株式会社安川電機の基本情報

会社名株式会社安川電機
業種電気機器
従業員数連12833名 単3170名
従業員平均年齢42歳
従業員平均勤続年数18.4年
平均年収8699250円
1株当たりの純資産714.48円
1株当たりの純利益(連結)218.62円
決算時期年2
配当金68円
配当性向54.3%
株価収益率(PER)32.2倍
自己資本利益率(ROE)(連結)6.1%
営業活動によるCF565億円
投資活動によるCF▲212億円
財務活動によるCF▲156億円
研究開発費※15.68億円
設備投資額※1319.02億円
販売費および一般管理費※122033円
株主資本比率※252.4%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、創業以来「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を存在意義とし、私たちの価値観である「1.品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」「2.経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」「3.市場志向の精神に従い、そのニーズにこたえるとともに、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努めることを安川グループ経営理念としております。 また、経営理念の実践に加え、環境問題や格差拡大など深刻化する社会問題への対応と社会全体の持続性への配慮を当社グループの経営方針として明確化するため、「サステナビリティ方針」を策定しております。このサステナビリティ方針では、「1.最先端のメカトロニクス技術によるイノベーション創出で、お客さまをはじめ社会への価値創造に貢献」「2.世界中のステークホルダーとの対話と連携を通じ、公正かつ透明性の高い信頼ある経営の実現」「3.世界共通の目標であるSDGsの達成を目指し、グローバルでの社会的課題の解決」の3つを方針として掲げています。 このような方針のもと、社会および顧客ニーズに高い次元でこたえる製品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図るとともに、社会課題の解決を通じた持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略 当社グループは、長期経営計画「2025年ビジョン」(2016年度~2025年度)においてメカトロニクスを軸とした「工場自動化・最適化」と「メカトロニクスの応用領域」を事業領域と定め、経営目標については営業利益を最も重要な経営指標とし、「質」の向上にこだわることで経営体質の強化を目指しています。 2023年度からは「2025年ビジョン」の仕上げとなる中期経営計画「Realize 25」(2023年度~2025年度)をスタートさせています。 なお、「Realize 25」および「2025年ビジョン」の詳細は、以下のURLからご覧いただくことができます。 Realize 25 :https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2023/05/realize25.pdf2025年ビジョン:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2019/06/Vision2025_Revision.pdf (3) 中期経営計画「Realize 25」の概要① 財務目標(※1)当社グループは「2025年ビジョン」において、営業利益を最も重要な経営指標に据え、「Realize 25」においては、「i3-Mechatronics」(※2)の展開とロボティクスの進化により新たな価値を創出し、収益および生産性を高めます。[参考]2022年度実績為替レート 134.12円/米ドル、139.84円/ユーロ、19.68円/元、0.103円/ウォン2025年度想定為替レート 130.00円/米ドル、140.00円/ユーロ、19.00円/元、0.100円/ウォン (※1)2025年度中期経営計画目標および2025年度想定為替レートは2023年5月発表時点(※2)i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス):当社が1969年に提唱した「メカトロニクス(メカニズムとエレクトロニクスを融合した造語)」に3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの経営課題の解決に寄与するソリューションコンセプト ② 基本方針方針1 i3-Mechatronicsソリューションによる価値創出 「i3-Mechatronics」のコンセプトを軸に、お客さまが求める「コト」、すなわち「改善や進化」へのソリューションの価値を最大化することで、お客さまへの貢献性を高めます。この「お客さまへのソリューション」を実現するために、技術・生産・販売・品質機能の強化を図ってまいります。(a) お客さまの価値創出につながる技術開発力の強化安川テクノロジーセンタで業界をリードする製品・技術を創出し、お客さまの価値向上を実現します。(b) i3-Mechatronicsによる自社の「ものづくり」進化i3-Mechatronicsソリューションを自社の生産現場で実践し、生産性向上・生産管理高度化を追求することで、当社製品の競争力向上を図ります。