株式会社SCREENホールディングスの基本情報

会社名株式会社SCREENホールディングス
業種電気機器
従業員数連6415名 単547名
従業員平均年齢41.4歳
従業員平均勤続年数13.3年
平均年収10625000円
1株当たりの純資産4398.46円
1株当たりの純利益(連結)1023.54円
決算時期3月
配当金308円
配当性向57.2%
株価収益率(PER)9.4倍
自己資本利益率(ROE)(連結)25.1%
営業活動によるCF712億円
投資活動によるCF▲217億円
財務活動によるCF▲464億円
研究開発費※1317.05億円
設備投資額※14.09億円
販売費および一般管理費※1611.1億円
株主資本比率※246.1%
有利子負債残高(連結)※37.57億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)企業理念 近年における社会情勢の中でDXを背景とした産業構造の変化が加速する一方、GXへの関心の高まりにより、エネルギー政策の転換も進展しています。加えて、先進国における少子高齢化や生産年齢人口の減少といった社会課題に対し、企業にはイノベーションを通じた解決策の創出が求められています。こうした環境変化を踏まえ、新しい価値を提供する「ソリューションクリエーター*」としての役割を果たすべく、企業理念のグループ全従業員への浸透を図っています。これにより、すべてのステークホルダーからの信頼と共感が得られるよう、持続可能な社会の実現に貢献していきます。 *「ソリューションクリエーター」とは、経営大綱で定められた10年後のありたい姿として、ひたむきな探求心と柔軟な発想を持って社会課題に立ち向かい、社会の持続的な発展に寄与する技術、製品、サービスなどの「新しい価値(CSV)」を事業を通じて世界中のお客さまに提供する企業体および人を指します。 (2)経営大綱 経営大綱は、10年後のありたい姿とSCREEN Value(企業価値)を高めるための基本指針として2014年に策定し、中期経営計画ごとに改定を行ってきました。 今回の経営大綱は、企業理念をもとに10年後のありたい姿を「Be a Solution Creator -共に歩む人たちと、世界が求める存在に-」と定め、その実現に向けマテリアリティの解決とSCREEN Value(企業価値)を高めるための方針と戦略を策定したものです。 (3)経営方針、経営環境及び対処すべき課題 当社グループは「ソリューションクリエーター」として事業を通じて社会課題を解決し、社会的価値と経済的価値を共に実現する共通価値(CSV)を創出することで、「SCREEN Value(企業価値)」をさらに高め、持続的な利益創出や株主還元などを推進してまいります。 Ⅰ.中期経営計画「Value Up Further 2026」 中期経営計画「Value Up Further 2026」(2025年3月期?2027年3月期)の概要および主な取り組みは、次のとおりであります。 1.基本コンセプト 「ソリューションクリエーターとして一人ひとりの成長と競争力の強化によりさらなるプレゼンス向上」 2.全体概要 中期経営計画「Value Up Further 2026」は、前中期経営計画「Value Up 2023」で高めた成長性と収益性を維持しつつ、将来を見据えた成長投資を強化する「長期の成長を支える経営基盤を構築する3年間」と位置付け、「事業成長戦略」、「経営基盤強化戦略」、「共通戦略*」の実行により、「SCREEN Value」のさらなる向上を目指してまいります。 *共通戦略:事業成長・経営基盤強化を包含する戦略  基本戦略 基本戦略に基づく具体的な取り組みは以下のとおりです。 ① 事業成長戦略の主な取り組み・ポートフォリオ戦略においては、成長性とROICの2軸にて各事業の現在位置を見える化し、それぞれのあるべき姿に向け、オペレーションの改善に加え事業構造の強化・変革に取り組んでいます。半導体製造装置事業、グラフィックアーツ機器事業において、事業の強化、選択と集中の観点からM&Aを実施する等、収益性、効率性の向上に取り組んでいます。・事業の成長戦略について、主力の半導体製造装置事業においては、要素技術と製品開発力の強化を目指し、海外での研究開発拠点の設置を計画しております。これにより、彦根事業所内の研究開発拠点とのシナジーを最大化し、顧客との協業や研究機関、取引先とのコラボレーションを推進してまいります。また、枚葉式洗浄装置においてシェアを回復しておりますが、さらなるシェア拡大に取り組んでまいります。・新規事業の創出や既存事業の強化につながるソリューションの創出を目指し、イノベーションマネジメントに取り組んでいます。2024年4月に、アドバンスドパッケージ領域のプロジェクトを育成フェーズから事業化フェーズに移行し、開発投資や生産管理体制強化に取り組んでいます。また、水素関連事業においては、「水電解CCM*量産事業」が経済産業省のGXサプライチェーン構築支援事業に採択されました。さらに継続して開発投資を進めてまいります。  *Catalyst-Coated Membrane。触媒層付き電解質膜。