会社名 | 三菱商事株式会社 |
業種 | 卸売業 |
従業員数 | 連62062名 単4477名 |
従業員平均年齢 | 42.4歳 |
従業員平均勤続年数 | 17年 |
平均年収 | 20333662円 |
1株当たりの純資産 | 1004.57円 |
1株当たりの純利益(連結) | 236.97円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 100円 |
配当性向 | 49.7% |
株価収益率(PER) | 13.05倍 |
自己資本利益率(ROE)(単体) | 20.3% |
営業活動によるCF | 16583億円 |
投資活動によるCF | ▲2739億円 |
財務活動によるCF | ▲15307億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | -円 |
販売費および一般管理費※1 | 793.98億円 |
株主資本比率※2 | 46% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】1. 「経営戦略2027 -総合力をエンジンに未来を創る-」当社は、2025年4月に、新しい経営戦略として「経営戦略2027-総合力をエンジンに未来を創る-」を策定・公表しました。当社を取り巻く事業環境は、かつてないほど地政学リスク、経済情勢リスクが複雑に絡み合う中、地域特性に応じた脱炭素の現実解を探る動き、AIの急速な発展に伴う様々な変化もあり、政治・経済・環境・技術等あらゆる面で不確実性が一段と高まっています。このような不確実性の高い事業環境において、変化によるリスクと機会を踏まえて柔軟に事業戦略を見直しつつ、既存事業の収益基盤の更なる強化と案件創出に取り組むべく、当社の中長期的な経営方針を、今回の「経営戦略2027」としてまとめました。 (1)経営戦略■目指す姿多様性に裏打ちされた「総合力」を事業環境に応じて発揮することで、最適な事業ポートフォリオを構築し、持続的な成長と企業価値向上を実現する企業。 総合力:多様な事業をグローバルに展開、多彩・多才な人材がオペレーションに深く関与することで、信用・信頼を築き上げ、幅広い産業知見・深いインサイトを蓄積し、時代の変化を先取りして柔軟に事業戦略を進化させる力。 ■定量目標成長性を測る新たな中核指標として「営業収益CF:平均成長率10%以上」、資本効率を意識した経営の継続・強化指標として「ROE:2027年度に12%以上」を目標に掲げ、成長性と効率性の同時実現を目指します。 ■財務健全性「Net Debt Equity Ratio:0.6倍」を上限目処に設定し、財務健全性を維持しながら、戦略的にレバレッジを活用する方針とします。 ■株主還元累進配当を維持すると共に、機動的に自己株式取得を行うとする基本方針を維持します。 (2)経営戦略2027実現のための価値創造メカニズム従来の循環型成長モデルを「Enhance(磨く)」「Reshape(変革する)」「Create(創る)」に再定義し、当社の競争優位性である総合力と、それぞれを強化する施策の掛け合わせにより、中長期的な成長を実現します。 (3)資金配分戦略2027年度までの3年間で、約1兆円の更新投資及び約3兆円以上の拡張・新規投資を計画します。また、キャッシュフローの状況により追加配分枠が生じた場合は、投資パイプライン等を踏まえ、投資又は追加還元への配分を検討します。 2. 当連結会計年度のセグメント別の事業環境① 地球環境エネルギーグループ主要商材であるLNGの世界需要は微増し、2024年の需要は約4.1億トンとなりました。なお、アジアのLNGスポット価格は、ウクライナや中東等での地政学リスクの高まりや、各地域における冬場の気温要因(欧州は厳冬・アジアは暖冬等)により、百万Btu(英国熱量単位)当たり9米ドル台から17米ドル台の間でボラティリティ高く推移しました。原油価格(Brent)は、年度初めには1バレル80米ドル台後半で推移しましたが、世界経済の減速懸念等を背景に当連結会計年度末時点では1バレル70米ドル台中盤まで下落しました。 ② マテリアルソリューショングループ世界経済の不透明感や各種素材の主要市場である中国経済の減速、需給ギャップを埋める輸出増加の影響を受け、厳しい事業環境が続きました。特に鉄鋼業界では、国内需要が弱含みで推移する一方、中国からの鋼材輸出が高水準で推移したことにより、アジアを中心として鋼材市況は低調に推移しました。一方、北米地域では高金利政策の影響が懸念されましたが、建設・インフラ分野向け等を中心に需要は引き続き底堅く推移しました。 ③ 金属資源グループ主力事業の一つである原料炭については、中国の不動産セクターを中心に鋼材需要が減少した中で、鋼材の生産規模が維持されたことで、安価な鋼材がインド・東南アジアに輸出され、鋼材市況の値崩れ及び原料炭市況の低迷に繋がりました。