株式会社SUBARUの基本情報

会社名株式会社SUBARU
業種輸送用機器
従業員数連37693名 単17347名
従業員平均年齢39.6歳
従業員平均勤続年数16.1年
平均年収6911657円
1株当たりの純資産2105.71円
1株当たりの純利益177.7円
決算時期3月
配当金106円
配当性向29.5%
株価収益率(PER)11.67倍
自己資本利益率(ROE)8.5%
営業活動によるCF979億円
投資活動によるCF484億円
財務活動によるCF220億円
研究開発費※1300000円
設備投資額※11674.95億円
販売費および一般管理費※13282.23億円
株主資本比率※243.5%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)が判断したものです。 当社グループは、『“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指す』という経営理念のもと、ありたい姿である「笑顔をつくる会社」の実現に向け、提供価値である「安心と愉しさ」を進化させていきます。そして、SUBARUを自動車事業と航空宇宙事業における魅力あるグローバルブランドへ持続的に成長させるとともに、すべてのステークホルダーの皆様に事業活動へ共感いただくことを通じてSUBARUグループの持続的な成長と愉しく持続可能な社会の実現を目指しています。 (1) ありたい姿、提供価値、経営理念<ありたい姿>  笑顔をつくる会社 <提供価値>   安心と愉しさ <経営理念>  “お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指す (2) 基本方針<品質方針> 私たちは何より品質を大切にしてお客様の信頼に応えます 1.お客様に安心して長くお使いいただける商品をお届けします 2.お客様の声に常に耳を傾け、商品とサービスに活かします 3.法令・社会規範・社内規則を遵守し、お客様に信頼される仕事をします <SUBARUグローバルサステナビリティ方針> 私たちSUBARUグループ*は、人・社会・環境の調和を目指し、 1.事業を通じて、地球環境の保護を含む様々な社会課題の解決と、持続可能な社会の実現に貢献します。 2.高品質と個性を大切にし、先進の技術で、SUBARUならではの価値を提供し続け、SUBARUグループに関わるすべての人々の人生を豊かにしていきます。 3.国際社会における良き企業市民として、人権および多様な価値観・個性を尊重し、すべてのステークホルダーに誠実に向き合います。 4.従業員一人ひとりが、安全に安心して働くことができ、かつ働きがいを感じられるよう職場環境を向上させます。 5.国際ルールや各国・地域の法令を遵守するとともに、その文化・慣習等を尊重し、公正で透明な企業統治を行います。 6.ステークホルダーとの対話を経営に活かすとともに、適時かつ適切に企業情報を開示します。  *:SUBARUグループ:株式会社SUBARUおよびすべての子会社 (3) 新経営体制における方針当社は2023年の新経営体制への移行に伴い、同年8月2日に「新経営体制における方針」の説明を実施し、「2030年に向けた電動化計画のアップデート」と「2030年を見据えたうえでの2028年までの直近5年間に向けた決意」を公表しました。「新経営体制における方針」においても、前中期経営ビジョン「STEP」で掲げた「個性を磨き上げ、お客様にとってDifferentな存在になる」「お客様一人一人が主役の、心に響く事業活動を展開する」「多様化する社会ニーズに貢献し、企業としての社会的責任を果たす」という3つの目指す方向は変わりません。同様にこれまで重点取り組みに据えてきた「組織風土改革」「品質改革」も、当社が持続的に成長していくうえで根底にあるものと位置づけ、新経営体制においても企業競争力を高める土台として取り組み続けていきます。そして「SUBARUらしさの進化」については、SUBARUの提供価値である「安心と愉しさ」をBEV※1時代においても追求し続けるために、「モノづくり革新」「価値づくり」という2つの取り組みにステージアップしていきます。※1:Battery Electric Vehicle(電気自動車) (4) 対処すべき課題<大変革期の勝ち残りに向けて>自動車業界は100年に一度の大変革期にあると言われていますが、近年この変革はさらに非連続かつ従来以上にスピード感のある変化が生まれています。この急速な変化に対して当社は「柔軟性と拡張性」の観点を念頭に置き、よりタイムリーに対応していきます。 ①2030年へ向けて目指す姿(2030年に目指す電動車販売比率)当社は脱炭素社会の実現に貢献するべく、2050年にWell-to-Wheel※2でCO2排出量を2010年比で90%以上削減することを目指しており、これに向けて2030年代前半までには全世界で販売する車のすべてに電動化技術を適用します。また、2030年時点でのマイルストーンについては「新経営体制における方針」にて見直しを行い、電動化比率をBEVのみで50%を目指すと掲げています。