会社名 | 株式会社アドバンテスト |
業種 | 電気機器 |
従業員数 | 連7001名 単1988名 |
従業員平均年齢 | 45.83歳 |
従業員平均勤続年数 | 20.15年 |
平均年収 | 10491797円 |
1株当たりの純資産 | 581.37円 |
1株当たりの純利益(連結) | 218.67円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 39円 |
配当性向 | 17.24% |
株価収益率(PER) | 28.61倍 |
自己資本利益率(ROE)(単体) | 44% |
営業活動によるCF | 2859億円 |
投資活動によるCF | ▲421億円 |
財務活動によるCF | ▲828億円 |
研究開発費※1 | 714億円 |
設備投資額※1 | 91億円 |
販売費および一般管理費※1 | 4276.14億円 |
株主資本比率※2 | 52.7% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針:「The Advantest Way」 当社グループは、経営理念として「先端技術を先端で支える」を掲げています。すなわち、「世界中の顧客にご満足いただける製品・サービスを提供するためにたえず自己研鑽に励み、最先端の技術開発を通して社会の発展に貢献する」ことが当社グループの使命であり、またこれを追求し続けることで当社グループの社会的な存在意義は拡大するものと認識しています。 また過去からの事業拡大に向けた取り組みの結果、当社グループは多様な文化、言語、慣習、価値観を内包する組織となっていることから、経営理念に即した事業活動を行う前提として、共通価値観の醸成や共通の行動原則が重要となっています。 これらを総合し、当社グループは2019年に、過去から有していた企業理念体系「The Advantest Way」を発展させ、当社グループが今後進むべき方向性と大切にすべき価値観を包含するものへ改定しました。現在の当社グループの中長期的な経営戦略や事業活動は、すべてこの改定版「The Advantest Way」に沿って展開されています。当社グループは、「The Advantest Way」に沿った活動を実践し続けることで顧客や社会への提供価値を最大化し、各ステークホルダーからより厚い信頼を得られるよう努めます。 「The Advantest Way」は、以下の6要素から構成されます。 1. 経営理念(パーパス&ミッション):「先端技術を先端で支える」2. ビジョン・ステートメント:「半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーへ(Be the most trusted and valued test solution company in the semiconductor value chain)」3. コア・バリュー:「INTEGRITY」4. 「サステナビリティ基本方針」5. 「行動指針」:「本質を究める」6.「行動基準」 1~3は、社会発展への貢献と中長期的な企業価値向上に向けて当社グループがどうありたいか、なにをなすべきかを規定しています。4~6は、望まれるステークホルダーとの関係性や、業務遂行にあたり役員や従業員に求める価値観やふるまいなどを定めています。 (2)中長期経営方針「グランドデザイン」 当社グループは、経営理念である「先端技術を先端で支える」を体現する会社であり続けるため、長期的にどうありたいか、そしてそのために何をなすべきかなどの当社グループの進むべき方向性を、2018年より中長期経営方針「グランドデザイン」として定めています。 2018年版の「グランドデザイン」のもとでは、第1期と第2期の二つの中期経営計画を推進し、当初の構想を超えた規模とスピードで当社グループの市場シェア向上、業容拡大、収益性改善を実現しました。 そして2024年、当社グループをさらに発展させるため、また当社グループが顧客や社会にとって価値ある存在であり続けるため、「グランドデザイン」をそれまでの経営・事業体制の変化や当時最新の長期事業環境見通しを踏まえた内容へ改定しました。 当社グループは今後、この改定版「グランドデザイン」に則り、ステークホルダーへの提供価値の拡大と経営基盤の強化に努めてまいります。<ビジョン・ステートメント>「半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーへ」(Be the most trusted and valued test solution company in the semiconductor value chain) 当社グループは、提供価値の拡大を通じ、すべてのステークホルダーから半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーとなることを目指します。 <長期事業環境認識と対処すべき課題> マクロ的な事業環境における将来の不確実性は、今後も高い状態が継続すると予想されます。気候変動、地政学的リスク、人口動態の変化など、世界を取り巻く問題はより深刻化しており、社会課題の複雑化が飛躍的に進んでいます。 一方で、AIに代表される、これら社会課題を解決するためのイノベーションが多様な産業でダイナミックに進行しています。社会的イノベーション基盤となる半導体に対しては、さらなる性能改善と経済合理性確保に向けた企業間・地域間連携の拡大や、域内供給体制の強化などが今後見込まれます。