会社名 | シャープ株式会社 |
業種 | 電気機器 |
従業員数 | 連40123名 単5636名 |
従業員平均年齢 | 45.3歳 |
従業員平均勤続年数 | 21.1年 |
平均年収 | 7532000円 |
1株当たりの純資産 | 236.2円 |
1株当たりの純利益(連結) | 55.59円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 0円 |
配当性向 | 0% |
株価収益率(PER) | 17倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 24.4% |
営業活動によるCF | ▲15億円 |
投資活動によるCF | 1037億円 |
財務活動によるCF | ▲747億円 |
研究開発費※1 | 208.57億円 |
設備投資額※1 | 100.28億円 |
販売費および一般管理費※1 | 3074.91億円 |
株主資本比率※2 | ▲19.1% |
有利子負債残高(連結)※3 | 5176.57億円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針① 経営理念・経営信条当社の創業者 早川徳次の言葉の一つに「他社がまねするような商品をつくれ」があります。この言葉には、次の時代のニーズをいち早くかたちにした“モノづくり”により、社会に貢献し、信頼される企業を目指すという当社グループの経営の考え方が凝縮されています。当社グループは、1973年に、この創業の精神を「経営理念・経営信条」として明文化し、この精神に沿って、他社とは一味違った「シャープらしい」価値創造に取り組んできました。そして、2025年5月、これからも全社員が「シャープらしさ」にこだわりをもって事業活動を推進していくことを目的に、「経営理念・経営信条」に沿った新たな指針として、Our Mission「誠意をもって人々の日常を見つめ、創意をもって新たな体験を提案する」を策定しました。当社グループは、このOur Missionを共通の合言葉に、今後も引き続き、「経営理念・経営信条」を体現し続けることで、社会の発展に貢献していきたいと考えています。 ② 目指す方向性当社グループは、DNAである「目の付けどころ」と「特長技術」、さらには、近年、特に力を入れて磨き続けている「スピード」の3つを強みとし、あなたらしく“暮らす”と共創的に“働く”の二つの領域で、Our Mission「誠意をもって人々の日常を見つめ、創意をもって新たな体験を提案する」を実践していきます。そして、次々と独創的なモノやサービスを生み出し、それにとどまらず、これらを通じて“新たな文化”をつくる会社へと成長していきたいと考えています。(2) 経営環境、経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題2024年度の世界経済は、不動産市場の停滞や物価下落の影響のあった中国など一部の地域では景気の足踏み状態が続いたものの、強い労働需要や設備投資に支えられ米国経済が堅調だったことなどから、回復基調で推移しました。しかしながら、年度末にかけては、これまで世界経済をけん引してきた米国においても、通商政策の影響でインフレ予想が高まるとともに、消費者心理が悪化し、弱い経済指標も散見されるようになるなど、世界経済の回復基調にやや減速傾向が見られました。今後についても、米国の通商政策の先行きや、これに伴う各国の物価や金利政策の動向、さらにはウクライナ情勢や中東情勢をはじめとした地政学リスクなど、当社グループを取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続くものと考えています。 こうした中、2024年度、当社グループは「年間黒字必達」を目標に全社を挙げて収益力強化に取り組み、その結果、ブランド事業は二桁の増収増益を達成し、デバイス事業もディスプレイ事業の構造改革の進展により営業赤字が大幅に縮小、全社トータルでは売上高が前年対比で減少したものの、営業利益、経常利益、最終利益はいずれも大きく改善し、黒字化しました。さらに、売上高、各利益ともに、2025年2月7日に公表した通期連結業績予想値を上回ることができました。また、2024年5月の中期経営方針で掲げた「デバイス事業のアセットライト化」についても、当初想定のスケジュールに沿って着実に実行することができ、ブランド事業においても、低収益事業の構造改革に取り組むとともに、成長への布石を複数打つなど、再成長に向けた確かな基盤の構築が進展しました。 そして、2025年5月12日、当社グループは再成長に向けた中期経営計画を発表しました。今後は以下の3つの重点取り組みを遂行し、競争力の強化を図るとともに、財務基盤の改善を進め、再び成長軌道へと舵を切ります。1 ブランド事業の「グローバル拡大」と「事業変革」の加速:事業の「集中と転換」を進めるとともに、ブランド事業に「従来比2倍以上の成長資金」を投下し、収益性や成長性を大幅に向上2 持続的な事業拡大を支える「成長基盤」の構築:社内外との連携を強化し、「コア技術の深化・将来技術の探索」を加速するとともに、「人への投資」を拡大3 成長をドライブする“マネジメント力”の強化:コーポレートとビジネスグループの役割と責任を明確化し、「経営スピードのさらなる向上」を図るとともに「事業の成長を強力にドライブ」なお、こうした取り組みを推進するにあたり、当社グループは2025年4月1日付で、ブランド事業の3つのビジネスグループを、あなたらしく“暮らす”を事業ドメインとする「スマートライフビジネスグループ」と、共創的に“働く”を事業ドメインとする「スマートワークプレイスビジネスグループ」の2つに再編しています。