会社名 | パナソニック ホールディングス株式会社 |
業種 | 電気機器 |
従業員数 | 連207548名 単1421名 |
従業員平均年齢 | 44歳 |
従業員平均勤続年数 | 17.9年 |
平均年収 | 9561871円 |
1株当たりの純資産 | 642.38円 |
1株当たりの純利益(連結) | 156.87円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 48円 |
配当性向 | 282% |
株価収益率(PER) | 104.09倍 |
自己資本利益率(ROE)(単体) | 2.6% |
営業活動によるCF | 7960億円 |
投資活動によるCF | ▲8599億円 |
財務活動によるCF | ▲1903億円 |
研究開発費※1 | 612億円 |
設備投資額※1 | 5011億円 |
販売費および一般管理費※1 | 611.1億円 |
株主資本比率※2 | 33.8% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において判断したものです。 (1) 会社経営の基本方針 当社は創業以来、「事業を通じて、世界中の人々のくらしの向上と社会の発展に貢献する」ことを経営基本方針の中心に据えて事業を進めてまいりました。今後も、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現に向け、社会課題に正面から向き合って、新しい価値を創造することを目指してまいります。地球環境問題をはじめ、さまざまな社会課題に正面から向き合い、社会の発展や課題解決に大きな貢献を果たすために、事業競争力を強化し、株主の皆様や投資家、お客様、取引先、従業員をはじめとするすべての関係者の皆様にご満足いただけるような価値提供を通じて、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。 (2) 会社の経営戦略と対処すべき課題 当社の使命である「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現に向けては、喫緊の課題である地球環境問題を筆頭に、様々な社会課題を解決しなければなりません。そこで当社は、グループとして「地球環境問題の解決」と「社会とくらしのウェルビーイング」の領域において競合を超えるお役立ちを果たしてまいります。 2024年度から2025年度にかけての世界経済は、米国の関税政策と、それに対する各国の経済政策・通商政策動向やその影響が不透明さを増す中、ウクライナ情勢などの地政学リスクも引き続き懸念され、先行きを見通しにくい状況が続きます。 このような経営環境のもと、当社は2022年度から3カ年取り組んできた中期戦略の経営指標(KGI)で、累積営業キャッシュ・フローは達成したもののROE(株主資本利益率)と累積営業利益が未達となりました。これは、重点投資領域をはじめ各事業の成長投資が収益力につながらず競争力強化が果たせていないこと、そして事業会社化に伴った固定費の増大などにより、各事業の「競争力と収益性」と「間接コスト」に課題を残したことが要因です。 そこで、2025年度はグループ経営改革に集中し、構造的・本質的課題を解決して経営基盤を固めることに注力します。具体的には、「リーン(注)1な本社・間接部門」「低収益事業の見極め」「ソリューション領域への注力」の3つを軸に、固定費構造改革による収益改善と事業ポートフォリオマネジメントの加速をしていきます。 <グループ経営改革のポイント>①リーンな本社・間接部門に向けた固定費構造改革・収益改善 当社をはじめグループ各社で、本社・間接部門を中心に人員を最適化し、コストを大幅に削減します。また製造・物流・販売拠点の統廃合を進め、効率化を図ります。さらに、間接・販売部門を中心にDXによって生産性を向上させ、更なる固定費削減を目指します。加えて、これまで先行投資をしてきた事業領域の収益改善に取り組みます。 ②低収益事業の見極め 2025年度中に、課題事業(ROIC(投下資本収益率)が事業別WACC(加重平均資本コスト)を下回り、かつ成長性に乏しい事業)と再建あるいは事業立地の見極めが必要な事業の方向づけを行います。 ③ソリューション領域への注力 グループとして注力する「ソリューション領域」と、それを支える収益基盤としての「デバイス領域」、「スマートライフ領域」の3つの事業領域を定めました。? ソリューション領域 (注力する領域)グローバル競争力を持つソリューション事業群においては、顧客起点のマネジメントによりグループ全体でシナジーを創出し、お客様へのお役立ちを拡大することで、グループの成長をけん引します。? デバイス領域 (収益基盤となる領域)商品ポートフォリオの絞り込みにより材料・プロセス系の事業に集中し、調整後営業利益率(注)215%以上を目指します。なお、車載電池は成長シナリオを見直し、収益化に集中します。? スマートライフ領域 (収益基盤となる領域)家電事業の再建に向けて、抜本的に事業構造や体制を見直し、開発・製造・販売のリソース適正化を徹底します。