会社名 | 野村ホールディングス株式会社 |
業種 | 証券、商品先物取引業 |
従業員数 | 連26850名 単185名 |
従業員平均年齢 | 45歳 |
従業員平均勤続年数 | 4年 |
平均年収 | 14089399円 |
1株当たりの純資産 | 855.2円 |
1株当たりの純利益 | 30.01円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 23円 |
配当性向 | 75.85% |
株価収益率(PER) | 33.96倍 |
自己資本利益率(ROE) | 3.54% |
営業活動によるCF | 1326億円 |
投資活動によるCF | ▲8879億円 |
財務活動によるCF | 10128億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | 129.78億円 |
販売費および一般管理費※1 | -円 |
株主資本比率※2 | 24.7% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。 (1) 経営の基本方針① 経営の基本方針 当社は、「経営の基本方針」を取締役会で策定し、下記のとおり定めております。[経営目標]野村グループは、社会からの信頼および株主・顧客をはじめとしたステークホルダーの満足度の向上を通じて企業価値を高めることを経営目標とする。『グローバル金融サービス・グループ』として国内外の顧客に付加価値の高いソリューションを提供するとともに、当グループに課せられた社会的使命を踏まえて経済の成長や社会の発展に貢献していく。企業価値の向上にあたっては、経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図るものとする。 [グループ経営の基本観](1)新たな事業領域におけるビジネスの拡大をいち早く実現することにより、自ら新しい成長モデルを構築する。また、的確なコスト・コントロールおよびリスク・マネジメントにより、市場環境に左右されにくい収益構造を実現する。(2)顧客やマーケットの声に真摯に耳を傾け、ビジネスの可能性を広く捉えながら、金融・資本市場を通じた付加価値の高い問題解決策を顧客に提供し、あらゆる投資に関して最高のサービスを提供する会社を目指す。(3)法令・諸規則の遵守と適正な企業行動を重視し、日々の業務執行においてコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理を実践する。野村グループ各社は、顧客の利益を尊重し、業務に関する諸規制を遵守する。(4)経営に対する実効性の高い監督機能の確保および経営の透明性の向上に努める。(5)事業活動を通じて証券市場の拡大に貢献するとともに、企業市民として、経済・証券に関する教育機会の提供を中心とした社会貢献活動に積極的に取り組む。(注) 当社および当社の連結子会社は「野村」として表示しておりますが、「経営の基本方針」については原文に沿って「野村グループ」として表示しております。 ② パーパス 当社は、2025年12月に創立100周年を迎えるにあたり、創業の精神や企業理念を受け継ぎつつ、次の100年につながるグループ経営の基礎となる野村のパーパスを策定しました。 パーパス金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する 野村は創立以来、金融資本市場の発展に寄与すべく、挑戦を続けてきました。急激に変化し複雑化する環境において、今後も当社の持つ知識やノウハウといった付加価値を提供し、金融資本市場を通じた多様な豊かさを実現していくために、さらなる取組みを進めていきます。「世界と共に挑戦し」には、さまざまなステークホルダーのより良い未来に向けた想いを実現するために、皆様と一緒に歩んでいくこと、当社においてはグループ全体で理想の姿を追求し、挑戦を続けていくことへの決意を込めました。「実現する」という言葉は、「豊かな社会の実現」に向けた野村のより強いコミットメントを示しています。 ③ 経営ビジョン 2024年5月、当社は、パーパスに沿った経営戦略を推進することを目的として、2030年度に向けた新経営ビジョン「Reaching for Sustainable Growth」を定めました。 野村は、幅広い金融サービスの提供を通じ、リスクマネーを循環させ、金融資本市場の発展、お客様への最適なソリューションの提供に取り組んでまいります。 (2) 経営環境 当期においては、感染症禍からの経済活動再開以降に生じた世界的なインフレに一巡感が生じはじめ、米FRB(連邦準備制度理事会)を中心とする主要中央銀行による金融政策引き締め局面の終了時期を模索する動きがみられました。2023年年末にかけては、FRBによる早期利下げ開始を織り込み、米ドル市場金利の低下や米国株式市場の上昇が生じましたが、当期末にかけては、米国経済の堅調さやインフレ圧力の根強さを背景に、こうした期待はやや後退しています。 グローバル経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は、米国経済が2023年後半に平均年率4%程度の実質成長をみせるなど底堅さを示す一方、ユーロ圏、中国においては停滞感の強い状態が続きました。 日本では、2023年4月に植田和男氏が日本銀行総裁に就任し、同5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の区分が変更され経済活動の本格再開が期待される中で、大規模な金融緩和政策の修正期待が一段と強まりました。日本銀行は、2023年7月、10月と2回にわたり、長短金利操作政策のもとでの10年国債利回りの変動を柔軟化する決定を実施しました。日本銀行が金融緩和解除の条件とする「賃金・物価の好循環」実現への期待が高まる中、それが本邦企業の「稼ぐ力」を構造的に強めるとの期待も次第に高まり、主として海外投資家による日本株買いに支えられながら、日経平均株価は、2024年3月4日に初の40,000円台に到達しました。 (3) 対処すべき課題 野村を取り巻く経営環境は大きな変化の只中にあります。引き続き、適正な財務基盤の維持と、資本効率の改善等を通じた経営資源の有効活用を図りながら、機動的に対応してまいります。また、現状に満足せず、既存ビジネスの拡大とお客様へのさらなる付加価値の提供を目指し、常に新たな取組みも実践します。 ① 中長期の優先課題 野村では、グループ全体の持続的成長の実現を追求しており、収益の安定化・多様化、資本効率性を意識した事業ポートフォリオの構築に取り組んでいます。「野村を今立っている場所とは違うところ、次のステージに進める」という考えのもと、その実現に向けた戦略のひとつとして「パブリックに加え、プライベート領域への拡大・強化」を打ち出しました。この戦略に基づき、コアビジネステーマとして、資産管理ビジネスの推進、インベストメント・マネジメント部門の強化、ホールセールビジネスにおける成長と安定化に取組むとともに、デジタルアセットビジネスを含むデジタル金融サービスやサステナブル・ファイナンスを含むサステナビリティ分野等の新領域を開拓・強化してまいりました。また、構造改革を通じた全社的なコスト・コントロールの推進に着手しています。加えて、これらの事業の基盤となるコーポレート機能の高度化・効率化、ガバナンス体制の強化、デジタルを活用した業務効率化、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)やネットゼロ等の自社のサステナビリティに関する取組みも推進しています。なお、ビジネスの各部門の取組みについては、「②部門別の課題」もご参照ください。 当社は、中長期の優先課題の解決を通じて、中期的にROE8~10%を安定的に達成できるビジネス・モデルを確立することを目標として掲げてきました。2024年5月に公表したとおり、新たに2030年度に向けた経営の方向性を示すものとして、新経営ビジョン「Reaching for Sustainable Growth」および経営定量目標としてROE8~10%+、5,000億円超の税引前当期純利益の達成を掲げております。達成に向けた注力テーマとして、(ⅰ)日本フランチャイズを生かしたグローバル成長戦略の深化、(ⅱ)安定収益の飛躍的な成長、(ⅲ)“プラットフォーム”提供戦略の更なる推進に取組んでまいります。 なお、当社ではPBR(株価純資産倍率)を下図のように分解して整理しております。ROE絶対水準の最大化は、その主要な要素のひとつです。中長期の優先課題の解決を通じて、企業価値の向上を目指します。 ② 部門別の課題 各部門の課題、取組みは以下のとおりです。 [ウェルス・マネジメント部門] 旧「営業部門」は、資産管理によるストック型ビジネスへと転換を図ってきた結果、収益構造が大きく変化するなど一定の成果が出てきています。これら一連のビジネス・モデルの変革を総括し、今後も追求するビジネス・モデルに部門名称を合致させるために、2024年4月1日付けで、部門名を「ウェルス・マネジメント部門」に変更いたしました。 ウェルス・マネジメント部門においては、日本の家計全体に占める有価証券比率の向上に向けて、多様化する資産管理のニーズに応えていくことが課題だと考えておりますが、全国の本支店・営業所やデジタル等の接点を通じて、包括的な資産管理サービスを提供することで、お客様一人ひとりが目指すゴールを共に実現することを目指しております。今後とも、ウェルス・マネジメントビジネスの進化に向けて、パートナー(営業担当者)のスキルアップを継続して図るとともに、幅広い商品・サービスの充実に努めてまいります。 [インベストメント・マネジメント部門] インベストメント・マネジメント部門は、伝統的資産からオルタナティブ資産までのさまざまなアセットクラスからなる商品・サービスを通じて、幅広い投資家の多様な投資ニーズに対するソリューションを提供しています。お客様の多様な運用ニーズに応える高品質な投資商品を提供することを通じて、社会課題の解決につながる投資の好循環を実現することを目指しています。日本の豊富な個人金融資産と日本政府の資産運用立国実現プランによる政策のあと押し、プライベート資産への投資の伸びしろ、サステナビリティ関連投資に対する高水準の資金需要と投資家意識の高まりを成長機会としてとらえています。運用報酬率に下方圧力が継続する中、運用力向上、パブリック市場ビジネスにおける運用資産残高拡大と商品やサービスの高付加価値化、オルタナティブ資産など報酬率の高い成長分野における運用基盤の拡充、効率化とコスト・コントロールを戦略課題として取り組んでいます。 [ホールセール部門] ホールセール部門においては、お客様のニーズのさらなる高度化やテクノロジーの発展に加えて、不透明なマーケットおよびマクロ環境などが我々のビジネスに影響を及ぼす可能性があります。引き続きお客様へ高度なサービスと付加価値を提供し続けるために、各ビジネスライン、国内外および他部門との連携を強化していくほか、ビジネスの領域を広げて収益の安定を図ります。