会社名 | 丸紅株式会社 |
業種 | 卸売業 |
従業員数 | 連50200名 単4337名 |
従業員平均年齢 | 42.4歳 |
従業員平均勤続年数 | 17.9年 |
平均年収 | 16546676円 |
1株当たりの純資産 | 532.55円 |
1株当たりの純利益 | 219.37円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 85円 |
配当性向 | 38.7% |
株価収益率(PER) | 11.98倍 |
自己資本利益率(ROE) | 46.18% |
営業活動によるCF | 4424億円 |
投資活動によるCF | ▲3344億円 |
財務活動によるCF | ▲2541億円 |
研究開発費※1 | -円 |
設備投資額※1 | -円 |
販売費および一般管理費※1 | 126.05億円 |
株主資本比率※2 | 25.8% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)経営環境当社グループを取り巻く経営環境を見ますと、既成概念のディスラプションにより、経営環境の急激な変化に直面しております。新型コロナウイルス感染症を契機として変容した行動様式の風化、生成AI等の急速な発展による産業変革の加速・ビジネスモデルのライフサイクル短期化、景気後退懸念と金融政策転換の予測困難性の増大、地政学的リスクの続発、経済と安全保障の連環の高まり、環境課題・ガバナンス・人的資本等のサステナビリティ経営への要請等、当社グループにとって機会と脅威が同時に到来しております。変化は成長オポチュニティとなる一方で、既存ビジネスモデルは陳腐化リスクにさらされており、これまでのように商品軸をベースとするアプローチだけではもはやソリューションは作り出せなくなると考えております。 (2)会社の経営の基本方針当社グループは、前中期経営戦略「GC2021」において定めた2030年に向けた丸紅グループが目指す長期的な方向性を継続し、社会・顧客の課題と向き合い、新たな価値を創出すべく、中期経営戦略「GC2024」を策定し、2022年度よりスタートしております。 <中期経営戦略「GC2024」基本方針>○既存事業の強化と新たなビジネスモデル創出を重層的に追求し、着実な収益の柱を育成・確立○「グリーン事業(*1)の強化」、「全事業のグリーン化推進」によりグリーンのトップランナーへ「グリーン事業の強化」・強固な事業基盤、高い競争力を有する既存グリーン事業の強化・拡大・既存の事業基盤・ネットワークの活用、全社横断的な取組みの推進による新たなグリーン事業の創出(*1)脱炭素・循環経済等、地球環境に対しポジティブな影響を与えるサステナブルな事業、及びそれらの事業が必要としかつ代替困難な原材料等を供給する周辺領域「全事業のグリーン化推進」・環境負荷の低減、循環経済への移行を全事業領域において追求・顧客・パートナーとの協働による持続可能なサプライチェーンの構築・脱炭素社会への移行に欠かせない取組み(天然ガス・LNG等) <中期経営戦略「GC2024」の定量目標>中期経営戦略「GC2024」における定量目標及び2024年度見通しは以下のとおりであります。経営指標定量目標2022年度実績2023年度実績2024年度見通し連結純利益4,000億円(2024年度)5,430億円4,714億円4,800億円基礎営業キャッシュ・フロー(*2)3ヵ年累計13,000億円5,842億円5,480億円5,700億円(3ヵ年累計約17,000億円)ROE(ネットDEレシオ)15%(0.7~0.8倍程度)22.4%(0.52倍)15.2%(0.55倍)15%程度(0.6~0.7倍程度)(*2)調整後営業利益(売上総利益+販売費及び一般管理費)に、営業活動によるキャッシュ・フローのうち、「減価償却費等」、「利息の受取額及び支払額」、「配当金の受取額」及び「法人所得税の支払額」を合計した額。 <中期経営戦略「GC2024」の進捗と利益成長イメージ>「既存事業のオーガニック成長」・2018年度から2023年度にかけての実態純利益(*3)の推移は以下のとおりであります。 2018年度実績2023年度実績2018~2023年度増益額CAGR(*4)全社2,560億円4,670億円+2,110億円+13%非資源分野1,970億円3,070億円+1,100億円+9%資源分野690億円1,520億円+830億円+17%(*3)純利益から一過性要因を控除した概数(*4)年平均成長率・各事業の競争優位性の強化・拡大と、改善余地の大きい事業の収益性をターンアラウンドにより改善することで更なる利益成長を目指す 「成長投資」・中期経営戦略「GC2024」の成長投資(新規投資・CAPEX等)はこれまで順調に進捗しており、3ヵ年累計の計画1兆円に対し約1.3兆円となる見通し・案件パイプラインは豊富。財務規律・投資規律を重視しながら、ROE15%の維持・向上に向けて成長投資、資産入替えを行い、利益の底上げを図る 「更なる利益成長に向けて」・既存事業領域の強化により、中期経営戦略「GC2024」において年間4,000~4,500億円の収益基盤を確立・中期経営戦略期間を経るごとに利益規模を順調に拡大し、中期経営戦略「GC2018」開始以降のCAGRは14%の実績・既存事業のオーガニック成長と成長投資を通じた戦略追求により次の利益ステージを目指す 「資本配分」・収益力の向上により、中期経営戦略「GC2024」の当初計画と比べ基礎営業キャッシュ・フローが大幅増。また投資の回収もGavilon穀物事業の売却を実現したことにより2倍以上に増加・これらによって経営資源の追加配分余地を創出。継続的に財務基盤を充実・強化すると同時に、成長投資(新規投資・CAPEX等)と株主還元を強化していく・当面のネットDEレシオは0.6~0.7倍程度を想定 「グリーン戦略」・営業本部別グリーン戦略を現場主導で実践・進捗状況はTNFD提言に基づき開示予定(2024年度中)・GHG排出量の開示を拡充(Scope3全カテゴリー/2024年度中)当社グループのサステナビリティの全体像については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 (3)ロシア関連ビジネスへの取組み方針当社グループは、日本政府が国際社会と協調するロシアに対する制裁方針を遵守します。