日立造船株式会社の基本情報

会社名日立造船株式会社
業種機械
従業員数連12964名 単3964名
従業員平均年齢43.6歳
従業員平均勤続年数16年
平均年収7915332円
1株当たりの純資産1125.91円
1株当たりの純利益(連結)131.33円
決算時期3月
配当金25円
配当性向37.9%
株価収益率(PER)7倍
自己資本利益率(ROE)(連結)12.6%
営業活動によるCF247億円
投資活動によるCF▲565億円
財務活動によるCF301億円
研究開発費※122.69億円
設備投資額※114.24億円
販売費および一般管理費※11697.31億円
株主資本比率※228.5%
有利子負債残高(連結)※31165.28億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。(1) 経営方針、経営戦略等① 経営方針当社グループでは、基本理念である「Kanadevia Value」を定めており、本基本理念の下、長期ビジョン、経営戦略等を実施していく経営体系を構築している。 当社グループの基本理念「Kanadevia Value」 ② 経営戦略等当社グループでは、基本理念「Kanadevia Value」の下、2050年に目指す姿である「サステナブルビジョン」及び2030年に向けた長期ビジョン「2030 Vision」を掲げるとともに、2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画「Forward 25」を実施している。「サステナブルビジョン」では、「環境負荷をゼロにする」、「人々の幸福を最大化する」を目標に、ビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定している。これら「成功の柱(マテリアリティ)」ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進していく。また、「2030 Vision」では、「サステナブルで、安全・安心な社会の実現に貢献するソリューションパートナー」として、「脱炭素化」、「資源循環」、「安全で豊かな街づくり」の各事業分野における社会課題の解決に積極的に取り組み、既存事業の持続的成長と、成長事業の創出・拡大を目指していく。そして、2023年度~2025年度の3か年の中期経営計画「Forward 25」では、グローバルな社会的課題の解決に向け、以下のとおり3つの基本方針に基づく重点施策に取り組んでいく。 中期経営計画「Forward 25」1.既存事業の持続的成長(1)海外事業の伸長Waste to X(廃棄物中の再利用可能な金属やエネルギーの回収・利用)事業、原子力関連事業、水事業を中心に、当社グループで協力して事業伸長に取り組んでいる。2024年度はKanadevia Inova AG.のWaste to X事業の伸長により、当社グループ全体の海外売上高比率が49%となり、2025年度までの目標としていた40%を達成することができた。デンマークのBabcock & Wilcox Renewable Service A/S(現 Kanadevia Inova Denmark A/S)の買収など、Waste to X プラント運営・メンテナンス会社の買収により継続的事業を拡大しているほか、英国でバイオガスプロジェクトに関する事業開発や運営などを行っているIona Capital Ltd及びそのグループ会社の買収等により、Waste to X事業領域の拡大を進めている。(2)事業構造改革の推進社会のサステナビリティと会社のサステナビリティの観点から事業評価を行い、事業ポートフォリオの見直し・改革を進めている。2024年度は、経営の効率化の観点から、当社の完全子会社のうち、日立造船プラント技術サービス㈱を当社に吸収合併したほか、㈱プロモテックの当社への吸収合併(2025年4月1日付)、また㈱エイチアンドエフの全発行済み株式の㈱アマダへの譲渡(2025年5月1日付)を決定するなどの改革を行った。(3)継続的事業の拡大及び新設事業の収益改善2025年度に継続的事業の売上高割合50%、新設事業の黒字化を目指し、新たな事業モデルの創出、DX推進による製品・事業の高付加価値化等に取り組み、収益力の強化を図っている。2024年度は当社連結売上高に占める継続的事業の割合が41%であった。2.成長事業の創出・拡大重点投資分野である脱炭素化事業、資源循環事業、水事業、ライフサイエンス関連事業等において、積極的な投資を行っている。脱炭素化事業では、水素発生装置の中核機器である水電解スタックの量産工場を山梨県都留市に建設する80億円規模の設備投資を決定した。また、Power to Gas、浮体式洋上風力発電等の分野において、補助金事業を活用した開発投資を行っている。資源循環事業では、国土交通省による実証事業を活用し、下水汚泥から得られるメタンを資源として再利用する技術開発への投資を行っている。さらに、脱炭素化及び資源循環が融合する領域における開発投資として、ごみ焼却施設から発生するCO2の利活用に関する研究を、補助金を活用して進めている。3.持続可能な経営の推進(企業価値の向上) 人的資本の強化、事業活動の脱炭素化、DX戦略の推進、リスク管理の徹底に取り組んでいる。 