スズキ株式会社の基本情報

会社名スズキ株式会社
業種輸送用機器
従業員数連72372名 単16955名
従業員平均年齢41歳
従業員平均勤続年数18年
平均年収7020868円
1株当たりの純資産1291.25円
1株当たりの純利益138.4円
決算時期3月
配当金122円
配当性向29.1%
株価収益率(PER)12.6倍
自己資本利益率(ROE)11.7%
営業活動によるCF4460億円
投資活動によるCF▲4338億円
財務活動によるCF▲812億円
研究開発費※14億円
設備投資額※19.61億円
販売費および一般管理費※11171.28億円
株主資本比率※241.3%
有利子負債残高(連結)※34959.44億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。また、当該事項については、取締役会等の社内会議体で合理的な根拠に基づき適切な検討を行ったものです。これらの記載は実際の結果と異なる可能性があり、その達成を保証するものではありません。 (1) 2030年度に向けた成長戦略 <成長戦略の骨子> スズキは2030年度に向け、主要事業地域である日本・インド・欧州を核にして、カーボンニュートラル社会の実現とインド・ASEAN・アフリカなどの新興国の経済成長に貢献していきます。お客様の立場になった製品・サービスづくりと進出国・地域とともに成長するというスズキらしい解決策に取り組んでいきます。 <カーボンニュートラル>当社は、各国政府が掲げる達成目標時期に基づき、日本・欧州で2050年、インドでは2070年のカーボンニュートラルの達成を目指していきます。 ~ 製品分野 ~お客様の選択肢を広げ、地域のニーズに合った製品・サービスをお届けするとの考え方を軸に、地域ごとのカーボンニュートラル目標の達成に取り組んでいきます。 〇四輪車当社の主要事業地域である日本、欧州、インドの2030年度におけるパワートレイン比率の目標を定めました。日本とインドのバッテリーEV比率が低くなっておりますが、これは各国の充電インフラやエネルギー事情などを考慮したうえで、最終的にEVに至るまでは、ハイブリッドなど複数の選択肢を用いた、より現実的なアプローチを考えているためです。例えば、インドのエネルギー事情について、発電量のうち、CO2を出す石炭火力による発電が7割以上を占めているため、EVの普及がそのままカーボンニュートラルに繋がらないのが現実です。そのため、当社は今後台数が増えていくインドにおいて、ハイブリッドだけでなく、ガソリンよりもCO2排出量の少ない圧縮天然ガス(CNG)車や、その先のカーボンニュートラル燃料として期待されるバイオガスなども加えた、「マルチパスウェイ」で対応していきます。 〇二輪車通勤・通学や買物など生活の足として利用される小型・中型二輪車は、2030年度までにバッテリーEV比率25%を計画しております。趣味性の強い大型二輪車については、カーボンニュートラル燃料での対応を検討しております。 〇船外機湖沼や河川で多く使われる小型船外機は、2030年度までにバッテリーEV比率5%を計画しております。海洋で使われる大型船外機については、カーボンニュートラル燃料での対応を検討しております。 ~ 製造分野 ~日本国内の工場は、2035年度のカーボンニュートラル達成に挑戦してまいります。 〇スマートファクトリー創造世界の生活の足を守り抜く企業であり続けるために、2030年度のものづくりのあるべき姿を描き、スズキ・スマートファクトリー創造を進めております。スズキのモノづくりの根幹である「小・少・軽・短・美」とデジタル化の推進を組み合わせることで、データ・モノ・エネルギーの流れを最適・最小化、簡素化し、徹底的にムダをなくして、カーボンニュートラルへ繋げてまいります。 〇国内工場での取組み国内最大の生産拠点である湖西工場では、塗装設備の刷新と塗装技術の向上により、使用するエネルギーを効率化/最適化し、塗装工場のCO2排出量30%削減に取り組んでおります。さらに、太陽光発電などの再生可能エネルギーからグリーン水素を製造し、その水素をエネルギー源として荷役運搬車両を走らせる実証実験を2022年末に開始いたしました。二輪車の生産拠点である浜松工場は2030年のカーボンニュートラル達成を宣言しておりましたが、エネルギー使用量の削減や太陽光発電設備の増設など再生可能エネルギーへの転換により、カーボンニュートラル達成を2027年度に前倒しいたします。浜松工場のノウハウを他工場にも展開することで、2035年度の国内全工場のカーボンニュートラル化に取り組んでまいります。 ~ インドのバイオガス事業 ~2030年度に向けて、インド市場は今後も成長を見込んでおりますが、製品からのCO2排出量を削減しても、総排出量の増加が避けられない見通しです。これからもインドとともに成長していくために、販売台数の増加とCO2総排出量の削減の両立に挑戦してまいります。そのための当社独自の取組みとして、インド農村部に多い酪農廃棄物である牛糞を原料とするバイオガス燃料の製造・供給事業へ挑戦してまいります。このバイオガス燃料は、インドCNG車市場シェアの約70%を占める当社のCNG車に使用することができます。当社は、インド政府関係機関の全国酪農開発機構、アジア最大規模の乳業メーカーであるBanas Dairy社と3者間で4つのバイオガスプラントをグジャラート州に設置することで合意をし、着々と歩みを進めています。また、日本で牛糞を原料としたバイオガス発電を手掛ける合同会社富士山朝霧Biomassに出資し、知見の蓄積を始めております。インドにおけるバイオガス事業は、カーボンニュートラルへの貢献だけではなく、経済成長を促し、インド社会に貢献するものと考えております。