ロシア関連新規取引については制裁方針の対象とならないケースも含めて凍結とし、既存取引についても可能な限り解約を交渉する方針としております。今後も、個別案件への対応を含めて情報を収集し状況を精査しつつ、人々の安全確保を第一に考えながら、政府をはじめとする関係各所とも協議のうえ、適切な対応を検討してまいります。 (将来に関する記述等についてのご注意)本報告書に記載されている将来に関する記述は、当社が当有価証券報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要① 当連結会計年度における経済環境及びオペレーティング・セグメント別の事業の状況経済環境世界経済は、多くの国でインフレが依然中銀目標を上回るペースで推移するなか、欧米を中心とした金融引締め姿勢が継続し、景気の減速感が強まりました。先進国では、米国が底堅く推移した一方、欧州は景気減速が一段と進行しました。日本は新型コロナ対策緩和を背景に内需やインバウンド需要が回復し、設備投資も堅調に推移しました。新興国では、中国は景気回復が進むも不動産市場の低迷等を理由として力強さに欠けており、アジア諸国を中心に景気が減速しました。一次産品価格は、世界経済の減速に伴う需要後退が重しとなり、総じて昨年度と比べて安値圏で推移しました。原油価格は昨年度から下落しましたが、産油国の減産や中東情勢緊迫により年明け以降は上昇に転じました。中国が世界最大の輸入国である銅や鉄鉱石の価格は、同国の景気回復ペース鈍化が重しとなりましたが、供給懸念もあり概ね昨年度並みで推移しました。欧米の債券市場では中央銀行による金融引締めにより金利が上昇しました。円相場は円安・ドル高が進行しました。株式市場は日欧米を中心に昨年度と比べて高値圏での推移が続きました。 オペレーティング・セグメント別の事業の状況当連結会計年度におけるオペレーティング・セグメント別の事業の状況は、以下のとおりであります。 ・ライフスタイルライフスタイル事業では、丸紅ファッションリンクにてラグジュアリーレディースウェアブランド「バイ・マレーネ・ビルガー」の日本における独占輸入販売権を獲得し、同ブランド商品の拡販に注力しています。環境配慮型事業では、繊維及びタイヤのリサイクル事業の構築に向けた取組みを推進しています。カーメンテナンス事業では、メキシコのRadial Llantasを子会社化し、同国での事業拡大を加速させたほか、タイ・インドネシアでも順調に小売店舗網を拡大し、全世界で約340店舗を展開しています。コンベヤベルトディストリビューション事業では、カナダのAlternative Belting Enterprises及びAlternative Belting (Van Island) Enterprisesを買収する等、北米地域における拠点拡充を推進しています。 ・情報ソリューションデジタル技術の進展によるIT市場の急速な構造変化に迅速かつ戦略的に対応すべく、2023年4月に丸紅I-DIGIOホールディングスを設立し、傘下に丸紅情報システムズ、丸紅ネットワークソリューションズ、丸紅ITソリューションズ、イーツのIT関連4社を集約して「丸紅I-DIGIOグループ」として新たに始動しました。強みとする事業分野を機能別に確立・推進してきた各社のノウハウ・リソースの融合や先進技術・成長領域への投資を通じて、今後益々多様化する顧客のニーズに対し、幅広い対応力を持つソリューションプロバイダーとして、ワンストップで応えてまいります。 ・食料第一多様化する食のニーズに応えるべく、スペシャリティ商品のマーケティングと生産製造機能の強化に注力しています。菓子分野では「ヨーグレット」「ハイレモン」等のブランドを展開するアトリオン製菓を通じ、多様化するマーケットニーズに応え、更なる成長を図ります。飲料分野では、インスタントコーヒー製造販売会社であるIguacu Vietnamが本格稼働し、伸長するアセアン市場で更なる事業拡大を目指します。また、コーヒーの産地支援や陸上養殖サーモンをはじめとした「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に貢献するビジネスを推進し、環境配慮型食料事業を拡大していきます。 ・食料第二食の中心となる穀物、搾油原料、動物性タンパク質、及び家畜の肥育に必要な飼料の安定供給を通じて、持続可能な農業・飼料製造販売業・畜産業への貢献とトータルソリューション提供に取り組んでいます。穀物分野では、最大の生産拠点である北米・南米に保有する穀物集荷・輸出設備から、日本国内の輸入ターミナルや飼料工場へ繋がるサプライチェーンの収益基盤強化を推進します。また、米国においては、オーガニック穀物・雑豆等の消費者向け販売事業へ本格参入しました。畜産分野では、高品質なプレミアム牛肉処理加工販売を行うCreekstone Holdingを中心として、食に不可欠な動物性タンパク質の安定供給と事業基盤の拡大に努めていきます。 ・アグリ事業農業資材リテール事業では、ITを駆使した精密農業による顧客向けソリューション能力の更なる向上と、Helena Agri-Enterprisesをはじめとしたグループ会社にて蓄積してきたノウハウの活用を通じ、米国・ブラジル・欧州・アジアにおける農業の発展に貢献すべく更なる事業拡大を目指しています。また、肥料ホールセール事業では、MacroSourceが、北米を中心に南米、アフリカその他の地域にわたり事業を展開しており、当社グループの肥料供給能力の強化を行ってまいります。作物の収量を向上させることに加え、環境負荷に配慮した農業資材を取り扱う等、事業による環境負荷の低減にも貢献していきます。 ・フォレストプロダクツインドネシアや豪州において長年にわたり植林事業を手掛けており、その知見を活かして国内外で、素材価値と環境価値のバランスに配慮した新たな植林事業にも着手しています。