会社名 | 川崎重工業株式会社 |
業種 | 輸送用機器 |
従業員数 | 連39689名 単14111名 |
従業員平均年齢 | 41.3歳 |
従業員平均勤続年数 | 15.3年 |
平均年収 | 8096361円 |
1株当たりの純資産 | 3343.61円 |
1株当たりの純利益 | 366.26円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 50円 |
配当性向 | 0% |
株価収益率(PER) | 7.9倍 |
自己資本利益率(ROE) | 11.8% |
営業活動によるCF | 970億円 |
投資活動によるCF | ▲729億円 |
財務活動によるCF | 73億円 |
研究開発費※1 | 67億円 |
設備投資額※1 | 183億円 |
販売費および一般管理費※1 | 959.8億円 |
株主資本比率※2 | 14.8% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。[経営の基本方針]当社グループは、カワサキグループ・ミッションステートメントにおいて、「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する“Global Kawasaki”」をグループミッションとして掲げ、最先端の技術で新たな価値を創造し、顧客や社会の可能性を切り拓く企業グループを目指しています。また、「選択と集中」「質主量従」「リスクマネジメント」を指針とし、資本コストを上回る利益を安定的に創出するとともに、社会課題に対するソリューションの提供を通じてSDGs達成に貢献すべく、経済的価値・社会的価値の2つの軸で企業価値を高める経営を推進していきます。 [中長期的な会社の経営戦略・対処すべき課題]2020年11月に、当社グループの目指す将来像として「グループビジョン2030」を制定し、各種施策を推進しています。現有主力事業の強化、事業間シナジー促進による将来の柱となる新事業育成、更に事業の選択と集中を行って事業ポートフォリオの変革を実現し、持続的な成長を追求します。進捗状況の詳細は、当社Webサイト(https://www.khi.co.jp/groupvision2030/archive.html)をご参照下さい。 《注力するフィールド》新たな時代の社会課題を見据え、地球環境保護のための脱炭素社会の実現、先進国を中心とした高齢化社会・労働力不足への対応、医療などの地域間格差の解消、自然災害の抑止や早期復旧、各種資源・物資やエネルギーの安定供給など、様々なソリューションをタイムリーに提供するため、以下の3つのフィールドに注力しています。「安全安心リモート社会」-ロボティクスとネットワークを活用した新しい価値の創出医療・ヘルスケア、ものづくり、産業インフラなど様々な分野で、当社グループが持つ遠隔操作・情報技術、ロボティクス等を用いて、安全かつ安心して暮らせる社会を創るとともに、リモート社会の実現によりすべての人々が社会参加できる新しい働き方・くらし方も提案していきます。「近未来モビリティ」-新しい輸送システムで人とモノの移動を変革宅配需要の増加や労働力不足、災害時の交通遮断などに対応するため、無人で物資を運ぶヘリコプタや自動配送ロボットなど、新しい輸送・移動手段を提案し、豊かでスマートかつシームレスな移動が可能な社会を創造します。「エネルギー・環境ソリューション」-クリーンエネルギーの安定供給に向けてカーボンニュートラル社会の早期実現に向け、世界に先駆けて水素サプライチェーンを構築します。また、当社及び国内連結子会社事業所のCO2排出量を2030年までに実質ゼロにするという、自立的なカーボンニュートラルも推進します。世界各地で、様々な方法で作ることができる水素は、カーボンニュートラルだけでなくエネルギー安全保障面からも期待が高まっており、早期に水素社会を実現できるよう取組を加速します。更に、電動化なども含めた当社グループの脱炭素ソリューションを社会やステークホルダーの皆様にも幅広くその輪を広げ、2040年にZero-Carbon Ready、2050年にはグループ全体でのCO2排出量の実質ゼロを目指します。 《成長シナリオ》「グループビジョン2030」の成長シナリオに沿って、順調に伸長しています。足元では、パワースポーツ&エンジン事業がグループ全体の収益を強力に支え、民間航空機や航空機用エンジン、防衛関連をはじめとする受注系事業の収益も安定的に拡大しています。この先、水素事業や医療・ソーシャルロボット事業、近未来モビリティ等をはじめとする新規事業も収益の柱となり、安定した成長軌道を描くことを目指します。成長シナリオの実現のため、モノ売りからコト売りへのシフトなどのビジネスモデルの見直し、政府や自治体、他企業、研究機関との連携による新しい社会創造、ポートフォリオ・組織風土の変革にも取り組み、高収益体質を実現していきます。