② 経営基盤強化戦略の主な取り組み・人財戦略においては、組織の活性化と個の成長を掲げ、経営戦略、事業戦略とリンクした人財ポートフォリオの充足に取り組むとともに、従業員エンゲージメントの向上を図っています。・財務戦略においては、自己資本比率とROICの向上の両立に取り組む中、着実な利益の積み上げにより、自己資本比率が62.7%に改善しました。また、収益性の改善やキャッシュ・フロー創出力の持続的な向上等が評価され、株式会社日本格付研究所の「長期発行体格付」は、AからA+(見通し:安定的)に格上げされました。・情報戦略(IT)に基づき、DX推進や情報セキュリティマネジメントシステムの強化に取り組んでいます。・ファシリティ戦略においては、水素関連事業の部材製造スペース拡充に加え、半導体製造装置事業のイノベーション創出を目的とした新棟S3-6(彦根事業所内)の操業を開始し、事業環境を整備しました。また、滋賀県野洲市の土地取得を決定する等、将来の事業成長に備え、先見性をもって効率的、機動的に取り組んでいます。③ 共通戦略の主な取り組み・共通戦略におけるサステナビリティ戦略については、次項目の「Ⅱ.サステナブル経営の推進」をご覧ください。 3.財務/非財務目標① 財務目標         ※下記4項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提としております。Value Up Further 2026 目標(2025年3月期?2027年3月期)初年度実績(2025年3月期)売上高累計 1.8兆円以上6,252億円営業利益率通算 19%以上21.7%ROIC最終年度 15%以上24.7%株主還元方針連結配当性向 30%以上連結配当性向30.1% 自己株式の取得状況 当社は、成長投資の進捗状況および現状のキャッシュポジションなどを総合的に勘案し、2025年2月14日の当社取締役会において、自己株式取得に係る事項について決議し、2025年4月7日に取得を完了いたしました。 1.取得対象の株式の種類 :普通株式 2.取得期間       :2025年2月17日から2025年4月7日(約定ベース) 3.取得した株式の総数  :2,979,300株              (うち当連結会計年度に1,736,800株) 4.株式の取得価額の総額 :29,999,819,435円              (うち当連結会計年度に18,926,603,477円) ② 非財務目標Value Up Further 2026 目標(2025年3月期?2027年3月期)初年度実績(2025年3月期)従業員エンゲージメントスコアの向上*好意的回答率 70%以上65%事業活動によるGHG排出(Scope1&2)70%以上削減56.4%(速報値)※2019年3月期比(排出総量)販売製品によるGHG排出(Scope3)48%以上削減55.7%(速報値)※2019年3月期比(売上総利益原単位) *「企業が目指す姿や方向性を、従業員が理解・共感し、その達成に向けて自発的に貢献しようという意識」についての従業員サーベイ。調査結果のうち、5段階中上位2項目を好意的回答としております。 Ⅱ.サステナブル経営の推進 SCREENグループでは、持続的な成長を実現するサステナブル経営を推進しており、サステナビリティ戦略を事業成長戦略と経営基盤強化戦略を下支えする共通戦略と位置付け、SCREEN Valueを高める取り組みを進めています。  具体的には、環境・社会・企業統治の課題解決に向けた取り組みを「Sustainable Value 2026」として策定し、バリューチェーン全体でグローバルに展開することで、多様なステークホルダーの期待と信頼に応え、社会の持続的発展に貢献します。 社会貢献活動の推進  国、地域、大学・教育機関と連携し、社会に貢献するさまざまな活動を行っています。 ・天才アートKYOTO(NPO法人 障碍者芸術推進研究機構)に所属の 作家の作品を2022年4月から本社事業所に継続的に展示(写真左)・京都府の「京都モデルフォレスト」の一環として、「SCREENの森(亀岡市)」活動を実施中。 地域のご協力のもとで稲作を行い、収穫米を児童養護施設に寄付(写真右)      本社にお招きした作家の方々が       「SCREENの森」で従業員と 展示作品を視察する様子          その家族が田植えを行う様子 当社グループの社会貢献活動の取り組みの詳細は、ウェブサイトを参照ください。(https://www.screen.co.jp/sustainability/social/initiative) <ESGに関する主な取り組み> E(環境)・SBTiに基づくGHG排出削減計画(Scope1&2,3)において、 中期経営計画「Value Up Further 2026」の初年度目標を達成・国内事業所(主要拠点を中心とした8事業所)において、再エネ電力100%を達成 当社グループの環境の取り組みの詳細は、ウェブサイトを参照ください。