加えて、将来の飛躍に向け、大きな成長が期待される新産業領域でのNext Innovationの具現化にも着手します。具体的には、自社の様々な特長技術を核に、親会社である鴻海精密工業股?有限公司のリソースも有効に活用し、EVやAIデータソリューション、インダストリーDX・ロボティクス、宇宙などの分野において新たな取り組みを展開していきます。(3) 事業別取り組み方針① スマートライフビジネスグループ「あなたの明日を、もっとあなたらしく、ワクワクする日々に」をビジョンに、スマートアプライアンス&ソリューション、テレビシステム、エネルギーソリューション、センサーデバイスの各事業が連携し、新たな体験をもたらす特長商品を開発するとともに、暮らしに寄り添った独自のサービスを展開していきます。そして、世界中のお客様に当社ならではの価値をお届けし、“SHARP”ブランドをグローバルに拡大していきます。<主な重点取り組み> - 商品とサービス両面でのAIoT事業の拡大 - 美容・ヘルスケア事業の強化 - 中核地域であるASEANのさらなる強化- 米州及び中近東/アフリカにおける優位性を活かした大幅成長② スマートワークプレイスビジネスグループ「テクノロジーとネットワークで、世界中のコラボレーションを強化する」をビジョンに、ワークプレイスソリューション、コンピューティングソリューション、モバイルコミュニケーションの各事業が連携し、既存のプロダクトを継続強化するとともに、顧客のDXを支援するスマートビジネスを展開していきます。具体的には、「AIや特長技術を活用したスマートプロダクト」、「SaaSを中心としたDXサービス」、「プロダクトとサービスを組み合わせたハイブリッド型システム」をオフィスやリテール、ロジスティクス、パブリックの4つの産業領域を中心に展開していきます。<主な重点取り組み> - 既存プロダクトの強化とスマートビジネスの展開によるオフィス向け事業の拡大 - 新たなスマートビジネスの展開(リテール向けDXサービスの展開、ロジスティクス向け事業の拡大、衛星通信事業の立ち上げ など)③ ディスプレイデバイス事業ディスプレイデバイス事業ではこれまで、黒字化に向け、堺ディスプレイプロダクト㈱のパネル生産停止、亀山第2工場及び三重第3工場の生産能力調整、堺工場OLEDラインの閉鎖など、様々な構造改革を実行してきました。そして現在、ボラティリティの高い亀山第2工場を、2026年8月迄に鴻海グループに譲渡する方向で具体的協議を行っており、さらなる固定費の削減を進めていきます。今後は亀山第1工場及び白山工場を活用し、競争優位を持続できる「車載」・「XR製品などのモバイル」・「産業用途」に集中した事業展開を進め、高付加価値商品の販売を拡大することで、黒字転換を目指します。a)亀山第1工場 <工場活用方針>成長し続ける車載用LCD需要に対応し、車載専用化 <主な重点取り組み>- 車載向け特長技術開発の加速(超低反射、デュアルビュー、クリックディスプレイ等)- 地政学リスクを背景とした完成品メーカーの調達網再構築需要の取り込みb)白山工場<工場活用方針> IGZO技術などの特長技術を結集し、高付加価値製品をマルチに供給<主な重点取り組み>- XR用超高精細LCDを量産化し、XR用ディスプレイ市場における圧倒的シェアを堅持 - 超低消費電力車載ディスプレイや高画質ePosterなどの高付加価値製品の受注拡大 (4) 目標とする経営指標当社グループは今後、この中期経営計画を着実に実行することで、全社で安定的に収益を計上できる体質を構築していきます。そして、2027年度には、ブランド事業の営業利益率7%(挑戦目標)、全社営業利益800億円を目指してまいります。また、中期経営計画の初年度である2025年度は、スマートライフビジネスグループでは「生成AI対応家電の販売拡大」や「海外事業の拡大」、スマートワークプレイスビジネスグループでは「既存顧客基盤を活用したクロスセルの推進」や「新規事業の立ち上げ」、ディスプレイデバイス事業では「白山工場における高付加価値商品の投入拡大」や「亀山第1工場における大型車載パネル比率の向上」などに取り組み、全社で着実に利益を創出してまいります。 |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況(経営成績)当社グループは、ディスプレイデバイス事業において市場環境の変化への対応が遅れたことから、前連結会計年度まで2期連続の営業赤字を計上いたしました。また、いずれの年度においてもディスプレイデバイス事業に関連する多額の減損損失を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損益についても大幅な赤字となりました。当社グループではデバイス事業とブランド事業を展開していますが、このように業績が悪化した背景には構造的な問題があったと考えています。具体的には、デバイス事業では十分な資金が確保できず技術や工場への投資が不足し成長分野の開拓が進まない一方で、ブランド事業で獲得した資金がデバイス事業に充当されブランド事業の成長に必要な投資が行えないという負のサイクルに陥っていたと認識しています。