会社名 | ルネサスエレクトロニクス株式会社 |
業種 | 電気機器 |
従業員数 | 連21204名 単6296名 |
従業員平均年齢 | 48.2歳 |
従業員平均勤続年数 | 23.2年 |
平均年収 | 8892470円 |
1株当たりの純資産 | 648.97円 |
1株当たりの純利益 | 141.8円 |
決算時期 | 年1 |
配当金 | 28円 |
配当性向 | 19.7% |
株価収益率(PER) | 18倍 |
自己資本利益率(ROE) | 24.2% |
営業活動によるCF | 4966億円 |
投資活動によるCF | ▲2674億円 |
財務活動によるCF | ▲1812億円 |
研究開発費※1 | 2335億円 |
設備投資額※1 | 755億円 |
販売費および一般管理費※1 | 713.16億円 |
株主資本比率※2 | 45% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 売上成長、適切なコストコントロール、生産構造の最適化 まず、当期における当社グループの売上は、自動車向け半導体の需要が前期に引き続き旺盛であった一方、産業・インフラ・IoT向け半導体の需要が、パソコンや携帯電話に加え、当期後半から減速した産業機器の需要低迷に伴い、軟調に推移した結果、前期と比べ微減となりました。他方、将来の売上収益の源泉となるデザイン・インは、当期において、期初目標と比べ14%の過達となり、前期と比べ38%増加しました。 当社グループは、今後の売上成長に向けて、注力分野に対して集中的に研究開発投資を行うとともに、M&Aを通じて、当社グループが保有していない製品ポートフォリオや技術の拡充・強化を推進していきます。 当社グループが集中的に研究開発投資を行う具体的な注力分野としては、AD(Autonomous Driving:自動運転)およびADAS向けのSoC、車載ドメインコントロール向けマイクロコントローラ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)やSiC等のxEV向けパワー半導体、ADASおよびxEV向けミックスドシグナル製品、Arm社コアおよびRISC-Vコア搭載マイクロコントローラ・SoC、BMIC(Battery Management IC:バッテリ管理IC)、DRP-AI(Dynamically Reconfigurable Processor-AI:動的再構成プロセッサーAI)を内蔵したMPU、データセンタや5G関連分野向けのアナログ・ミックスドシグナル製品などがあげられます。 一方、当社グループでは、過去に買収した旧インターシル社や旧IDT社、Dialog社について、これまでも、ウィニング・コンビネーションをはじめとして、シナジーの最大化に向けて積極的に取り組み、当期においては、デザイン・イン全体に占めるウィニング・コンビネーションの割合を50%程度まで伸ばすことができました。今後も、これらの取り組みを継続・強化します。また、前期に買収したCeleno社、Reality AI社およびSteradian社に続き、当期においては、NFC向け半導体に強みを持つPanthronics社を買収しました。 当社グループは、今後も引き続き、目まぐるしく変化する半導体市場に早期に対応すべく、買収候補先のリストアップ・更新を行い、当社グループが有していない製品・技術やソリューションの獲得を進めていきます。 次に、コスト面では、まず、Dialog社の買収に伴うコストシナジーとして、各種コスト低減に向けた施策を実施し、その目標値を達成しました。しかしながら、輸送の面では、新型コロナウイルス拡大に端を発した物流の混乱による輸送コストの上昇は沈静化したものの、地政学リスクの高まりに伴う原材料や原油をはじめとしたエネルギー価格の高騰、さらに人件費の上昇により、輸送コストは高止まりしているため、当社グループは、集約輸送の実施など、物流フローの整流化を継続して実施することで、コスト低減を進めていきます。加えて、原材料のマルチソース化や長期供給契約の推進などにより、引き続き、サプライチェーンの安定化に努めるとともに、部材の変更や、より安価なサプライヤへの切替えなどを通じて、コスト抑制も進めていきます。また、2024年1月から発足した新しい組織体制のもと、研究開発費を含む費用項目の見直しを推し進め、投資・費用効率の向上を目指します。さらに、業務・ITシステム効率化の観点から、当社グループでは、その基幹ITシステムであるERPの統合に向けた戦略的投資を実施しており、中長期的に当社グループの事業に大きな貢献をするものと考えています。 当社グループは、短期的には、将来の売上成長や事業の効率化に必要となる戦略的な投資を確実に実行しつつ、継続的に適切なコストコントロールに努めます。 また、生産面では、当期における当社グループの前工程生産拠点の稼働率は、150mm生産工場が43%、200mm生産工場は71%、300mm生産工場は50%、全工場平均で62%でした。 当社グループは、半導体の安定供給に向けて、引き続きグループ内工場の設備の増強に努めます。