また、成長の見込まれる分野に効率的に財務リソースを活用し、生産性を意識した選択的成長を実現するとともに、コストの最適化に注力します。 グローバル・マーケッツでは、徹底したリスク管理のもとでお客様に流動性の提供を継続してまいります。また、ビジネス・ポートフォリオの多角化、グローバル連携の強化と日本の強固な事業基盤とグローバルプロダクトの競争力を活かしたクロスセルの拡大、ストラクチャード・ファイナンスやソリューションビジネス、インターナショナルウェルスマネジメント(海外富裕層ビジネス)などの成長分野における収益機会の追求、そしてエクイティビジネスの拡大、フローマクロビジネスの強化をさらに推し進めてまいります。 一方、インベストメント・バンキングでは、事業環境の変化にともないお客様のビジネス活動やニーズが変化する中、国内外で業界再編・事業再編に関するアドバイザリーや資金調達に加え、金利・為替ビジネスなどのソリューションビジネスをシームレスに提供することを加速させてまいります。日本における強みも活かしてグローバルにアドバイザリー・ビジネスの拡大に注力するとともに、市場ならびにお客様にとって重要なテーマであるサステナビリティ関連のビジネスを引き続き強化していきます。またグループワイドな連携を強化し、幅広いサービスやプロダクトに対するアドバイスをお客様一人一人へご提供できるように注力してまいります。 [リスク・マネジメント、コンプライアンスなど] 野村では、経営戦略の目的と事業計画を達成するために許容するリスクの種類と水準をリスク・アペタイトとして定め、それをリスク・アペタイト・ステートメントとして文書化しています。その上で、事業戦略に合致し、適切な経営判断に資するリスク管理体制を継続的に拡充していくことにより、財務の健全性の確保および企業価値の向上に努めています。 野村では、リスク・アペタイト・ステートメントにおいて、3つの防衛線による管理体制のもと、すべての役職員が自らの役割を認識し、能動的にリスク管理に取り組むことを明記しています。またグループ会社を含む役職員への継続的な研修の実施等を通じ、金融のプロフェッショナルとしてリスクに関する知識を深め、リスクを正しく認識・評価し、管理する企業文化、すなわちリスク・カルチャーの醸成に努めています。 コンプライアンスの観点からは、野村がビジネスを展開している各国の法令諸規則を遵守するための管理体制の整備に引き続き取り組むとともに、すべての役職員がより高い倫理観を持って自律的に業務に取り組めるよう社内の制度やルールの見直しを継続的に実施しております。 また野村では、法令諸規則の遵守にとどまらず、すべての役職員が社会規範に沿った行動ができるよう、野村の一員として取るべき行動の指針として「野村グループ行動規範」を策定し、研修その他の施策を通して、行動規範に基づく適正な行為(以下「コンダクト」)を推進する取組みを日々進めております。毎年8月の「野村『創業理念と企業倫理』の日」では、全社で過去の不祥事からの教訓を再認識し、再発防止と社会およびお客様からの信頼の維持・獲得に向けて決意を新たにする取組みとして、過去の不祥事を振り返ったうえでの適正なコンダクトの在り方に関するディスカッション、行動規範を遵守することへの宣誓を行っております。行動規範は、刻々と変化する社会の要請に継続して応えていくため、私たちの考え方が社会の常識からずれていないか常に見つめ直し、定期的に見直すこととしています。 以上の課題に対処し、解決することを通じて、金融資本市場の安定とさらなる発展とともに、野村の持続的な成長に尽力してまいります。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)業績の概況 以下の業績の概況は、「第1[企業の概況] 1[主要な経営指標等の推移]」および「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表]」の部とあわせてご覧ください。また、以下の内容には、一部、将来に対する予測が含まれており、その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれています。野村の実際の経営成績はここに記載されている将来に対する予測と大きく異なる可能性があります。 エグゼクティブ・サマリー① 全体の業績について 当期の収益合計(金融費用控除後)は、前期比17.0%増の1兆5,620億円、金融費用以外の費用は同8.6%増の1兆2,882億円となりました。税引前当期純利益は2,739億円、当社株主に帰属する当期純利益は1,659億円となりました。自己資本利益率は5.1%となり、また、当期のEPS(注)は前期の29.74円から52.69円となっております。なお、2024年3月末を基準日とする配当金は、1株当たり15円とし、年間での配当は1株につき23円といたしました。 (注)希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益 ② 当期における主な取組み、実績についての評価等 当期は、グループの戦略として掲げる「パブリックに加え、プライベート領域の拡大・強化」が確実に進展し、部門や地域、エンティティ等の垣根を超えた連携が進みました。また、構造改革を通じて、効率的なビジネス作りを推進し、次の成長につなげていくための筋肉質な組織基盤を確立することができました。営業部門(注)では、資産管理によるストック型ビジネスへのシフトが進み、ストック収入が積み上がる一方、コスト水準を引き下げることで収益構造の安定化が進捗し、税引前当期純利益は前期比3.7倍の1,227億円と2016年3月期以来8年ぶりの高水準となりました。インベストメント・マネジメント部門では、資金純流入、運用資産残高ともに2025年3月期KPI目標を上回って進捗し、安定収益である事業収益は前期比14%増と着実に伸長しました。ホールセール部門のグローバル・マーケッツでは、スプレッド・プロダクトやエクイティ・プロダクトなどの業績モメンタムが回復し、前期比8%増収となりました。インベストメント・バンキングでは、日本関連のエクイティファイナンスをはじめ、主要ビジネスで収益が伸長し、グローバルなアドバイザリー・ビジネスも市場が停滞する中で増収となりました。 (注)2024年4月1日付けで、部門名を「営業部門」から「ウェルス・マネジメント部門」に変更いたしました。 ③ 資本政策と株主還元の考え方 当社は、適正な資本比率を確保しつつ、最適な資本配分を通じて持続可能な成長を実現したいと考えております。経営ビジョン達成に向けた布石として、コスト水準は抑制しながらも、パブリックに加え、プライベート領域のビジネスを拡大する為の成長投資も行うことで、投資と株主還元のバランスを図るとともに、当社の生産性向上と収益源の拡大を通じた株主価値の最大化を目指しています。 配当については、半期毎の連結業績を基準として、連結配当性向40%を重要な指標の1つとして設定しており、また、自己株式取得による株主還元分を含めた総還元性向を50%以上とすることを、株主還元上の目処といたします。各期の株主還元の総額は、バーゼル規制強化をはじめとする国内外の規制環境の動向、連結業績をあわせて総合的に勘案し、決定することとしています。 詳細は「第4[提出会社の状況] 3[配当政策]」をご参照ください。 ④ 事業セグメント別の概況各部門の状況については以下のとおりです。 2024年3月期の営業部門(注)の収益合計(金融費用控除後)は、前期比34.0%増の4,024億円、金融費用以外の費用は同4.9%増の2,797億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同266.2%増の1,227億円となりました。営業部門では、お客様一人ひとりが目指す未来の実現に向かって、お客様のニーズに沿った包括的な資産管理サービスを充実させることで、ウェルス・マネジメントサービスの強化に取り組んでまいりました。当期は歴史的に活況な市場環境において、株式・投資信託の買付の増加を中心にフロー収入等の大幅な増加と同時に、継続的に取り組んできたお客様の資産全体に対する資産管理サービスにより、預り資産の拡大にともなうストック収入も大幅に増加しました。また、ワークプレイス(職域)サービスによる接点拡大を通じて、持続的な顧客基盤の構築、部門の中長期的なサービス拡大を目指していますが、現役世代のお客様を含め、ワークプレイスサービスを提供するお客様を順調に拡大することができております。今後は、サービスを必要とする多くのお客様に、対面によるコンサルティングやデジタルツール等を用いた非対面サービス、資産形成ニーズへの対応を含むワークプレイスサービスなど、幅広い形でウェルス・マネジメントサービスを提供してまいります。(注)2024年4月1日付けで、部門名を「営業部門」から「ウェルス・マネジメント部門」に変更いたしました。 2024年3月期のインベストメント・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比19.9%増の1,541億円、金融費用以外の費用は同10.4%増の939億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同38.4%増の602億円となりました。インベストメント・マネジメント部門では、安定収益である事業収益が2021年4月の部門設立以降で最高水準となりました。アセットマネジメント・ビジネスが好調だったことに加え、航空機リースの販売件数が伸びたことも増収に貢献しました。市況要因に加え、幅広い商品への資金純流入により、2024年3月末の運用資産残高は89.0兆円と過去最高を更新しました。特に、オルタナティブ運用資産残高は前期末比47%増の1兆8,606億円に大きく増加しました。投資損益は、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益が大幅に改善したことにより、前期比で増加しました。当期は、2024年1月より始まった新しいNISA制度への取組みとして、投資未経験者をはじめ幅広い年代の方がNISAを利用するきっかけとなるように、低コストインデックスファンド「はじめてのNISA」シリーズを設定しました。また、同制度の成長投資枠の対象ファンドとして、投資家に合った投資スタイルでバランスよく投資できる「のむラップ・ファンド」など2024年3月末時点で182本の届出を行いました。加えて、プライベート・アセットへの幅広い投資機会をお客様に提供する戦略のもと、世界の非上場株式を主な投資対象とする日本初の追加型公募投資信託「ノムラ・ファンド・セレクト ブラックストーン・プライベート・エクイティ・ストラテジーズ投信 米ドル建て」の運用を開始しました。さらに、米州では事業の再編を実施し、パブリック領域からプライベート領域にまたがるクレジット運用の新ブランドとして、「ノムラ・キャピタル・マネジメント LLC」を立ち上げました。 