会社名 | ヤマハ発動機株式会社 |
業種 | 輸送用機器 |
従業員数 | 連53701名 単10366名 |
従業員平均年齢 | 43.5歳 |
従業員平均勤続年数 | 19.6年 |
平均年収 | 8122273円 |
1株当たりの純資産 | 1133.06円 |
1株当たりの純利益 | 163.57円 |
決算時期 | 12月 |
配当金 | 145円 |
配当性向 | 35.9% |
株価収益率(PER) | 7.7倍 |
自己資本利益率(ROE) | 15.4% |
営業活動によるCF | 801億円 |
投資活動によるCF | ▲1169億円 |
財務活動によるCF | 952億円 |
研究開発費※1 | 49億円 |
設備投資額※1 | 61億円 |
販売費および一般管理費※1 | 4646.94億円 |
株主資本比率※2 | 65.5% |
有利子負債残高(連結)※3 | 7105.65億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月22日)現在において当社グループが判断したものです。 当面の優先的に対処すべき課題の内容等サステナビリティ意識の高まりやデジタル化など、私たちを取り巻く環境は急激に変化しています。当社は一人ひとりが主体的に改革に取り組み、変革のスピードを上げることで、成長戦略の推進と基盤強化を図ります。2030年に向けた長期ビジョン「Art for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる~」に向けて、成長性を高めるとともに、企業価値をさらに向上させていきます。 ○中期経営計画の進捗当社は、今中期経営計画より、将来に向けて各事業に経営資源を適正に配分するポートフォリオマネジメントを実装しました。中期経営計画2年間の実績として、目標である成長性・収益性の各指標は達成しており、最終年度である2024年の計画でも達成の見込みです。ポートフォリオ別にみると、コア事業が安定的に収益を上げることができた一方、成長事業はコロナ禍後の経済の低迷や需要減速の影響を受け、成長率が鈍化しました。また、新規事業は、新たなサービスの展開や新会社設立などの進捗が図られる中、売上高の十分な創出には至っていない状況です。 ■戦略事業領域[新規事業]長期ビジョンで掲げた「Advancing Robotics」「Rethinking Solution」「Transforming Mobility」のテーマの元、社会課題の解決とともに、当社がこれまで培った技術や知見とパートナーとの共創活動で、ヤマハ発動機らしい新価値創造を進め、SDGsの達成に貢献する事業開発を加速させます。モビリティサービスでは、インド・ナイジェリア・タンザニアにおいて新会社を設立し、事業を開始しました。車両の貸与を通じて行うアセットマネジメント事業と、モビリティを使った仕事を生み出すラストマイルデリバリー事業により、地域経済の活性化や、職業ドライバーの雇用創出を目指します。低速自動走行では、当社と国内企業3社で共同開発を行った自動運転車が、福井県永平寺町で国内初のレベル4自動運転移動サービスを開始しました。公共交通機関にアクセスできない地域の移動課題の解決とともに、ヒト輸送分野での売上高創出を目指します。医療・健康では、血液中の抗体を分析して健康状態を可視化する抗体プロファイリング事業を展開する「チューニングフォーク・バイオ」社を設立しました。農業自動化では、出資先企業への技術者派遣など、協業で開発・実証実験を進めています。 [ロボティクス事業(成長事業)]現在、主に中国経済の影響を受けて需要は停滞しています。しかし、デジタル化や自動化ニーズの高まり、そして生成AIに代表される新しい技術の広がりにより、中長期的には市場の伸長が見込まれます。製造・販売・技術・サービスの体制強化を目指した事業所(工場)の増築については、計画通り2024年に完了予定です。また、グローバルでは2023年7月にシンガポール拠点の稼働を開始しました。グループ企業内のシナジーを活かし、顧客ベースで営業活動を展開するとともに、プラットフォーム化により商品力の強化を図り、事業の規模と領域を拡げることで収益力向上を目指します。 [SPV事業(成長事業)]2023年に発売から30周年を迎えた電動アシスト自転車ですが、パンデミック中の移動様式の変化により市場は急拡大しました。現在需要は落ち着きましたが、世界的な環境意識の高まりを背景に市場成長が期待できます。当社は、生産量の拡大やトレンドのキャッチアップ、そして規制への備えを進めています。その一環として、2024年に欧州拠点でのドライブユニット生産を開始する予定です。 ■コア事業領域[二輪車事業]半導体をはじめとした部品不足が解消される中、新興国においてプレミアム戦略を加速させています。アセアン・インドなど上位中間層の増加が見込める市場においてプレミアム商品の販売比率を高めるとともに、デジタルとリアルを融合した商材を拡げ、更なる収益性の向上を図ります。また、電動化シフトへの対応として、バッテリー着脱式電動スクーター「NEO’S」の販売やバッテリー固定式電動スクーターE01の実証実験に加え、インドで電動スクーターの製造・販売などを手掛けるスタートアップ企業「World of River Limited, Inc.」