会社名 | ソニーグループ株式会社 |
業種 | 電気機器 |
従業員数 | 連113000名 単2109名 |
従業員平均年齢 | 42.4歳 |
従業員平均勤続年数 | 15.8年 |
平均年収 | 11132231円 |
1株当たりの純資産 | 2661.69円 |
1株当たりの純利益 | 97.6円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 85円 |
配当性向 | 33% |
株価収益率(PER) | 50.5倍 |
自己資本利益率(ROE) | 9.8% |
営業活動によるCF | 13732億円 |
投資活動によるCF | ▲8188億円 |
財務活動によるCF | ▲2107億円 |
研究開発費※1 | 1548億円 |
設備投資額※1 | 316.74億円 |
販売費および一般管理費※1 | 44.76億円 |
株主資本比率※2 | 65.9% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ソニーの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。 2023年度の世界経済は、引き続き欧米を中心としたインフレ及びそれにともなう為替変動の影響を受けました。特に米国ではインフレが継続する中でも、個人消費が底堅く推移したことで、連邦準備制度理事会による利下げ実施に対する観測が後退しました。その結果、金融緩和を継続する日本との金利差が拡大し、円相場は2022年度に引き続き大きく変動しました。中国ではゼロコロナ政策撤回による個人消費の回復はあったものの、不動産市場の長期的な低迷が景気を下押ししました。今後の世界経済の見通しは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化や中東情勢の不安定化などにより、一層不確実性が高まっています。 ソニーは、グローバルに多様な事業を展開しており、これらの世界経済の状況の変化に加えて、米中関係の緊張による地政学リスクの高まりや人工知能(以下「AI」)のような技術の急速な進化、地球環境問題や社会の分断への対応など、ソニーの事業を取り巻く環境は大きく変化しています。 ソニーは、これらの事業環境の変化に迅速に対応し、各事業の収益構造の強化に取り組むとともに、長期視点の経営を重視し、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてきました。 2024年5月23日に開催した2024年度経営方針説明会では、会長 CEO(最高経営責任者)の吉田憲一郎が経営の方向性を、そして社長 COO(最高執行責任者) 兼 CFO(最高財務責任者)の十時裕樹が長期ビジョンとその実現に向けた取り組みを紹介しました。 吉田は、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurpose(存在意義)のもと、コンテンツ、プロダクツ&サービス、半導体(CMOSイメージセンサー)という3つのビジネスレイヤーにおいてソニーが取り組んできた「クリエイションシフト」について説明しました。そして、CMOSイメージセンサーやゲームエンジンを用いた「リアルタイム・クリエイション」について言及し、今後もテクノロジーを通じて人々のクリエイティビティに貢献していくと述べました。 続いて十時が、第五次中期経営計画(2024~2026年度)の先にある未来のソニーの長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を紹介しました。そして、この長期ビジョンの示す方向性に向けて、IP価値最大化の取り組みとそれを支える技術基盤の確立を着実に進めるとともに、事業と人材の多様性の継続的な進化により、さらなる成長の実現をめざすと述べました。詳細は以下のとおりです。 (1) グループシナジーの加速と進化 G&NS、音楽、映画の3つのエンタテインメント事業は、2023年度のグループ連結売上高の約6割を占める。2021年のグループアーキテクチャー再編により、グループシナジーも加速。パーシャル・スピンオフに向けて準備を開始した金融事業については、自立を通じたさらなる進化を、ソニーブランドの利用や各事業との連携強化によりグループ全体で支えていく。 (2) クリエイションシフト ソニーは、エンタテインメントへの注力に加えたもう1つの経営の方向性として、以下の3つのビジネスレイヤーの軸足を「クリエイション」側にシフトしてきた。 ① 「感動」に直結するコンテンツ・ ソニーは、2018年のEMIの買収を起点に6年間で約1.5兆円を投資し、コンテンツクリエイションを強化。2021年にはアニメに特化したDirect-to-Consumer(以下「DTC」)サービス「Crunchyroll」を買収し、アニメクリエイターコミュニティへの貢献を志す。 ② 「感動」を生み出すプロダクツ&サービス・ ET&S分野では、クリエイターとともにエンタテインメントを創造することに注力。2023年度におけるET&S分野の営業利益の8割以上がクリエイションに関わるビジネス(イメージング、スポーツ、バーチャルプロダクション、プロオーディオ等)から創出。 ③ クリエイションを支える半導体・ ソニーは、クリエイションを支えるCMOSイメージセンサーに注力し、過去6年間で約1.5兆円の設備投資を実施。ソニーのCMOSイメージセンサーは、新たなエンタテインメント空間と位置付けているモビリティの安全にも貢献。(3) リアルタイム・クリエイション ソニーは、「リアルタイム」をキーワードに、CMOSイメージセンサーやゲームエンジンのクリエイションテクノロジーに注力していく。 ① 「瞬間」を捉えるテクノロジー・ グローバルシャッター方式のフルサイズイメージセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラ『α9 III』は、2024年3月に英国・グラスゴーで開催された「2024世界室内陸上競技選手権大会」でも活用された。・ ソニーが2024年に発表した5G対応ポータブルデータトランスミッター『PDT-FP1』による撮影現場でのリアルタイム写真転送は、迅速な報道・制作を可能にし、スポーツの感動を届けることに貢献。・ デジタルシネマカメラ『VENICE』シリーズの映画業界での採用と、他の映像制作への活用が拡大。 ② 真正性(Authenticity)を検証するリアルタイム技術・ クリエイターが現実世界を「ありのまま」に捉えることの意義は大きく、ソニーのCMOSイメージセンサーは画像の真正性を検証することに生かされている。 ③ アイデアをリアルタイムで形にするテクノロジー ソニーが出資するEpic Games, Inc.(以下「Epic Games」)のUnreal Engineを、様々なクリエイションのプロセスに活用。・ SPEの次世代ビジュアライゼーション施設「Torchlight」は、映像コンテンツの制作前に、リアルタイムでのクリエイターのビジョンの探索、構想、具現化が可能。・ 撮影監督も俳優もその場で映像を確認できる撮影手法であるバーチャルプロダクションの提供。・ 現実空間に3Dコンテンツを重ねながらコンテンツ制作や編集ができる没入型空間コンテンツ制作システムにより、没入感のある制作体験を提供。・ 北米のプロスポーツリーグの「ライブ」の場でも、現実の選手の動きをトラッキングし、リアルタイムで3Dアニメーション化することで、新たなファンの裾野を広げる。 (4) 長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」 ソニーは、今後のテクノロジーの進化を見据えながら、10年後のソニーのありたい姿を描いた長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を策定。 「Creative Entertainment Vision」における3つのフェーズ:① 「Creativity Unleashed」:テクノロジーを活用し、フィジカル、バーチャル、時間といった次元を超え、世界中のクリエイターの創造性を解き放つ。② 「Boundaries Transcended」:境界を超えて多様な人々や価値観を繋げ、熱量の高いコミュニティを育む。③ 「Narratives Everywhere」:クリエイターとともに、想像を超えたわくわくするストーリー性のある体験を作り、感動の新たなタッチポイントとして世界中に広げる。 (5) IP価値最大化に向けた現在の取り組み ソニーは、「Creative Entertainment Vision」が示す方向性に向けて、現在、様々なエンタテインメントカテゴリにおいてIP価値最大化の取り組みを進めている。 ① IPの創出アニメ・ SMEJ傘下の株式会社アニプレックス(以下「アニプレックス」)による、高品質な作品の制作。・ 1,300万人超の有料会員を抱えるCrunchyrollを通じた海外配信。・ アニプレックス傘下の制作スタジオである株式会社A-1 Picturesや株式会社CloverWorksを中心にSMEJ、ソニーグループのエンジニアと連携して開発中のアニメ制作ソフト『AnimeCanvas』を通じた、制作環境と効率の改善、作品品質の向上。・ アニプレックスとCrunchyrollを中核に、業界とも連携して海外のアニメクリエイターを育成するアカデミーの設立検討を開始。映画・ SPE傘下のPixo Holdings, Inc.(Pixomondo)がEpic Gamesと連携し、バーチャルプロダクションなどの技術を駆使できる映像クリエイターを育成。 音楽・ SMEJ所属の、小説を音楽にするプロジェクトから誕生したアーティスト「YOASOBI」など、ユニークなアプローチによる新たなIPの創出。スポーツ・ Hawk-Eye Innovations Ltd.のトラッキングシステムによるプレー中の選手の骨格などのデータの取得と、Beyond Sportsの技術によるリアルタイムでの3Dアニメーション化を通じた、新たなエンタテインメント・コンテンツの創出。 ② IPの育成アニメ・ クリエイターをたたえ、アニメIPと文化をファンとともに育てていくCrunchyroll Anime Awardsは、過去最高の3,400万以上の投票数を記録(2024年)。ゲーム / 映画・ PlayStation ProductionsによるゲームIPの実写映像化。『Horizon』、『God of War』などを今後公開予定。音楽・ 熱量の高いファンが新たな文化を創り出すファンダムアーティストを育成し、ファンコミュニティを拡大。 ③ 境界を超えてIPを拡張する「IP360」ゲーム・ 『アンチャーテッド』などのゲームIPをロケーションベースエンタテインメント(以下「LBE」)に展開。音楽・ グラミー賞を受賞したラッパー、シンガーソングライターのLil Nas Xが初のワールドツアーに臨む姿を記録したドキュメンタリー『Lil Nas X: Long Live Montero』の制作。・ SPEなどによる、各メンバーの視点からビートルズの歴史を振り返る伝記映画4本の同時制作。