2024年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比12.1%増の8,661億円、金融費用以外の費用は、同9.3%増の8,122億円となりました。その結果、税引前当期純利益は83.6%増の539億円となりました。グローバル・マーケッツは、リスク管理を徹底しながら、マクロ環境や金融政策の見通しに対するマーケットの不透明感とボラティリティの高まりの中で投資家のポートフォリオのリバランス取引やヘッジ取引などに対して丁寧に流動性を提供しました。また、日本株の上昇などを背景とした顧客アクティビティの増加やマーケットの機会を適切に収益化したほか、フロービジネスに加えて、ストラクチャード・ファイナンスやソリューションビジネスなど顧客ニーズへの適切な対応を行い、収益を積み上げました。インベストメント・バンキングは、金融政策をめぐる市場環境の不透明感の一部後退をうけ、地域間に差はあるものの、顧客アクティビティは前期比で堅調となりました。これらの結果、特に国内におけるエクイティファイナンスにおいて案件が増加し、グローバルなアドバイザリー・ビジネスも市場が停滞する中で堅調だったことから、増収となりました。 主要なパフォーマンス指標の進捗 《経営指標》自己資本利益率(ROE) 当社は、自己資本利益率(ROE)を最も重視する指標の1つとして設定しています。国内でコーポレートガバナンス・コードが導入された後、日本企業においては資本コストを意識した経営の重要性が高まっております。加えて、金融業界においては、世界的な金融規制の枠組みのもとで、さらなる資本の有効活用が求められています。そのため、当社では、経営資源の最適配分という観点がより一層重要になるということに鑑み、2020年5月に開催された取締役会での決定を踏まえ「経営の基本方針」を改定するとともに、2021年3月期より、重要な経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図ることとしました。 ROEは当社株主に帰属する当期純利益を前期末当社株主資本合計および当期末当社株主資本合計の平均で除した値と定義しています。ROEの開示は、企業価値の向上や、投資家の皆様が当社の経営状況や資本の有効活用の状況を把握するためにも有益だと考えています。 ROEの目標水準としては、当社に求められる資本コストを意識し、2025年3月期において8~10%の水準を掲げております。一方で、ROEは必ずしも財務の健全性を反映するものではないと考えられることから、ROE向上を企図した過度な資本効率の追求を行うことのないよう、財務健全性に十分に配慮した上での企業価値の創造を重視し、ROEの向上に努めております。なお、2024年3月期のROEは、2023年3月期の3.1%から上昇し、5.1%となりました。なお、当社は2024年5月、新たに2030年度に向けた経営の定量目標としてROE8~10%+、5,000億円超の税引前当期純利益の達成を公表しております。 普通株式等Tier1比率 野村グループが遵守しなくてはならないグローバル金融規制は複数ありますが、なかでもバーゼル委員会および金融庁が定める自己資本規制は、当社のビジネスの在り方に、直接影響を及ぼすものです。そのため当社は、連結普通株式等Tier1比率を11%以上に維持することを掲げ、厳しいマーケットストレス等がかかった際のバッファーを含む財務健全性についても考慮しております。なお、2024年3月31日現在の連結普通株式等Tier1比率は、2023年3月31日現在の16.32%から微減し、16.29%となりました。当社の普通株式等Tier1比率の詳細と算定方法については、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (5)流動性資金調達と資本の管理」の「連結自己資本規制」の項目をご参照ください。 《事業セグメント別の指標》営業部門営業部門(注)の事業活動の成果を定量的に示す指標として、ストック資産、ストック資産純増、フロービジネス顧客数、職域サービス提供数の4項目を設定し、ビジネスの持続的な推進と発展を目指しています。これらの指標の開示は、営業部門のお客様との接点における進捗とともに持続可能な成長性を投資家の皆様が把握するに際して有益だと考えています。 (注)2024年4月1日付けで、部門名を「営業部門」から「ウェルス・マネジメント部門」に変更いたしました。 (単位:兆円) 2022年3月期 2023年3月期 増減率 2024年3月期 増減率ストック資産 ……………………… 19.6 18.7 △4.6% 23.0 23.0% (単位:十億円) 2022年3月期 2023年3月期 増減率 2024年3月期 増減率ストック資産純増 ………………… 555.5 333.7 △39.9% 317.4 △4.9% ※後述の定義変更に伴い、2023年3月期以前を遡及修正(単位:千件) 2022年3月期 2023年3月期 増減率 2024年3月期 増減率フロービジネス顧客数 …………… 1,505 1,446 △3.9% 1,692 17.0%職域サービス提供数 ……………… 3,357 3,489 3.9% 3,627 4.0% ストック資産は、投資信託や投資一任、保険、レベルフィーなど、お預り資産に対し運用管理費用等の手数料を頂戴する資産の総額に関連ローンを加算して算出しています。当該ローン金額は2024年3月末の連結財務諸表の貸付金として報告されているうちの約8,584億円です。2024年3月末時点のストック資産残高は23.0兆円であり、ストック資産拡大の取組みおよび市場要因により、2023年3月末時点の18.7兆円より4.3兆円、23.0%増加しています。 ストック資産純増は、ストック資産の買付・流入金額から売却・流出金額を差引した金額であり、時価変動を除いたストック資産の拡大を測るための指標です。なお、地域金融機関との包括的業務提携により提携先から移行されたストック資産残高を当該年度のストック資産純増として含めるよう、定義を遡及的に修正しており、結果として、2022年3月期のストック資産純増が4,772億円から5,555億円に増加しております。好調なマーケットを背景にお客様による売却が拡大したため、ストック資産純増の年度累計は3,174億円と2023年3月期の3,337億円を下回りましたが、保険、投資信託などを中心にストック資産の純増を実現しています。 フロービジネス顧客数は、事業年度内にフロービジネス(フロー収入が発生するビジネス)を提供した顧客数の累計であり、フロー収入の拡大を実現するために重要な顧客基盤の拡大を測るための指標です。市場のセンチメントの改善に加え、人員再配置を通じてこれまで取引をされていなかったお客様へのサービス提供を拡大した結果、2024年3月末時点のフロービジネス顧客数は169.2万件と2023年3月末の144.6万件を17.0%上回っています。 職域サービス提供数は、持株会会員数、持株会由来口座数(現会員除く)、企業型DC加入者など、職域に関連するサービスの提供数を合算した数字であり、職域ビジネスを通じた顧客基盤の拡大を測るための指標です。2024年3月末時点の職域サービス提供数は362.7万件です。2023年3月末の348.9万件より13.9万件、4.0%増加しており、持株会会員数の増加を中心に、持続的な成長に繋がる顧客基盤の拡大を実現しています。 インベストメント・マネジメント部門インベストメント・マネジメント部門の事業活動の成果を定量的に示す指標として、運用資産残高および資金純流入を設定しております。運用資産残高は、インベストメント・マネジメント部門における運用ビジネスの収益源であり、運用ビジネスの進捗状況を把握する上で有効であると考えております。また、運用プロダクトがどの程度投資家の皆様に受け入れられたか把握する上で、重要な指標になります。資金純流入は、運用資産残高の増減から市場要因等を除いた運用ビジネスの進捗動向を把握する上で有効であると考えております。運用資産の拡大、それによる部門収益拡大目標の達成における施策の効果を確認する上で、重要な指標になります。 (単位:兆円) 2022年3月31日 2023年3月31日 増減率 2024年3月31日 増減率運用資産残高 ……………………… 67.9 67.3 △0.9% 89.0 32.2% (単位:十億円) 2022年3月期 2023年3月期 増減率 2024年3月期 増減率資金純流入 ………………………… 2,066 △760 - 3,760 - 運用資産残高は、野村アセットマネジメント、ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント、ウエルス・スクエアの運用資産の単純合計(グロス)から重複資産を控除したものに加えて、インベストメント・マネジメント部門傘下の運用会社の運用資産に対する第三者による投資額を含むものとなります。2024年3月期は、市況要因に加え、幅広い商品への資金流入により、2024年3月末の運用資産残高が89.0兆円と過去最高を更新しました。 資金純流入は、資金流入額から資金流出額を差し引いた額となります。なお当該資金流出額は、分配金による流出額を含まない額となります。2024年3月期は、投資信託ビジネスでは、国内債券や日本株関連のETFやMRF等のマネーファンド、日本株、インド株、グローバル株、バランス型投信等、幅広い商品への資金流入がありました。投資顧問・海外ビジネス他では、国内機関投資家から国内債券、海外投資家からハイ・イールド債やインド株への資金流入がありました。 ホールセール部門ホールセール部門では経費率と収益/調整リスクアセットを主要なパフォーマンス指標として採用しています。これらKPIの開示は投資家に対してコストおよびリソース運用の効率性を示すうえで有効であり、マネジメントはビジネスにおけるコスト削減と収益力の評価に活用しています。 2022年3月期 2023年3月期 増減 2024年3月期 増減経費率 ……………………………… 89% 96%7% 94%△ 2%収益/調整リスクアセット ……… 7.0% 6.5%△0.5% 6.8%0.3% 経費率は、対象期間の金融費用以外の費用を同期間の収益合計(金融費用控除後、年換算)で除して算出しており、部門運営の効率性を確認するために使用しています。2024年3月期は、収益が全体の費用を上回るペースで増加したため、前期に比べて改善しました。収益の増加は、インベストメント・バンキングが主要ビジネスにおいて成長したことに加え、スプレッド・プロダクトとエクイティ・プロダクトを中心とするグローバル・マーケッツの業績が改善したことによるものです。費用の増加は、主に業績にともなう変動費の増加とインフレによる固定費の増加によるものです。2023年3月期は、フィクスト・インカムの増収やエクイティの米国顧客取引に起因する損失が剥落したことで収益が増加した一方、マーケット環境の悪化によるインベストメント・バンキングの収益減収や円安の進行、インフレによる費用の増加により前期に比べて比率は増加しました。 