への出資も行いました。この出資を通じ、同社とのEV市場における事業協力を模索していきます。 [マリン事業]「マリン版CASE」推進による提供価値拡大と高収益体質の維持・強化を目指しています。2024年の大型船外機の生産能力20%増強(2021年比)の計画に加え、さらに2026年までに15%増強(2024年比)します。また、ラインナップ強化のため、2024年春に350馬力の船外機を北米市場に投入します。CASE戦略の推進においては、マイアミボートショーへ水素エンジン船外機の開発試作機を出展しました。また、マリン電動推進機メーカーTorqeedo GmbHの買収に合意。マリン業界でのカーボンニュートラル対応を加速させ、成長する電動推進船市場におけるリーディングカンパニーを目指します。 ■財務指標・株主還元方針資本コスト以上のリターンの継続的創出を目標とし、ROE15%水準、ROIC9%水準、ROA10%水準(いずれも3年平均)を目指します。株主還元については、「業績の見通しや将来の成長に向けた投資を勘案しつつ、安定的かつ継続的な配当を行う」ことを基本方針とし、キャッシュ・フローの規模に応じて機動的な株主還元を実施します。総還元性向は中期経営計画期間累計で40%水準です。なお、2023年は300億円の自己株式取得を行い、2024年は200億円を予定しています。 ■サステナビリティに向けた取り組み2022年6月に設立した、環境分野の課題解決に取り組む企業へ出資する投資ファンド「Yamaha Motor Sustainability Fund, L.P.」より、CO?削減に向けて有益な微生物テクノロジーの研究を進める米国スタートアップ企業「Andes Ag, Inc」へ出資を行いました。カーボンニュートラルの取り組みを進め、サステナビリティに寄与する技術とビジネスモデルの探索を行っています。また、カワサキモータース株式会社、スズキ株式会社、本田技研工業株式会社と協同し、小型モビリティ向け水素エンジンの基礎研究を目的とした「水素小型モビリティ・エンジン研究組合(HySE)」を設立しました。協調して取り組みを進め、小型モビリティの分野において脱炭素社会に向けた貢献を目指します。 ■DX戦略2021年より、デジタル技術を介してブランド価値を高め、生涯を通じたヤマハファンを創造することを目的に、「Yamaha Motor to the Next Stage」を推進しています。DX人財の育成・創出、経営基盤の改革、そしてデジタルを活用してお客様とつながることで、新たな価値と新たな未来の創造を行っていきます。2024年までにDX人財の創出は1,200名、お客様とつながるためのヤマハID登録者は470万人を目指していましたが、2023年までの実績でDX人財1,339名、ヤマハID登録者は470万人となり、どちらも目標を達成しました。 ■人財戦略当社は、社員エンゲージメントを重要な指標とし、中期経営計画においてグローバル共通のエンゲージメント指標の導入を進めています。社員エンゲージメントを高める取り組みとして、2023年9月に「ヤマハ発動機グループ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)方針」を制定し、職場内及び子会社への周知を行っています。多様な人財が集まり、互いの異なる視点や価値観を尊重しながら、新たな気づきや発見を価値創造に繋げていける組織風土の醸成を目指します。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営成績の概要及び分析当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの5類移行による各種制限の緩和に伴い経済活動が正常化する一方、長期化するロシア・ウクライナ情勢や中東での紛争勃発、世界的な金融引き締めによる景気減速懸念など、先行きの不透明な状況が続きました。当社においては、半導体の調達が回復し、原材料価格や海上運賃の高騰が一服するなど、事業を取り巻く環境は平常へと向かいました。一方、先進国を中心にアウトドアレジャー需要が落ち着き、下期にはその傾向が明確になりました。これにより、いくつかの事業・地域では適正水準を上回る在庫となりました。また、前年に続き為替が円安方向に推移したことは、当社にとって追い風となりました。このような経営環境の中、当社は中期経営計画に基づき各事業の戦略を推進するとともに、損益分岐点経営を念頭にコストダウンや価格転嫁を進めました。 この結果、当連結会計年度の売上高は2兆4,148億円(前期比1,663億円・7.4%増加)、営業利益は2,507億円(同258億円・11.5%増加)、経常利益は2,420億円(同27億円・1.1%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,641億円(同103億円・5.9%減少)となり、過去最高の売上高、営業利益を達成しました。なお、当連結会計年度の為替換算レートは、米ドル141円(前期比9円の円安)、ユーロ152円(同14円の円安)でした。 