また、将来的にアフリカやASEAN、日本の酪農地域など他地域に展開することも視野に入れております。インド自動車産業のリーディング企業である当社が、新興国のカーボンニュートラルと経済成長に貢献することは、先進国と新興国が協調してCO2排出量を削減するパリ協定の趣旨にも合致するものであり、全世界のステークホルダーに対して貢献できると信じて取り組んでまいります。 <研究開発体制・外部連携>スズキ本社、横浜研究所、Suzuki R&D Center India Private Limited、Maruti Suzuki India Limitedが連携し、将来技術、先行技術、量産技術の領域分担をしながら、効率的に開発してまいります。また、当社がインドに徹底的に根付くため、スズキイノベーションセンターが探索活動を行っております。さらに、スタートアップ企業、スズキ協力協同組合、日本・インドの大学との共同研究による産学官連携などグループ外とも連携しながらモノづくりの力を高めてまいります。トヨタ自動車株式会社とは、競争者であり続けながら協力関係を深化させ、持続的成長と自動車産業を取り巻く様々な課題克服を目指してまいります。自動運転や車載用電池などをはじめとした先進技術開発、将来有望な新興国でのビジネス拡大、インドでのカーボンニュートラルに向けた取組み、また環境に配慮した循環型社会の形成に向けて協業してまいります。 2022年に設立したコーポレートベンチャーキャピタルファンドのSuzuki Global Ventures, L.P.では、企業及び既存の事業の枠を超えスタートアップとの共創活動を加速しております。日本のみならず海外においても、お客様や社会の課題解決に資する領域に投資をし、スタートアップとともに成長するエコシステムの発展に貢献してまいります。 <研究開発・設備投資>2030年度までに研究開発に2兆円、設備投資に2.5兆円、あわせて4.5兆円規模を投資してまいります。4.5兆円のうち、電動化関連投資に2兆円、そのうち5,000億円を電池関連に投資してまいります。研究開発への投資は、電動化、バイオガスなどのカーボンニュートラル領域や自動運転などに2兆円を計画しております。設備投資は、バッテリーEV工場の建設や再生可能エネルギー設備などに2.5兆円を計画しております。なお、2023年度の実績は、研究開発費が2,342億円、設備投資は3,215億円となりました。 <連結売上高目標>当期の連結売上高は過去最高の5.4兆円となりました。さらに、次期は5.6兆円以上を目指してまいります。これからも、新興国の成長に貢献することで、当社もともに成長していきたいと考えております。2030年度には7兆円規模を目指して挑戦を続けております。 なお、足元の事業環境の変化を踏まえ、現在の中期経営計画(2021年4月?2026年3月)を見直し、技術をはじめとした各分野の戦略をとりまとめ、2025年3月期末までに新中期経営計画を公表する予定です。 (2)持続的成長を目指した人的資本の増強?人事制度を刷新し、「個の成長」の加速と「個の稼ぐ力」を強化?当社は、2030年度に向けた成長戦略の達成及び持続的成長を実現するため、社員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮できる環境を整備していきます。その一環として、2024年4月から人事制度を全面的に刷新しました。新しい人事制度は、社員一人ひとりの挑戦と行動、価値創造を通じて、個の職務能力向上と成長を促します。チームスズキ全員が、社是と行動理念『小・少・軽・短・美』『三現主義』『中小企業型経営』に則り、知識・スキル・ノウハウを備え、現場での経験を重ねることで、スズキ人材としての職務能力を高め、組織の稼ぐ力を上げていきます。 今回実施する制度改革のポイントは以下のとおりです。1.職能資格制度の導入① 各職系・階層ごとの役割と社員一人ひとりの職務遂行に必要な能力要件を明確化した職能資格制度へ移行。② 各本部の職務で必要とされる知識・スキル・ノウハウ・経験を明示し、職務能力の増強に活用。 2.評価制度の見直し① 業績と職務能力の向上は別々に評価し、短期の業績は賞与に、職務能力は昇給・昇格に反映。これによりさらに挑戦できる環境の醸成を図る。② 能力評価の項目を明示し、上司と部下の相互コミュニケーションを通じて職務能力改善に取り組む。3.60歳以降の働き方の見直し① 60歳を過ぎても、気力・体力・環境に問題がなければ、60歳時点の業務と給与を維持。② 全社レベルの人材マッチングと再教育による個の職務能力に最適な配置を実現し、60歳以上の方々が活き活きと働くことができる会社を目指す。4.給与・手当・初任給の見直し① 職務と職能に基づく給与体系を導入。② 子育て支援、通勤、国内出向などの各種手当を見直し。③ 初任給を大幅に引き上げ、若年層からの賃金カーブの立ち上がりを改善。 詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本に関する取組」をご参照ください。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。これらの記載は実際の結果とは異なる可能性があり、その達成を保証するものではありません。 (1) 経営成績当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境、及び業績につきましては、半導体不足影響の解消により、前期に比べ四輪車の生産・販売台数が増加し、モデルミックスも改善しました。