日本碍子株式会社の基本情報

会社名日本碍子株式会社
業種ガラス・土石製品
従業員数連19540名 単4775名
従業員平均年齢40.2歳
従業員平均勤続年数15年
平均年収8553909円
1株当たりの純資産2334.21円
1株当たりの純利益133.65円
決算時期年3
配当金50円
配当性向47.6%
株価収益率(PER)15.3倍
自己資本利益率(ROE)6.1%
営業活動によるCF991億円
投資活動によるCF▲685億円
財務活動によるCF▲361億円
研究開発費※112.93億円
設備投資額※132.51億円
販売費および一般管理費※1894.56億円
株主資本比率※251.9%
有利子負債残高(連結)※32184.28億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。(1)会社の経営の基本方針当社グループが掲げる「NGKグループ理念」と「NGKグループビジョン Road to 2050」は以下の通りです。 <NGKグループ理念> https://www.ngk.co.jp/info/philosophy/ 私たちの使命    「社会に新しい価値を そして、幸せを」  私たちが目指すもの    「人材 挑戦し高めあう」    「製品 期待を超えていく」   「経営 信頼こそが全ての礎」 <NGKグループビジョン Road to 2050>  https://www.ngk.co.jp/info/vision/2050年の未来社会を見据え、カーボンニュートラルの実現とデジタル社会への爆発的進化という大きな流れを新たな発展機会と捉え、①ESG経営の推進、②収益力向上、③研究開発への注力、④商品開花への注力、⑤DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進の5つの変革に取り組み“Surprising Ceramics.”をスローガンに当社独自のセラミック技術を活かし、「第三の創業」に向けて事業構成の転換を図ってまいります。 (2)主要な経営指標と資本政策当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本効率を重視した経営を推進しております。関連性の高い投下資本利益率(NGK版ROIC)を管理指標に採用し、投下資本の代わりに事業資産(売掛債権、棚卸資産、固定資産)、税引後利益の代わりに事業部門の営業利益を用いることにより、事業部門が自ら目標管理できるようにしております。既存事業の収益力の向上と共に、2030年に新事業化品売上高を1,000億円以上とする「New Value 1000」を目標に掲げ、研究開発とマーケティングに注力することにより売上高成長率の維持・向上を実現し、利益成長を目指します。中長期の観点でROE10%以上の水準を意識し、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合した資本政策を展開します。株主・投資家との透明で適切なコミュニケーションで資本コストの引き下げに努めると共に、これを上回る収益性確保に向けて事業計画の立案や設備投資の意思決定プロセスを回してまいります。また、配当性向及び純資産配当率等を参照して積極的な株主還元に努めます。これらにより財務健全性との両立を図りつつ、ROEを構成する利益率、資本回転率、財務レバレッジを事業戦略と整合した健全な水準に維持することを目指します。更に、当社の企業価値向上に資する管理指標として、営業利益にCO2排出コストや労務費、研究開発費、ESG目標達成率を加味したNGK版付加価値(NGK Value-added)を使用しております。環境負荷の低減や人権尊重への取組みなど多岐にわたる社会的責任を果たすとともに、将来の競争力の源泉である人的資本や研究開発への投資を積極的に行いつつ、着実に利益成長を実現できるよう付加価値の拡大に努めてまいります。 (3)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上、財務上の課題当社グループを取り巻く環境は、不動産市場が低迷する中国経済の鈍化、ロシアによるウクライナ侵攻や中東の紛争が長期化する状況下、2024年は世界的な選挙イヤーでもあり、不透明な状況が続くことが予想されます。一方、中長期の観点では、「地球沸騰化」と表現されるように地球温暖化の進行による影響が危機的な状況にある中、脱炭素社会実現に向けたカーボンニュートラルへの取組みは拡大していきます。