さらには、ジャパンクオリティを世界で戦える「グローバル標準コスト」で実現し、調整後営業利益率(注)210%以上を目指します。 注力するソリューション領域において、グループ全体のシナジーを創出するため、くらし事業を担うパナソニック㈱を発展的に解消し、傘下の分社を組み替えて事業会社化します。また、家電事業はスマートライフ領域と位置付け、家電市場に集中して向き合うために、グループの家電事業を集約した事業会社を設立し再建を目指します。 このグループ経営改革により、2024年度に対して2028年度までに3,000億円以上(注)3の収益改善を目指しています。まずは、2026年度までに1,500億円以上(注)3の収益改善を目指しており、その主な効果目標額は以下のとおりです。構造改革を中心としたグループ経営改革を推進し、事業環境の変化に対応できる経営体質を構築してまいります。 構造改革による収益改善(+1,220億円(うち、人員の適正化による収益改善 +700億円))? 本社本部 改革(+470億円)「間接機能及びオペレーションの集約・効率化」や「技術テーマの選択と集中」などによる収益改善? 家電事業 改革(+330億円)「分散した営業部門及び間接部門の集約・効率化」や「グローバル標準コストの拡大」などによる収益改善? 事業部門 改革(+420億円)「赤字事業の撤退・終息や拠点統廃合」や「グループ全社でのIT投資の効率化」、「間接機能の集約」などによる収益改善 上記の他には、車載電池などこれまで先行投資をしてきた事業領域の収益改善や事業ポートフォリオマネジメントの推進等による非連結化影響、ソリューション領域など注力領域への投資による影響があり、これらのトータルで1,500億円以上(注)3の収益改善を目指します。 2025年度以降の固定費構造改革・収益改善と、さらなる事業ポートフォリオマネジメントによって、2028年度にROE10%以上、調整後営業利益率10%以上を目指します。 (注)1 リーン:「無駄のない状態」の意味2 「調整後営業利益」は、売上高から、売上原価と、販売費及び一般管理費を控除して算出3 2025年2月4日に公表した2024年度連結業績予想に対する調整後営業利益の改善額。但し、米国関税影響は含まず |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)重要性がある会計方針及び見積り当社の連結財務諸表はIFRSに基づいて作成されています。また、当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っています。それらの仮定と見積りは資産・負債・収益・費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示情報に影響を及ぼします。重要な仮定と見積りは、繰延税金資産の回収可能性、確定給付制度債務、非金融資産(のれんを含む)の減損に反映しています。なお、実際の結果がこれらの見積りと異なることもあり得ます。重要性がある会計方針及び見積りの内容は、連結財務諸表注記「3.重要性がある会計方針」に記載しています。 (2)生産、受注及び販売の実績当社グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また製品の性質上、原則として見込生産を主体とする生産方式を採っています。なお、当社グループは製品の在庫を一定の必要水準に保つように生産活動を行っていることから、生産実績は販売実績に概ね類似しています。 (3)当連結会計年度の経営成績の分析2024年度の世界経済は、総じて緩やかに減速しました。日本や欧州ではインフレ鈍化等により景気が緩やかな持ち直し傾向であり、米国では景気は緩やかな減速局面にあるものの底堅く推移しました。一方、中国では不動産市況の低迷等を背景に弱い動きが続きました。このような経営環境のもと、当社は2022年度から持株会社と事業会社からなる新しいグループ体制における3カ年の中期戦略を実行しました。同戦略の最終年度となる2024年度は、ROE(株主資本利益率)の向上に資する取り組みに注力しました。重点投資領域と定めた車載電池事業では、パナソニック エナジー㈱が、電気自動車需要の減速など足下で事業環境が変化する中、顧客需要を見極め、投資計画を進めています。また、和歌山工場をリニューアルし、業界に先駆けて安全性を担保しつつ高エネルギー密度を実現できる4680セルの量産準備を完了しました。さらに、投資領域として定めたサプライチェーンマネジメント(SCM)ソフトウェア事業では、パナソニック コネクト㈱の子会社であるBlue Yonder Holding, Inc.が、2024年8月に買収が完了した米国のOne Network Enterprises, Inc.との統合を加速し、製品の改善とともに販路の拡大を進めました。