収益/調整リスクアセットは、対象期間の収益合計(金融費用控除後、年換算)を部門が使用する同期間の調整リスクアセット(各会計期間の日次平均)で除して算出しており、使用リソースに対する収益率をそれぞれ確認するために使用しています。調整リスクアセットは、(1)バーゼルⅢ規制のリスクアセットと、(2)バーゼルⅢ規制の資本調整項目を当社が内部で設定する最低資本比率で除したリスクアセット相当額の合計です。各部門の活動に起因する控除額は内部の最低資本比率(12.5%)で除したうえで各部門のリソース使用額にチャージしたものを、調整リスクアセットとしています。当社の収益/調整リスクアセットは、計算手法等の違いにより他社の提示している同様の指標とは定義が異なる可能性があります。当社の信用リスク・アセットおよびオペレーショナル・リスク相当額は金融庁の承認を経て基礎的内部格付手法および標準的手法によりそれぞれ算出しています。市場リスク相当額については、内部モデル方式により算出しています。ホールセール部門のリスクアセット(RWA)の調整RWAへの換算は、社内の最低自己資本比率目標を反映して調整しています。また、収益/調整リスクアセットは、RWAに適用される調整が当社の事業部門に帰属するRWAの適切な金額を(規制上の資本として計算されるRWAとは対照的に)把握することを目的としたものであり、当社内部でのリスク許容度を反映した推定値であるという点で、その有用性が制限される可能性があり、当該調整は実際のリソースの用途については正確に反映していない可能性もあります。2024年3月期の収益/調整リスクアセットの増加は、調整リスクアセットの増加以上の収益の増加によるもので、主にグローバル・マーケッツのスプレッド・プロダクトとエクイティ・プロダクト、インベストメント・バンキングの主要ビジネスの業績が改善したことにより増加しました。2023年3月期の収益/調整リスクアセットの減少は、全体の収益は増加したものの、円安による調整リスクアセットが増加したことが主な要因です。 経営成績 損益概況 野村の主要な連結損益計算書情報は以下のとおりであります。 2022年3月期(百万円)2023年3月期(百万円)2024年3月期(百万円)金融収益以外の収益: 増減率 増減率委託・投信募集手数料332,344279,857△15.8%364,09530.1%投資銀行業務手数料149,603113,208△24.3%173,26553.1%アセットマネジメント業務手数料269,985271,6840.6%310,15414.2%トレーディング損益368,799563,26952.7%491,611△12.7%プライベートエクイティ・デット投資関連損益30,76814,504△52.9%11,877△18.1%投資持分証券関連損益5,446△1,426-9,612-その他152,832130,940△14.3%175,82434.3%金融収益以外の収益合計1,309,7771,372,0364.8%1,536,43812.0%純金融収益54,113△36,459-25,562-収益合計(金融費用控除後)1,363,8901,335,577△2.1%1,562,00017.0%金融費用以外の費用1,137,2671,186,1034.3%1,288,1508.6%税引前当期純利益226,623149,474△34.0%273,85083.2%法人所得税等80,09057,798△27.8%96,63067.2%当期純利益146,53391,676△37.4%177,22093.3%差引:非支配持分に帰属する当期純利益(△損失)3,537△1,110-11,357-当社株主に帰属する当期純利益142,99692,786△35.1%165,86378.8%自己資本利益率(ROE)5.1%3.1% 5.1% 2024年3月期の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。この増加は、主に営業部門において委託・投信募集手数料が増加したことによります。委託・投信募集手数料は、株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が増加しました。投資銀行業務手数料は引受・売出手数料の増加が収益増加に寄与しました。アセットマネジメント業務手数料は運用資産の増加にともない、増加しました。トレーディング損益は、主に米国顧客との取引に起因する損失の回収の剥落により減収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による損失額138億円が含まれております。この損失は主にクレジット・スプレッドが縮小したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、株価の上昇により増収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、為替損益が増加しております。 2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は減少しました。この減少は、主に営業部門において委託・投信募集手数料が減少したことおよび純金融収益が減少したことによります。委託・投信募集手数料は、株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が減少しました。投資銀行業務手数料は引受・売出手数料の減少が収益減少に寄与しました。アセットマネジメント業務手数料は若干増加したものの全体として横ばいに推移しました。トレーディング損益は、主に米国顧客との取引に起因する損失の剥落により増収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による損失額34億円が含まれております。この損失は主にクレジット・スプレッドが縮小したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、株価の上昇が限定的で減収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、関連会社売却益が減少しております。 純金融収益は、トレーディング資産およびレポ・リバースレポ取引を含む総資産・負債の水準と構成、ならびに、金利の期間構造とボラティリティに左右されます。純金融収益は、トレーディング業務と不可分な1つの要素であり、野村は、特にグローバル・マーケッツについて、純金融収益と金融収益以外の収益との合計額で、ビジネス全体の収益性を評価しております。2024年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比135%増加、また、金融費用も前期比126%増加し、その結果、2024年3月期の純金融収益は2023年3月期から増加しました。2023年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比292%増加、また、金融費用も前期比400%増加し、その結果、2023年3月期の純金融収益は2022年3月期から減少しました。 2024年3月期の金融費用以外の費用は、人件費の増加により前年度比で増加しました。 2023年3月期の金融費用以外の費用は、米国顧客との取引に起因する貸倒引当金の追加計上による損失の剥落があったものの人件費の増加により前年度比で増加しました。 野村は、日本においてさまざまな税金を課されており、2022年4月1日より日本にて連結納税制度からグループ通算制度へ移行しております。このグループ通算制度は、国税だけを対象としています。国内の法定実効税率は、2022年3月期、2023年3月期、2024年3月期において、31%となっております。海外子会社は現地で課税を受けており、通常国内より低い税率が適用されています。そのため野村の各期の実効税率は、各地域での損益状況や、各地域で適用される特有の税務上の取扱いにも影響を受けています。 2024年3月期の実効税率は35.3%となりました。この実効税率35.3%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、益金に算入されない収益項目の影響により2.5%実効税率が引き下げられた一方で、損金に算入されない費用項目の増加により6.0%実効税率が引き上げられたことがあげられます。 2023年3月期の実効税率は38.7%となりました。この実効税率38.7%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、益金に算入されない収益項目の影響により4.7%実効税率が引き下げられた一方で、評価性引当金の増減により11.3%実効税率が引き上げられたことがあげられます。 2022年3月期の実効税率は35.3%となりました。この実効税率35.3%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、海外の税制改正の影響により14.4%実効税率が引き下げられた一方で、評価性引当金の増減により18.0%実効税率が引き上げられたことがあげられます。 事業セグメント別経営成績 野村の業務運営および経営成績の報告は、営業部門、インベストメント・マネジメント部門、ホールセール部門の区分で行われており、この部門体制に基づき、事業別セグメント情報を開示しております。2024年4月1日付けで、ビジネスの実態に合わせて「営業部門」を「ウェルス・マネジメント部門」に改称いたしました。 経済的ヘッジ取引に関連する損益、一部の営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社利益(損失)の持分額、本社勘定、その他財務調整項目等は、事業セグメント別情報においては、“その他”として表示されています。営業目的で保有する投資持分証券評価損益の一部は、セグメント情報には含まれておりません。なお、事業セグメント別経営成績については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 20 セグメントおよび地域別情報」にも記載がございます。また、そこでは、連結財務諸表数値と事業セグメント別数値の調整計算についても説明がありますのでご参照ください。 営業部門 営業部門の経営成績 (単位:百万円) 2022年3月期 2023年3月期増減率(%) 2024年3月期増減率(%)金融収益以外の収益324,642 297,496△8.4 395,90033.1純金融収益3,343 2,695△19.4 6,461139.7収益合計(金融費用控除後)327,985 300,191△8.5 402,36134.0金融費用以外の費用268,745 266,695△0.8 279,6824.9税引前当期純利益59,240 33,496△43.5 122,679266.2 2024年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、主に委託・投信手数料の増加により、全体として増加しました。 