もう一つの主力事業である銅については、中国製錬会社による減産計画の発表や銅大手資源メジャー再編の兆候を受けた投機資金の流入等を主因に5月に史上最高値を付けましたが、実需の低迷や投機筋の利益確定等に伴って価格は反転し、2025年1月以降は米国関税政策に左右される形で乱高下しました。 ④ 社会インフラグループ米国不動産事業では、米国利下げの実施があったものの、市場全体の取引量の十分な回復には至っておらず厳しい事業環境が続いています。一方、データセンターにおいてはクラウドの普及や生成AI需要に伴い、市場拡大が見込まれており、世界最大市場である米国市場への参入を実現しました。産業機械分野では、底堅い設備投資需要や円安の影響等を受けて、事業環境は堅調に推移しました。 ⑤ モビリティグループ世界的な金利の高止まり、特にアセアンにおける実体経済の軟化や厳格なファイナンス(自動車ローン)審査の継続等により自動車市場は低迷し、競合各社が購買力のある顧客を巡り値引き競争が激化する等、厳しい事業環境にありました。その中で、アセアンを始めとする既存の自動車バリューチェーン事業ではデジタル活用による顧客体験の質向上・ブランドロイヤリティ強化等を推進し、インド・日本ではモビリティサービス事業の構築を推進しました。 ⑥ 食品産業グループ穀物価格の高騰は落ち着いてきている一方、円安等の影響で国内の飼料価格の高値は継続しており、国内畜産関連事業の収益を圧迫しました。鮭鱒養殖事業ではチリでのコスト改善が進んだ一方、ノルウェーにて病害が発生するなど、厳しい状況にありました。食料・バイオ燃料事業においては、需要がグローバルベースで中長期的に増加する見通しであり、食料安定供給体制の強化やバイオ燃料の供給網構築等を目指し、世界最大級の農産物事業会社であるADM(Archer-Daniels-Midland Company)と戦略的業務提携に関わる覚書を締結しました。 ⑦ S.L.C.グループ国内小売・流通事業に関しては、原材料価格の高騰、インフレ、賃金上昇等のコスト圧力に対する影響等はあったものの、消費者ニーズを踏まえたマーケティング施策による売上拡大や、DXの推進によるコスト合理化、オペレーション最適化により事業は堅調に推移しました。また、金融事業に関しては、金利・為替のボラティリティの影響は限定的に止まり、事業は堅調に推移しました。 ⑧ 電力ソリューショングループ世界各国ともに脱炭素とエネルギー安定供給の両立に向けた政策に舵を切った中でも、エネルギー安全保障にも寄与する再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)への新規投資は着実に実行され、再エネの主力電源化の流れは不可逆的なものとなっています。一方、再エネの導入増加に伴い、その間欠性を補い安定した電力供給に貢献する蓄電池等のフレックス電源、それらを活用する機能の必要性が高まっています。 3. 翌連結会計年度以降のセグメント別の事業環境の見通し① 地球環境エネルギーグループ脱炭素社会への移行には進展が見られるものの、地域や商材によってペースが異なります。次世代エネルギーは、商材によっては一部需要の後ろ倒しが見られる一方、SAF(Sustainable Aviation Fuel)やクリーンアンモニア等、社会実装に向けて進展している商材も見られます。また、天然ガス/LNGは相対的に環境負荷が低い点等を背景に、アジアを中心に中長期的な需要増加が見込まれます。 ② マテリアルソリューショングループ低・脱炭素化の進展や技術革新の加速化により、素材産業を取り巻く事業環境は今後も変化を続けていくことが想定されます。また、人口増加を支える住宅・インフラ素材、軽量化・電化を支える素材、デジタル社会の発展を支える素材等のニーズは今後も着実に伸張することが見込まれます。 ③ 金属資源グループ原料炭においては、米国関税政策に起因する物流への影響、インド等の新興国による需要の牽引、中国鋼材需要並びに同国鋼材輸出量の推移、天候等に起因する原料炭生産者の供給制約等、海上貿易市場へ影響を与え得る事象を注視しています。銅においては、引き続き堅調な需要と供給側の制約によりタイトな需給環境となる見込みです。中長期的には、新興国を中心とする世界経済の成長や、脱炭素・電化を背景とした再エネ・EVの普及、生成AI等の進展によるデータセンター増加等により、金属資源の需要は底堅く推移することが見込まれます。 ④ 社会インフラグループ米国不動産事業については、インフレ・金利動向に影響を受ける状況に変化はなく、不動産取引量の回復状況を注視しています。データセンターについては、クラウドの普及や生成AI需要拡大に伴い日米共に市場拡大が見込まれています。