内燃機関からBEVへと移行する過渡期において、BEVの普及は加速や減速を繰り返しつつ徐々に市場に受容されながら進んでいくと当社は考えています。お客様の嗜好の変化や市場の動向をしっかりと捉えながら、着実に電動化への取り組みを進めていきます。※2:「油井から車輪」の意味。EVなどが使用する電力の発電エネルギー源までさかのぼって、CO2排出量を算出する考え方。 (電動車ラインアップ)BEVの市場投入については、2026年末までにSUVを4車種、2028年末までにはさらに4車種と合計8車種のラインアップを予定しています。2026年末までに投入を予定する4車種のうち、2022年に市場に投入した「ソルテラ」はトヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」という。)とともに両社の強みを持ち寄りつくりあげてきました。これに続く残りの3車種についても、これまで培ってきたSUBARU/トヨタ両社のBEV開発の知見や強みを活かして共同開発し、1車種は当社の矢島工場、1車種はトヨタの米国工場で生産し相互に供給することを予定しています。先行きを見通すことが難しい時代においてもアライアンスの活用により、リスクを軽減し開発および生産の柔軟性を確保しながら、魅力あるBEVを順次市場に投入していきます。また、トヨタハイブリッドシステムをベースとした水平対向エンジンを搭載する、SUBARUらしい独自のHEV※3である次世代e-BOXERを、今後販売を予定する新型「フォレスター」に続き「クロストレック」にも展開拡大を計画します。HEV商品の強化により、電動化移行期における商品の柔軟性も確保していきます。※3:Hybrid Electric Vehicle(ハイブリッド自動車) (生産体制の再編計画)電動車の生産に向け、当社は2022年5月より生産体制の再編計画を段階的にアップデートしてきました。国内では2024年秋頃を目途に北本工場において、次世代e-BOXERの基幹ユニットとなるトランスアクスルの生産開始を予定し、本工場、矢島工場で生産される車両に順次搭載していきます。また、ガソリンエンジン車とBEVの混流生産の開始を矢島工場にて計画しており、ここで生産するBEVはトヨタにも供給を予定します。加えて2027年以降を目安とした大泉工場におけるBEV専用ライン追加についても各種取り組みを進めています。米国においても次世代e-BOXER車両の生産を計画しており、過渡期における全世界の工場生産キャパシティは120万台レベルとなります。電動化時代における生産体制についても「柔軟性と拡張性」の観点を念頭に、BEVの普及の加減速や市場の動向にあわせ、ガソリンエンジン車/HEV/BEVのバランスや日米での生産比率などフレキシブルな対応ができるよう準備を進めています。 ②2028年に向けた決意2030年に目指す姿の実現に向けて、当社では2028年までの期間を非常に重要な期間として位置づけ、「モノづくり革新」と「価値づくり」の2つの取り組みを進めていきます。自動車業界が大変革期にあるなか、決してSUBARUが埋没することのないよう、「モノづくり」と「価値づくり」においては、世界最先端でありたいと考えています。内燃機関からBEVに替わっていく過渡期において、国内外工場再編による「生産体制」の刷新を決断したタイミングに「開発プロセス」や「商品企画」の刷新を合わせ、BEVへ資源を集中することで、早期に「モノづくり革新」「価値づくり」を実現する―このチャレンジを2028年までにやり切ります。 (モノづくり革新)モノづくり革新を通じて、小回りの利く「SUBARUの規模だからこそできる」製造・開発・お取引先様領域まで含めたサプライチェーンが一体となった“ひとつのSUBARU化”を進めることで、高密度なモノづくりを推進する―この考え方を軸に、開発手番半減、部品点数半減、生産工程半減を実現し、世界最先端のモノづくりを成し遂げます。商品構想、設計、生産などが、それぞれ前工程の手離れを待ちリレー式に進めてきた業務を、モノづくり革新のなかでは各領域をアジャイルに進めていくことで、モノづくりに要する時間の半減につなげます。加えて、このような取り組みを絶え間なく推進していくことで、既存領域にかかる開発日数、生産手番などの抑制を図り、先行きの見えない時代における「非連続に変化する領域」への対応力も強化していきます。 (価値づくり)米国では販売子会社であるスバル オブ アメリカ インク(SOA)と全米の販売店が一体となったLove Promiseという活動が実を結んでいます。SUBARUの商品を核として、お客様、販売店、SUBARUそして地域社会の人と人を強固につなげるこの取り組みこそが「SUBARUの社会と未来への価値貢献」であり、これを守りさらに取り組みの輪を拡げていく―この想いは、この先の大変革期や電動化時代においても決して変わるものではありません。お客様、販売店、SUBARUのつながりの中心にある「商品」において、その価値をさらに進化させていきます。BEV時代の「価値づくり」において、重要となるのが当社の提供価値である「安心と愉しさ」のさらなる進化です。