全カテゴリ共通・ LBE:ソニーのIPと技術を掛け合わせた、没入体験を提供するアトラクションを世界各地で展開。・ マーチャンダイジング:IPをグッズ化し、ファンの愛着を高める。グループ間連携も加速。・ モビリティ:センシングデータ等から搭乗者や周辺環境を把握して提供するエンタテインメント・コンテンツや音響技術を活用し、車内をパーソナライズされたエンタテインメント空間とすることで、移動体験の価値を向上。パートナー企業のIP展開に対する貢献・ Crunchyroll Games, LLCがパブリッシングを行うモバイルRPG『Street Fighter?:Duel』・ 実在のオブジェクトを高品位な3Dモデルに変換する「ハイクオリティスキャンソリューション」を活用し、「ガンダムメタバース」内へスキャンガンプラを展示。 ④ IP価値最大化のグローバル展開:多様な文化的背景や地域に根差した魅力を持つクリエイターをサポート・ インドの有望なゲーム開発者を発掘、支援し、世界中に魅力的なゲーム体験を届ける「India Hero Project」において、現在、5本のゲームタイトルを開発中。・ アフリカでのエンタテインメント事業を育成するために設立されたコーポレートベンチャーキャピタル「Sony Innovation Fund: Africa」。新興国での投融資活動をしている国際金融公社とも提携。 (6) IP価値最大化を支える技術基盤 クリエイターがIP価値最大化を高品質かつ効率的に行うために重要な技術基盤が、センシング及びキャプチャリング、リアルタイム3D処理、AI技術及び機械学習です。ソニーの強みとして研究開発・応用を進めており、将来的にはスピーディーかつ低コストにIPを幅広いファンに届けられるソリューションの構築をめざす。また、IP価値最大化の取り組みをより効率的に行うために、グループ共通のエンゲージメントプラットフォームの構築も検討する。 ① センシング及びキャプチャリング・ ボリュメトリックキャプチャスタジオは、フォトリアルな再現が可能で制作自由度も高いため、映画などの複雑なアクションシーンで使われている。今後はグループ各社で蓄積した3Dアセットの組織横断での活用と、外販を検討。 ② リアルタイム3D処理・ Unreal Engineを軸にEpic Gamesとの連携を深め、バーチャルプロダクションで撮影したミュージックビデオと同じ世界観の中で遊べるゲーム制作のほか、CGのショートフィルムをリアルタイム制作する実証実験を実施。 ③ AI技術及び機械学習・ 『Marvel’s Spider-Man 2』では機械学習を活用し、ゲームに特化した独自の音声認識ソフトウェアを使い、一部の言語において、登場するキャラクターのセリフに合わせて自動で字幕のタイミングを同期。これにより、字幕の制作工程の大幅な短縮を実現。・ インドにおける、映像コンテンツの吹き替えや翻訳の工程短縮の研究開発。 ④ エンゲージメントプラットフォームの発展・ 強固なネットワークサービスを確立しているPlayStation Networkのネットワーク基盤をベースとしたアカウント、決済、データ基盤、セキュリティなどのコア機能を、拡大を続けるCrunchyrollに展開することで、ソニーグループとしてのエンゲージメントプラットフォームへの発展を計画。・ ソニーグループ全体の各種サービスのID共通化も進めるほか、モビリティやLBEなどに向けたグループ内の新規ネットワークサービスの展開をサポートしていき、将来的には、ファンエンゲージメント特化型の共通プラットフォームとして、広くエンタテインメント業界で活用されることをめざす。 (7) 多様な事業と人材による成長の実現 ソニーは、多様な人材が集まり、異なる属性や経験を持つことを強みとしてきた。M&Aを通じて、エンタテインメント事業を中心に新たな考え方や知見を取り入れている。また、外国籍役員比率や女性管理職比率は、年々増加している。今後も、事業と人材の多様性を継続的に進化させ、長期視点での価値創出とさらなる成長の実現をめざす。 当社は、2024年5月14日に開催した2023年度連結業績説明会において、2021年度から2023年度の3年間の第四次中期経営計画の実績と、2024年度から2026年度の3年間の第五次中期経営計画を発表しました。詳細は以下のとおりです。 経営数値目標及びキャピタルアロケーション<第四次中期経営計画 経営数値目標とその成果>・ 第四次中期経営計画では、経営を引き続き長期視点で行っていくため、経営指標には3年間累計の指標を用いることとし、3年間累計の調整後EBITDAを最も重視する経営指標(以下「グループKPI」)としました。・ 2021年度から2023年度までの3年間において、連結ベースで累計4.3兆円の調整後EBITDAを創出するという数値目標を設定しましたが、その実績は、音楽分野及び映画分野を中心に当初計画を上回って進捗した結果、目標を19%上回り、累計約5.1兆円となりました。・ 第四次中期経営計画におけるキャピタルアロケーションについては、その計画期間を超えた長期的な事業の成長に向けて、設備投資に1.5兆円、自己株式の取得を含む戦略投資に2兆円以上を配分する計画に対し、設備投資は約1.9兆円、戦略投資は自己株式の取得約0.4兆円を含む約1.7兆円となりました。設備投資は、I&SS分野におけるイメージセンサー向け投資と、全社R&DやG&NS分野におけるサーバー投資などの増加により当初計画を上回りました。戦略投資は、運転資金及び設備投資の増加と、足もとのM&A市場環境を考慮した結果、当初計画を下回りましたが、長期的な成長に向けた投資を着実に実行しました。このキャピタルアロケーションの原資として、2021年度から2023年度の3年間累計で3.8兆円以上の金融分野を除く連結ベースの営業キャッシュ・フローを創出するという当初計画に対し、実績は約3.9兆円となりました。これは、G&NS分野やI&SS分野の運転資金の増加による減少があった一方で、事業や資産の売却、及び厳格な財務規律の範囲内での借入を行ったことなどによるものです。 <第五次中期経営計画 経営数値目標>・ 第五次中期経営計画においては、利益ベースの成長をより重視することとし、金融分野を除く連結ベースの営業利益の成長率及び営業利益率をグループKPIとしました。具体的には、3年間の連結営業利益の年平均成長率を10%以上とすること、及び3年間累計の連結営業利益率を10%以上とすることを目標としています。・ 第五次中期経営計画におけるキャピタルアロケーションについては、設備投資に1.7兆円、戦略投資については、各事業における成長投資と機動的な自己株式の取得に1.8兆円を割り当てる計画です。また、キャピタルアロケーションの主な原資である3年間累計の金融分野を除く連結ベースの営業キャッシュ・フローは、第五次中期経営計画期間における利益成長に加え、第四次中期経営計画期間で増加した運転資金の回収も見込むことから、第四次中期経営計画の実績を上回る、4.5兆円を見込んでいます。・ 株主還元については、総還元性向を重視し、これを第五次中期経営計画期間を通して段階的に増加させ、最終年度の2026年度には、40%程度とすることを目標としています。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。(1)重要な会計上の見積り IFRSにしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り及び仮定を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な仮定にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと大きく異なる場合があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計上の見積りであると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計上の見積りとして考えています。なお、重要な会計上の見積りの各項目に関連する会計方針については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『2.作成の基礎』及び『3.重要性がある会計方針の要約』をご参照ください。金融商品 ソニーは、金融商品の契約の当事者になった時点で、金融商品を金融資産又は金融負債として認識しています。金融資産及び金融負債は公正価値で当初測定されます。 ソニーの保有する金融商品は測定方法にしたがって分類され、このうち公正価値で測定される金融商品については、将来における公正価値の変動により連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。 また、負債性証券の信用損失の評価は、多くの場合、主観的であり、発行企業の信用格付け、業績予想、事業計画及び将来キャッシュ・フローに関するある特定の前提及び見積りが必要とされます。したがって、現在、信用損失がないと判断している負債性証券について、信用格付けの低下、継続的な業績の低迷、将来の世界的な株式市況の大幅悪化又は市場金利変動の影響等の事後的に利用可能となる情報の評価にもとづき、将来、信用損失に関する引当金が測定され、費用として認識されることにより、将来の収益を減少させる場合があります。非金融資産の減損 ソニーは、棚卸資産、契約コスト及び繰延税金資産を除く非金融資産について、個々の資産又は資金生成単位に係る減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能性の検討を行っています。これに加え、各資金生成単位に配分されているのれん、耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産の帳簿価額については、年に1回第4四半期に減損テストを実施しています。 当年度の減損判定において、のれんを持つ全ての資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を超過していたため、のれんの減損損失を認識することはありませんでした。また、重要なのれんを持つ資金生成単位において回収可能価額は帳簿価額を少なくとも10%以上超過しています。耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産においても、回収可能価額が帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。 中期計画を除く、2023年度ののれんの減損判定において実施された資金生成単位の回収可能価額への影響に関する感応度分析を含む重要な前提の検討は下記のとおりです。詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『11.のれん及び無形資産』をご参照ください。・税引後割引率は4.2%から13.5%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、割引率を1ポイント増加させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。