株式会社 神戸製鋼所の基本情報

会社名株式会社 神戸製鋼所
業種鉄鋼
従業員数連39294名 単11895名
従業員平均年齢39.9歳
従業員平均勤続年数15.4年
平均年収8120000円
1株当たりの純資産2941.14円
1株当たりの純利益(連結)304.64円
決算時期3月
配当金100円
配当性向38.1%
株価収益率(PER)5.68倍
自己資本利益率(ROE)(連結)10.84%
営業活動によるCF1482億円
投資活動によるCF▲1138億円
財務活動によるCF▲962億円
研究開発費※162億円
設備投資額※131.61億円
販売費および一般管理費※1611.1億円
株主資本比率※239%
有利子負債残高(連結)※37995.19億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、既知及び未知のリスクや不確実性及びその他の要素を内包するものです。「3 事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要素によって、当社の実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況が、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。 <企業理念>KOBELCOグループの現在のグループ企業理念は、2020年に制定したものであります。2017年に公表した品質事案を契機に、閉鎖的だった企業風土を変えるべく、「我々は何者なのか」「何を目指していくのか」をあらためて見つめ直し、企業理念を明文化するプロジェクトを実施しました。その際重視したのは、ボトムアップでつくり上げるという制定プロセスであります。経営層や特定のメンバーだけでなく、各職場において実施している「語り合う場」等での議論を通じ、グループ社員一人ひとりが考える機会を設けるとともに、そこからグループ社員の思いを抽出したうえで約1年をかけて制定しました。グループ企業理念は、いわゆるビジョンやミッションにあたる「KOBELCOが実現したい未来」「KOBELCOの使命・存在意義」に、共有すべき価値観や行動規範である「KOBELCOの3つの約束」「KOBELCOの6つの誓い」を加えた4つの要素で構成されております。「KOBELCOが実現したい未来」には、「末永く安全・安心に使える技術・製品・サービスを提供していくことに加え、社会に新しい価値を提供し、今を、そして、未来をより良いものにしよう」という、創業当時から脈々と受け継がれる精神が込められております。また、「KOBELCOの使命・存在意義」は、社会のニーズに向き合う中で培ってきた多様な人材・事業・技術のかけ算により、KOBELCOならではの社会課題の解決に挑みつづけるという「あるべき姿」そのものであります。当社グループは、グループ社員が一丸となって制定したグループ企業理念を胸に「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」の実現を目指してまいります。 <KOBELCOグループのマテリアリティ(中長期的な重要課題)>KOBELCOグループでは、グループ企業理念を起点としながら中長期的な時間軸の中で社会課題の解決や新たな価値創造を通じて、当社グループが収益力を確保しつつ持続的に成長し、社会にとってかけがえのない存在となるために取り組むべき5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。 (マテリアリティの特定プロセス)CSR委員会(現サステナビリティ推進委員会)委員長が中心となり、マテリアリティの評価プロセス及び分析結果の妥当性を検証し、優先的に取り組むべきマテリアリティを検討しました。特定されたマテリアリティについては、社外取締役も含めた経営層でグループ企業理念との整合性も確認しながら議論された後、取締役会で最終承認を受けて決定しております。 マテリアリティの各項目については具体的に実現するための指標・目標を設定しており、その進捗を管理しております。2024年度には、マテリアリティの指標・目標について、外部環境の変化等を踏まえて見直しを行いました。当社グループは、5つのマテリアリティに取り組むことで社会課題の解決を推進し、持続的な成長を達成してまいります。 (注)S+3E:Safety + Energy Security, Economic Efficiency, Environment <企業構造と事業領域> 当社グループは、1905年(明治38年)に鋳鍛鋼メーカーとしてスタートし、機械事業、鉄鋼の圧延、銅、エンジニアリング、建設機械、アルミ、溶接とその事業を徐々に広げてまいりました。110年を超える歴史の中で、社会のニーズに応え、選択と拡大を進めてきた結果、現在、鉄鋼やアルミ等の素材、鋳鍛鋼やアルミ鋳鍛等の素形材、溶接材料等からなる「素材系事業」、産業用機械、エンジニアリング、建設機械からなる「機械系事業」、そして「電力事業」の3つの事業領域で事業を展開しております。これらの幅広い事業分野で培った知見や技術力をもとに、お客様や社会が抱える課題の解決に貢献できる新たな価値を創り出せることこそが当社の強みであると考えております。 