会社名 | 住友商事株式会社 |
業種 | 卸売業 |
従業員数 | 連79692名 単5020名 |
従業員平均年齢 | 43.1歳 |
従業員平均勤続年数 | 18年 |
平均年収 | 17587787円 |
1株当たりの純資産 | 1265.66円 |
1株当たりの純利益 | 201.91円 |
決算時期 | 月3 |
配当金 | 125円 |
配当性向 | 62% |
株価収益率(PER) | 18.11倍 |
自己資本利益率(ROE) | 16.7% |
営業活動によるCF | 6088億円 |
投資活動によるCF | ▲2192億円 |
財務活動によるCF | ▲4154億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | -円 |
販売費および一般管理費※1 | 1009.2億円 |
株主資本比率※2 | 29.1% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】●当社が目指すもの当社は、当社グループのコーポレートメッセージ「Enriching lives and the world」に込めた「世界を、社会を、人々の暮らしを、より豊かにする」という想いと共に、社会課題の解決を通じて社会と共に持続的に成長する企業グループを目指しております。 ●中期経営計画「SHIFT 2023」(対象:2021年度~2023年度)の総括当社は、2021年度から2023年度までの3か年を対象とする「SHIFT 2023」において「事業ポートフォリオのシフト」、「仕組みのシフト」、「経営基盤のシフト」の3つのシフトを着実に実行し、当社事業ポートフォリオの強化に向けて総力をあげて取り組みました。 (1) 定量計画の成果 当社の利益水準は前中期経営計画期間と比べて大きく向上し、「SHIFT 2023」開始時に計画値として 掲げた水準を超える結果となりました。ROEは2021年度・2022年度ともに16.2%を記録しましたが、2023 年度は一過性損失もあったことから9.4%となりました。 3年合計キャッシュ・フローは、一株当たりの配当額の増加や自己株式取得などによって株主還元を充 実させつつも、株主還元後フリーキャッシュ・フローの黒字を確保し、財務健全性を維持しました。 (2) 「SHIFT 2023」における主な取組の総括「SHIFT 2023」においては、構造改革の遂行により、下方耐性を強化しつつ、収益力を一段レベルア ップさせました。また、気候変動や人権など社会課題に対する中期目標に基づき各Strategic Business Unit(SBU)が戦 略的に取り組むとともに、カーボンニュートラル社会の実現に向けたポートフォリオシフトや人権デューデリジェンスの実施等、サステナビリティ経営を推進しました。 新中期経営計画においては、事業ポートフォリオ変革をより一層加速させます。そのために資産入替 を含めた新陳代謝を高め、成長を牽引する収益の柱の構築にこれまで以上に重点的に取り組みます。 ●マテリアリティの更新「中期経営計画2026」で新たな成長ステージに移るにあたり、社会課題の解決に資する価値創造が当社グループの持続的な成長に繋がるとの観点から、マテリアリティを更新しました。気候変動や生物多様性の喪失など社会課題の一層の深刻化等の外部環境の変化や当社グループの強み、ステークホルダーからの期待も踏まえ、当社グループが取り組むべき重要な社会課題とその解決に向けた一層のコミットメントを示すものであります。 マテリアリティ毎に設定した長期・中期目標に対してアクションプランを策定・実行し進捗レビューを行うPDCAサイクルを継続することで、社会課題の解決を通じた持続的な成長を実現してまいります。例えば、世界全体で取り組むべき喫緊の課題である気候変動問題に関しては、サプライチェーン全体を俯瞰した取組を通じ、社会のカーボンニュートラル化の実現に向けてより一層貢献してまいります。 ●中期経営計画2026新しい成長ステージに入る「中期経営計画2026」のテーマは「No.1事業群」であります。競争優位を磨き、社会課題解決を通じた飛躍的な成長を実現すべく、「事業ポートフォリオ変革」を加速させます。そのために、「強みを核とした成長」及び「成長の原動力の強化」に重点的に取り組みます。 (1) 事業ポートフォリオ変革 以下の取組を通じて事業ポートフォリオの新陳代謝を加速させることで、成長を実現します。 ・魅力ある市場で強みや競争優位性を発揮できる事業への経営資源(資金・人材)の重点配分 ・資産入替による経営資源の回収を含む、打ち手と時間軸を定めた低成長事業の再構築 ・4つの事業戦略分類や事業別の資本コスト対比での事業戦略管理の継続活用 (2) 強みを核とした成長 ① 競争優位のある事業をより強く ・成長事業において長年にわたり蓄積してきた事業経営ノウハウやネットワーク、強固なポジショ ニング等の強みの磨き上げ ・新しい営業グループとして結集したSBU間での連携強化による、成長事業を起点とした産業の枠組 を超えた新たな価値創造 ② デジタルとグリーントランスフォーメーション(GX)で加速する新たな成長 デジタルで加速する新たな成長 ・デジタルによる、当社事業の強み・競争優位のさらなる強化、及び新たな強みの育成による成長 の加速 ・デジタルによる、経営基盤・業務の変革、及び当社事業の収益拡大と事業創出・変革を実現する ことでの稼ぐ力の強化 GXで加速する新たな成長 ・GXによる当社事業の強み・競争優位のさらなる強化 ・様々な産業分野における、脱炭素・低炭素エネルギー源への転換などに関する、市場形成を含め た収益化までの時間軸も考慮した取組 ・GXの基盤となるサステナビリティ経営の更なる推進(サプライチェーン全体での温室効果ガス排出 量の可視化、人権・自然資本への影響等も統合的に勘案した課題解決の実践) (3) 成長の原動力の強化 ① 戦略軸の組織体制への移行・見直し 経営会議及び営業組織の体制を以下のとおり見直し、全社最適の視点と営業グループの視点を組 み合わせ、強い組織力と総合力を追求していきます。 ・意思決定の高度化とスピード化のための経営会議の構成メンバー及び決議方法の見直し ・戦略に応じた組織構成の最適化及び機動力向上のため、20の営業本部を戦略単位毎に44のSBUに再 編し、SBUを束ねる組織として営業グループを設置 ・営業グループにコーポレート機能の一部を組み込み、より自律性を高める組織運営体制を構築 ・当社グローバル拠点が一体となって行う、世界各地域におけるSBU戦略遂行や収益向上の取組 ② 人・組織のエンパワーメント 新たな組織体制で価値創造の原動力である人材の力を引き出し、戦略の実行力を強化していきま す。具体的には、「事業構想力」、「リーダーシップ」、「スピード」を3つの優先事項として、以 下のような様々な施策を実施していきます。 ・求める人材要件の明確化を起点としたタレントマネジメント ・権限委譲を伴うラインマネージャーエンパワーメント ・リーダーが率先するオープンでフラットなコミュニケーション (4) 定量計画 ① 経営環境 当社は、2024年4月1日付で、「事業部門」・「エネルギーイノベーション・イニシアチブ」及び 「本部」・「部」を廃止し、戦略事業単位である「Strategic Business Unit」(SBU)をベースとした 組織運営を行っております。