当社は、パナソニック オートモーティブシステムズ㈱(以下、「PAS」)の株式譲渡を2024年12月に完了するなど、事業ポートフォリオの見直しを順次進めていますが、強固な収益体質を構築するために、2024年度からは各事業を成長性と投下資本収益率(ROIC)で厳格管理する規律を導入しました。ROICが事業別の加重平均資本コスト(WACC)を下回り、かつ成長性に乏しい事業を課題事業と位置付け、2026年度までに課題事業をゼロにしていきます。 ①売上高当年度の連結売上高は、8兆4,582億円(前年度比0.5%減)となりました。くらし事業・コネクト・インダストリーの販売増に加え、為替換算の影響による増加はありましたが、オートモーティブにおけるPASの非連結化による影響により、僅かに減収となりました。 ②営業利益及び税引前利益営業利益は、4,265億円(前年度比18%増)、税引前利益は4,863億円(前年度比14%増)となりました。インフレによる固定費増加や戦略投資の増加、PASの非連結化影響や株式譲渡に関連する費用計上などはありましたが、増販益や合理化の進捗などにより、増益となりました。 ③親会社の所有者に帰属する当期純利益親会社の所有者に帰属する当期純利益は、3,662億円(前年度比18%減)となりました。前年にパナソニック液晶ディスプレイ㈱の解散(特別清算)及び同社に対する債権放棄を決議したことに伴う法人所得税費用の減少があった反動により、減益となりました。また、基本的1株当たり親会社の所有者に帰属する当期純利益は、156円87銭(前年度190円21銭)となりました。 ④セグメントの経営成績当社グループは、経営管理上、事業の成果を「くらし事業」「オートモーティブ」「コネクト」「インダストリー」「エナジー」の5つの報告セグメントに区分して評価、開示しています。各セグメントの金額には、セグメント間の取引を含んでいます。なお、2024年4月1日付で、一部の事業をセグメント間で移管しています。また、2024年12月2日付でパナソニック オートモーティブシステムズ㈱(以下、「PAS」)の株式譲渡が完了したことに伴い、一部の事業をセグメント間で移管しています。2023年度及び2024年度のセグメント情報については、変更後の形態に合わせて組み替えて算出しています。 a くらし事業 当セグメントの売上高は、前年度比で4%増加し、3兆5,842億円となりました。 当年度は、日本・アジアを中心としたルームエアコンや家電の販売増加、国内電設資材の価格改定効果などにより、増収となりました。 主な分社の状況は、くらしアプライアンス社では、中国において需要減の影響があったものの、日本・アジアの販売が堅調に推移したことに加えて為替換算の影響もあり、増収となりました。 空質空調社では、欧州のヒートポンプ式温水給湯暖房機(Air to Water、以下、「A2W」)が減販となったものの、日本・アジアなどでルームエアコン及び環境エンジニアリング、空調デバイスなどの販売が増加し、全体では増収となりました。 コールドチェーンソリューションズ社では、国内ショーケース販売が堅調に推移したことに加えて為替換算の影響もあり、増収となりました。 エレクトリックワークス社では、国内における電設資材の価格改定の影響や非住宅照明(施設・防災)の需要が堅調であったことに加え、インド等においても需要が堅調であったことから、増収となりました。 当セグメントの営業利益は、1,279億円となりました。欧州A2Wの減販影響はありましたが、ルームエアコン、国内の価格改定効果を含む電設資材などの増販効果に加え、合理化などの事業体質改善が進んだことなどにより、前年度から82億円の増益となりました。 b オートモーティブ 当セグメントの売上高は、8,050億円、営業利益は、301億円となりました。2024年12月2日にPASの株式譲渡が完了し非連結化したことに伴い、当年度は約8ヵ月分の実績となったことから、減収減益となりました。 c コネクト 当セグメントの売上高は、前年度比で11%増加し、1兆3,332億円となりました。 当年度は、メディアエンターテインメント事業は減収となりましたが、アビオニクス事業、プロセスオートメーション事業、現場ソリューション事業、ブルーヨンダー事業などが堅調に推移し、増収となりました。 主な事業の状況は、アビオニクス事業では、機体製造の停滞に伴う出荷遅延の影響を受けたものの、旅客機の運航回復を背景とした機体メンテナンス・リペアサービス需要の拡大や機内エンターテインメント・通信システムの好調な受注により、増収となりました。 プロセスオートメーション事業では、中国を中心としたスマートフォン需要の回復やICT(情報通信)業界の需要を着実に受注に結びつけたことなどにより、増収となりました。 現場ソリューション事業では、大型案件を含む国内ソリューション案件の順調な獲得が継続し、増収となりました。 ブルーヨンダー事業では、SaaS(注)の好調な販売が継続し、増収となりました。 当セグメントの営業利益は、772億円となりました。プロセスオートメーション事業、アビオニクス事業、現場ソリューション事業、ブルーヨンダー事業などの増販益に加え、商品力強化などによるモバイルソリューション事業の収益性向上もあり、前年度から381億円の増益となりました。 (注)SaaS:Software as a Serviceの略。ベンダーが提供するクラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットを経由してユーザーが必要な機能を利用できるサービス d インダストリー 当セグメントの売上高は、前年度比で4%増加し、1兆836億円となりました。 当年度は、欧州を中心とした市況低迷の影響を受け、車載・産業用リレー等が減収となりましたが、生成AIサーバー向け等の情報通信関連製品(コンデンサー、多層基板材料等)の販売増加に加え、為替換算の影響もあり、全体では増収となりました。 主な事業の状況は、電子デバイス事業では、欧州市場の低迷により車載リレー・コンデンサー、産業用リレーなどは減収となりましたが、生成AIサーバーなど情報通信インフラ・端末向けコンデンサー等が好調に推移し、全体では増収となりました。 FAソリューション事業では、国内市場全体の在庫調整の影響により、国内販売が減少しましたが、中国3C(コンシューマー、コンピューター、コミュニケーション)市況を反映した販売が堅調に推移し、全体では増収となりました。 電子材料事業では、生成AIサーバーをはじめとする情報通信インフラ向けの多層基板材料の需要が引き続き好調であったことなどにより、増収となりました。 当セグメントの営業利益は、432億円となりました。生成AIサーバー向け製品などの増販益に加え、価格改定や合理化施策の推進などにより、前年度から121億円の増益となりました。 e エナジー 当セグメントの売上高は、前年度比で5%減少し、8,732億円となりました。 当年度は、産業・民生向けでは、データセンター向け蓄電システムの販売が大きく伸長しました。一方で、車載電池は、電気自動車の市場の伸びが減速する中、北米工場の販売数量は拡大しましたが、国内工場の需要減や原材料価格低下に伴う価格改定の影響が大きく減収となりました。 主な事業の状況は、車載事業では、北米製セルの需要は旺盛で、新たな設備稼働も加わり販売数量は拡大しましたが、日本製セルの需要の減少に加え、価格改定などにより減収となりました。 一方、産業・民生事業では、生成AI市場の成長を背景に、データセンター向け蓄電システムの販売が大幅に伸長し、増収となりました。 当セグメントの営業利益は、1,202億円となりました。車載事業では、北米ネバダ工場の生産性向上等による販売数量の増加や、新たに過去分も含めた電極活物質製造コストに対する米国IRA(インフレ抑制法)に係る補助金収入の計上がありましたが、北米カンザス工場や和歌山工場の立ち上げ費用が増加し、減益となりました。一方、産業・民生事業では、データセンター向け蓄電システムの増販益に加え、原材料価格の低下や材料合理化などにより増益となり、セグメント全体でも前年度から314億円の増益となりました。 f その他(報告セグメントに含まれない事業) その他の事業の売上高は、前年度比で11%増加し、1兆6,894億円となりました。営業利益は前年度から増益の798億円となりました。 (4)経営成績に重要な影響を与える要因について 「3.事業等のリスク」に記載しています。 (5)財政状態及び流動性①流動性と資金の源泉 当社グループでは、事業活動に必要な資金は自ら生み出すことを基本方針としています。また、生み出した資金については、グループ内ファイナンスにより効率的な資金活用を行っています。その上で、運転資金や事業投資などのため所要の資金が生じる場合には、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からの資金調達を行っています。 (資金) 当年度末の現金及び現金同等物の残高は8,476億円となり、前年度末に比べ2,720億円減少しました。当年度は、社債償還資金への充当及び今後の事業展開に必要な資金の確保を目的とし、2024年7月に5年ぶりとなる米ドル建無担保普通社債5億米ドルを発行するとともに、2024年12月に600億円、2025年2月に550億円の円建無担保普通社債を発行しました。また、運転資金などの調達を主にコマーシャルペーパー(CP)の発行により行いました。なお、2024年7月に米ドル建無担保普通社債10億米ドル、2025年3月に第14回無担保普通社債1,000億円(2015年3月発行)を満期到来により償還いたしました。 これらの結果、当年度末の円建無担保普通社債の残高は7,250億円、円建公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)(注)の残高は4,000億円、米ドル建無担保普通社債の残高は10億米ドルとなりました。(注)ハイブリッド社債(劣後特約付社債):資本と負債の中間的性質を持ち、利息の任意繰延、超長期の償還期限、清算手続き及び倒産手続きにおける劣後性等、資本に類似した性質及び特徴を有した社債 (有利子負債) 有利子負債は、無担保普通社債などの償還などにより、前年度末の1兆6,263億円から当年度末には1兆5,682 億円へと減少しました。