当社グループが提供する製品・サービスは、輸送機、電機、建設・土木、産業機械、社会インフラ等あらゆる産業の基礎資材となっております。当社グループは、独自の技術をもとにした代替困難な素材や部材、省エネルギーや環境に配慮した様々な機械製品やエンジニアリング技術等、当社グループ独自の多彩な製品群を幅広いお客様に供給することで、競争優位性を生みだしております。また、電力事業では、極めて重要な社会的インフラである電力の供給という公共性の高いサービスを提供しており、当社グループは社会的にも大きな責任を担っているものと考えております。 素材系事業、機械系事業のいずれにおいても、競合メーカーが国内外に多数存在します。 素材系事業においては、国内外の高炉メーカー、電炉メーカー、アルミメーカー等が競合先として存在しますが、当社グループは、鉄鋼、アルミといった様々な素材と、その圧延・鋳造・鍛造技術を活用した鋳鍛鋼、アルミ鋳鍛といった多様な素形材、加えて溶接材料・溶接技術を有する当社グループの特長を活かしたソリューション提案をお客様に行うことにより、輸送機関連の分野等で競争優位性の維持・強化を目指しております。 また、機械系事業においても、産業用機械、エンジニアリング、建設機械の製品・サービス毎に国内外に競合先が存在しますが、機械においては、例えば、当社は、スクリュ・ターボ・レシプロの全ての圧縮機タイプを持つ数少ないメーカーの一つであり、お客様の用途に合わせて最適な圧縮機を提供することで競争力の維持・強化に繋げております。エンジニアリングにおいては、例えば、当社グループの持つ天然ガスを還元剤とした直接還元製鉄法(MIDREXRプロセス)が直接還元鉄の生産において世界シェア60%以上を占めております。またMIDREXRプロセスと鉄鋼の高炉操業技術を融合し、高炉工程でのCO?排出量を大幅に削減できる技術の実証に成功するなど、継続的な技術改良への取組みを進め、加えて、天然ガスの代わりに水素を還元剤とした低炭素製鉄の実証を進め、世界初の100%水素直接還元鉄プラント商業機を受注するなど、技術革新にも挑戦する中で、競争優位性の維持を図っております。建設機械においては、油圧ショベルとクレーン事業に特化する中で、静音性・省エネ技術で高い評価をいただいており、これらの技術をさらに発展させるとともにDXの活用などで競争力強化に取り組んでおります。 電力事業においては、神戸市に石炭火力発電所を、栃木県真岡市にはガス火力発電所を有しており、いずれも現在、実用化されている発電技術の中で最高効率の発電設備を導入し、省エネルギー法で定められた発電効率基準を満たすことにより、国内の火力発電所の高効率化・環境負荷低減に寄与します。なお、当社の100%子会社である(株)コベルコパワー神戸は、アンモニア20%混焼の既設改修について、電力広域的運営推進機関による長期脱炭素電源オークションへ応札し、落札されるなど、火力発電設備の更なる高効率化・低炭素化を進めております。 <KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)> 2024年5月に公表した「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」では、「“稼ぐ力の強化”と“成長追求”」、「カーボンニュートラル(CN)への挑戦」の2つを最重要課題といたしました。 「稼ぐ力の強化」により事業の土台をさらに強固なものとするとともに、経営資源を将来の成長機会に重点的に投入することで、安定的にROIC6%以上、将来の姿としてROIC8%以上を確保し、持続的に成長する企業グループを目指します。 「CNへの挑戦」については、当社グループの保有する多様な技術により、CO?排出削減貢献と、新たな事業機会の創出を積極的に推進してまいります。また、当社グループの生産プロセスについても、2030年で2013年度比30~40%のCO?を削減し、2050年でのCN実現に挑戦してまいります。 これらを実現・加速させる手段・ドライバーとして、「KOBELCO-X(コベルコ エックス)」と総称する様々な「X=変革・かけ算」に取り組み、当社グループ全体でサステナビリティ経営の強化、魅力ある企業への変革を果たし「未来に挑戦できる事業体」の確立を目指してまいります。 <当社グループを取り巻く事業環境> 「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」策定時点では、当社グループを取り巻く事業環境は、「持続可能な社会に向けた要請の高まり」や、「原材料調達コストの高騰」、「地産地消へ向かうサプライチェーンの再構築」、「国内人口減少に伴う国内需要逓減や働き手不足の顕在化」、「デジタル技術の急激な進歩」等の変化が起こることを想定していました。足もとにおいては、特に米国政権交代に伴う関税政策やエネルギー政策の変更により、サプライチェーンやCNの潮流に想定以上に急激な変化が生じております。一方で、時間軸に変化はあるものの、長期的な事業環境の想定に大きな変化はなく、引き続き、「“稼ぐ力の強化”と“成長追求”」、「CNへの挑戦」の2つの最重要課題に取り組んでまいります。 <4つの重点施策> 最重要課題である「“稼ぐ力の強化”と“成長追求”」、「CNへの挑戦」を実現するために、「将来の外部環境を見据えた“事業基盤の再整備”」、「既存事業における“新たな需要の捕捉”、“事業の幅の拡大”による成長」、「生産プロセスのCO?