SBUを束ねる組織として、新たに「鉄鋼」「自動車」「輸送機・建機」 「都市総合開発」「メディア・デジタル」「ライフスタイル」「資源」「化学品・エレクトロニク ス・農業」「エネルギートランスフォーメーション」の9グループを設置しております。 全般 世界経済は、緩やかな景気回復基調が継続する見通しであります。しかし、これまでの物価上昇や 金融引き締めが個人消費や設備投資の重しとなっております。 先進国経済のうち、米国は緩やかな景気回復基調が続くと見込まれます。ユーロ圏経済は足踏みが 続いてきましたが、今後は緩やかな持ち直しの動きに転じると見込まれます。日本は、一部で足踏み となっておりますが、総じて見れば緩やかな景気回復基調が続いております。新興国経済のうち、中 国では不動産部門の不振が景気の重しとなり、成長ペースの鈍化が継続する一方で、他の多くの新 興・途上国では緩やかな景気回復が続くと見込まれます。 今後のリスクとしては、ロシア・ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢の更なる緊迫化、 物価上昇の再加速やそれに伴う金融引き締め政策の強化、新興国の債務問題、北東アジア、中東・北 アフリカなどの地政学的リスクの高まりなどが挙げられます。 鉄鋼グループ 当グループは、鋼管・鋼材などの鉄鋼製品を幅広く取り扱っております。 鋼管分野では、米国では鋼管価格が足元低調に推移しているものの、鋼管需要の回復に伴い、鋼管価 格も緩やかに上昇する見通しであります。非米向けは、引き続き需要好調の見通しであります。ま た、世界各国でエネルギー安定供給の重要性から石油・ガス開発は維持され、加えて脱炭素に向けた エナジートランジションの動きも継続するものとみられます。 鋼材分野では、物価上昇の影響を受けた買い控えにより、自動車、家電、建築土木において需要が 弱含みとなりました。とりわけ中国では不動産部門の不振により内需が振るわない状況が継続する 中、中国国外への輸出量を含め、今後のグローバル市場全体における鉄鋼の需給動向を注視していき ます。 このような環境を踏まえ、当グループとしては既存事業を堅持しつつ、当グループが強みを有する 事業・地域に経営資本を傾注し、収益力を強化してまいります。また、DXを通じた新たな価値提供、 再生可能エネルギー・CCSなどカーボンニュートラル化に資する鉄鋼製品・サービスの供給による産 業のGX実現への貢献にも取り組んでいきます。 自動車グループ 当グループは、自動車業界のバリューチェーンを俯瞰し、自動車、タイヤ、及びその他関連商品の 製造、販売、リースならびにこれらの関連サービス・周辺事業を行っております。 当グループを取り巻く環境では、各国の経済発展、人・モノの移動の増加を支える自動車ニーズの 伸長、所有から利活用(リース・レンタル・サブスクリプション等)へのシフト、カーボンニュートラ ル実現へ向けた環境車の普及、循環型経済の構築へ向けた再利用・リサイクル促進へのニーズが高ま っております。一方で、地政学リスクがもたらすサプライチェーンに与える影響、原材料コスト・人 件費・金利等の上昇による経済の成長鈍化懸念があり、動向を注視しております。 このような環境を踏まえ、自動車流通販売事業における商品や販売・サービス網の拡充による成長 促進、部品製造事業・販売金融事業・タイヤ販売事業のバリューアップによる収益規模拡大、自動車 リース事業を軸とするモビリティサービス領域におけるサービス拡大と新たな事業機会の取り込み、 Beyond Mobility(移動から発生する、移動を越えた領域)の新規事業の創出・育成に取り組んでいき ます。 輸送機・建機グループ 当グループは、リース・ファイナンス事業、グローバルにバリューチェーンを展開する航空機・船 舶海洋・建設機械事業、高い専門性を持つ防衛宇宙・安全保障ビジネスを中心に、各種取引及び事業 投資を行っております。 当グループを取り巻く事業環境は、金融政策の影響や金利高止まりによる景気減速懸念はあります が、足元では航空需要は2019年の水準まで回復し、海上貨物輸送やインフラ建設・更新の需要は堅調 で、いずれも引き続き成長が見込まれます。同時に、脱炭素社会や循環経済の実現に向けた社会的な 要請が一層高まっております。 こうした環境を踏まえ、当グループは強みを持つ事業の収益性向上と基盤拡大に注力します。リー ス・ファイナンス事業では優良資産の積み上げと資産効率の向上を図り、建設機械事業では事業基盤 の拡大と商品・サービスの多様化を進めます。 また、航空機事業における退役機の部品販売を始めとするアフターマーケット事業、船舶海洋事業 における洋上風力で使用される構造物の製造など、社会的な課題やニーズに応える事業を積極的に進 め、成長を加速していきます。 都市総合開発グループ 当グループは、不動産・工業団地・サステナブルシティ・基幹インフラの開発・運営・アセットマ ネジメント事業、建設資材の製造・販売及び産業機器の販売事業、物流・保険関連事業を展開してお ります。 不動産分野では米国のオフィスビル賃貸市況の低迷等により海外不動産事業は低調に推移しました が、国内不動産事業は堅調に推移しました。また国内の建設資機材及び機械設備のトレード事業もコ ロナ後の国内設備投資の回復により堅調を維持しました。マクロ環境としては引き続き、自然環境や 次世代生活環境への危機意識の高まり、地政学リスクへ対応するための市場ニーズやビジネスモデル の変化が挙げられますが、日米を中心とした政策金利動向やコスト上昇に伴う不動産等の市況の変化 には注視が必要であります。 このような環境を踏まえ、自然環境に配慮した安心安全で災害に強いインフラ開発や街づくりの需 要や、地政学リスクや環境問題に対応するためのグローバルな製造・流通網の変革ニーズを商機と捉 え、機構改正により融合した当グループの不動産とインフラのビジネス推進力でグローバルに都市総 合開発事業を展開していきます。 メディア・デジタルグループ 当グループは、デジタルソリューション事業、情報通信インフラ事業、モバイル付加価値サービス 事業、第5世代移動通信システム(5G)事業、ケーブルテレビ事業、テレビ通販事業、グローバルCVC 事業(ベンチャー投資)を行っております。 取り巻く環境として、デジタル関連事業ではデジタル技術による社会課題解決やビジネス変革の機 会が拡大し、DXソリューションのニーズが高まっております。情報通信インフラ事業ではミャンマー 及びエチオピアの地域の発展に伴うニーズ拡大が見込まれます。5G関連では高速・大容量通信の需要 拡大により、携帯キャリアの基地局整備が進んでおります。メディア関連事業では、視聴形態の多様 化や新たなサービスのニーズが見込まれます。 このような環境を踏まえ、デジタル関連事業では提案力と事業基盤を強化・拡大し、コンサル・DX 事業に取り組みます。情報通信インフラ事業では長年の通信事業経験を活かした通信キャリア向けサ ービスの開発・展開に取り組みます。5G関連では基地局シェアリング事業拡大に取り組みます。メデ ィア関連事業ではJCOM社の企業価値最大化と従来のテレビ通販事業からテレビとECを融合したビジネ スモデルへの変革に取り組みます。 ライフスタイルグループ 当グループは、食品スーパー・ブランドなどのリテイル事業、食品・食品原料や青果などの食料事 業、ドラッグストア・調剤薬局及びマネージドケア・クリニックなどのヘルスケア事業を展開してお ります。 