なお、当社は不安定な金融経済環境における資金調達リスクに備え、2024年6月に複数の取引銀行と期間を3年間とするコミットメントライン契約(注)を締結しています。当該契約に基づく無担保の借入設定上限は総額6,000億円ですが、借入実績はありません。(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約 (格付け) 当社は、㈱格付投資情報センター(R&I)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(S&P)及びムーディーズ・ジャパン㈱(ムーディーズ)から格付けを取得しています。当年度末の当社の格付けは、次のとおりです。 R&I:A (長期、アウトルック:安定的)、a-1 (短期) S&P:A-(長期、アウトルック:安定的)、A-2 (短期) ムーディーズ:Baa1 (長期、アウトルック:ポジティブ) ②キャッシュ・フロー 当社グループは、事業収益力強化によりフリーキャッシュ・フローを向上させ、中長期的に事業を発展させていくことが重要と考えています。同時に、継続的な運転資本の圧縮、保有資産の見直しなどによるキャッシュ・フローの創出にも徹底して取り組んでいます。 当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは7,961億円、投資活動により減少したキャッシュ・フローは8,599億円となり、両者を合計したフリーキャッシュ・フローは、マイナス638億円(前年差3,519億円の悪化)となりました。 なお、キャッシュ・フローの分析の詳細は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは7,961億円(前年度は8,669億円の増加)となりました。前年差の主な要因は、米国IRA補助金の第三者への権利売却による資金化があった一方で、運転資本増減等が悪化したことなどによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動により減少したキャッシュ・フローは8,599億円(前年度は5,788億円の減少)となりました。前年差の主な要因は、PASの株式譲渡に伴う収入はありましたが、車載電池を中心とした設備投資の増加や、One Network Enterprises, Inc.の買収に係る支出があったことなどによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により減少したキャッシュ・フローは1,903億円(前年度は835億円の減少)となりました。前年差の主な要因は、社債発行による資金調達額が減少したことなどによるものです。 これらに為替変動の影響等を加味した結果、当年度末で現金及び現金同等物の残高は8,476億円となり、前年度末に比べ2,720億円減少しました。 ③設備投資額と減価償却費 当社グループでは、将来の成長に向けて、重点事業を中心に投資を着実に行っていくという考え方に基づき設備投資を行った結果、当年度の設備投資額(有形固定資産のみ)については、前年度の5,680億円から2,009億円増加し、7,689億円となりました。主要な設備投資は、「エナジー」における車載用のリチウムイオン電池などの生産設備及び北米の新工場建設、「くらし事業」におけるA2W他の家庭用電化機器・電設資材などの生産設備、「インダストリー」における電子部品・制御機器などの生産設備、「オートモーティブ」における車載機器などの生産設備、「コネクト」におけるB2Bソリューション事業関連機器などの生産設備です。 減価償却費(有形固定資産のみ)は、前年度の2,072億円から139億円増加し、2,211億円となりました。 ④資産、負債及び資本 当年度末の総資産は9兆3,432億円となり、前年度末に比べ680億円の減少となりました。これは、主に有形固定資産の増加はありましたが、PAS非連結化の影響に加え、現金及び現金同等物、棚卸資産減少などによるものです。 負債は、前年度末に比べ2,209億円減少し、4兆4,684億円となりました。これは、主にPAS非連結化の影響や社債発行残高の減少などによるものです。 親会社の所有者に帰属する持分は4兆6,944億円となり、前年度末に比べ1,503億円増加しました。これは、主に為替の影響によりその他の包括利益は減少しましたが、親会社の所有者に帰属する当期純利益などによるものです。また、非支配持分を加味した資本合計は4兆8,748億円となりました。 この結果、親会社所有者帰属持分比率は前年度末の48.3%から増加し、50.2%となりました。 |
※本記事は「パナソニック ホールディングス株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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