売上高は、二輪車や大型船外機の堅調な需要に加え、サプライチェーンの平常化と物流・生産課題などの改善により供給量が増加したことで、増収となりました。営業利益は、販売台数の増加に加え、原材料などコスト高騰に対する価格転嫁の効果拡大、円安によるプラスの効果もあり、増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、金利スワップ評価損や為替差損益、投資有価証券評価損及び前年の投資有価証券売却益等の影響を受け、減益となりました。財務体質については、ROEは15.4%(前期比3.3ポイント減少)、ROICは9.2%(同2.7ポイント減少)、ROAは10.5%(同0.7ポイント減少)となりましたが、いずれも中期経営計画の目標水準を上回りました。自己資本は1兆1,235億円(前期末比1,204億円増加)、自己資本比率は43.7%(同2.3ポイント減少)となりました。また、フリー・キャッシュ・フロー(販売金融含む)は368億円のマイナス(同336億円減少)となりました。 当期は、現中期経営計画で掲げているポートフォリオ経営の取り組みが進みました。事業構造改革の進捗として、パワープロダクツ事業の事業譲渡契約締結(注)に加えて、スノーモビル事業及びプール事業からの撤退を決定しました。また、新規事業・成長事業の開発力強化のため、連結子会社ヤマハモーターエレクトロニクス株式会社との合併について検討を開始しました。(注)譲渡の実行は、競争法その他の法令上必要なクリアランス・許認可等の取得を前提とします。 セグメント別の概況〔ランドモビリティ〕売上高1兆5,818億円(前期比1,136億円・7.7%増加)、営業利益1,243億円(同369億円・42.3%増加)となりました。部門別の経営成績の概要は、次の通りです。二輪車では、売上高1兆4,081億円(前期比1,165億円・9.0%増加)、営業利益1,222億円(同376億円・44.4%増加)となりました。先進国では、欧米において需要が堅調に推移し、販売台数が増加した結果、売上高3,542億円(前期比313億円・9.7%増加)となりました。新興国では、景気低迷が続くベトナムと中国を除き、アジアを中心に多くの国で需要が増加し、インドネシア、インド、ブラジルなどで販売台数が増加した結果、売上高1兆540億円(前期比852億円・8.8%増加)となりました。二輪車全体の営業利益は、販売台数増加を主因に、価格転嫁や円安によるプラス効果もあり、増益となりました。二輪車全体の販売台数は、多くの地域で需要が堅調に推移し、483万台(前期比1.1%増加)となりました。RV(四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル(ROV)、スノーモビル)では、売上高1,329億円(前期比96億円・7.8%増加)、営業利益69億円(前期:営業損失29億円)となりました。アウトドアレジャーブーム後に需要が減速する中、当社の出荷も減少しました。一方、前年課題が発生していた米国工場の生産効率が改善したことに加え、円安によるプラス効果もあり、増収・増益となりました。SPV事業(電動アシスト自転車、e-Kit、電動車いす)では、売上高408億円(前期比125億円・23.5%減少)、営業損失48億円(前期:営業利益56億円)となりました。メイン市場である欧州において在庫調整局面が継続しています。当社も生産調整を実施しましたが、依然として市場在庫は高い水準で推移しており、解消には時間が掛かる見通しです。売上高・営業利益は、電動アシスト自転車とe-Kitの販売台数が減少したことにより、減収・減益となりました。 [マリン]売上高5,475億円(前期比305億円・5.9%増加)、営業利益1,137億円(同45億円・4.1%増加)となりました。米国では大型船外機の需要は堅調に推移しましたが、中小型の船外機の需要は減少しました。一方、欧州では、景気後退懸念により船外機の需要が減少しました。また、中国及び東南アジアでは漁業や観光への需要が増加、中南米では漁業への安定した需要が継続しました。当社の販売台数は、新興国で増加、先進国で減少したことにより、船外機全体では減少しました。ウォータービークルは、需要が好調に推移する中、当社の販売台数も増加しました。円安によるプラス効果も加わり、マリン事業全体で増収・増益となりました。 [ロボティクス]売上高1,014億円(前期比145億円・12.5%減少)、営業利益9億円(同110億円・92.7%減少)となりました。サーフェスマウンターは、車載・産業機器向けの需要が堅調に推移しましたが、中国経済の低迷が続く中、スマートフォンやパソコンなどの民生機器向け需要は低調に推移し、当社の販売は中国、台湾を中心に減少しました。また、産業用ロボットは日本と韓国でEV電池への投資需要が高まりましたが、中国での販売減少の影響を大きく受けました。一方で、半導体製造装置は生成AI向けの需要が高まり、受注が拡大しました。この結果、ロボティクス事業全体では減収・減益となりました。 [金融サービス]売上高865億円(前期比243億円・39.1%増加)、営業利益153億円(同22億円・12.6%減少)となりました。販売台数の増加に伴い販売金融債権が増加するとともに、調達金利の顧客転嫁を進めた結果、増収となりました。