また、社会インフラの維持・発展を支える産業機械分野は、底堅い需要増加が見込まれます。 ⑤ モビリティグループ主力地域であるアセアンの自動車市場は、厳格なファイナンス審査や競合各社との激しい競争が暫く継続する見通しであり、また米国の関税政策が実体経済に影響を及ぼす可能性もあり、不透明な事業環境が続くと予想されます。一方、同地域での自動車市場は、潜在的な需要や自動車普及率に鑑みると、中長期的には回復・更なる拡大に転じると想定されます。また、グローバル全体での電動化・自動運転化は、普及速度に変化はあっても不可逆的に進展する見込みであり、周辺市場の成長と新たな事業機会が見込まれます。 ⑥ 食品産業グループ米国の関税政策の影響で貿易フローが変わる可能性など、不確実性の高い事業環境が続くものと予想されます。一方、世界の人口増加に加え、バイオ燃料の台頭等で基礎食料の需要拡大は続く見通しです。また、消費者のWellbeing志向の高まりや嗜好の多様化など、食の質的向上へのニーズもグローバルに拡大していくと予想されます。 ⑦ S.L.C.グループ中長期的には国内の人口減少・高齢化に伴う消費市場縮小の流れ、短期的には原材料価格の高止まりや金利上昇の影響が想定されますが、当面は安定した消費動向やインバウンド需要の増加等により、対面市場は底堅く推移していく見通しです。また、海外でも、米国や東南アジア等を中心に、人口増加や経済成長に伴う対面市場の伸長や新たな事業機会が見込まれます。 ⑧ 電力ソリューショングループ先進国を中心として電化進展・AI普及に伴うデータセンター新設等に牽引され、電力需要急増加の機運が高まり、局地的な電力需給の逼迫が社会課題になりつつあります。カーボンニュートラルに向けたエネルギー移行期間の長期化が現実的になりつつある中でも、脱炭素推進に向けて再エネを始めとするクリーン電力の安定的な供給に対するニーズは更なる高まりが見込まれます。 4. 個別重要案件当連結会計年度における重要な個別案件については、「3 事業等のリスク 2.主要なリスクの概要 ⑤事業投資リスク」内の(重要な投資案件)をご参照ください。 |
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 重要性のある会計方針及び見積り財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産及び負債の報告金額、偶発資産及び負債の開示、報告期間における収益及び費用の報告金額に影響を与える様な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社及び連結子会社の判断の基礎となっています。経営者は見積りが必要となる項目に関する評価は合理的であると判断しています。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります。当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、第5 経理の状況 連結財務諸表注記2「(5)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。 (2) 当連結会計年度の業績の概況当連結会計年度においては、インフレの緩やかな低下を受けて、欧米の中央銀行が利下げを実施する中、世界経済は底堅い成長を維持しました。日本経済に関しては、実質賃金の改善等、雇用・所得環境が改善する中で個人消費が底堅く推移するとともに、堅調な企業収益を背景に設備投資には持ち直しの動きが見られ、景気は緩やかな回復基調を維持しました。 このような環境下、当連結会計年度の業績の概況は、以下のとおりとなりました。経営戦略の進捗状況、当連結会計年度以降における主な取り組み、及び経営環境に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。(単位:億円)前連結会計年度当連結会計年度増減主な増減要因収益195,676186,176△9,500取引数量減少及びローソン持分法適用会社化に伴う減少売上総利益23,59718,364△5,233ローソン持分法適用会社化に伴う減少や豪州原料炭事業の販売数量減少販売費及び一般管理費△16,923△14,653+2,270ローソン持分法適用会社化に伴う減少有価証券損益2,3303,056+726前年度に計上した海外発電事業における売却益及び再評価益の反動の一方、ローソン持分法適用会社化に伴う再評価益固定資産除・売却損益3721,346+974豪州原料炭事業における有形固定資産の売却益固定資産減損損失及び戻入△296△39+257前年度に計上した海外食品事業における固定資産減損の反動その他の損益-純