会社名 | 日本精工株式会社 |
業種 | 機械 |
従業員数 | 連24057名 単7479名 |
従業員平均年齢 | 41.9歳 |
従業員平均勤続年数 | 16.7年 |
平均年収 | 7640178円 |
1株当たりの純資産 | 730.27円 |
1株当たりの純利益(連結) | 21.78円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 34円 |
配当性向 | 54.7% |
株価収益率(PER) | 10.26倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 14.9% |
営業活動によるCF | 821億円 |
投資活動によるCF | ▲587億円 |
財務活動によるCF | ▲337億円 |
研究開発費※1 | 3.02億円 |
設備投資額※1 | 266.09億円 |
販売費および一般管理費※1 | 611.1億円 |
株主資本比率※2 | 46.4% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、「MOTION & CONTROL?を通じ、円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めます。」という企業理念のもと、 ①世界をリードする技術力によって、顧客に積極的提案を行う ②社員一人ひとりの個性と可能性を尊重する ③柔軟で活力のある企業風土で時代を先取りする ④社員は地域に対する使命感をもとに行動する ⑤グローバル経営をめざすという経営姿勢により社会に貢献する企業を目指していきます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題等当社グループを取り巻く事業環境は、世界的なインフレの継続、欧州や中国の経済回復の遅れに加え、米国の追加関税政策及びそれに対する各国の経済政策や顧客・取引先の生産計画の変更などの影響により、先行きは未だ不透明な状況にあります。バッテリーEVの成長鈍化とそれに代わるハイブリッド車の増加など、自動車産業の将来動向にも変化が見られます。また、産業全般における電動化・自動化・デジタル化などの技術革新により、企業として取り組むべき課題は拡大を続けています。さらには、環境問題、人権の尊重、少子高齢化問題への取り組みなど企業の社会的責任の重要性は増し、経営環境は急速に変化しています。こうした環境下においても、当社グループは企業理念のもと、技術革新の進展や地球環境負荷の低減に対する取り組みを成長の機会と捉え、技術・製品・サービスを通じ、高い品質と信頼で応えていきます。すなわち、トライボロジーとデジタルの融合による価値創出で、持続可能な社会の発展に貢献し、社会から必要とされ、信頼され、選ばれ続ける企業を目指していきます。その実現に向けて、2022年度から2026年度までの5ヵ年を対象期間とする『中期経営計画2026』に則り、事業基盤の強化を進めています。当社のコアバリューである「安全・品質・環境・コンプライアンス」を経営の意思決定や行動において最優先される共通の価値基準とし、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組んでいきます。 3つの経営課題とその取り組み内容は以下のとおりです。 1.「収益を伴う成長」として、既存ビジネスを伸ばすとともに新たなビジネス領域を育てることを意味する “Bearings & Beyond”のもと、事業環境の変化の中でも、持続的成長が可能な事業基盤の確立を目指します。・当社グループの強みである軸受・精機製品の競争力を高め、産業機械ビジネスの拡大による事業ポートフォリオの変革と、自動車の電動化へのシフトに対応し、自動車軸受における高シェア維持に取り組んでいきます。・拡大を狙うアフターマーケット事業においては、補修・交換のための部品と、寿命予測や状態監視などのサービスを合わせて提供することにより、循環型社会への貢献を通じて、事業の拡大を目指します。・新技術の共創を進め、自動車の電動化や拡大していくロボット産業などで必要とされる機械要素(メカ部品)及びユニット・システム製品を開発することにより、自動化や安全・安心な社会への貢献を通じて、新商品でのビジネスを広げていきます。・欧州をはじめとする生産拠点の再編など事業の構造改革を進め、収益改善に取り組んでいきます。 2. 「経営資源の強化」として、デジタルの力で経営資源を強化し、事業変革を起こし続ける基盤を作ります。・品質・技術・業務オペレーションの更なるレベルアップと効率化のため、デジタルへの投資を進め、それらを 積極的に活用します。・モノづくりの方針として「生産の超安定化」を掲げ、デジタルを活用した飛躍的生産性の向上と、より安全・安心で、環境にやさしい工場を実現し、モノづくりの変革を目指します。