人的資本の強化では、管理職人事制度の改革、65歳定年制の導入など人事制度の改革を進めた。また、特に健康経営を推進しており、産業医や健康保険組合等とも課題を共有し、健康経営優良法人「ホワイト500」の認定を受けるなど、各種施策を推進している。さらに、2024年10月1日付の商号変更に合わせてブランディング推進の取組みを進め、職員のエンゲージメント向上を図っている。 事業活動の脱炭素化について、2050年度に自社の活動および自社のバリューチェーンにわたるGHG(温室効果ガス)排出量を実質的にゼロにすることを目標とし、各種取組み、情報開示を推進している。ESGデータ集2024において、自社活動によるGHG排出量を示すスコープ1、2の開示範囲を、当社グループ20社から同98社に拡大し、さらに国内排出分の第三者保証を取得した。また、自社のバリューチェーンにおけるGHG排出量を示すスコープ3の開示を開始した。2024年度のGHG排出量データは、2025年秋頃発行予定のESGデータ集2025に記載予定である。さらに、当社は2024年11月に開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の「ジャパン・パビリオン」に初出展し、CO2の高効率回収を実現する廃棄物燃焼技術を中核とした、風力発電やメタネーション等を含むシステム・パッケージを展示したほか、当社社長が講演を行い、資源循環による環境負荷低減に向けて挑戦する当社の姿勢について説明した。 DX戦略の推進については、役職員が業務に利用するための生成AI環境の構築やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得など、戦略推進のための基盤整備が進んだほか、DX人材の育成も併せて進めている。 リスク管理の徹底については、重要な戦略リスクの特定、リスク許容度の定義及びこれに基づく戦略的なリスク管理を行う仕組みを導入、推進するために社長直轄のERM (Enterprise Risk Management)室を新設した。今後、ERM室の統括の下にグループリスクのマネジメントを進めていく。 ③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、中期経営計画「Forward 25」の最終年度となる2025年度における目標を、受注高7,000億円、売上高6,200億円、営業利益270億円(営業利益率4.4%)、ROE8.2%とした。また、長期ビジョン「2030 Vision」では、2030年に営業利益率10%の達成、ROE10%超、海外事業比率50%、継続的事業の比率50%超、2030年代のできるだけ早い時期に売上高1兆円の事業規模を目指す。 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 中期経営計画「Forward 25」の中間年度(2024年度)の業績は、海外子会社のKanadevia Inova AG.及びそのグループ会社の伸長等に加え、円安の影響もあって、受注高、売上高、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも期初の見通しを上回る結果となった。当社グループでは、中期経営計画「Forward 25」の重点施策を実行することで、収益力強化を推進し確実に成果をあげることを目指すとともに、当社グループが持続的な成長と企業価値の向上を目指すうえで重要な課題となる、安全管理の徹底にも引き続き取り組んでいく。 当社グループにおける不適切行為について当社は、当社グループのうち舶用エンジン事業を行っている連結子会社において不適切行為が行われていたことが判明したことを受け、2024年7月17日付で当社グループから独立した外部有識者で構成される特別調査委員会を設置し、透明性及び実効性を確保した調査を実施した。かかる調査の結果、2025年3月25日及び同年4月30日に公表したとおり、舶用エンジンのほか、可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブ等の事業・製品について、一部に不適切行為が行われていたことが判明した(以下、特別調査委員会の調査の結果判明したこれらの不適切行為を「本件不適切行為」という)。当社グループとしては、本件不適切行為が明らかになったことを厳粛に受け止め、以下の再発防止策に取り組んでいくことに加え、特別調査委員会の提言をもとにさらなる実効性の高い再発防止策を策定・実施することで、ステークホルダーからの信頼回復に努めていく。<再発防止策>本件不適切行為のうち個々の事案に対して、計測等システム及び業務プロセスの見直し並びに品質管理体制の強化など、それぞれの性質に応じた対策を実施しているほか、各不適切行為に共通する対策として、以下の事項に取り組んでいる。①経営トップによるコミットメント 経営トップがコンプライアンスの徹底を繰り返し発信することにより、当社グループとして不正を絶対に行わないことを役職員に認識させ、また、ステークホルダーに対して、当社グループ全体として不正防止に真摯に取り組む姿勢を示す。