(c) お客さまのサプライチェーンへの戦略的なアプローチの強化エンドユーザや装置メーカ等のお客さまと連携強化を図り、最適なソリューションを提供するとともにビジネスの領域拡大を目指します。(d) 製品ライフサイクルにおける製品・サービス品質の革新YDX(※3)を通じて蓄積される膨大なデータを活用して「お客さまの設備を止めない」サービスをグローバルで展開します。 (※3)YDX:YASKAWA Digital Transformationの略。第1フェーズである「YDX-I」では、経営資源の可視化・一元化とその最適配置を目指した活動を実施。「YDX-Ⅱ」では、製品・サービス視点でのお客さまへの価値創出を実施 方針2 世界一/世界初の自動化コンポーネントを軸としたグローバル成長市場攻略 自動化コンポーネントを中心としたグローバルでの市場別戦略を展開し、最適な生産体制を構築することで、成長市場の需要を確実に捉えます。(a) グローバル最適生産体制の構築とレジリエントなサプライチェーン構築拡大する需要に対して生産能力・生産性の向上を図るとともに、環境変化やリスクに強いグローバル生産体制を構築します。 方針3 メカトロニクス応用領域の事業拡大によるサステナブルな社会の実現に貢献(a) Energy Savingグリーンプロダクツの拡販によりお客さまの省エネ性向上と環境負荷軽減を実現します。(b) Clean Power新製品を軸に事業を本格拡大させ、世界トップクラスの創エネを実現します。(c) Food & Agriコア技術を結集し、食の安全と安定供給を実現します。(d) Biomedical Scienceゲノム解析や再生医療分野における自動化等を通じて、すべての人が人間らしく、より豊かに、輝ける未来を実現します。 方針4 YDXとサステナビリティ経営の深化による経営基盤の強化(a) PLM(Product Lifecycle Management)の再構築をベースとしたYDXチェーンによる新たな価値提供YDXの第2フェーズとなる「YDX-Ⅱ」ではPLM再構築によるお客さまへの価値を創出します。(b) マテリアリティへの取り組み強化を軸としたサステナビリティ経営の推進サステナビリティ課題に対するマテリアリティを設定し、ステークホルダーのみなさまの期待に応えるサステナブルな経営を実践します。 ③ 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況財務実績 2024年度実績売上収益: 5,376億円営業利益: 501億円営業利益率: 9.3%ROE:    13.7%ROIC:   12.2%配当性向: 31.1% 2024年度の主な取り組み中期経営計画「Realize 25」の達成に向けた2024年度の主な取り組みは以下のとおりです。 方針1 i3-Mechatronicsソリューションによる価値創出(a) お客さまの価値創出につながる技術開発力の強化生産現場のセルを統合制御しi3-Mechatronicsを実現する欧米市場向けマシンコントローラ「iC9200」の販売を開始しました。(b) i3-Mechatronicsによる自社の「ものづくり」進化八幡西事業所のロボット工場(第1工場)の組立工程に「MOTOMAN NEXT」を導入し、自動化やデータ活用により大幅な生産性向上を実現しました。また、スロベニアにおいては、欧州におけるロボットシステム工場の拡張とディストリビューションセンターの建設を進めています。(c) お客さまのサプライチェーンへの戦略的なアプローチの強化i3-Mechatronics CLUBを通じた各分野のパートナーとの協業を加速しました。(d) 製品ライフサイクルにおける製品・サービス品質の革新当社製品の稼働状況から適切なタイミングで設備の更新・メンテナンスをプロアクティブにお客さまへ 提案するサービス活動を強化しました。 方針2 世界一/世界初の自動化コンポーネントを軸としたグローバル成長市場攻略(a) グローバル最適生産体制の構築とレジリエントなサプライチェーン構築グローバルにおける主要部品の内製化、事業部共通の重点部品の集中調達、欧米での事業拡大に向けた投資を確実に実行するなど、生産/調達体制および需要地生産体制の強化を推進しました。 方針3 メカトロニクス応用領域の事業拡大によるサステナブルな社会の実現に貢献(a) Energy Savingエレベーターの乗り心地の向上や待機中の消費電力削減に貢献するエレベーター専用のインバータ「LA700」の販売を開始しました。(b) Clean Power太陽光発電用パワーコンディショナ「Enewell-SOL P3A」の拡販による国内の自家消費市場での取組みの強化を推進しました。(c) Food & AgriJA全農と協業開発を進める「きゅうりの葉かき作業の自動化」が実用段階に達しました。(d) Biomedical Scienceアステラス製薬と汎用ヒト型ロボット「まほろ」を活用した細胞医療製品の製造プラットフォームの開発およびスタートアップやアカデミアにプラットフォームの提供を行う合弁会社の設立について契約を締結しました。 方針4 YDXとサステナビリティ経営の深化による経営基盤の強化(a) PLM(Product Lifecycle Management)の再構築をベースとしたYDXチェーンによる新たな価値提供PLM再構築のベースとなる安川データレイクの構築を完了しました。(b) マテリアリティへの取り組み強化を軸としたサステナビリティ経営の推進「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 (4) 経営環境および優先的に対処すべき課題 2025年度は、回復傾向にある市場の需要を確実に取り込むとともに、足元の需要動向に沿った生産・販売の最適化により売上収益・営業利益を前期から増加する計画です。 