・G&NS分野、ET&S分野、I&SS分野及び金融分野の資金生成単位におけるターミナル・バリューに適用された成長率はおおよそ1.0%から1.5%の範囲です。音楽分野の資金生成単位における中期計画を超える期間の成長率は1.0%から3.0%の範囲、映画分野では△5.0%から17.0%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、成長率を1ポイント減少させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。・映画分野の資金生成単位におけるターミナル・バリューの算定に使用される利益倍率は1.5から13.5、収益倍率は1.8です。他の全ての前提を同一とし、利益倍率を1.0、収益倍率を0.25それぞれ減少させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。 マネジメントは、のれんの減損判定における回収可能価額の見積りに用いられた前提は、合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、回収可能価額の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、将来においてソニーが非金融資産の減損損失を認識することになる可能性があります。企業結合 被取得企業における識別可能資産及び負債は、限定的な例外を除き、取得日の公正価値で測定しています。 企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額及びソニーが従来保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にはその超過額がのれんとして認識され、下回る場合には純利益として認識されます。 見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この移転された対価は異なる金額で評価され、識別可能資産及び負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況がこのような見積りに影響を与える可能性があることから、識別可能資産及びのれんの減損損失の計上又は識別可能負債の増加が必要となる可能性があります。 映画分野における予想総収益の見積り 映画会計においては、作品のライフサイクルを通した予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは、繰延映画製作費及び映画分野における未払分配金債務の測定にあたり重要となります。 映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。また、映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、残りの予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいて計上されています。 マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約などです。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、及びテレビ放映の生涯収益などを下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における繰延映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。さらに、未払分配金債務は残りの予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合に応じて計上されます。 繰延税金資産の評価 繰延税金資産は、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。したがって、繰延税金資産の計上金額は、繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能な証拠にもとづいて、定期的に評価されます。 繰延税金資産の評価は、財政状態計算書日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、税務調査の結果や連結会社間の移転価格に関する事前確認制度の交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産に対して評価減の計上が要求される可能性があります。一方、将来の予測される利益の改善や継続した利益の計上、ビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連し得る要因の評価の結果、将来において、税金費用の減額をともなう評価減の戻し入れが計上される可能性があります。現在の見込みにおいて予想していないこれらの起こり得る要因や変化は、評価減が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。 保険料配分アプローチを適用せずに測定している保険契約負債の測定 保険契約グループの帳簿価額は、発生保険金に係る負債と残存カバーに係る負債の合計です。残存カバーに係る負債は、保険契約から生じる履行キャッシュ・フロー及び契約上のサービス・マージンを算定することによって測定されます。保険契約グループの履行キャッシュ・フローは、将来キャッシュ・フロー、割引率及び非金融リスクに係るリスク調整に関する現在の見積りを用いて、報告日時点で測定されます。将来キャッシュ・フローの現在価値の見積りを測定するために使用している死亡率、罹患率、解約・失効率及び割引率は、保険契約負債を測定するために用いられる重要な仮定です。 (2)生産、受注及び販売の状況 ソニーの生産・販売品目は極めて広範囲かつ多種多様であり、また、ゲーム機やゲームソフト、音楽・映像ソフト、エレクトロニクス機器等は、その性質上、原則として見込生産を行っているため、分野別に生産規模及び受注規模を金額又は数量で示すことはしていません。販売の状況については後述の「(3)経営成績の分析」において各分野の業績に関連付けて示しています。 (3)経営成績の分析 ソニーは2023年度より、IFRS第17号を適用しており、2022年度の数値をIFRS第17号にもとづき組み替えて比較分析を行なっています。詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『2.作成の基礎』(5) 会計方針の変更をご参照ください。 営業概況 2022年度修正再表示(億円)2023年度(億円)売上高及び金融ビジネス収入109,744130,208営業利益13,02412,088税引前利益12,74512,687当社株主に帰属する当期純利益10,0539,706 調整後OIBDA*18,16918,261調整後EBITDA*17,97618,180* 調整後OIBDA(Operating Income Before Depreciation and Amortization)及び調整後EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)はIFRSに則った開示ではありませんが、ソニーはこれらの開示が投資家の皆様に有益な情報を提供すると考えています。調整後OIBDA及び調整後EBITDAの算式及び調整を含む詳細については、後述の「調整後OIBDA及び調整後EBITDAについて」をご参照ください(以下同じ)。 連結業績売上高 2023年度の売上高及び金融ビジネス収入(以下「売上高」)は、前年度比2兆464億円増加し、13兆208億円となりました。この大幅な増収は、主に金融分野、G&NS分野、音楽分野及びI&SS分野の大幅な増収によるものです。売上高の内訳の詳細については、後述の「分野別営業概況」をご参照ください。 (後述の「売上原価」、「研究開発費」及び「販売費及び一般管理費」に関する売上高に対する比率分析において、売上高には、純売上高のみが考慮されており、金融ビジネス収入は除かれています。これは、金融ビジネス費用は連結財務諸表上、売上原価や販売費及び一般管理費とは別に計上されていることによります。さらに、後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。) 売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業損(益)(純額) 2023年度の売上原価は、前年度比9,146億円増加して8兆893億円となり、売上高に対する比率は前年度の71.1%から71.8%に悪化しました。 研究開発費(売上原価に全額含まれる)は、前年度比71億円増加して7,428億円となり、売上高に対する比率は前年度の7.3%から6.6%になりました。(詳細は「第2 事業の状況」『6 研究開発活動』参照) 販売費及び一般管理費は、前年度比1,870億円増加し、2兆1,562億円になりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は前年度の19.5%から19.1%に改善しました。 その他の営業損(益)(純額)は、前年度比174億円増加し、294億円の利益となりました。この大幅な改善は、主に以下の2023年度に発生した要因の寄与によるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23.連結損益計算書についての補足情報』参照) 2023年度に発生した要因・従来持分法で会計処理されていた会社の連結子会社化による再評価益60億円(音楽分野)・ソニーペイメントサービス㈱(以下「ソニーペイメントサービス」)株式の一部譲渡にともなう売却益及び再評価益198億円(金融分野) 持分法による投資利益(損失) 2023年度の持分法による投資利益(損失)は、前年度比139億円減少し、105億円の利益となりました。この大幅な減少は、主にその他分野における持分法による投資利益の減少によるものです。 営業利益 2023年度の営業利益は、前年度比936億円減少し、1兆2,088億円となりました。この減益は、G&NS分野及び音楽分野の増益があったものの、主に金融分野の大幅な減益及びI&SS分野の減益によるものです。なお、前年度の営業利益には、音楽制作及び音楽出版における訴訟に関する和解金の受領の影響(関連費用控除後)57億円及びソニー生命の子会社において2021年度に発生した不正送金に係る資金回収221億円が含まれています。2023年度の営業利益には、前述のその他の営業損(益)(純額)に計上された要因が含まれています。 金融収益及び費用 2023年度の金融収益は、前年度から945億円増加し、1,256億円となりました。一方、金融費用は前年度に比べ68億円増加し、658億円となりました。金融収益から金融費用を差し引いた純額は、前年度の279億円の費用に対し、当年度は598億円の収益となりました。