また、木質資源の活用の一環として、バイオマス燃料用ペレットの供給ソース開発やバイオリファイナリー等の新素材分野への展開も進めています。パッケージ分野では、国内外で段ボール原紙製造販売メーカーを経営し、製造・流通が一体となった事業展開を進めています。衛生紙分野では、ブラジルにてSanther – Fabrica de Papel Santa Therezinhaを通じ衛生紙の製造販売事業を行っており、消費者の安心・快適な生活の実現に寄与していきます。 ・化学品業界トップクラスのシェアを持つ石油化学品トレードでの需給調整機能の高度化、蓄電池・ディスプレイ・太陽光発電機器に代表されるエレクトロニクス等のスペシャリティ分野におけるソリューション提供型ビジネスの深化を国内外で推し進めています。食品機能材・飼料添加剤等のライフサイエンス分野では、2023年12月に欧州の大手香辛料・調味料メーカーのEuroma Holdingを100%子会社化する等ビジネスを拡大しました。これらに加え、環境に配慮した素材、バイオ燃料を使用した化学品運搬船の運航をはじめとしたサステナブルな社会に向けた新しい顧客ニーズへの対応等、これまでの化学品の枠を超えた新しい商品や仕組み作りにも取り組んでいます。 ・金属銅鉱山、鉄鉱山、原料炭炭鉱の中核鉱山事業において、生産の最適化や先進技術の導入、再生可能エネルギー利用や水資源保全等鉱山のグリーン化による持続可能な操業を行っています。2023年12月にはチリ・センチネラ銅鉱山の拡張プロジェクトの投資意思決定を行いました。また、JX金属株式会社からのロスペランブレス銅鉱山権益の追加取得及びパンパシフィック・カッパーの株式取得に合意しました。既存事業の拡張、新規鉱区の開発、サプライチェーン強化による収益力向上に取り組むとともに、CCS(*)事業や廃電池リサイクル事業、低炭素アルミニウム事業等環境に配慮した資源・素材の責任ある供給を通じ、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。(*) Carbon Capture and Storageの略称、二酸化炭素回収・貯留 ・新エネルギー開発推進部(*)新エネルギー関連事業の取組みを強化すべく、2024年3月期より新エネルギー開発推進部を新設し、脱炭素社会実現に向けた取組みを進めています。豪州では、南豪州におけるグリーン水素製造実証の取組みに加え、クイーンズランド州において再生可能エネルギー由来のグリーン水素を製造・液化し、日本や同州のアンモニア合成施設へ供給するプロジェクトの基本設計作業を開始しました。カナダでも、エネルギーインフラ事業者のペンビナ社と低炭素アンモニアサプライチェーン構築に係る事業化調査を開始しております。引き続き水素・アンモニア、SAF・合成燃料(e-メタン等)をはじめとする複数の新エネルギー事業を推進してまいります。(*) 当連結会計年度より新設された「新エネルギー開発推進部」(「エネルギー」「電力」「インフラプロジェクト」の一部を編入)は独立したオペレーティング・セグメントではなく、その損益等については、オペレーティング・セグメントの「エネルギー」「電力」「インフラプロジェクト」にそれぞれ配賦しております。 ・エネルギー相対的に低炭素でエネルギー転換期においてその重要性を増す天然ガス・LNG事業分野における安定操業や資産価値向上に資する取組みを着実に進めています。また、当社が強みを持つ石油、天然ガス・LNG、ウラン等のトレーディング&マーケティング分野においても、着実に収益拡大に向けた取組みを推進しています。エネルギーや原料の安定供給への貢献と、2023年6月に実施済みの廃食油・グリーンメタノールを原料としたバイオ燃料の外航船への供給をはじめとする、バイオ燃料取引の拡充や環境価値取引の強化等の脱炭素化への取組みを両立しながら、事業基盤を強化・発展させてまいります。 ・電力発電事業分野では、岐阜県安八郡神戸町での域内国産材バイオマス発電事業等国内外で複数の再生可能エネルギーを利用した発電所が商業運転を開始しました。電力サービス事業分野では、日英米豪での再エネ小売取引の拡大、サウジアラビア王国における屋根置き型太陽光発電システムを活用した長期売電契約の締結、国内における使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクル関連サービスの開始等、新たなグリーン事業の創出に寄与する取組みを推進しています。また、英国政府ビジネス・通商省との洋上風力発電・水素等のクリーンエネルギー事業の協力に関する覚書の締結等、脱炭素社会実現に向けた取組みを強化しています。 ・インフラプロジェクト水分野では、AI・機械学習を用いた劣化予測診断により、自治体向けに水道管路の更新最適化サービスを提供しています。社会インフラ分野では、等々力緑地の運営・維持管理ビジネスに参画し、等々力緑地の魅力向上に取り組んでいます。交通インフラ分野では、国内の交通事業者や自治体と協働し、公共交通機関における顔認証技術を用いた運賃決済システムの実証実験を行っています。循環経済ビジネス分野では、米国・英国でのバイオメタン生産及び販売事業に加え、ごみを原料とした分散型の発電事業に着手しました。インフラファンド分野では、海外インフラ資産を対象とする1号ファンドの投資が完了するとともに2号ファンドを組成し、投資家の募集と資産積上げを進めています。 ・航空・船舶航空分野では、航空機用消耗部品の販売事業者である米国企業の株式取得を行ったほか、航空機の整備・解体事業を行う合弁会社をマレーシアにて設立しました。また、衛星軌道投入・軌道上サービスを提供する企業や、AIを用いた空港グランドハンドリング業務の可視化を行う企業に出資参画する等、既存事業の強化・拡充を行いました。船舶分野では、運航事業のサービスやデジタル解析の機会拡大を図り、ノルウェーの大手海運会社であるKLAVENESS DRY BULKへ出資しました。また、船舶用周辺認知システム、風力推進装置の開発企業との業務提携、公益財団法人日本財団が推進する無人運航船プロジェクトへの参画等、新規ビジネスの創出も推進しています。 ・金融・リース・不動産航空機リース事業では、航空旅客需要の回復に伴い、みずほリース株式会社と共同でAircastleに対する総額5億米ドルの増資引受契約を締結しました。国内中堅企業を投資対象としたアイ・シグマ事業支援ファンドでは2社の売却を実現し、アジア地域の企業投資を目的として、株式会社アドバンテッジパートナーズとともにAP Asia Fund IIを設立しました。不動産分野では、戦略的協業先のDMCIグループとフィリピン・マニラ近郊で住宅開発・分譲事業に参入しました。保険事業では、お金の相談サービス「マネーキャリア」を運営するWizleapに出資参画し、デジタルを活用した個人向け金融コンサルティング事業を開始しました。 ・建機・産機・モビリティ百年に一度の大変革期にある建機・産機・モビリティ領域では、DX・IoTによるバリューチェーン全体での収益化を推進しております。建機や自動車分野では、これまで販売・アフターサービス事業が中心でしたが、建機のICT化、車両の電動化・コネクテッド化の潮流を捉え、新車導入からメンテナンス、運行管理、中古車取扱いまでを一貫して行う体制を構築してまいります。また、モビリティ分野では、オンデマンド交通及びラストマイル配送の実証と並行し、自動運転社会を見据えた取組みを推進中です。産機分野では、産業機械・工作機械の販売と部品ディストリビューション事業を拡大中で、製造業向けソリューション事業も推進してまいります。 ・次世代事業開発2030年に向けた成長領域において、過去の成功事業からの当社の勝ち筋より次世代事業開発の要諦を定め、事業開発を行っています。次世代産業基盤、DX・ITサービス、医薬品・医療サービス、ウェルネス・ビューティー、コンシューマーブランド等の領域で事業開発・投資を積極的に実施しています。世の中の健康志向や生活習慣の変化によるニーズ拡大を背景に、中東医薬品事業を拡充し、タイ・日本でのコスメ事業に参画しています。次世代産業基盤では、エストニア・ドイツにおける次世代蓄電池事業にも参画しています。時代の変化を敏感に捉えるべく新たな成長領域・テーマの発掘・探索も積極的に推進しています。 ・次世代コーポレートディベロップメントコーポレートディベロップメント事業では、成長ポテンシャルの高い消費者向けビジネスへの投資を推進しています。東南アジアでは、コーヒーチェーンのフランチャイズ事業であるティムホートンズ案件にて、シンガポールにおける店舗展開を開始したことに加え、ベトナム最大手の食品原料・機能性食品素材サプライヤーであるAIG Asia Ingredients、及びインドネシアの医療用消費財メーカーのOne-ject Indonesiaへ出資しました。また、米国の投資拠点も本格稼働し、東南アジア・米国から事業機会獲得に取り組んでいます。スタートアップ事業では、コーポレートベンチャーキャピタルを通じて、世界の革新的なビジネスモデルの取込みを推進しています。 ② 当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」に記載のとおりであります。 ③ 仕入、成約及び販売の実績(a)仕入の実績仕入と販売との差異は僅少であるため、仕入高の記載は省略しております。(b)成約の実績成約と販売との差異は僅少であるため、成約高の記載は省略しております。(c)販売の実績「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」及び「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記4 セグメント情報」に記載のとおりであります。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 当連結会計年度の経営成績の分析 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度 増減収益9,190,4727,250,515 △1,939,957売上総利益1,051,2951,065,818 14,523営業利益340,814276,321 △64,493持分法による投資損益286,767311,398 24,631親会社の所有者に帰属する当期利益543,001471,412 △71,589(注)「営業利益」は、投資家の便宜を考慮し、日本の会計慣行に従った自主的な表示であり、IFRSで求められている表示ではありません。「営業利益」は、連結包括利益計算書における「売上総利益」、「販売費及び一般管理費」及び「貸倒引当金繰入額」の合計額として表示しております。 収益は前連結会計年度比(以下「前年度比」という。)1兆9,400億円(21.1%)減収の7兆2,505億円となりました。オペレーティング・セグメント別には、主に食料第二でGavilon穀物事業の売却に伴い減収となりました。 売上総利益は前年度比145億円(1.4%)増益の1兆658億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な増減は以下のとおりであります。 アグリ事業276億円増益米国肥料卸売事業の改善 建機・産機・モビリティ188億円増益販売台数等の増加に伴う自動車関連事業及び建設機械事業の増益 金属288億円減益商品価格の下落に伴う豪州原料炭事業の減益 営業利益は、販売費及び一般管理費の増加により、前年度比645億円(18.9%)減益の2,763億円となりました。 持分法による投資損益は前年度比246億円(8.6%)増益の3,114億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な増減は以下のとおりであります。 フォレストプロダクツ139億円増益前年度に計上した国内洋紙製造・販売事業投資の減損損失の反動等 電力85億円増益海外発電事業の増益等 金属164億円減益商品価格の下落に伴う豪州原料炭事業の減益等 上記に加えて、前連結会計年度に計上したGavilon穀物事業売却益の反動もあった結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度比716億円(13.2%)減益の4,714億円となりました。 