(https://www.screen.co.jp/sustainability/environment) S(社会)・経営陣と社員との対話の推進等による、企業理念浸透施策の充実・従業員エンゲージメントサーベイを国内グループ会社に展開 当社グループの社会の取り組みの詳細は、ウェブサイトを参照ください。(https://www.screen.co.jp/sustainability/social) G(企業統治)・グローバルベースでのBCP対策訓練の充実・RBA VAP監査*において、彦根事業所がプラチナ・ステータスを取得  *RBAは、労働者の安全や尊厳、環境への倫理的配慮を保証する行動規範を策定し、企業にグローバルサプライチェーンにおける責任ある経営を求める業界団体。VAP監査は、RBAが認定する第三者監査機関が企業の適切さを評価する仕組み。 当社グループのガバナンスの取り組みの詳細は、ウェブサイトを参照ください。(https://www.screen.co.jp/sustainability/governance) 健康経営の推進  代表取締役 取締役社長が健康経営の最高責任者となり、従業員と職場両面から心身の健康づくりを推進することで、業務パフォーマンスを向上させることに取り組んでいます。 ・「健康経営銘柄」2年連続選定・「健康経営優良法人~ホワイト500~」3年連続認定     当社グループの健康への取り組みの詳細は、ウェブサイトを参照ください。(https://www.screen.co.jp/sustainability/social/wellness) (4)セグメント別の取り組み 中期経営計画「Value Up Further 2026」(2025年3月期~2027年3月期)の目標達成に向けた、セグメント別の取り組みは次のとおりです。 (半導体製造装置事業:SPE)①セグメント戦略・洗浄装置マーケットシェアの向上・生産キャパシティの拡大・事業基盤の強化 ②3カ年累計目標と1年目実績売上高1兆5,000億円以上営業利益率23~25%1年目実績売上:5,195億円、営業利益率:26.4% (注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提  事業環境としては、2024年の半導体前工程製造装置市場(WFE)は、AI活用の急速な拡大に伴うデータセンター向け高性能半導体需要の高まりや、中国における成熟ノード半導体向けの活発な投資を背景に大きな成長を見せました。2025年は2024年と同規模の設備投資が継続し、特にファウンドリー、DRAMメーカーにおける最先端向けの投資がWFEを牽引するとみています。一方、中国における成熟ノード半導体向けの投資は堅調に推移するものの、徐々にペースが緩やかになっていく想定です。 このような環境の中、当社の主要生産拠点である彦根事業所のS3(エス・キューブ)工場群の生産性向上施策や、収益性改善活動などが奏功し、2025年3月期は過去最高の売上、営業利益、営業利益率を達成する事ができました。また、主力の枚葉式洗浄装置のマーケットシェアは、2023年の34%から、2024年は42%へと大きな躍進をみせております。 今後も、彦根事業所全体における生産効率改善を推進するとともに、開発体制の拡充によるマーケットシェアの更なる向上や、基幹システムのアップデートなどによるDX化を推進し、将来の更なる飛躍に向けての体制づくりを進めてまいります。 (グラフィックアーツ機器事業:GA)①セグメント戦略・POD装置販売の拡大・リカーリングビジネスの拡大・パッケージ印刷ビジネスの確立 ②3カ年累計目標と1年目実績売上高1,500億円以上営業利益率6~9%1年目実績売上:530億円、営業利益率:8.1% (注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提  事業環境としては、環境負荷低減や社会的価値向上への意識の高まり、デジタル化による変容(DX・スマートファクトリー化)の必要性が高まる中で、欧米を中心にPOD装置の需要が堅調に推移しました。 このような環境の中、PODを中核事業と置き、商業印刷およびパッケージ印刷へリソースの集中を図り、高性能の新製品をリリースするなど、POD装置の販売拡大に取り組むとともに、インク販売を中心とするリカーリングビジネスの一層の拡大により、安定的な売上、利益を生み出してまいります。 (ディスプレー製造装置および成膜装置事業:FT)①セグメント戦略・ディスプレービジネスの収益性向上・“塗工”技術強化と応用分野拡大・製品製造の受託事業の拡大 ②3カ年累計目標と1年目実績売上高1,000億円以上営業利益率3~5%1年目実績売上:358億円、営業利益率:8.5% (注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提  事業環境としては、中国における家電製品買い替え補助金政策などを背景に、OLEDだけでなくLCDディスプレーへの需要が堅調に推移しました。 このような環境の中、売価改善や原価低減活動も奏功し、当セグメントは3期ぶりの通期黒字化を果たすことができました。また、足元では顧客の投資も堅調に推移し、2026年3月期も増収、増益を見込んでいます。 (プリント基板関連機器事業:PE)①セグメント戦略・直接描画露光装置の業界プレゼンス向上・直接描画アプリケーションの拡大探索 ②3カ年累計目標と1年目実績売上高500億円以上営業利益率12~15%1年目実績売上:141億円、営業利益率:7.5% (注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提  事業環境としては、前期より引き続きプリント基板関連機器の設備投資が停滞しており、メモリー向けやパッケージ向けの需要増加を受けた本格的な投資回復は、2026年3月期の下期以降を見込んでおります。 このような環境の中、装置販売が伸び悩んだことから、当セグメントは前期比で減収減益となりました。2026年3月期は、パッケージ基板やモジュール基板などの高精度基板に対応する直接描画装置「Ledia 8F」や、高精細なパッケージ基板向け直接描画装置「Ledia Qs(キューズ)」の顧客導入及び量産での安定稼働化を確実に進め、投資回復を受けた売上拡大に備えてまいります。 今後も、直接描画アプリケーションの拡大探索による直接描画装置の拡販に注力するとともに、堅調なポストセールス売上を維持しつつ、安定的な収益性の確保に取り組んでまいります。  上記における将来数値は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績などは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、米国を中心とした高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞に伴う下振れ懸念などがあったものの、全体としては回復基調で推移しました。一方、足元では米国の通商政策の影響などにより不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻く事業環境は、半導体業界では、生成AIの活用拡大やDXの進展等を支える半導体の微細化、チップレット技術などの省エネ高速半導体開発の重要性が高まっております。その結果、先端ロジックやメモリー向け投資が堅調に推移しました。地域別では、中国において成熟ノード向けの投資が活発に行われたほか、台湾ではAI関連を中心とした投資が拡大しました。またFPD業界では、ディスプレー需要が回復局面に入り、パネルメーカーの設備投資意欲に回復が見られました。このような状況の中、当連結会計年度の財政状態および経営成績は次のとおりとなりました。 a. 財政状態当連結会計年度末の資産合計は、有価証券(譲渡性預金)が増加した一方で、現金及び預金や売上債権が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ、55億2千1百万円(0.8%)減少し6,712億8千7百万円となりました。負債合計は、契約負債や仕入債務が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ、543億3百万円(17.8%)減少し2,505億9千3百万円となりました。純資産合計は、配当金の支払いや自己株式取得の一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ、487億8千2百万円(13.1%)増加し4,206億9千4百万円となりました。 以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、62.7%となりました。 b. 経営成績当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、売上高は6,252億6千9百万円と前期に比べ、1,203億5千2百万円(23.8%)増加しました。利益面につきましては、売上の増加などにより、前期に比べ、営業利益は415億1千9百万円(44.1%)増加の1,356億8千3百万円、経常利益は439億8千6百万円(46.7%)増加の1,382億6千5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は288億8千7百万円(40.9%)増加の994億6千7百万円となりました。 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。 (半導体製造装置事業:SPE)半導体製造装置事業では、前期に比べ、ファウンドリー向け、ロジック向け、メモリー向けの売上が増加しました。地域別では、米国向けの売上が減少しましたが、台湾や中国向けの売上が増加しました。その結果、当セグメントの売上高は、5,195億1千1百万円(前期比24.4%増)となりました。営業利益は、売上の増加などにより、1,369億7千5百万円(前期比41.1%増)となりました。 (グラフィックアーツ機器事業:GA)グラフィックアーツ機器事業では、POD装置の売上が堅調に推移したことに加え、インクを中心とするリカーリングビジネスの売上が増加したことから、当セグメントの売上高は、530億1千万円(前期比11.0%増)となりました。