また生成AI(人工知能)時代の到来を迎え、情報通信が高度化しデジタル社会の発展は加速度的に進展すると想定しております。当社グループは社会に新しい価値を提供する企業を目指し、NGKグループビジョンにおいて「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」ことをありたい姿として定め、その実現に向けて「5つの変革」を推進しております。当社グループの基幹事業である自動車関連製品は電動化の進展により縮小していく懸念はありますが、2050年の未来社会に向けて、カーボンニュートラルやデジタルソサエティ関連の製品を拡大させ、事業構成の転換を着実に進めるべく、「ESG経営の推進」と「既存事業の収益力向上と新規事業の創出」を図ってまいります。 当社グループの重点課題に対する取組みは以下の通りです。 ① ESG経営の推進当社グループは、持続的な成長と将来のありたい姿への変容を推進すべく、ESGを経営の中心に位置づけております。NGKグループ理念「社会に新しい価値を そして、幸せを」に基づき、独自のセラミック技術で新しい価値を提供することで持続可能な社会の実現に貢献し、社会の皆さまからの期待に応え、信頼を得たいと考えています。これをNGKグループのサステナビリティに係わる基本的な考え方とし、NGKグループ理念の実現に向けて、ESG(環境・社会・企業統治)及びSDGs(持続可能な開発目標)を念頭に置きつつ、カーボンニュートラルとデジタル社会の実現に貢献し、持続的な企業価値の向上を目指します。また、当社グループは海外19カ国で36のグループ会社(うち製造会社18社)がビジネスを展開しており、これらの目標達成と経営の透明性・自律性を高めるべく、グループで働く全員が公正な価値観や国際的な水準の判断基準に従って行動できるよう環境整備を進めております。その一環として、国の内外において、関係法令、国際ルール及びその精神を遵守しつつ、高い倫理観をもって社会的責任を果たすべく、会社の姿勢を示す「NGKグループ企業行動指針」、役員や従業員が従うべき道筋を示した「NGKグループ行動規範」を改定・制定し、運用を開始いたしました。社長を委員長とする「ESG統括委員会」のもと、全てのステークホルダーに信頼されることを目指してESG要素を始めとする当社グループのサステナビリティ課題に取り組み、これを取締役会が適切に監督してまいります。 〔環境(E)〕当社グループは、2050年までにCO2排出量ネットゼロとする目標を掲げ、カーボンニュートラル、循環型社会、自然との共生への寄与を骨子とした「NGKグループ環境ビジョン」を策定し、具体的な行動計画として「カーボンニュートラル戦略ロードマップ」と「第5期環境行動5カ年計画」を定め、その実現を目指しております。5カ年計画の最終年度となる2025年度には目標値であるScope1及びScope2におけるCO2排出量55万トン(2013年度比25%削減)を達成できる見通しであります。マイルストーン(中間目標)とする2030年度の同37万トンの排出量(同50%削減)についても、2025年度までに海外拠点で使用する電力全量の再生可能エネルギー由来への切り替え、国内外の製造拠点への合計32メガワットの太陽光発電設備の導入などにより達成を目指します。また、目標達成を前倒しで実現すべく、水素やアンモニアなどカーボンニュートラル燃料によるセラミック焼成技術や、CO2の回収・利用・貯蔵関連技術として、ガス分離膜や大気中のCO2を直接回収するDAC(Direct Air Capture)の開発、CO2を再利用するメタネーションの実証試験を推進しており、当社グループ内での実証・適用を進めるほか、カーボンニュートラル関連製品・サービスの開発にも取り組んでまいります。2023年11月には3年連続となるグリーンボンド(無担保社債)を発行しました。環境効果のある製品・サービスの提供、自社の事業活動・生産活動におけるカーボンニュートラルへの取組みなどを加速してまいります。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に関する情報を当社ウェブサイト等に開示しているとともに、自然との共生への対応については、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のアーリーアダプター(早期採用者)として賛同を表明しました。今後も社会的な要請に遅れることなく関連情報の開示を拡充してまいります。 〔社会(S)〕当社グループは、自社及びサプライチェーンにおける人権を尊重する取組みを展開することで、事業活動が影響を及ぼす全ての人々の人権が侵害されることのない社会づくりに貢献します。