交通における諸課題の解決策として期待される自動運転車について、安心・安全な社会実装に向け、走行前、走行中および事故時の各フェーズを、リスクアセスメント、遠隔監視・インシデント対応サービスおよび自動車保険によってお守りする自動運転導入・運行支援パッケージの提供を開始しました。 東京海上日動火災保険株式会社は、ビッグモーターグループによる不正請求が判明したことを受け、お客様の被害回復に最優先で取り組むとともに、不正請求対策の専門チーム設置やビッグデータにより修理費異常値を検知するテクノロジー活用の検討等、適正な保険金のお支払いに向け損害査定体制を強化しています。 上記のとおり事業に取り組んだ結果、正味収入保険料は、前連結会計年度に比べて331億円増加し、2兆5,931億円となりました。経常利益は、政策株式売却益が増加したことを主因として、前連結会計年度に比べて389億円増加し、3,234億円となりました。 (単位:百万円) 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)増減増減率正味収入保険料2,560,0252,593,16033,1351.3%経常利益284,594323,49838,90313.7% [国内生命保険事業] 国内生命保険事業において、東京海上日動あんしん生命保険株式会社は、強みである生損一体のビジネスモデルを活かしつつ、就業不能や介護等の分野への保障を提供する「生存保障革命」を推進しています。 がんの最新治療等に関する費用に対し最大1億円の保障を付帯できる「あんしんがん治療保険」が高い評価を受けるなど、2024年「オリコン顧客満足度?調査」の「がん保険ランキング」において、総合1位を獲得しました。また、2023年8月に、生活習慣病8疾病を対象に、入院の有無を問わず通院治療から保障する「あんしん治療サポート保険」を発売しました。同保険は、早期発見から長期治療までを手厚く保障することで、いつまでも健康で長生きしたいというニーズにお応えし、お客様の健康をトータルでサポートします。 各国における金融政策転換等によって、市場・経済環境の不確実性が増しているなか、資産と負債の総合管理(ALM)を基本とした資産運用に継続的に取り組むなど、適切な金利リスクコントロールに努めました。 上記のとおり事業に取り組んだ結果、生命保険料は、事業保険の解約が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて846億円減少し、4,288億円となりました。経常利益は、前連結会計年度に比べて54億円増加し、571億円となりました。 (単位:百万円) 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)増減増減率生命保険料513,442428,831△84,611△16.5%経常利益51,74957,1565,40610.4% [海外保険事業] 海外保険事業においては、グループ全体のグローバルな成長と分散の効いたポートフォリオの構築を実現すべく、持続的な内部成長と戦略的なM&Aを取組みの両輪としています。また、グループ各社の優れたノウハウを相互に活用し、保険料収入の拡大、資産運用の高度化、業務効率の向上等のシナジー実現にも幅広く取り組みました。 世界中の各拠点が着実な事業の成長実現をめざし、新たな保険商品の拡充や市場環境を踏まえた保険料率の見直し等による保険引受利益の拡大に取り組みました。また、資産運用面でも、金利上昇のタイミングを的確に捉えた運用を行うことで好成績をあげることができました。これらの結果として、先進国においては、大型M&Aで買収した5社のうち北米のPhiladelphia Consolidated Holding Corp.、Delphi Financial Group, Inc.、HCC Insurance Holdings, Inc.およびPrivilege Underwriters, Inc.の4社は3年連続でそれぞれ過去最高益を達成しました。また、もう1社の欧州のTokio Marine Kiln Group Limitedは事業売却を含めたポートフォリオの再構築等により大きく収益を改善しました。新興国においては、ブラジルのTokio Marine Seguradora S.A.が2年連続で過去最高益を達成しました。 大型M&Aについては、これまで市場環境を見据えながら実行してきており、現在も常に規律をもって優良な投資機会をうかがっています。同時に、成長戦略の一環として自社の既存事業を強化するために海外グループ会社が実施する「ボルトオンM&A」を積極的に実行してきました。規律をもった事業売却にも継続的に取り組み、事業ポートフォリオの最適化を追求しています。2023年度は、HCC Insurance Holdings, Inc.が今後拡大が見込まれる中小企業向けの医療保険分野に高い知見をもつ米国の保険総代理店のボルトオンM&Aを行う一方、当社はさらなる資本効率の向上を目的としてグアム現地法人およびサウジアラビアの生損保会社を売却しました。 上記のとおり事業に取り組んだ結果、正味収入保険料は、北米、欧州およびブラジルの子会社における市場環境を踏まえた保険料率の見直しや引受拡大等に伴う増収ならびに円安を主因に、前連結会計年度に比べて3,218億円増加し、2兆2,318億円となりました。生命保険料は、前連結会計年度に比べて628億円増加し、6,210億円となりました。経常利益は、北米、欧州およびブラジルの子会社における好調な保険引受ならびに北米の子会社における好調な資産運用を主因として、前連結会計年度に比べて3,030億円増加し、4,528億円となりました。 (単位:百万円) 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)増減増減率正味収入保険料1,910,0192,231,880321,86016.9%生命保険料558,209621,02862,81811.3%経常利益149,803452,838303,035202.3% b)財政状態の分析イ)連結ソルベンシー・マージン比率 当社は、保険業法施行規則第210条の11の3および第210条の11の4ならびに平成23年金融庁告示第23号の規定に基づき、連結ソルベンシー・マージン比率を算出しています。 