会社名 | オムロン株式会社 |
業種 | 電気機器 |
従業員数 | 連28450名 単4538名 |
従業員平均年齢 | 45歳 |
従業員平均勤続年数 | 16.1年 |
平均年収 | 8739000円 |
1株当たりの純資産 | 1622.75円 |
1株当たりの純利益 | 80.21円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 104円 |
配当性向 | 129.7% |
株価収益率(PER) | 67.5倍 |
自己資本利益率(ROE) | 4.84% |
営業活動によるCF | 448億円 |
投資活動によるCF | ▲1070億円 |
財務活動によるCF | 859億円 |
研究開発費※1 | 1.85億円 |
設備投資額※1 | 11.64億円 |
販売費および一般管理費※1 | 1134.3億円 |
株主資本比率※2 | 46.9% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ここでは、(1)経営方針、(2)長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)、(3)「SF2030」における中期経営計画(SF 1st Stage)の変更、(4)構造改革プログラム「NEXT2025」で構成しています。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。また、文中における「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」 を控除したものを表示しています。 (1) 経営方針①当社グループの企業理念 当社グループでは、1959年に創業者・立石一真が、社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を制定しました。その後、社憲の精神を企業理念へと進化させ、時代に合わせて改定しながら受け継ぎ、事業発展の原動力また求心力として数々のイノベーションを生み出し、社会の発展と人々の生活の向上に貢献してきました。この企業理念を社員一人ひとりが実践することで、事業を通じた社会的課題の解決を目指しています。このためには、世界中の社員の誰もが企業理念の考え方を理解し、行動することが重要であり、現在、グローバルレベルで企業理念の実践を強化しています。 なお、今後も企業理念を実践し、社会の発展と企業価値の向上に努めていく当社の経営の根幹は普遍であることを明確にするために、第85期定時株主総会(2022年6月23日開催)にて同企業理念を定款に記載する旨の議案を上程し、株主様の賛成を得て定款の一部を変更しました。 ②当社グループの存在意義 当社グループの存在意義は、企業理念の実践そのものです。即ち、「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」に他なりません。社会価値を創出し、正しく利益を得る、再投資するというサイクルを回すことで社会的課題の解決を拡大再生産できる仕組みを構築することが重要と考えています。 ③企業理念に基づく経営のスタンス 当社グループでは、すべてのステークホルダーに対して、事業を通じて企業理念を実践していくための経営の姿勢や考え方を示すものとして、「経営のスタンス」を宣言しています。それらを「長期ビジョン」「オムロングループ マネジメントポリシー」「ステークホルダーエンゲージメント」の各方針に体系化し、実践しています。 また、この「経営のスタンス」は、企業の永続的な成長を目指すものであるため、当社グループの「サステナビリティ方針」としても同内容を掲げています。(サステナビリティ目標値については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)③「SF2030」サステナビリティ重要課題に記載しています。) (参考)企業理念浸透への取組み 当社グループでは、企業理念を現場に浸透・共鳴させるために様々な活動を行っています。 <企業理念の実践を支える主な取組み> ・企業理念ダイアログ 経営トップ自らがグローバル各拠点を訪問し、企業理念について世界各地の経営幹部や現場社員と対話を行います。そこでは、日常業務における企業理念の大切さや、経営トップ自らが事業責任者として企業理念を実践した当時の経験など実例を交えた講話が行われます。その後、参加者が互いの理念実践事例を共有・共鳴し合い、そこでの気づきを踏まえ、今後の企業理念実践アクションプランについて議論が交わされます。このように企業理念ダイアログは、各地の経営幹部や現場社員にとって企業理念の実践に向けた行動を加速する機会となっています。 ・エンゲージメントサーベイ「VOICE」 グローバル全社員の生の声をエンゲージメントサーベイ「VOICE」により集計し、当社グループで働く従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境を経営陣と社員が一緒に実現する、エンゲージメントマネジメントに取り組んでいます。 VOICEは2016年から2年に一度実施し、グローバル全従業員に約70問の質問を送り、回答及びフリーコメントを収集しています。前回(2022年9月~10月実施)の調査における回答率は91%、3万8千件のフリーコメントが寄せられました。これらの回答を詳細に分析し、会社の魅力度を測るとともに、経営陣が調査結果から導かれた組織課題についての議論を行い、目標を明確に定めたのちにアクションを推進しています。 ・The OMRON Global Award (TOGA) 社員による業務を通じた企業理念実践の物語をグローバル全社員で共有するプログラムです。TOGAは、社員自らが社会的課題の解決に向けた目標を立てることで、企業理念実践にチャレンジし続ける風土の醸成を狙いとしています。日々の仕事や職場における企業理念実践の取組みを全社員で共有し、称えあうことで、企業理念実践への共感、共鳴の輪を拡大しています。 TOGAについての詳細はウェブサイトをご覧ください。 https://www.omron.com/jp/ja/about/corporate/vision/initiative/#top (2) 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度) 当社グループでは、2022年度から2030年度までの長期ビジョン「Shaping The Future 2030」、(略称:「SF2030」)を掲げています。社会が変革期を迎える中、存在意義を発揮し、より多くの社会的課題の解決を通じて社会の発展に貢献し続けるため、自らの変革と新たな価値創造のストーリーを定めたものです。 ①「SF2030」ビジョンステートメント 「SF2030」には、「オムロングループ全社員が企業理念を実践し、センシング&コントロール+Think技術で、持続可能な社会をステークホルダーとともにつくっていく」という思いを込めています。 ②オムロンが創出する社会価値 社会価値の創出に向けて、オムロンは、社会に与えるインパクトが大きく、オムロンの強みであるオートメーションと顧客資産や事業資産を活かす観点から、3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現への貢献」、「デジタル化社会の実現への貢献」、「健康寿命の延伸への貢献」を設定しました。 カーボンニュートラルの実現を通じて地球温暖化問題へ取り組み、安心・安全・便利な暮らしと自然環境の両立を実現するエネルギーシステム作りに貢献します。 デジタル化社会の実現においては、年齢や貧富の差に関わらず、必要な情報を必要な人が得ることができる状態を作ることが求められています。