削減」、「変革を通じたサステナビリティ経営の強化」の4つの重点施策を着実に実行してまいります。 「将来の外部環境を見据えた“事業基盤の再整備”」については、収益化に時間を要しているアルミ板分野の自動車パネル事業において、中国鉄鋼業最大手の中国宝武鋼鉄集団有限公司が過半出資する宝武?業科技有限公司と、アルミパネルの製造・販売にかかる合弁会社を設立し中国国内における事業競争力の強化に着手いたしました。アルミ素形材事業及び建設機械事業においては、価格改善やコストダウン等のベース収益改善の取組みに注力し収益力強化に取り組んでまいります。加えて、鉄鋼や溶接等その他の素材系事業においても、国内需要の縮小や、新興国での需要の増加、CN対応等、グローバルでの競争力維持への取組みを検討してまいります。 「既存事業における“新たな需要の捕捉”、“事業の幅の拡大”による成長」については、エネルギー転換等に関連した事業拡大や新規需要を成長の機会と捉え、機械やエンジニアリング事業を中心に、既存製品の拡販強化に加えて、これまでの事業活動で培った情報や技術・ノウハウと、DX関連技術のかけ算により、コト売りやソリューションビジネス等の新たな事業領域の拡大にも取り組んでまいります。 「生産プロセスのCO?削減」については、電力事業において、アンモニア20%混焼の既設改修について、電力広域的運営推進機関による長期脱炭素電源オークションへ応札し、落札されるなど、更なる高効率化・低炭素化への取組みを進めております。鋼材事業では高炉へのHBI多配合等に取り組むなど、生産プロセスにおけるCO?削減目標の達成への道筋具体化を進めてまいります。 「変革を通じたサステナビリティ経営の強化」については、AX~GXの「KOBELCO-X」の活動を通じて、事業戦略の実現を図り、サステナビリティ経営を強化してまいります。 <事業管理指標> 当社グループは、2024年4月にグループ企業理念の実現に向けた中長期的な重要課題であるマテリアリティに関する指標及び目標を設定しております。引き続き非財務指標も含めたサステナビリティ経営に取り組み、グループ全体で企業価値向上に取り組んでまいります。 なお、マテリアリティに関する指標・目標については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。また、「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」の進捗の詳細については、当社ホームページ(https://www.kobelco.co.jp)をご参照ください。 <財務戦略> 財務戦略の基本方針は、未来に挑戦できる事業体の確立に向けて「稼ぐ力の強化」や「成長の追求」を行いつつ、 外部環境の変化による業績変動リスクや将来の大型投資に耐え得る財務基盤の更なる強化に取り組み、事業成長を支 える財務体質への変革を図ってまいります。新中期経営計画期間においては、2026年度末の純資産比率40%台前半、 D/Eレシオ※0.7倍台半ばを財務目標数値として定めております。 ※有利子負債÷自己資本
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営成績の状況当連結会計年度の我が国経済は、物価上昇や世界的な需要低迷を背景に一部で足踏みが見られるものの、賃金、雇用情勢の改善等による個人消費や企業の生産活動を中心に持ち直しの傾向が継続しました。海外経済は、米国では、物価高や金融引き締めによる影響があるものの、堅調な個人消費を背景に景気は底堅く推移しました。欧州では製造業や建設業の低迷は継続しておりますが、サービス業を中心に景気は緩やかな回復を辿りました。中国では不動産市場の低迷の継続や個人消費の伸び悩み等により、景気回復のペースは鈍化しました。このような中、当社はKOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)に掲げた「稼ぐ力の強化」と「成長追求」に取り組むとともに、物価上昇に対する価格転嫁の推進や自助努力によるコストアップの抑制に取り組んでまいりました。この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比118億円増収の2兆5,550億円となり、営業利益は、鉄鋼アルミや素形材での物価上昇分の価格転嫁の進展や機械・エンジニアリングでの既受注案件の進捗による売上高の増加等があったものの、固定費を中心としたコストの増加に加え、電力での燃料費調整の時期ずれによる増益影響の縮小や売電価格に関する一過性の増益影響(売電価格の指標となる石炭の輸入貿易統計価格と当社購入価格の差異)の縮小等により、前連結会計年度比279億円減益の1,587億円となりました。経常利益は、前連結会計年度に計上した自動車向けアルミパネル事業の再構築に伴う持分法による投資損失の解消や、建設機械における欧州でのエンジン認証に関する補償金収入の増加等があったものの、営業利益の減益により、前連結会計年度比37億円減益の1,571億円となりました。