リテイル及び食料分野では、消費者の価値観やライフスタイルの多様化・ニーズの細分化、食と健 康に関する消費者意識の高まりが見込まれます。ヘルスケア分野においては、高齢化加速に伴う医療 費適正化ニーズが加速する見通しであります。また、全般的に気候変動や地政学リスクの継続や人件 費・燃料費の高止まりの懸念があり、動向を注視していきますが、生活を支える事業としての社会的 重要性は引き続き高いものになっていくものと見ております。 このような環境を踏まえ、リテイル事業を中心に圧倒的な顧客へのアクセスを持つ強みを生かし、 データ活用によるマーケティング及びDX推進によるオペレーションの高度化や新規事業拡大に取り組 みます。また、国内外の医療費高騰の解決に向け、プライマリケア・地域包括ケア関連事業の拡大に 努めます。食料分野では、食料・食品の調達・加工・販売のノウハウとネットワークを生かした収益 基盤の拡大と成長が見込まれる分野への事業展開を図ります。 資源グループ 当グループは、金属資源等の開発・操業・生産、製品の製造・販売を展開し、トレード分野でも当 社事業とのシナジー発揮や、商品デリバティブの活用等、多様な機能を提供しております。 資源価格は、2022年度から全般的に落ち着きを見せ、足元は軟化傾向にありますが、中長期の市況 変動サイクル、業界におけるプレイヤー・地域の偏在性、経済安全保障・技術革新を含むバリューチ ェーンや需給バランスの環境変化、資源案件開発の高難度化等の諸環境を踏まえ、当社ならではの経 験・強みを発揮し、競争優位を磨き、社会課題解決を通じた成長を図る事業ポートフォリオ、基盤の 改善・強化を進めております。 下振れ耐性の強化と収益基盤の拡充の観点から、足元では、マダガスカルのニッケル事業の再構 築、既存権益の安定操業の維持・拡大、将来的に需要増が見込まれる金属資源等の優良資産の積み増 しに向けた取り組みの他、環境負荷の低減に資する投資や機能提供の促進、気候変動緩和に寄与する バリューチェーンの構築を推進しております。当グループは、これらの取り組みを通じて、日本及び 世界の産業発展と持続可能な社会の実現に貢献し、人々の豊かな未来を創造することを目指します。 化学品・エレクトロニクス・農業グループ 当グループは、基礎化学品、農業資材、医薬、化粧品、動物薬、エレクトロニクス材料・製品の開 発、製造、販売事業を展開しております。 2023年度は、農業資材分野においては市況悪化及び天候要因により、エレクトロニクス材料・製品 分野においては半導体需要低迷により、低調な推移となりましたが、2024年度は、農業資材分野にお ける事業環境の改善や半導体の需要回復、基礎化学品分野の堅調な推移などを見込んでおります。 このような環境を踏まえ、農業資材分野では、販売事業の地理的拡大及び機能の拡充に注力し、イ ノベーション分野のビジネスを推進します。2023年度に米国硫酸事業を買収した基礎化学品分野で は、強みである顧客・仕入先、製造事業、物流アセット等の事業基盤を活かした機能の拡充により、 収益力及び下振れ耐性を更に強化します。グリーンケミカル分野では、カーボンニュートラル及び循 環経済に資する取り組みや、経済安全保障のニーズの高まりを踏まえた新規事業の開発に注力してい きます。また、ライフサイエンス分野やエレクトロニクス分野においても、変化を先取りし、新たな ビジネスを創出していきます。 エネルギートランスフォーメーショングループ 当グループは、国内外における発電事業、国内電力小売事業、天然ガス・LNGなどのエネルギー権 益開発・生産及び販売事業、海洋インフラ・船舶燃料供給事業、カーボンニュートラル社会実現に資 する次世代エネルギー分野での事業開発を行っております。 電力EPCプロジェクトでは複数案件で完工を達成し、発電事業も堅調に推移しております。国内電 力小売事業においては、顧客との契約更改を含む市況リスクマネジメント強化の結果及び電力調達価 格が年度を通じて安定的に推移したことにより収益改善を果たしております。 エネルギー分野においては、一部トレード事業において前年度好調の反動があったものの、市況の 高止まりや価格変動を上手く収益化したことにより、エネルギートレードビジネスは好業績で推移し ました。このような環境を踏まえ、当グループでは世界的な地政学リスクの高まりに備えるためにも 市況変動リスク管理を一層強化いたします。 また2050年のカーボンニュートラルを達成すべく、当社発電ポートフォリオの低炭素化を促進する 新たな電力・エネルギーサービスの事業化を進め、次世代エネルギー関連事業の開発にも引き続き取 り組んでいきます。 不可逆的なGX潮流を事業機会と捉え、脱炭素・循環型エネルギーシステムの構築やサステナブルな カーボンサイクル実現を通じて、住友商事グループ全体のエネルギートランスフォーメーション事業 を牽引していきます。 ② 定量計画 ・利益計画 「中期経営計画2026」の期間においては、ROE12%以上を維持しつつ、競争優位を発揮する成 長事業を伸ばすことで、2024年度は5,300億円、2026年度は6,500億円の当期利益の実現を目指し ます。 2024年度業績見通しの内訳は以下のとおりです。 資源ビジネスは、前期好調だったガストレード事業の反動、及び石炭価格下落の影響により減 益となりますが、非資源ビジネスは、鋼管事業、建設機械事業、不動産事業、アグリ事業などを 中心に着実な利益成長を見込んでいます。 ・キャッシュ・フロー計画 資産入替とキャッシュ・フロー収益力向上により2.8兆円のキャッシュを創出し、財務健全性を 維持しながら、創出したキャッシュを成長投資と株主還元に適切に配分してROEの向上を図りま す。 (5) 株主還元方針 「中期経営計画2026」以降の株主還元方針については、「SHIFT 2023」を通じて実現した基礎的な収 益力の向上、継続的な財務基盤の強化、持続的成長のための投資資金の確保などの要素を総合的に勘案 し、以下のとおりとしました。 ・総還元性向を40%以上として、配当及び柔軟かつ機動的な自己株式取得を実施 ・累進配当(注)により、配当の更なる安定性向上及び利益成長に応じた増配を目指す (注)1株当たり年間配当金の前期実績に対して、配当維持又は増配を行うことを指します。 詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」を参照願います。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当期よりIAS第12号「法人所得税」 (2021年5月改訂)を適用しており、前期については遡及適用後の数値を表示しております。会計方針の変更の詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 2 作成の基礎」に記載のとおりであります。 (1) 企業環境当期の世界経済は、総じて緩やかな持ち直しの動きが続きましたが、経済成長のペースは国や地域によってばらつきが見られました。米国は、金融引締め政策が採られたにもかかわらず好調な内需に支えられ、雇用や物価が安定し、経済活動は概ね堅調に推移しました。一方、欧州では物価の騰勢は沈静化したものの、景気は減速局面を迎えました。中国は、不動産問題が依然として景気回復の重しとなり、特に物価は欧米などとは対照的に下落し、デフレが警戒される状況に転じました。国際情勢は、ロシア・ウクライナ情勢の解決の兆しが見えない状況下で発生したイスラエルとハマスの戦闘により、一段と不確実性が高まりました。