その1例として、これまで培ってきたAWD(全輪駆動)性能はBEV化により、緻密な制御を可能にし「安全・安心」という強みをさらに強化することができると考えています。また、BEV時代におけるシームレスやストレスフリーといった使い勝手の追求、クルマの魅力を減らすことなく長くお付き合いいただきたいという考えに基づく減価ゼロの発想など、BEVの時代においてもSUBARUはテクノロジーで応えていきます。このような商品や機能を核とし、お客様には「安心」「挑戦」「いつでも新しい」というような、「SUBARUと共に過ごすことでの色褪せない情緒的な価値」を感じていただけると考えています。電動化が進むことにより、「今まで以上にお客様の人生に寄り添うSUBARU」を目指していきます。「モノづくり革新」「価値づくり」の実現を加速させるべく様々な取り組みが進んでいます。2024年1月に稼働を開始した群馬県太田市の開発拠点「イノベーション・ハブ」では当社従業員、お取引先様が垣根なく集い、開発・生産など様々な検討を行う「大部屋活動」や株式会社アイシン※4、パナソニック エナジー株式会社※5、AMD※6など各社との協業を進めることで「モノづくり革新」「価値づくり」の具現化に向けた活動を推し進めています。また、「モノづくり革新」「バッテリービジネス」「デジタルカー」「コネクトビジネス」「コスト改革」の5つの領域を「核心的重点テーマ」と位置付け、各領域を担当する5人のCXO(Chief X Officer)を新設し、それぞれが部門横断で取り組みを進めることで、「モノづくり革新」「価値づくり」のスピードアップを図っていきます。※4:SUBARUとアイシン、次世代電動車両用eAxleに関する協業を開始   https://www.subaru.co.jp/news/2024_03_12_113512/※5:SUBARUとパナソニック エナジー、車載用円筒形リチウムイオン電池の供給に関する協業基本契約を締結   https://www.subaru.co.jp/news/2024_03_19_163431/※6:SUBARUとAMD、ステレオカメラとAI推論処理を融合するSoC設計に関する協業を開始   https://www.subaru.co.jp/news/2024_04_19_154136/ ③脱炭素社会に向けた取り組み当社は脱炭素社会に貢献するため、商品(スコープ3)および工場・オフィスなど(スコープ1および2)に関する長期目標(長期ビジョン)を2050年とし、それを補完する中期目標(マイルストーン)を設定しています。これらの目標は非連続かつ急速に変化する事業環境に応じて随時見直されており、2023年には、商品に関する中間目標を「2030年に全販売台数の50%をBEVにすることを目指す」、工場・オフィスなどの中期目標を「2035年度に2016年度比60%削減」に引き上げました。当社のバリューチェーン全体のCO2排出量は販売した商品の使用によるものが大部分を占めるため、自動車の電動化に向けた取り組みを着実に進めていくことが重要です。また、当社グループが直接排出するCO2(スコープ1および2)の削減に当社自らが率先して取り組むことはバリューチェーン全体での削減活動をより充実させていくものと考え、再生可能エネルギーの利用や高効率な設備への更新などに取り組んでいきます。なお、商品および工場・オフィスに「素材部品」「輸送」「廃棄」を加えたバリューチェーン全体の脱炭素社会に向けた取り組みは、各領域でのCO2削減を目的とした会議体にて管理され、最終的には環境委員会にて全体統括されています。※7:2050年に世界で販売されるSUBARU車の燃費(届出値)から算出するCO2排出量を、同2010年比で90%以上削減。総量ベース。   市場環境変化による販売台数の増減は加味するが、走行距離の多少は考慮しない。※8:他社からOEM供給を受ける車種を除く。※9:EV・ハイブリッドなど、電力利用を高める技術を指す。 <人財づくり>事業環境が急速に変化するなか、当社が競争力を高め持続的な成長を続けていくための原動力は人財であり、人財を育てていくことこそが当社にとっての企業競争力の源泉です。「自律への働きかけ」「個を磨く」「共感づくり」という3つを人財づくりの軸とし、人財育成や組織風土改革などを重点テーマに掲げ、各種取り組みを推進しています。 (自律とチャレンジを促す人財育成)従業員の自律的な能力開発と自発的なチャレンジを促し、個の成長を後押しするため様々な取り組みを行っています。「笑顔をつくる会社」の実現に向け、従業員一人ひとりの自律的な行動へつなげることを目的に全従業員を対象として行われる「SUBARUビジョン理解プログラム」では、2023年度は「新経営体制における方針」をテーマに取り扱いました。本方針への取り組みと「笑顔をつくる会社」実現へのつながりや、従業員一人ひとりが何を考え、動き出そうとしているのかについて、映像視聴や職場内でのディスカッションを通じて理解を深めることで、各自の自律的な動き出しへの働きかけを行っています。また、時代と共に変化するお客様の期待に継続的に応えるためには、新たな技術価値の創造を担うエンジニア人財の育成が不可欠です。