一方、資金調達コストの増加、債権増加に伴う貸倒引当費用の増加、ブラジルでの金利スワップ評価損の発生などにより、減益となりました。 [その他]売上高976億円(前期比124億円・14.6%増加)、営業損失36億円(前期:営業損失12億円)となりました。米国工場の生産効率改善によりゴルフカーの販売台数が増加し、増収となりましたが、その他セグメント全体では固定費の増加などにより、減益となりました。 なお、各セグメントの主要な製品及びサービスは以下のとおりです。セグメント主要な製品及びサービスランドモビリティ二輪車、中間部品、海外生産用部品、四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル、スノーモビル、電動アシスト自転車、電動アシスト自転車ドライブユニット(e-Kit)、電動車いす、自動車用エンジン、自動車用コンポーネントマリン船外機、ウォータービークル、ボート、プール、漁船・和船ロボティクスサーフェスマウンター、半導体製造装置、産業用ロボット、産業用無人ヘリコプター金融サービス当社製品に関わる販売金融及びリースその他ゴルフカー、発電機、汎用エンジン、除雪機 (2) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称製品台数(台)前期比(%)ランドモビリティ二輪車4,846,131101.2四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル39,04065.6電動アシスト自転車、電動アシスト自転車ドライブユニット(e-Kit)655,94276.7マリン船外機327,83789.3ウォータービークル53,299125.8ボート、漁船・和船8,58580.0ロボティクスサーフェスマウンター、産業用ロボット29,97679.8その他ゴルフカー70,050118.1 (注) 主要製品について記載しています。 ② 受注実績当社グループは主に見込み生産をしています。 ③ 販売実績(a)当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)ランドモビリティ1,581,848107.7マリン547,520105.9ロボティクス101,35587.5金融サービス86,476139.1報告セグメント計2,317,201107.1その他97,558114.6合計2,414,759107.4 (注) セグメント間取引については相殺消去しています。 (b)ランドモビリティの主要製品である二輪車の当連結会計年度における当社グループの販売実績は、次のとおりです。地域台数(台)前期比(%)日本75,69179.3海外4,751,509101.6地域別内訳北米76,354113.0欧州208,838104.8アジア3,883,491101.5その他582,82699.5合計4,827,200101.1 (3) 財政状態の概要及び分析総資産は、前期末比3,887億円増加し、2兆5,720億円となりました。流動資産は、販売台数の増加に伴う販売金融債権の増加や為替換算影響などにより同2,429億円増加しました。固定資産は、長期販売金融債権の増加などにより同1,458億円の増加となりました。負債合計は、長期借入金や運転資金の増加等による有利子負債の増加、為替換算影響などにより同2,603億円増加し、1兆3,893億円となりました。純資産合計は、配当金の支払471億円、自己株式の取得300億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,641億円、為替換算調整勘定の増加474億円などにより同1,284億円増加し、1兆1,827億円となりました。これらの結果、自己資本比率は43.7%(前期末:45.9%)、D/Eレシオ(ネット)は0.45倍(同:0.31倍)となりました。 (4) キャッシュ・フローの状況〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕税金等調整前当期純利益2,417億円(前期:2,458億円)や減価償却費632億円(同:598億円)、売上債権の減少168億円(同:129億円の増加)などの収入に対して、販売金融債権の増加1,206億円(同:708億円の増加)、法人税等の支払額791億円(同:538億円)、棚卸資産の増加458億円(同:901億円の増加)、仕入債務の減少297億円(同:31億円の増加)などの支出により、全体では802億円の収入(同:709億円の収入)となりました。 〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕固定資産の取得による支出1,099億円(前期:894億円の支出)、投資有価証券の取得による支出183億円(同:153億円の支出)などにより、1,170億円の支出(同:742億円の支出)となりました。 〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕配当金の支払や自己株式の取得などによる支出がありましたが、有利子負債の増加などにより953億円の収入(前期:231億円の収入)となりました。 