当期においては、今後拡大が予想されるパワー半導体の需要に対応するため、甲府工場と高崎工場に設備投資を実施したほか、マイクロコントローラの供給能力増強を図るため、那珂工場や川尻工場への設備投資を実施しましたが、今後も引き続き、当社グループ製品の安定供給に向けた設備投資に努めます。これらの設備投資に加え、急激な需要変動への対応とレジリエンスを高めるため、引き続きダイバンクの構築に取り組んでいきます。 また、生産委託先での生産量の確保・拡大にも、引き続き取り組んでいきます。 これらの積極的な投資により、当期における当社グループの設備投資額は、売上収益比6%程度となりましたが、中長期的には売上収益比5%程度にコントロールすることを目指します。 (2) 地政学的問題への対応 米中貿易摩擦の長期化や中東情勢の悪化など、世界的に地政学リスクが高まっており、それに端を発するサプライチェーンの分離は今後も進展し、それらを早期に解消することは難しい状況にあります。そして、この分離により、特定企業・製品などの輸出制限や中国国内における成熟ノード製品(40ナノメートル以上のプロセスで生産される半導体製品)を中心とした地産地消が加速しており、当社グループが事業セグメントとする半導体市場や事業機会に大きな影響を及ぼし始めています。当社グループは、米国および中国を中心とした各サプライチェーンの分離にそれぞれ対応するため、設計、製造拠点の分散化・リソースの適正化を引き続き推進しています。 当社グループは、今後も、こうした地政学リスクの最小化と事業機会の最大化のための活動を継続していきます。 (3)ユーザ・エクスペリエンスの価値の最大化 当社グループでは、そのパーパスである「To Make Our Lives Easier」のもと、顧客の製品・サービスの開発を楽(ラク)にするため、ユーザ・エクスペリエンス(UX)の向上を推進しています。そして、当社グループは、その実現に向けて、顧客ができるだけ簡単かつスピーディーにその製品・サービスの開発を進めることができるよう、様々な取り組みを実施しています。 例えば、当期においては、当社グループ製品の顧客が物理的に評価ボードを入手することなく、クラウドベースの設計プラットフォーム上でハードウェアとソフトウェアをグラフィカルに構築することを支援する「クイックコネクトスタジオ」を公表しました。これにより、顧客は、マイクロコントローラと各種センサやコネクティビティ機能を組み合わせた試作モデル(プロトタイプ)を迅速に設計・検証し、手軽に開発に着手することが可能になります。この他にも、Microsoft社のクラウドサービス「Microsoft Azure」のクラウド環境上で車載AIソフトウェアの性能評価や動作検証を可能とする「AI Workbench」を発表し、顧客が自動車開発の初期段階から、ハードウェアがなくても、その仕様や性能の検証を行うことができる「シフトレフト」の実現に貢献しています。 また、2024年2月には、プリント基板(PCB)設計プラットフォームで定評があり、米国に本社を置くAltium社を買収する旨の契約を同社と締結しました。 顧客がPCBを設計する際に、時には何百にも及ぶ搭載部品の選定やその部品表(BOM)の管理に多くの労力を割く必要があります。そこで、当社グループは、顧客における部品選定を楽にするとともに、当社グループのデジタライゼーション戦略を推進するための取り組みの一環として、2023年6月に、当社グループ製品の設計ライブラリを従前より取引のあった同社のプラットフォームに集約することを公表しましたが、今般、これをさらに推し進め、同社を買収することとしました。 当該買収により、両社が一体となって、当社グループの組み込み半導体ソリューションと同社の優れた技術を組み合わせ、クラウド上で各機器・システム間の設計を一元的に実行・管理する「電子機器設計・ライフサイクルマネジメントプラットフォーム」を構築することで、複雑で高度化した電子機器やシステムの設計を一元化されたシステムで実行することができ、顧客における大幅な開発リソースの削減と効率化の促進、さらにはイノベーションを加速させることが可能となります。 当社グループでは、今後もこれらの取り組みを拡大・強化し、一層のユーザ・エクスペリエンスの価値の最大化を推進します。 (4) サプライチェーンの最適化 当社グループのサプライチェーンには、生産と受注のリードタイムの整合、受注確定に関する商慣行などの点で課題があります。これらの課題に対応するため、当社グループでは、現在、新しいITシステムを導入し、意思決定のさらなる迅速化を進めています。 また、生産の実行面では、さらなる変動対応力とBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の強化に向けて、ダイバンクの構築を進めています。このうち、グループ内生産品については、一定の成果を得ており、外部への生産委託品についても、徐々にダイバンクの拡充を開始しています。当社グループは、今後も市場動向を注視しながら、適切なダイバンクの構築を志向していきます。 (5) ESG活動と情報開示の推進 当社グループは、当期において、ESGやSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に関連する多くの取り組みを実施しましたが、今後も引き続き、持続可能な社会の実現に向けた「環境」に資する活動、人材の多様性や従業員の安全衛生、サプライチェーンマネジメントなどの「社会」に資する活動、そして、取締役会の機能強化などの「ガバナンス」に資する活動を推進します。 また、ESG活動に関する非財務情報の開示をより一層充実させ、ESG格付けの向上や当社グループを取り巻く様々なステークホルダーに対する情報提供に努め、さらなる企業価値の向上に努めます。 (6) タレント構成の最適化 当期末現在における当社グループの各拠点地域の人員構成は、日本が44%、北米が10%、欧州が12%、アジア太平洋が34%でした。 当社グループは、中長期的な視点から、グループ全体でバランスの取れた従業員の年齢・地域・スキルのミックスを実現するとともに、ソフトウェアなどの重要分野や今後成長が見込まれる分野に従事する従業員を拡充することを目指し、様々な人事施策に取り組みます。 当社グループでは、グローバルなタレント採用チームを組織化しており、全世界で整合された方針に基づく戦略的な採用活動を各地域において実施していくとともに、必要に応じてM&Aも活用しながら、グループ全体としてタレント構成の最適化に継続して取り組みます。 (7) 従業員エンゲージメントの向上と「ルネサスカルチャー」の浸透 当社グループは、「To Make Our Lives Easier」をパーパスとして掲げ、人々の生活を楽(ラク)にする製品・ソリューションを提供しています。このパーパスのもと、2020年以降、世界中の当社グループ組織とそこで働く従業員一人一人が絶えず変化する環境に迅速かつ柔軟に対応していくために共有する行動指針として、「Transparent、Agile、Global、Innovative、Entrepreneurial」という5つの要素からなる「ルネサスカルチャー」を策定し、定着に向けて取り組んでいます。 当期においても、「ルネサスカルチャー」の浸透を加速させるため、様々な施策に取り組みましたが、今後もこの「ルネサスカルチャー」について、採用、育成、評価などの人事サイクルの一つ一つに組み込みながら、従業員とさらに共有し、これを根付かせ、エンゲージメントのさらなる向上に努めます。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。 (1) 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針および将来に関する仮定および報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しております。 (2) 財政状態の状況 (単位:億円) 前連結会計年度末(2022年12月31日)当連結会計年度末(2023年12月31日)前連結会計年度末比増(減)資 産 合 計28,12531,6703,545資 本 合 計15,37520,0564,681親会社の所有者に帰属する持分15,33720,0164,679親会社所有者帰属持分比率(%)54.563.28.7有 利 子 負 債7,7006,677△1,023 D/Eレシオ(倍)0.500.33△0.17 当連結会計年度末の資産合計は31,670億円で、前連結会計年度末と比べ3,545億円の増加となりました。これは、主に為替相場の変動によりのれんが増加したことなどによるものであります。資本合計は20,056億円で、前連結会計年度末と比べ4,681億円の増加となりました。これは、自己株式の取得により減少したものの、為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額などのその他の資本の構成要素が増加したこと、および当期利益により利益剰余金が増加したことなどによるものであります。 親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末と比べ4,679億円増加し、親会社所有者帰属持分比率は63.2%となりました。有利子負債は、社債の評価替えにより増加したものの、主に借入金の返済による減少などにより、前連結会計年度末と比べ1,023億円の減少となりました。これらの結果、D/Eレシオは0.33倍となりました。 なお、第1四半期連結会計期間において企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度末については、取得原価の配分額の見直しが反映されております。 (3) 経営成績の状況当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP」)およびIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しております。 Non-GAAP売上収益、Non-GAAP売上総利益ならびにNon-GAAP営業利益は、IFRSに基づく売上収益、売上総利益および営業利益(以下それぞれ「IFRS売上収益」、「IFRS売上総利益」および「IFRS営業利益」)から、非経常的な項目やその他特定の調整項目を一定のルールに基づいて控除もしくは調整したものであります。