また、米国の相互関税の影響については、グローバルでの動向を見極めたうえで対処してまいります。  2025年度の重点実施項目は以下の4点です。 ① “コト”を実現するi3-Mechatronics活動の成果最大化 i3-Mechatronicsに基づき、お客さまの“コト”(改善・進化)を実現する提案営業を定着させ、その活動を通じたコア製品(ACサーボ「Σ-X」(シグマ・テン)、インバータシリーズ等)の需要獲得を最大化していきます。また、ロボット事業部の戦略製品である「MOTOMAN NEXT」の市場投入の拡大とパートナー連携の拡充も確実に実行するとともに、iCube Control(※4)(アイキューブコントロール)のラインアップである「YRM1000/iC9000シリーズ」のグローバル展開を加速していきます。合わせて、トレーサビリティの確立とデータ活用によるサービス機能の拡充を着実に実行していきます。 また、自社工場におけるi3-Mechatronicsの実践として八幡西事業所のモータ・ロボット一貫生産工場(第5工場)の新設ならびに行橋事業所および入間事業所の生産強化プロジェクトの具体化を加速していきます。昨年12月に起工式を執り行った南行橋事業所については、2026年度中の稼働開始に向けて計画通りに進めていきます。 (※4)i3-Mechatronicsを実現するコントローラソリューション ② 市場・地域の変化を俯瞰的に捉えた網羅的な活動による収益最大化 半導体や自動車などの各市場における設備投資の動向を俯瞰的に捉え、受注獲得の最大化とともに、中核販社および拡販パートナーとの協働を通じ、お客さまへ当社製品の提供を拡大していきます。 将来的に市場拡大が見込まれるインド市場は、成長戦略と投資計画を明確にして速やかに実行に移します。また、欧州や中国での競争環境の変化を捉えた事業構造改革を確実に完遂することで、収益力を向上させます。 ③ パートナー連携によるメカトロニクス応用領域の事業化 グローバルで投資が加速するデータセンターにおいて、インバータの適用拡大の取組みを強化します。また、自家消費向け太陽光発電用パワーコンディショナを拡販していきます。医薬分野および農業分野においては、自動化をパートナーとの連携によって展開し、検証・評価から実導入への移行により事業化ステージを目指していきます。 ④ 「YDX-Ⅱ」実践による付加価値創造と持続可能な経営基盤の構築 現在取り組んでいる「YDX-Ⅱ」において、業務の高度化・効率化を加速していきます。市場との連動を意識したPLM(Product Lifecycle Management)の再構築、そして、基幹システムの刷新に伴う業務移行の完遂とデータ基盤の強化を行うとともに、生成AIの利活用に向けたデータガバナンスの強化と活用環境の整備を実行していきます。そして、「One YASKAWA」の文化醸成を目的とした安川グループ経営理念の浸透をさらに進め、グループ全体の求心力を高めます。 ESGの面では、高まるグローバルでの情報開示要求に対応し、安川グループのサステナビリティ経営を強化していきます。  各セグメントにおける具体策は以下のとおりです。 〔モーションコントロール〕 ACサーボモータ・コントローラ事業においては、半導体市場等の投資動向の変化を確実に捕捉し、販売活動を強化します。また、i3-Mechatronicsを実現させるiCube Controlおよびコア製品「Σ-X」をグローバルに展開し、収益のさらなる拡大を図ります。生産については、i3-Mechatronicsを実践した自動化ラインの拡大により変種変量に柔軟に対応し、生産性向上を図ることで、受注から売上へ迅速につなげます。 インバータ事業においては、データセンターの需要拡大等、ターゲット市場におけるお客さまの“コト”の実現に基づく販売活動の強化を図ります。また、自動化および内製化の拡大により変種変量に対応した生産体制の強化を進めます。太陽光発電市場においては、パートナー連携を通じて国内の自家消費市場におけるパワーコンディショナ「Enewell-SOL P3A」の売上拡大を図ります。 〔ロボット〕 i3-Mechatronicsソリューションの導入拡大により提供価値を最大化します。さらに、半導体・自動車市場のコトの変化に対応した技術展開により事業を拡大します。また、未自動化領域における「MOTOMAN NEXT」の実ラインへの導入拡大のため、ソリューションパートナーとの連携強化を図ります。加えて、医薬・食品等の多様化する市場ニーズの変化に対応したアプリケーションの展開により事業拡大を進めていきます。 生産については、八幡西事業所のモータ・ロボット一貫生産工場(第5工場)の稼働開始および国内外生産拠点の自動化領域を拡大し、需要変動に強い効率的な生産体制を構築・強化します。 〔システムエンジニアリング〕 鉄鋼プラントシステム・社会システム分野では、カーボンニュートラル需要に対応し、AI・IoT技術により付加価値を高めたシステムソリューションの提供に努めます。また、アジアを中心とする港湾クレーン等の成長市場への取り組みを強化します。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 2023年度~2025年度中期経営計画「Realize 25」に関する認識および分析・検討内容経営指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中期経営計画「Realize 25」の概要」に記載しております。 (2) 経営者による経営成績(P/L)の分析① 概況当期における当社グループの経営環境は、当社において重要な注力市場である半導体・自動車市場における回復に力強さを欠いた状態で推移しました。このような環境において当社グループの業績は、高水準な受注残に支えられた前期に比べ、モーションコントロールを中心に減収となりました。営業利益については、間接費の抑制に努めたものの、売上減少に伴う利益減の影響を大きく受け減益となりました。一方、親会社の所有者に帰属する当期利益は、持分法適用関連会社であった煙台東星磁性材料股?有限公司の株式の一部譲渡に伴い、株式譲渡益および残存株式の再評価益を計上したことにより、増益となりました。 この結果、当期の経営成績は以下のとおりです。 2024年2月期2025年2月期前期比売上収益5,756億58百万円5,376億82百万円△6.6%営業利益662億25百万円501億56百万円△24.3%親会社の所有者に帰属する当期利益506億87百万円569億87百万円+12.4%米ドル平均レート143.22円152.65円+9.43円ユーロ平均レート155.06円164.01円+8.95円中国人民元平均レート20.02円21.12円+1.10円韓国ウォン平均レート0.109円0.111円+0.002円 なお、当期における当社グループの地域別の経営環境は以下のとおりです。日 本:半導体・電子部品市場は想定より緩やかな回復に留まりました。また、自動車市場における設備投資需要も伸び悩みました。米 州:オイル・ガス関連や一般産業における需要は、大統領選挙を控えた投資抑制の影響を受けた一方、半導体関連需要が緩やかに回復し、自動車市場における投資も底堅く推移しました。欧 州:自動車市場をはじめ製造業全般における設備投資は低迷しました。中 国:内需の鈍化が継続した一方、輸出向けなどを中心に需要は底堅く推移し、期末にかけては、市場の緩やかな回復が見られました。中国除くアジア:韓国は半導体関連を中心に需要は軟調に推移したものの、アセアン各国における自動化投資や港湾クレーン関連の需要は堅調に推移しました。 ② セグメント別の状況当社グループでは、事業内容を4つのセグメントに分けています。当期の各セグメントの経営成績は以下のとおりです。なお、当社グループはシステムエンジニアリング事業の再編に伴い、前連結会計年度まで「システムエンジニアリング」に含めていた太陽光発電用パワーコンディショナを当連結会計年度より「モーションコントロール」に含めております。これにより各セグメントの前期比については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた上で算出しています。モーションコントロール売上収益 2,387億52百万円 (前期比 △11.4% )営業損益 230億 5百万円 (前期比 △41.0% )モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成されています。売上収益は、半導体市場の回復に力強さを欠いたことに加え、高水準な受注残に支えられた前期に対し減収となりました。利益面については、経費削減を進めましたが売上減少に伴う利益減の影響を大きく受け、減益となりました。〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕半導体市場においては米州を中心に販売が堅調に推移した一方、日本では電子部品市場を含め需要の回復遅延の影響を受けました。中国においては期末にかけて市場の緩やかな回復が見られたものの、設備投資は総じて低調に推移したほか、欧州においても需要は低迷しました。これらの結果、売上収益は減少しました。〔インバータ事業〕太陽光発電用パワーコンディショナの販売が堅調に推移したものの、高水準な受注残に支えられた前期に比べ、売上収益は減少しました。ロボット売上収益 2,374億13百万円 (前期比 +1.2% )営業損益 237億51百万円 (前期比 △5.6% )自動車市場では設備投資は総じて低調に推移する中、既受注の大口システム案件の売上が寄与しました。また、半導体市場向けのウェハ搬送ロボットの販売も増加したことから、売上収益は前期比で微増となりました。利益面については、生産稼働率の低下やシステム対応力強化に向けた先行投資などにより減益となりました。システムエンジニアリング売上収益 383億52百万円 (前期比 △16.8% )営業損益 46億 5百万円 (前期比 △5.2% )主力の鉄鋼プラントや港湾クレーン、社会システム向けの販売が拡大しましたが、前年度下期の大型風力発電関連の子会社売却影響により、売上収益は前期比で減少しました。利益面については、前期に計上した大型風力発電関連の子会社株式売却益の剥落影響により減益となったものの、事業構造改革の効果により営業利益率は前期比で改善しました。その他売上収益 231億64百万円 (前期比 △9.1% )営業損益 15億91百万円 (前期比 +282.6% )その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されています。売上収益は減少しましたが、営業利益はその他の収益の増加などにより前期比で改善しました。 (3) 経営者による財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析① 資本の財源および資金の流動性にかかる情報(a) 資産、負債および資本(B/S)構造に関する基本的な考え方(ア) 流動資産(手元現預金)キャッシュがグローバルで分散し余剰にならないようにコントロールしながら、手元現預金は月商1ヵ月程度の水準を維持する方針です。