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「NGKグループ人権方針」を定めたほか、英国現代奴隷法に関する声明を開示、また「子どもの権利とビジネス原則」を支持し事業活動において子どもの権利を尊重し、子どもの権利の推進に向けた社会貢献活動等に取り組むことを宣言しております。当社グループは、NGKグループ理念の中で、「挑戦し高めあう人材」を私たちが目指すものの1つと位置づけ、「社会に新しい価値を そして、幸せを」という私たちの使命の実現と、NGKグループビジョンの実現に向けた「5つの変革」に取り組んでおります。これらを成し遂げるためには、人材一人ひとりの活躍が不可欠です。2023年6月に「NGKグループ人的資本経営方針」、「人材育成方針」ならびに「社内環境整備方針」を定め、採用や育成を通じて5つの変革に取り組む人材の充実を図ること、その人材が持てる力を十分に発揮できる環境を整えることを推進してまいります。当社では、自律的な成長に取り組むことが出来るような多様なキャリアパスの提供や、テレワーク活用といった柔軟な働き方、長時間労働の削減を中心とする社内環境整備などの施策にも取り組んでおります。女性活躍については、新卒採用に占める女性比率の数値目標を設定すると共に、配属先・異動先での職域拡大を図っています。また、育休・産休取得者のキャリア早期再開を促すための早期復職支援制度の導入、育休からの復職者研修の実施、男性育休制度の拡充などの制度面からのアプローチに加えて、仕事と家庭の両立への理解を深めることを目的とした社内講演会を開催するなど、女性が活躍しやすい環境づくりに取り組んでおります。海外人材については、当社グループは従業員約20,000人のうち、約6割が海外に所在しております。グループ運営において、それぞれの地域の事情、文化、習慣に基づく素早く適切な意思決定を行うためには現地人材の活躍が不可欠と考えており、海外拠点の幹部層も現地化するなど、現地人材の積極的な登用に努めております。当社は、内閣府、中小企業庁が推進する「パートナーシップ構築宣言」を公表しております。当社グループのサプライチェーンにおいては、サプライチェーンを構成する調達パートナーと公正・公平な取引を行い、共に繁栄を図るため、「門戸開放」「共存共栄」「社会的協調」を調達の基本軸に掲げ、地球環境の保全、人権尊重、労働環境などに配慮した「NGKグループ調達方針」を定めております。また取引先企業への訪問や実態調査アンケート等を通して、サステナブル調達へのリスク・CSR詳細評価を行っております。 〔ガバナンス(G)〕コーポレートガバナンスについては、取締役会の更なる機能発揮の観点から、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に資する独立社外取締役を選任し、その数を全取締役の3分の1以上としております。また、経営の透明性を確保し取締役会の監督・監視機能を強化するため、独立社外取締役を過半数として構成する指名・報酬諮問委員会で役員の人事及び報酬決定等に係る公正性の確保及び透明性の向上を図ると共に、社外役員を主要な構成員とし役員等が関与する不正及び法令違反等への対応を取り扱う経営倫理委員会を設置し、取締役会への答申又は報告、勧告等を行うこととしております。役員等が関与する不正・法令違反に歯止めをかける仕組みとして、従業員からの相談・報告を受けるヘルプライン制度とは別に、社外弁護士を通じて経営倫理委員会に直接報告するホットライン制度を設置し、経営陣から独立した通報体制を設けるなど、コンプライアンス体制の充実を図っております。また、当社グループで働く全ての人が倫理観を持って正しい事業活動を行うための道しるべとして「NGKグループ企業行動指針」及び「NGKグループ行動規範」を策定しており、その周知徹底に取り組んでおります。さらに様々な領域で取り組むコンプライアンス活動を国際的な水準に照らして評価検証し、共通の理解と価値観に基づき継続的に改善する仕組み作りを行うため、「コンプライアンス活動基本要領」を制定しております。競争法及び海外腐敗行為防止法などの法令遵守については、2024年4月に「NGKグループ腐敗防止方針」を新たに定めたと共に、継続的な経営トップのメッセージ発信、国内外グループ会社の役員・従業員向けのコンプライアンス教育の実施、国際的な水準に沿った競争法遵守プログラムの運用、「競争法遵守ハンドブック」の活用などにより徹底を図っております。