営業利益は、売上が増加したものの、固定費の増加などにより、42億9千2百万円(前期比0.1%減)となりました。 (ディスプレー製造装置および成膜装置事業:FT)ディスプレー製造装置および成膜装置事業では、装置売上が増加したことから、当セグメントの売上高は358億2千9百万円(前期比54.1%増)となりました。営業利益は、売上の増加などにより、30億5千3百万円(前期は4億2千5百万円の営業損失)となりました。 (プリント基板関連機器事業:PE)プリント基板関連機器事業では、直接描画装置の売上が減少したことから、当セグメントの売上高は141億7千4百万円(前期比3.4%減)となりました。営業利益は、売上の減少や固定費の増加などにより、10億6千9百万円(前期比42.5%減)となりました。 (その他事業)その他事業の外部顧客への売上高は60億1百万円となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、現金及び現金同等物に係る換算差額等を含め、前連結会計年度末に比べ30億5千5百万円増加し1,984億7千8百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費、売上債権及び契約資産の減少などの収入項目が、契約負債の減少、法人税等の支払い、仕入債務の減少などの支出項目を上回ったことから、712億3千4百万円の収入(前期は962億5千5百万円の収入)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、彦根事業所における新棟建設に伴う支払いや研究開発設備等の有形固定資産を取得したことなどにより、217億7千2百万円の支出(前期は434億5千6百万円の支出)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや自己株式の取得などにより、464億6千6百万円の支出(前期は351億4千2百万円の支出)となりました。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 生産実績は、販売実績と傾向が類似しているため、記載を省略しております。b.受注実績 受注実績は、短期での変動が大きく、中長期の市場動向や当社グループの事業の状況を表すための指標として適切ではないため記載しておりません。c.販売実績 販売実績は、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメント別の経営成績に関連付けて説明しております。  なお、主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)相手先金額(百万円)割合(%)SiEn (QingDao) Integrated Circuits Co.,Ltd.52,06410.3 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)相手先金額(百万円)割合(%)Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.89,70314.3 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 経営成績(売上高)当連結会計年度における当社グループの売上高は、主に半導体製造装置事業(SPE)の伸長により、前連結会計年度に比べ、1,203億5千2百万円(23.8%)増加の6,252億6千9百万円となりました。 (営業利益)成長に向け研究開発費や人件費など固定費が増加したものの、売上の増加などにより、営業利益は前連結会計年度に比べ、415億1千9百万円(44.1%)増加の1,356億8千3百万円となりました。 (経常利益)営業外損益は、営業外収益において固定資産売却益が減少したものの、営業外費用において持分法による投資損失の減少や為替差損の減少などにより、前連結会計年度に比べ24億6千7百万円改善しました。以上の結果、経常利益は439億8千6百万円(46.7%)増加の1,382億6千5百万円となりました。 (税金等調整前当期純利益)特別損益は、特別損失において減損損失が増加したものの、特別利益において関係会社株式売却益や投資有価証券売却益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ8億6千1百万円改善しました。以上の結果、税金等調整前当期純利益は448億4千8百万円(47.6%)増加の1,390億6百万円となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益)法人税等合計は、税金等調整前当期純利益が増加したことなどから、前連結会計年度より159億6千万円増加し、395億3千4百万円となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、288億8千7百万円(40.9%)増加の994億6千7百万円となりました。  