②組織風土改革・意識改革・当社グループとして、Kanadevia Valueをはじめとする当社の理念や規範をもとにありたい姿を具体化し、役職員がこれを理解し実践できるよう経営トップからメッセージを発信する。・如何なる理由があっても不正を拒絶し、何か不安や懸念があればお互いに速やかに共有し、適切に問題解決を図ることができる職場づくりを促進する。・組織の縦割り化や業務の属人化を防ぐために、人事ローテーションの活性化を図り、長期間、一人の担当者が同じ業務に従事しないような仕組みを構築する。・職員一人ひとりが不正を拒絶できる倫理観を持つことができるよう、自身の役割・責任に対する意識を高めることに着眼した啓発・教育・トレーニングを実施する。③業務プロセスの改善・各部門の業務管理規程と業務の実態を照合し、不正につながるプロセスの排除及び業務所掌の見直しを行い、不正を防止できる実効性のある業務管理規程に改訂する。・経験の浅い職員でも適切に業務を遂行できるよう、業務プロセスの可視化・標準化を推進するとともに業務の効率化を行う。④品質不正防止の取組み・社長を委員長とするコンプライアンス委員会の下部組織として、品質コンプライアンス委員会を設置し、各部門の品質に関係する業務の適切性や、本件不適切行為に関わる是正措置の実施状況についてモニタリングを行う。・グループ内職員向けの品質相談窓口や、同業他社で発覚した品質不正につき当社グループにおいて同様の事案がないかをただちに調査し、問題がある場合は改善する仕組みを構築する。また、特別調査委員会の調査結果・提言等及び当社グループの再発防止策について役職員への周知を図る。 ⑤品質保証部門の人員確保人員補強のほか、品質保証業務に必要な素養・スキルが得られる教育を実施する。⑥取締役会の監督機能強化重大なコンプライアンス違反あるいは可能性がある事案が判明した場合は、速やかに取締役会に報告し、取締役会においてコンプライアンス、内部統制及びエンタープライズリスクマネジメントに関わる議論を徹底する。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、経営成績等という。)の概要は次のとおりである。 ①経営成績科目前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)前期比(%)売上高555,844610,52354,6789.8営業利益24,32326,9462,62210.8経常利益25,64624,329△1,316△5.1親会社株主に帰属する当期純利益18,99922,1033,10316.3 当連結会計年度の経済情勢は、緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる。先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっている。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響等も、国内景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要がある。 こうした中で、当社グループでは、2023年度からスタートした中期経営計画「Forward 25」のもと、既存事業の持続的成長、成長事業の創出・拡大、持続可能な経営の推進(企業価値向上)を基本方針として、各種重点施策を鋭意推進しているところである。 当連結会計年度の経営成績については、売上高は主に環境部門の増加により、前連結会計年度に比べ54,678百万円(9.8%)増加の610,523百万円となった。損益面では、営業利益は、機械・インフラ部門及び脱炭素化部門が悪化したが、環境部門の改善により、前連結会計年度に比べ2,622百万円(10.8%)増加の26,946百万円となった。営業利益は改善したものの、持分法による投資利益の減少及び為替差益の減少等により、経常利益は、前連結会計年度に比べ1,316百万円(5.1%)減少の24,329百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益については、税金費用の減少等により、前連結会計年度に比べ3,103百万円(16.3%)増加の22,103百万円となった。 ②財政状態科目前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)前期比(%)連結総資産533,593609,66676,07214.3流動資産347,076357,11410,0372.9固定資産186,475252,53266,05635.4負債の部364,647411,77147,12412.9純資産の部168,946197,89528,94817.1 当連結会計年度末の財政状態について、連結総資産は前連結会計年度末に比べ76,072百万円増加の609,666百万円となった。このうち、流動資産は、前連結会計年度末の347,076百万円から10,037百万円(2.9%)増加し、357,114百万円となった。固定資産は、前連結会計年度末の186,475百万円から66,056百万円(35.4%)増加し、252,532百万円となった。