当連結会計年度のオペレーティング・セグメント別の業績(親会社の所有者に帰属する当期利益)は以下のとおりであります。 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度 増減ライフスタイル6,7999,911 3,112情報ソリューション9,5347,768 △1,766食料第一11,55316,982 5,429食料第二76,93417,997 △58,937アグリ事業42,73241,503 △1,229フォレストプロダクツ△9,382△14,180 △4,798化学品14,2607,019 △7,241金属199,359163,479 △35,880エネルギー38,66339,233 570電力40,00847,326 7,318インフラプロジェクト8,80916,937 8,128航空・船舶28,19826,384 △1,814金融・リース・不動産43,74543,877 132建機・産機・モビリティ23,84627,147 3,301次世代事業開発△5,130340 5,470次世代コーポレートディベロップメント△1,979△3,056 △1,077その他15,05222,745 7,693全社合計543,001471,412 △71,589(注)1. 当連結会計年度より、「情報・物流」を「情報ソリューション」に名称変更するとともに、「ライフスタイル」の一部を「金融・リース・不動産」及び「次世代事業開発」に、「情報・物流」の一部を「次世代事業開発」に、「エネルギー」の一部を「電力」に、「次世代事業開発」の一部を「化学品」に、「その他」の一部を「情報ソリューション」に、それぞれ編入しております。これらの変更に伴い、前連結会計年度のオペレーティング・セグメント情報を組み替えて表示しております。なお、当連結会計年度より新設された「新エネルギー開発推進部」(「エネルギー」「電力」「インフラプロジェクト」の一部を編入)の損益等については、「エネルギー」「電力」「インフラプロジェクト」にそれぞれ配賦しており、これに伴い、前連結会計年度のオペレーティング・セグメント情報を組み替えて表示しております。2. セグメント間取引は、通常の市場価格により行われております。3. 「その他」には、特定のオペレーティング・セグメントに配賦されない本部経費等の損益、セグメント間の内部取引消去等が含まれております。 ライフスタイル親会社の所有者に帰属する当期利益(以下「当期利益」という。)は、衣料品等の取引における増益及び前年度に計上した衣料品等の企画・製造・販売事業に関連する一過性損失の反動により、前年度比31億円増益の99億円となりました。 情報ソリューション当期利益は、IT関連事業の中間持株会社設立に伴う経費増加等により、前年度比18億円減益の78億円となりました。 食料第一当期利益は前年度比54億円増益の170億円となりました。これは、インスタントコーヒーの製造・販売事業、即席麺等の製造・販売事業及び国内菓子卸事業の増益によるものです。 食料第二当期利益は、前年度に計上したGavilon穀物事業売却益の反動及び肉牛処理加工・販売事業の減益等により、前年度比589億円減益の180億円となりました。 アグリ事業当期利益は、米国肥料卸売事業の改善があったものの、農薬等の農業資材価格下落を背景としたHelena社の減益により、前年度比12億円減益の415億円となりました。 フォレストプロダクツ当期損失は前年度比48億円悪化の142億円となりました。これは、前年度に計上した国内洋紙製造・販売事業投資の減損損失の反動等があったものの、パルプ市況悪化に伴うムシパルプ事業の減益に加え、当年度においてもベトナム段ボール原紙の製造・販売及び包装資材の販売事業における固定資産の減損損失があったことによるものです。 化学品当期利益は、飼料添加剤販売事業におけるのれんの減損損失及び石油化学品・無機化学品取引の減益等により、前年度比72億円減益の70億円となりました。 金属当期利益は、商品価格の下落に伴う豪州原料炭事業の減益等により、前年度比359億円減益の1,635億円となりました。 エネルギー当期利益は、原油・ガス価格の下落等に伴う石油・ガス開発事業の減益等があったものの、前年度に計上した石油・ガス開発事業における一過性損失の反動等により、前年度比6億円増益の392億円となりました。 電力当期利益は、海外発電事業の増益等により、前年度比73億円増益の473億円となりました。 インフラプロジェクト当期利益は、海外インフラ案件における一過性利益等により、前年度比81億円増益の169億円となりました。 航空・船舶当期利益は、航空関連事業における需要回復に伴う増益があったものの、船舶市況の悪化に伴う船舶保有運航事業の減益により、前年度比18億円減益の264億円となりました。 金融・リース・不動産当期利益は前年度比1億円増益の439億円となりました。これは、米国中古車販売金融事業の減益があったものの、米国航空機リース事業における一部ロシア向け機体の和解金受領及び国内不動産事業の増益等があったことによるものです。 建機・産機・モビリティ当期利益は、建設機械事業の増益により、前年度比33億円増益の271億円となりました。 次世代事業開発当期利益(損失)は、前年度に計上した貸倒費用の反動等に加え、中東における医薬品・医療機器販売事業の増益もあり、前年度比55億円改善の3億円の利益となりました。 次世代コーポレートディベロップメント当期損失は、傘下事業会社の立ち上げに伴う経費増加等により、前年度比11億円悪化の31億円となりました。 ② 当連結会計年度のキャッシュ・フロー及び財政状態の状況の分析、並びに資本の財源及び資金の流動性(a)キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末比(以下「前年度末比」という。)