それらを支える仕組みとして、AI活用、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進し、業務プロセスの見える化・効率化により、新たなソリューションの創出と経営の意思決定のスピードアップ、更には“やりがい”“成長”を実感できる働き方も実現していきます。成長シナリオを支える最も重要な財産である人財が、その個性と能力を発揮する環境整備に取り組み、前向きに挑戦し続ける人と組織の実現を目指します。年齢・性別・国籍等の属性に関わらず、期待役割と成果を実現し得る人財を社内外から獲得・配置するとともに、行動特性評価による適正配置を行うなど、「グループビジョン2030」の達成と更にその先の飛躍に向けて、人事制度の刷新を含め様々な変革を絶えず推進できる企業風土が醸成されつつあります。 [経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題]世界経済は、米国では良好な雇用情勢や所得環境により個人消費を中心に堅調さを維持していますが、不動産不況が長期化する中国経済や地政学リスクの増大等、先行きは引き続き不透明な状況です。国内においては、物価上昇を上回る賃上げ等による消費マインドの改善が見込まれ、設備投資の拡大やインバウンド需要により緩やかな景気回復が続くものの、日銀の政策変更による金利の上昇や、それに伴う為替相場の変動など経済への影響に注視が必要です。このような状況の下、当社グループは収益性の向上に向け、適正な販売価格の実現やコスト競争力の強化、サプライチェーンの多様化に継続的に取り組んでいきます。また、経営資源の投入については、案件の厳選に努めつつも、注力する3つのフィールドについては、スピード感をもって積極的な投資を実行するなど、メリハリのある意思決定を行っていきます。資金面に関しても、前述の収益性向上や投資選別のほか、適正在庫の実現、資産圧縮などの対応策を進めることで、キャッシュ・フロー創出力の強化及び有利子負債の削減に努めていきます。 [経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等]経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を、利益(事業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益)及び税後ROIC※とし、グループ全体として事業利益率を2027年度までに8%、2030年度までに10%超、税後ROICは資本コスト(WACC)+3%以上を目標としています。これらの経営指標の改善の結果として自己資本利益率(ROE = 親会社の所有者に帰属する当期利益 ÷ 自己資本の期首・期末平均)の向上も図っていきます。 ※税後ROIC = (親会社の所有者に帰属する当期利益 + 支払利息 × (1 - 実効税率)) ÷ 投下資本(純有利子負債の期首・期末平均 + 自己資本の期首・期末平均) [セグメントごとの戦略及び課題]① 航空宇宙システム事業P-1固定翼哨戒機・C-2輸送機の修理・部品供給を含めた量産の推進及び派生型機への展開と抜本的な防衛力強化という防衛省の方針に沿った活動強化、ボーイング既存機及び民間航空エンジンの需要回復に伴うサプライチェーン及び増産体制の再整備、新たな事業機会獲得に向けた業務効率化による生産性向上、市況動向を踏まえた技術戦略の推進 ② 車両事業品質管理の強化、顧客ニーズに適合した技術・製品による差別化、コスト競争力の強化、海外プロジェクトのリスク管理強化、IoTを活用したメンテナンス事業及び軌道モニタリング事業参入等のストック型ビジネスの拡大、海外生産・海外調達及びパートナーシップの活用などグローバルな最適事業遂行体制の構築 ③ エネルギーソリューション&マリン事業 水素関連プロジェクトの研究開発・事業化の推進、コアコンポーネント強化とその組み合わせによる最適システム構築、分散型エネルギー供給システムの提案、新興国・資源国を中心とした海外事業の拡大、アフターサービス事業の強化、ガス関連船建造におけるコスト競争力の強化、船舶海洋事業における中国合弁会社の収益性改善、防衛事業の収益拡大 ④ 精密機械・ロボット事業 油圧事業は、新製品・戦略製品の早期開発・上市、アフターサービスビジネスの拡大、グローバル展開の加速によるコスト競争力の強化。ロボット事業は、それぞれの市場に応じた差別化による製品の付加価値向上、コスト競争力の強化、オープンイノベーションと協業の推進、デジタルプラットフォーム(Robo Cross)の構築、「hinotori?」