これは、主として当連結会計年度にKanadevia Inova Denmark A/S及びIona Capital Ltdを連結の範囲に含めたことによるものである。負債の部は、前連結会計年度末の364,647百万円から47,124百万円(12.9%)増加し、411,771百万円となった。これは、主として有利子負債の増加によるものである。純資産の部は、前連結会計年度末の168,946百万円から28,948百万円(17.1%)増加し、197,895百万円となった。これは、主として利益剰余金の増加によるものである。 ③キャッシュ・フローの状況科目前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー47824,76924,291投資活動によるキャッシュ・フロー△21,491△56,573△35,081財務活動によるキャッシュ・フロー△2,60630,15032,757現金及び現金同等物の期末残高69,77468,707△1,067 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び財務活動により獲得した資金が、投資活動により使用した資金を下回ったことにより、前連結会計年度末に比べ1,067百万円(1.5%)減少の68,707百万円となった。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度を24,291百万円(5,076.2%)上回る24,769百万円となった。これは、主として前連結会計年度に一部手形の廃止(建設業対象工事及び資本金3億円以下のメーカーに対して手形を廃止し振込による支払いに変更)に伴う仕入債務の支払額が増加したこと等を反映したものである。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、前連結会計年度を35,081百万円(163.2%)上回る56,573百万円となった。これは、主として固定資産の取得による支出及び子会社株式の取得による支出等を反映したものである。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、30,150百万円となった(前連結会計年度は2,606百万円の資金の使用)。これは、主として借入金の増加等を反映したものである。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)環境457,59410.7機械・インフラ119,6967.3脱炭素化72,43026.8その他17,82830.6合計667,55012.1(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去している。 b.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)環境617,36310.51,623,16611.2機械・インフラ91,17912.986,26210.5脱炭素化54,033△25.686,505△15.8その他3,33415.5565△45.9合計765,9107.11,796,4999.5(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。2.受注残高の前期比の算出にあたっては、為替レート変動による影響額を前期末受注残高において修正している。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)環境453,47111.3機械・インフラ82,989△8.8脱炭素化70,24727.1その他3,81464.3合計610,5239.8(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。2.主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対し10%以上に該当する販売先がないため、記載を省略している。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。 ①重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、連結財務諸表の作成に当たっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。また、工事契約に係る収益認識、貸倒引当金、保証工事引当金及び工事損失引当金等の重要な引当金の計上、固定資産の減損ならびに繰延税金資産の回収可能性の判断などの見積りについては、それぞれ合理的な基準に基づいて実施している。連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。 ②当連結会計年度の経営成績の分析a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度は、期初時点の見通しと比較して、売上高・利益項目ともに達成することができた。また、SDGs(持続可能な開発目標)の概念が世界的に広がり、持続可能な開発・循環型社会の実現に向けて社会は動き出している。