この影響で紅海付近を航行する船舶が過激派の攻撃に遭うなど航行の安全が脅かされ、折からのパナマ運河の通行制限と相俟って、海上輸送の一部が大幅な迂回を余儀なくされるなど、混乱が続いています。国際商品市況は、エネルギー関連商品では、世界的な暖冬傾向により需給が緩和したことで天然ガスの価格が低位に安定しました。石油では、需要の回復に遅れが見られ、産油国による協調減産の効果が限定的なものに留まったため、価格は安定的に推移しました。一方、中国経済の回復の遅れなどの影響を受け、金属では一服感が強まりました。国内経済は、一進一退の動きとなりました。緩やかな景気回復が続いてきましたが物価上昇の影響で内需には弱含みの動きも見られました。また一部製造業での生産停止に加え、2024年1月に発生した能登半島地震は経済活動の下押し要因となりました。他方、世界の潮流となっているGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けて、国内でも法整備や財政政策、また資金調達に向けた移行債の発行など環境整備が進展したため、企業の設備投資や研究開発投資を中心とした中長期的な取組が活発になり、経済活動の下支えとなりました。為替レートは我が国の金融政策が総じて緩和的であったことや米国金融政策の緩和期待が後退したことから再び円安圧力が強まり1ドル=150円を超えて約34年振りとなる円安になりました。 また、緩和的な金融政策や好調な企業業績を背景に平均株価も最高値を更新し、4万円を超える水準まで上昇しました。 (2) 業績 (単位:億円)前期(自2022年4月1日至2023年3月31日)当期(自2023年4月1日至2024年3月31日) 増減額主な増減要因収益68,17969,103 +924 売上総利益12,34813,425 +1,077・自動車流通販売事業 好調・建設機械事業 北米を中心に好調・国内電力小売事業 契約更改及び 電力調達価格の安定的推移により好調・資源・エネルギー価格下落・ボリビア銀・亜鉛・鉛事業の売却 (2023年2月)による影響販売費及び一般管理費△8,117△9,276 △1,159・人件費上昇の影響 固定資産損益133△307 △440・前期 不動産事業大口案件の引渡しあり・北欧駐車場事業 減損損失その他の損益△32△300 △268 利息収支△115△163 △49 受取配当金201137 △64 有価証券損益29137 △253・前期 北海油田英領事業売却益あり持分法による投資損益2,5241,724 △800・マダガスカルニッケル事業 減損損失・ミャンマー通信事業 貸倒引当金計上・資源価格下落の影響・航空機リース事業 保険金受領税引前利益7,2315,276 △1,955 法人所得税費用△1,239△1,015 +223 当期利益5,9924,261 △1,731 当期利益(親会社の所有者に帰属)5,6533,864 △1,790 (注)1 固定資産損益=固定資産評価損益及び固定資産売却損益の合計 2 利息収支=受取利息及び支払利息の合計 (3) 事業セグメント当社は、6つの業種に基づくセグメント(事業部門)により事業活動を行っております。6つのセグメントは金属事業部門、輸送機・建機事業部門、インフラ事業部門、メディア・デジタル事業部門、生活・不動産事業部門、資源・化学品事業部門から構成されております。2023年4月1日付で、メディア・デジタル事業部門傘下にあったDX推進支援機能を全社組織傘下の組織に移管しました。これに伴い、前期のセグメント情報は組替えております。前期及び当期の売上総利益、当期利益(親会社の所有者に帰属)の事業セグメント別実績は以下のとおりであります。 事業セグメント別売上総利益の内訳 前期(自2022年4月1日至2023年3月31日)(億円)当期(自2023年4月1日至2024年3月31日)(億円)増減額(億円)増減率(%)金属2,2041,914△291△13.2輸送機・建機2,6103,408+79830.6インフラ5981,207+609101.8メディア・デジタル1,2391,336+977.8生活・不動産2,4282,955+52721.7資源・化学品3,2972,677△620△18.8計12,37613,496+1,1209.0消去又は全社△29△71△43△149.3連結12,34813,425+1,0778.7 事業セグメント別当期利益(親会社の所有者に帰属)の内訳 前期(自2022年4月1日至2023年3月31日)(億円)当期(自2023年4月1日至2024年3月31日)(億円)増減額(億円)増減率(%)主な増減要因金属1,104692△412△37.3・海外スチールサービスセンター事業 前期北米好調の反動あり・鋼管事業 前期 市況好調の反動あり・前期 鋼管事業 一過性利益あり輸送機・建機9201,480+56060.9・自動車流通販売事業 好調・建設機械事業 好調・リース事業 堅調・当期 航空機リース事業及び米国タイヤ販売事業における一過性利益・当期 北欧駐車場事業 減損損失インフラ208487+279134.1・国内電力小売事業 契約更改及び電力調達価格の安定的推移により好調・当期 バーレーン発電・造水事業及び英国水事業における一過性損失メディア・デジタル136△6△142-・国内主要事業 堅調・エチオピア通信事業 立ち上げコスト増・当期 メディア関連 一過性利益・当期 ミャンマー通信事業 貸倒引当金計上生活・不動産590485△105△17.7・不動産事業 前期大口案件の引渡しあり・欧米州青果事業 メロン事業は不調も、バナナ事業好調・当期 グローバル青果事業 減損損失資源・化学品2,669524△2,145△80.4・資源・エネルギー価格下落・資源・エネルギートレード 前期好調の反動・アグリ事業 前期高需要の反動及び天候不順による販売減・当期 マダガスカルニッケル事業 減損損失 等計5,6263,662△1,964△34.9 消去又は全社27202+175646.2・金利上昇に伴う営業部門からの社内受取金利増加連結5,6533,864△1,790△31.7 (4) 仕入、成約及び販売の実績① 仕入の状況 仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。 ② 成約の状況 成約は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。 ③ 販売の状況当期において、特記事項はありません。上記「(2) 業績」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4 セグメント情報」をご参照ください。 (5) 連結包括利益計算書における主要な項目以下は、連結包括利益計算書における主要な項目についての説明であります。 収益当社では、収益を、商品販売に係る収益とサービス及びその他の販売に係る収益に区分して表示しております。商品販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。・卸売、小売、製造・加工を通じた商品の販売・不動産の開発販売・長期請負工事契約に係る収益 サービス及びその他の販売に係る収益としては、以下の取引に関連して発生する収益が含まれております。