会社名 | セイコーエプソン株式会社 |
業種 | 電気機器 |
従業員数 | 連74464名 単13083名 |
従業員平均年齢 | 43.4歳 |
従業員平均勤続年数 | 18.6年 |
平均年収 | 8009000円 |
1株当たりの純資産 | 1368.35円 |
1株当たりの純利益 | 163.82円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 74円 |
配当性向 | 45.2% |
株価収益率(PER) | 16.15倍 |
自己資本利益率(ROE) | 12.4% |
営業活動によるCF | 1655億円 |
投資活動によるCF | ▲589億円 |
財務活動によるCF | ▲653億円 |
研究開発費※1 | 68億円 |
設備投資額※1 | 123億円 |
販売費および一般管理費※1 | 821.55億円 |
株主資本比率※2 | 54.5% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在における予想や一定の前提に基づくものであり、これらの記載は実際の結果と異なる可能性があるとともに、その達成を保証するものではありません。 (1)経営の基本方針エプソンのあらゆる企業活動の中心にはパーパスがあります。エプソンが社会に対してどのような価値を提供する存在であるかを定めるとともに、エプソンならではの存在意義と志を社内外に示すため、2022年9月にパーパス「『省・小・精』から生み出す価値で、人と地球を豊かに彩る」を制定しました。そして、エプソンは、グループの価値観・行動様式を定めた「エプソンウェイ」の普遍的な考え方である経営理念を礎とし、ビジョンによりパーパスを実現することで社会へと新しい価値を提供します。これにより、将来にわたって持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図ってまいります。 (2)長期ビジョン「Epson 25 Renewed」の考え方エプソンは、将来にわたって追求するありたい姿として設定した「持続可能でこころ豊かな社会の実現」に向け、「Epson 25 Renewed」を策定しています。現在、気候変動をはじめ、人類はさまざまな社会課題に直面しています。また、物質的、経済的な豊かさだけでなく、もっと精神的な豊かさ、文化的な豊かさ、そういったさまざまな豊かさを含めた「こころの豊かさ」が望まれる時代となったと考えています。そのためには、持続可能な社会であることが大前提になります。このような背景のもと、エプソンは、常に社会課題を起点として、その解決に向けて私たちに何ができるか、私たちの技術を使ってどう課題解決し、社会に貢献できるか、という発想でビジネスを展開していきます。 ①「Epson 25 Renewed」ビジョンステートメント「Epson 25 Renewed」のビジョンステートメントとして、「『省・小・精の技術』とデジタル技術で人・モノ・情報がつながる、持続可能でこころ豊かな社会を共創する」と定めています。人・モノ・情報をスマートにつなげるソリューションを、個人の生活や、産業や製造の現場にまで広く社会へ提供し、ありたい姿の実現のために取り組みます。そこで重要となるのは、「環境」「DX」「共創」の3つの取り組みです。 (環境への取り組み)●「脱炭素」と「資源循環」に取り組むとともに、環境負荷低減を実現する商品・サービスの提供、環境技術の開発を推進する(DXへの取り組み)●強固なデジタルプラットフォームを構築し、人・モノ・情報をつなげ、お客様のニーズに寄り添い続けるソリューションを共創し、カスタマーサクセスに貢献する(共創への取り組み)●技術、製品群をベースとし、共創の場・人材交流、コアデバイスの提供、協業・出資を通して、さまざまなパートナーと社会課題の解決につなげる ②「Epson 25 Renewed」方針不透明な社会環境の継続が予想されるなか、取り組みにメリハリをつけることにより、収益性を確保しながら将来成長を目指します。そして、すべての領域に必要な環境、DX、共創への取り組みも継続的に強化していきます。 領域区分対象事業方針成長領域オフィスプリンティング、商業・産業プリンティング、プリントヘッド外販、生産システム環境変化を機会と捉えて経営資源投下成熟領域ホームプリンティング、プロジェクション、ウオッチ、マイクロデバイス構造改革や効率化などにより、収益性重視新領域センシング、環境ビジネス新たな技術・ビジネス開発に取り組む (3)「環境ビジョン2050」の考え方エプソンは、以下のとおり持続可能な社会の前提である環境への取り組みに関するビジョン「環境ビジョン2050」を改定し、2050年に達成する目標と、その実現に向けた取り組みを定めています。 項目内容ビジョンステートメント2050年に「カーボンマイナス」と「地下資源消費ゼロ(※1)」を達成し、持続可能でこころ豊かな社会を実現する達成目標2030年:1.5℃シナリオ(※2)に沿った総排出量削減2050年:「カーボンマイナス」、「地下資源消費ゼロ(※1)」アクション●商品・サービスやサプライチェーンにおける環境負荷の低減●オープンで独創的なイノベーションによる循環型経済の牽引と産業構造の革新●国際的な環境保全活動への貢献※1 原油、金属などの枯渇性資源※2 SBTイニシアチブ(Science Based Targets initiative)のクライテリアに基づく科学的な知見と整合した温室 効果ガスの削減目標 (4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題①イノベーション戦略の方針と進捗、今後の取り組み目指す姿の実現に向けた戦略を実行するために、お客様価値や社会課題の軸で5つのイノベーション領域を設定しています。