この大幅な改善は主に、前年度はSpotify Technology S.A.株式などの評価損を計上したのに対し、当年度は当該株式などの評価益を計上したことによるものです。 税引前利益 2023年度の税引前利益は、前年度比ほぼ横ばいの1兆2,687億円となりました。 法人所得税 2023年度の法人所得税は、当年度において2,882億円を計上し、実効税率は前年度の20.6%を上回り、22.7%となりました。この税率の上昇は、主に前年度において日本における外国子会社合算税制に係る繰延税金負債が減少した影響によるものです。この税率の上昇は、主に、当年度において子会社の解散にともなう税金費用を76億円減額したことにより、一部相殺されています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『25.法人所得税』参照) 非支配持分に帰属する当期純利益 2023年度の非支配持分に帰属する当期純利益は、前年度比34億円増加し、99億円となりました。 当社株主に帰属する当期純利益 2023年度の当社株主に帰属する当期純利益(非支配持分に帰属する当期純利益を除く)は、前年度比347億円減少し、9,706億円となりました。 基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の813.53円に対し、2023年度は788.29円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の809.85円に対し、2023年度は785.68円となりました。(1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『26.基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照) 調整後OIBDA及び調整後EBITDA 2023年度の調整後OIBDAは、前年度比ほぼ横ばいの1兆8,261億円となりました。これは、金融分野の大幅な減益があったものの、主にG&NS分野の大幅な増益ならびに音楽分野及びI&SS分野の増益によるものです。また、2023年度の調整後EBITDAは、主に調整後OIBDAの増益と同様の増減要因及び金融費用に含まれる為替差損(純額)の減少により、前年度比ほぼ横ばいの1兆8,180億円となりました。 分野別営業概況 以下の情報はセグメント情報にもとづきます。各分野の売上高はセグメント間取引消去前のものであり、また各分野の営業損益はセグメント間取引消去前のもので配賦不能費用は含まれていません。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『4.セグメント情報』参照) G&NS分野 主要経営数値 2022年度(百万円)2023年度(百万円)製品部門別の外部顧客向け売上高 デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツ1,523,0451,934,586ネットワーク464,676545,537ハードウェア・その他1,550,8121,692,871外部顧客向け売上高の合計3,538,5334,172,994セグメント間取引106,06594,740セグメント売上高3,644,5984,267,734セグメント営業利益250,006290,184 2023年度のG&NS分野の売上高は、前年度比6,231億円増加し、4兆2,677億円となりました。この大幅な増収は、主にアドオンコンテンツを含む自社制作以外のゲームソフトウェア販売増加及び為替の影響によるものです。 営業利益は、前年度比402億円増加し、2,902億円となりました。この増益は、プロモーション等によるハードウェアの損失拡大や自社制作のゲームソフトウェア販売減少の影響があったものの、主に前述の自社制作以外のゲームソフトウェア販売増加の影響及び為替の好影響によるものです。なお、当年度の為替の好影響は386億円でした。 調整後OIBDAは、営業利益と同様の増減要因により、前年度比709億円と大幅増の4,079億円となりました。 事業環境及び事業戦略 2023年度の当分野の業績は、PS5?のさらなる普及拡大、アドオンコンテンツを含むゲームソフトウェアの販売好調、プレイステーションRプラス(以下「PS Plus」)における上位ティアへのシフトによるネットワークサービスからの継続的かつ安定した収益貢献などによる好調なユーザーエンゲージメントを反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは、コンソールサイクルの後半を迎えるPS5?のインストールベースを安定的に拡大させながら、アクティブユーザー数を継続的に増加させ、ユーザーエンゲージメントを着実に維持・拡大し、コストコントロールを強化していくことで、安定的な収益基盤の拡大を図ります。これに加えて、これまで積極的に開発を強化してきた自社制作のゲームソフトウェアの販売を拡大させることにより、さらなる利益成長をめざします。具体的には、ハードウェアについては、プレイステーションR4からの移行も含め、収益性とのバランスを保ちながらPS5?の安定的な普及拡大をめざすとともに、ユーザーに新しいゲームの楽しみ方を提供する様々な周辺機器についての取り組みも継続していきます。ネットワークサービスについては、PS Plusにおいて高品質なサービスやコンテンツの提供を継続することで会員数を安定的に維持することに加え、上位ティアへのユーザーの移行を促すことで、収益性を高めていきます。また、ソフトウェアについては、サードパーティスタジオとの関係性を維持・強化することに加え、自社制作のゲームソフトウェアにおいて、シングルプレイヤーゲームにとどまらず、2022年7月に買収したBungieの専門性や知見を活用しながら、ライブサービスのさらなる開発・運営能力の強化に取り組んでいきます。また、引き続きPCなどのマルチプラットフォームへの自社制作のゲームソフトウェアの展開を拡大し、IPのさらなるリーチ拡大と収益化を図っていきます。ソニーグループ内連携については、プレイステーションのゲームIPの映画化・テレビ番組化を着実に進め、『The Last of Us』のテレビシリーズや『グランツーリスモ』の映画の成功に続き、さらなる連携強化に取り組んでいきます。 音楽分野 音楽分野の業績には、日本のSMEJの円ベースでの業績、ならびにその他全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、SME及びSMPの円換算後の業績が含まれています。 主要経営数値 2022年度(百万円)2023年度(百万円)ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 音楽制作(ストリーミング)598,868709,453音楽制作(その他)286,270356,646音楽出版276,665326,727映像メディア・プラットフォーム203,012202,129外部顧客向け売上高の合計1,364,8151,594,955セグメント間取引15,81724,003セグメント売上高1,380,6321,618,958セグメント営業利益263,107301,662 2023年度の音楽分野の売上高は、前年度比2,383億円増加し、1兆6,190億円となりました。この大幅な増収は、主に音楽制作及び音楽出版における有料会員制を中心とするストリーミングサービスからの収入増加や為替の影響ならびに音楽制作における興行・物販などからの収入増加によるものです。 営業利益は、前年度比386億円増加し、3,017億円となりました。この増益は、販売費及び一般管理費の増加、ならびに前年度に音楽制作及び音楽出版における訴訟に関する和解金の受領の影響(関連費用控除後で57億円)があったものの、主に前述の音楽制作及び音楽出版の増収の影響や為替の好影響、ならびに従来持分法で会計処理されていた会社の連結子会社化による再評価益60億円によるものです。 調整後OIBDAは、主に営業利益と同様の増減要因(前述の和解金の受領の影響及び再評価益を除く)により、前年度比523億円増加し、3,687億円となりました。 事業環境及び事業戦略 2023年度の当分野の業績は、世界的にデジタルストリーミング配信の拡大が続く中、過去に積極的に行った買収の貢献を含めたアーティストの発掘・育成の強化及び過去の音楽カタログへの投資によるストリーミングサービスからの収入の増加を反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは、市場成長を上回る継続的な成長の実現に向けた施策として、確立されたメジャーレーベルに加えて、The OrchardやAWALなどの独立系レーベルディストリビューション及びアーティスト向けサービスを通じたコンテンツIP強化やアーティストとの関係強化、新興市場におけるローカルタレントへの積極的な投資やローカル企業との協業などによる新興市場へのアプローチの強化、ならびに音楽カタログへの戦略投資を進めていきます。さらに、ソーシャルメディアやゲームなどの事業機会も引き続き増加しており、今後もこのような新規事業領域において、多様なサービスパートナーとの連携を通じて、音楽コンテンツの新たな利用機会の創出による収益基盤の拡大と、より多くのクリエイティブな手段や新たなファンとの接点の提供によるアーティストとの関係強化に取り組んでいきます。また、あらゆるパートナーと協力して、音楽業界における創造性、拡張性、効率性を高める多次元のツールとしてのAIの活用とアーティストの権利保護を両立した持続可能なビジネスモデルの確立に向けて取り組んでいます。加えて、ソニーグループの多様性を活かして、音楽コンテンツの利用機会を拡大し、アーティストに幅広いマーケティングの機会を提供していきます。映像メディア・プラットフォームにおいては、日本のアニメの海外展開のさらなる拡大をめざしています。基幹IPの最大化に加え、有力IPの新規開発及び獲得によるアニメ事業の成長、ならびにファンエンゲージメントの向上やクオリティの高いゲーム開発の推進によるゲーム事業の成長を図っていきます。 映画分野 映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結しているSPEの円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。 主要経営数値 2022年度(百万円)2023年度(百万円)ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 映画製作464,043542,044テレビ番組制作536,250551,035メディアネットワーク364,594393,638外部顧客向け売上高の合計1,364,8871,486,717セグメント間取引4,5356,333セグメント売上高1,369,4221,493,050セグメント営業利益119,255117,702 2023年度の映画分野の売上高は、前年度比1,236億円(9%)増加し、1兆4,931億円となりました(米ドルベースでは、2%の増収)。