これまで内燃機関で培ってきた技術力(スキル)に電動化時代に求められる新たな技術力を付加し、SUBARUらしい技術力の強化を行うことを当社では「アドスキル」と呼び、エンジニア人財の「アドスキル」に積極的に取り組んでいます。特にソフトウェア領域が技術価値創造を左右する状況を踏まえ、2022年度より技術部門において「ソフトウェア人財育成プロジェクト」を発足させ、「新入社員向け研修」「既存社員向け研修」の2本柱で入門・初級・中級・上級とレベルを分けた教育講座を実施しています。 (ダイバーシティ経営)SUBARU独自の価値創造を実現し続けるため、当社は性別・国籍・文化・ライフスタイルなどの多様性を尊重し、様々な個性や価値観を持つ従業員が個々の能力を十分に発揮できる働きやすい職場環境の整備に努めています。また、多様な人財が活躍しキャリアの充実を図れるよう、適材適所の人財配置や人財育成、管理職への登用も進めています。とりわけ女性の活躍推進については重要であると考えており、「キャリア形成支援」と「仕事と育児の両立支援」を重点課題として取り組んでいます。キャリア形成支援については女性管理職の育成に力を入れており、「2025年までに女性管理職数を2021年時点の2倍以上」とする目標を掲げています。この目標に向け、管理職を目指す女性それぞれに合った育成・教育を行う「Women’s Leadership Program」の推進や女性役員との対話会「役員フォーラム」など、各種研修体系を整備し取り組むほか、2023年11月には全社従業員に対し、女性活躍推進の加速に向けた経営トップメッセージを発信しています。これらの取り組みの結果、2024年4月時点で管理職1,132名のうち43名が女性となり、2021年に24名であった女性管理職は1.8倍に増えています。そのほかにも人財づくりに向けた様々な取り組みを実行しており、今後も各種取り組みを一層深化させていくことで、「個の成長」を「組織の成長」へつなげ、企業競争力を高めていくとともに、大変革期における「モノづくり革新」「価値づくり」を実現する「変革をリードする人財」が最大限能力を発揮できる環境づくりを行うことで、新たな時代のスタンダードとなるプロセスや技術を生み出していきます。 <資本コストや株価を意識した経営>当社は持続的な成長に向けて「資本コストや株価を意識した経営の実現」※10が不可欠だと考えています。当社のROEは、半導体の供給不足による生産台数の減少が大きく影響した2021年3月期、2022年3月期を除けば資本コストを上回る数値で推移しており、直近のPBRについても生産・販売環境の正常化や為替変動を主因に1倍程度に改善しています。自動車業界の大変革期においても、世界最先端の「モノづくり革新」「価値づくり」を着実に実行し、競争力のあるSUBARUらしい商品を市場へ投入することで2030年を見据えた長期的目標として、「業界高位の収益力」「ROE10%以上」を追求していきます。一方でPERについては、現状7~8倍程度とプライム市場平均PERに対し低位で推移しています。電動化をはじめとする中長期展望の不確実性を背景に期待が醸成されづらい状況であることが要因と捉えており、今後より一層のIR活動強化に取り組み、成長の柱となる電動化戦略の進捗開示などを通して、当社への期待値向上へつなげていきます。※10:詳細は2024年3月15日に公表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」をご参照ください。   https://www.subaru.co.jp/outline/pdf/governance_action.p
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りです。文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営成績 当連結会計年度の世界経済は、長期化するロシア・ウクライナ情勢および中東での紛争勃発などによる地政学リスクが高まり、また、物価上昇を受けた利上げなどに伴い景気の先行きの不透明な状況が続きました。一方、日本においては新型コロナウイルスが5類に移行するなど各種制限が緩和され、それに伴い需要と供給の両面において回復基調となりました。このような経営環境のなか当社グループは、ありたい姿である「笑顔をつくる会社」に向けて、提供価値である「安心と愉しさ」の追求と経営理念である“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指してまいりました。2023年6月の新経営体制への移行に伴い、同年8月2日に「新経営体制における方針」を発表し、「モノづくり革新」と「価値づくり」の取り組みを強力に推進してきました。 (売上収益)自動車売上台数の増加、自動車売上台数の増加および為替変動による増収効果などにより、売上収益は4兆7,029億円と前連結会計年度に比べ9,285億円(24.6%)の増収となりました。 (営業利益)諸経費等の増加などがあったものの、自動車売上台数の増加および為替変動による増益効果などにより、営業利益は4,682億円と前連結会計年度に比べ2,007億円(75.0%)の増益となりました。 (税引前利益)5,326億円と前連結会計年度に比べ2,542億円(91.3%)の増益となりました。 (親会社の所有者に帰属する当期利益)3,851億円と前連結会計年度に比べ1,847億円(92.1%)の増益となりました。 (単位 金額:百万円、比率:%) 売上収益 親会社の所有者に為替レート営業利益税引前利益帰属する(利益率)(利益率)当期利益 (利益率) 2024年3月期4,702,947468,198532,574385,084144円/米ドル (10.0)(11.3)(8.2)154円/ユーロ2023年3月期3,774,468267,483278,366200,431135円/米ドル (7.1)(7.4)(5.3)141円/ユーロ増減928,479200,715254,208184,653 増減率24.675.091.392.1 セグメントごとの経営成績は次の通りです。(単位 金額:百万円、比率:%) 売上収益セグメント利益2023年3月期2024年3月期増減増減率2023年3月期2024年3月期増減増減率自動車3,690,5514,593,639903,08824.5263,261461,524198,26375.3航空宇宙79,019104,31725,29832.0△2,0822,6674,749-その他4,8984,991931.96,2613,633△2,628△42.0調整額----43374331769.8合計3,774,4684,702,947928,47924.6267,483468,198200,71575.0(注)1.売上収益は、外部顧客への売上収益です。   2.セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去です。 (自動車事業)当社の重点市場である米国の自動車全体需要は約1,580万台と前連結会計年度を約11%上回りました。また、国内の自動車全体需要は約450万台と前連結会計年度を約3%上回る結果となりました。このような事業環境のなか、生産および調達などにおける各種取り組みを継続してきたことにより、当連結会計年度の国内の生産台数は60.2万台と前連結会計年度に比べ2.7万台(4.7%)の増加、海外の生産台数は36.8万台と前連結会計年度に比べ6.9万台(23.0%)の増加となりました。以上の結果、国内と海外の生産台数の合計は97.0万台と前連結会計年度に比べ9.6万台(10.9%)の増加となりました。重点市場である米国のほかカナダを含む北米を中心にSUBARU車の需要は強く、売上台数は堅調に推移し、海外は87.8万台と前連結会計年度に比べ12.5万台(16.6%)の増加、国内は9.9万台と前連結会計年度に比べ0.1万台(0.8%)の減少となったものの、海外と国内の売上台数の合計は97.6万台と前連結会計年度に比べ12.4万台(14.5%)の増加となりました。売上収益は、自動車売上台数の増加および為替変動による増収効果などにより、4兆5,936億円と前連結会計年度に比べ9,031億円(24.5%)の増収となりました。またセグメント利益は、諸経費等の増加などがあったものの自動車売上台数の増加および為替変動による増益効果などにより、4,615億円と前連結会計年度に比べ1,983億円(75.3%)の増益となりました。 なお、当連結会計年度の連結売上台数は次のとおりです。 (単位 台数:万台、比率:%) 2023年3月期2024年3月期増減増減率国内合計10.09.9△0.1△0.8 登録車8.18.70.56.7 軽自動車1.91.2△0.6△33.7海外合計75.387.812.516.6 北米63.576.312.820.2 欧州2.32.70.417.3 豪州4.44.70.37.8 中国1.00.6△0.4△37.5 その他地域4.13.4△0.7△17.3総合計85.297.612.414.5 (航空宇宙事業)防衛、民間、ヘリコプターすべての事業において納入および受注が増加しました。特に「ボーイング787」の引き渡しの増加および多用途ヘリコプター「UH-2」の売上の増加などにより、売上収益は1,043億円と前連結会計年度に比べ253億円(32.0%)の増収となりました。また、セグメント利益は27億円と前連結会計年度に比べ47億円改善し、4期ぶりの黒字となりました。 (その他事業)売上収益は50億円と前連結会計年度に比べ1億円(1.9%)の増収となりました。また、セグメント利益は36億円と前連結会計年度に比べ26億円(42.0%)の減益となりました。 生産、受注および販売の実績は、次の通りです。 ① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。なお、自動車の生産台数は、上半期前半まで半導体供給不足による生産制約の影響は残ったものの、生産および調達などにおける各種取り組みを継続したことにより、前連結会計年度を上回りました。