・ソフトウェアの開発に関連するサービス・賃貸用不動産、船舶などの貸付金、ファイナンス・リース及びオペレーティング・リース 売上総利益売上総利益は、以下により構成されております。・当社が主たる契約当事者として関与する取引における総利益・当社が代理人等として関与する取引における手数料収益が総額で計上される場合、販売に直接寄与する第三者への費用または手数料は、商品販売に係る原価として計上され、売上総利益は、収益の総額から販売に係る原価を差引いた金額となります。当社はサービス及びその他の販売に係る収益の一部として手数料を計上しますが、この手数料は純額表示されるため、結果としてサービス及びその他の販売が売上総利益に占める比率は、収益合計に占める比率よりも大きくなっております。当期、サービス及びその他の販売が収益合計に占める比率は9.9%ですが、売上総利益に占める比率は25.9%となっております。 固定資産評価損益棚卸資産、繰延税金資産及び生物資産を除く当社の非金融資産の帳簿価額については、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積り、のれん及び耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を毎年同じ時期に見積った上で、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、減損損失を認識しております。また、減損損失の戻し入れを行った場合は当該戻し入れ金額も含めております。 固定資産売却損益当社は、資産のポートフォリオの戦略的かつ積極的な入替えを図っております。その結果、不動産の含み益を実現するために売却する場合や、価格の下落した不動産を売却する場合、売却損益を計上することになります。 受取配当金受取配当金には、当社の子会社及び持分法適用会社以外で、当社が株式を保有している会社からの配当金が計上されております。 有価証券損益当社は事業活動の一環として相応の規模の投資を行っております。これらの投資対象のうち、公正価値で測定し、その変動を当期利益で認識する金融資産(以下、FVTPLの金融資産)は公正価値で当初認識しております。当初認識後は公正価値の変動を当期利益で認識しております。また、償却原価で測定される金融資産は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後、償却原価で測定される金融資産の帳簿価額については実効金利法を用いて算定し、帳簿価額の変動について、必要な場合には減損損失を認識しております。償却原価で測定される金融資産並びに子会社及び持分法適用会社への投資等を売却する際に、売却損益を認識しております。 持分法による投資損益投資戦略やビジネスチャンスの拡大に関連して、当社は、各セグメントで状況に応じ、新規または既存の会社の買収や出資、他の企業とのジョイント・ベンチャーの結成、または同業他社とのビジネス・アライアンスの組成を行っております。一般的に、当社は、出資比率が20%以上50%以下である会社の投資に対し、その持分利益や損失を計上しております。 FVTOCIの金融資産公正価値で測定し、その変動をその他の包括利益で認識する金融資産(以下、FVTOCIの金融資産)は、公正価値(直接帰属する取引費用も含む)で当初認識しております。当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動をその他の包括利益で認識しております。 確定給付制度の再測定当社は、確定給付負債(資産)の純額の再測定を、その他の包括利益で認識しております。 在外営業活動体の換算差額在外営業活動体の資産・負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については期中平均レートを用いて日本円に換算しており、在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額はその他の包括利益で認識しております。当社のIFRS移行日以降、当該差額はその他の資本の構成要素である「在外営業活動体の換算差額」として表示しております。 キャッシュ・フロー・ヘッジデリバティブを、認識済み資産・負債、または当期利益に影響を与え得る発生可能性の非常に高い予定取引に関連する特定のリスクに起因するキャッシュ・フローの変動をヘッジするためのヘッジ手段として指定した場合、デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ有効部分は、その他の包括利益で認識しております。 (6) 重要性がある会計方針及び見積りIFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の資産・負債の計上や偶発資産及び偶発債務の開示、並びに期中の収益費用の適正な計上を行うため、マネジメントによる見積りや前提が必要とされます。当社は、過去の実績、または、各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき、一貫した見積りを実施しております。資産・負債及び収益費用を計上する上で客観的な判断材料が十分でない場合は、このような見積りが当社における判断の基礎となっております。従って、異なる前提条件の下においては、結果が異なる場合があります。以下、当社の財政状態や経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断や見積りを必要とする重要性がある会計方針につき説明します。なお、当社の主な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」を参照願います。 金融資産の減損当社は、償却原価で測定する金融資産、リース債権、契約資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識しております。当社は、信用リスクの変動及び予想信用損失の算定にあたっては、主に当社独自の信用格付けである Sumisho Credit Rating(SCR)を用いております。これには、債務者の過去の貸倒実績、現在の財務状態及び合理的に利用可能な将来予測情報等が含まれております。 公正価値で測定する金融資産当社は、有価証券やその他の投資等の金融資産を保有しており、FVTOCIの金融資産と、FVTPLの金融資産とに分類しております。当社は、投資先企業との取引関係の維持・強化による中長期的な収益の拡大などを目的として保有しており、公正価値の変動を業績評価指標としていない金融資産をFVTOCIの金融資産として分類し、公正価値の変動を獲得するために保有し、業績評価指標としている金融資産をFVTPLの金融資産として分類しております。当該金融資産の公正価値は、市場価格、割引将来キャッシュ・フローや純資産に基づく評価モデル等の評価方法により算定しております。 非流動資産の回収可能性当社は、様々な非流動資産を保有しており、持分法で会計処理されている投資や無形資産などの非流動資産について、帳簿価額の回収可能性を損なうと考えられる企業環境の変化や経済事象が発生した場合には、減損テストを行っております。実際に減損の兆候があるかどうかの判定に際しては、様々な見積りや前提が必要となります。