オムロンは、誰もがその恩恵にあずかることができるデジタル化社会の実現を通じて格差社会から生まれる問題の解決に取り組み、人々があらゆる制約から解放され、楽しく創造的でかつ、持続可能な社会を実現するものづくりやインフラ作りに貢献します。 また、高齢化が進む社会において、健康寿命を延ばすことは、個人はもちろん、家族が幸せな生活を送るためにとても重要なことです。加えて、医療費の抑制といった観点からも重要です。オムロンは健康寿命の延伸のためにあらゆる人が健康で豊かな自立した人生を送るためのヘルスケアシステムを構築することで高齢化社会における問題の解決に真正面から取り組んでいきます。 <オムロンが捉える社会的課題と創出する社会価値> これらの3つの社会的課題の解決による社会インパクトを最大化するために、「SF2030」より、グループのドメインを見直し、改めて4つのドメインを設定するとともに同領域での社会価値を定めました。インダストリアルオートメーションでは、「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」への貢献を目指します。ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」への貢献を目指します。ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。デバイス&モジュールソリューションでは、「新エネルギーと高速通信の普及」への貢献を目指します。 <4つのドメインが創出する社会価値>インダストリアルオートメーション インダストリアルオートメーションでは「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」へ貢献します。これまでオムロンは、i-Automation!で、お客様との共創を通じてアプリケーションを創出し、様々な業界のモノづくりの技術革新や人手不足の解消、生産性の向上を実現させてきました。これからは、i-Automation!をさらに進化させ、生産性とエネルギー効率の最大化による地球環境との共存や、人の可能性を最大発揮できる製造現場の構築や業務プロセスの改善やエンジニアリング領域の業務効率向上を通じて作業者の働きがいも両立させるサステナブルな未来を支える製造現場を構築していきます。 ヘルスケアソリューション ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」へ貢献します。これまでオムロンは、医療品質の家庭用デバイスをグローバルに普及させ、家庭で計測した血圧データを用いた診断・治療プロセスをつくり、脳・心血管イベント発症の予防に貢献してきました。これからは、イベント発症を未然に防ぐ、新しい予防医療の仕組みを構築することで、誰もが自然と健康に暮らすことのできる社会、質の高い医療を誰もがどこでも受けられる社会の実現を目指していきます。その社会に向けて、日常生活下でバイタルデータが測定できるデバイスの創出、医師の診断・治療の意思決定を支援するアルゴリズムを用いた遠隔診療サービスの導入や、新しい予防医療サービスの開発を実現します。 ソーシャルソリューション ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。オムロンはこれまで、太陽光発電や蓄電池の普及に貢献してきました。これからは、進化したエネルギー制御技術で発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献します。また、社会インフラ領域においては、様々な機器、施設の運用現場を熟知し、日本全国を網羅するサービス網を通じ、運用・保守を支えてきました。これからは、現場システムの効率的な運用を支援するマネジメント&サービスで、運用・保守プロセスを革新していきます。 デバイス&モジュールソリューション デバイス&モジュールソリューションでは、「新エネルギーと高速通信の普及」に貢献します。オムロンはこれまで、電気を繋ぐ・切る技術で、高い性能と品質を持つリレーやスイッチを顧客の製品に組み込み、グローバルに広く提供してきました。これからは、環境負荷の低いエネルギーの導入によりあらゆる機器が直流化します。この変化を踏まえて、オムロンは、放電を安全に制御する技術や故障タイミングを事前に検知する技術で、火災や感電を防ぎ、機器の安全性を高めるデバイスを創出します。また、高速通信の普及では、耐ノイズ性能を高める技術と、これまで培った微細加工技術を用いた量産化により、「途切れない接続」を可能とする高周波対応デバイスを創出します。③「SF2030」におけるサステナビリティ重要課題 当社グループは「SF2030」のもと、事業の成長とサステナビリティ課題への取組みを一体化して進化させ、推進しています。社会価値と経済価値を生み出すのは、「事業を通じた社会的課題の解決」そのものです。その実現のためには、ソーシャルニーズ創造による新規事業やそれを支える多様な人財づくりが欠かせません。これらは「オムロンの持続的成長」にも繋がります。また、脱炭素・環境負荷低減やバリューチェーンにおける人権の尊重は、「社会の持続的発展」を促すための企業の社会的責任として必須となっています。「SF2030」では、これらの5つのサステナビリティ重要課題に取り組むことで、社会価値と経済価値の両方を創出し、企業価値の最大化を目指します。 (注) 1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス 2 Scope3 カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。そのうち、カテゴリー11は製造・販売 した製品・サービス等の使用に伴う排出。 ※「SF2030オムロンの進化の方向性」など、「SF2030」の詳細は、弊社ウェブサイトに掲載しています。 特設サイト:https://www.omron.com/jp/ja/sf2030/ ※サステナビリティ重要課題特定プロセスの詳細は、ウェブサイトをご覧ください。https://sustainability.omron.com/jp/omron_csr/sustainability_management/ (3)「SF2030」における中期経営計画(SF 1st Stage)の変更 当社グループでは、2022年度から2024年度を中期経営計画(以下SF 1st Stage)とし、「SF2030」ビジョン達成に向け、社会的課題を捉えた価値創造と持続的成長への転換を加速する“トランスフォーメーション加速期”と位置付け、社会構造の変化に伴う成長機会を掴み、これまで培った競争力を発揮することにより力強い成長を実現することを目指しました。しかしながら、2023年度は、中国経済の成長鈍化やサプライチェーンの混乱など、事業環境が想定以上に悪化したことに加え、当社グループの成長を牽引する事業やエリアが一部に偏っていたことで、この急激な変化に対応できず、業績が大幅に悪化しました。 このような状況を受け、当社グループは、当初2024年度までとしていた中期経営計画(SF 1st Stage)を取り下げ、2024年4月1日~2025年9月30日までを「構造改革期間」とし、構造改革プログラム「NEXT2025」を実行することとしました。 なお、次期中期経営計画(SF 2nd Stage)は2026年度~2030年度を予定しています。 <中期経営計画の変更>①SF 1st Stage方針と進捗 SF 1st Stageでは「トランスフォーメーションの加速による価値創造への挑戦」を掲げ、この実現に向けて、3つのグループ戦略を設定しました。1つ目は、事業のトランスフォーメーションです。