ファナック株式会社の基本情報

会社名ファナック株式会社
業種電気機器
従業員数連10113名 単4793名
従業員平均年齢39.9歳
従業員平均勤続年数15年
平均年収11639000円
1株当たりの純資産1847.86円
1株当たりの純利益(連結)157.31円
決算時期3月
配当金94.39円
配当性向69.5%
株価収益率(PER)25.8倍
自己資本利益率(ROE)(連結)8.6%
営業活動によるCF2552億円
投資活動によるCF▲1340億円
財務活動によるCF▲1366億円
研究開発費※1466.66億円
設備投資額※1401.36億円
販売費および一般管理費※14276.14億円
株主資本比率※290.3%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在の状況に対する判断に基づくものです。 (1)経営方針1955年にコントロールのプロジェクトチームが発足し、1956年に日本で民間初のNCとサーボ機構の開発に成功して以来、ファナックは一貫して工場の自動化を追求しています。創業期に目指した、小柄でもしっかり根を張った巨人のごとき逞しさがある企業、技術で勝負する企業を希求し続け、「狭い路」を真っ直ぐに歩むことに努めています。その企業像を実現するために、当社グループは基本理念として「厳密と透明」を掲げています。そこには、企業の永続性、健全性は厳密から生まれ、組織の腐敗、企業の衰退は不透明から始まる、という考えがあります。ファナックは、基本技術であるNCとサーボ、レーザからなるFA事業と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業を展開しています。そして、IoT・AI技術をFA・ロボット・ロボマシンの全ての分野に積極的に適用していくことで、お客様がファナック商品をより効率的にご利用いただけるよう取り組みます。また、生産財のサプライヤであるとの原点に立ち、お客様がファナックの商品をお使いになる限り、保守サービスを提供し続けます。当社グループはこれらの事業活動を通じて、お客様の工場の自動化と効率化を推進することで国内外の製造業の発展に貢献し、今後も中長期的に拡大が見込まれる工場の自動化分野において、着実な成長を実現していきます。 (2)経営環境及び対処すべき課題①再発防止策の実行に向けた取組当社が製造・販売するロボカット(ワイヤ放電加工機)において、欧州のEMC指令に基づく整合規格に適合しない態様で試験が行われていたこと(以下「本不適切行為」といいます。)につきましては、2024年11月に社外の有識者から成る特別調査委員会より調査結果報告書を受領いたしました。当社は基本理念である「厳密と透明」をもって法令等の遵守を実践してまいりましたが、本不適切行為により、お客様や関係者の皆様の信頼を損なう事態を招きましたことを、深くお詫び申しあげます。当社は、特別調査委員会が認定した事実、原因分析および再発防止策の提言を真摯に受け止め、全社一丸となって再発防止策の実行に向けて取り組んでおり、本年3月に、特別調査委員会の調査報告書を踏まえた当社の取組について当社ホームページに掲載しております。(https://www.fanuc.co.jp/ja/ir/announce_other/pdf/2025/notice20250325.pdf)当社は引き続き各取組を着実に実行し、再発防止、信頼の回復に全力で取り組んでまいります。 ② 経営環境およびその他の対処すべき課題ファナックの商品は景気変動の影響を大きく受けやすい生産財であることから、短期的な事象に左右されない、長期的な視点に立った経営を続けています。当社グループを取り巻く経営環境につきましては、地政学的リスクの高まりや、景気減速の懸念等もあり、予断を許さない状況が続くものと思われます。その一方で、工場の自動化への要求は中長期的に拡大することが見込まれます。当社グループは、「one FANUC」を合言葉に、FA・ロボット・ロボマシンの3事業とサービスが一体となったトータルソリューションの提供、およびグループ一体となった世界のお客様への対応、という当社グループならではの強みを最大限活かしてまいります。特に、CNC工作機械とロボットとの連携、ロボマシンとロボットとの連携を重要テーマの一つと捉え、商品を開発してまいります。また、ファナックの商品は製造現場でご使用いただく生産財であるとの原点に立ち、お客様の工場におけるダウンタイムを最小にして稼働率向上を図るため、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」ことを商品開発において徹底いたします。また、工場の自動化への要求が拡大する一方、熟練労働者の確保が難しくなる状況に対応するため、使いやすさを一層重視した商品開発にも取り組んでまいります。そして世界中のどこでもファナックのグローバルスタンダードに沿った高度な保守サービスを提供すること、お客様が使用し続ける限り保守を続ける「生涯保守」を行うこと、を基本理念とした「サービスファースト」を実践してまいります。特に、競合会社が追随することが難しい「生涯保守」については、当社グループの大きな特長として、引き続き注力してまいります。また、工場の自動化分野という当社の強みを発揮できる分野に絞り込んで研究開発投資を積極的に行い、競争力の高い商品を開発し市場に投入します。あわせて、知的財産の充実を図ります。さらに、当社グループは、今後も競争力の高い商品を開発し市場投入していくうえで、IoT・AI技術を必要不可欠なものと考えております。これらの技術をFA・ロボット・ロボマシンの全ての分野に積極的に適用していくことで、お客様における生産の効率化を一層推進します。加えて、ファナックの商品がSDGsの達成に大きく貢献することを目指してまいります。当社グループは、長期的視点に立ち、商品競争力の強化、セールス・サービス活動の強化、工場の自動化・ロボット化の推進、経費と時間の削減および業務の合理化など、より強い企業にするための基本施策を推し進めます。