品質コンプライアンスについては、経営トップによる品質活動や品質委員会の直接指導の実施などの仕組みを強化すると共に、経営層及び従業員に対する品質教育の徹底など企業体質の改善に取り組んでおります。労働環境の安全面では、リスクアセスメントの推進による重大災害リスクの特定と未然防止対策の強化に加え、グループ全体の現場マネジメント力の強化を図り、業務災害リスクの低減に取り組んでまいります。リスクマネジメントについては、経営レベルの視点から重要と考えるリスクを事業環境、戦略、内部要因に分類し継続的に見直しを行っております。当社グループのサステナビリティ課題を含む個別のリスク事項については、各種の委員会を設置してリスク管理を行っておりますが、国内外の環境変化が加速する中、部門を横断し全社視点で取締役会につながる統合的なリスク管理の仕組みを構築するため、2023年度より社長直轄の統括委員会として「リスク統括委員会」を設置し、重点フォローリスクについて取締役会の決議を経て対応策の検討を開始いたしました。 ② 既存事業の収益力向上と新規事業の創出当社グループは、全社の視点から企業価値を高めるために事業ポートフォリオ方針を定め、NGK版ROICを用いた収益性と、売上高成長率を用いた成長性の二軸で精査しております。コア事業や今後の成長が期待される事業群への経営資源の投入を検討するほか、低成長・低収益に区分される事業については、今後の事業継続の判断において単年度及び中期的な経営計画に基づく計数面での評価に加えて、長期的な視点での成長可能性、収益性等を個別に社内の戦略会議等で議論し、経営に関する重要な事項として取締役会が監督してまいります。また、設備投資の意思決定にあたっては、個別の投資の回収期間のほか、NGK版ROICやインターナルカーボンプライシング(ICP)を用いたESG視点での価値評価も考慮し判断してまいります。さらに持続的な利益成長と将来の企業価値の源泉となる人的資本や知的資本への投資を両立させ、同時に環境負荷の低減や人権尊重への取組みなどサステナビリティに関する取組みも総合的に評価するため、管理指標として営業利益にCO2排出コストや労務費、研究開発費、ESG目標達成率を加味したNGK版付加価値(NGK Value-added)を導入しております。これにより、短期の収益性や中長期の成長性といった財務価値に加えて財務諸表に表れない非財務価値を高めて、企業価値向上につなげてまいります。各事業の収益性改善に向けて、世界的なインフレに伴う費用増を適切に価格に転嫁していくほか、収益力をさらに高めるべく「モノづくり∞(チェーン)革新」を進めております。モノづくりチェーンにおける理想と現状のギャップを埋める「生産革新活動」、工場単位のロス削減により製造原価を改善する「原価低減活動」を柱とし、デジタル技術の活用によりモノづくりシステムの高度化とグローバル連携を進め、原燃料費などの高騰や需要変動に対して、更なる原価低減とリードタイムの短縮、在庫の削減に取り組むことで、収益力強化につなげてまいります。DX推進については、NGKグループデジタルビジョンのもと、グループ全体で加速させてまいります。モノづくり領域に加え、新規材料の開発や開発リードタイムを短縮するマテリアルズ・インフォマティクスや特許戦略にIPランドスケープを活用する等データを活用した価値創造や、本社・間接部門における徹底的な業務効率化とデータ連携を進め、固定費の削減やデータに基づく業務履行と意思決定へと変革を推進します。事業構成の転換には新規事業の創出が不可欠であり、その重要施策として、2030年に新事業化品売上高を1,000億円以上とする「New Value 1000」を目標に掲げております。マーケティング機能を主体としたNV推進本部、セラミックス材料技術や要素技術など当社独自の差異化技術を有する研究開発本部、生産技術・エンジニアリングなどの製造技術本部の3本部が連携し「研究開発」から「商品開花」へのスピードを高めてまいります。2024年度の研究開発費は前年度同様過去最高水準の310億円を投じることを計画しており、2021年からの5年間で1,300億円を投じるとしたNGKグループビジョンを上回るペースで進めております。2021年から2030年までの10年間で3,000億円、うち8割をカーボンニュートラルとデジタル社会関連に配分し、社会課題の解決に資する将来の有望なテーマに対して重点的に経営資源を投じてまいります。また、開発スピードを上げつつこれまで以上の差異化技術を作るべく、早い段階から製造技術本部を巻き込んだコンカレント開発に取り組むほか、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業への出資など外部とのアライアンスを活用した新製品・新規事業の創出も積極的に推進し、事業構成の転換を図ってまいります。 