具体的には、4コア事業(制御機器事業・ヘルスケア事業・社会システム事業・電子部品事業)の進化、顧客資産型サービス事業の拡大、社会的課題起点での新規事業の創出に取り組みました。4コア事業の進化については、それぞれが成長領域を見直し注力事業を設定し、新たな価値創造の実現による売上成長の牽引を目指しました。2つ目は、企業運営・組織能力のトランスフォーメーションです。事業環境の変化に適応しながら価値創造し続けるために、ダイバーシティ&インクルージョンの加速、DXによるデータドリブンの企業運営、サプライチェーンのレジリエンス向上に取り組みました。そして、3つ目は、サステナビリティへの取組み強化です。特に、脱炭素・環境負荷低減に向けた温室効果ガス排出量の削減、バリューチェーンにおける人権尊重の徹底に取り組みました。 以上の戦略のもと、SF1st Stageでは、財務目標と事業戦略とサステナビリティを融合させた非財務目標を設定しました。 SF 1st Stageの初年度の2022年度においては、上海ロックダウンやグローバルでのインフレ拡大、部材の逼迫などの影響を大きく受ける中でも高水準の受注残に対応すべく供給力強化を加速させたことや、全社で価格適正化等の付加価値率改善に継続するなどしたことで、売上高、営業利益ともに過去最高業績を更新し、ROIC(投下資本利益率)とROE(株主資本利益率)は、ともに10%を超える水準となりましたが、2023年度は、上述のとおり大幅な業績悪化となり、財務目標とした各指標も2022年度比で大幅に悪化しました。 一方で、非財務目標の取組みにおいては、温室効果ガスの排出量について当初目標を達成、人権の取組み状況も計画通りに達成するなど、概ね順調に推移しています。これらの取組みが評価され、2023年度もDJSI-Worldに継続して選定されています。 <SF1st Stage 財務目標と進捗> <SF1st Stageの非財務目標と進捗> (注) 1.非財務目標に記載されている数値は、2022年度に設定したSF 1st Stageの当初設定目標 2.「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」に繋がる注力事業の売上高 3.GHG:温室効果ガス 4.リージョン:米州、欧州、アジア、中華圏、韓国、日本 5.2023年4月3日出資完了したオムロンキリンテクノシステムズ株式会社を含む4月20日時点の当社及び連結子会社集計値 6.2022年度のGHG排出量は、上海ロックダウン等の一時的な影響を含めた数値 7.2024年4月20日時点の当社及び連結子会社集計値 8.非財務目標の⑧から⑩は、社員投票で決定した目標 9.*はJMDC社を含む ②JMDC社連結子会社化とデータソリューション事業本部の新設JMDC社との資本業務提携 当社は、健診やレセプト等の医療データと血圧値等の日常生活下でのバイタル・活動データの突合による予防ソリューションの創出を目的に、株式会社JMDC(以下、JMDC社)と2022年2月22日に資本業務提携契約を締結しました。 業務提携以降、当社のJMDC社事業へ理解と相互の信頼関係の構築は順調に進み、2023年4月には、オムロンヘルスケア株式会社が提供するスマートフォン健康管理アプリ「OMRON connect」とJMDC社が保険者向けに提供しているPHRサービス「PepUp」間のデータ連携を開始しました。また、2023年6月には、当社やJMDC社を含めた代表幹事企業8社(これらに加え会員企業・団体は140団体)により、社員の健康を通じた日本企業の競争力向上と企業健保の持続可能性を目的とした「健康経営アライアンス」(注)を設立する等、両社の協業は加速しました。(注)2024年4月30日時点では、代表幹事企業9社、これらを含めた会員企業・団体392社が「健康経営アライアンス」に参加しています。 「健康経営アライアンス」の詳細は下記ウェブサイトをご覧ください。 https://kenkokeiei-alliance.com/ JMDC社連結子会社化とデータソリューション事業本部の新設 以上のような状況の下、ヘルスケア領域における更なる協業の加速とJMDC社が保有するデータマネジメント力とソリューション開発力による他領域でのデータソリューション事業の創出を目的に、2023年10月16日に、JMDC社株式を公開買付により追加取得を行い、同社を連結子会社としました。 また、オムロンの強いハードウェアから得られる膨大で質の高い現場データにJMDC社のデータマネジメント力、ソリューション開発力を組み合わせ、オムロンのビジネスモデルを進化させ成長事業を創造することを目的に、2023年12月21日に、社長CEO直轄組織としてデータソリューション事業本部を新設いたしました。 <データソリューション事業本部のターゲットドメイン> データソリューション事業本部では、これまでJMDC社と協業で検討してきたヘルスケアドメインにおける拡張に留まらず、インダストリアルオートメーションやソーシャルソリューションなど、他のドメインのデータソリューションの事業機会を特定し、専任組織を設置して事業開発と市場実装を推進します。そして、データソリューションによる社会的課題の解決に貢献してまいります。今後注力する各ドメインにおける主な事業は以下の通りです。 ・ヘルスケアドメイン:コーポレートヘルス事業 JMDC社のデータアナリティクスを活用し、企業の生産性向上、健保の財政を改善する事業の創出に取り組みます。また、データを活用し、高血圧リスク予備軍の抽出と重症化予防に寄与するソリューションの開発、女性の健康に寄与するソリューションの開発、従業員のプレゼンティズムを改善し組織の生産性を上げるソリューションの開発を推進いたします。これらをコーポレートヘルス事業の足掛かりとして、関連する事業開発につなげてまいります。 ・ソーシャルソリューションドメイン:スマートM&S事業 データ分析・活用を軸に、AI技術、遠隔技術、その他の先端テクノロジー等の活用を通じ、流通小売りやエネルギー、社会システムの価値と効率を高める新たなソリューションを創出します。社会システム事業と連携し、社会的課題の解決につながるビジネスモデルを開発します。 ・インダストリアルオートメーションドメイン:FAデータソリューション事業 オムロンの主要事業である制御機器事業のi-BELTと連携したFAデータソリューションプロジェクトをはじめ、今後、第4、第5の新たな事業創出につながる事業テーマを設定してまいります。 (4) 構造改革プログラム「NEXT2025」 2024年4月1日~2025年9月末までを実行期間とした構造改革プログラム「NEXT2025」においては、収益を伴った持続的な売上成長を確かなものとし、持続的な企業価値向上を実現すべく「制御機器事業の早急な立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」の2つの経営課題に取り組み、次の5つの経営施策を実行します。 ①制御機器事業リバイバルプランの実行 価値を提供するエリア、顧客に加え、提供価値そのものを顧客起点で再設定します。そして、そのポートフォリオの実現に向け、本社リソースも含めたリソースアロケーションを実施します。この取り組みを通じて、制御機器事業のROS最大化と、SF2030で目指す成長を実現する成長基盤を確立します。 ②ポートフォリオの最適化 各事業を取り巻く環境変化に対する耐性の強化と、収益を伴った持続的な成長を実現する事業・製品・エリアの各ポートフォリオの最適化を図ります。同時に、データソリューション事業本部が主導するJMDC社のケイパビリティを活用した制御機器・ヘルスケア・社会システム事業領域でのデータソリューションビジネスの創造を加速します。 ③人員数・能力の最適化 変化の激しい事業環境に対しても耐性のある人員・人件費構造の構築に取り組みます。