2023年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、主に委託・投信手数料の減少により、全体として減少しました。 2024年3月期の金融費用以外の費用は、収益増加にともなう賞与の増加により、増加しました。 2023年3月期の金融費用以外の費用は、収益減少にともなう賞与の減少により、減少しました。 下の表は、2023年3月期、2024年3月期の商品別の金融収益以外の収益構成の内訳を示しています。 (単位:百万円) 2023年3月期 2024年3月期増減率(%)委託・投信募集手数料112,455 173,46154.2 株式委託手数料50,901 80,23957.6 投資信託募集手数料30,183 54,85781.7 その他手数料31,371 38,36522.3トレーディング損益44,171 55,91926.6投資銀行業務手数料16,184 23,06642.5投資信託残高報酬108,085 124,44615.1その他16,601 19,00814.5金融収益以外の収益297,496 395,90033.1 2024年3月期の委託・投信募集手数料は、主に株式委託手数料、投資信託募集手数料の増加により増加しました。2024年3月期のトレーディング損益は、好調な株式市場を背景に増加しました。 営業部門顧客資産残高 下の表は、2023年3月末、2024年3月末の営業部門顧客資産残高と、その内訳を示しています。営業部門顧客資産には営業部門の顧客の預かり資産および変額年金保険商品に関連する資産が含まれています。 (単位:兆円) 2023年3月31日期首顧客資産残高 資金流入額 資金流出額 時価評価損益 期末顧客資産残高株式77.5 21.4 △18.6 △2.3 78.0債券17.7 15.5 △22.9 8.2 18.5株式型投資信託10.8 2.8 △2.6 △0.8 10.2債券型投資信託7.5 0.1 △0.7 △0.1 6.8外国投資信託1.3 0.1 △0.1 △0.1 1.2その他7.3 1.0 △0.5 △0.3 7.5合計122.1 40.9 △45.4 4.6 122.2 (単位:兆円) 2024年3月31日期首顧客資産残高 資金流入額 資金流出額 時価評価損益 期末顧客資産残高株式78.0 31.1 △27.0 20.4 102.5債券18.5 13.6 △18.4 6.4 20.1株式型投資信託10.2 3.8 △3.6 2.9 13.3債券型投資信託6.8 0.8 △0.3 0.0 7.3外国投資信託1.2 0.5 △0.1 0.2 1.8その他7.5 1.8 △0.8 0.1 8.6合計122.2 51.6 △50.2 30.0 153.6 2024年3月末の営業部門顧客資産残高は、2023年3月末に比べ増加しました。2024年3月末の株式関連資産残高は、資金が流入し24.5兆円増加し、102.5兆円となりました。また、2024年3月末の投資信託残高は、2023年3月末の18.2兆円から4.2兆円増加し、22.4兆円となりました。 2023年3月末の営業部門顧客資産残高は、2022年3月末に比べ増加しました。2023年3月末の株式関連資産残高は、資金が流入し0.5兆円増加し、78.0兆円となりました。また、2023年3月末の投資信託残高は、2022年3月末の19.6兆円から1.4兆円減少し、18.2兆円となりました。インベストメント・マネジメント部門 インベストメント・マネジメント部門の経営成績 (単位:百万円) 2022年3月期 2023年3月期増減率(%) 2024年3月期増減率(%)金融収益以外の収益129,848 120,096△7.5 149,57524.5純金融収益18,145 8,463△53.4 4,568△46.0収益合計(金融費用控除後)147,993 128,559△13.1 154,14319.9金融費用以外の費用76,478 85,06411.2 93,94510.4税引前当期純利益71,515 43,495△39.2 60,19838.4 2024年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、主にアメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の増加およびアセットマネジメント・ビジネスにおける手数料の増加により増加しました。 2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の減少により減少しました。 2024年3月期の金融費用以外の費用は、主に賞与による人件費の増加により増加しました。 2023年3月期の金融費用以外の費用は、主に為替の変動およびインフレにともなう費用の増加により増加しました。 インベストメント・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)の内訳は以下のとおりです。 (単位:百万円) 2022年3月期 2023年3月期増減率(%) 2024年3月期増減率(%)事業収益(1)119,920 120,6640.6 137,24913.7投資損益(2)28,073 7,895△71.9 16,894114.0収益合計(金融費用控除後)147,993 128,559△13.1 154,14319.9 (1) 投資損益を除く部門収益であり、主にアセット・マネジメント事業からの収益(アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益を除く)、野村バブコックアンドブラウン株式会社の航空機リース関連事業収益およびプライベート・エクイティ等の投資事業における管理報酬により構成(2) 部門収益のうち投資に起因するものであり、主にアメリカン・センチュリー・インベストメンツ社への投資、プライベート・エクイティ等の投資事業における投資にかかる損益(公正価値の変動、資金調達コストおよび配当金を含む)により構成 下の表は、2023年3月末、2024年3月末のインベストメント・マネジメント部門の運用会社別の運用資産残高を示しています。 (単位:十億円) 2023年3月31日 期首運用資産残高 資金流入額 資金流出額 時価評価損益 期末運用資産残高野村アセットマネジメント69,592 23,168 △24,762 1,094 69,092ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント他3,867 1,040 △1,074 35 3,868単純合計73,459 24,208 △25,836 1,129 72,960グループ運用会社間の重複資産△5,546 △1,409 1,382 △115 △5,688合計67,913 22,799 △24,454 1,014 67,272 (単位:十億円) 2024年3月31日 期首運用資産残高 資金流入額 資金流出額 時価評価損益 期末運用資産残高野村アセットマネジメント69,092 31,019 △28,614 19,514 91,011ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント他3,868 1,799 △1,098 1,019 5,588単純合計72,960 32,818 △29,712 20,533 96,599グループ運用会社間の重複資産△5,688 △2,061 1,680 △1,529 △7,598合計67,272 30,757 △28,032 19,004 89,001 2024年3月期の運用資産残高は、株価の上昇による時価要因に加え、幅広い商品への資金流入により増加しました。 2023年3月期の運用資産残高は、2022年3月末に比べ横ばいでした。 下の表は、2022年、2023年、2024年それぞれの3月末時点の、野村アセットマネジメントの日本の公募投資信託市場におけるシェア(純資産残高ベース)を示しています。 2022年3月31日 2023年3月31日 2024年3月31日公募投資信託合計27% 27% 26%株式型投資信託25% 25% 25%公社債型投資信託44% 44% 44%(出所)一般社団法人投資信託協会の統計データを基に作成 2024年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、62.9兆円と、対前期比15.0兆円、31%増加しました。その内訳は、1.5兆円の資金流入と13.4兆円の運用増によるものです。主に「TOPIX連動型上場投信」、「日経225連動型上場投信」といった上場投資信託で残高が増加しました。 2023年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、48.0兆円と、2022年3月末に比べ横ばいでした。 ホールセール部門 ホールセール部門の経営成績 ホールセール部門の経営成績はグローバル・マーケッツとインベストメント・バンキングにより構成されています。また、グローバル・マーケッツはフィクスト・インカムとエクイティにより構成されています。 (単位:百万円) 2022年3月期 2023年3月期増減率(%) 2024年3月期増減率(%)金融収益以外の収益617,227 809,68131.2 875,6648.1純金融収益85,828 △37,301- △9,517-収益合計(金融費用控除後)703,055 772,3809.9 866,14712.1金融費用以外の費用628,563 743,01118.2 812,2369.3税引前当期純利益74,492 29,369△60.6 53,91183.6 2024年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。グローバル・マーケッツにおけるフィクスト・インカムは、スプレッド・プロダクトにより増収となりました。グローバル・マーケッツにおけるエクイティは、すべての地域でエクイティ・プロダクトが増収、またエグゼキューションは市場出来高の増加を背景に日本が好調で、増収となりました。またインベストメント・バンキングは、日本ビジネスを中心に増収となりました。 2023年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。グローバル・マーケッツにおけるフィクスト・インカムは、マクロ・プロダクトを中心に好調で増収となりました。グローバル・マーケッツにおけるエクイティは、米国顧客との取引に起因する損失が剥落し増収となりました。またインベストメント・バンキングは、引受・売出手数料の減少により減収となりました。 2024年3月期の金融費用以外の費用は、円安による海外拠点の円建て費用の増加および人件費の増加、そして株価の上昇にともなう繰延報酬の増加等により、前期から増加しました。 