そして、それらのイノベーションを支えるマイクロデバイス事業においては、「省・小・精の技術」を極めた水晶・半導体ソリューションにより、スマート化する社会の実現に貢献していきます。 <オフィス・ホームプリンティングイノベーション>当領域では、インクジェット技術・紙再生技術とオープンなソリューションにより、環境負荷低減・生産性向上を実現し、分散化に対応した印刷の進化を主導することを目指しています。オフィスプリンティングでは、中速帯のラインインクジェット複合機が伸長しました。今後は、利便性・価格への顧客要望に対応しコストダウンを継続していきます。また、地域・パートナー戦略を見直し、インクジェットプリンターの価値訴求を強化します。ホームプリンティングでは、アンバサダーを起用したプロモーションにより、大容量インクタンクプリンターの価値訴求や、販売チャネルのサポート強化を続けていきます。 <商業・産業プリンティングイノベーション>当領域では、インクジェット技術と多様なソリューションにより、印刷のデジタル化を主導し、環境負荷低減・生産性向上の実現を目指しています。完成品ビジネスでは、従来取り組んできたプラットフォーム設計により、効率的に製品ラインアップ拡充を進めました。また、お客様の生産現場の課題を解決し、業務の効率化を実現する「Epson Cloud Solution PORT」の加入数は順調に増加しています。プリントヘッド外販ビジネスでは、最大市場である中国を中心に販売が順調に拡大しています。今後もエプソンは、商業・産業分野において環境性能と生産性を両立した製品・サービスを展開し、アナログ印刷からデジタル印刷への転換を主導していきます。 <マニュファクチャリングイノベーション>当領域では、環境負荷に配慮した「生産性・柔軟性が高い生産システム」を共創し、ものづくりを革新することを目指しています。マニュファクチャリングソリューションズ事業は、世界経済の減速に伴う顧客の投資抑制や中国メーカー台頭の影響を受け、厳しい環境が継続しました。今後は、製品コスト競争力の継続強化に加え、センサーなどを活用した自動化のハードルを下げるソリューション開発・提供や、生産拠点移管が進む東南アジア・インドでの販売強化により、成長を目指します。 <ビジュアルイノベーション>当領域では、感動の映像体験と快適なビジュアルコミュニケーションで人・モノ・情報・サービスをつなぎ、「学び・働き・暮らし」を支援することを目指しています。プロジェクション事業は構造改革を進めてきており、既に効率的に利益を上げる体制を整えています。2023年度は各国の教育需要を確実に獲得しました。また、高光束プロジェクター領域においては戦略製品を投入し、シェアを拡大しました。今後は、拡大するホーム向けスマートプロジェクター市場に対応すべく新製品を投入するほか、デジタルを活用した顧客との接点強化や共創による価値創造の取り組みを拡大していきます。 <ライフスタイルイノベーション>当領域は、匠の技能、センシング技術を活用したソリューションを共創し、お客様の多様なライフスタイルを彩ることを目指しています。ウオッチ事業はラインアップの整理や製造ラインの自動化などの構造改革により、収益性が改善しつつあります。引き続き、変化に強い事業体質の実現に向け改革を進めます。2023年度は、自社ブランドであるオリエントスターにおいて付加価値の高い製品を市場投入しました。今後、特に海外においてオリエントブランドの認知向上を進めます。センシング事業では、中長期を見据えセンサーを活用した新規ビジネスの育成に取り組んでいきます。 ②経営基盤強化の取り組み上述の各イノベーションの実現に向けて、以下のとおり経営基盤強化に取り組んでいます。 <営業戦略>● デジタルを活用した顧客支援型営業CRM(顧客関係管理システム)を導入し、グループ内の全販売会社の営業活動を標準化・見える化することで、顧客接点を強化しています。今後はさらに、サービス領域を中心にデータを活用した営業プロセス改革(コンサルティング・付加価値ソリューションや保守サービスなど)により顧客価値を向上していきます。● 地域別、領域別の重点的な組織強化成長領域への要員配置の強化、成熟領域でのオペレーション効率化を進めてきており、今後も取り組みを継続していきます。また、中東・アフリカ地域を担当する新会社(Epson Middle East FZCO)を設立しました。今後もこれらの地域での販売強化に取り組みます。<生産戦略>● 自動化・デジタル化によるものづくりの革新大容量インクタンクプリンターなどの主力製品において、組み立て・検査作業の自動化を進めています。今後も導入効果の高い工程を中心とした自動化や装置保守人材の育成、デジタル技術を活用した効率化を進め、さらなる生産性向上に取り組みます。● 分散生産体制の確立リスクに強くレジリエンスの高いサプライチェーン構築に向けて生産の分散化を進めており、複数拠点で生産する本体製品数は大幅に増加しています。今後もさらに分散生産を進めていきます。 <技術開発戦略>● イノベーションを支える技術開発各事業領域のイノベーションを支えるために、材料開発や、ものづくり現場へのAI・デジタル技術の導入を強化しています。材料開発では、シミュレーション技術を活用して資源循環や脱炭素社会に貢献する要素開発を行っています。また、ものづくり現場では、検査工程などでのAI活用を進めています。今後は競争力の強化に向けて、技術開発・生産現場などでAI活用を広範に検討していきます。 <人材戦略>詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性 」に記載しています。 ③財務目標「Epson 25 Renewed」の実現に向けて、収益性重視の経営へとシフトし、過度な売上成長を追わず、取り組みにメリハリをつけ、収益性の確保と将来成長を目指します。この方針に則り、ROIC、ROEおよびROSを財務目標として設定しています。今後も収益性・資本効率を重視した経営を推進することに変わりはないものの、外部環境変化を踏まえ、2025年度の業績目標を見直しました。成長領域は、課題に対する施策を着実に実行し、エプソンの事業ポートフォリオ変革を進めます。また、マクロ環境や売上成長を保守的に見積もった上で、業績目標の達成に向け、固定費を中心としたコスト削減活動を実施し、収益性の改善をさらに進めていきます。 全社業績目標2020年度(実績)2021年度(実績)2022年度(実績)2023年度(実績)2025年度(新目標)ROIC(※3)5.6%7.3%7.1%4.6%7%以上ROE5.9%15.2%10.8%6.8%8%以上ROS6.2%7.9%7.1%4.9%7%以上※3 ROIC=税引後事業利益/(親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債) ④キャッシュ・アロケーション創出したキャッシュは、成長戦略に基づく投資をした上で、積極的な利益還元、財務体質強化を実施していきます。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況当連結会計年度における経済環境を顧みますと、高インフレや各国の金融引き締めが継続し、世界経済の減速が強まっています。とりわけ、中国における景気回復ペースの鈍化が世界経済に大きな影響を及ぼしているほか、欧州経済の減速が顕在化しています。また、米国消費はこれまで堅調を維持しているものの、今後の消費動向は不透明となっています。なお、商品市場別の状況としましては、特にデバイス市場において在庫調整局面が長期化し、大幅な落ち込みとなっています。今後も世界的な高インフレや景気減速の長期化等のリスクが想定され、先行き不透明な状況にありますので、今後の動向を引き続き注視していきます。当連結会計年度の米ドルおよびユーロの平均為替レートはそれぞれ144.44円および156.66円と前期に比べ、米ドルは7%の円安、ユーロは11%の円安に推移しました。また、南米など新興国の通貨も円安に推移しました。 こうした経営環境の下、当連結会計年度の経営成績につきましては、以下のとおりとなりました。(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減金額増減率主な増減理由売上収益13,30313,139△163△1.2%[売上収益]プリンティングソリューションズ事業セグメント+162ビジュアルコミュニケーション事業セグメント+5マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメント△355[事業利益]プリンティングソリューションズ事業セグメント+67ビジュアルコミュニケーション事業セグメント△32マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメント△298売上原価△8,636△8,57363-売上総利益4,6664,566△99△2.1%販売費及び一般管理費△3,715△3,919△204-事業利益(※)951647△303△31.9%その他の営業収益・その他の営業費用19△71△91-英国現地法人の年金バイアウトに向けた関連費用計上および為替差益の減少等営業利益970575△395△40.7% 金融収益・金融費用6612559-為替差益の増加等税引前利益1,037700△336△32.4% 法人所得税費用△287△174112-税引前利益の減少等当期利益750526△224△29.9% 親会社の所有者に帰属する当期利益750526△224△29.9% ※ 事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。 報告セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。 (プリンティングソリューションズ事業セグメント)オフィス・ホームプリンティング事業の売上収益は微減となりました。ラインインクジェットプリンター新製品投入によるオフィス共有IJPの大幅な売上増や為替のプラス影響があったものの、インクカートリッジモデル本体の販売数量が大幅な減少となったことや、大容量インクタンクモデル本体の販売数量が減少となったことなどにより、インクジェットプリンター本体の売上は減少となりました。インクジェットプリンターの消耗品は、インクカートリッジの売上が若干の減少となったものの、大容量インクタンクモデルのインクボトルおよびオフィス共有IJPのインクの売上が大幅に増加したことや為替のプラス影響により、全体でも増加となりました。商業・産業プリンティング事業の売上収益は増加となりました。商業・産業IJP本体の売上は、金利上昇に伴う投資需要の低下等で欧米向け販売が減少したものの、為替のプラス影響により若干の増加となりました。商業・産業IJPの消耗品売上は、印刷需要が継続していることで増加となりました。小型プリンターの売上は、金利上昇やインフレ等による市況悪化により欧米中心に市場需要が低下し、減少となりました。プリントヘッド外販ビジネスの売上は、新興国向け輸出を手掛ける中国顧客向けを中心に需要が増加し、大幅な増加となりました。