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日  至 2024年3月31日)前年同期比(%)自動車 普通自動車(万台)97.0+10.9航空宇宙(百万円)165,974+57.5 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。  ② 受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次の通りです。 なお、自動車事業については見込生産を行っています。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)航空宇宙357,109+297.8566,880+81.3 (注)セグメント間の取引については相殺消去しています。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日  至 2024年3月31日)前年同期比(%)自動車(百万円)4,593,639+24.5航空宇宙(百万円)104,317+32.0その他(百万円)4,991+1.9合計(百万円)4,702,947+24.6 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。 (2) 財政状態 ① 資産の状況当連結会計年度末の資産は、4兆8,141億円と前連結会計年度末に比べ8,700億円の増加となりました。主な要因は、外貨建定期預金の増加および為替の影響などにより「その他の金融資産(流動および非流動)」が5,758億円増加したこと、設備投資などにより「有形固定資産」が1,073億円増加したこと、為替の影響などにより「現金及び現金同等物」が685億円増加したことです。 ② 負債の状況負債は、2兆2,488億円と前連結会計年度末に比べ4,146億円の増加となりました。主な要因は、製品保証引当金の増加などにより「引当金(流動および非流動)」が921億円増加したこと、米国市場インセンティブの増加などにより「その他の流動負債」が908億円増加したこと、長期借入金の増加などにより「資金調達に係る債務(流動および非流動)」が869億円増加したこと、「未払法人所得税」が659億円増加したことです。 ③ 資本の状況資本は、2兆5,654億円と前連結会計年度末に比べ4,554億円の増加となりました。主な要因は、当期利益の計上、配当金の支払いおよび取得した自己株式の消却により「利益剰余金」が2,832億円増加したこと、為替換算調整勘定の増加などにより「その他の資本の構成要素」が1,776億円増加したことです。                                          (単位:百万円) 前連結会計年度(2023年3月31日)当連結会計年度(2024年3月31日)増減資産合計3,944,1504,814,149869,999負債合計1,834,2032,248,755414,552資本合計2,109,9472,565,394455,447 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1兆480億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による資金の増加は7,677億円(前連結会計年度は5,038億円の増加)となりました。主な要因は、税引前利益5,326億円、減価償却費及び償却費2,178億円、法人所得税の支払額1,105億円などです (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動による資金の減少は7,037億円(前連結会計年度は3,368億円の減少)となりました。主な要因は、定期預金の増加3,661億円、有形固定資産の取得による支出(売却による収入との純額)1,853億円、無形資産の取得及び内部開発に関わる支出1,117億円などです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による資金の減少は665億円(前連結会計年度は1,223億円の減少)となりました。主な要因は、親会社の所有者への配当金の支払額652億円、リース負債の返済による支出427億円、自己株式の取得による支出400億円、長期借入金の借入れによる収入(返済による支出との純額)741億円などです                                           (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)増減営業活動によるキャッシュ・フロー503,759767,665263,906投資活動によるキャッシュ・フロー△336,813△703,699△366,886財務活動によるキャッシュ・フロー△122,307△66,46955,838現金及び現金同等物の期末残高979,5291,048,00068,471 (4) 資本政策の方針① 財務戦略の基本的な考え方当社グループは、“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指し、選択と集中を進め、経営資源を最大限活用することで高収益なビジネスモデルを展開し、強固な財務体質と高い資本効率を維持し、中長期的な企業価値の向上を図っています。