額△1,041765+1,807前年度に計上した千代田化工建設関連引当金の反動及び戻入金融収益3,0543,426+372受取配当金の増加や貸付金増加による金利収入増加金融費用△1,911△1,706+205借入金の減少による金利費用減少持分法による投資損益4,4443,375△1,069国内洋上風力発電事業における減損損失等及び三菱自動車工業の持分損益の減少税引前利益13,62613,934+308-法人所得税△3,377△3,172+206豪州原料炭事業における利益減少当期純利益10,24910,762+514-当期純利益(当社の所有者に帰属)(%はROE)9,64011.3%9,50710.3%△133△1.0%- ※四捨五入差異により縦計・横計が合わないことがあります(以下同様)。 (3) 当連結会計年度のセグメント別業績概況事業セグメント別の「当社の所有者に帰属する当期純利益(純損失)」は下表のとおりです。セグメント別の事業内容及び業績の詳細は、第5 経理の状況 連結財務諸表注記6をご参照ください。(単位:億円)前連結会計年度当連結会計年度増減主な増減要因地球環境エネルギー2,3881,986△402[-]マレーシアLNG事業(前年度事業投資先清算益反動)、シェールガス事業(市況下落)マテリアルソリューション739683△56[+]化学品製造事業(前年度減損の反動) [-]北米樹脂建材事業(市況要因)、鉄鋼製品事業(数量減少)金属資源2,9552,278△677[+]豪州原料炭事業(炭鉱売却) [-]豪州原料炭事業(数量減少・市況下落)社会インフラ509398△111[+]海外不動産運用事業(前年度評価損の反動及び税効果計上)、エネルギーインフラ関連事業(完工損益) [-]北米不動産開発事業(減損・売却損)、千代田化工建設(米国ゴールデンパスLNGプロジェクト関連引当繰入)モビリティ1,4141,124△290[+]インド自動車関連事業(再編に伴う既存株式再評価益) [-]三菱自動車工業(市況低迷)、アセアン自動車事業(市況低迷)食品産業△253924+1,177[+]海外食品事業(前年度減損の反動)、鮭鱒養殖事業(前年度持分利益減少の反動)、日本KFCホールディングス株式売却、PRINCES株式売却S.L.C.1,0271,850+823[+]ローソン(持分法適用会社化に伴う再評価益) [-]関連会社株式売却(前年度利益の反動)電力ソリューション979△156△1,135[+]海外電力事業(米州太陽光発電事業における損益改善) [-]海外電力事業(前年度資産売却益の反動)、国内電力事業(洋上風力発電事業における減損損失等) (4) 販売、仕入及び受注の状況① 販売の状況「(2) 当連結会計年度の業績の概況」及び第5 経理の状況 連結財務諸表注記24をご参照ください。 ② 仕入の状況仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。 ③ 受注の状況販売までの期間が1年以内の受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。販売までの期間が1年超の受注については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記24をご参照ください。 (5) 流動性と資金の源泉① 資金調達方針と流動性マネジメント当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況に応じた有利手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続するとともに、経営戦略2027の下、投資の順調な実行等で追加資金が必要となった際は財務健全性を維持できる範囲でレバレッジの活用も検討しながら、十分な流動性の確保を行っていく方針です。当連結会計年度の資金調達活動としては、前連結会計年度に引き続き、財務健全性の向上に努めつつ調達を行いました。これらの資金調達活動の結果は以下のとおりです。 前連結会計年度末(億円)当連結会計年度末(億円)グロス有利子負債(リース負債除く)51,28046,170ネット有利子負債(同上)37,82330,472長期資金(グロス有利子負債うち長期分)38,55035,344長期資金比率(%)75%77%流動比率(%)144%149% (注)1.グロス有利子負債のうち、4,860億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である2,430億円を資本と同等に扱っています。 2.ネット有利子負債はグロス有利子負債より現金及び現金同等物、並びに定期預金を控除したものです。 翌連結会計年度は、引き続き資金調達ソースの多様化等を通じて、中長期的に安定した調達基盤を維持する方針です。