当社グループの恒常的な経営成績を理解するために有用な情報と判断しており、当社グループはNon-GAAPベースで予想値を開示しております。具体的には、企業買収に伴い、認識した無形資産の償却額およびその他のPPA(取得原価の配分)影響額、株式報酬費用や当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などを控除もしくは調整しております。 当社グループは、「自動車向け事業」および「産業・インフラ・IoT向け事業」から構成されており、セグメント情報はこれらの区分により開示しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記 6.事業セグメント」をご参照ください。(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照しておりますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。 ① 当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)の業績(Non-GAAPベース)(単位:億円) 前連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)前期比増(減)Non-GAAP売上収益15,02714,697△330△2.2% 自動車6,4506,9505007.8% 産業・インフラ・IoT8,4597,647△812△9.6% Non-GAAP売上総利益(率)8,632(57.4%)8,374(57.0%)△257(△0.5pt)△3.0%― 自動車3,244(50.3%)3,632(52.3%)388(2.0pts)12.0%― 産業・インフラ・IoT5,353(63.3%)4,708(61.6%)△646(△1.7pts)△12.1%―Non-GAAP営業利益(率)5,594(37.2%)5,016(34.1%)△577(△3.1pts)△10.3%― 自動車2,192(34.0%)2,387(34.3%)195(0.4pt)8.9%― 産業・インフラ・IoT3,318(39.2%)2,590(33.9%)△727(△5.3pts)△21.9%―米ドル為替レート(円)130140――ユーロ為替レート(円)137151―― (注)1 上記表の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記 6.事業セグメント」をご参照ください。2 為替レートは、収益・費用の換算に用いた各月のレートを平均したものであります。 当連結会計年度における業績は、以下のとおりであります。 (Non-GAAP売上収益)当連結会計年度のNon-GAAP売上収益は、前連結会計年度と比べ2.2%減少し、14,697億円となりました。これは、主に円安の影響により自動車向け事業の売上収益が増加した一方で、PC/携帯電話やコンシューマ向け市場等の軟化に伴い、産業・インフラ・IoT向け事業の売上収益が減少したことによるものであります。 (Non-GAAP売上総利益 (率)) 当連結会計年度のNon-GAAP売上総利益は8,374億円となり、前連結会計年度と比べ257億円(3.0%)の減少となりました。これは、上記のとおり産業・インフラ・IoT向け事業の売上収益の減少とそれに伴う製品ミックスの悪化などによるものであります。その結果、当連結会計年度のNon-GAAP売上総利益率は、57.0%となり、前連結会計年度と比べ0.5ポイントの減少となりました。 (Non-GAAP営業利益 (率))当連結会計年度のNon-GAAP営業利益は5,016億円となり、前連結会計年度と比べ577億円(10.3%)の減少となりました。これは上記の売上総利益の減少および研究開発費の増加などによるものであります。その結果、当連結会計年度のNon-GAAP営業利益率は、34.1%となり、前連結会計年度と比べ3.1ポイントの減少となりました。 当連結会計年度における各セグメントの業績は以下のとおりであります。 <自動車向け事業>自動車向け事業には、自動車のエンジンや車体などを制御する半導体を提供する「車載制御」と、車内外の環境を検知するセンサリングシステムや様々な情報を運転者などに伝えるIVI(In-Vehicle Infotainment)・インストルメントパネルなどの車載情報機器に半導体を提供する「車載情報」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoC(System-on-Chip)、アナログ半導体およびパワー半導体を中心に提供しております。 当連結会計年度における自動車向け事業のNon-GAAP売上収益は、前連結会計年度と比べ7.8%増加し、6,950億円となりました。これは上記のとおり主に円安の影響に加え、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:自動運転支援)やxEV向け製品の売上収益が増加したことによるものであります。