2023年3月期の金融費用以外の費用は、円安による海外拠点の円建て費用の増加および人件費の増加により、前期から増加しました。 次の表は、ホールセール部門における収益合計(金融費用控除後)における、グローバル・マーケッツおよびインベストメント・バンキングの内訳表であります。 (単位:百万円) 2022年3月期 2023年3月期増減率(%) 2024年3月期増減率(%)ホールセール部門 収益合計(金融費用控除後): グローバル・マーケッツ556,417 656,29818.0 707,1137.7インベストメント・バンキング146,638 116,082△20.8 159,03437.0収益合計(金融費用控除後)703,055 772,3809.9 866,14712.1 グローバル・マーケッツ 野村は長年にわたって主に国内外の機関投資家を対象として、債券・株式や為替およびそれらのデリバティブ商品のセールスとトレーディングをグローバルに展開してきました。近年では、より多様化・複雑化するお客様からのご要望にお応えするため、トレーディング能力と商品組成能力の強化に取り組み、国内外の機関投資家のみならず、ウェルス・マネジメント部門およびインベストメント・マネジメント部門にさまざまな高付加価値商品を提供すると同時に、インベストメント・バンキングとも協働し、付加価値の高いソリューションを提供しています。また、国内外の機関投資家に加えて、国内の富裕層・諸法人や地域金融機関、国内外の政府機関や金融機関・事業法人などと強固な関係を構築し、ビジネスを拡大しております。これにより、お客様がどのような商品を求めているかを把握し、そのニーズに合わせた商品を国内外のプロダクトラインにおいて迅速に開発・提供することが可能となっております。 2024年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2024年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2023年3月期の4,024億円から4,203億円となりました。スプレッド・プロダクトを中心に好調で前期比で増収となりました。エクイティの2024年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2023年3月期の2,539億円から2,868億円となりました。すべての地域のエクイティ・プロダクトが好調で増収となりました。 2023年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2022年3月期の3,269億円から4,024億円となりました。マクロ・プロダクトを中心に好調で前期比で増収となりました。エクイティの2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2022年3月期の2,295億円から2,539億円となりました。米国顧客との取引に起因する損失の剥落を主因として増収となりました。 インベストメント・バンキング 野村は、引受け、アドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しています。アジア、欧州、米国といった世界の主要な金融市場で、債券、株式、その他の引受業務を行っており、日本国内、クロスボーダーおよび海外のM&A/財務コンサルティング業務を継続的に強化してきました。また、グローバルでのオーダーメイド型サービス提供による、顧客との強固で長期的な関係を構築することを追求しております。 2024年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、引受・売出手数料の増加により前期比で増収となりました。 2023年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、引受・売出手数料の減少により前期比で減収となりました。 その他の経営成績 その他の経営成績には、経済的ヘッジ取引に関連する損益、一部の営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社損益の持分額、本社勘定、その他の財務調整が含まれております。詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 20 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。 その他の経営成績における税引前当期純利益は、2022年3月期、2023年3月期、それぞれ158億円、734億円、2024年3月期は、前年度に計上した株式会社野村総合研究所普通株式の売却関連利益約280億円の剥落もあり、474億円となりました。 2024年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失121億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益72億円がその他の業績に含まれております。 2023年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失54億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益47億円がその他の業績に含まれております。 2022年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する利益67億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する損失12億円がその他の業績に含まれております。 地域別経営成績 地域別の収益合計(金融費用控除後)、税引前当期純利益(損失)については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 20 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。 キャッシュ・フロー 「(5)流動性資金調達と資本の管理」をご参照ください。 (2)トレーディング業務の概要トレーディング目的資産負債 トレーディング目的資産および負債の内訳については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2 公正価値測定 および 3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。 トレーディングのリスク管理 野村はトレーディング業務における市場リスクの測定方法として、バリュー・アット・リスク(VaR)を採用しております。(1)VaRの前提・信頼水準:95%・保有期間:1日・商品の価格変動等を考慮 野村は、開示に使用する保有期間1日のVaRの信頼水準は95%を使用しております。2024年3月期の保有期間1日のVaRデータは以下のとおりです。 (2)VaRの実績 2023年3月31日(億円)2024年3月31日(億円)株式関連3333金利関連4726為替関連1421小計9480分散効果△32△25バリュー・アット・リスク(VaR)6255 2024年3月期最大値(億円)最小値(億円)平均値(億円)バリュー・アット・リスク(VaR)684356 (3)重要な会計方針および見積もり 重要な会計方針は当社の連結財務諸表の作成に最も重要な影響を与える会計方針であり、適用にあたって経営者による会計上の見積もりに関する最も困難かつ主観的で複雑な判断を必要とするものを指します。見積もりはその性質上、経営者の判断を必要とする仮定やその時点で利用可能な情報の範囲に依拠しています。将来の実績はこれらの見積もりと乖離する可能性があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。 下表は、重要な会計方針やこれらの会計方針の適用に含まれる重要な会計上の見積もり、見積もりの要素、経営者による仮定と判断、当連結会計年度における見積もりおよび仮定の変更の影響について当期特に重要なものを要約したものです。適用された重要な会計方針および重要な会計上の見積もりの詳細については「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][連結財務諸表注記]1 会計処理の原則および会計方針の要旨」および下表に含まれる各連結財務諸表注記をご参照ください。 重要な会計方針重要な会計上の見積もり経営者による重要な主観的仮定または判断当連結会計年度における見積もりおよび仮定の変更の影響 金融商品の公正価値評価 連結財務諸表注記 2 公正価値測定 金融商品の公正価値の見積もり 野村が保有する金融商品は主に公正価値で評価されております。これらの金融商品の公正価値は観察可能な市場価格のみならず、評価手法の選択や仮定といった判断をともなう要素の影響を受けます。 この判断は、特定の金融商品にかかる未実現損益の金額および計上時期に影響を与えます。 適切な評価手法の選択・活発な市場において観察可能な市場価格によって公正価値評価される金融商品については、野村は一般的に、当該金融商品の公正価値を決定するため、レベル1のインプットとして当該価格を使用します。 ・このような観察可能な価格が入手できない金融商品については、レベル2もしくは3のインプットにより公正価値が測定されます。異なる評価手法および仮定が適用された場合、公正価値の測定結果は異なりうるため、適切な評価手法の選択と評価手法に適用される仮定の検証に重要な判断が含まれます。評価手法を選択する際には、これらの金融商品が取引される特定の状況や市場、信頼性のあるインプットの利用可能性、関連する観察可能なインプットの使用の最大化、観察不能なインプットの使用の最小化などのさまざまな要因が考慮されます。 レベル3インプットの重要性・市場で観察不能なインプットが用いられる、公正価値レベル3の金融商品の公正価値評価は、より多くの判断を必要とします。 ・これらの金融商品の公正価値は、流動性、経済環境および特定の金融商品に影響を与えるリスクに対する認識を含む、市場参加者が価格を決定する際に使用する仮定についての経営者の判断に基づいて決定されます。 当社の評価手法および公正価値の階層における金融商品の分類に関する方針については、連結財務諸表注記2 「公正価値測定」を参照してください。 当連結会計年度において公正価値レベル3の金融商品(デリバティブ負債相殺後資産)の公正価値は前連結会計年度の868十億円から1,041十億円に増加しました。毎期経常的に公正価値評価される資産の合計に対するレベル3に分類された資産の比率は、2024年3月31日現在で6%(2023年3月31日現在で5%)となりました。 レベル3インプットに関する定性的、定量的な情報およびそれらが公正価値測定に与える影響についての詳細については連結財務諸表注記2 「公正価値測定」を参照してください。 