また、連結ベースでの資金効率の向上に向けた取組みも継続します。金融市場の環境は、地政学リスクや主要国の金融政策の変化など、引き続き予断を許さない状況のため、細心の注意を払って対処すべく、現預金等及び銀行融資枠(コミットメントライン)を十分に確保し、流動性を維持してまいります。連結ベースでの資金管理体制については、当社に加え、国内外の金融子会社及び特定の海外現地法人(以下、財務拠点)において集中して資金調達を行い、子会社へ資金供給するというグループファイナンス方針を原則とし、資金調達の一元化による資金効率の向上、流動性の確保を図っています。結果として、当連結会計年度末では、連結有利子負債のうち85%が当社及び財務拠点による調達となっています。当連結会計年度末時点の当社及び財務拠点でコマーシャル・ペーパー及び1年以内に償還を予定している社債を合わせた短期の市場性資金が5,998億円あるのに対して、現預金、コミットメントライン、一年以内に満期の到来する公社債が合計で2兆7,884億円あり、カバー超過額は2兆1,886億円と十分な水準にあると考えています。なお、当社のコミットメントラインについては、協調融資枠として円貨で5,100億円を国内主要銀行より、外貨で主要通貨10億米ドル、ソフトカレンシー1.5億米ドル相当を欧米を中心とした国内外の主要銀行より取得しています。当社ではグローバルな資金調達とビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の3社から格付けを取得しています。当連結会計年度末の当社に対する格付けは以下のとおりです。 R&IMoody’sS&P長期AA(見通し安定的)A2(見通し安定的)A(見通し安定的)短期a-1+P-1A-1 ② 資産及び負債・資本当連結会計年度末の資産及び負債・資本の概況は下表のとおりです。(単位:億円)前連結会計年度末当連結会計年度末増減主な増減要因総資産234,596214,961△19,635- 流動資産116,76587,524△29,241ローソン持分法適用会社化に伴う売却目的保有資産の減少非流動資産117,831127,437+9,606ローソン持分法適用会社化に伴う持分法で会計処理される投資の増加及びLNG関連事業におけるリース新規開始による使用権資産の増加負債133,647113,418△20,229- 流動負債81,32158,830△22,491ローソン持分法適用会社化に伴う売却目的保有資産に直接関連する負債の減少非流動負債52,32754,588+2,261LNG関連事業におけるリース新規開始によるリース負債の増加及びローソン持分法適用会社化に伴う残存保有持分の公正価値評価益による繰延税金負債の増加資本100,948101,543+595- 当社の所有者に帰属する持分90,43993,687+3,248当期純利益の積み上がりによる利益剰余金の増加非支配持分10,5107,856△2,654ローソン持分法適用会社化に伴う減少 ネット有利子負債(リース負債除く)37,82330,472△7,351- また、セグメントごとの前連結会計年度及び当連結会計年度における情報は以下のとおりです。 (前連結会計年度) (単位:億円) 地球環境エネルギーマテリアルソリューション金属資源社会インフラモビリティ持分法で会計処理される投資8,7753,4415,8946,8205,127その他の投資2,8571,7553,2738551,537有形固定資産及び投資不動産 4,0141,2329,6331,523527無形資産及びのれん471605194765資産合計28,75321,03543,79220,93419,760 (単位:億円) 食品産業S.L.C.電力ソリューションその他、調整・消去連結金額持分法で会計処理される投資3,4704,9826,503△345,009その他の投資2,1063,3614012,00218,148有形固定資産及び投資不動産 2,7596695,96089427,211無形資産及びのれん2,0583523,5202297,429資産合計21,64646,62227,3104,742234,596 (当連結会計年度) (単位:億円) 地球環境エネルギーマテリアルソリューション金属資源社会インフラモビリティ持分法で会計処理される投資9,5623,5186,3036,9365,478その他の投資2,6411,5745,4036341,749有形固定資産及び投資不動産 4,8211,2709,9501,825529無形資産及びのれん421633398856資産合計32,46920,21445,38121,59518,481 (単位:億円) 食品産業S.L.C.