特別損益は、関西熱化学(株)の子会社化に伴う負ののれん発生益の計上があったものの、建設機械等で固定資産の減損損失を計上したこと等から161億円の損失となりましたが、税金費用の減少等により、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比106億円増益の1,201億円となりました。 当連結会計年度のセグメント毎の状況は、次のとおりであります。 <素材系事業>[鉄鋼アルミ](鉄鋼)鋼材の販売数量は、自動車向けの需要が減少した一方、厚板工場・仕上圧延機の更新完了による増加等から、前連結会計年度並となりました。販売価格は、物価上昇分の価格転嫁は進展したものの、原料価格の下落の影響等により、前連結会計年度並となりました。この結果、売上高は、前連結会計年度比2.6%増の9,144億円となりました。経常利益は、米国関係会社の業績の改善等があったものの、自動車向け販売数量の減少等の販売構成の悪化や固定費を中心としたコストの増加等により、前連結会計年度比149億円減益の243億円となりました。(アルミ板)アルミ板の販売数量は、自動車向けの需要が減少したこと等により、前連結会計年度を下回りました。販売価格は、地金価格が上昇したこと等により、前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は、前連結会計年度比5.6%増の2,017億円となりました。経常損益は、ハードディスクドライブ向けの販売数量の増加に加えて、前連結会計年度に計上した自動車向けアルミパネル事業の再構築に伴う持分法による投資損失の解消により、前連結会計年度比224億円改善の6億円の損失となりました。 鉄鋼アルミ全体では、売上高は、前連結会計年度比3.1%増の1兆1,161億円となり、経常利益は、前連結会計年度比75億円増益の236億円となりました。 [素形材]素形材の販売数量は、自動車向け需要を取り込んだ銅板で、前連結会計年度を上回りました。一方、中国での一般産業向け需要の減少により、チタンは前連結会計年度を下回りました。この結果、売上高は、前連結会計年度比6.4%増の3,171億円となり、経常利益は、価格転嫁の進展等により、前連結会計年度比74億円増益の107億円となりました。 [溶接]溶接材料の販売数量は、自動車・建築向け需要の減少、東南アジアでの需要減少等により前連結会計年度を下回りました。販売価格は、価格転嫁の進展等により、前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は、前連結会計年度並の939億円となり、経常利益は、販売数量は減少したものの、価格転嫁の進展等により、前連結会計年度比3億円増益の52億円となりました。 <機械系事業>[機械]受注高は、エネルギー・化学分野を中心に需要が堅調に推移したものの、前連結会計年度における大型案件の受注の反動等により、前連結会計年度比4.1%減の2,625億円となり、受注残高は2,544億円となりました。売上高は、既受注案件の進捗やサービス案件の増加により、前連結会計年度比13.1%増の2,651億円となり、経常利益は、本体・サービス売上が堅調に推移したこと等から、前連結会計年度比29億円増益の325億円となりました。 [エンジニアリング]受注高は、廃棄物処理関連事業で複数の大型案件を受注した前連結会計年度に比べ、23.1%減の1,647億円となり、受注残高は4,419億円となりました。売上高は、既受注案件の進捗等により、前連結会計年度比2.5%増の1,748億円となり、経常利益は、前連結会計年度比36億円増益の161億円となりました。 [建設機械]油圧ショベルの販売台数は、金利の高止まり等により、北米、欧州の需要が低迷したこと等から、前連結会計年度を下回りました。一方、クローラクレーンの販売台数は、エンジン認証問題対応の進展等で北米を中心に増加したことにより、前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は、前連結会計年度比4.0%減の3,880億円となり、経常利益は、固定費を中心としたコストアップがあったものの、価格転嫁の進展やエンジン認証問題に関する補償金収入等により、前連結会計年度比96億円増益の187億円となりました。 <電力事業>[電力]販売電力量は、前連結会計年度を下回りました。販売電力単価は発電用石炭価格の変動に伴い前連結会計年度比で下落しました。この結果、売上高は、前連結会計年度比18.1%減の2,588億円となり、経常利益は、神戸発電所3・4号機における燃料費調整の時期ずれによる増益影響の縮小や神戸発電所1~4号機における売電価格に関する一過性の増益影響の縮小等により、前連結会計年度比334億円減益の523億円となりました。 <その他>売上高は、前連結会計年度比17.4%減の89億円となり、経常利益は、前連結会計年度比9億円減益の38億円となりました。 (2)財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、法人税等や配当金の支払等により、現金及び預金が減少したこと等から、前連結会計年度末に比べ287億円減少し2兆8,910億円となりました。負債については、支払手形及び買掛金や未払法人税等が減少したこと等から、前連結会計年度末に比べ1,384億円減少し1兆6,539億円となりました。