を中心とする医療ビジネスの拡大 ⑤ パワースポーツ&エンジン事業“Kawasaki”らしい魅力ある新機種の継続投入、顧客に訴求する卓越した品質と信頼性、高いブランド価値の実現、新興国市場におけるコスト競争力の強化、連結ベースのマネジメントの徹底による効率化と収益率の向上 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。これらは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営方針・経営戦略等を踏まえて分析しています。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 経営成績の状況① 連結業績の概況世界経済は、米国では良好な雇用情勢や所得環境により個人消費を中心に堅調さを維持していますが、不動産不況が長期化する中国経済や地政学リスクの増大等、先行きは引き続き不透明な状況です。国内においては、物価上昇を上回る賃上げ等による消費マインドの改善が見込まれ、設備投資の拡大やインバウンド需要により緩やかな景気回復が続くものの、日銀の政策変更による金利の上昇や、それに伴う為替相場の変動など経済への影響に注視が必要です。このような経営環境の中で、当連結会計年度における当社グループの連結受注高は、車両事業、精密機械・ロボット事業などでの減少となったものの、航空宇宙システム事業などでの増加により増加となりました。連結売上収益については、車両事業、航空宇宙システム事業などが増収となったことにより、全体でも前期比で増収となりました。利益面に関しては、事業利益は、エネルギーソリューション&マリン事業などでの増益はあったものの、航空宇宙システム事業、パワースポーツ&エンジン事業、精密機械・ロボット事業での悪化などにより、前期比で減益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、事業利益の減益などにより減益となりました。この結果、当社グループの連結受注高は前期比459億円増加の2兆834億円、連結売上収益は前期比1,236億円増収の1兆8,492億円、事業利益は前期比361億円減益の462億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比276億円減益の253億円となりました。また、事業利益率は2.5%、税後ROICは2.8%、ROEは4.2%となりました。(※)なお、現状の資本コスト(WACC)は4~5%台と推計しておりますが、直近の株価動向を考慮すると今後上昇の可能性があります。 ※ 税後ROIC = (親会社の所有者に帰属する当期利益 + 支払利息 × (1 - 実効税率)) ÷ 投下資本(純有利子負債の期首・期末平均 + 自己資本の期首・期末平均) ② セグメント別業績の概要航空宇宙システム事業航空宇宙システム事業を取り巻く経営環境は、防衛省向けについては抜本的な防衛力強化という防衛省の方針のもと、引き続き需要増が期待されます。民間航空機については、航空旅客需要はほぼコロナ前水準に回復しており、機体のコロナリバウンド需要が旺盛なことから、機体・エンジンともに需要が増加しています。このような経営環境の中で、連結受注高は、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品が増加したことなどにより、前期に比べ3,470億円増加の6,926億円となりました。連結売上収益は、民間航空エンジンの運航上の問題に係る損失を一括計上したものの、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品、民間航空エンジン分担製造品などが増加したことなどにより、前期に比べ473億円増収の3,961億円となりました。事業損益は、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品などの増収による増益はあるものの、民間航空エンジンの運航上の問題に係る損失を一括計上したことなどにより、前期に比べ298億円悪化して150億円の損失となりました。 車両事業車両事業を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの収束により利用者数が回復し、国内外で鉄道車両への投資が再開しています。一方で、足元への影響は限定的ではあるものの、電子部品を中心とした機器調達の長期化等、収束が見えつつも注視が必要です。中長期的には、海外市場では都市交通整備、アジア諸国の経済発展に伴う鉄道インフラニーズなど、今後も世界的に比較的安定した成長が見込まれます。このような経営環境の中で、連結受注高は、ニューヨーク市交通局向け新型地下鉄電車等の大口案件を受注した前期に比べ2,244億円減少の887億円となりました。