電力ソリューションその他、調整・消去連結金額持分法で会計処理される投資2,94910,8515,8191451,430その他の投資1,6383,3884432,37219,842有形固定資産及び投資不動産 2,9526616,14592129,074無形資産及びのれん2,3723553,3482337,589資産合計19,52125,87325,1216,307214,961 ③ キャッシュ・フロー当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,850億円増加し、1兆5,366億円となりました。キャッシュ・フローの内訳は下表のとおりです。(単位:億円)前連結会計年度当連結会計年度増減当連結会計年度の内訳及び主な増減要因営業活動によるキャッシュ・フロー13,47416,583+3,109(当連結会計年度の内訳)営業収入や配当収入により資金が増加 (主な増減要因)法人税の支払額の減少や配当収入の増加投資活動によるキャッシュ・フロー△2,058△2,739△681(当連結会計年度の内訳)融資の回収や関連会社宛て投資の売却による収入の一方、設備投資、ローソン持分法適用会社化に伴う現預金の減少やその他の投資の取得により資金が減少 (主な増減要因)原料炭事業における一部炭鉱売却による収入や融資の回収の一方、ローソン持分法適用会社化に伴う現預金の減少やその他の投資の取得により減少フリーキャッシュ・フロー11,41613,844+2,428-財務活動によるキャッシュ・フロー△10,862△15,307△4,445(当連結会計年度の内訳)自己株式の取得や借入金及びリース負債の返済、配当金の支払いにより資金が減少 (主な増減要因)短期借入債務の返済現金及び現金同等物に係る為替相場変動の影響額479226△253-売却目的保有資産に含まれる現金及び現金同等物の増減額△4,0884,088+8,175(当連結会計年度の内訳)ローソン持分法適用会社化に伴い、前年度のローソン保有現金及び現金同等物の売却目的保有への振り替えを振り戻したことにより資金が増加 (主な増減要因)前年度のローソン保有現金及び現金同等物の売却目的保有への振り替えによる現預金の減少の反動及び、当年度のローソン持分法適用会社化に伴う前年度のローソン保有現金及び現金同等物の売却目的保有への振り替えを振り戻したことによる増加 現金及び現金同等物の増減△3,0542,850+5,904- 営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)11,7859,837△1,948(当連結会計年度の内訳)リース負債の支払いの一方、当期純利益や配当収入により資金が増加 (主な増減要因)主に減価償却費等及び固定資産損益を除く当期純利益の減少調整後フリーキャッシュ・フロー9,7277,098△2,629- 財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、将来の新規投資や株主還元などの原資を適切に表すべく、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)」と、更に投資活動によるキャッシュ・フローを加えた「調整後フリーキャッシュ・フロー」を定義しています。 投資キャッシュ・フローの主な内容は下表のとおりです。新規・更新投資売却及び回収・海外電力事業(電力ソリューション)・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)・豪州原料炭事業(金属資源)・LNG関連事業(地球環境エネルギー)・鮭鱒養殖事業(食品産業) ・北米不動産事業(社会インフラ) ・CVS事業(S.L.C.)・北米シェールガス事業(地球環境エネルギー)・豪州原料炭事業(金属資源)・海外電力事業(電力ソリューション)・海外食品事業(食品産業)・欧州送電事業(電力ソリューション)・銅事業(金属資源)・外食関連事業(食品産業)・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)・北米不動産事業(社会インフラ) 配当は持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を行う方針としています。自己株式の取得は、総還元性向の水準及び資本構成の適正化のために実施したものです。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。 |
※本記事は「三菱商事株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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