また、生産財のサプライヤとして、いかなる場合にもお客様への供給責任を果たし、サービス活動を維持することができるよう、生産拠点やサービス拠点の複数化に取り組んでいます。さらに、部品調達先の複数化、適切な部品在庫の保有など、サプライチェーンの強化にも取り組んでいます。中長期的な成長のためには、人材が最重要であるとの観点に立ち、社員がより働きやすい職場の実現、社員のモチベーションの一層の向上も重要課題として取り組んでまいります。また、将来を見据え、必要な人材の採用や社員の育成の強化のための人的資本への投資を積極的に行います。これらを通じて継続的に人的資本の充実を図ります。経営に当たっては、営業利益率、経常利益率、ROEなどに加えて、市場シェアも重要な経営指標と捉え、総合的に判断してまいります。また、当社は資本コストを的確に把握し、5年平均でのエクイティ・スプレッド(ROEと資本コストの差)をプラスとすることを目指します。今後もあらゆる面で当社グループは、基本理念である「厳密と透明」を徹底し、こうした諸施策をグループ一丸となって推し進めることにより、お客様の当社グループへの安心と信頼を高めるとともに、激しい環境変化に適応することで、永続的な企業となるべく努力してまいります。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の業績の概要① 財政状態及び経営成績の状況a. 財政状態(資産)資産合計は、前連結会計年度末比109億94百万円増の1兆9,370億31百万円となりました。これは、現金及び預金が675億25百万円増加、棚卸資産が561億7百万円減少したことが主な要因です。(負債)負債合計は、前連結会計年度末比96億96百万円減の1,971億41百万円となりました。これは、退職給付に係る負債が112億29百万円減少したことが主な要因です。(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末比206億90百万円増の1兆7,398億90百万円となりました。これは、利益剰余金が453億81百万円増加、自己株式が302億86百万円増加したことが主な要因です。 b. 経営成績当期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)における当社グループを取り巻く状況につきましては、景気が緩やかに回復して設備投資にも持ち直しの動きがみられる一方、欧米におけるインフレや高金利等の影響、中国経済の先行き懸念など、不透明な状況が続きました。このような厳しい状況が続く中、セールス、研究開発、工場、サービス、事務、全ての部門の総力を挙げて拡販や経費削減等に取り組みました。また、競争力を高めるための新商品・新機能の開発、生産性向上のための生産効率化、新商品向けの新規設備の導入など、将来の発展に向けた施策は引き続き積極的に進めました。加えて、世界的に脱炭素社会へ向けた動きが広がる中、グローバルに事業を展開している当社グループにとっても気候変動は重要な経営課題であると認識しており、商品の省エネルギー性能向上に向けた開発を推進しました。また、国際的な非営利団体であるCDPにより、気候変動分野の透明性とパフォーマンスにおけるリーダーシップが認められ、最高評価の「Aリスト企業」に2年連続で選定されました。2024年度における連結業績は、売上高が7,971億29百万円(前期比0.2%増)、経常利益が1,967億38百万円(前期比8.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,475億57百万円(前期比10.8%増)となりました。なお、当期におきましては、従来よりも剛性・絶対精度を大幅に向上させ、高い軌跡精度を実現した産業用ロボットである「ファナック ロボット M-800」が「第11回ロボット大賞 経済産業大臣賞」を受賞しました。また、様々な環境変化に適応した工作機械の開発を推進し、製造現場での自動化・生産性向上を実現する新たなプラットフォームとなるCNCである「ファナック シリーズ 500i-A」が第67回日刊工業新聞社「十大新製品賞」本賞を受賞しました。なお、当社グループは、CNCシステムとその応用商品を提供する企業グループとして、単一セグメントの事業を営んでおりますが、商品部門別の状況は以下のとおりです。 〔FA部門〕FA部門について、CNCシステムの主要顧客である工作機械業界の需要は、国内や欧州で低調に推移したものの、インドや設備投資に積極的な産業からの需要が旺盛だった中国で堅調に推移し、当社のCNCシステムの売上は増加しました。FA部門の連結売上高は、1,948億24百万円(前期比8.0%増)、全連結売上高に対する構成比は24.4%となりました。 〔ロボット部門〕ロボット部門については、国内では自動車関連向け、一般産業向け共に堅調に推移し、売上が増加しました。一方、中国では好調だったEV関連向けが下降気味であり、一般産業向けと電子産業向けも低調で売上が減少しました。欧米でも主に自動車関連向けが低調で売上が減少しました。ロボット部門の連結売上高は、3,295億66百万円(前期比13.5%減)、全連結売上高に対する構成比は41.3%となりました。 〔ロボマシン部門〕ロボマシン部門については、ロボドリル(小型切削加工機)では、主に中国市場が堅調に推移し、売上は増加しました。ロボショット(電動射出成形機)では、中国、中国以外のアジアでの需要増があり、売上が増加しました。ロボカット(ワイヤ放電加工機)では、米州、中国、中国以外のアジアで売上が増加したものの、欧州で売上が減少したため、売上は微増にとどまりました。ロボマシン部門の連結売上高は、1,375億88百万円(前期比33.1%増)、全連結売上高に対する構成比は17.3%となりました。 〔サービス部門〕サービス部門については、「サービスファースト」の精神のもと、ITを活用したCX(顧客体験)を重視し、顧客満足度の向上をグローバルに推進するサービス体制の強化を図りました。