例えば、キャッシュ・フローが直接的に減損の懸念がある資産に関係して発生しているのかどうか、資産の残存耐用年数がキャッシュ・フローを生み出す期間として適切かどうか、生み出すキャッシュ・フローの額が適切かどうか、及び、残存価額が適切かどうか、などを考慮しなければなりません。また、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産について、少なくとも年1回、更に減損の発生が予測される場合は、その都度、減損テストを実施しております。減損テスト時には、資産の回収可能価額を見積っております。資産または資金生成単位の回収可能価額は使用価値と処分費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割引いております。当社では、過去の経験や社内の事業計画、及び適切な割引率を基礎として将来キャッシュ・フローを見積っております。これらの見積りは、事業戦略の変更や、市場環境の変化により、重要な影響を受ける可能性があります。なお、非流動資産の回収可能性に関連する会計上の見積りのうち、重要なものは以下になります。詳細については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 11 持分法適用会社に対する投資、注記 13 無形資産」を参照願います。 ① マダガスカルニッケル事業Ambatovy Minerals S.A.及びDynatec Madagascar S.A.(以下、プロジェクト会社)の固定資産に減損の兆候が認められ、かつ、減損テストの結果、回収可能価額が固定資産の帳簿価額を下回った場合には、当社において持分相当額を持分法投資損失として認識いたします。認識した持分法投資損失がプロジェクト会社の株式に対する持分法投資額を超える場合、実質的に純投資と考えられる貸付金等の長期持分に対して配分します。プロジェクト会社における固定資産の回収可能価額を算定する場合は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方が採用され、その見積りには、プロジェクト会社の生産数量、将来の資源価格(主にニッケル及びコバルト等の中・長期予想価格)、可採埋蔵量、割引率といった重要な仮定が使用されております。当期において、プラント設備の不具合等、足元の操業状況を踏まえて生産量の見通しを下方修正し、今般事業計画の見直しを実施しました。プロジェクト会社が保有する固定資産につき見直し後の事業計画に基づいて回収可能価額まで減損損失を認識した結果、プロジェクト会社の株式に対する持分法投資額の全額及び長期持分として保有する貸付金の全額の合計額につき、75,462百万円の減損損失を計上しております。なお、本事業においては上記の減損損失に加えて、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 27 金融商品及び関連する開示」に記載の通り、当社の100%子会社であるSummit Ambatovy Mineral Resources Investment B.V.がプロジェクト会社に対して保有する貸付金への引当13,258百万円を計上しております。 ② 欧米州青果事業欧米州青果事業において、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストは、複数の資金生成単位グループに分けて実施しており、回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値は、取得価額の前提とした事業計画に対して、直近の事業環境を反映させた将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて、独立した鑑定人の支援を受け、評価しております。使用価値に大きく影響を及ぼす仮定は、バナナ&パイン事業における販売数量・マージン・割引率等であります。 ③ 北欧駐車場事業北欧駐車場事業において、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストは、事業全体を一つの資金生成単位グループとして実施しており、回収可能価額は使用価値に基づき算定しております。使用価値の見積りにおいては、取得価額の前提とした事業計画に対して、直近の事業環境を反映させた将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて、独立した鑑定人の支援を受け、評価しております。使用価値に大きく影響を及ぼす仮定は、駐車場事業の収益、割引率等であります。当期において、新型コロナウイルスの流行を経た行動様式の変容や高水準のインフレ継続等に伴う事業環境の変化を踏まえ、事業計画を見直した結果、同事業に係るのれんにつき、12,249百万円の減損損失を計上しております。 繰延税金資産の回収可能性当社は、繰延税金資産の全部または一部について、回収が不確実となった場合に、マネジメントの判断により、減額しております。繰延税金資産の回収可能性の評価にあたっては、繰延税金資産計上の根拠となっている将来の一時差異の解消が見込まれる期間内、または、繰越欠損金の繰越可能期間内に、納税地において将来十分な課税所得を生み出せるかどうかを評価しなければなりません。当社では、有利・不利に関わらず、入手可能なすべての根拠・確証を用いてこの評価を実施しております。繰延税金資産の評価は、見積りと判断に基づいております。納税地での将来の課税所得に影響を与える当社の収益力に変化があった場合、現状の繰延税金資産の回収可能性の評価も変わる場合があります。 引当金の測定引当金は、過去の事象の結果として、当社が、現在の法的または推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額が合理的に見積り可能である場合に認識しております。引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割引いております。 確定給付債務の測定確定給付型年金制度は、確定拠出型年金制度以外の退職後給付制度であります。確定給付型年金制度に関連する当社の純債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割引き、制度資産の公正価値を差し引くことによって算定しております。割引率は、当社の債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りであります。この計算は、毎年、年金数理人によって予測単位積増方式を用いて行っております。 (7) 資産及び負債・資本(単位:億円)前期(2023年3月期末)当期(2024年3月期末) 増減主な増減要因資産合計101,054110,326 +9,272・円安の影響による増加株主資本37,78744,455 +6,668・円安の影響による増加・当期利益の計上・配当金の支払、自己株式の取得ネット有利子負債24,84425,234 +390 ネットDER0.70.6 △0.1pt (注)1 株主資本=資本の内、「親会社の所有者に帰属する持分合計」(注)2 ネット有利子負債=社債及び借入金(流動・非流動)の合計から現預金を差し引いたもの。 (リース負債は含まれておりません)(注)3 ネットDER=有利子負債(ネット)/株主資本 (8) キャッシュ・フロー(単位:億円)前期(自2022年4月1日至2023年3月31日)当期(自2023年4月1日至2024年3月31日)当期実績の概要営業活動によるキャッシュ・フロー2,3286,089・コアビジネスが着実にキャッシュを創出 基礎収益キャッシュ・フロー5,0935,109投資活動によるキャッシュ・フロー△915△2,192・投融資:米国建設機材レンタル会社の資産買収北ハノイサステナブルシティへの増資米国硫酸事業の買収 国内外不動産案件の取得 等・資産入替:米国タイヤ販売事業 直営小売事業売却に伴う資金回収インドネシア自動車金融事業 資本再編に伴う資金回収 等フリーキャッシュ・フロー1,4133,896 財務活動によるキャッシュ・フロー△2,505△4,155・配当金の支払、自己株式の取得 前期(2023年3月期末)当期(2024年3月期末) 現金及び現金同等物の期末残高6,5696,679 (注)4 基礎収益キャッシュ・フロー= (売上総利益+販売費及び一般管理費(除く貸倒引当金繰入額)+利息収支+受取配当金)×(1-税率)+持分法投資先からの配当 (9) 資金調達と流動性当社の財務運営は財務健全性の維持・向上を基本方針とし、低利かつ中長期にわたり、安定的な資金調達を行うこと、及び十分な流動性の保持を図ることとしております。当社グループ内での資金管理については、グループファイナンスを整備し、資金調達を当社及び金融子会社、海外現地法人に集中した上で、キャッシュ・マネジメント・システムを通じて、当社グループ内で資金を効率的に活用する体制を整えております。当社は総額3兆2,017億円の社債及び借入金を有しており、このうち短期の借入金は、前期比554億円減少の2,860億円で、内訳は短期借入金(主として銀行借入金)2,128億円、コマーシャルペーパー732億円となっております。一年以内に期限の到来する社債及び長期借入金4,592億円を含めた当期の社債及び長期借入金は、前期比1,051億円増加の2兆9,158億円となっております。このうち、銀行及び保険会社からの長期借入残高は、前期比644億円増加の2兆3,820億円、社債残高は前期比406億円増加の5,337億円となっております。当社の銀行からの借入の多くは、日本の商慣行上の規定に基づいております。当社は、このような規定が当社の営業活動や財務活動の柔軟性を制限しないと確信しておりますが、いくつかの借入契約においては、特定の財務比率及び純資産の一定水準の維持が求められております。さらに、主に政府系金融機関との契約においては、当社が株式及び社債の発行等により資金を調達した際に、当該金融機関から、当該借入金の期限前返済を求められる可能性があり、また、一部の契約では当社の剰余金の配当等について当該金融機関の事前承認を請求される可能性があります。当社は、このような請求を受けたことはなく、今後も受けることはないと判断しております。詳細は、「3 事業等のリスク (3) タイプ別リスク ⑬ 資金の流動性に関するリスク」を参照願います。資金調達については、各金融機関との良好な関係に基づく銀行借入等の間接金融を中心に、コマーシャルペーパーや社債等の直接金融との適切なバランスに留意し、調達期間の長期化を通じた償還期日の分散等による安定的な調達構造を構築しております。外貨建ての資金調達については、銀行借入や外貨建て社債発行、通貨スワップの他、金融子会社、海外現地法人におけるコマーシャルペーパー、ユーロMTN等の活用によって資金調達ソースの多様化に取り組んでおります。また、2022年3月にグリーンファイナンス・フレームワークを策定し、本フレームワークに基づきグリーンボンドを発行しております。2024年2月には、本フレームワークの対象事業の拡大及びソーシャル対象事業の追加を行い、サステナブルファイナンス・フレームワークとして改定しております。なお、当社は、資本市場での直接調達を目的として、以下の資金調達プログラムを設定しており、当期末時点での当社の長期及び短期の信用格付は、ムーディーズでBaa1(見通し安定的)/P-2、スタンダード&プアーズでA-(見通し安定的)/A-2、格付投資情報センターでAA-(見通し安定的)/a-1+となっております。 ・3,000億円の国内及び海外公募普通社債発行登録枠・国内における5,000億円のコマーシャルペーパー発行枠・米州住友商事により設定された、1,500百万米ドルのコマーシャルペーパープログラム・当社、英国のSumitomo Corporation Capital Europe(以下、「SCCE」という。) 及び米州住友商事が共同で設定した3,000百万米ドルのユーロMTNプログラム・SCCEが設定した1,500百万米ドルのユーロコマーシャルペーパープログラム 保有流動性については、金融市場の混乱等、複数の有事シナリオを想定し、当期末時点で現預金と国内外の主要な金融機関との総額1,210百万米ドル、及び2,850億円を上限とする以下の長期コミットメントラインを中心に、当社及び当社子会社における資金需要や一年以内に期日が到来する借入や社債の償還資金等を補完する十分な流動性を確保しております。なお、当有価証券報告書の提出日までに、これらのコミットメントラインに基づく借入はありません。また、これらのコミットメントラインには、借入の実行を制限する重大なコベナンツ、格付トリガー条項などは付されておりません。なお、これらのコミットメントラインのほかに、当社は、コミットメントベースでない借入枠を有しております。・米国及び欧州の大手銀行によるシンジケート団との間で締結した、1,060百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ建)/マルチ・ボロワー(住友商事及び英国、米国、シンガポールにおける当社子会社への融資)型長期コミットメントライン・大手米銀との間に締結した、米州住友商事への100百万米ドルの長期コミットメントライン・大手欧銀との間に締結した、SCCEへの50百万米ドルのマルチ・カレンシー(円・米ドル・ユーロ・ポンド建)型長期コミットメントライン・大手邦銀のシンジケート団による1,500億円の長期コミットメントライン(内、790億円はマルチ・カレンシー型)・有力地方銀行のシンジケート団による1,350億円の長期コミットメントライン 資金調達の内訳 前期(2023年3月31日)(億円)当期(2024年3月31日)(億円)短期3,4142,860 借入金(主に銀行より調達)2,4892,128 コマーシャルペーパー925732長期(一年以内期限到来分を含む)28,10729,158 担保付 借入金2,2792,843 無担保 借入金20,89720,977 社債4,9315,337有利子負債合計(グロス)31,52132,017現金及び現金同等物並びに定期預金6,6776,783有利子負債合計(ネット)24,84425,234資産合計101,054110,326親会社の所有者に帰属する持分合計37,78744,455親会社所有者帰属持分合計比率(%)37.440.3 デット・エクイティ・レシオ(グロス)(倍)0.80.7デット・エクイティ・レシオ(ネット)(倍)0.70.6 当期末時点での当社の期限別の支払債務は、以下のとおりであります。期限別内訳 社債及び借入金(億円)リース負債(億円)2024年度7,4527772025年度3,1046642026年度4,3584442027年度3,5054122028年度3,0953482029年度以降10,5032,406合計32,0175,051 当社は、資金供与に関する契約(貸付契約、出資契約)及び設備使用契約等を締結しており、当期末における契約残高は、9,376億円です。