加えて、顧客価値の拡大を実現し、収益を伴った成長を実現しうる人財ポートフォリオの再構築を通じて、「SF2030」で描くオムロングループ全体の能力の転換を図ります。 具体的には、国内約1,000名、海外約1,000名の合計約2,000名を削減することで、総人件費の適正化に取り組みます。本施策は、現地の労働法、規則、規制に従って実施します。 当施策の詳細につきましては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記事項 Ⅱ主な科目の内訳及び内容の説明 Z重要な後発事象」をご参照ください。 ④固定費生産性の向上 グループ全体で固定費生産性の最大化を追求します。具体的には、売上高に対する販管費の比率について中期的に30%未満(JMDC社連結の影響を除き28%未満。2023年度の実績は32.0%)を実現する固定費規律の導入と運用の徹底に取り組みます。 ⑤顧客起点マネジメントシステムの導入・運用 経営・事業・本社のマネジメントを顧客起点での思考・行動に変革する施策の導入と運用を行います。具体的には財務観点に加えて、顧客観点での事業統制とマネジメントの思考・行動を変革させる人事施策の導入・運用の徹底を目指します。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 事業環境、経営成績等の状況・分析・検討①当社グループの経営成績の実績及び見通し<2023年度実績> 当期(2023年度)の当社グループの売上高は、前期比で減少しました。血圧計等の健康機器需要が中国や欧州を中心に回復したヘルスケア事業や、拡大する再生可能エネルギー需要を捉えた社会システム事業は好調に推移しましたが、制御機器事業において、グローバルで製造業における設備投資需要の低迷が継続したことに加え、販売代理店における在庫調整の影響を受けたことにより、前期比で大きく減少しました。また、電子部品事業においても、民生業界向けの需要低迷の継続により前期比で大きく減少しました。 売上総利益率は、価格適正化や変動費コストダウンの取組みの成果はあったものの、事業構成比変動影響や制御機器事業における商品の構成比変動、滞留在庫に対する評価損の計上による付加価値率の低下の影響が大きく、前期比で低下しました。 販売費及び一般管理費については下期以降、固定費の生産性改善取組みを進めたものの、インフレによる人件費増や一部の厳選投資・全社のシステム投資等を進めた結果、通期では増加しました。以上により営業利益については、前期比で大きく減少しました。 当社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の減少に加え、株式会社JMDC(以下、JMDC社)の株式について追加取得時点の市場価格にて再評価を行ったことによる損失等(120億円)を計上したことなどの影響もあり、81億円と前期比で大きく減少しました。 <2024年度見通し> 当社グループにおける次期(2024年度)の事業環境は、グローバルでのインフレや、欧州・ロシア、中東情勢など、地政学リスクが継続し、不透明な状況が続くと見通します。 当社グループが事業活動を展開する事業領域においては、制御機器事業・電子部品事業では下期から緩やかな需要回復を見込んでいます。一方で、ヘルスケア事業は堅調な市場成長を見通しており、社会システム事業も好調な事業環境が継続すると見ています。 このような中、当社グループでは、2024年2月26日に公表、着手した構造改革プログラム「NEXT2025」において、収益成長基盤の再構築に取り組むことで、売上高と営業利益は増収増益を見通します。一方で、2,000人規模の人員削減による約280億円の一時的な費用を当見通しに含めているため、税引前当期純利益については減益となる見込みです。 <売上高・営業利益・売上総利益率の推移> <2024年度の経営方針と重点取組み> 次期は、「All for creating customer value~すべてのアクションを顧客にとっての価値の創出に集中させ、収益・成長基盤を再構築する」を全社方針とし、構造改革プログラム「NEXT2025」の完遂に向けた取組みを加速させます。この取組みのもと、次期は、売上高8,250億円(当期比+0.8%)、売上総利益率44.7%(同+2.4ポイント)、営業利益490億円(同+42.7%)の増収増益を目指します。 また、2022年度に掲げた非財務目標については、構造改革プログラム「NEXT2025」開始に伴い2024年度の目標を変更して取組みます。 <財務目標> <非財務目標> (注)1 非財務目標に記載されている数値は、2022年度に設定したSF 1st Stageの当初設定目標 2「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」に繋がる注力事業の売上高 3 GHG:温室効果ガス 4 リージョン:米州、欧州、アジア、中華圏、韓国、日本 5 2024年4月20日時点の当社及び連結子会社集計値 6 人員数・能力の最適化完了後目標設定予定。 7 非財務目標の⑧から⑩は、社員投票で決定した目標 8 *はJMDC社を含めた数値 <(参考)サステナビリティ目標と進捗> (注)1 エンゲージメントサーベイ「VOICE」は2年に一度実施しており、2022年度の調査結果を2023年度の実績として記載 2 Scope1・2: 自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス 3 Scope3カテゴリー11: 自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出のうち製造・販売した製品・サービス等の使用 に伴う排出 4 2023年4月3日に出資完了したオムロンキリンテクノシステムズ株式会社を含む4月20日時点の当社および連結子会社集計値 2023年3月31日時点の当社および連結子会社について集計した女性管理職比率は16.8% 5 JaCER:一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構 6 2024年4月20日時点の当社及び連結子会社集計値 7 CFP:カーボンフットプリント。提供する商品やサービスにおいて、原材料調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル 全体における環境負荷をCO2排出量に換算して定量的に算出したもの 8 *はJMDC社を含めた数値 9 以下のサステナビリティ目標に対する2023年度の実績は、第三者機関による限定的保証業務を受け、今年度発行の統合レポートに掲載する予定です。 ・海外コアポジション現地化率 ・日本国内の障がい者雇用率 10 以下のサステナビリティ目標に対する2023年度の実績は、オムロンコーポレートサイトに掲載し、ビューローベリタス ジャパン株式会社による限定的保証業務により第三者保証等を実施中であり、2024年6月中に完了する見込みです。 ・温室効果ガス排出量(Scope1・2、およびScope3カテゴリ1,2,3) ・環境貢献量 11 上記限定的保証業務は、いずれも国際監査・保証基準審議会の国際保証業務基準(ISAE)3000「過去財務情報の監査又は レビュー以外の保証業務」に準拠した業務です。 ②各事業セグメントの実績及び見通し<「SF2030」における価値創造の取組み> 制御機器事業では、事業ビジョン「オートメーションで人、産業、地球の豊かな未来を創造する」を設定しました。オートメーションを通じ豊かな医・食・住環境を支える持続的な産業の発展と、働く人々の幸せ、そして地球環境の維持との両立を目指しています。制御機器事業は、事業ビジョンの設定において、今後10年で直面するであろう社会の変化を想定しました。