これらの結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは368億円のマイナス(前期:32億円のマイナス)、現金及び現金同等物は3,470億円(前期末比:502億円の増加)となりました。当期末の有利子負債は8,439億円(同:2,412億円の増加)となりました。 (5) 金融サービス事業を区分した経営成績情報以下の表は金融サービス事業と金融サービス事業以外の事業を区分した要約連結貸借対照表、要約連結損益計算書及び要約連結キャッシュ・フロー計算書です。これらの要約連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準においては要求されていませんが、金融サービス事業はそれ以外の事業とは性質が異なるため、このような表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の「金融サービス事業以外の事業及び消去」は連結計から金融サービス事業の数値を差し引いたものとしています。 要約連結貸借対照表 (単位:百万円) 金融サービス事業金融サービス事業以外の事業及び消去連結計 2022年12月期2023年12月期2022年12月期2023年12月期2022年12月期2023年12月期資産の部 現金及び預金12,99522,134275,784316,705288,780338,839 短期販売金融債権230,131338,520–230,131338,520 受取手形、売掛金及び契約資産3251,044187,085185,867187,410186,911 棚卸資産–525,847609,497525,847609,497 その他92,68532,725△1,76361,97590,92194,700 貸倒引当金△13,141△15,025△4,266△4,889△17,408△19,915 流動資産合計322,996379,398982,6861,169,1551,305,6831,548,554 有形及び無形固定資産18,56821,696412,050463,322430,619485,019 長期販売金融債権256,382326,784–256,382326,784 その他7,36710,345187,915216,758195,283227,104 貸倒引当金△4,404△15,201△272△299△4,677△15,500 固定資産合計277,914343,625599,693679,782877,6071,023,407 資産合計600,910723,0241,582,3801,848,9382,183,2912,571,962負債の部 短期借入金113,976101,05859,009204,505172,985305,563 1年内返済予定の長期借入金118,06554,33434,90355,000152,969109,334 1年内償還予定の社債5,15623,974–5,15623,974 支払手形及び買掛金1,7252,642146,408148,442148,133151,084 その他31,00239,866242,624235,340273,627275,207 流動負債合計269,927221,877482,946643,288752,873865,165 長期借入金162,138296,98987,86368,042250,002365,031 社債21,57519,971-20,00021,57539,971 その他1,4913,684103,049115,437104,541119,122 固定負債合計185,205320,645190,913203,480376,119524,125 負債合計455,132542,523673,859846,7681,128,9921,389,291純資産の部 資本金35,09349,68651,00736,41486,10086,100 資本剰余金14314367,90763,62868,05063,771 利益剰余金93,629102,605800,419904,319894,0491,006,925 自己株式–△31,725△61,389△31,725△61,389 その他の包括利益累計額合計16,91128,065△30,313△13△13,40128,052 非支配株主持分–51,22559,21051,22559,210 純資産合計145,778180,500908,5201,002,1691,054,2981,182,670 負債純資産合計600,910723,0241,582,3801,848,9382,183,2912,571,962 要約連結損益計算書 (単位:百万円) 金融サービス事業金融サービス事業以外の事業及び消去連結計 