セグメント別の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」および「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)セグメント別の取り組み」に記載のとおりであります。 b. 財政状態財政状態の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 c. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、2025年3月期~2027年3月期におきまして、新中期経営計画「Value Up Further 2026」に取り組んでおります。なお、中期経営計画の進捗状況および指標の達成状況ならびに新中期経営計画の指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営方針、経営環境及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。 d. その他経営成績の状況に関する補足情報 当社の連結子会社である株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズにおける2024年3月期の一部の装置販売取引について、当連結会計年度の社内調査により、意図的に収益認識に係る履行義務の充足時点を操作した可能性を示唆する形跡が認められました。そのため、客観的かつ中立的な立場からの調査を目的として、2024年11月14日に弁護士及び公認会計士の外部専門家を含む特別調査委員会を設置して調査を開始し、2025年1月14日に特別調査委員会より調査結果報告書を受領いたしました。 特別調査委員会の調査の結果、顧客より装置据付作業の履行義務を不要とする旨の覚書を入手し、装置の引渡し時点で収益を認識する一方で、顧客と事後的に無償で据付作業を実施する旨の合意を行う不適切行為が確認されました。 当社は、特別調査委員会の再発防止策の提言等を踏まえた再発防止策を2025年2月28日開催の取締役会において決議し、公表いたしました。今後、再発防止策を確実に実行し、信頼回復に努めてまいります。 なお、本案件による当社グループの過年度の連結財務諸表への影響は限定的であるため、過年度の連結財務諸表の訂正は行っておりません。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当連結会計年度の所要資金は、自己資金で賄いました。なお、将来の資金安定確保を目的として、総額600億円のコミットメントライン契約を複数の金融機関との間で締結しております。主な資金使途としまして、設備投資計画につきましては「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」、配当政策につきましては「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積りを必要とする項目については、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき見積りおよび判断をしております。ただし、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。  その他の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のとおりであります。 a. 固定資産の減損について 減損会計の適用にあたり、当社グループは原則、各社を1グループ単位としてグルーピングを行っております。ただし、株式会社SCREENホールディングスにおける事業については、事業単位でグルーピングを行っております。なお、賃貸用資産および遊休資産については、個別物件単位でグルーピングを行っております。各資産グループの回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額などの前提条件に基づいて測定しておりますが、今後の地価の動向や事業の将来の業績によっては、翌年度以降に減損損失が発生する可能性があります。 b. 退職給付債務について 当社グループの退職給付費用および債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。この前提条件や年金資産の長期期待運用収益率が実際の結果と異なる場合、または変更された場合、翌年度以降において認識する退職給付費用および債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。  なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

※本記事は「株式会社SCREENホールディングス」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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