1,027億円減少の5,063億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業資金負担等の増加があったものの、営業収入及び配当収入により、4,425億円の収入となりました。前年度比では1,639億円の収入の減少であります。 基礎営業キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローから、営業資金の増減等を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」は、5,480億円となりました。その内訳は以下のとおりであります。 (収入:+、支出:△)調整後営業利益(売上総利益+販売費及び一般管理費)+2,846億円減価償却費等+1,777億円利息の受取額及び支払額△471億円配当金の受取額+2,244億円法人所得税の支払額△916億円基礎営業キャッシュ・フロー+5,480億円 (投資活動によるキャッシュ・フロー)海外事業における資本的支出や持分法適用会社の株式取得等により、3,344億円の支出となりました。前年度比では4,912億円の支出の増加であります。 回収当連結会計年度における投資の回収等(*1)による収入は、1,072億円となりました。(*1)投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の売却による収入」、「貸付金の回収による収入」、「子会社の売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後)」及び「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の売却による収入」の合計額 新規投資・CAPEX(資本的支出)当連結会計年度における新規投資・CAPEX(資本的支出)等(*2)による支出は、4,416億円となりました。(*2)投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の取得による支出」、「貸付による支出」、「子会社の取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)」、「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の取得による支出」及び「定期預金の純増減額」の合計額 ビジネスモデル別の主な新規投資は以下のとおりであります。 セールス&マーケティング事業・航空機用部品の販売事業(米国 DASI)・非鉄金属製品の製造委託・販売(日本 パンパシフィック・カッパー)・自動車アフターマーケット事業(米国 MAIHO Ⅲ関連)・農業資材関連事業(米国 Helena Agri-Enterprises関連)・農業資材関連事業(ブラジル Adubos Real関連)・香辛料・調味料の製造・販売事業(オランダ Euroma Holding)・食品原料・機能性食品素材の製造・販売事業(ベトナム AIG Asia Ingredients)・医薬品・医療機器販売事業(UAE Lunatus Marketing & Consulting)・医療用消費財の製造事業(インドネシア One-ject Indonesia) ファイナンス事業・航空機リース事業(米国 Aircastle) 安定収益型事業・再生可能エネルギー等発電事業・海外水事業 資源投資・チリ・ロスペランブレス銅鉱山権益の追加取得 以上により、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、1,080億円の収入となりました。前年度比では6,551億円の収入の減少であります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)配当金の支払及び自己株式の取得を行った結果、2,542億円の支出となりました。前年度比では5,124億円の支出の減少であります。 (b)財政状態の状況 (単位:百万円) 前連結会計年度末当連結会計年度末 増減総資産7,953,6048,923,597 969,993ネット有利子負債1,483,0851,902,395 419,310親会社の所有者に帰属する持分合計2,877,7473,459,682 581,935ネットDEレシオ0.52倍0.55倍 0.03ポイント(注)ネット有利子負債は、社債及び借入金(流動・非流動)の合計額から現金及び現金同等物、定期預金を差し引いて算出しております。 当連結会計年度末における総資産は、円安の影響等により、前年度末比9,700億円増加の8兆9,236億円となりました。ネット有利子負債は、フリーキャッシュ・フローでの収入があったものの、永久劣後特約付ローンの任意弁済(※)や支払配当による増加があったこと等により、前年度末比4,193億円増加の1兆9,024億円となりました。親会社の所有者に帰属する持分合計は、永久劣後特約付ローンの任意弁済(※)による減少があったものの、純利益の積上げによる利益剰余金の増加及び円安による在外営業活動体の換算差額の増加により、前年度末比5,819億円増加の3兆4,597億円となりました。この結果、ネットDEレシオは0.55倍となりました。 (※)当社は、永久劣後特約付ローン1,500億円を有しておりましたが、2023年8月16日に任意弁済しております。本ローンはIFRS上、資本性金融商品に分類されていたため、本弁済により資本が1,500億円減少しております。 (c)資本政策及び資本コストに関する考え方当社は、中長期的な企業価値の向上を追求するため、稼ぐ力の継続強化、ROEの維持・向上、株主資本コストの低減を目指しております。現中期経営戦略「GC2024」では、ROIC、CROIC、RORAにより資本効率・リスクリターン効率を定期的にモニタリングすることで資産の優良化を図るとともに、事業指針SPPに則った戦略的資本配分により基礎営業キャッシュ・フローの最大化を目指し、ROEの維持・向上に取り組んでいきます。