こうした認識のもと、当社グループでは2024年5月14日に中期経営方針を発表し、当連結会計年度を構造改革の年と位置付けました。この方針に沿って、親会社株主に帰属する当期純損益の黒字化を目指すとともに、ブランド事業に集中した事業構造を確立して負のサイクルから脱却するため、デバイス事業を中心としたアセットライト化を進めました。その結果、当連結会計年度には、赤字の直接的要因となったディスプレイデバイス事業において、大型ディスプレイ事業では堺ディスプレイプロダクト㈱でのパネル生産停止や液晶パネル工場関連の資産売却、中小型ディスプレイ事業では亀山第2工場・三重第3工場での生産能力調整及び堺工場のOLEDラインの閉鎖などを行いました。さらに、エレクトロニックデバイス事業においては鴻海グループとの間で、カメラモジュール事業の譲渡に関する契約を締結するとともに、半導体事業のシャープ福山レーザー㈱の株式譲渡に向けた協議を進めました。なお、本株式譲渡は2025年4月23日に契約を締結しています。 当連結会計年度の業績については、売上高が減少したものの、デバイス事業のアセットライト化にあわせ、ブランド事業の収益力向上に取り組んだこと、有価証券の売却を進めたことなどから、営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は大幅に改善し、いずれも黒字となりました。売上高は、スマートライフ&エナジー、スマートオフィス、ユニバーサルネットワークのブランド事業3セグメントの売上が伸長した一方、ディスプレイデバイス、エレクトロニックデバイスのデバイス事業2セグメントの売上が減少し、2,160,146百万円(前年度比93.0%)となりました。営業損益は、27,338百万円の営業利益(前年度は20,343百万円の営業損失)となりました。円安の影響があるなか欧州でのエネルギーソリューション事業終息費用も発生したスマートライフ&エナジー、顧客需要の変動が大きかったエレクトロニックデバイスは減益となりましたが、販売が大きく伸長したスマートオフィス、売上が伸長したことに加え一過性の収益も計上したユニバーサルネットワークが大幅な増益となりました。また、構造改革が進んだディスプレイデバイスでは、赤字幅が大幅に縮小しました。経常損益は、営業外費用として12,612百万円の為替差損などを計上したものの、営業利益が大幅に改善したことから、17,653百万円の経常利益(前年度は7,084百万円の経常損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、36,095百万円の親会社株主に帰属する当期純利益(前年度は149,980百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。特別損失として、54,381百万円の減損損失や29,686百万円の事業構造改革費用を計上したものの、経常利益が改善したことや、特別利益として液晶パネル工場関連の資産売却などによる78,095百万円の固定資産売却益や上場株式の売却による28,254百万円の投資有価証券売却益などを計上したことなどから、3期ぶりに黒字化しました。 (セグメント業績)セグメントの業績は、概ね次のとおりであります。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組替えた数値で比較しております。報告セグメントの変更については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に詳細を記載しております。 <ブランド事業>①スマートライフ&エナジー売上高は461,351百万円(前年度比102.0%)となりました。白物家電事業は増収、エネルギーソリューション事業は減収となりました。白物家電事業では、高付加価値化の進展もありASEANでの冷蔵庫や洗濯機などの販売が伸長したほか、欧米での調理家電も好調でした。エネルギーソリューション事業では、欧州での事業を終息したことなどが影響しました。セグメント利益は20,343百万円(前年度比73.2%)となりました。白物家電事業、エネルギーソリューション事業とも減益となりました。高付加価値化を進めるとともにコストダウンに取り組みましたが、両事業とも円安によるマイナス影響が大きく、さらにエネルギーソリューション事業では欧州事業の終息に伴う費用も発生しました。 ②スマートオフィス売上高は680,606百万円(前年度比116.9%)となりました。PC事業、ビジネスソリューション事業とも増収となりました。PC事業では、Windows10のサポート終了に伴う買い替え特需があるなか、法人向けプレミアムモバイルモデルが好調に推移し、国内の法人向けの売上高が大きく伸長しました。ビジネスソリューション事業では、日本や米州でオフィスソリューション事業が大きく売上を伸ばし、インフォメーションディスプレイも欧州を中心に売上が伸長しました。セグメント利益は42,627百万円(前年度比143.6%)となりました。PC事業、ビジネスソリューション事業とも増益となりました。PC事業では、円安によるマイナス影響がありましたが、売上が大きく伸長し、高付加価値化を進めた効果がありました。ビジネスソリューション事業では、MFP事業などが着実に利益を計上するなか、課題であったインフォメーションディスプレイ事業の構造改革も進展しました。 ③ユニバーサルネットワーク売上高は338,516百万円(前年度比108.5%)となりました。通信事業、テレビ事業とも増収となりました。通信事業は、AQUOS wish4やAQUOS R9が好調だったことなどから、大幅な増収となりました。テレビ事業では、米州、欧州、アジアなど海外の売上が伸長しました。また、国内においてもXLED・OLEDモデルの販売が堅調でした。セグメント利益は18,682百万円(前年度比210.4%)となりました。円安によるマイナス影響はあったものの、増収となったことやコストダウン・経費削減が進んだことから、通信事業、テレビ事業とも増益となりました。通信事業については、一過性の収益を計上したこともあり、大幅な増益となりました。 <デバイス事業>④ディスプレイデバイス売上高は507,139百万円(前年度比82.5%)となりました。堺ディスプレイプロダクト㈱での生産を停止した大型ディスプレイのほか、スマートフォン向けパネルやPC・タブレット向けパネルの販売が減少しました。一方、XR向けパネルは増収、車載向けパネルの売上はほぼ前年度並みとなりました。セグメント損失は40,513百万円(前年度は83,290百万円のセグメント損失)となりました。減収とはなりましたが、構造改革を推進した効果があり、大型ディスプレイ事業、中小型ディスプレイ事業とも赤字幅が大幅に縮小しました。 ⑤エレクトロニックデバイス売上高は、202,255百万円(前年度比50.4%)となりました。車載用や加工用の半導体レーザーの売上は大きく伸長しましたが、センサーモジュールの顧客需要が変動した影響がありました。セグメント利益は5,754百万円(前年度比43.7%)となりました。経費削減に取り組んだものの、販売が減少し、減益となりました。 生産、受注及び販売の実績は以下のとおりです。 a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)スマートライフ&エナジー461,685+5.1スマートオフィス681,336+19.2ユニバーサルネットワーク318,891+4.6ディスプレイデバイス489,189△14.5エレクトロニックデバイス188,195△50.3合計2,139,299△5.6(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。2 上記の金額には、外注製品仕入高等を含んでおります。3 組織変更に伴い、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。 b.受注実績当社グループは原則として見込生産を行っております。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)スマートライフ&エナジー459,966+2.2スマートオフィス679,736+17.2ユニバーサルネットワーク338,295+8.6ディスプレイデバイス495,273△16.8エレクトロニックデバイス186,875△51.4合計2,160,146△7.0(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度におけるAPPLE INC.に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)APPLE INC.430,29418.5-- (財政状態)当連結会計年度末の財政状態については、資産合計は、固定資産の売却や減損、投資有価証券の売却などにより、前連結会計年度末に比べ136,301百万円減少の1,453,730百万円となりました。負債合計は、借入金の返済などにより、前連結会計年度末に比べ146,586百万円減少の1,286,021百万円となりました。また、純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べ10,284百万円増加し、167,709百万円となりました。 (棚卸資産)当連結会計年度末の棚卸資産残高は242,081百万円、月商比は1.34ヶ月で、金額・月商比とも過去2年で最小となりました。2024年8月に生産を停止した堺ディスプレイプロダクト㈱では、パネル販売が計画通りに進捗し、在庫の消化は概ね完了しました。今後とも状況の変化を注視し、適正な在庫の管理に努めてまいります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報a. キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ23,574百万円増加し、242,703百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(単位:百万円) 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)増減営業活動によるキャッシュ・フロー124,495△1,590△126,086投資活動によるキャッシュ・フロー10,875103,74392,867財務活動によるキャッシュ・フロー△149,668△74,76874,900現金及び現金同等物の期末残高219,128242,70323,574 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の支出は1,590百万円(前連結会計年度は124,495百万円の収入)となりました。