当連結会計年度における自動車向け事業のNon-GAAP売上総利益は、前連結会計年度と比べ388億円(12.0%)増加し、3,632億円となりました。これは、主に売上収益の増加によるものであります。当連結会計年度における自動車向け事業のNon-GAAP営業利益は、増収に伴い前連結会計年度と比べ195億円(8.9%)増加し、2,387億円となりました。 <産業・インフラ・IoT向け事業>産業・インフラ・IoT向け事業には、スマート社会を支える「産業」、「インフラストラクチャー」および「IoT」が含まれております。当事業において、当社グループはそれぞれマイクロコントローラ、SoCおよびアナログ半導体を中心に提供しております。 当連結会計年度における産業・インフラ・IoT向け事業のNon-GAAP売上収益は、前連結会計年度と比べ9.6%減少し、7,647億円となりました。これは、円安の影響があった一方、上記のとおりPC/携帯電話やコンシューマ向け市場の軟化に伴う減収などによるものであります。当連結会計年度における産業・インフラ・IoT向け事業のNon-GAAP売上総利益は、前連結会計年度と比べ646億円(12.1%)減少し、4,708億円となりました。これは、主に売上収益の減少などによるものであります。当連結会計年度における産業・インフラ・IoT向け事業のNon-GAAP営業利益は、主に売上総利益の減少に伴い、前連結会計年度と比べ727億円(21.9%)減少し、2,590億円となりました。 当社グループは2020年2月17日に中期の戦略および財務モデルを公表しております。当社グループでは、注力市場に経営資源を集中投下することで、Long-term targetとして市場を上回る売上成長率を実現し、生産効率の最適化、製品ミックスの改善および買収した企業との統合シナジーの発現を目指しております。2021年9月29日には財務モデルを更新し、Non-GAAPベースで売上総利益率50~55%に、営業利益率25~30%とすることを目標に掲げました。なお、中期の戦略および財務モデルで各目標は、提出日現在における当社グループの長期的な経営目標であり、その達成を保証するものではなく、「3 事業等のリスク」に記載された事項を含む多くのリスク要因その他外部環境等の変化により、その結果が左右される可能性があります。 ② Non-GAAP売上総利益からIFRS売上総利益、およびNon-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整 (単位:億円) 前連結会計年度(2022年1月1日~ 2022年12月31日)当連結会計年度(2023年1月1日~ 2023年12月31日)Non-GAAP売上総利益(率)8,632(57.4%)8,374(57.0%)売上収益段階までの調整項目(注)1△18△3無形資産および固定資産償却費△10△10棚卸資産の時価評価額△15―株式報酬費用△15△15その他非経常的な項目および調整項目(注)2△32△3IFRS売上総利益(率)8,540(56.9%)8,343(56.8%) Non-GAAP営業利益(率)5,594(37.2%)5,016(34.1%)売上収益段階までの調整項目(注)1△18△3無形資産および固定資産償却費△1,062△1,058棚卸資産の時価評価額△15―株式報酬費用△181△233その他非経常的な項目および調整項目(注)2△75185IFRS営業利益(率)4,242(28.3%)3,908(26.6%) (注)1 PPA(取得原価の配分)実施に伴う調整であります。2 その他非経常的な項目および調整項目には企業買収関連費用や当社グループが控除すべきと判断する一過性の利益や損失などが含まれております。 ③ 当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)の業績(IFRS) (単位:億円) 前連結会計年度(2022年1月1日~ 2022年12月31日)当連結会計年度(2023年1月1日~ 2023年12月31日)前期比増(減)売上収益15,00914,694△314△2.1%売上総利益(率)8,540(56.9%)8,343(56.8%)△197(△0.1pt)△2.3%―営業利益(率)4,242(28.3%)3,908(26.6%)△334(△1.7pts)△7.9%― ④ 生産、受注及び販売の状況当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品群であっても、その性能、構造、形式などは必ずしも一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いことなどから、品目ごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産、受注および販売の状況については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における売上収益のセグメントに関連付けて示しております。