それは、目まぐるしく世界が変化する中で、さまざまな社会的課題が浮き彫りになる時代だと考えています。このような市場背景の中で、制御機器事業が解決すべき社会的課題を、「働く人」と「産業の高度化」の二つの側面で捉えました。 「働く人」とは、ミレニアル世代やZ世代に代表される価値観の変化や技術の進化に伴う働く人のマインドの変化、そして働く人にとっての労働機会の変化です。そして、「産業の高度化」とは、次々と生まれる先進技術により2次産業でのモノづくりの革新だけでなく、1次産業や3次産業にまで広がる大きな変革です。制御機器事業が取り組むべき社会的課題は、制御機器事業が強みとするオートメーションにより、働くすべての人々の幸せと産業の高度化の両立を実現し、さらに社会的要請でもある地球環境の保全にも貢献していくことです。制御機器事業が目指すのは、持続可能な産業の進化により、世界中の人々が共通して求める医・食・住環境が充実した社会です。これは、長年に渡りモノづくりを源流で支えてきたオムロンだからこそ可能なチャレンジであり、事業ビジョンには、このような思いを込めました。 その実現に向け2016年に提唱した独自のモノづくりコンセプト、「i-Automation!」を進化させ、業界随一の幅広い制御機器の品揃えと技術・ソリューションで社会的課題を解決するイノベーションを量産し、持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化に貢献していきます。 <2023年度の業績と2024年度の見通し>2023年度の業績売上高の状況 製造業における設備投資需要は、グローバルで年間を通して低調に推移しました。特に、EV向け二次電池や半導体関連の投資延期・縮小の影響を大きく受けました。また、課題となっていた販売代理店における在庫については減少傾向にあるものの、引き続き高水準で推移しました。これらの結果、売上高は前期比で大きく減少しました。営業利益の状況 売上高の減少に加え、売上商品構成の変化や滞留在庫に対する評価損の計上などによる売上総利益率の低下により、営業利益は前期比で大きく減少しました。 2024年度の見通し売上高の見通し 半導体関連の投資需要は第3四半期以降、日本、韓国等を中心に回復を見通すものの、他業界における投資の需要回復は緩やかなものと想定しています。また、販売代理店において高水準で推移している在庫については、上期中には概ね正常化すると見ています。これらの状況から、次期の売上高は当期比で減少を見込みます営業利益の見通し 売上高は当期を下回るものの、構造改革を着実に実行し、売上総利益率の改善、固定費の適正化を進めることで、次期の営業利益は当期比で増加を見込みます。 <売上高・営業利益・売上総利益率の推移> <社会価値創出のKPIの進捗> (注)経営管理区分の見直しにより、2022年度より、IABの一部をDMBに含めて開示しています。 これに伴い2021年度を新管理区分に組み替えて表示しています。 <「SF2030」における価値創造の取組み> ヘルスケア事業では、家庭で測定した血圧が人々の健康に役立つという信念のもと、その普及に取り組んできました。今では、高血圧治療の現場で家庭で測った血圧データが活用されるようになり、高血圧患者の降圧コントロールにも成果が見られます。しかし、高齢化に伴い高血圧患者はグローバルに増え、高血圧に起因する脳・心血管疾患の発症も増加しています。加えて、新興国を中心に増え続ける呼吸器疾患患者、日常生活に大きな影響を与える膝や腰、肩の慢性的な痛み。これらは人々のQOLを著しく低下させてしまいます。 「SF2030」のビジョン「Going for ZERO ?予防医療で世界を健康に?」には、世界中の一人ひとりが健康ですこやかに生活できる社会を、オムロンの手で切り拓いていく、という強い意志を込めました。 これまで培ってきた技術と知見を活用し、「循環器」「呼吸器」「ペインマネジメント」領域において、脳卒中や心不全などの「脳・心血管疾患の発症ゼロ」、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの「呼吸器疾患の増悪ゼロ」、膝痛や腰痛などの「慢性痛による日常生活の制限ゼロ」の3つのゼロにチャレンジします。 そして、病気にならない、病気を重症化させないための予防医療という新しい価値を提案し、「健康であり続けたい」という世界中の人々の願いをかなえます。 2021年、グローバルでの家庭用血圧計の累計販売台数は3億台を突破しました。しかし、世界を見渡すと、まだ普及率は低く、市場規模は2020年の6,100万台から2024年には、8,700万台に拡大するとされています。中でも、今後ますます市場の拡大が見込まれる中国・インドに注力し、基盤事業を強化します。 <2023年度の業績と2024年度の見通し>2023年度の業績売上高の状況 欧州などの一部地域で主力製品である血圧計の需要が好調に推移しました。また、中国では肺炎など呼吸器疾患の増加により、ネブライザに対する需要が大きく増加しました。これらの結果に加え、円安による為替影響もあり、売上高は前期比で増加しました。営業利益の状況 売上高の増加に加え、物流費や部材費のコストダウンにより、営業利益は前期比で大きく増加しました。 2024年度の見通し売上高の見通し グローバルで慢性疾患患者数の増加傾向が継続する中、血圧計等の健康機器の需要は増加すると見ています。このような中、グローバルで拡大するオンラインチャネルでの販売強化に加え、新興国における需要拡大を捉えてまいります。特に、日本、欧米、中国での家庭心電計の販売拡大や、各エリアの現地ニーズを捉えた商品展開の強化により、次期の売上高は当期比で増加を見込みます。営業利益の見通し 売上高の増加に加え、慎重な固定費運用や、売上カテゴリ構成の変化に伴う利益率の改善、物流費のコストダウンにより、次期の営業利益は当期比で増加を見込みます。 <売上高・営業利益・売上総利益率の推移> <社会価値創出のKPIの進捗> <「SF2030」における価値創造の取組み> 2030年に向かうこれからは、地球温暖化を起因とした自然災害の多発や、少子高齢化に伴う労働人口の不足など、暮らしの安心・安全・快適への障害となる、新たな社会的課題が顕在化する時代です。そして、そのような時代を生きる人々の価値観も多様化していきます。社会システム事業は、顧客のニーズに応えることに加え、顕在化する社会的課題を踏まえ、社会システムのあり方を考え、その答えを導き出してまいります。そして、その答えに共感していただいたステークホルダーの皆様とともに、 「次世代の社会システム」をつくっていく。この一連のプロセスと想いを「SF2030」の事業ビジョンの「Design」に込めました。社会システム事業は、暮らしをよくする“ソーシャルグッド”を生み出しながら人々の暮らしをより良くし、笑顔溢れる明るい未来を実現します。 「SF2030」においてオムロンが捉えた解決すべき社会的課題は、「カーボンニュートラルの実現」と「デジタル化社会の実現」です。CO2総排出量の増加や気候変動の加速、少子高齢化の加速による労働力不足といった社会的課題は深刻化し、社会生活にもさまざまな不都合や不安が生じます。また、企業各社では事業運営の効率化や省力化の進展と同時に、事業継続や環境配慮への対応が求められるなど、経営課題は複雑化していきます。これからは、既存の機器やサービス提供による現場課題の解決だけではなく、お客様の経営課題の解決に、ともに取り組むことが必要です。これからの安心・安全・快適な社会とは何か?オムロン自身が将来像を描き、社会システム事業で培ってきたノウハウを活かしたソーシャルオートメーションで、次世代の社会システムの実現を目指します。 <2023年度の業績と2024年度の見通し>2023年度の業績売上高の状況 エネルギーソリューション事業は、再生可能エネルギーの自家消費ニーズの高まりや補助金制度の利用、産業・商業領域でのカーボンニュートラルに向けた取組み加速による投資拡大を受け、蓄電システムなどが好調に推移しました。