これは主に、売上債権及び契約資産、仕入債務の増減による運転資金収支が前連結会計年度に比べ、それぞれ31,700百万円、21,062百万円の減少であったことに加え、大型ディスプレイ事業の生産停止に伴う未払金の返金による一過性の資金支出34,771百万円があったことによるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の収入は103,743百万円であり、前連結会計年度に比べ92,867百万円増加しました。これは、アセットライト化の方針の下での有形固定資産の売却による収入の増加101,730百万円や、投資有価証券の売却による収入の増加44,233百万円などによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の支出は74,768百万円であり、前連結会計年度に比べ74,900百万円減少しました。本支出の主な内容は、昨年度と同様に有利子負債の削減を目的とした長期借入金の返済によるものであり、当連結会計年度においては60,567百万円の支出となっております。(前連結会計年度は157,207百万円の支出)b. 資本の財源及び資金の流動性についての分析(財務戦略の基本的な考え方)当社グループが今後も持続的に成長していくためには、より強固な財務基盤を構築することが不可欠であり、営業キャッシュ・フローの最大化、安定的なフリー・キャッシュ・フローの創出により、有利子負債の削減等財務基盤を改善すること、また、資金調達の安定化を図ることが必要です。2024年度においては、「デバイス事業のアセットライト化」を着実に実行し、ブランド事業においても低収益事業の構造改革に取り組むなど、キャッシュ・フローの安定化に向けた取り組みを進めてまいりました。その結果、自己資本比率の改善、棚卸資産の圧縮、有利子負債の大幅削減、フリー・キャッシュ・フローの黒字継続など、財務基盤の改善が着実に進展しました。2025年度以降においては、中期経営計画に掲げる重点取り組みを遂行することにより、全社で安定的に収益を計上できる体質を構築してまいります。また、金融機関との良好な関係を一層強固にして借入の継続・長期化を図ってまいります。これらの取り組みを通じて財務基盤の改善、投資適格への格付け向上により、将来の社債市場への復帰に道筋をつけるなど、安定的な資金調達に向けた取り組みを進めてまいります。 (資金のキャッシュ・フロー及び流動性の状況)2024年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「a.キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動によるキャッシュ・フローは1,590百万円のマイナスとなったものの、大型ディスプレイ事業の生産停止に伴う未払金の返金による一過性の影響(34,771百万円の支出)があり、これを除くと、ブランド事業の収益力向上や棚卸資産の削減等によりプラスとなります。また、デバイス事業を中心に進めたアセットライト化に加え、有価証券の売却を進めたこと等により、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は、102,153百万円の収入となりました。さらに、これらの収入により有利子負債を大幅に削減しております。引き続き、在庫管理や投資の適正化等により、手元流動性を確保しつつ、有利子負債の削減等財務体質の改善を図ってまいります。 (資金調達)当社グループは、資金の支出効果の見極めを十分行いながら、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉の安定的確保を図る趣旨の下、短期運転資金を自己資金及び短期借入で、設備投資や長期運転資金の調達については長期借入で賄うことを基本原則としております。総資産に対する借入金の割合は当連結会計年度末現在35.6%となっており、このうち当該借入金に対する短期借入金の占める割合は21.5%となっております。なお、シンジケートローン契約の期限が2026年4月に到来することから、足元では短期借入金の割合が増加する見込みですが、当社では、借入の継続による対応を企図しており、借入金融機関との間で、経営状況・財政状態等の情報共有を密に行っております。また、2024年度におけるアセットライトの取り組みの進展やブランド事業での利益の伸長、有利子負債の削減等、財務基盤の改善取り組みについては評価をいただいており、取引先金融機関との良好な関係を維持しております。2025年度においても、引き続き金融機関と協議を行っており、コミットメントライン契約の継続によって運転資金の安全性を確保しつつ、シンジケートローン契約等借入金契約の継続・長期化に取り組んでまいります。 格付の状況(提出日現在)格付機関長期格付短期格付S&P GlobalB-B格付投資情報センターB-b日本格付研究所BB-- (2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり必要となる見積りについては、過去の実績や第三者による評価等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 |
※本記事は「シャープ株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
コメント