セグメント別の重点課題は以下の通りです。各報告セグメントを構成する主要製品については、「第5 経理の状況 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](追加情報)(セグメント区分の変更)」をご覧ください。 〔エンバイロメント事業〕世界の自動車生産の回復や各国の排ガス規制強化等により、当面は高水準の需要に対応しつつ生産性の改善やグローバル生産体制の最適化と安定供給体制の構築により利益最大化を目指します。電気自動車の普及拡大により将来的には内燃機関ビジネスは漸減するものの、短期的には欧州をはじめとする更なる規制強化に対応すべく、新製品のガソリンセンサーの開発を加速させることに加え、CO2センサーの潜在的な需要に対する準備を開始するとともに、中長期の需要縮小局面において適正な収益を確保できる価格の見直しを進めてまいります。また、世界的に拡大が期待されるカーボンニュートラル関連市場に対して、大気中のCO2を直接回収するDAC(Direct Air Capture)や、CO2、窒素、水素など分子レベルで分離するサブナノセラミック膜など、社会の環境ニーズに貢献できる製品や設備の早期事業化に向けて、産業プロセス事業をエンバイロメント事業区分に組み込むとともに、CN事業推進部を新設し、本社工場の一部を新製品開発拠点に再編、開発体制を強化いたしました。広義に環境関連を包含する事業として、高付加価値品の投入、技術イノベーションで貢献してまいります。 〔デジタルソサエティ事業〕NGKグループビジョンで掲げたデジタル社会関連の事業領域は、世界経済の回復鈍化に伴い短期的には需要が弱含むものの、中長期ではIoTや5Gの進展などにより半導体関連や電子部品関連の拡大が期待されております。半導体製造装置用製品や電子部品関連については、次世代製品の開発や顧客開拓を進めるほか、中長期を見据えた設備投資を進め、拡大する需要に対応してまいります。また、絶縁放熱回路基板の供給能力向上や通信分野の高度化及びパワーモジュールに資す複合ウエハーの開発を着実に進め、デジタル社会に貢献する製品群の拡大を目指します。 〔エネルギー&インダストリー事業〕2050年のカーボンニュートラルを目指し、脱炭素の動きが世界中で活発化する中、蓄電池の重要性も一層高まっております。エナジーストレージ関連では、NASR電池の本格的な需要拡大には暫く時間を要しますが、大容量、長寿命、長時間充放電等の特性を生かした商機の掘り起こしを図ってまいります。NASR電池を活用し、エネルギーリソースをIoT技術で統合制御し電力需給バランスを調整するVPPサービスを開始するなど、従来の「モノ売り」に加え、サービスや価値を提供する「コト売り」を新事業領域として注力してまいります。がいしは、国内電力会社の設備投資抑制が続く中、中長期の市場変化を想定した事業の効率化を継続的に進めてまいります。 当社グループは、こうした取組みを通じて経営基盤の更なる強化に努め、資本効率重視、株主重視の経営を継続すると共に、持続的な成長と企業価値の向上を通して将来のありたい姿の実現を目指してまいります。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度における世界経済は、米国においては、個人消費や雇用・所得環境を中心に底堅く推移した一方、中国では不動産市場や外需関連に弱さがみられ緩やかに減速傾向が続いたほか、欧州も金融引き締めや中国経済減速の影響を受けたことから、海外経済の回復ペースは鈍化いたしました。日本については、海外経済の影響を受けながらも、高水準の企業収益に支えられ緩やかに回復し、雇用・所得環境にも改善が見られました。このような状況のもと、当社グループにおきましては、エンバイロメント事業では、中国経済の減速に伴いトラック販売台数が弱含んだものの、世界全体の乗用車販売台数が堅調であったことから、自動車関連製品の出荷は増加しました。デジタルソサエティ事業では、半導体投資やデータセンター投資の減少により、半導体製造装置用製品やハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーター等の出荷が減少しました。エネルギー&インダストリー事業では、米国、台湾、豪州等のインフラ投資が活況で、がいしの出荷が増加しました。