連結売上収益は、国内向け車両が減少したものの、米国向け車両が増加したことなどにより、前期に比べ640億円増収の1,959億円となりました。事業利益は、国内の操業低下があったものの、増収による増益などにより、前期に比べ23億円増益の37億円となりました。 エネルギーソリューション&マリン事業エネルギーソリューション&マリン事業を取り巻く経営環境は、世界的なカーボンニュートラルの実現を目指す動きの影響を強く受け、当社が強みとする水素製品をはじめ、脱炭素ソリューションに関する問い合わせや協力要請が増加しています。また、国内外の分散型電源需要及び新興国におけるエネルギーインフラ整備需要は依然根強く、国内ごみ焼却設備の老朽化更新需要も継続しています。一方、発電設備の稼働に必要な燃料ガスの供給安定性など足元の状況に不透明感があるほか、昨今の原材料価格や資機材・燃料費の高止まり等による受注、売上収益への影響には注視が必要です。このような経営環境の中で、連結受注高は、防衛省向け艦艇用機器や国内ごみ焼却設備などの受注はあったものの、LPG/アンモニア運搬船の受注の多かった前期に比べ373億円減少の4,016億円となりました。連結売上収益は、LPG/アンモニア運搬船を中心とした船舶海洋分野やエネルギー分野を主要因として、前期に比べ386億円増収の3,532億円となりました。事業利益は、船舶海洋分野の持分法投資利益の増加、エネルギー分野の増収による増益などにより、前期に比べ280億円増益の319億円となりました。 精密機械・ロボット事業精密機械・ロボット事業を取り巻く経営環境は、精密機械分野では、中国以外の地域における建設機械市場については堅調に推移しましたが、中国建設機械市場は、不動産不況の長期化等の影響により需要が低迷しました。ロボット分野では、半導体製造装置向けロボットの需要の低迷が底を打ち、2024年度からAI関連やグリーン投資関連等の新たな需要を取り込みつつ、回復していきます。一方で、一般産業用ロボットは、最大の需要国である中国の景況が依然として低調であり、在庫調整が長期化していますが、人件費上昇や労働力不足による自動化需要は確実に高まっています。このような経営環境の中で、連結受注高は、中国建設機械市場向け油圧機器や産業用ロボット全般が減少したことなどにより、前期に比べ486億円減少の2,133億円となりました。 連結売上収益は、中国建設機械市場向け油圧機器や産業用ロボット全般が減少したことなどにより、前期に比べ247億円減収の2,279億円となりました。事業損益は、減収に加え、操業低下の影響などにより、前期に比べ107億円悪化の19億円の損失となりました。 パワースポーツ&エンジン事業パワースポーツ&エンジン事業を取り巻く経営環境は、主要市場である米国と欧州では需要は堅調に推移しているものの、前年度のサプライチェーン混乱が収束し各メーカーの供給量が増えた結果、市場競争が激化しています。また、レクリエーション需要が弱まっていることから、欧米以外は全般的に中大型二輪市場が縮小しつつあります。このような経営環境の中で、連結売上収益は、北米向け四輪車と欧州向け二輪車が増加したものの、中国、東南アジア向け二輪車と汎用エンジンが減少したことなどにより、前期並みの5,924億円となりました。事業利益は、固定費の増加や、米国向け四輪車に係るリコール関連費用(※)の計上などにより、前期に比べ234億円減益の480億円となりました。 ※ 米国向け四輪車の一部機種におけるリコールに関し、米国消費者製品安全委員会から制裁金を課す旨の通知を受領したものです。 その他事業連結売上収益は、前期に比べ28億円減収の835億円となりました。事業損益は、前期に比べ29億円改善して11億円の利益となりました。 当社グループは「グループビジョン2030」において、注力するフィールドを「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」とし、手術支援ロボットをはじめとする医療・ヘルスケア事業、配送ロボットや無人輸送ヘリコプタの事業化、カーボンニュートラル社会の早期実現に向けた水素事業や電動化の推進など、社会課題ソリューション創出への取組を着実に進めています。更に、能登半島地震の被災地のいち早い復興への支援に協力するとともに、今後可能性が高まる様々な自然災害へ対応できる支援パッケージの充実に努めています。 (2) 財政状態の状況(資産)流動資産は、営業債権及びその他の債権などの増加により前期末に比べ1,565億円増加し、1兆7,269億円となりました。非流動資産は、有形固定資産の増加などにより前期末に比べ658億円増加し、9,532億円となりました。この結果、総資産は前期末比2,224億円増加の2兆6,801億円となりました。 (負債)有利子負債は、前期末に比べ640億円増加の6,539億円となりました。負債全体では、有利子負債や営業債務及びその他の債務の増加などにより前期末に比べ1,647億円増加の2兆256億円となりました。 (資本)資本は、在外営業活動体の換算差額の増加に加え、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上などにより、前期末比576億円増加の6,545億円となりました。 (3) キャッシュ・フローの状況当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は前期比542億円減の841億円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、前年同期に比べ80億円増の316億円となりました。収入の主な内訳は、減価償却費及び償却費809億円、営業債務及びその他の債務の増加額435億円であり、支出の主な内訳は、営業債権及びその他の債権の増加額1,864億円、その他流動負債の減少額190億円です。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果支出した資金は、前年同期に比べ123億円増の898億円となりました。これは主に有形固定資産及び無形資産の取得によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果獲得した資金は、前年同期に比べ723億円減の129億円となりました。これは主に債権流動化による収入によるものです。 (4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析 ① 財務政策当社グループの運転資金・投資向け資金等の必要資金については、主として営業キャッシュ・フローで獲得した資金を財源としていますが、必要に応じて、短期的な資金については銀行借入やコマーシャル・ペーパーなど、設備投資資金・投融資資金等の長期的な資金については、設備投資・事業投資計画に基づき、金融市場動向や固定資産とのバランス、既存借入金及び既発行債の償還時期などを総合的に勘案し、長期借入金や社債などによって調達しています。当社グループは上述の多様な資金調達源に加え、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、事業活動に必要な資金の流動性を確保しています。また、当社と国内子会社間、また海外の一部地域の関係会社間ではキャッシュ・マネジメント・システムによる資金融通を行っており、グループ内の資金効率向上に努めています。 ② 資金需要の主な内容当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では生産活動に必要な運転資金(材料費、外注費、人件費等)、受注活動又は販売促進のための販売費、新規事業の立ち上げや製品競争力の強化のための研究開発費などがあります。投資活動に係る資金支出には、事業の遂行、新規立ち上げ、生産性向上のための設備や施設への投資などがあります。 (5) 経営方針・経営戦略及び経営指標等に照らした経営成績等の分析・検討当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を事業利益率及びROICとし、事業利益率については2027年度に8%、2030年度に10%超の水準、税後ROICについては資本コスト(WACC)+3%以上を確保すべく努めていきます。なお、現状のWACCは4~5%台と推計しています。2023年度は、事業利益462億円、事業利益率2.5%、税後ROIC2.8%と年初に公表した計画から大幅に悪化する形となりましたが、その悪化の大部分は民間航空エンジンの運航上の問題に係る損失約600億円を一括計上したことによるものです。2024年度は、前年度の一過性損失がなくなることに加え、防衛案件の増加や航空旅客需要の順調な回復に伴う航空宇宙システム事業の利益伸長や、パワースポーツ&エンジン事業におけるメキシコ工場の稼働開始とオフロード四輪車の拡販等により、過去最高益の達成とともに、事業利益率5.8%、税後ROIC6.7%を見込んでいます。「グループビジョン2030」においては、まずパワースポーツ&エンジン事業をはじめとする量産系事業がコロナ禍から立ち上がり、航空宇宙システム事業をはじめとする受注系事業の業績が回復・拡大し、更に水素や医療ロボットといった新規事業が収益の柱となって安定的な成長軌道を描くことを目指しています。現状はまさに受注系事業の業績が回復し成長軌道に回帰した段階であり、掲げた成長シナリオに沿って進捗していると考えています。目標とする水準に早く到達するため、各セグメントにおける重点施策の着実な実行に加え、適正な販売価格の実現やコスト競争力の強化に継続的に取り組んでいきます。 