・大学・企業とのオープンイノベーションを通じて、トライボロジーを中心としたコア技術の深掘りとそれを支える人材育成に取り組みます。・多様な人材の登用、多様なキャリアの開発・支援を進め、人的資本の価値最大化を目指します。 3. 「ESG経営」として、事業を通して社会の持続的な発展に貢献し、社会から必要とされ、信頼され、選ばれ続け る企業を目指します。 ・当社グループが製品を「つくる」という面からは、省エネへの取り組み、新技術の開発、及び再生可能エネルギーの活用により、二酸化炭素の自社からの直接排出(Scope1)とエネルギー使用による排出(Scope2)について、2035年度にカーボンニュートラル達成を目指すと共に、サプライチェーン全体(Scope3)での排出量削減にも取り組んでいきます。・お客様が当社グループの製品を「つかう」という面からは、エネルギーロスを少なくする低摩擦技術や、風力発電・水素エネルギーなどに使用される環境貢献型の製品・サービスの提供により循環型社会の発展に貢献します。・働き方改革によって働きやすい環境をつくり、ダイバーシティ&インクルージョンを推進します。・グループガバナンスの強化と、ステークホルダーとの対話を深めていきます。 また、ステアリング事業についてはジョイントベンチャーパートナーと共に、将来の新しいアライアンスに向けた検討を進めておりましたが、当初より取り組んでいた改善施策に目途が立ち、2024年度は黒字化するなど収益体質の改善が実現しました。一方で、近年の自動車部品業界を取り巻く環境は大きく変化しており、これまで以上に機動的な対応が求められることから、当社主導で「ストラテジック・パートナーとのアライアンスの検討」に取り組むこととし、当社が、ジョイントベンチャーパートナーの保有するNSKステアリング&コントロール株式会社(以下「NS&C」)の株式を取得して、NS&Cを当社の連結子会社とすることといたしました。詳細は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等][連結財務諸表注記]31. 後発事象 ステアリング事業会社株式の譲受契約の締結について」をご参照ください。NS&Cを当社の連結子会社とした後も、当社グループ内でスタンド・アローン体制を維持し、更なる体質強化に取り組んでまいります。 当社グループは、以上の経営課題に取り組み、『変わる 超える』への挑戦を続け、未来志向の高い目標に向かって、前進を続ける活力のある会社を目指します。企業理念に基づいた企業活動とMOTION & CONTROL?の進化を通じて、社会的課題の解決と社会の持続的発展への貢献を続けていきます。 (3) 目標とする経営指標当社は2022年5月に『中期経営計画2026』(2023年3月期から2027年3月期)を発表しましたが、近年の事業環境の変化を鑑み、2024年5月に2027年3月期の財務目標を修正しました。しかしながら、現在も世界的なインフレの継続、欧州や中国の経済回復の遅れに加え、米国の追加関税政策の影響など事業環境の先行きは不透明な状態が続いています。引き続き事業の成長を目指すと共に構造改革を進め、ROE8%の早期実現に向けた収益改善に継続して取り組んでいきます。 財務目標 事業ポートフォリオの変革収益を伴う成長営業利益率8%株主資本コストを上回る資本効率性の追求ROE8%ROIC6%持続的な成長を支える財務基盤の安定維持ネットD/Eレシオ0.4倍以下 また、非財務目標として、技術開発の取り組みにおいては新商品売上高比率の向上、環境についてはCO2排出量とCO2排出原単位の削減及び環境貢献型製品の開発に取り組んでいます。また、安全な職場環境づくりに対しては休業度数率の減少、ダイバーシティ&インクルージョンに関しては、従業員及び管理職における多様性(女性、外国人、中途採用比率)の向上などに取り組んでいます。 |
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。 (1) 重要性がある会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。なお、連結財務諸表作成にあたっての重要性がある会計方針及び見積り等については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2.作成の基礎 (6) 見積り及び判断の利用、3.重要性がある会計方針」に記載のとおりです。 (2) 財政状態及び経営成績の状況 ①事業全体の概況当社グループは、2022年度から2026年度までの5ヵ年を『中期経営計画2026』と位置づけ、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組んでいます。