これらの結果、当連結会計年度における売上高は、半導体製造装置用製品などの物量が減少したものの、自動車関連製品などの物量増加や、為替円安によるプラス効果から前期比3.5%増の5,789億13百万円となりました。利益面では、営業利益は為替円安も、原燃料価格高騰や研究開発費の増加が影響し、同0.5%減の663億97百万円となりました。経常利益は営業利益の減少や為替差損などにより同4.3%減の630億42百万円、親会社株主に帰属する当期純利益については、需要の減少により業績の悪化したパッケージ事業用資産に対し減損損失を計上したことなどから同26.3%減の405億62百万円となりました。当社グループは、自己資本利益率(ROE)を主要な経営指標とし、資本効率を重視した経営を推進しております。関連性の高い投下資本利益率(NGK版ROIC)を管理指標に採用し、投下資本の代わりに事業資産(売掛債権、棚卸資産、固定資産)、税引後利益の代わりに事業部門の営業利益を用いることにより、事業部門が自ら目標管理できるようにしております。中長期の観点でROE10%以上の水準を意識し、持続的な企業価値の向上に資するよう事業リスクの変化に適合した資本政策を展開します。当連結会計年度におけるROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が減少したこと等から6.1%(前年同期比2.9ポイント悪化)となり、目標である10%以上の水準を下回りました。今後は資本効率の向上等を通して、ROEの改善・向上に努めてまいります。 セグメントの業績は次の通りであります。〔エンバイロメント事業〕当事業の売上高は、3,619億44百万円と前期に比して12.8%増加いたしました。半導体等の部品供給不足の状況改善に伴う自動車生産の回復や、排ガス規制の強化により自動車関連製品の出荷が増加したほか、為替円安のプラス効果により増収となりました。営業利益は、需要の増加、為替円安のプラス効果に加え、コストダウンの効果も加わり前期比25.3%増の635億64百万円となりました。 〔デジタルソサエティ事業〕当事業の売上高は、1,381億74百万円と前期に比して15.3%減少いたしました。半導体投資やデータセンター投資の抑制等に伴い、半導体製造装置用製品やハードディスクドライブ(HDD)用圧電マイクロアクチュエーター等の出荷が減少し、為替円安のプラス影響はあったものの減収となりました。営業利益は、為替円安のプラス効果があったものの、出荷物量の減少に加え、減価償却費の増加などにより前期比87.0%減の22億84百万円となりました。 〔エネルギー&インダストリー事業〕当事業の売上高は、808億42百万円と前期に比して4.0%増加いたしました。がいしは、送電網強化や再エネ投資により、米国、台湾、豪州等で需要が増加した一方で、電力貯蔵用NASR電池(ナトリウム/硫黄電池)及び産業機器関連製品は、前期並みの出荷が継続しました。為替円安のプラス効果も加わり、全体で増収となりました。損益面では、がいしの需要増、為替円安のプラス効果により前期15億36百万円の営業損失から5億32百万円の営業利益に転じました。 生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)前年同期比(%)エンバイロメント事業(百万円)366,010116.1デジタルソサエティ事業(百万円)141,94979.6エネルギー&インダストリー事業(百万円)94,902113.3合計(百万円)602,861104.4 (注)1.購入品仕入実績については区分して記載することが困難なため、生産実績に含めて記載しております。2.上記は、販売価格をもって表示しております。3.セグメント間取引については、相殺消去しております。 ②受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)エンバイロメント事業362,260113.03,226111.1デジタルソサエティ事業129,90479.693,155100.6エネルギー&インダストリー事業87,833106.170,453116.1合計579,997102.4166,835106.8 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)前年同期比(%)エンバイロメント事業(百万円)361,937112.8デジタルソサエティ事業(百万円)138,15084.7エネルギー&インダストリー事業(百万円)78,826104.7合計(百万円)578,913103.5 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 (2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比し9.6%増加し1兆1,275億76百万円となりました。