プリンティングソリューションズ事業セグメントのセグメント利益は、インクジェットプリンター本体や小型プリンターの販売減、事業活動の本格化に伴う販管費の増加等があったものの、プリントヘッド外販ビジネスの売上が増加したことや、為替のプラス影響により増加となりました。以上の結果、プリンティングソリューションズ事業セグメントの売上収益は9,186億円(前期比1.8%増)、セグメント利益は961億円(同7.6%増)となりました。 (ビジュアルコミュニケーション事業セグメント)ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は、前期は受注残の解消が進んだ影響を含むことに加え、今期は個人消費の落ち込みに伴うホーム向けプロジェクターの販売減、北米における教育向けの需要減による影響があったものの、新興国で教育向け需要が堅調であったことや為替のプラス影響により前期並みとなりました。ビジュアルコミュニケーション事業セグメントのセグメント利益は、生産抑制に伴う利益マイナス影響等により、減少となりました。以上の結果、ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は2,174億円(前期比0.3%増)、セグメント利益は315億円(同9.4%減)となりました。 (マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメント)マニュファクチャリングソリューションズ事業の売上収益は、中国における売上減の影響が大きく、大幅な減少となりました。ウエアラブル機器事業の売上収益は、国内において高単価の新製品販売が増加した前期と比較すると、減少となりました。マイクロデバイス事業の売上収益は、大幅な減少となりました。水晶デバイスの売上は、市場での在庫調整影響に伴う需要減により、中国向けを中心に大幅な減少となりました。半導体の売上は、市場での在庫調整に伴う需要減により、減少となりました。マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメントのセグメント利益は、マイクロデバイス事業を中心とした売上減の影響が大きく、大幅な減少となりました。以上の結果、マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメントの売上収益は1,799億円(前期比16.5%減)、セグメント損失は15億円(前期はセグメント利益283億円)となりました。なお、上記の他、マニュファクチャリングソリューションズ事業において、中国における景気低迷やローカルメーカーの台頭等の市場環境の変化に加え、成長に向けた人的投資の継続により、収益性の改善に時間を要する見込みであることから、減損損失6億円を計上しております。 (調整額)報告セグメントに帰属しない基礎研究に関する研究開発費や新規事業・本社機能に係る収益、費用の計上などにより、報告セグメントの利益の合計額との調整額が△614億円(前期の調整額は△573億円)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,655億円の収入(前期は613億円の収入)となりました。これは主に、当期利益526億円に加え、減価償却費及び償却費686億円、棚卸資産の減少額710億円などの増加要因があったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、589億円の支出(前期は616億円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産および無形資産の取得による支出565億円などがあったことによるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは、653億円の支出(前期は793億円の支出)となりました。これは主に、社債の償還による支出300億円、リース負債の返済による支出100億円、配当金の支払額258億円などがあったことによるものです。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響を合わせて、前連結会計年度末から611億円増加し、3,284億円となりました。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 エプソンの生産実績は、販売実績と近似しているため、記載を省略しております。 b.受注実績 エプソンでは、製品の性質上、原則として見込生産を行っているため、該当事項はありません。 c.販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)前期比(%)プリンティングソリューションズ事業(百万円)918,630101.8ビジュアルコミュニケーション事業(百万円)217,462100.3マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業(百万円)170,80383.2報告セグメント計(百万円)1,306,89598.7その他(百万円)7,102124.6合計(百万円)1,313,99898.8(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。2.