一定の金融商品および取引先に対するエクスポージャー 市場環境は、野村が一定のエクスポージャーを有するさまざまな金融商品に影響を与え続けています。また、野村は通常の業務においても、特別目的事業体などの取引先に対し、一定のエクスポージャーを有しております。 レバレッジド・ファイナンス 野村は、顧客にレバレッジド・バイアウト、レバレッジド・バイインにかかる貸付金を提供しています。通常このような資金提供はコミットメントを通じて行われることが多く、野村は実行済および未実行コミットメントの双方においてエクスポージャーを有しております。次の表は、2024年3月31日現在において未実行コミットメントがあるレバレッジ・ファイナンスのエクスポージャーを実行済および未実行分に分けて、対象企業の地域別に表しております。 (単位:百万円) 実行済残高 未実行コミットメント残高 合計欧州16,707 168,259 184,966米州27,951 287,623 315,574アジア・オセアニア21,616 29,870 51,486合計66,274 485,752 552,026 特別目的事業体 野村が行う特別目的事業体との関与は、これらの事業体を組成すること、またマーケットの状況に応じて、これらの事業体が発行する負債証券および受益権を引受け、売出し、販売することが含まれております。また野村は通常の証券化およびエクイティデリバティブ業務の中で、これらの事業体に対する金融資産の譲渡、これらの事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。さらに野村は、マーケットメーク業務、投資業務、組成業務に関連し、特別目的事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。特別目的事業体とのそのほかの関与には、債務保証やデリバティブ契約などが含まれます。 変動持分事業体への関与に関するより詳しい説明は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 6 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。 新しい会計基準の公表 「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 1 会計処理の原則および会計方針の要旨:会計方針の変更および新しい会計基準の公表」をご参照ください。 (4)繰延税金資産の状況 1)繰延税金資産・負債の主な発生原因 2024年3月31日現在、連結貸借対照表上、その他の資産-その他として記載されている繰延税金資産、およびその他の負債として記載されている繰延税金負債の内訳は、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 2024年3月31日繰延税金資産 減価償却、その他の償却、および固定資産の評価41,883子会社・関連会社株式投資7,364金融商品の評価差額136,834未払退職・年金費用11,837未払費用および引当金83,418繰越欠損金477,358リース負債48,951その他20,811繰延税金資産小計828,456控除:評価性引当金△595,668繰延税金資産合計232,788繰延税金負債 子会社・関連会社株式投資109,611金融商品の評価差額111,175海外子会社の未分配所得2,257固定資産の評価22,945使用権資産43,443その他4,404繰延税金負債合計293,835繰延税金資産(負債)の純額△61,047 2)繰延税金資産の算入根拠 繰延税金資産は、米国会計基準に基づき、将来において実現すると予想される範囲内で認識しており、将来において実現が見込まれない場合には評価性引当金を計上しております。なお、将来の課税所得の見積期間は納税単位ごとに個別に判断し、適正な期間見積もっております。 3)過去5年間の課税所得および見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額 当社は、2022年4月1日より日本にて連結納税制度からグループ通算制度へ移行し、野村證券を含む主要子会社は当制度に含まれております。上記1)に記載されている繰延税金資産のうち、日本の通算グループにおける繰延税金資産(負債)の純額は△71,939百万円となっており、野村の連結財務諸表における繰延税金資産(負債)の純額の大部分を占めております。 以下の過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)では、2021年度以前についてはグループ通算制度への移行前の連結納税グループの合算数値を記載し、2022年度については通算グループの合算値を記載しております。 過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値) (単位:百万円) 2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度日本の通算グループ(連結納税グループ)合算値61,984134,721214,001233,50886,143 (注) 法人確定申告書上の繰越欠損金控除前の課税所得であり、その後の変動は反映しておりません。 見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額 日本の通算グループについては、5年を課税所得見積もり期間とし、見込み税引前当期純利益合計および見込み調整前課税所得合計はそれぞれ、571,236百万円、702,410百万円となっております。 (5)流動性資金調達と資本の管理資金調達と流動性管理 概況 野村では、資金流動性リスクを野村グループの信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクと定義しております。このリスクは、市場において有担保あるいは無担保調達が不可能になる、野村の信用格付が低下する、予定外の資金需要の変化に対応できない、迅速かつ最小の損失での資産の流動化ができない、あるいは、グループ会社間の自由な資金移動が妨げられる規制資本上の制約に関する変化等、市場全体の事情や野村固有の事情により発生します。資金流動性リスク管理については、経営会議が定める流動性リスク・アペタイトに基づくことを基本方針としております。野村の資金流動性管理は、市場全体が流動性ストレス下にある場合において、またそれに加えて野村の信用リスクに過度なストレスを想定した場合においても、それぞれ1年間、および30日間にわたり、無担保による資金調達が困難な場合においても、保有資産を維持しつつ業務を継続することができる十分な資金流動性を常に確保することを主な目的としております。また、金融庁の定める流動性カバレッジ比率および安定調達比率(「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性のうち流動性にかかる健全性の状況を表示する基準」)の充足が求められております。 野村は、主な流動性維持の目的を達成可能とする、さまざまな資金流動性リスク管理フレームワークを定めております。このフレームワークには、(1)余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持、(2)流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用、(3)資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散、(4)野村グループ各社に対する与信枠の管理、(5)流動性ストレステストの実行、(6)コンティンジェンシー・ファンディング・プランに関することが含まれております。 経営会議は、野村の資金流動性に関する重要事項についての決定権を有しており、財務統括責任者(以下「CFO」)は、経営会議の決定に基づき、野村の資金流動性管理に関する業務を執行する権限と責任を有しております。 1.余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持 野村は、野村グループ内で資金流動性を有効に活用することを可能とするため、野村グループ各社の余剰資金の集中管理を行っております。資金の使用に関しても、野村では、無担保で提供される資金を一元的に管理しており、内部で上限を設けております。この上限は、CFOによって決定され、経営会議において各部門へ配分が行われます。ファイナンス部門において、資金流動性の管理を行う組織であるグローバル・トレジャリーは、使用状況についてモニタリングを行い、経営会議へ報告しております。 また、グループ会社間の資金移動を円滑なものにするため、規制対象ブローカーあるいは銀行における資金調達は限定的にしか行っておりません。野村は、無担保による資金調達の当社あるいは主要規制外発行体への集中を積極的に行っております。このことにより、野村は調達コストを最小化し、投資家からの認知度を高め、さまざまなグループ会社間の資金供給のフレキシビリティを高めております。 潜在的な資金流動性必要額を考慮し、十分な資金流動性を確保するために、野村は、現金ならびに売却や担保提供することで流動性資金を供給することができる流動性の高い担保未提供資産等で構成される流動性ポートフォリオを維持しており、グローバル・トレジャリーにて他の資産と区別して管理をしております。流動性ポートフォリオの金額は、2024年3月31日現在、8兆4,180億円となっており、ストレスシナリオを考慮した資金流動性必要額を満たしております。 以下の表は2023年3月31日、2024年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳をアセットタイプ別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。 (単位:十億円) 2023年3月31日年間平均2023年3月31日2024年3月31日年間平均2024年3月31日現預金(1)3,155.53,229.33,741.83,629.9国債4,073.83,984.04,029.44,348.6その他(2)416.9441.0423.4439.5流動性ポートフォリオ7,646.27,654.38,194.68,418.0(1)現預金には、現金、現金同等物および必要に応じて即時利用可能な中央銀行、市中銀行への預金を含みます。(2)その他にはMMF、米国政府機関債などのアセットタイプが含まれています。 以下の表は2023年3月31日、2024年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳を通貨別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。 (単位:十億円) 2023年3月31日年間平均2023年3月31日2024年3月31日年間平均2024年3月31日円1,613.61,852.01,964.81,702.3米ドル4,326.03,953.34,341.14,601.7ユーロ869.3964.5933.21,023.5英国ポンド505.7522.4549.4659.8その他(1)331.6362.1406.1430.7流動性ポートフォリオ7,646.27,654.38,194.68,418.0(1)その他には豪ドル、カナダドル、スイスフランなどの通貨が含まれています。 野村は流動性ポートフォリオの要件をグローバル基準、および各主要オペレーティングエンティティによって評価しています。野村は、主に当社および野村證券株式会社(以下「NSC」)、他の主要なブローカーディーラーおよび銀行子会社で流動性ポートフォリオを管理しています。流動性ポートフォリオの保有量とエンティティを決定する際に、野村グループ内で自由に流動性を移す能力に影響を及ぼすかもしれない法規制、税制を考慮しています。規制の制限の詳細については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 17 法的規制」を参照してください。 以下の表は2023年3月31日、2024年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオをエンティティ別に表示したものです。 (単位:十億円) 2023年3月31日2024年3月31日当社およびNSC(1)1,806.41,495.2他の主要なブローカーディーラー3,012.63,592.5銀行子会社(2)1,178.61,319.9その他の関連会社1,656.72,010.4流動性ポートフォリオ7,654.38,418.0(1)NSCは日本のブローカーディーラーであり、日本銀行に口座を維持し、日本銀行のロンバード貸付制度を直接利用することにより、同日資金調達が可能です。当社における余剰流動性資金は必要な時に即時解約可能な短期社内貸付により、NSCに貸し出しております。(2)ノムラ・バンク・インターナショナル PLC(以下「NBI」)、ノムラ・シンガポールLIMITEDおよびノムラ・バンク・ルクセンブルク S.A. 2.流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用 流動性ポートフォリオに加えて、主にトレーディング資産で構成される有担保資金調達の際の追加担保として使用可能な担保未提供資産を2024年3月31日現在、3兆1,756億円所有しております。グローバル・トレジャリーは、その他担保未提供資産のモニタリングを行っており、流動性ストレス下においては、当該資産を現金化し、野村グループの流動性供給のために利用することができます。なお、流動性ポートフォリオとその他担保未提供資産の合計は、11兆5,936億円となりました。これは、野村の1年以内に満期の到来する無担保債務の合計に対して、292.7%に相当します。 (単位:十億円) 2023年3月31日2024年3月31日その他担保未提供資産2,842.53,175.6流動性ポートフォリオ7,654.38,418.0合計10,496.811,593.6 3.資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散 野村は、保有資産を継続して維持していくうえで必要となる長期性資金を確保するために、長期無担保債務の額、および株主資本を十分な水準に維持するように努めております。また、無担保調達資金の借換えリスクを低減させるために、資金調達を行う市場やプロダクト、投資家、通貨および返済期限の分散にも努めております。 野村は、さまざまな種類の債券を発行することによって、資金調達手段の分散を図っております。これらには、仕組ローンや仕組債が含まれ、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしたリターンが付いております。野村は、資金調達方法の多様性が増すように仕組ローンや仕組債を発行しております。これらについて、野村は、通常、デリバティブや原資産に対する支払い義務をヘッジすることにより、無担保調達債務と同様の効果を得ております。なお、日本円以外の長期債務比率は、2023年3月31日現在55.9%から2024年3月31日現在59.4%に増加しております。 3.1 短期無担保債務 野村の短期無担保債務は、短期銀行借入(長期銀行借入のうち、満期まで1年未満のものを含む)、その他の短期借入、コマーシャル・ペーパー、銀行業務受入預金、譲渡性預金、および償還まで1年以内の社債で構成されております。銀行業務受入預金および譲渡性預金は、銀行子会社の預金および譲渡性預金を表しております。短期無担保債務には、長期無担保債務のうち残存期間が1年以内となったものを含んでおります。 以下の表は、2023年3月31日、2024年3月31日現在の野村の短期無担保債務明細を表示したものです。 (単位:十億円) 2023年3月31日2024年3月31日 短期無担保債務3,411.23,961.4 短期銀行借入203.3177.5 その他の短期借入256.8356.0 コマーシャル・ペーパー300.0224.8 銀行業務受入預金1,705.01,880.9 譲渡性預金224.2232.4 償還まで1年以内の社債721.91,089.8 3.2 長期無担保債務 野村は、常に十分な長期性資金を確保し、適切なコストでの調達および適切な長期債務償還プロファイル維持を満たすために、満期や通貨の分散を行い定期的に長期性資金の調達を行っております。 野村の長期無担保債務には、米国発行登録および登録ミディアム・ターム・ノートプログラム、ユーロ・ミディアム・ターム・ノートプログラム、国内発行登録およびさまざまな発行プログラムより発行される普通社債や劣後社債が含まれております。 日本のグローバルな金融サービスグループとして、野村は、世界中のさまざまな市場と資金調達センターへのアクセスを持っております。主として当社、NSC、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンスN.V.、NBI、ノムラ・インターナショナル・ファンディング Pte. Ltd.、および野村グローバル・ファイナンス株式会社が外部からの借入、債券発行その他資金調達を行っております。使用通貨や保有資産の流動性に合わせた資金調達や、必要に応じた為替スワップの使用により、調達構造の最適化を図っております。 野村は、市場や投資家のタイプごとに、効率的かつ十分に多様化された資金調達を行うために、さまざまなプロダクトや通貨による調達をしております。野村の無担保債務の大部分は、発行コストの上昇や債務償還満期を早める財務制限条項(格付、キャッシュ・フロー、決算あるいは財務レシオ)は、付されておりません。 以下の表は、2023年3月31日、2024年3月31日現在の野村の長期無担保債務明細を表示したものです。 (単位:十億円) 2023年3月31日2024年3月31日 長期無担保債務8,770.710,254.9 長期銀行業務受入預金208.8243.0 長期銀行借入3,004.93,408.4 その他の長期借入265.5292.3 社債(1)5,291.56,311.2(1)編纂書810「連結」に定義される変動持分事業体の要件を満たす“連結変動持分事業体(VIE)が発行する社債”と編纂書860「譲渡とサービシング」(以下「編纂書860」)により、会計上担保付金融取引として取り扱われる譲渡取消にともなう担保付借入を含んでおりません。 3.3 償還プロファイル プレーン・バニラ物(プレーン・バニラ債および長期借入金)の調達に関しては、平均残存年数が3年以上となるように努めており、2024年3月31日現在の平均残存年数(残存期間1年超のものの平均)は、3.5年となっております。また、仕組ローンや仕組債については、その大部分が、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしており、これらの償還確率は、内部数理モデルによって継続的に評価され、グローバル・トレジャリーによりモニターされております。予定された満期日以前に償還される可能性のあるものについては、野村の内部ストレスオプション評価モデルにより、評価されております。このモデルは、ストレス市場環境下で、いつその債券が償還される可能性があるかを評価します。下図は、このモデルにおいて評価された野村の長期債券と長期借入の満期の分散状況を示したものです。 上記のモデルに基づき評価された仕組ローンや仕組債の平均残存期間(残存期間1年超のものの平均)は、2024年3月31日現在で、9.0年となっており、プレーン・バニラ物を合わせた長期債務全体の平均残存期間(残存期間1年超のものの平均)は、2024年3月31日現在で、6.6年となっております。 3.4 有担保資金調達 野村は、トレーディング業務のための資金調達活動は、担保付借入、レポ契約、日本の現先レポ取引によって、通常行っております。これらの有担保資金調達は、無担保資金調達に比べコストが低く、格付の影響を受けにくいものと考えております。有担保資金調達は、担保資産の質や市場環境の影響を受けます。流動性の高い資産を担保として用いる場合は短期の契約で資金調達を行う一方で、流動性の低い資産を担保として用いる場合は、契約期間の長期化に努めております。野村は、有担保資金調達にともなう資金流動性リスクを低減させるために、カウンターパーティのグローバルな分散、担保の種類の多様化にも努めております。また、流動性の低い資産を用いた短期有担保資金調達の借り換えが難しくなる場合のリスクに備えて、流動性ポートフォリオを保有しております。詳細は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表注記] 5 担保付取引」をご参照ください。 4.野村グループ各社に対する与信枠の管理 野村は、資金調達の安定性を確保するために、金融機関から野村グループに対する与信枠の維持、拡大に努めております。また、資金流動性リスク管理の一環として、野村は、借入の契約満期日が一時期に集中しないように分散させております。 5.流動性ストレステストの実行 野村は、先に述べた流動性管理方針に沿うよう、一定のストレスシナリオ下でのキャッシュ流出をシミュレートする内部モデルに基づいて流動性ポートフォリオをモニターしております。 資金流動性必要額は、さまざまなストレスシナリオ下において、異なるレベルで、さまざまな時間軸に沿って見積もられております。そこでは、親会社や |
※本記事は「野村ホールディングス株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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