これらに沿い、半導体バリューチェーンは、その複雑さをさらに増しつつ、中長期的な発展を遂げていくと想定しています。 さらに半導体テストの技術的な潮流について展望すると、さらなる微細化、新アーキテクチャーの採用、先端パッケージの採用など、半導体の高性能化とエネルギー効率向上を実現するための技術進化が、半導体テストの複雑性を今後も持続的に引き上げていく見通しです。とりわけ、今後の半導体市場の最大の成長牽引役と予想されるAIやHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)関連の半導体において、テストの複雑性は一層顕著となると見込まれます。 このように複雑性の進行が業界のキートレンドとなる中、半導体テスト関連市場は、顧客のテスト能力増強投資を通じ、中長期的な市場成長を遂げると予想しています。また今後のテスト・ソリューションにおいては、半導体の品質保証プロセスにおける効率性向上をもたらす、より高度な自動化が望まれる方向と分析しています。こうした潮流下、当社グループは、より性能に優れる製品の開発・販売に加え、それら製品群を発展・統合した新たなソリューションやサービスの提供がさらなる成長機会となると見込んでおり、その機会の具体化を今後の中長期成長施策の基軸とする方針です。また業界全体が複雑化する中にあっては当社グループ自身においても効率が重要であり、経営および事業全般にわたってさまざまな効率性の向上に取り組みます。 <経営における長期的目標> 半導体は、サステナブルな社会の実現や多様な産業の発展に向けて今後も不可欠な存在とされています。そして現在の当社グループにおけるほぼすべての事業は、より性能に優れた半導体の実現と普及に深く結びつくものとなっています。このことから当社グループが経営理念に基づき、先端の技術開発を通じてより良い半導体の開発と普及に寄与していくことは、自社の持続的な成長のみならず、さらなる「安全・安心・心地よい」社会実現に向けても直接的に貢献する行為であり続けると考えます。 今後当社グループは、先述のテストの複雑化への対応などを含めた顧客課題の解決を軸としながらサステナブルな社会実現につながる取り組みを推進し、それを通じて各ステークホルダーに対して提供する経済的・社会的価値を多面的かつバランスよく拡大することを、経営における長期的な目標とします。 (3)第3期中期経営計画(MTP3、2024~2026年度)の概要 半導体テスト関連市場は、短期的なダウンサイクルを織り込みつつも、中長期的に成長を続けると見込んでいます。また半導体市場の拡大に加え、半導体の複雑性への対応が業界における構造課題となる中で、当社グループの事業機会は中長期的に拡大するものと考えています。 そうした環境下、当社グループは、改定した「グランドデザイン」に則り策定した第3期中期経営計画を推進することで、中長期的なステークホルダーへの提供価値拡大に取り組みます。 <戦略>1. Outpace the growth in our core market (コア市場の成長率を上回る成長実現) 当社グループの今後のコア市場においては、半導体の生産量増加、半導体の高性能化、そして半導体の複雑性進行への対応が重要な成長機会となると想定しています。これに対しては、個々のテスト・ソリューションの性能向上に加え、顧客に“Automation of Test”、すなわち半導体テストの効率性向上をもたらす新たな価値を、当社グループが擁する多様な製品・ソリューション群の有機的な結合や社外パートナーとの連携などを通じて創造します。これらにより、市場成長率を上回る事業成長を引き続き実現することを目指します。 当戦略領域における2024年度の主な進捗は以下となります。・テスト需要の変化を先読みした顧客訴求力ある製品の拡販や重点顧客・地域戦略を通じ、引き続き半導体テスタ(ATE)市場において過半のシェアを維持・AI/HPCデバイス用新電源モジュールや次世代メモリ向けテスト・システムなど、新たなキー・テスト・ソリューションを複数発表・今後の半導体の技術展望に基づき、成長領域に向けた研究開発投資やマーケティング施策を積極的に実施 2. Expand adjacently / new businesses (近縁市場・新規事業領域への展開) 半導体の高性能化や複雑性が進行する中では、より広く、統合されたテスト・ソリューションが望まれます。当社グループはこれまでもシステムレベルテストやテスト周辺機器への事業展開を進めてきましたが、今後もこのアプローチを継続することで顧客への提供価値をさらに拡大します。具体的には、当社製品のインストールベースを活用したフィールド・サービスやAdvantest Cloud SolutionsTMの販促に取り組むほか、Applied Research & Venture Teamによる事業機会創生にも挑戦します。 当戦略領域における2024年度の主な進捗は以下となります。・シリコン検証を自動化する画期的なソリューション「SiConicTM」の提供開始により、半導体の設計検証工程とシリコン検証工程における当社グループの事業機会を拡大・顧客の将来のニーズに応える高性能なトータル・テスト・ソリューション実現に向け、プローブカード・メーカーであるTechnoprobe S.p.A.(イタリア)、FormFactor, Inc.(米国)、株式会社日本マイクロニクス(日本)と戦略パートナーシップ契約を締結・テストエンジニアリングサービス強化に向けた戦略投資として、Salland Engineering International B.V.