純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと等から、前連結会計年度末に比べ1,097億円増加し1兆2,370億円となりました。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標目標指標推移目標指標目標(2024年度以降)2021年度(実績)2022年度(実績)2023年度(実績)2024年度(実績)ROIC(税引後事業利益/投下資本)6%以上4.7%4.9%6.7%6.9%D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)0.7倍半ば1.19倍1.00倍0.83倍0.76倍純資産比率(純資産/総資産)40%台前半32.0%34.0%38.6%42.8% (4)生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における下記セグメントの生産実績は、次のとおりであります。セグメントの名称区分生産数量(千トン)前連結会計年度(2023年4月~ 2024年3月)当連結会計年度(2024年4月~ 2025年3月)差異前期比 (%)鉄鋼アルミ粗鋼6,0206,013△7△0.1%アルミ板319307△12△3.8%素形材アルミ押出424424.9%銅板535412.0%(注)粗鋼には、高砂製作所の電炉の生産数量を含めております。 b.受注実績当連結会計年度における下記セグメントの受注実績は、次のとおりであります。セグメントの名称区分受注高(百万円)前連結会計年度(2023年4月~2024年3月)当連結会計年度(2024年4月~2025年3月)差異前期比(%)機械国内119,103114,045△5,058△4.2%海外154,692148,469△6,222△4.0%合計273,795262,515△11,280△4.1%エンジニアリング国内141,905104,265△37,639△26.5%海外72,39460,448△11,946△16.5%合計214,300164,713△49,586△23.1% セグメントの名称区分受注残高(百万円)前連結会計年度末(2024年3月)当連結会計年度末(2025年3月)差異前期比(%)機械国内69,79174,3524,5616.5%海外182,073180,119△1,954△1.1%合計251,864254,4712,6071.0%エンジニアリング国内312,950306,847△6,103△2.0%海外120,702135,12314,42111.9%合計433,653441,9718,3181.9% c.販売実績当連結会計年度におけるセグメント毎の販売実績は、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度(2023年4月~ 2024年3月)当連結会計年度(2024年4月~ 2025年3月)差異前期比 (%) 鉄鋼891,621914,42222,8002.6 アルミ板191,101201,73810,6375.6鉄鋼アルミ1,082,7221,116,16033,4373.1素形材298,105317,12919,0246.4溶接93,52993,9113820.4機械234,515265,15730,64113.1エンジニアリング170,644174,8484,2042.5建設機械404,056388,038△16,018△4.0電力315,950258,807△57,143△18.1その他10,8048,928△1,876△17.4調整額△67,186△67,949△763-合計2,543,1422,555,03111,8890.5(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前連結会計年度(2023年4月~2024年3月)当連結会計年度(2024年4月~2025年3月)金額 (百万円)割合 (%)金額 (百万円)割合 (%)神鋼商事(株)280,07111.0289,83511.3 (5)資本の財源及び資金の流動性に関する情報①資本の財源及び資金の流動性a.財務戦略「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」における財務戦略の基本方針は、未来に挑戦できる事業体の確立に向けて「稼ぐ力の強化」や「成長追求」に取り組むとともに、外部環境の変化による業績変動リスクや将来の大型投資に耐え得る財務基盤の更なる強化を図り、事業成長を支える財務体質への変革を目指すこととしております。本中期経営計画期間においては、2026年度末の純資産比率40%台前半、D/Eレシオ※0.7倍台半ばを財務目標数値として定めておりますが、2024年度末の純資産比率は42.8%、D/Eレシオは0.76倍と着実に改善しております。引き続き、稼ぐ力の強化・成長追求に向けた投資、将来の資金需要を踏まえた資産売却・現預金水準の圧縮等による資本効率の最大化を推進してまいります。 ※有利子負債÷自己資本 b.資金需要の主な内容当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容です。投資活動については、設備老朽化に伴う更新投資や事業伸張・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投融資が主な内容です。