総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点によるエプソンの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在における予想や一定の前提に基づくものであり、これらの記載は実際の結果と異なる可能性があるとともに、その達成を保証するものではありません。①経営成績等(財政状態)当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に対して715億円増加し、1兆4,130億円となりました。これは主に、棚卸資産の減少312億円があった一方で、現金及び現金同等物の増加611億円、売上債権及びその他の債権の増加109億円、有形固定資産の増加164億円、その他の金融資産の増加52億円などがあったことによるものです。負債合計は、前連結会計年度末に対して121億円減少し、6,019億円となりました。これは主に、その他の流動負債の増加62億円があった一方で、社債、借入金及びリース負債の減少284億円などがあったことによるものです。 なお、親会社の所有者に帰属する持分合計は、前連結会計年度末に対して836億円増加し、8,109億円となりました。これは主に、配当金の支払い258億円があった一方で、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上526億円、在外営業活動体の換算差額を主因としたその他の包括利益の計上566億円などがあったことによるものです。 運転資本(流動資産から流動負債を差し引いた金額)は、前連結会計年度末と比較して402億円増加し、5,610億円となりました。 (経営成績) 経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。 (キャッシュ・フローの状況) キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 ②資金の源泉および流動性 当連結会計年度後1年間の設備投資計画金額は730億円であり、所要資金につきましては、内部資金によりまかなう予定です。セグメントごとの設備投資計画金額につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。なお、上記設備投資計画金額には、リースによる設備投資を含めております。 エプソンでは、設備投資等の事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用および金融機関からの借入と社債の発行により資金を調達しております。 有利子負債の当連結会計年度末残高は、社債の償還などにより前連結会計年度と比較して284億円減少し、2,047億円となりました。現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度と比較して611億円増加し、3,284億円となり、手元流動性は十分に確保しております。 また、有事に備えた財務基盤強化の一環として、2020年5月に主要行との間で、環境評価融資商品のコミットメントライン契約を締結し、2023年5月に契約を更新しておりますが、当連結会計年度末における当該コミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。 なお、エプソンは、株式会社格付投資情報センターから信用格付を取得しており、当連結会計年度末において、A(シングルA)となっております。 ③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 エプソンは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、社会課題の解決のために、創業当時からの独自の強みである「省・小・精の技術」を基盤として、自らの常識やビジョンを超えて果敢に挑戦し、イノベーションを起こすことに取り組んでいます。そして、全社員が価値観を共有のうえ総合力を発揮しつつ、自律的に行動するように努めています。これにより、画期的なお客様価値を継続的かつタイムリーに創造・提供し、より良い社会の構築に「なくてはならない会社」として中心的な役割を果たすとともに、持続的成長および中長期的な企業価値向上を実現してまいります。 エプソンは、将来にわたって追求する「ありたい姿」として設定した「持続可能でこころ豊かな社会の実現」に向け、2021年3月に長期ビジョンを見直し、「Epson 25 Renewed」を策定しました。また、エプソンとして重視している環境問題への対応では、「環境ビジョン2050」を改定し、2050年に「カーボンマイナス」と「地下資源(※)消費ゼロ」の達成を目指すこととしました。※ 原油、金属などの枯渇性資源 なお、当該長期ビジョンの実現に向けて設定した財務目標の進捗状況は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。 ④重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定 エプソンの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 なお、エプソンの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積りおよび見積りを伴う判断」に記載しております。 |
※本記事は「セイコーエプソン株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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