(イ) 非流動資産将来の利益源になる投資を積極的に行う方針です。(ウ) 資本構成親会社所有者帰属持分比率50%以上を安定的な経営が実現できる水準とみております。今後は将来の設備投資のための内部留保が増えてきますが、現金・資本が過剰になることがないよう、一定のネットD/Eレシオを目安に置きながら効率性を重視する方針です。 (b) キャッシュアロケーションに関する基本的な考え方当社は、営業活動により生み出したキャッシュを①投資、②株主還元、③従業員配分の3方向に効果的に投入することで、持続的な成長を実現することを基本方針としております。(ア) 投資中期経営計画「Realize 25」では、2023年度~2025年度の累計で1,500億円の投資計画を立てております。キャッシュを有効活用し、工場や事業所の再編、内製化や自動化および需要地生産の拡大など、効率化・付加価値向上のための先行投資を厚くしていく方針です。(イ) 株主還元当期利益に対し30%+αの配当性向を想定した経営を実践しております。キャッシュが想定以上に創出された場合は、追加の還元策も検討します。(ウ) 従業員配分中期経営計画の目標達成度合いに応じた中長期報酬制度を2022年度から従業員に拡大しております。従業員には、生産性の高い仕事のやり方により付加価値向上・利益率改善に取り組むインセンティブとなっております。また、従業員持株会への加入を促す制度としており、企業価値向上がインセンティブとなり従業員の経営参画意識を高める効果も期待しております。 ② 資産、負債および資本(B/S)の状況(a) 資産  7,437億74百万円(前期末比 414億39百万円増加)営業債権や棚卸資産等が減少したものの、契約資産等の増加により、流動資産が前期末に比べ67億39百万円増加しました。持分法適用関連会社の株式の一部譲渡に伴い持分法で会計処理されている投資が減少した一方、その他の金融資産が増加しました。また、有形固定資産および無形資産が増加し、非流動資産が前期末に比べ347億円増加しました。 (b) 負債  3,041億64百万円(前期末比 98億47百万円増加)営業債務や短期借入金等の減少により、流動負債が前期末に比べ96億40百万円減少しました。一方、長期借入金等の増加により、非流動負債が前期末に比べ194億88百万円増加しました。 (c) 資本  4,396億10百万円(前期末比 315億92百万円増加)関連会社投資に係る売却及び評価益を含む利益の計上により利益剰余金が増加しました。一方、自己株式は増加、また、在外営業活動体の換算差額の減少等によりその他の資本の構成要素も減少しました。 ③ キャッシュ・フロー(C/F)の状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は590億28百万円(前期末比 187億49百万円増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。 (a) 営業活動によるキャッシュ・フロー関連会社投資に係る売却及び評価益を除く税引前当期利益や減価償却費の計上、法人所得税の支払い等により、565億5百万円の収入(前期比 18億85百万円の収入増)となりました。 (b) 投資活動によるキャッシュ・フロー持分法で会計処理されている投資の売却や投資有価証券等の売却による収入等があったものの、有形固定資産及び無形資産の取得による支出等により、212億87百万円の支出(前期比 80億59百万円の支出減)となりました。 (c) 財務活動によるキャッシュ・フロー長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済や配当金の支払、自己株式の取得による支出等により、156億73百万円の支出(前期比 137億42百万円の支出減)となりました。 ※営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは352億18百万円の収入となりました。 (4) 生産、受注および販売の実績当社グループの生産・販売品目は広範囲にわたりかつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産および受注の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて記載しております。また、販売の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて、連結の数字を示しております。 (5) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定 IFRS会計基準に準拠した連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示および報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針の要約 4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しております。

※本記事は「株式会社安川電機」の令和7年年2期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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