当連結会計年度の世界経済を概観すると、各国の金融政策転換による影響や中国経済の先行き懸念、米国の政策動向など不透明感を抱えつつも、景気は持ち直しが続いています。地域別にみると、日本は緩やかに景気が回復しているものの、個人消費や鉱工業生産の一部に弱い動きがみられます。米国では底堅い労働市場や金融緩和が下支えし景気は堅調に推移しています。欧州はインフレが落ち着きつつあるものの、設備投資や鉱工業生産において弱い動きが見られ景気は足踏み状態にあります。中国では不動産市場の低迷長期化や個人消費の冷え込みが景気の下押し圧力となり減速しました。このような経済環境において当社グループの業績は、為替が円安に推移したこともあり、非継続事業を除いた継続事業の当連結会計年度の売上高は7,966億67百万円(前期比+1.0%)となりました。営業利益は284億57百万円(前期比+3.9%)、税引前利益は251億0百万円(前期比△4.2%)、継続事業及び非継続事業の合算の親会社の所有者に帰属する当期利益は106億47百万円(前期比+25.2%)となりました。なお、前連結会計年度に引き続き非継続事業に分類していたステアリング事業のインド子会社であるRane NSK Steering Systems Private Limited(以下「RNSS」)について、2024年9月19日に当社が所有するRNSSの全株式をRane Holdings Limited(以下「RHL」)に譲渡し、RNSSに対する支配を喪失しました。支配の喪失に係る損益は非継続事業に含めています。また、前第1四半期連結会計期間からステアリング事業を非継続事業に分類しています。売上高、営業利益、税引前利益は非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益は、継続事業及び非継続事業の合算を表示しています。 ②セグメントごとの業績(産業機械事業)設備投資の需要が緩やかに回復したことに加えて、為替が円安に推移した影響により、当連結会計年度は対前期比で増収増益となりました。地域別では、日本は工作機械向けの販売増加などにより増収となりました。米州ではアフターマーケットや半導体製造装置向けの需要が堅調に推移し増収となりました。欧州は電機・電装やアフターマーケット向けを中心に市況悪化の影響を受けて需要低迷が継続し減収となりました。中国では工作機械、電機及び鉄道向けの販売が増加し増収となりました。この結果、産業機械事業の売上高は3,614億78百万円(前期比+4.8%)、営業利益は139億44百万円(前期比+74.1%)となりました。 当事業では、成長が期待できる電動化、自動化、デジタル化、環境市場での需要を取り込むため、供給力の強化と技術サービス体制の強化を進めています。さらに、状態監視システムやアクチュエータなど新たな高付加価値商品の開発と市場投入も推進することで、産業機械事業のビジネス拡大を目指していきます。 (自動車事業)グローバル自動車生産台数が前年同期から下振れしたことで、当連結会計年度は対前期比で減収減益となりました。地域別では、日本は一部自動車メーカーの生産・出荷停止が要因となり減収となりました。米州では自動車販売の回復基調を背景に増収となりました。欧州は自動車市場の低迷が継続し減収となりました。中国では日本車の販売不振影響を受けて需要が減少し減収となりました。この結果、自動車事業の売上高は4,016億77百万円(前期比△1.7%)、営業利益は160億96百万円(前期比△13.4%)となりました。当事業では、自動車の電動化に対し、低トルク・高速回転・軽量化といった当社グループの技術力を活かすことで競争力を強化し、さらには電動油圧ブレーキシステム用ボールねじなど将来に向けた新商品の拡大を図ることで事業の成長を目指していきます。 ③財政状態の分析当連結会計年度において、資産合計は前連結会計年度末に比べて785億34百万円減少した1兆2,195億43百万円となり、負債合計は697億68百万円減少した5,503億54百万円となりました。資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期利益があったものの、剰余金の配当、その他の資本の構成要素の減少等により、前連結会計年度末に比べて87億65百万円減少した6,691億89百万円となりました。 ④キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益251億0百万円、減価償却費及び償却費524億12百万円、法人所得税の支払額461億28百万円、運転資本等の加減算に加えて、退職給付信託の一部返還を受けたこと等による退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産の増減額686億60百万円により、821億76百万円の収入となりました(前連結会計年度は998億18百万円の収入)。