当社グループの子会社では、損害保険事業、生命保険事業や少額短期保険業を営んでいます。保険会社グループは、保険金の支払等に備えて準備金を積み立てていますが、巨大災害の発生や資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。こうした「通常の予測を超える危険」を示す「連結リスクの合計額」(下表の(B))に対する「保険会社グループが保有している資本金・準備金等の支払余力」(すなわち連結ソルベンシー・マージン総額:下表の(A))の割合を示すために計算された指標が、「連結ソルベンシー・マージン比率」(下表の(C))です。 連結ソルベンシー・マージン比率の計算対象となる範囲は、連結財務諸表の取扱いと同一ですが、保険業法上の子会社(議決権が50%超の子会社)については、計算対象に含めています。 連結ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社グループを監督する際に活用する客観的な判断指標のひとつですが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされています。 当連結会計年度末の連結ソルベンシー・マージン比率は、前連結会計年度末と比べて25.3ポイント上昇して652.8%となりました。これは、その他有価証券評価差額金の増加による連結ソルベンシー・マージン総額の増加が主因です。 (単位:百万円) 前連結会計年度(2023年3月31日)当連結会計年度(2024年3月31日)(A)連結ソルベンシー・マージン総額4,947,0046,485,705(B)連結リスクの合計額1,576,5261,986,901(C)連結ソルベンシー・マージン比率 [(A)/{(B)×1/2}]×100627.5%652.8% ロ)国内保険会社の単体ソルベンシー・マージン比率 国内保険会社は、保険業法施行規則第86条および第87条ならびに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づき、単体ソルベンシー・マージン比率を算出しています。 保険会社は、保険金の支払等に備えて準備金を積み立てていますが、巨大災害の発生や資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。こうした「通常の予測を超える危険」を示す「単体リスクの合計額」(下表の(B))に対する「保険会社が保有している資本金・準備金等の支払余力」(すなわち単体ソルベンシー・マージン総額:下表の(A))の割合を示すために計算された指標が、「単体ソルベンシー・マージン比率」(下表の(C))です。 単体ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に活用する客観的な判断指標のひとつですが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされています。 当事業年度末の国内保険会社の単体ソルベンシー・マージン比率は、以下のとおりとなっています。東京海上日動火災保険株式会社については、前事業年度末と比べて4.8ポイント上昇して863.7%となりました。これは、当期純利益の計上等によるソルベンシー・マージン総額の増加が主因です。 ⅰ)東京海上日動火災保険株式会社 (単位:百万円) 前事業年度(2023年3月31日)当事業年度(2024年3月31日)(A)単体ソルベンシー・マージン総額5,287,6266,454,659(B)単体リスクの合計額1,231,2341,494,546(C)単体ソルベンシー・マージン比率 [(A)/{(B)×1/2}]×100858.9%863.7% ⅱ)日新火災海上保険株式会社 (単位:百万円) 前事業年度(2023年3月31日)当事業年度(2024年3月31日)(A)単体ソルベンシー・マージン総額133,868121,134(B)単体リスクの合計額22,54222,865(C)単体ソルベンシー・マージン比率 [(A)/{(B)×1/2}]×1001,187.6%1,059.5% ⅲ)イーデザイン損害保険株式会社 (単位:百万円) 前事業年度(2023年3月31日)当事業年度(2024年3月31日)(A)単体ソルベンシー・マージン総額12,98814,548(B)単体リスクの合計額4,6664,259(C)単体ソルベンシー・マージン比率 [(A)/{(B)×1/2}]×100556.6%683.1% ⅳ)東京海上日動あんしん生命保険株式会社 (単位:百万円) 前事業年度(2023年3月31日)当事業年度(2024年3月31日)(A)単体ソルベンシー・マージン総額555,469531,822(B)単体リスクの合計額106,044111,583(C)単体ソルベンシー・マージン比率 [(A)/{(B)×1/2}]×1001,047.6%953.2% c)資金の流動性に係る情報 当社グループの短期的な資金需要として、主に日々の保険金の支払等がありますが、強固なリスク管理態勢の下で保険事業を運営し、安定的にプラスの営業キャッシュ・フローを確保することにより、十分な流動性を保持しています。また、大規模自然災害による大口の支払や市場の混乱等により資金繰りが悪化する局面に備え、流動性の高い債券を保有すること等により、適切な流動性管理を行っています。 事業投資等の中長期的な資金需要に対しては、グループ内の自己資金を活用するほか、外部からの資金調達を行う等、資金需要の性質に応じて適切な資金源を確保しています。 d)目標とする経営指標の分析 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針 ③ 目標とする経営指標等」に記載のとおりです。 |
※本記事は「東京海上ホールディングス株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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