社(オランダ)を買収 3. Drive operational excellence (オペレーショナル・エクセレンスへの取り組みを推進) 当社グループは、技術、ノウハウ、リソースの活用を部門横断的に進めることで、半導体業界におけるテスト課題を解決していきます。また、当社グループのステークホルダーすべてにとって価値がある企業となるためには、製品や技術面の優秀さだけではなく、あらゆるオペレーションの効率性と効果性を高めていく必要があると認識しています。それに向け、DXを通じた社内オペレーションの迅速化と省人化、強靭なサプライチェーンの構築、有能人財の登用や社員教育の拡充などによる人的資本強化、AIやデータ・アナリティクスを活用した社内生産性向上などに取り組みます。 当戦略領域における2024年度の主な進捗は以下となります。・サプライチェーン管理の高度化により、テスト需要の旺盛な伸びに対する追従力を強化・社内オペレーションの迅速化と業務効率向上に向け、積極的なIT投資を実施・価値創造の源泉である人的資本の強化に向け、従業員エンゲージメント向上施策を展開 4. Enhance sustainability (サステナビリティの取り組み強化) 気候変動や人権問題をはじめとするサステナビリティ課題に対する能動的かつ積極的なアクション、法令遵守や企業倫理の徹底を含めた責任ある事業活動の遂行、リスクマネジメントの強化やコーポレート・ガバナンスの高度化などを通じて企業価値向上基盤をさらに強化するとともに、各ステークホルダーからより厚い信頼を得られるよう努めます。またサステナビリティに関する取り組みの推進にあたっては、その根源となるものは企業内の共通カルチャーや価値観であることから、これらの醸成と浸透にも努めます。 当戦略領域における2024年度の主な進捗は以下となります。・ステークホルダーに対する提供価値の拡大に向け、サステナビリティに関する基本方針や行動計画を刷新するとともに新たな中期KPIを設定 <経営指標> MTP3では、上記の4つの戦略を通じて収益拡大、収益性改善、資本効率向上を図ることで、企業価値の向上に取り組みます。これに沿い、MTP3において重視する経営指標を売上高、営業利益率、当期利益、投下資本利益率(ROIC)、基本的1株当たり当期利益(EPS)とし、これらの向上に努めます。なお各指標の進捗を中長期視点で評価するため、経営指標には市場変動の影響を平準化できる3か年平均の値を用います。MTP3の初年度にあたる2024年度は、すべての経営指標において目標値を超過しました。 MTP3(2024~2026年度)平均目標*12024年度実績*2売上高5,600~7,000億円7,797億円営業利益率22~28%29.3%当期利益930~1,470億円1,612億円投下資本利益率*3(ROIC)18~28%31.5%基本的1株当たり当期利益(EPS)127~202円218.67円*1 MTP3財務目標値の前提とした為替レートは1米ドル=140円、1ユーロ=155円*2 2024年度の為替レート実績は1米ドル=153円、1ユーロ=164円*3 投下資本利益率:NOPAT÷投下資本(期首・期末平均)。NOPAT:営業利益×(1-税負担率25%)。 投下資本:借入金+社債+資本合計(リース負債含まず) <コスト・利益構造> 優れたテスト・ソリューションの販売促進、サプライチェーンマネジメントや製造オペレーションの最適化などを通じ、売上総利益率の改善に取り組みます。また研究開発投資や人的資本強化投資など、持続的な価値創造の源泉となる費用については積極的に投下する一方、DX化などの経営効率や業務生産性を高める施策を展開することで収益構造の継続的な改善に努めます。他方で、世界経済や当社の市場環境における将来の不確実性は高い状態にあります。環境変化に即した機動的な財務マネジメントを遂行していくことで、上記経営目標の達成に努めます。 <資本政策、株主還元> 資本政策として、研究開発、設備増強、M&A等の成長に向けた事業投資を優先します。半導体市場の長期的拡大と半導体のさらなる高性能化に即して当社グループの将来キャッシュ創出力が拡大するよう、MTP3期間中に予想される累計6,000億円以上の営業キャッシュ・フロー(研究開発費控除前)を、中核事業におけるオーガニック成長投資ないしノン・オーガニック成長投資、および近縁市場への事業展開の加速に振り向けます。また、資本効率と資本コストに配慮したバランスシート管理の見地から負債(デット)も柔軟に活用してまいります。さらに経営基盤の強化および持続的企業価値創造のために財務健全性を維持した上で適正な資本構成を図る方針であります。 2024年4月から開始したMTP3の3年間における株主還元方針は、安定した事業環境を前提として、配当については1株当たり通期30円を最低限とする方針のもと、安定的・継続的な配当実施に努めてまいります。総還元性向※に関しては、MTP3期間の3年間合計で50%以上を目途といたします。 また手元現金水準については、平時における目安を1,000~1,200億円と見積もっています。成長投資や運転資本への資金需要を超えて余裕資金が生じる場合は、配当や自己株式取得を通じて株主に還元します。