2022年12月期2023年12月期2022年12月期2023年12月期2022年12月期2023年12月期売上高62,17886,4762,186,2782,328,2822,248,4562,414,759売上原価29,38252,2721,585,3281,647,1361,614,7111,699,409売上総利益32,79534,204600,949681,146633,745715,350販売費及び一般管理費15,25118,875393,629445,819408,880464,694営業利益17,54315,328207,320235,327224,864250,655営業外収益1,3591,00724,67320,41026,03321,418営業外費用-2,07611,60328,01611,60330,092経常利益18,90314,260220,390227,721239,293241,982特別利益–8,9464,2128,9464,212特別損失–2,4414,5122,4414,512税金等調整前当期純利益18,90314,260226,895227,421245,798241,681法人税等合計3,5013,23452,71559,97656,21663,211当期純利益15,40111,025174,180167,444189,582178,470非支配株主に帰属する当期純利益–15,14214,35015,14214,350親会社株主に帰属する当期純利益15,40111,025159,037153,094174,439164,119 要約連結キャッシュ・フロー計算書 (単位:百万円) 金融サービス事業金融サービス事業以外の事業及び消去 連結計 2022年12月期2023年12月期2022年12月期2023年12月期2022年12月期2023年12月期営業活動によるキャッシュ・フロー 税金等調整前当期純利益18,90314,260226,895227,421245,798241,681 減価償却費3,3883,61356,43659,61059,82463,223 販売金融債権の増減額(△は増加)△70,825△120,634–△70,825△120,634 その他△8,7478,412△155,128△112,532△163,876△104,120 営業活動によるキャッシュ・フロー△57,281△94,348128,203174,49870,92180,150投資活動によるキャッシュ・フロー 有形及び無形固定資産の取得による支出△8,651△9,582△80,737△100,329△89,388△109,912 その他△35,09079,95450,319△87,01515,228△7,060 投資活動によるキャッシュ・フロー△43,74170,372△30,418△187,344△74,160△116,972財務活動によるキャッシュ・フロー 借入金の増減額(△は減少)78,39321,0966,609142,73485,003163,831 社債の増減額(△は減少)12,6548,809-20,00012,65428,809 その他3,28714,062△77,841△111,443△74,554△97,380 財務活動によるキャッシュ・フロー94,33543,969△71,23251,29123,10395,260現金及び現金同等物に係る換算差額3,305△11,180△1,2882,6132,017△8,567現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△3,3828,81225,26541,05821,88249,871現金及び現金同等物の期首残高16,37812,995258,558283,823274,936296,819新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額-325—325現金及び現金同等物の期末残高12,99522,134283,823324,882296,819347,016 (6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金、設備投資資金、投融資及び当社製品に関わる販売金融です。運転資金については返済期限が一年以内の短期借入金で、通常各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については主に資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。資金の流動性管理にあたっては、適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに、手元流動性を適度に維持することで、必要な流動性を確保しています。当連結会計年度においては、フリー・キャッシュ・フローはマイナスとなりましたが、二輪車や大型船外機の堅調な需要や販売を背景に販売金融債権や棚卸資産などが増加したことや、設備投資などの投資活動が活発であったことによるものです。また、株主還元と資本効率の向上を図るために自己株式の取得を行いました。当社は株主の皆様の利益向上を重要な経営課題と位置付け、企業価値の向上に努めています。株主配当については期末配当1株当たり72.5円(2024年3月21日開催の第89期定時株主総会にて決議)を予定しています。また、当社は2024年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行いました。