当社は2023年8月に実施した「新経営体制における方針」の説明において、2022年より段階的に発表してきた電動化計画のアップデートを行い、BEVへ資源を集中し世界最先端の「モノづくり革新」と「価値づくり」を目指すことを公表しました。この実現に向け、財務健全性(自己資本比率50%以上)と財務安定性(相応のネットキャッシュポジション)を維持しつつ、2030年頃までに最大で約1.5兆円の電動化対応投資(バッテリー関連、国内・米国生産体制整備、電動車開発関連など)を見込みます。加えて電動化に向けた革新の原動力となる人的資本への投資も着実に実施していきます。また、保有する円とUSドルのバランスおよび最適な資本構成を踏まえ、資金調達が適当と判断される場合はサステナビリティファイナンスなども念頭に円建て債務での調達を行っていきます。持続的な成長に向けては資本コストや株価を意識した経営の実現が不可欠です。当社の現状の資本コスト(WACC)は6%半ば(CAPMに基づく)であり、自己資本利益率(ROE)は2030年を見据えた長期的目標として、業界高位の収益力とあわせ10%以上を追求していきます。また、役員報酬制度において、KPIの一つにROEを採用するなど、従前より重要な指標と位置付けておりましたが、2024年度より企業価値の改善に関する指標である相対TSR(対 配当込みTOPIX成長率)を新たなKPIとして追加することで、中長期的な企業価値の持続的な向上に向けた実効性をより高めていきます。株主還元の考え方については、総還元性向30%~50%を目安に、業績、投資計画、経営環境を総合的に勘案し、安定的・継続的な配当と機動的な自己株式の取得を実施していきます。投資が増加するなかでも株主還元を重視し、その時々の経営状況やバリュエーションを踏まえ、株主と当社の双方にとって最適かつバランスの取れた資本政策を柔軟に実施していきます。なお、2023年5月11日に資本効率の向上を目的に決定した約400億円の自己株式の取得については、2023年9月22日に取得を終了し、2023年11月15日に取得した自己株式を全株消却いたしました。また2024年5月13日には、新たに600億円を取得上限総額とする自己株式の取得と、取得する自己株式の全数消却を行うことを発表しました。 ② 経営資源の配分に関する考え方と資金調達及び資金の流動性に係る分析 当社グループは、経営環境を考慮しつつ、適切な手元資金水準を維持しながら、資金調達計画を経営会議において審議し、戦略的投資と研究開発費等の成長に向けた経営資源の適切な配分を安定的に行っています。当社グループの資金調達および資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要銀行からの借入とコミットメントライン契約の締結、ならびに社債の発行を行っており、現在必要とされる流動性の水準を満たしていると考えています。当連結会計年度末における有利子負債の残高(リース債務を含まず)は3,995億円と、前連結会計年度に比べて869億円の増加となりました。デット・エクイティ・レシオは0.16と、安全性を維持しています。今後の設備投資や研究開発の投資計画によっては資金の追加調達、現預金残高の取り崩しをする可能性があります。 コミットメントライン約2,000億円に加え、社債ならびにコマーシャル・ペーパー発行枠を設定する等、合計約4,000億円の資金調達枠を確保し、資金需要に機動的に対応できる体制を整えています。また、当社は 国内の格付機関である格付投資情報センターから格付を取得しており、有価証券報告書提出日現在においての格付は「 シングルAマイナス(安定的)」となっています。強固な財務体質を維持し、上記資金調達枠を保持していることから、当社グループの事業運営に必要な運転資金および投資資金に関しては問題なく確保できるものと認識しています。(5) 重要性がある会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、様々な見積りによる判断が行なわれていますが、見積りに内在する不確実性により、実際の結果は異なることがあります。 連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しており、特に重要な見積りを伴う会計方針は以下の通りです。 ① 損失評価引当金当社グループは、各報告日において、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価 しており、当該信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る損失評価引当金を12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定しています。