また、駅務システム事業は、旅客者数の回復と運賃改定による鉄道各社の好調な業績を背景に、設備投資需要が好調に推移しました。これらの結果、売上高は前期比で大きく増加しました。営業利益の状況 売上高の増加により営業利益は前期比で大きく増加しました。 2024年度の見通し売上高の見通し エネルギーソリューション事業では、エネルギー価格の高騰やカーボンニュートラルに向けた取り組みが継続し、住宅・産業領域での再生可能エネルギーに対する需要が堅調に推移すると見ています。駅務システム事業では、顧客の設備投資が引き続き堅調に推移すると見ています。以上より、次期の売上高は当期比で増加を見込みます。営業利益の見通し 売上高の増加や生産性向上により、次期の営業利益は当期比で増加を見込みます。 <売上高・営業利益・売上総利益率の推移> <社会価値創出のKPIの進捗> <「SF2030」における価値創造の取組み> 電子部品事業は、「SF2030」において、3つのトランスフォーメーションを実現していきます。 1つ目は、事業のトランスフォーメーションです。オムロンの注力ドメインの一つとして、「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会」の社会的課題を解決する事業を目指します。コア技術と多彩な機能の組み合わせで製品の価値を向上させ、お客様が必要な機能をデバイス&モジュールを軸としたソリューションとして提供し、社会課題の解決に取り組んでいきます。コアとなる“繋ぐ・切る”技術は、創業以来、社会・お客様に提供し続けているリレー、スイッチ、コネクター、センサーなどのデバイス&モジュールの高機能化と品質向上で磨き続けてきた製品に流れる電気を繋ぐ・切る(オン・オフする)機能や、センシングする機能です。これらで、「新エネルギーと高速通信の普及」に貢献する新たな社会価値を創出していきます。 2つ目は、注力領域のシフトです。コア技術を軸とした事業の強みが最大限発揮でき、さらなる成長機会が見込まれる4つの事業領域にフォーカスしていきます。注力領域は、DCドライブ機器、DCインフラ機器、高周波機器、遠隔/VR機器です。DCドライブ機器、DCインフラ機器においては、環境負荷対応により電源の直流化・高容量化、インフラの電動化が進んでいきます。製品の普及促進に向けて課題となるのが、感電や発火を防ぐための安全対策です。高周波機器、遠隔/VR機器においては、急速なデジタルシフトで高速通信・データの大容量化を実現する技術・デバイスが必要となります。これら課題解決の根幹を、我々の“繋ぐ・切る”技術で実現します。 3つ目は、提供価値のシフトです。これまでの価値に加えて、「グリーン・デジタル・スピード」を軸とした新たな価値を加えていきます。脱炭素社会の実現に貢献するデバイス群の創出、デジタル価値の提供、営業・開発・生産が一体となり、社会変化に柔軟かつタイムリーに対応するコンカレント活動などにより提供価値スピードを加速していきます。 <2023年度の業績と2024年度の見通し>2022年度の業績売上高の状況 民生業界向け部品の需要は、顧客の投資抑制や生産活動が停滞したことに加え、顧客での在庫調整の影響を受け、米州、中国を中心に大きく減少しました。自動車向け部品の需要は、下期に一部市場で自動車生産台数の増加は見られたものの、総じて低調に推移しました。これらの結果、売上高は前期比で大きく減少しました。営業利益の状況 売上高の減少などにより、営業利益は前期比で大きく減少しました。 2024年度の見通し売上高の見通し 半導体関連業界向けの需要は緩やかに回復すると想定するものの、民生業界向けの需要は、顧客の在庫調整が続き、正常化は第3四半期以降になると想定することから低調に推移すると見ています。以上により、次期の売上高は当期比で減少を見込みます。営業利益の見通し 売上高は減少を見込むものの、価格適正化や固定費削減などの事業構造改革の実行により、次期の営業利益は当期比で増加を見込みます。 <売上高・営業利益・売上総利益率の推移> <社会価値創出のKPIの進捗> (注)経営管理区分の見直しにより、2022年度より、IABの一部をDMBに含めて開示しています。 これに伴い2021年度を新管理区分に組み替えて表示しています。 <「SF2030」における価値創造の取組み> データソリューション事業本部は、オムロングループ全体をモノづくりからデータを活用したソリューションビジネスに進化させ、新たな成長ステージへ先導します。オムロンが長期ビジョンSF2030で掲げる3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」を解決するためには、データの活用が重要です。2023年10月16日にグループ会社となった株式会社JMDC(以下、JMDC社)との協業により、ヘルスケアドメインにおける拡張に留まらず、オムロングループのデバイスやコンポーネントから得られる膨大な現場データと、JMDC社のデータマネジメント力、ソリューション開発力を組み合わせることで、オムロンのビジネスモデルを進化させるとともに、社会的課題の解決につながる次の成長事業を創造します データソリューション事業には、当社が2023年10月16日に連結子会社化したJMDC社の、同日以降の財務数値を含んでいます。 <2023年度の業績と2024年度の見通し>2023年度の業績売上高の状況 JMDC社における契約健康保険組合数、データ利活用先である製薬企業および保険会社との取引量、さらに遠隔読影サービスを利用する医療機関数などが引き続き拡大し、売上高は堅調に推移しました。営業利益の状況 売上高の増加により、営業利益は堅調に推移しました。 2024年度の見通し売上高の見通し JMDC社の事業において、製薬企業中心に医療データ利活用の動きが引き続き拡大すると見込んでいます。また個人の健康、予防意識の高まりを受け、保険者、生活者向けサービスの需要も拡大が続くと見ています。加えて、次期の売上高は、JMDC社の通期売上高が当事業に寄与するため、当期比で大きく増加すると見込みます。営業利益の見通し 売上高増加に伴い、次期の営業利益は当期比で増加を見込みます。なお、当セグメントには新たなデータサービス創出に向けた成長投資も織り込んでいます。(JMDC社の財務数値に加え、JMDC社の連結子会社化によって識別した無形資産の償却費、オムロンが進めるデータソリューション事業に関する財務数値を当セグメントに含めています。) <売上高・営業利益・売上総利益率の推移> (2) 財政状態、キャッシュ・フローの状況・分析・検討①財政状態 当期(2023年度)末の資産の部は、JMDC社の株式の追加取得などにより、前連結会計年度末に比べ3,566億円増加して13,547億円となりました。また、負債の部は、長期借入金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,368億円増加の4,037億円となりました。純資産の部は、JMDC社の株式の追加取得に伴う非支配持分の増加などにより、前連結会計年度末に比べ2,198億円増加し9,510億円となりました。株主資本比率は58.1%となったものの、強固な財務基盤を維持しています。 資金流動性については、当期末現在の手元現預金を1,431億円保有していることに加えて、金融機関との間で300億円のコミットメントライン契約を維持しており、高い水準を維持しています。また、今後の成長投資資金の確保に備え、格付機関から長期発行体格付として高格付を維持するとともに、グローバルで金融機関との良好な関係を維持することで、資金調達力を確保してまいります。 