この米ドルベースでの増収は、主に劇場公開作品の増加及び有料会員数増加によるCrunchyrollの増収によるものです。なお、この増収は、ハリウッドのストライキの影響によるテレビ番組制作における納入作品数の減少、及び映画製作における過去作品のライセンス収入が、2021年度に劇場公開した複数の大型作品からの貢献があった前年度比で減少したことにより一部相殺されています。 営業利益は、前年度比ほぼ横ばいの1,177億円となりました(米ドルベースでは、10%の減益)。この米ドルベースでの減益は、前述の増収の影響があったものの、主に劇場公開作品の増加にともなう広告宣伝費の増加によるものです。 調整後OIBDAは、主に営業利益と同様の増減要因により、前年度比ほぼ横ばいの1,712億円となりました(米ドルベースでは、6%の減益)。 事業環境及び事業戦略 2023年度の当分野の業績は、WGA及びSAG-AFTRAのストライキがコンテンツ制作に与えた影響による、映画製作における一部作品の劇場公開日の変更やテレビ番組制作における作品納入の後ろ倒しなどの悪影響があったものの、充実したコンテンツIPやグローバルでのマーケティング及び劇場配給の能力、規律ある事業運営などのソニーの強みを反映したものとなりました。また、アニメDTCプラットフォームであるCrunchyrollは、配信チャンネルと視聴者獲得機会の拡大により成長を継続し、当分野への業績貢献を拡大しました。このような環境下、ソニーは、あらゆる配信プラットフォームにコンテンツを提供できる独立系コンテンツサプライヤーとしての強みを活かし、引き続きIPの長期的な価値最大化をめざします。映画製作においては、映画作品の劇場公開を重視する戦略を継続するとともに、既存IPの再活性化及び様々なエンタテインメントカテゴリにおけるIP価値最大化を進めていきます。2024年度には『Venom: The Last Dance』や『Kraven the Hunter』といった映画作品の劇場公開を通じて、Sony Pictures Universe of Marvel Charactersの展開を拡大していく予定です。テレビ番組制作においては、多様なコンテンツに対するニーズに対応するために、ドキュメンタリーやリアリティ番組を含む様々なノンフィクションジャンルにおける制作能力を引き続き強化していきます。加えて、映画製作やテレビ番組制作におけるソニーグループ内連携の取り組みも継続しており、G&NS、音楽、映画のエンタテインメント3事業間の連携の核として、グループの持つIPの価値最大化を進めます。例えば、『アンチャーテッド』や『グランツーリスモ』の映画作品及び『The Last of Us』や『Twisted Metal』のテレビシリーズに続き、今後もプレイステーションのゲームIPを題材とした作品展開を拡大していきます。メディアネットワークにおいては、CrunchyrollやSonyLIVなどのDTCサービスの展開をさらに強化していきます。例えば、Crunchyrollは、ストリーミングサービスに限らず、日本のアニメ映画の海外配給やアニメグッズ販売、アニメイベント、ゲームなど複数のタッチポイントを通じて、より幅広い視聴者にリーチすることで視聴者を拡大しています。また、ソニーは、LBE領域においても既存IPからの収益機会を積極的に追求していきます。 ET&S分野 主要経営数値 2022年度(百万円)2023年度(百万円)製品部門別の外部顧客向け売上高 テレビ733,251624,264オーディオ・ビデオ391,608412,067静止画・動画カメラ565,018643,429モバイル・コミュニケーション356,771299,905その他390,091435,281外部顧客向け売上高の合計2,436,7392,414,946セグメント間取引39,28638,772セグメント売上高2,476,0252,453,718セグメント営業利益179,461187,399 2023年度のET&S分野の売上高は、前年度比ほぼ横ばいの2兆4,537億円となりました。これは、為替の影響があったものの、主に販売台数の減少によるテレビの減収によるものです。 営業利益は、前年度比79億円増加し、1,874億円となりました。この増益は、前述のテレビの販売台数減少の影響があったものの、主に為替の好影響及びオペレーション費用の削減によるものです。なお、当年度の為替の好影響は205億円でした。 調整後OIBDAは、主に営業利益と同様の増減要因により、前年度比122億円増加し、2,891億円となりました。 事業環境及び事業戦略 2023年度の当分野の業績は、主にテレビにおいて欧米及び中国を中心とした市場減速などの厳しい事業環境の下、これらに機敏に対応するための徹底したサプライチェーンマネジメントや固定費削減などの各種施策を実行するとともに、デジタルカメラやヘッドホンを中心に高付加価値商品へのシフトを推進した成果を反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは、収益性の維持向上をめざす「収益軸事業領域」と新規事業の創出・拡大による成長をめざす「成長軸事業領域」の二軸での事業構造を確立するという方針のもと、事業運営を行っています。今後は、技術の差異化による強い事業基盤をもとにした収益軸事業領域の領域拡大と、成長軸事業領域の展開加速にもさらに注力していきます。収益軸事業領域においては、テレビ及びスマートフォンの収益水準の向上とボラティリティの低減に向け、販売・製造・設計の構造変革を加速します。販売面では地域動向に即した体制の再編成を行い、製造面では事業規模に応じた拠点の最適化を進めます。また、設計リソースをプラットフォーム化することにより、成長軸事業領域へのリソースシフトを柔軟かつ迅速に実現することをめざします。イメージング事業においては、リアルタイムにAIを活用し、オートフォーカスの追尾機能を、よりクリエイターの意図を理解したものに進化させ、さらに真正性(Authenticity)を付加することで、一瞬を切り取るテクノロジーを軸にイメージング領域の多様化を進め、事業領域を拡大します。サウンド事業では、没入感のある立体的な音場を体感できる「360 Reality Audio」を活用し、リアルタイムにクリエイターの意図を可視化・反映することで、立体音響コンテンツのクリエイションの幅を広げ、領域拡大を進めます。成長軸事業であるスポーツ事業においては、トラッキング技術により取得した動体データを、リアルタイムに可視化する技術を活用することで、新たなエンタテインメント・コンテンツの創出をめざします。また、ビジュアルソリューション事業においては、リアルタイムにレンダリングする技術と、ボリュメトリックキャプチャのように空間を再現する技術を活用することで、リアルとバーチャルが融合した映像制作を一層進化させていきます。ライフサイエンス事業では、従来の生命科学領域に加え、食品やエネルギー領域など、さらなる事業拡大の機会を見込んでいます。ネットワークサービス事業では、パートナー連携を多角的に進め、新たなサービス領域における成長を加速させていきます。I&SS分野 主要経営数値 2022年度(百万円)2023年度(百万円)外部顧客向け売上高の合計1,301,4811,503,906セグメント間取引100,70698,832セグメント売上高1,402,1871,602,738セグメント営業利益212,214193,541 2023年度のI&SS分野の売上高は、前年度比2,006億円増加し、1兆6,027億円となりました。この大幅な増収は、主にモバイル機器向けイメージセンサーが販売数量の増加及び製品ミックスの改善により増収となったこと、ならびに為替の影響によるものです。 営業利益は、前年度比187億円減少し、1,935億円となりました。この減益は、前述の増収の影響及び為替の好影響があったものの、主に減価償却費の増加、モバイル機器向けイメージセンサーの新製品量産立上げにおける費用の増加及び製造経費の増加によるものです。なお、当年度の為替の好影響は623億円でした。 調整後OIBDAは、前述のモバイル機器向けイメージセンサーの新製品量産立上げにおける費用の増加及び製造経費の増加があったものの、主に前述の増収の影響及び為替の好影響により、前年同期比326億円増加し、4,414億円となりました。 事業環境及び事業戦略 2023年度の当分野の業績は、米国やアジアのスマートフォン市場の停滞が続いたものの、ハイエンドスマートフォンを中心にモバイル機器向けイメージセンサーの大型化、高画質・高性能化の傾向が継続したことを反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは、イメージセンサーにおける世界No.1ポジションをさらに強固にするために、引き続き設備投資は継続する一方で、収益性をともなう成長に向けた経営基盤の再構築に取り組みます。設備投資については、将来のモバイル機器向けイメージセンサー需要の増加に備え、設備投資を継続する一方で、既存資産を最大限活用し、投資の対象をより厳選します。研究開発投資については、将来の成長に向けて投資を継続する一方で、研究開発テーマの精査を通じた投資効率の改善を進めます。加えて、2023年度に発生したモバイル機器向けイメージセンサー新製品の歩留り悪化を踏まえ、開発力・製造力の再強化にも取り組みます。また、今後の事業戦略として、当分野の事業領域を「成長牽引事業領域」、「収益事業領域」、「戦略事業領域」の3つに分け、それぞれの方向性を明確化しました。モバイル機器向けイメージセンサー事業については、成長牽引事業領域として、今後も投資を継続しながら、中長期で当分野の成長を牽引することをめざします。足元ではスマートフォン市場の停滞が底を打ち、緩やかな回復基調にあることに加え、今後は動画によるクリエイションやコミュニケーションの機会拡大を背景としたイメージセンサーの大判化のさらなる進展が見込まれることから、これまで培ってきたセンサー技術の総合力という強みを生かし、引き続き市場シェア及び収益の拡大ならびに収益性の向上を図っていきます。カメラ及び産業・社会インフラ向けイメージセンサー事業は収益事業領域に位置づけ、高い競争力を維持・強化しながら収益の最大化をめざします。車載向けイメージセンサー事業、エッジAIセンシングプラットフォームAITRIOS?によるソリューション事業、半導体レーザー事業、OLEDマイクロディスプレイ事業は戦略事業領域に位置づけ、これらの領域を将来のビジネスの柱とすべく、戦略的に投資を行っていきます。車載向けイメージセンサー事業はこれまで順調に成長しており、引き続きOEMやプラットフォーマーとの関係構築・強化を進め、収益拡大をめざします。半導体レーザー事業は、生成AIの普及にともなうデータセンター市場におけるストレージ需要の拡大にともない、中長期的な需要拡大を見込んでいます。 金融分野 金融分野には、SFGI及びSFGIの連結子会社であるソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行等の業績が含まれています。