(※) 総還元性向:(配当額+自己株式取得額)÷連結当期利益 <成長投資と株主還元実績> MTP3(2024~2026年度)3か年累計想定2024年度実績研究開発費約2,100億円714億円設備投資約600億円210億円M&A等の戦略投資約1,000億円223億円株主還元額 (配当額+自己株式取得額)1,400億円以上787億円総還元性向50%以上49% (4)2025年度の経営環境および取り組み 今後の当社グループを取り巻く事業環境を展望しますと、暦年2025年の半導体市場は、前年に引き続きAI関連向け半導体需要が牽引するものと見ています。半導体試験装置市場においても、自動車や産業機器向けなどのAI関連用途以外の需要回復にはなお時間を要するものの、半導体の複雑化および生産拡大を背景に、AI関連向け試験装置需要は引き続き高水準に推移するものと見込んでいます。AIに関連した半導体に参入する企業の増加も、この需要に寄与するものと考えます。 一方で世界経済を俯瞰しますと、継続する地政学リスク、急激な為替変動リスクなど、当社グループを取り巻く事業環境は先行きの不透明感が強まっています。 当社グループは、外部環境の変化にたえず注意を払い、機敏かつ柔軟に対応するとともに、引き続き第3期中期経営計画で掲げた施策を推し進めることで中長期的なステークホルダーへの提供価値拡大に取り組んでまいります。 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績の状況の分析① 業績 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前連結会計年度比(百万円)前連結会計年度比(%)売上高486,507779,707293,20060.3 売上原価 販売費および一般管理費 その他の損益△240,477△158,963△5,439△334,622△195,392△21,532△94,145△36,429△16,09339.122.94.0倍営業利益81,628228,161146,5332.8倍 営業利益率16.8%29.3%12.5%- 金融損益△3,458△3,38771△2.1税引前利益78,170224,774146,6042.9倍 法人所得税費用△15,880△63,597△47,7174.0倍当期利益62,290161,17798,8872.6倍当期利益の帰属: 親会社の所有者 62,290 161,177 98,887 2.6倍 当連結会計年度における世界経済は、地政学リスクに伴う不確実性が継続したものの、欧米諸国を中心とした金融政策の緩和にも支えられ、全体として底堅く推移しました。 このような世界経済情勢のもと、半導体市場は、前連結会計年度の調整局面から一転して回復傾向となりました。自動車や産業機器関連などの半導体は依然として軟調に推移したものの、データセンタ向けのHPCデバイスや高性能DRAMなど、AIの普及に関連する半導体需要が市場の伸びを牽引しました。 当社グループの半導体試験装置ビジネスにおいては、AI関連の高性能半導体向け需要が大幅に拡大しました。当社グループは、顧客の要求納期に最大限応えるべく、タイムリーな部材調達および製品供給能力の確保に努め、コア部品に対する既存サプライヤーとの長期契約やサプライチェーン複線化などの施策を通じた取り組みが奏功しました。 当連結会計年度の平均為替レートは米ドルが153円(前連結会計年度143円)、ユーロが164円(前連結会計年度155円)となりました。(売上高) 2024年度はAI関連で顧客の旺盛なテスタ投資が見られる中で、当社は、部材調達および製品供給能力の強化に努めてきました。対米ドルの円安も追い風となり、結果として過去最高の売上高を計上することができました。事業別で見ますと、SoCテスタでは、HPC/AI関連の売上が伸長しました。メモリ・テスタではHBMを中心とした高性能DRAM向けの売上が増加しました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ293,200百万円(60.3%)増加の779,707百万円となりました。 (売上原価) 当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ売上高の増加により、94,145百万円(39.1%)増加の334,622百万円となりました。売上原価率は、製品ミックスの良化により、前連結会計年度に比べ6.5ポイント減少の42.9%となりました。 (販売費および一般管理費) 当連結会計年度の販売費および一般管理費は、前連結会計年度に比べ36,429百万円(22.9%)増加の195,392百万円となりました。(その他の損益) 当連結会計年度のその他の損益は、第4四半期にのれんおよび無形資産の一部減損損失21,393百万円を計上したことなどから、前連結会計年度5,439百万円の損失から16,093百万円悪化し21,532百万円の損失となりました。 (営業利益) 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ146,533百万円(2.8倍)増加の228,161百万円となり、売上高に対する営業利益の比率は、前連結会計年度比12.5ポイント増加の29.3%となりました。 (金融損益) 当連結会計年度の金融収益と金融費用を合わせた金融損益は、前連結会計年度3,458百万円の損失から71百万円改善し3,387百万円の損失となりました。 (税引前利益) 以上の結果、当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度に比べ146,604百万円(2.9倍)増加の224,774百万円となりました。 (法人所得税費用) 当社グループの法人所得税費用の実際負担税率は、当連結会計年度は28.3%、前連結会計年度は20.3%でありました。課税控除の対象外となる減損損失を第4四半期に計上した結果、実際負担税率が予想を上回りました。当社グループの当連結会計年度および前連結会計年度の法人所得税に関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」(以下、「連結財務諸表の注記」という。)の注記15に記載しております。 (親会社の所有者に帰属する当期利益) 以上の結果、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ98,887百万円(2.6倍)増加の161,177百万円となり、売上高に対する親会社の所有者に帰属する当期利益の比率は、前連結会計年度比7.9ポイント増加の20.7%となりました。 ② 生産、受注および販売の実績 a.生産、受注実績 当社グループは、原則として受注に基づいた生産を行っており、生産実績については販売実績と傾向が類似しているため、記載を省略しております。受注実績については、短期の受注動向が顧客の投資動向により大きく変動する傾向にあり、中長期の会社業績を予測するための指標として必ずしも適切ではないため、記載しておりません。 b.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)半導体・部品テストシステム事業部門598,12880.4メカトロニクス関連事業部門73,18038.9サービス他部門108,3996.0内部取引消去--合計779,70760.3 (注)1.セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しております。 2.最近2連結会計年度において、主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額 (百万円)割合 (%)金額 (百万円)割合 (%)Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.--96,15812.3Samsung Electronics Co., Ltd.55,32511.482,79510.6 (注)前連結会計年度において、外部顧客への売上高のうち連結損益計算書の売上高の10%以上を占めない場合は、記載を省略しております。 ③ セグメントの業績(半導体・部品テストシステム事業部門) 当部門は、当連結会計年度において売上高の76.7%を占めております。 当部門では、自動車や産業機器関連などの成熟半導体向け試験装置需要は軟調である一方で、半導体の複雑性の増加、HPCデバイスなどの性能向上を背景に、高性能SoC半導体用試験装置の売上が大幅に増加しました。メモリ半導体用試験装置については、HBMをはじめとする高性能DRAMに向けた旺盛な試験装置需要を背景に売上が大幅に伸長しました。当社グループの部材調達および製品供給能力の強化もこれらの売上増加を支えました。 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて266,586百万円(80.4%)増加の598,128百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べて152,105百万円(2.7倍)増加の244,021百万円となりました。 (メカトロニクス関連事業部門) 当部門は、当連結会計年度において売上高の9.4%を占めております。 当部門では、旺盛な半導体試験装置需要を背景に、関連するデバイス・インタフェースの売上が伸長しました。 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて20,485百万円(38.9%)増加の73,180百万円、セグメント利益は前連結会計年度に比べて7,615百万円(83.0%)増加の16,786百万円となりました。 (サービス他部門) 当部門は当連結会計年度において売上高の13.9%を占めております。 当部門では、当社グループ製品の設置台数の増加に伴いサポート・サービスの売上が伸長しました。しかしながら、テストソケットに関連するEssai, Inc.のビジネスにおいて、大口顧客向けの売上が低調に推移していることに加え、新規顧客への拡販が想定より遅延していることを踏まえ、のれんおよび無形資産の減損損失21,393百万円を計上しました。これらの結果、当セグメントは前連結会計年度を上回る損失となりました。なお、前連結会計年度のセグメント損失には、取引先との係争に関する受取和解金等による利益3,179百万円およびのれんの一部減損損失8,998百万円を含んでいます。 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて6,129百万円(6.0%)増加の108,399百万円、セグメント損失は前連結会計年度2,828百万円の損失から8,086百万円悪化し10,914百万円の損失となりました。 ④ 地域別売上高 当連結会計年度の海外売上比率は98.0%(前連結会計年度95.9%)となりました。 (日本) 当連結会計年度の日本における売上高は、前連結会計年度に比べ3,874百万円(19.6%)減少の15,849百万円となりました。 (日本以外のアジア) 当連結会計年度の日本以外のアジアにおける売上高は、前連結会計年度に比べ285,257百万円(69.3%)増加の696,777百万円となりました。