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、保有株式の縮減を進めたことに伴うその他の金融資産の売却による収入88億58百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出381億21百万円、無形資産の取得による支出122億34百万円、定期預金の預入及び払戻、その他の金融資産の取得及び償還等により、587億53百万円の支出となりました(前連結会計年度は908億14百万円の支出)。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額156億46百万円、短期借入金の純減額139億77百万円等により、337億41百万円の支出となりました(前連結会計年度は247億80百万円の支出)。 上記により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて123億29百万円減少した1,382億53百万円となりました。 ⑤目標とする経営指標の達成状況等当社は2022年5月に『中期経営計画2026』(2023年3月期から2027年3月期)を発表しましたが、近年の事業環境の変化を鑑み、2024年5月に2027年3月期の財務目標を修正しました。当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、自動車事業でグローバル自動車生産台数が前期より下振れしましたが、産業機械事業では設備投資の需要が緩やかに回復したことに加えて為替が円安に推移した影響を受けました。この結果、当社グループの業績は前期に比べて増収増益となりました。当社が経営上の目標として掲げる指標と実績は、次のとおりです。 経営指標『中期経営計画2026』目標2024年3月期実績2025年3月期実績 事業ポートフォリオの変革収益を伴う成長営業利益率8%3.5%3.6%株主資本コストを上回る資本効率性の追求ROE8%1.3%1.6%ROIC6%1.5%1.5%持続的な成長を支える財務基盤の安定維持ネットD/Eレシオ0.4倍以下0.26倍0.26倍 (注) 営業利益率、ROICの目標及び実績は非継続事業を除いた継続事業のみで表示しています。 2026年3月期の事業環境につきましては、不安定な国際情勢による地政学的リスクや為替相場の動向に加え、不確実な米国通商政策の影響による世界経済の減速リスクをはらんでいます。当社グループの産業機械事業及び自動車事業の需要動向についても、先行き不透明な状況が続くことが想定されます。このような環境下においても、当社グループは企業理念のもと、トライボロジーとデジタルの融合による価値創出で、持続可能な社会の発展に貢献し、社会から必要とされ、信頼され、選ばれ続ける企業を目指していきます。 (3) 資本の財源及び資金の流動性①財務戦略の基本方針『中期経営計画2026』では、持続可能な社会への貢献と不断の企業価値の向上を目指すために、安定した財務体質のもと、収益を伴う成長を遂げてキャッシュを創出することにより、当社の持続的成長のために必要な投資と株主の皆様への安定的な利益還元に資金配分を継続することを、財務戦略の基本方針としています。 (a) 財務安定性の維持当社グループの持続的な成長を支え、事業環境の変化にも耐え得るには、「財務安定性の維持」が前提となります。自己資本比率、ネットD/Eレシオ、手元流動性など、当社グループの財務安定性を示す指標は健全な状態を保って推移しています。『中期経営計画2026』では、ネットD/Eレシオの目標を0.4倍以下とすることで、安定的な財務基盤を確保しつつ機動的かつ効果的な有利子負債の活用を図っています。 (b) 収益を伴う成長安定した財務体質の下、当社グループは「収益を伴う成長」を持続的に遂げて、キャッシュを創出していきます。創出したキャッシュにより、設備投資や研究開発投資、ESG経営に必要な人的資本、DX、さらにはM&A等への投資を実施して経営資源の強化を図り、当社グループの持続的成長と次のキャッシュ創出に繋げていく考えです。また、株主・投資家の皆様が期待する資本コストを上回る収益率をあげることは、株式上場会社の使命と言えます。当社は、過去の株価動向と事業特性、及び株式市場の現況から推計した当社の株主資本コストは概ね8%~9%と認識しており、『中期経営計画2026』では「ROE 8%」、「ROIC 6%」を資本効率性の経営目標に設定しました。現状の事業環境では「ROE 8%」の到達は困難な状況ですが、販売ポートフォリオの改善、当初想定よりも低迷している需要環境の変化に対応した構造改革の追加対策の実行、収益体質のさらなる改善を進めて、「ROE 8%」の早期実現に向けて取り組んでいきます。 (c) 安定的な利益還元当社グループは株主の皆様に対する「安定的な利益還元」を重要な経営方針の一つとしています。『中期経営計画2026』においては、配当性向30%~50%に加えて、DOE(親会社所有者帰属持分配当率)2.5%を下限の目安とする目標を掲げて、株主の皆様へ安定的・継続的な配当を実施する方針です。また、機動的な資本政策の手法として、自己株式の取得も選択肢の一つと認識しています。自己株式の取得は、キャッシュ・ポジションや株式市場の動向等を勘案して適切かつ機動的に実施したいと考えており、これらの実行にあたっては、財務状況等を勘案して適切に決定していきます。 ②財務状況当連結会計年度の財政状態は次のとおりです。 財務戦略の基本方針経営指標『中期経営計画2026』目標2025年3月期実績2025年3月期の評価・コメント 財務安定性の維持ネットD/Eレシオ0.4倍以下0.26倍健全な財務体質を維持収益を伴う成長ROE8%1.6%事業環境の変化により収益計画は遅れているが、ROE8%の早期実現に向けて各施策を遂行ROIC6%1.5%安定的な利益還元DOE2.5%を下限の目安2.5%配当金 34円/株安定的な利益還元を継続配当性向30%~50%156.1% ③財務活動の振り返り当社グループは、経営資源を有効活用するため資産効率の向上に取り組んでいます。当連結会計年度においては、引き続き政策保有株式の縮減を進めたことに伴うその他の金融資産の売却により88億58百万円の収入がありました。これにより、当社が保有する政策保有株式の銘柄数は、当連結会計年度において6銘柄(うち上場株式5銘柄)を縮減しています。加えて、近年、退職給付信託を含む年金資産が退職給付債務に対して大幅な積立超過の状況にあり、今後もその状況が継続することが見込まれることから、2025年2月に退職給付信託から700億円の返還を受けました。これ等により得られた資金は、経営資源の強化を図るための設備投資や研究開発投資、人的資本やDXへの投資、さらにはM&Aなど、当社グループが持続的成長を遂げるための投資資金として有効活用します。資金調達においては、サステナブルファイナンスのスキームを用いた資金調達も採り入れています。当連結会計年度においては、当社グループの人的資本経営に関する取り組みと情報開示を評価する長期借入契約を締結しました。この契約にあたり、外部評価機関から、当社グループの経営人材育成に関する取り組みと健康・安全に関する情報開示について特に高い評価を受けています。当社グループは『中期経営計画2026』の経営課題の1つに「ESG経営」を掲げており、資金調達おいても持続可能な社会の発展へ貢献していきます。利益還元については、当連結会計年度より株主還元方針にDOE(親会社所有者帰属持分配当率)を採用しました。各期の配当は、配当性向30%~50%に加えて、DOE2.5%を下限の目安に、株主の皆様へ安定的・継続的な配当を実施する方針です。当方針を踏まえた上で当期の業績や今後の事業環境等を総合的に勘案した結果、当連結会計年度の1株当たり配当金は前連結会計年度から4円増配した34円としました。 ④資金調達の方針当社グループは現在、自己資金及び金融機関の借入れ等により資金調達を行っています。運転資金について借入れによる資金調達を行う場合、期限が一年以内の短期借入金で各連結会社がその現地通貨で調達することが一般的で、生産設備などの長期資金は、主として長期借入金及び社債で調達しています。 有価証券報告書提出日現在において、格付投資情報センターから「A」、日本格付研究所から「A+」の格付を取得しており、外部からの資金調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。当社グループは、その健全な財務状況、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力、金融機関とのコミットメントライン契約金額400億円や、コマーシャルペーパー発行枠500億円などにより必要資金の確保と緊急時の流動性を確保しています。 (4) 生産、受注及び販売の実績当社グループの販売・生産品目は極めて広範囲かつ多種多様であり、また見込み生産を行う製品もあるため、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示していません。このため、販売及び生産の状況については、「(2)財政状態及び経営成績の状況」に関連づけて記載しています。 (5) 経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの事業展開、経営成績及び財務状況等に重要な影響を与えるリスク要因については、「3[事業等のリスク]」に記載のとおりです。 |
※本記事は「日本精工株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
コメント