また、当該金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融資産に係る損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。ただし、営業債権、リース債権および契約資産については、常に損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。 将来、取引先などの財務状況が悪化するなどにより支払能力が低下した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があるため、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。 ② 製品保証引当金当社グループは、製品販売時に付与した保証約款に基づく製品保証とともに、主務官庁への届出等に基づいて個別に無償の補修を行っています。 保証約款に基づく製品保証の対象は、各国における保証約款に基づき、期間および走行距離や不具合の原因などにより決定しています。 保証約款に基づく製品保証の保証修理費用は、製品を販売した時点で引当金を認識しており、保証期間内に不具合が発生して部品を修理または交換する際に発生する費用の総額について、過去の補修実績、過去の売上台数を基礎として将来の発生見込みに基づく最善の見積りにより引当計上しています。 主務官庁への届出などに基づく個別の保証修理費用は、経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に引当金を認識しており、製品の不具合に関する過去の経験を基礎として算定した1台当たり将来保証修理費用などおよび対象台数に基づく最善の見積りにより引当計上しています。 当社グループは、発生が見込まれる保証修理費用について、現在入手可能な情報に基づき必要十分な金額を引当計上していると考えていますが、製品保証引当金の計算では将来複数年にわたり生じる保証修理費用を予測しているため、実際の保証修理費用が見積りと乖離することにより、製品保証引当金を追加計上する必要が生じる可能性があることから、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。③ 従業員給付当社グループは、従業員給付のうち退職給付について、将来の退職給付の支払いに備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務および年金資産の見込額に基づき、退職給付を計上していますが、この計算は主として数理計算上で算定される前提条件に基づいて行われています。この前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、死亡率などが含まれており、それぞれの条件は現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されています。当社は、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用および債務に影響を与える可能性があるため、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。割引率が変動した場合の確定給付制度債務に与える影響額については、連結財務諸表注記の「19 従業員給付(4)数理計算の仮定」を参照ください。 ④ 金融資産当社グループは、価格変動性の高い公開会社の株式、株価の決定が困難である非公開会社の株式、国債、社債および投資信託などを保有しています。 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、投資価値の変動により損失が発生することがあるため、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。 ⑤ 繰延税金資産繰延税金資産は将来減算一時差異などを使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識し、繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識しています。当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動などによって影響を受ける可能性があり、実際に発生した課税所得の時期および金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の有価証券報告書において、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

※本記事は「株式会社SUBARU」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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