また、2023年度のフリー・キャッシュフローに関しては△581億となっていますが、売上増加に伴う運転資本の増加やパワースポーツ&エンジン事業における増産対応投資等により、一時的に資金負担が増加したことによるものです。今後の利益の伸長及び運転資本の効率的な運用により早期の回復に努めていきます。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の全社及びセグメントごとの事業利益率は、次のとおりです。(単位:%)セグメントの名称前連結会計年度当連結会計年度変動航空宇宙システム4.2△3.8△8.0車両1.01.90.8エネルギーソリューション&マリン1.29.07.7精密機械・ロボット3.4△0.9△4.3パワースポーツ&エンジン12.18.1△3.9全社4.72.5△2.2 航空宇宙システム事業においては、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品などの増収による増益はあるものの、民間航空エンジンの運航上の問題に係る損失を一括計上したことなどにより、事業利益率は前期に比べ8.0ポイント低下しました。また、エネルギーソリューション&マリン事業においては、船舶海洋分野の持分法投資利益の増加、エネルギー分野の増収による増益などにより、前期に比べ7.7ポイント上昇しました。更に、精密機械・ロボット事業においては、減収に加え、操業低下の影響などにより、前期に比べ4.3ポイント低下しました。 (6) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりです。セグメントの名称生産高(百万円)前期比増減(%)航空宇宙システム392,689+20.5車両166,090+25.6エネルギーソリューション&マリン309,584+7.6精密機械・ロボット207,717△6.4パワースポーツ&エンジン440,431+1.0その他90,862△4.1合計1,607,376+7.3 (注) 金額は、生産高(製造原価)によっています。 ② 受注実績当連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績は、次のとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前期比増減(%)受注残高(百万円)前期比増減(%)航空宇宙システム692,605+100.41,024,984+52.8車両88,791△71.7490,028△14.1エネルギーソリューション&マリン401,674△8.5685,477+9.0精密機械・ロボット213,378△18.683,632△14.6パワースポーツ&エンジン592,422+0.2--その他94,591+9.438,834+39.7合計2,083,461+2.32,322,955+16.4 (注) 1 パワースポーツ&エンジン事業については、主として見込み生産を行っていることから、受注高について売上収益と同額とし、受注残高を表示していません。2 セグメント間の取引については、受注高及び受注残高から相殺消去しています。 ③ 販売実績当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりです。セグメントの名称販売高(百万円)前期比増減(%)航空宇宙システム396,188+13.6車両195,940+48.5エネルギーソリューション&マリン353,248+12.3精密機械・ロボット227,935△9.8パワースポーツ&エンジン592,421+0.2その他83,552△3.3合計1,849,287+7.2 (注) 1 販売高は、外部顧客に対する売上収益です。2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合 相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)防衛省240,58413.9288,51015.6 (7) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。その作成においては、連結財政状態計算書上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り及び仮定を使用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の見積り及び判断の利用」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。 |
※本記事は「川崎重工業株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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