なお、外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、主要な販売先に関する記載を省略しております。 (4) キャッシュ・フローの状況 (単位:億円) 前連結会計年度(2022年1月1日~ 2022年12月31日)当連結会計年度(2023年1月1日~ 2023年12月31日)営業活動によるキャッシュ・フロー4,7934,966投資活動によるキャッシュ・フロー△975△2,675フリー・キャッシュ・フロー3,8182,291財務活動によるキャッシュ・フロー△2,948△1,812現金及び現金同等物の期首残高2,2193,361現金及び現金同等物の期末残高3,3614,347 (注)フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、4,966億円の収入となりました。これは主として、税引前利益を4,222億円計上したこと、および減価償却費などの非資金項目を調整したことなどによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,675億円の支出となりました。これは主として、有形固定資産や無形資産の取得による支出、Wolfspeed, Inc.への貸付による支出、Panthronics社の株式を取得したことなどによるものであります。 この結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは、2,291億円の収入となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,812億円の支出となりました。これは主として、自己株式の取得による支出や主要取引銀行などへの借入金の返済を行ったことなどによるものであります。 (5) 流動性および資金の源泉当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保すること、および健全なバランスシートを維持することを基本方針としております。当社は、旧IDT社の買収に必要な資金の調達、および中長期的な運転資金の確保を目的とした既存借入金の借り換えのため、2019年1月15日付で主要取引銀行である㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行および三井住友信託銀行㈱等との間で、総額8,970億円のシンジケートローン契約を締結しました。このうち、2019年3月に6,980億円の実行可能期間付タームローンの借入を実行しました。また、2019年6月に既存のタームローンの借入の一部を返済するとともに、1,490億円のタームローンの借入を実行しました。当社は、2021年8月31日付で、Dialog社の買収に必要な資金を調達するため、㈱三菱UFJ銀行および㈱みずほ銀行から総借入額2,700億円のタームローンの借入を実行しました。また、2021年12月23日付で、既存借入2,700億円のうち、既に返済済みの300億円を除いた2,400億円について、中長期性の資金に借り換えることを目的として、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行および三井住友信託銀行㈱等との間で、総借入額960億円のシンジケートローン契約を締結し、㈱国際協力銀行との間で、総借入額1,440億円のJBICローン契約を締結しました。これらの契約に基づいて、2021年12月30日に総額2,400億円の借入を実行しました。当社は、2021年11月19日付で、複数トランシェによる米ドル建無担保普通社債の発行を決定し、2024年満期米ドル建無担保普通社債500百万米ドルおよび2026年満期米ドル建無担保普通社債850百万米ドルを発行し、総額1,350百万米ドルの資金を調達しております。当連結会計年度末における当社債の残高の円換算額は1,911億円となっております。また、2022年6月28日付で、今後の事業展開における資金需要への対応、運転資金の柔軟な調達手段の確保を目的として、バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ東京支店との間で、総額200百万米ドルのタームローン契約を締結し、2022年6月30日付で、㈱三菱UFJ銀行との間で、総額200億円のタームローン契約を締結しました。これらの契約に基づいて、2022年6月30日に総額471億円の借入を実行しました。当連結会計年度末における借入金の残高は4,599億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,347億円となっております。 (6) オフバランス取引当社グループは、資産効率を高めるために、特定の売上債権等の流動化を適宜行っております。当連結会計年度末における流動化残高は80億円であります。 |
※本記事は「ルネサスエレクトロニクス株式会社」の令和5年年1期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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