株主資本コストを十分に意識した経営を実施すべく、財務レバレッジの適正化のみならず、投資規律の徹底や投資の精度向上、資産の優良化といった業績ボラティリティの低減に向けた取組みを行っています。また、株主還元方針では、GC2024期間中の株主還元として、累進配当を導入しております。配当の安定は、株主資本コストの低減にも資すると考えています。加えて、コーポレート・ガバナンスや気候変動対策を含むサステナビリティへの取組み、人財戦略等、非財務面での施策も推進することで、中長期的な企業価値向上に向けた株主資本コストの低減に取り組んでいます。 当連結会計年度における資本配分の状況は以下のとおりであります。当連結会計年度における基礎営業キャッシュ・フローは5,480億円の収入となり、子会社や持分法で会計処理される投資の売却等の投資活動による収入と合わせた収入合計額は6,552億円となりました。一方で、新規投資・CAPEX等の投資活動による支出は4,416億円となり、更に親会社の株主に対する配当金及び自己株式の取得資金1,886億円を控除した株主還元後フリーキャッシュ・フロー(営業資金増減等を除く)(※)は、249億円の収入となっております。また、当社の資本配分方針、株主還元方針は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第4 提出会社の状況」における「3 配当政策」に記載のとおりであります。(※)基礎営業キャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額から、親会社の株主に対する配当金及び自己株式の取得資金を控除したもの。 (d)資金調達の方針及び手段当社及び連結子会社の資金調達に関しては、資産構成に合わせた最適資金調達を基本方針としております。銀行、生保等の国内金融機関を中心とした間接調達、及び社債(国内社債発行登録枠2,000億円を設定)、コマーシャル・ペーパーの発行を通じた直接調達をバランスよく組み合わせることにより、必要資金を確保するとともに、長年にわたり金融機関・市場関係者と培った関係性を活かしながら、安定的な資金調達と金融費用の削減を目指しております。また、財務基盤の強化に資する調達として、永久劣後特約付ローン1,500億円、ハイブリッド社債(劣後特約付)750億円、ハイブリッドローン(コミット型劣後特約付)250億円を有しておりましたが、このうち、永久劣後特約付ローン1,500億円を2023年8月16日に任意弁済しました。 連結子会社を含む当社グループの資金管理については、原則として、当社及び国内外の金融子会社、海外現地法人等の調達拠点を通じて、資金余剰のあるグループ会社の余資を、他のグループ会社の資金需要に機動的に活用することで、グループ全体における効率的な調達体制を維持しております。 格付について、当社はムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody’s)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)、株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)の4社から格付を取得しております。当連結会計年度末現在の長期格付は、Moody’sがBaa1(見通し「安定的」)、S&PがBBB+(見通し「安定的」)、R&IがAA-(見通し「安定的」)、JCRがAA-(見通し「安定的」)となっております。なお、JCRは2024年6月4日に長期格付をAA(見通し「安定的」)に引き上げております。 (e)流動性の状況当社及び連結子会社では、基礎営業キャッシュ・フロー等の収入や手元流動性(現金及び現金同等物並びに定期預金の保有)の確保に加え、コミットメントラインの設定により、営業資金や新規投資・CAPEX(資本的支出)といった資金需要、並びに1年以内に返済予定の長期債務を含む短期債務に対する流動性を準備しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物並びに定期預金の残高は5,063億円となっております。設定しているコミットメントラインは以下のとおりであります。 ・大手邦銀を主としたシンジケート団による3,000億円(長期)・欧米主要銀行を主としたシンジケート団による850百万米ドル(長期) ③ 重要性がある会計方針及び見積り当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しており、連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、偶発資産・偶発負債の開示及び期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。この会計上の見積り及び仮定は、その性質上不確実であり、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表に特に重要な影響を与える会計上の見積り及び仮定は以下のとおりであります。 有形固定資産及び無形資産の減損当社及び連結子会社は、各報告期間の期末日に資産が減損している可能性を示す兆候の有無を判定しております。資産が減損している可能性を示す兆候の内容は、主に、事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容の見直し等によるものです。有形固定資産及び耐用年数を確定できる無形資産については、資産が減損している可能性を示す兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額の見積りを行っております。耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候があるか否かを問わず、最低限年1回定期的に資産の帳簿価額が回収可能価額を超過しているか否かを確認しております。資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産が他の資産又は資産グループから概ね独立したキャッシュ・インフローを生成しない場合を除き、個別の資産ごとに決定しております。