サービス部門の連結売上高は、1,351億51百万円(前期比3.5%増)、全連結売上高に対する構成比は17.0%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末比247億90百万円減の5,020億91百万円となりました。 (各キャッシュ・フローの状況)営業活動の結果得られた資金は、前年同期比835億9百万円増の2,552億73百万円であり、これは主に棚卸資産の減少によるものです。投資活動の結果使用した資金は、前年同期比1,205億21百万円増の1,340億84百万円であり、これは主に定期預金の預入によるものです。財務活動の結果使用した資金は、前年同期比141億4百万円増の1,366億18百万円であり、これは主に自己株式の取得によるものです。 ③ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績(当連結会計年度)生産高(百万円)前期比(%)676,696+0.7 (注) 生産高は、販売価格によっております。 b. 受注実績(当連結会計年度)受注高(百万円)前期比(%)796,182+16.4 c. 販売実績(当連結会計年度)販売高(百万円)前期比(%)797,129+0.2 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 当連結会計年度は当該割合が10%未満のため記載を省略しております。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)SHANGHAI-FANUC Robotics Co., LTD.87,45411.0-- (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、期末日における資産、負債および偶発債務ならびに会計期間における収益、費用に影響を与える見積りを必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。中でも連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられるものは、以下のとおりであります。(退職給付債務)当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。長期金利の低下や運用利回りの悪化は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (固定資産の減損)当社グループは、減損の兆候が見られる固定資産については将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価額等に基づいて減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。将来キャッシュ・フローや回収可能価額の見積りの前提となる将来の収益性の低下や時価の下落等により、減損損失が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 (経営成績)2024年度における連結業績は、売上高が7,971億29百万円(前期比0.2%増)、経常利益が1,967億38百万円(前期比8.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,475億57百万円(前期比10.8%増)となりました。当期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)における当社グループを取り巻く状況につきましては、景気が緩やかに回復して設備投資にも持ち直しの動きがみられる一方、欧米におけるインフレや高金利等の影響、中国経済の先行き懸念など、不透明な状況が続きました。このような厳しい状況が続く中、セールス、研究開発、工場、サービス、事務、全ての部門の総力を挙げて拡販や経費削減等に取り組みました。 (財政状態)(資産)資産合計は、前連結会計年度末比109億94百万円増の1兆9,370億31百万円となりました。これは、現金及び預金が675億25百万円増加、棚卸資産が561億7百万円減少したことが主な要因です。(負債)負債合計は、前連結会計年度末比96億96百万円減の1,971億41百万円となりました。これは、退職給付に係る負債が112億29百万円減少したことが主な要因です。(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末比206億90百万円増の1兆7,398億90百万円となりました。これは、利益剰余金が453億81百万円増加、自己株式が302億86百万円増加したことが主な要因です。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(キャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、前年同期比835億9百万円増の2,552億73百万円であり、これは主に棚卸資産の減少によるものです。投資活動の結果使用した資金は、前年同期比1,205億21百万円増の1,340億84百万円であり、これは主に定期預金の預入によるものです。財務活動の結果使用した資金は、前年同期比141億4百万円増の1,366億18百万円であり、これは主に自己株式の取得によるものです。以上のキャッシュ・フローの増減に現金及び現金同等物に係る換算差額93億61百万円を減算し、連結キャッシュ・フローは、247億90百万円の減少となりました。 (資本の財源)当期の所要資金は全て自己資金により充当し、外部からの調達は行っておりません。

※本記事は「ファナック株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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