流動資産は、現金及び預金や棚卸資産などが増加したことから、前期比11.9%増の6,421億51百万円となりました。固定資産は、前期比6.6%増の4,854億25百万円となりました。流動負債は、1年以内返済予定の長期借入金や契約負債などが増加したことから、前期比17.6%増の1,758億3百万円となりました。固定負債は、長期借入金が減少した一方、社債や繰延税金負債などが増加したことにより、同4.8%増の2,485億47百万円となりました。純資産は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定などが増加したことなどから、前期比9.5%増の7,032億25百万円となりました。これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は61.7%(前連結会計年度末61.7%)となり、1株当たり純資産は2,334.21円と、前期を259.55円上回りました。 セグメントごとの資産は、次の通りであります。〔エンバイロメント事業〕当事業の総資産は、売上債権や資金が増加したことなどにより前期比4.0%増加の4,979億33百万円となりました。〔デジタルソサエティ事業〕当事業の総資産は、棚卸資産が増加したほか、増産投資により有形固定資産が増加したことなどにより前期比5.2%増加の2,094億11百万円となりました。〔エネルギー&インダストリー事業〕当事業の総資産は、資金が増加したことなどにより前期比19.2%増加の1,105億78百万円となりました。 (3) キャッシュ・フロー当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による991億59百万円の収入、投資活動による685億93百万円の支出、及び財務活動による361億23百万円の支出などにより、前期末に比し25億68百万円増加し、当期末残高は1,714億32百万円となりました。 〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産が増加しましたが、税金等調整前当期純利益561億75百万円に減価償却費を加え、合計では991億59百万円の収入となりました。前期との比較では、12億9百万円の収入増となりました。 〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、自動車関連製品や半導体製造装置用製品を中心とした設備投資に加え、有価証券の取得や定期預金の増加による支出もあり、合計で685億93百万円の支出となりました。前期との比較では、165億86百万円の支出増となりました。 〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、将来の設備投資やカーボンニュートラルへの取組みなどへ充当するため長期借入れ及び社債の発行を実施した一方、長期借入金の返済や配当金の支払い、自己株式の取得などによる支出から、合計で361億23百万円の支出となりました。前期との比較では、15億54百万円の支出増となりました。 資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料の購入費用、労務費等の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の調達について、調達手段の多様化を図ることで、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。また、グループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、国内外でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 [連結財務諸表等](1)[連結財務諸表] [注記事項] (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

※本記事は「日本碍子株式会社」の令和6年年3期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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