これにより、2024年は年間配当1株あたり50円、加えて200億円の自己株式の取得を予定しています。また、2024年の設備投資は1,000億円、研究開発費は1,390億円を計画しています。 (7) 重要な会計方針及び見積り当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。なお、当連結会計年度における重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。 ① 棚卸資産当社グループは、棚卸資産の、推定される将来需要及び市場状況に基づく時価の見積額と総平均法による原価法(貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)による評価額との差額に相当する陳腐化の見積額について、評価減を計上しています。実際の将来需要又は市場状況が、当社グループ経営者による見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。 ② 貸倒引当金当社グループは、売掛金、販売金融債権及び貸付金その他これらに準ずる債権を適正に評価するため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。なお、米国内のインフレの急激な進行等の外部環境の変化により債権の信用リスクが増加した場合には、必要に応じて見積りに対し補正を加えています。将来、債権の相手先の財務状況がさらに悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。 ③ 固定資産の減損当社グループは、減損の兆候のある資産または資産グループごとに将来キャッシュ・フローの見積りを行い、固定資産の減損要否の判定を行っています。資産または資産グループの減損が必要であると判断した場合、帳簿価額が回収可能価額を超える部分について減損損失を認識します。将来、回収可能価額が減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。 ④ 投資有価証券当社グループは、販売又は仕入に係る取引先や金融機関及びスタートアップ企業・ベンチャー企業等の株式を保有しています。これらの株式には価格変動性が高い上場株式と市場価格のない非上場株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損損失を計上しています。時価のある有価証券についての減損処理に係る合理的な基準は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (有価証券関係)」に記載しています。なお、将来の市況悪化又は投資先の業績不振など、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収が不能となる状況が発生した場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。 ⑤ 繰延税金資産当社グループは、将来の一定期間における課税所得の見積りやタックスプランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を検討しています。これらの将来に係る見積りは、市場の動向や経済環境、また、当社グループの事業計画等の変動の影響を受けるため、回収可能性が大きく変動した場合、税金費用が大きく変動する可能性があります。 ⑥ 製品保証引当金当社グループは、販売済製品の保証期間中のアフターサービス費用、その他販売済製品の品質問題に対処する費用の見積額を計上しています。当該見積りは、過去の実績若しくは個別の発生予想額に基づいていますが、実際の製品不良率又は修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。 ⑦ 退職給付に係る負債従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率などが含まれます。当社及び一部の国内連結子会社が加入する年金制度においては、割引率は優良社債を基礎とした複数の割引率を退職給付の支払見込期間ごとに設定しています。長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の期待収益率の加重平均に基づいて計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に計上されるため、一般的には将来期間において認識される収益・費用、計上される資産・負債及び純資産に影響を及ぼします。数理計算上の差異等の償却は退職給付費用の一部を構成していますが、前提条件の変化による影響や前提条件と実際との結果の違いの影響を規則的に費用認識したものです。また、前述の前提条件の変化により償却額は変動する可能性があります。 |
※本記事は「ヤマハ発動機株式会社」の令和5年12期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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