公正価値は独立の第三者による評価結果を使用する等市場参加者間の秩序ある取引において成立し得る価格を合理的に見積り算定しております。資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合は、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しております。使用価値の算定にあたって使用される将来キャッシュ・フローは、経営者により承認された事業計画や、それが入手できない場合は、直近の資産状況を反映した事業計画によって見積っております。石油・原油等の資源事業に係る開発設備及び鉱業権においては、将来油価・ガス価、鉱区ごとの開発コスト及び埋蔵量等を主要な仮定としております。使用価値の評価にあたり、見積られた将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクに関する現在の市場評価を反映した割引率を用いて現在価値まで割り引いております。これらの主要な仮定について、事業戦略の変更や市場環境の変化等により見直しが必要となった場合並びに割引率の見直しが必要となった場合に減損損失が発生する可能性があります。減損損失認識後は、各報告期間の期末日において、過去に認識した減損損失がもはや存在しないか、又は減少している可能性を示す兆候があるか否かを判定しております。このような兆候が存在する場合は、資産の回収可能価額の見積りを行っております。見積られた回収可能価額が資産の帳簿価額を超える場合は、減損損失を戻入れております。戻入れ後の帳簿価額は、過去において当該資産について認識した減損損失がなかったとした場合の帳簿価額(減価償却累計額控除後又は償却累計額控除後)を超えない範囲で認識しております。減損損失の戻入額は純損益として認識しております。なお、のれんについて認識した減損損失を戻入れることはしておりません。 関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の減損当社及び連結子会社が保有している関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資に関して、各報告期間の期末日に総合的に判断を行い、減損の客観的証拠がある場合には、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減額は減損損失として純損益で認識しております。減損の客観的証拠の内容は、主に、市場性のある投資の市場価格の下落、事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容の見直し等によるものです。また、回収可能価額は売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としております。公正価値は主に、売却予定価格等に基づき算定しており、使用価値は主に、経営者により承認された事業計画等に基づき算定しております。これらの主要な仮定について、事業戦略の変更や市場環境の変化等により見直しが必要となった場合並びに割引率の見直しが必要となった場合に減損損失が発生する可能性があります。減損損失認識後は、認識した減損損失がもはや存在しない、又は減少している可能性を示す兆候の有無に関して、各報告期間の期末日に判定しております。このような兆候が存在する場合は、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の回収可能価額の見積りを行っております。見積られた回収可能価額がその投資の帳簿価額を超える場合は、減損損失を戻入れております。減損損失の戻入額は、その投資の回収可能価額が減損損失認識後に増加した範囲で認識しており、過去に認識した減損損失の金額を上限として純損益として認識しております。 偶発負債及び引当金引当金は、当社及び連結子会社が過去の事象の結果として、現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に認識しております。貨幣の時間価値の影響が重要である場合、引当金は当該負債に特有のリスクを反映させた割引率を用いた現在価値により測定しております。訴訟案件に関する重要な引当金や偶発負債の見積りにあたっては、見積時点における訴訟プロセスの状況、訴訟戦略上の様々な選択肢や想定される将来の訴訟の趨勢も考慮のうえ、関連する事実関係や法律関係について、社外専門家を起用のうえ、当社の主張する法的立場の客観的な分析及び評価を実施しております。訴訟において当社が最終的に損失を被る可能性が高い状況であると考えられる場合に、信頼性をもって見積ることができる金額の引当金を計上しております。 当社の経営陣は、これらの見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、想定を超えた変化等が生じた場合、当社の連結財務諸表に大きな影響を及ぼすことがあります。その他、重要性がある会計方針についての詳細は、「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記3 重要性がある会計方針」に記載のとおりであります。 ④ 経営戦略の現状と今後の見通し当社は、前中期経営戦略「GC2021」において定めた、2030年に向けた当社グループが目指す長期的な方向性を継続し、社会・顧客の課題と向き合い、新たな価値を創出すべく、中期経営戦略「GC2024」を策定し、2022年度よりスタートしております。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります。 |
※本記事は「丸紅株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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