これは主に、台湾においてSoC半導体用試験装置の販売が好調だったことによります。 (米州) 当連結会計年度の米州における売上高は、前連結会計年度に比べ9,498百万円(25.2%)増加の47,119百万円となりました。 (欧州) 当連結会計年度の欧州における売上高は、前連結会計年度に比べ2,319百万円(13.1%)増加の19,962百万円となりました。 (2)財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析① 流動性および資金源 当社グループの資金・財務政策は、当社の経理部門が所管しております。当社は資金需要に関して、営業活動により稼得した現預金ならびに手許の現金および現金同等物から充当するほか、必要に応じて債券の発行および株式等の発行ならびに金融機関からの借入れにより資金を調達することが可能であります。 また、中期的に半導体業界および半導体・部品テストシステム業界の状況が低迷する場合、当社は将来の設備投資またはその他の運転資金需要のために債券の発行または希薄化効果を伴う株式等の発行等を行う可能性があります。 ② キャッシュ・フロー 当連結会計年度末の現金および現金同等物は前連結会計年度末より155,842百万円増加の262,544百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度は、285,971百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ253,303百万円の収入の増加となりました。これは税引前利益224,774百万円、営業債務およびその他の債務の増加(30,124百万円)、営業債権およびその他の債権の増加(△28,090百万円)の他、減価償却費などの非資金項目等の損益を調整した結果によります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度は、42,189百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ14,249百万円の支出の増加となりました。これは主に、資本性金融商品の取得による支出(△18,529百万円)、有形固定資産の取得による支出(△17,414百万円)と子会社の取得による支出(△3,815百万円)によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度は、82,818百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ93,578百万円の支出の増加となりました。これは主に、自己株式の取得による支出(△50,080百万円)と配当金の支払額(△27,320百万円)によるものであります。③ 資産、負債および資本 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ182,981百万円増加の854,210百万円となりました。この主な要因は、のれんおよび無形資産が20,149百万円減少したものの、現金および現金同等物が155,842百万円、営業債権およびその他の債権が24,176百万円、繰延税金資産が14,471百万円、その他の金融資産が10,028円それぞれ増加したことなどによります。 負債は、前連結会計年度末に比べ107,620百万円増加の347,671百万円となりました。この主な要因は、未払法人所得税が62,761百万円、営業債務およびその他の債務が30,230百万円それぞれ増加したことなどによります。 資本または親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ75,361百万円増加の506,539百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比4.9ポイント減少の59.3%となりました。 (3)経営成績に重要な影響を与える要因について 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載しております。(4)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定 当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。 この連結財務諸表を作成するために、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の判断、見積りおよび仮定を用いております。見積りおよび仮定は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいております。しかしながら実際の結果は、その性質上、見積りおよび仮定と異なることがあります。 重要性がある会計方針および重要な会計上の見積りは、連結財務諸表の注記3、注記4および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」の(重要な会計方針)、(重要な会計上の見積り)に記載しております。 |
※本記事は「株式会社アドバンテスト」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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