2023年3月末2024年3月末増減資産合計(資産の部合計)9,982 億円13,547億円+3,566億円負債の部合計2,669 億円4,037億円+1,368億円株主資本7,285 億円7,867億円+582億円非支配持分28 億円1,643億円+1,616億円純資産の部合計7,312 億円9,510億円+2,198億円負債及び純資産合計9,982 億円13,547億円+3,566億円 なお、当期(2023年度)のROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)は、当社グループの資本コスト(当社推定値8%)を大きく下回る水準となりました。さらなる企業価値向上のためには、蓄積されたキャッシュと今後生み出すキャッシュを既存事業の強化と新たな成長機会に再投資し、成長を加速することが必要と認識しています。引き続き、経営資本の適正配分により、将来キャッシュ・フローの創出能力と資本効率を高めて企業価値向上を実現し、株主の皆さまの期待に応えてまいります。 <ROIC> <ROE> (注)車載事業売却影響除くROIC、ROEは、当期純利益から車載事業売却益を控除して計算したものです。 <株主資本、株主資本比率> ②キャッシュ・フローの状況キャッシュアロケーションの方針と推移 当社グループにおけるキャッシュアロケーションポリシーと株主還元方針は、以下のとおりです。 <キャッシュアロケーションポリシー>(ⅰ)長期ビジョンの実現による企業価値の最大化を目指し、中長期視点で新たな価値を創造するための投資を優先します。ただし、2024年4月1日~2025年9月30日までの「構造改革期間」は、全社のリソースを集中して構造改革プログラム「NEXT2025」に取り組み、「業績の立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」を実現するために必要な投資を最優先で実行します。その上で、安定的・継続的な株主還元を実行していきます。 (ⅱ)これら価値創造のための投資や株主還元の原資は内部留保や持続的に創出する営業キャッシュ・フローを基本とし、必要に応じて適切な資金調達手段を講じて充当します。なお、金融情勢によらず資金調達を可能とするため、引き続き財務健全性の維持に努めます <株主還元方針>(ⅰ)中長期視点での価値創造に必要な投資を優先した上で、毎年の配当金については、「株主資本配当率(DOE)3%程度」を基準とします。そのうえで、過去の配当実績も勘案して、安定的、継続的な株主還元に努めます。 (ⅱ)上記の投資と利益配分を実施したうえで、さらに長期にわたり留保された余剰資金については、機動的に自己株式の買入れなどを行い、株主の皆さまに還元していきます。 当社グループのキャッシュアロケーションの推移は以下の通りです。 <キャッシュアロケーション推移> (注)1 為替レートの影響は除いて表示しています。 2 投資キャッシュ・フローについては、事業売却・買収等による影響を分けて表示しています。 事業売却・買収等による収入・支出には、連結キャッシュ・フロー計算書の「事業売却(現金流出額との純額)」 「事業買収(現金取得額との純額)」および 「関連会社に対する投資の増加」が含まれています。 2023年度のキャッシュ・フローの状況 営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権や棚卸資産が前期末比で大きく減少したこと等により、449億円の収入(前期比86億円の収入減)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、JMDC社の株式の追加取得や資本的支出などにより1,071億円の支出(前期比516億円の支出増)となりました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは622億円の支出(前期比601億円の支出増)となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いによる支出の一方で、借入金の増加により860億円の収入(前期比1,447億円の収入増)となりました。 以上の結果、当期末における現金及び現金同等物残高は、前期末から378億円増加し、1,431億円となりました。 2023年3月期2024年3月期増減営業活動によるキャッシュ・フロー535億円449億円△86億円投資活動によるキャッシュ・フロー△555億円△1,071億円△516億円フリーキャッシュ・フロー△21億円△622億円△601億円財務活動によるキャッシュ・フロー△588億円860億円+1,447億円 2024年度のキャッシュ・フローの見通し 次年度(2024年度)においては、構造改革プログラム「NEXT2025」の遂行による利益率改善や棚卸資産を中心とした運転資金の効率化を図ってまいります。 投資活動においては、投資規律を維持し、設備投資・投融資の案件を厳選して実行してまいります。なお、2024年度の設備投資は、ITシステム刷新等により当期比106億円の増加を見込んでいます。 また、財務活動では、グループ全体の効率的な資金配置を継続して実行していくとともに、金融情勢を踏まえた柔軟な調達・運用を実施してまいります。 <2024年度のキャッシュ・フロー関連項目> 2023年度(実績)2024年度(見通し)増減 減価償却費308 億円370 億円+62 億円 資本的支出(設備投資)454 億円560 億円+106 億円 (注)資本的支出は、連結キャッシュ・フロー計算書記載の金額 資金調達、資本政策の方針 当社グループは、成長投資の実行と安定的な事業運営を行うため、資本効率を高めつつ、事業運営に必要な流動性と多様な調達手段を確保することを基本としています。そのための資金調達を含む資本政策については、以下の基本方針としています。 (ⅰ)株主価値を維持向上するために、投下資本利益率(ROIC)、株主資本利益率(ROE)および1株当たり利益(EPS)の目標水準を考慮した経営を行います。また、経済環境等の急激な変化に備え、金融情勢によらず資金調達が可能な高格付けを維持できる自己資本比率を目標とします。 (ⅱ)支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資本政策については、取締役会において、上記の目標とする投下資本利益率(ROIC)、株主資本利益率(ROE)および1株当たり利益(EPS)等への影響を十分に考慮した上で合理的な判断を行います。 (ⅲ)大規模な希釈化をもたらす資本調達を実施する場合には、資金使途の内容と回収計画を取締役会において十分に審議のうえ決議するとともに、投資家・株主への説明を行います。 <格付情報> 本報告書提出時点における格付けについては、株式会社格付投資情報センター(R&I)から以下のとおり取得しております。 格付長期短期 格付投資情報センター AA- a-1+ <社債情報> 現在発行している社債はありません。 (参考)ROIC経営への取組み 当社グループはROICを重要な経営指標としています。全社一丸となってこの指標を持続的に向上させるため、「ROIC経営」を社内に広く浸透させています。長期ビジョン「SF2030」においても、ROIC経営を推進し、今後も飛躍的な成長を実現していきます。 事業特性が異なる複数の事業部門を持つ当社グループにとって、ROICは各事業部門を公平に評価できる最適な指標です。営業利益の額や率などを指標とした場合、事業特性の違いや事業規模の大小で評価に差が出ますが、投下資本に対する利益を測るROICであれば、公平に評価することができます。独自の事業ポートフォリオを展開していく当社グループにとって、ROICは欠かすことができない指標です。当社グループのROIC経営は、「ROIC逆ツリー展開」、「ポートフォリオマネジメント」の2つで構成しています。 <ROIC逆ツリー展開> ROIC逆ツリー展開により、事業戦略を起点にROICを各部門のKPIに分解して落とし込むことで、現場レベルでのROIC向上を可能にしています。ROICを単純に分解した「ROS」、「投下資本回転率」といった指標では、現場レベルの業務に直接関係しないことから、部門の担当者はROICを向上させるための取組みをイメージすることができません。例えば、ROICを自動化率や設備回転率といった製造部門のKPIにまで分解していくことで、初めて部門の担当者の目標とROIC向上の取組みが直接つながります。現場レベルで全社一丸となりROICを向上させているのが、当社グループの強みです。 <ポートフォリオマネジメント> 全社を約60の事業ユニットに分解し、ROICと売上高成長率の2軸で経済価値を評価するポートフォリオマネジメントを行っています。これにより新規参入、成長加速、構造改革、事業撤退などの経営判断を適切かつ迅速に行い、全社の価値向上をドライブしています。 また、限られた資源を最適に配分するために、「経済価値評価」だけではなく、「市場価値評価」も行っています。それにより、各事業ユニットの成長ポテンシャルを見極められ、より最適な資源配分を可能にしています。 (3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当有価証券報告書に記載する連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示および報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。長期性資産の減損、のれんおよび非償却性の無形資産の減損、および繰延税金資産の回収可能性等については、事業環境の変化の影響を踏まえて見積りおよび判断を行っています。 詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 Ⅰ 重要な会計方針の概要 F 会計処理基準」に記載していますが、当社の経営戦略および連結財務諸表に与える影響から重要性があると考えられるものは以下のとおりです。 戦略投資等にかかるのれん等の評価 当社グループは将来に向けた成長力強化の一環として積極的な戦略投資を行っています。 制御機器事業(IAB)においては、モノ作り現場の課題に対して、“i-Automation!”で革新を起こすアプリケーションを強化することを目的として、2015年にモーションコントローラーメーカーであるDelta Tau Systems, Inc. およびロボットメー カーであるAdept Technology, Inc.を、2017年にコードリーダーメーカーであるMicroscan Systems, Inc.をいずれも 米国にて取得しました。 ヘルスケア事業(HCB)においては、脳・心血管疾患の重症化を防ぎ、治療をサポートする事業での協業を目的として、米国を中心に心疾患の診断と治療の支援サービスおよび商品を提供するAliveCor,Inc.へ2020年2月に出資を行いました。 また、長期ビジョン「SF2030」ではデータを基軸とした価値創造への収益構造転換が重要になると考えており、その先駆けとして、2022年2月に医療データサービス会社であるJMDC社との資本業務提携のために同社株式の取得を行いました。また、2023年10月には同社株式の追加取得を行い、連結子会社としました。 当社グループでは、投資管理プロセスを運用しており、買収案件の投資回収状況やのれん減損テストの結果、買収事業の進捗と今後の計画については年に1回、取締役会へ報告しています。 ・のれん評価 当社は、のれんの評価について、のれんの償却は行わず、少なくとも年に1回又は減損の兆候が識別された場合に減損テストを実施しています。 IABにおいて取得した事業ののれんについては、取得した事業が“i-Automation!”戦略と一体となってシナジー効果が創出されることから、シナジー効果の享受が期待される、検査装置事業を除いたIABをのれんの報告単位として決定しています。 JMDC社の連結子会社化により取得した事業ののれんについては、当社の既存ビジネスとJMDC社の協業により、ソリューションビジネスを推進するために2023年12月21日付で設立したデータソリューション事業本部(DSB)を報告単位として決定しています。 減損テストの実施に当たっては、当該報告単位の公正価値をディスカウント・キャッシュ・フロー法により算出した評価額と市場価格にコントロールプレミアムを加味した市場株価法による評価額に基づいて算出し、対応する帳簿価額と比較して評価を行っています。ディスカウント・キャッシュフロー法による公正価値は経営者により承認された原則5年間の事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの見積額を、加重平均資本コストをもとに算定した割引率で現在価値に割り引いて算定しています。事業計画の策定には、マクロ経済状況、市場成長率、利益率、設備計画等の仮定を用いており、事業計画予測期間以後のキャッシュ・フローは、各事業の所在国のインフレ率で永続的に成長する仮定や、類似企業の公開市場での評価を参考にしており、多くの重要な見積りを含んでいます。 加重平均資本コストは、リスクフリーレート、所在国の経済や市場の状況を反映させるためのリスクプレミアム、インフレ率、負債コスト、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムもしくはディスカウントが適用されるべきかの決定等、多くの見積りを使用して算出しています。 当年度の減損判定においては、公正価値が帳簿価額を超過していたため、のれんの減損損失は認識しておりません。 各オペレーティングセグメントの当期末連結貸借対照表におけるのれん残高及び減損テストの方法は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 Ⅱ 主な科目の内訳及び内容の説明 G のれん及びその他の無形資産」に記載しています。 ・関連会社に対する投資の評価 当年度末連結貸借対照表に計上されている関連会社に対する投資及び貸付金には、HCBのAliveCor,Inc.に対する持分法による投資10,265百万円が含まれており、純資産に対する当社の持分相当額を上回る9,173百万円は、主に持分法適用開始時に識別したのれん相当額によるものです。 当社は、関連会社に対する投資について、投資先の超過収益力に基づく公正価値評価を行い、その価値の下落が一時的とは認められない場合には、持分の簿価が当該関連会社の公正価値の当社持分を超過した分について持分法損失を認識しています。同社についてはスタートアップ企業であるため将来事業計画の達成可能性の不確実性やのれん相当額の重要性を鑑み当該公正価値をのれんの評価と同じ方法で算出した結果、公正価値が投資簿価を上回ることから、評価損失の計上は不要と判断しています。 (4) 生産、受注及び販売の実績 当年度におけるセグメントごとの販売実績は、「(1) 事業環境、経営成績等の状況・分析・検討」に記載のとおりです。なお、当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額で示すことはしていません。 (5) 経営成績に重要な影響を与える要因について 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。 |
※本記事は「オムロン株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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