当期末時点では、資本的支出に対する重要な契約はありません。上述の契約に加えて、当社のビジネスに関連して、当社は、顧客の債務に対する保証などの様々な偶発債務を負っています。また、当社は、訴訟による偶発債務の影響を受ける可能性があります。これらの偶発債務に関する詳細は、「(10) 偶発債務」及び「(11) 訴訟等」を参照願います。当社は、現状においては、それらの偶発債務がもたらす資金需要が重大なものとはならないと判断しておりますが、仮に予想に反して、当社が保証を行っている債務に重大な不履行が生じた場合、また、訴訟の結果が、当社に大きく不利なものであった場合には、新たに、大きな資金調達が必要となる可能性があります。当社は、主に、ワーキング・キャピタル、新規や既存ビジネスへの投資や債務の返済のために、将来にわたり継続的な資金調達を行う必要があります。当社は、成長戦略として買収、株式取得または貸付による投資を行っており、当期は、有形固定資産及び投資不動産の取得に1,217億円、また、その他の投資の取得に2,382億円の投資を行いました。当社は、現在、全てのセグメントにおいて、既存のコア・ビジネス及び周辺分野を中心に追加投資を検討しております。しかしながら、これらの投資は、現在、予備調査段階のものや、今後の様々な条件により、その実施が左右されるものであり、結果的に実現されない可能性もあります。また当社は、手許の現金、現在の借入枠や営業活動によるキャッシュ・インで当面必要とされる資金需要を十分に満たせると考えておりますが、それは保証されている訳ではありません。当社の営業活動によるキャッシュ・インが想定より少なかった場合、当社は、追加借入の実施、他の資金調達手段の検討、または投資計画の修正を行う可能性があります。 (10) 偶発債務当社の取引に関連して、顧客の債務に対する保証履行のような偶発債務を負うことがあります。当社は、世界各国のサプライヤーや顧客と多種多様な営業活動を行うことにより、営業債権及び保証等に係る信用リスクを分散させており、これらに関し重大な追加損失は発生しないものと見込んでおります。当社の当期末における保証に対する偶発債務の残高(最長期限2049年)は2,222億円で、このうち持分法適用会社の債務に対する保証が1,354億円、第三者の債務に対する保証が868億円です。これらの保証は主に持分法適用会社、サプライヤー、及び顧客の信用を補完するために行っているものであります。 (11) 訴訟等当社は、事業遂行上偶発的に発生する訴訟や訴訟に至らない請求等を受けておりますが、当社の経営上、重要な影響を及ぼすものはありません。 (12) 未適用の新たな基準書及び解釈指針連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針の新設または改訂は次のとおりであり、2024年3月31日現在において当社はこれらを適用しておりません。適用による当社への影響は検討中であり、現時点で見積ることはできません。 基準書基準名強制適用時期(以降開始年度)当社適用年度新設・改訂の概要IAS第7号キャッシュ・フロー計算書2024年1月1日2025年3月期サプライヤー・ファイナンス契約に関する情報の開示を要求IFRS第7号金融商品:開示IFRS第18号財務諸表における表示及び開示2027年1月1日2028年3月期企業の財務業績の報告を改善し、企業分析及び比較のためのより良い基礎を投資者に提供する新たな要求事項を導入 (13) 市場リスクに関する定量的・定性的情報当社のビジネスは、金利、外国為替レート、商品価格、株価の変動リスクを伴い、これらのリスクマネジメントを行うため、為替予約取引、通貨スワップ・オプション取引、金利スワップ・先物・オプション取引、商品先物・先渡・スワップ・オプション取引等のデリバティブを利用しております。また、後述のリスク管理体制の下、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。 金利変動リスク当社は、事業活動の中で様々な金利変動リスクに晒されております。コーポレートグループの財務・経理・リスクマネジメントグループ長が管掌する部署では、当社のビジネスに伴う金利変動リスクをモニタリングしております。特に、金利の変動は借入コストに影響を与えます。これは、当社の借入金には変動金利で借り入れているものがあり、また、都度借換えを行う短期借入金があるためです。しかしながら、金利変動が借入コストに与える影響は、金利変動の影響を受ける資産からの収益により相殺されます。また、当社は、金利変動リスクをミニマイズするために資産・負債の金利を調整・マッチングさせるよう、金利スワップ等のデリバティブ取引を利用しております。 為替変動リスク当社は、グローバルなビジネス活動を行っており、各拠点の外貨建による売買取引、ファイナンス及び投資によって、為替変動リスクに晒されている場合があります。これらのうち、永続性の高い投資等を除いた取引については、為替変動リスクを軽減するために、各拠点において外貨借入・外貨預金等に加えて、第三者との間で、為替予約取引・通貨スワップ取引・通貨オプション取引等のデリバティブ取引を必要に応じ行っております。 商品市況変動リスク当社は、貴金属、非鉄金属、燃料、及び農産物等の現物取引、並びに鉱物、石油、及びガス開発プロジェクトへの投資を行っており、関連する商品価格の変動リスクに晒されております。当社は、商品の売り繋ぎや売り買い数量・時期等のマッチング、デリバティブ等の活用によって、商品価格の変動によるリスクを減少させるよう努めております。また、予め決められたポジション限度・損失限度枠内で、トレーディング目的のデリバティブ取引も限定的に実施しております。 株価変動リスク当社は、戦略的な目的で金融機関や顧客・サプライヤーが発行する株式等への投資を行っておりますが、これらの株式投資には株価変動リスクが伴います。これらの株式投資に関しては、継続的なヘッジ手段を講じておりません。当社が保有する市場性のある株式の当期末における公正価値は、3,129億円であります。 リスク管理体制デリバティブや市場リスクを伴う取引を行う営業部は、取引規模に応じてマネジメントの承認を事前に取得しなければなりません。マネジメントは、場合によってはデリバティブについて専門的知識を有するスタッフのサポートを得て、案件の要否を判断し、当該申請における、取引の目的、利用市場、取引相手先、与信限度、取引限度、損失限度を明確にします。財務・経理・リスクマネジメントグループ長が管掌する部署は、取引の実施・モニタリングに際して、以下の機能を提供しております。・金融商品及び市況商品のデリバティブに関する口座開設、取引確認、代金決済と引渡し、帳簿記録の保管等のバックオフィス業務・ポジション残高の照合・ポジションのモニタリングと全社ベースでの関連取引のリスク分析・計測、シニアマネジメントへの定期的な報告当社の子会社が市況商品取引を行う際には、上記のリスク管理体制に沿うことを要求しております。 |
※本記事は「住友商事株式会社」の令和6年月3期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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