金融分野に記載されている業績は、SFGI及びその連結子会社が日本の会計基準に則って個別に開示している業績とは異なります。 主要経営数値 2022年度修正再表示(百万円)2023年度(百万円)金融ビジネス収入889,0821,769,954営業利益318,118173,576 2023年度の金融ビジネス収入は、主にソニー生命の大幅増収により、前年度比8,809億円増加し1兆7,700億円となりました。ソニー生命の収入は、主に市況変動により特別勘定における運用益が増加したことにより、前年度比8,431億円増加し、1兆5,239億円となりました。 営業利益は、前年度比1,445億円減少し、1,736億円となりました。この大幅な減益は、ソニーペイメントサービス株式の一部譲渡にともなう売却益及び再評価益198億円の計上があったものの、主にソニー生命において営業利益が大幅に減少したことや、同社の子会社で発生した不正送金の資金回収にともなう利益221億円を前年度に計上したことによるものです。ソニー生命の営業利益は、変額保険等に係る市況の変動による利益の減少、及び前年度に不動産売却益を計上したことなどにより、前年度比1,435億円減少し、1,264億円となりました。 調整後OIBDAは、主に営業利益と同様の減少要因(前述の売却益及び再評価益ならびに不正送金の資金回収の影響を除く)により、前年同期比1,409億円と大幅に減少し、1,815億円となりました。 事業環境及び事業戦略 2023年度の当分野の業績は、日本経済と債券市場の状況を反映したものとなりました。日本経済は、新型コロナウイルス禍からの正常化が進展しました。加えて、輸入価格の大幅上昇を主因とする販売価格上昇等を受け、大企業を中心に企業収益が改善しました。その結果、日経平均株価は過去最高を更新しました。日本の債券市場は、米国及び日本の金融政策の影響を受けました。2023年7月の日本銀行の金融政策決定会合で、長期金利の変動許容幅が上限1%まで引き上げられたことにより、10年物国債利回りは0.5%を超えて急騰しました。その後、米国のインフレ高止まりへの警戒等による米国の長期金利上昇にともない、日本の長期金利も2023年10月末には1%近傍まで上昇しました。2024年3月の金融政策決定会合で、日本銀行はマイナス金利政策解除を決定し、金融政策の正常化が開始されました。このような環境下、2025年度に予定している金融事業のパーシャル・スピンオフに向けて、安定的なキャッシュ・フローの創出に注力していきます。そのために、「両利きの経営」の考え方にもとづき、「深化」と「探索」を重視し、持続的な成長をめざします。既存ビジネスの成長である「深化」に関しては、ソニー生命においては、ライフプランナー(「ライフプランナー」はソニー生命の登録商標です。)トップ層及び代理店サポーターへの支援体制の強化により営業生産性の向上をめざします。また、法人向けサービスの拡大とシニア層向けライフプランニング・サービス・商品の強化により、顧客セグメントの拡大を図ります。ソニー損保では、自動車保険における潜在顧客の開拓や、火災保険における、自動車保険で培ったノウハウの活用に取り組みます。ソニー銀行では、強みである住宅ローン事業と外貨事業を中心として顧客ニーズと金利の環境変化をとらえた、さらなる商品・サービスの強化を図ります。さらなる成長に向けたグループ横断の取り組みである「探索」においては、顧客セグメントの拡大を成長戦略の核としています。具体的には、今後リーチしていく顧客層を、将来の潜在的な顧客基盤となり得るZ世代及び若年層、幅広く独自のニーズを持つ法人オーナーを中心とした準富裕層・富裕層、ファミリー層のライフステージ移行によるプレシニア・シニア層の3つとし、それぞれの顧客セグメントごとに最適なアプローチを採用することで、顧客セグメントの拡大をめざします。 金融分野を分離した経営成績情報 以下の表は金融分野の要約損益計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約損益計算書です。これらの要約損益計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられたIFRSには準拠していませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。 要約損益計算書(3月31日に終了した1年間) (単位:百万円)金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結 2022年度修正再表示2023年度2022年度2023年度2022年度修正再表示2023年度売上高--10,101,97911,265,04310,095,84111,260,037金融ビジネス収入889,0821,769,954--878,5321,760,731売上高及び金融ビジネス収入合計889,0821,769,95410,101,97911,265,04310,974,37313,020,768売上原価--7,186,7678,101,9907,174,7238,089,317販売費及び一般管理費--1,961,9062,148,4721,969,1702,156,156金融ビジネス費用575,1111,615,594--564,5611,606,370その他の営業損(益)(純額)△4,147△19,271△5,566△10,133△12,021△29,404売上原価、販売費・一般管理費及びその他の一般費用合計570,9641,596,3239,143,10710,240,3299,696,43311,822,439持分法による投資利益(損失)-△5524,44910,55724,44910,502営業利益318,118173,576983,3211,035,2711,302,3891,208,831金融収益(費用)(純額)--13,437109,864△27,89359,831税引前利益318,118173,576996,7581,145,1351,274,4961,268,662法人所得税89,89749,063172,528239,105262,723288,168当期純利益228,221124,513824,230906,0301,011,773980,494当期純利益の帰属 金融分野の当期純利益227,849123,986----金融分野を除くソニー連結の当期純利益--818,106896,636--当社株主に帰属する当期純利益----1,005,277970,573非支配持分に帰属する当期純利益3725276,1249,3946,4969,921 その他分野 2023年度の売上高は、前年度比17億円増加し、894億円となりました。営業利益は、主に持分法による投資利益の減少により、前年度比152億円減少し、16億円となりました。 調整後OIBDA及び調整後EBITDAについて 調整後OIBDA及び調整後EBITDAは、一時的な損益の影響を含まないことから、事業の持続的な収益力を表すとともに、金融事業を含むグループ全体の投資とそのリターンの循環による中長期での事業拡大をマネジメントの観点から確認することができ、さらに企業価値評価との親和性も高い指標であることから、ソニーが重視する長期視点での経営に適した経営指標であると考えています。調整後OIBDA及び調整後EBITDAはIFRSに則った開示ではありませんが、ソニーはこれらの開示が投資家の皆様に有益な情報を提供すると考えています。調整後OIBDA及び調整後EBITDAはIFRSに則って開示されるソニーの経営成績を代替するものではなく、追加的なものとしてご参照ください。 調整後OIBDA(Operating Income Before Depreciation and Amortization)は以下の算式により計算されます。 調整後OIBDA=営業利益+減価償却費・償却費(コンテンツ資産に含まれる繰延映画製作費、テレビ放映権ならびに自社制作のゲームコンテンツ及び原盤制作費の償却費を除く)-当社が非経常的と判断する損益 調整後EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)は以下の算式により計算されます。 調整後EBITDA=当社株主に帰属する当期純利益+非支配持分に帰属する当期純利益+法人所得税+金融収益・金融費用に計上される支払利息(純額)-金融収益・金融費用に計上される資本性金融商品の再評価益(純額)+減価償却費・償却費(コンテンツ資産に含まれる繰延映画製作費、テレビ放映権ならびに自社制作のゲームコンテンツ及び原盤制作費の償却費を除く)-当社が非経常的と判断する損益 2022年度及び2023年度のIFRSにもとづく営業利益と調整後OIBDAの調整については、以下の表をご参照ください。 2022年度修正再表示2023年度 億円億円ゲーム&ネットワークサービス(G&NS) 営業利益2,5002,902減価償却費・償却費*8701,177当社が非経常的と判断する損(益)**--調整後OIBDA3,3704,079音楽 営業利益2,6313,017減価償却費・償却費*590731当社が非経常的と判断する損(益)**△57△60調整後OIBDA3,1643,687映画 営業利益1,1931,177減価償却費・償却費*489535当社が非経常的と判断する損(益)**--調整後OIBDA1,6821,712エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S) 営業利益1,7951,874減価償却費・償却費*9741,017当社が非経常的と判断する損(益)**--調整後OIBDA2,7692,891イメージング&センシング・ソリューション(I&SS) 営業利益2,1221,935減価償却費・償却費*1,9672,479当社が非経常的と判断する損(益)**--調整後OIBDA4,0894,414金融 営業利益3,1811,736減価償却費・償却費*263277当社が非経常的と判断する損(益)**△221△198調整後OIBDA3,2241,815その他/全社(共通)及びセグメント間取引消去 営業損失△398△552減価償却費・償却費*268215当社が非経常的と判断する損(益)**--調整後OIBDA△129△337連結 営業利益13,02412,088減価償却費・償却費*5,4226,431当社が非経常的と判断する損(益)**△278△258調整後OIBDA18,16918,261 2022年度及び2023年度のIFRSにもとづく当社株主に帰属する当期純利益と調整後EBITDAの調整については、以下の表をご参照ください。 2022年度修正再表示2023年度 億円億円当社株主に帰属する当期純利益10,0539,706非支配持分に帰属する当期純利益6599法人所得税2,6272,882金融収益・金融費用に計上される支払利息(純額)4034金融収益・金融費用に計上される資本性金融商品の再評価損(益)(純額)46△714減価償却費・償却費*5,4226,431当社が非経常的と判断する損(益)**△278△258調整後EBITDA17,97618,180* 減価償却費・償却費には、コンテンツ資産に含まれる繰延映画製作費、テレビ放映権ならびに自社制作のゲームコンテンツ及び原盤制作費の償却費を含んでいません。