この動きは、事業・製品を通じてサステナブル(持続可能)で、安全・安心な社会の実現に貢献するという当社グループの事業の方向性と一致している。こうした状況を踏まえ、当社は、2023年度から3か年の中期経営計画「Forward 25」を策定した。詳細は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針、経営戦略等」に記載している。 b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報(財務戦略の基本的な考え方)当社グループは、流動性の確保と財務体質の強化を基本方針として掲げている。流動性の確保については、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮等による営業キャッシュ・フローの底上げ、国内のグループ会社間でのキャッシュマネジメントシステムによるグループ内の余剰資金の有効活用により、流動性確保、資金効率化を図っている。また、資本市場へのアクセスの継続等により、長期安定資金の確保に対応するとともに、国内金融機関においてコミットメントライン300億円を設定し、マーケット環境の一時的な変化等不測の事態にも対応できる体制を整えている。財務体質の強化については、格付向上を目指し、自己資本の更なる充実と有利子負債のコントロールに努めていく。 また、当社グループは、2023年度を初年度とする中期経営計画(Forward25)において、戦略的な事業投資・開発投資等の実行により、成長事業の創出・拡大をスピードアップする方針である。重点分野である脱炭素化、資源循環、水事業およびライフサイエンス関連事業を中心に投資総額は3年間で1,400億円を計画し、着実に実行している。成長投資に対応しつつ財務健全性の維持・向上を目指すとともに安定的な株主還元を実施し、企業価値の向上に努める。 (資金調達に関する考え方)当社グループは、流動性の確保と資金調達の多様化を目的とし、金融機関からの借入およびグリーンボンドを含む社債発行による調達を行っている。地球温暖化対策や再生可能エネルギー等の事業に取り組む当社グループでは、今後もグリーンボンドをはじめとするグリーンファイナンスを積極的に活用していく。 c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、2023年度からスタートした中期経営計画「Forward 25」にて、2030年度は売上高900,000百万円レベル、2030年度営業利益率10%の目標を掲げている。2025年度は、売上高620,000百万円、営業利益27,000百万円となる見通しである。また、米国の通商政策、物価上昇及び金融資本市場の変動等の影響が今後さらに拡大する、もしくは影響が長期化するといった状況になれば、収益目標の達成にマイナスの影響が生じるリスクがあるものの、現時点ではそうした影響を織り込んでいない。 d.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容セグメント前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)売上高営業利益売上高営業利益売上高営業利益環境407,28119,124453,47125,40346,1906,279機械・インフラ90,9842,97382,9891,016△7,994△1,956脱炭素化55,2571,80570,24710114,990△1,703その他2,3214423,8144961,49253セグメント計555,84424,346610,52327,01854,6782,672調整額-△22-△72-△49合計555,84424,323610,52326,94654,6782,622 (環境)売上高は、海外子会社の売上増加により、前連結会計年度に比べ46,190百万円(11.3%)増加の453,471百万円となった。セグメント利益は、国内EPC及び海外子会社の収益改善等により、前連結会計年度に比べ6,279百万円(32.8%)増加の25,403百万円となった。 (機械・インフラ)売上高は、精密機械及びインフラが減少したこと等により、前連結会計年度に比べ7,994百万円(8.8%)減少の82,989百万円となった。セグメント利益は、減収に伴う減益により、前連結会計年度に比べ1,956百万円(65.8%)減少の1,016百万円となった。(脱炭素化)売上高は、風力発電の増加等により、前連結会計年度に比べ14,990百万円(27.1%)増加の70,247百万円となった。セグメント利益は、プロセス機器及び脱炭素化の収益悪化等により、前連結会計年度に比べ1,703百万円(94.4%)減少の101百万円となった。(その他)売上高は前連結会計年度に比べ1,492百万円(64.3%)増加の3,814百万円、セグメント利益は53百万円(12.2%)増加の496百万円となった。

※本記事は「日立造船株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

スポンサーリンク

連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

コメント