今後、将来見込まれる成長分野での資金需要や、最新の市場環境及び受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行う一方、必要な設備投資や研究開発投資等を継続してまいります。 ②当連結会計年度の実績a.キャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度のキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上等により、営業活動によるキャッシュ・フローは1,482億円の収入となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出等から△1,138億円の支出となり、その結果、フリーキャッシュ・フローは343億円の収入となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済等により△962億円の支出となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は前年度末比で588億円減少し、2,198億円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 前連結会計年度と比べて、棚卸資産の増加や支払債務の減少等により運転資本が増加したことに加え、法人税等の支払額が増加したことから、570億円収入が減少しました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 前連結会計年度の固定資産売却による収入が剥落したこと等から、前連結会計年度に比べて601億円支出が増加しました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 有利子負債の返済による支出の増加や子会社株式の取得による支出の増加等から、前連結会計年度に比べて150億円支出が増加しました。 (単位:億円) 2023年度2024年度差異営業キャッシュ・フロー2,0521,482△570投資キャッシュ・フロー△537△1,138△601フリーキャッシュ・フロー1,515343△1,171財務キャッシュ・フロー△812△962△150(うち、株主還元)(△276)(△355)(△78)株主還元後のフリーキャッシュ・フロー1,238△11△1,250現金及び現金同等物の期末残高2,7872,198△588 b.有利子負債の状況 有利子負債は、借入金の返済が増加した一方で、関西熱化学(株)を完全子会社化したこと等から、前連結会計年度から128億円増加の8,863億円となり、株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、873億円増加の1兆17億円となりました。 当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していること等から、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要があり、当連結会計年度末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが2,571億円、返済期限が1年を超えるものが6,291億円となっております。 (単位:億円) 2023年度2024年度有利子負債(注1) (リース債務を含む)8,7358,863株主資本9,14310,017D/Eレシオ (有利子負債/自己資本)0.83倍0.76倍 (注1)当連結会計年度末現在の有利子負債の内訳(単位:億円) 合計1年内1年超短期借入金481481-長期借入金6,2131,4214,791社債1,6503501,300リース債務518318199合計8,8632,5716,291 (6)重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用しております。  連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、連結貸借対照表上の資産及び負債の計上額、並びに、連結損益計算書上の収益及び費用の計上額に影響を与えるような会計上の見積りを行う必要があります。会計上の見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っておりますが、前提条件や事業環境等に変化が生じた場合には、見積りと将来の実績が異なることがあります。 会計上の見積りが必要となる項目のうち、経営者が当社グループの財政状態又は経営成績に対して重要な影響を与える可能性があると認識している主な項目は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

※本記事は「株式会社 神戸製鋼所」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

スポンサーリンク

連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

コメント