さらに、コストアップに対し、四輪車の販価を適正な水準への見直し、為替影響やインドでの原材料価格の落ち着き等の追い風もあり、売上高および全ての利益項目について、過去最高を更新しました。当連結会計年度の業績につきましては、売上高は5兆3,743億円となり前連結会計年度に比べ7,326億円(15.8%)増加、営業利益は4,656億円となり前連結会計年度に比べ1,150億円(32.8%)増加しました。経常利益は4,885億円となり前連結会計年度に比べ1,057億円(27.6%)増加、親会社株主に帰属する当期純利益は2,677億円となり前連結会計年度に比べ466億円(21.1%)増加しました。 事業別セグメントの業績は、次のとおりです。 ① 四輪事業日本、欧州、インドでの販売増加、売上構成変化等の改善により、売上高は、4兆8,838億円と前連結会計年度に比べ7,216億円(17.3%)増加し、営業利益は3,982億円と前連結会計年度に比べ1,191億円(42.7%)増加しました。 ② 二輪事業インドでの販売増加により、売上高は3,669億円と前連結会計年度に比べ338億円(10.1%)増加しました。営業利益は390億円と前連結会計年度に比べ97億円(33.0%)増加しました。 ③ マリン事業北米市場の減速により、売上高は1,123億円と前連結会計年度に比べ223億円(16.6%)減少し、営業利益は252億円と前連結会計年度に比べ142億円(36.0%)減少しました。 ④ その他事業売上高は112億円と前連結会計年度並みとなり、営業利益は31億円と前連結会計年度に比べ5億円(16.9%)増加しました。 生産、受注及び販売の状況は、次のとおりです。 ① 生産実績セグメントの名称当連結会計年度(千台)前年比(%)四輪事業3,265+1.7二輪事業1,359+4.2マリン事業112△31.0  ② 受注実績当社グループは主に見込み生産を行っているため、受注生産について該当事項はありません。  ③ 販売実績セグメントの名称当連結会計年度(億円)前年比(%)四輪事業48,838+17.3二輪事業3,669+10.1マリン事業1,123△16.6その他事業112△4.5合計53,743+15.8 (注) 販売実績は外部顧客への売上高を示しています。 (2) 財政状態当連結会計年度末の財政状態は、総資産は5兆3,856億円(前連結会計年度末比8,079億円増加)となりました。負債の部は、2兆2,472億円(前連結会計年度末比1,781億円増加)となりました。借入金につきましては、世界的な景気後退リスクの高まりを踏まえ、現在の借入水準を当面維持していく考えです。純資産の部は、3兆1,384億円(前連結会計年度末比6,298億円増加)となりました。前連結会計年度末に対する主な増加要因は、利益剰余金の増加に加え、為替換算調整勘定やその他有価証券評価差額金の増加によります。 (3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報① キャッシュフローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は8,536億円となり、前連結会計年度末に比べ285億円減少しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。(ⅰ)営業活動によるキャッシュ・フロー4,460億円の資金増加となりました。増益等により、前連結会計年度の2,866億円の資金増加に比べ、1,594億円の増加となりました。 (ⅱ)投資活動によるキャッシュ・フロー4,339億円の資金減少となりました。有形固定資産の取得による支出の増加等により、前連結会計年度の3,027億円の資金減少に比べ、1,312億円の減少となりました。これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは122億円の増加となり、前連結会計年度の160億円の資金減少と比べ、282億円の増加となりました。 (ⅲ)財務活動によるキャッシュ・フロー812億円の資金減少となり、前連結会計年度の316億円の資金増加に比べ、1,128億円の減少となりました。 ② 資本の財源及び資金の流動性当社グループは、経営環境を考慮しつつ、適切な手元資金水準を維持しながら、資金調達計画を経営会議において審議し、戦略的投資と研究開発費等の成長に向けた経営資源の適切な配分を安定的に行っています。当社グループの資金の流動性管理にあたっては、資金繰り計画を作成し、適時に更新するなどによりリスク管理を行っているほか、急激な外部環境変化に対応できるよう、一定水準の手元流動性を確保する方針としています。また、国内や欧州において資金を一元管理し、キャッシュプールを通してグループ内での相互貸借機能を保有することで、流動性リスクに対し機動的に対応できる体制を構築しています。加えて、当社は取引銀行6行と総額3,000憶円のコミットメントライン契約を締結するなど、十分な流動性を確保する手段を保有しています。なお、当連結会計年度末においてコミットメントラインは未使用となっています。当連結会計年度末の現金及び現金同等物8,536億円は、月商比1.9ヶ月に相当し十分な流動性を確保しています。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものの内容及び金額は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

※本記事は「スズキ株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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