** 2022年度及び2023年度の調整後OIBDA及び調整後EBITDAの計算にあたって当社が非経常的と判断する損益の詳細については、以下の表をご参照ください。 2022年度修正再表示2023年度 億円億円当社が非経常的と判断する損(益) 音楽制作及び音楽出版における訴訟に関する和解金の受領の影響(関連費用控除後)(音楽分野)△57-ソニー生命の子会社において2021年度第1四半期に発生した不正送金に係る資金回収(金融分野)△221-従来持分法で会計処理されていた会社の連結子会社化による再評価益(音楽分野)-△60ソニーペイメントサービス株式の一部譲渡にともなう売却益及び再評価益(金融分野)-△198合計△278△258 為替変動とリスク・ヘッジ 2023年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ144.4円、156.6円と前年度の平均レートに比べ米ドルは9.0円、ユーロは15.7円の円安となりました。 2023年度の連結売上高は、前年度に比べ2兆464億円(19%)増加し、13兆208億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合、売上高は約13%の増収となります。為替変動による売上高及び営業損益への影響については後述の『注記』をご参照ください。 G&NS分野、ET&S分野及びI&SS分野の為替変動による売上高及び営業損益への影響については、以下の表をご参照ください。また、詳細については、「経営成績の分析」の分野別概況における各分野の分析をご参照ください。為替の影響が大きかった分野やカテゴリーについて、その影響に言及しています。 2022年度(億円)2023年度(億円)為替変動による影響額(億円)G&NS分野売上高36,44642,677+2,789 営業利益2,5002,902+386ET&S分野売上高24,76024,537+984 営業利益1,7951,874+205I&SS分野売上高14,02216,027+992 営業利益2,1221,935+623 なお、2023年度の音楽分野の売上高は前年度比17%増加の1兆6,190億円となりましたが、前年度の為替レートを適用した場合、約12%の増収でした。映画分野の売上高は前年度比9%増加の1兆4,931億円となりましたが、米ドルベースでは、前年度比約2%の増収でした。詳細な分析は、「(3)経営成績の分析」の「音楽分野」及び「映画分野」をご参照ください。ソニーの金融分野は、円ベースのSFGIを連結しています。同分野の事業のほとんどが日本で行われていることから、ソニーは金融分野の業績の分析を円ベースでのみ行っています。 2023年度のG&NS分野、ET&S分野及びI&SS分野において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約303億円の減少、営業損益では約6億円の増加と試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約119億円、営業損益では約71億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」『3 事業等のリスク』参照) ソニーの連結業績は、主に収入と費用において通貨構成が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。G&NS分野では、米ドル建てのコストの割合が高いのに対して、売上高は日本円、米ドル又はユーロで計上されるため、米ドルに対する円高は営業利益に好影響を、ユーロに対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。ET&S分野では、主要製品におけるドル建ての製造コスト等の割合が高いことなどから米ドルに対する円高は営業利益に好影響を及ぼします。一方で、新興国での売上高の割合が高いため、新興国通貨に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。I&SS分野では、米ドル建ての販売契約の割合が高い一方、主に日本で製造を行っていることから、米ドルに対する円高は営業利益に大幅な悪影響を及ぼします。 これらの為替変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て営業債権や営業債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。 ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)を英国に設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSと当社がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しています。SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる1ヵ月前からヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っています。ソニーは、金融分野を除き、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においては、主に資産負債の総合管理の一環としてデリバティブを活用しています。 キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振り替えられます。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、直ちに金融収益・金融費用に計上されます。2023年度末における外国為替契約の資産に計上された公正価値(純額)の合計は29億円となっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15.デリバティブ及びヘッジ活動』参照) 『注記』前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況、及び為替変動による影響額について 前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況は、当年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して算出しています。ただし、音楽分野のSME及びSMP、ならびに映画分野については、米ドルベースで集計した上で、前年度の月次平均米ドル円レートを適用した金額を算出しています。 映画分野の業績の状況は、米国を拠点とするSPEが、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結していることから、米ドルベースで記載しています。 為替変動による影響額は、売上高については前年度及び当年度における平均為替レートの変動を主要な取引通貨建て売上高に適用して算出し、営業損益についてはこの売上高への為替変動による影響額から、同様の方法で算出した売上原価ならびに販売費及び一般管理費への為替変動による影響額を差し引いて算出しています。I&SS分野では独自に為替ヘッジ取引を実施しており、売上高及び営業損益への為替変動による影響額に同取引の影響が含まれています。 これらの情報はIFRSに則って開示されるソニーの連結財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、これらの開示は、投資家の皆様にソニーの営業概況をご理解頂くための有益な分析情報と考えています。 所在地別の業績 所在地別の業績は、顧客の所在国又は地域別に分類した売上高及び金融ビジネス収入を「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『4.セグメント情報』に記載しています。 (4)財政状態の分析 以下の表は金融分野の要約財政状態計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約財政状態計算書です。これらの要約財政状態計算書はソニーの連結財務諸表の作成に用いられたIFRSには準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引を含んでおり、両者の繰延税金資産と繰延税金負債を相殺する前の金額となっています。これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。 要約財政状態計算書 (単位:百万円)科 目金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結2022年度期首修正再表示2022年度末修正再表示2023年度末2022年度期首修正再表示2022年度末修正再表示2023年度末2022年度期首修正再表示2022年度末修正再表示2023年度末資 産 の 部流動資産 現金及び現金同等物 *1889,140756,493913,8151,160,496724,407993,2982,049,6361,480,9001,907,113金融分野における投資及び貸付 *2360,681328,358398,153—360,681328,358398,153営業債権、その他の債権及び契約資産 *3163,037127,413127,0161,478,6201,668,2572,033,1701,621,6291,770,9482,158,196棚卸資産—874,0071,468,0421,518,644874,0071,468,0421,518,644その他の金融資産81,17447,04457,25468,12463,90668,111149,301110,950125,365その他の流動資産27,89316,02950,487450,953562,442625,539428,522563,334669,335流動資産合計1,521,9251,275,3371,546,7254,032,2004,487,0545,238,7625,483,7765,722,5326,776,806非流動資産 持分法で会計処理されている投資–4,905268,513325,220418,839268,513325,220423,744金融分野における投資及び貸付 *218,251,61218,237,76118,939,794—18,251,61218,237,76118,939,794金融分野への投資(取得原価)—550,483550,483550,483—有形固定資産18,01015,31614,1621,095,2411,329,2191,508,1511,113,2131,344,8641,522,640使用権資産73,77484,02376,288339,658395,210428,224413,430478,063503,395のれん及び無形資産(コンテンツ資産含む) *472,57878,19777,3232,672,4663,322,6393,953,4922,745,0443,400,8364,030,815繰延税金資産2,3352,687-332,330431,533520,613300,924393,107499,550その他の金融資産37,03746,94152,882663,233789,470848,599696,306832,344897,341その他の非流動資産167,744172,565165,049284,834319,306421,258379,137419,368513,405非流動資産合計18,623,09018,637,49019,330,4036,206,7587,463,0808,649,65924,168,17925,431,56327,330,684合 計20,145,01519,912,82720,877,12810,238,95811,950,13413,888,42129,651,95531,154,09534,107,490 負 債 及 び 資 本 の 部流動負債 短期借入金1,964,7761,891,8561,802,337183,187211,020227,9792,147,9622,102,8762,030,316営業債務及びその他の債務119,01777,70361,1531,744,0111,812,6702,005,1121,843,3381,866,1012,064,905銀行ビジネスにおける顧客預金2,886,3613,163,2373,670,567—2,886,3613,163,2373,670,567未払法人所得税3,78915,21310,050101,648139,330142,024105,437154,543152,074映画分野における未払分配金債務—190,162230,223251,743190,162230,223251,743その他の金融負債98,02977,60577,52329,05030,44438,522127,079108,049116,044その他の流動負債218,865194,174209,5551,297,1151,514,7921,704,1581,465,3261,693,3801,906,396流動負債合計5,290,8375,419,7885,831,1853,545,1733,938,4794,369,5388,765,6659,318,40910,192,045非流動負債 長期借入債務470,498663,353703,106733,1481,104,3441,355,0111,203,6461,767,6962,058,117退職給付に係る負債37,16737,18339,284217,381198,938208,299254,548236,121247,583繰延税金負債58,66660,55436,368110,715112,938165,877120,582117,621166,424保険契約負債13,042,87512,364,97312,931,995—13,042,87512,364,97312,931,995映画分野における未払分配金債務—220,113192,952206,081220,113192,952206,081その他の金融負債147,712175,026214,41486,391199,327175,263231,463371,580386,761その他の非流動負債5,8647,2257,607121,558142,096176,767106,481127,593162,379非流動負債合計13,762,78213,308,31413,932,7741,489,3061,950,5952,287,29815,179,70815,178,53616,159,340負 債 合 計19,053,61918,728,10219,763,9595,034,4795,889,0746,656,83623,945,37324,496,94526,351,385金融分野の株主に帰属する資本1,087,9481,180,9051,113,169——金融分野を除くソニー連結の株主に帰属する資本—5,155,1496,006,2677,062,657—当社株主に帰属する資本——5,653,8046,598,5377,587,177非支配持分3,4483,820-49,33054,793168,92852,77858,613168,928資 本 合 計1,091,3961,184,7251,113,1695,204,4796,061,0607,231,5855,706,5826,657,1507,756,105合 計20,145,01519,912,82720,877,12810,238,95811,950,13413,888,42129,651,95531,154,09534,107,490 (注)*1 2023年度末の金融分野を除くソニー連結における現金及び現金同等物の変動要因は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の『(5)キャッシュ・フローの状況の分析』をご参照ください。*2 2022年度末及び2023年度末の金融分野における投資及び貸付の変動については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『5.金融商品』をご参照ください。*3 2023年度末の金融分野を除くソニー連結における営業債権、その他の債権及び契約資産の増加は、主にG&NS分野、音楽分野、映画分野、I&SS分野において営業債権が増加したことによるものです。*4 2023年度末の金融分野を除くソニー連結におけるのれん及び無形資産(コンテンツ資産含む)の増加は、主に為替変動の影響及び音楽分野におけるコンテンツ資産の増加によるものです。 (5)キャッシュ・フローの状況の分析 営業活動によるキャッシュ・フロー:2023年度において営業活動から得た現金及び現金同等物(純額)は、前年度比1兆585億円増加し、1兆3,732億円となりました。 金融分野を除くソニー連結では、1兆1,778億円の受取超過となり、前年度比7,624億円の受取の増加となりました。この増加は、主に棚卸資産が増加から減少に転じたことや、非資金調整項目(減価償却費及び償却費(契約コストの償却を含む)、その他の営業損(益)(純額)ならびに有価証券に関する損(益)(純額))を加味した後の税引前利益が前年度に比べて増加したことなどによるものです。一方で、営業債権及び契約資産の増加額が拡大したことなどのキャッシュ・フローを悪化させる要因もありました。 金融分野では前年度の563億円の支払超過に対し、2023年度は2,464億円の受取超過となりました。これは、金融分野における投資の売却が前年度に比べて増加したことなどによるものです。 投資活動によるキャッシュ・フロー:2023年度において投資活動に使用した現金及び現金同等物(純額)は、前年度比2,338億円減少し、8,189億円となりました。 金融分野を除くソニー連結では、7,942億円の支払超過となり、前年度比2,378億円の支払の減少となりました。この減少は、前年度において、Bungieの株式の取得があったこと、Epic Gamesへの追加出資があったこと、及びIndustrial Mediaの買収に関連する支払があったことなどによるものです。 金融分野ではほぼ前年度並みの257億円の支払超過となりました。 財務活動によるキャッシュ・フロー:財務活動による現金及び現金同等物(純額)は、前年度の843億円の受取超過に対し、2023年度は2,107億円の支払超過となりました。 金融分野を除くソニー連結では、前年度の955億円の受取超過に対し、2023年度は1,973億円の支払超過となりました。これは、前年度において長期銀行借入を行ったことや、自己株式の取得が前年度に比べ増加したことなどによるものです。 金融分野では634億円の支払超過となり、前年度比108億円の支払の増加となりました。この増加は、配当金の支払が増加したことなどによるものです。 現金及び現金同等物:以上の結果、為替変動の影響を加味した2024年3月末の現金及び現金同等物期末残高は1兆9,071億円となりました。金融分野を除くソニー連結の2024年3月末における現金及び現金同等物期末残高は、2023年3月末に比べ2,689億円増加し、9,933億円となりました。金融分野の2024年3月末における現金及び現金同等物残高は、2023年3月末に比べ1,573億円増加し、9,138億円となりました。 金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報 以下の表は、金融分野の要約キャッシュ・フロー計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約キャッシュ・フロー計算書です。この要約キャッシュ・フロー計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられたIFRSには準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。 要約キャッシュ・フロー計算書 (単位:百万円)項 目金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結2022年度修正再表示2023年度2022年度2023年度2022年度修正再表示2023年度営業活動によるキャッシュ・フロー 税引前利益(損失)318,118173,576996,7581,145,1351,274,4961,268,662営業活動から得た又は使用した(△)現金及び現金同等物(純額)への税引前利益(損失)の調整 減価償却費及び償却費(契約コストの償却を含む)26,33327,689978,2571,117,2921,004,5901,144,981その他の営業損(益)(純額)△4,147△19,271△5,566△10,133△12,021△29,404有価証券に関する損(益)(純額)(金融分野以外)–4,469△73,1664,469△73,166資産及び負債の増減 営業債権及び契約資産の増加(△)・減少35,623△20,843△110,668△200,071△70,349△243,646棚卸資産の増加(△)・減少–△560,38275,641△560,38275,641金融分野における投資及び貸付の増加(△)・減少△1,093,792△1,748,913–△1,093,792△1,748,913コンテンツ資産の増加(△)・減少–△594,547△486,183△594,547△486,183営業債務の増加・減少(△)△40,05927,116△62,691△40,882△107,2509,188保険契約負債(保険契約資産との純額)の増加・減少(△)330,6541,370,580–330,6541,370,580銀行ビジネスにおける顧客預金の増加・減少(△)300,20153 |
※本記事は「ソニーグループ株式会社」の令和0年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
コメント