会社名 | 株式会社ブリヂストン |
業種 | ゴム製品 |
従業員数 | 連125199名 単14106名 |
従業員平均年齢 | 41.6歳 |
従業員平均勤続年数 | 15.2年 |
平均年収 | 7483000円 |
1株当たりの純資産 | 2942.56円 |
1株当たりの純利益 | -2.86円 |
決算時期 | 12月 |
配当金 | 200円 |
配当性向 | 48.2% |
株価収益率(PER) | 10倍 |
自己資本利益率(ROE) | -0.1% |
営業活動によるCF | 4839億円 |
投資活動によるCF | ▲1577億円 |
財務活動によるCF | 610億円 |
研究開発費※1 | 1220億円 |
設備投資額※1 | 733億円 |
販売費および一般管理費※1 | 386.08億円 |
株主資本比率※2 | 68.2% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの事業環境は、国際関係・政治・経済・環境問題・技術革新といったあらゆる面において、変化が複合的・加速度的に起こり続けています。さらに、気候変動対策をはじめとしたサステナビリティに取り組むことの重要性も、より一層高まり、EV化、デジタル化の加速など、モビリティ業界におけるCASE(ケース)、MaaS(マース)の動きへも繋がっています。このような事業環境において、新興EVメーカーが急成長を遂げるなどモビリティ業界の構造変化が進むと共に、タイヤに求められる価値も大きく変化し続けています。当社グループは、変化が常態化し、予測困難な時代を生き抜き、ビジョンに掲げる「サステナブルなソリューションカンパニー」として社会価値・顧客価値を持続的に提供し続けるため、2022年に発表した「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」を当社創立100周年となる2031年へ向けた道筋として、常態化する変化に動じず、ゴムのように強靭でしなやかに、変化をチャンスに変えるということを意味するレジリアントな“エクセレント”ブリヂストンを目指し、変革を加速しております。2023年に最終年を迎えた中期事業計画(2021-2023)においては、事業環境の変化に対応できる強いブリヂストンへ戻すことを目指して歩を進めてまいりました。コア事業であるプレミアムタイヤ事業においては、乗用車用高インチタイヤや鉱山車両用タイヤなどのプレミアムタイヤとリトレッドの生産強化投資を実行すると共に、プレミアム領域へのフォーカスをより一層徹底するなど今後の成長へ向けた布石を打ちました。一方で、成長事業と位置付けたソリューション事業では、プレミアムタイヤ事業との連動を深めることで成長を図りましたが、成長性・収益性の観点から欧米の乗用車用タイヤ向けソリューションの一部中止を決定するなど、今後の成長へ向けては課題が残る結果となりました。このような中期事業計画(2021-2023)の結果を踏まえて、2024年は、PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを迅速に回し、継続的改善及び、経営・業務品質の向上を徹底してまいります。2024年を初年度とする中期事業計画(2024-2026 : 2026年度 売上収益4兆8,000億円レベル、調整後営業利益6,400億円レベル、調整後営業利益率13%レベル、ROIC10%レベル、ROE11%レベル)においては、中期事業計画(2021-2023)から継続して以下の3つの軸に沿って、経営を進めてまいります。その1つ目は、「過去の課題に正面から向き合い、先送りしない」、2つ目は、「足元をしっかり、実行と結果に拘る」、3つ目は2030年をマイルストンとした「将来への布石を打つ」であります。また、経営・業務品質の向上を徹底させ、当社グループのあらゆる業務において、生産性の向上や、質の高い業務を遂行することを常に目指すという意味のオペレーショナルエクセレンスを当社のバリューチェーン全体において追求してまいります。そのために、経営スタンスとして「Passion for Excellence(パッション フォー エクセレンス)(常に生産性、質の高い業務を追求することへの情熱を持つこと)」を設定し、グローバルで取り組みを進めております。さらに、価値創造へよりフォーカスするため、中期事業計画(2024-2026)のビジネス基本シナリオとして、4つの項目を掲げております。1つ目は、「良いビジネス体質を創る」、2つ目は「良いタイヤを創る」、3つ目は「良いビジネスを創る」、4つ目は「良い種まきをし、新たなビジネスを創る」です。2024年の最優先課題は、「良いビジネス体質を創る」であり、経営・業務品質の向上を徹底することにより、本来2023年で完了を目指していた、変化に対応できる強いブリヂストンに戻ることを実現してまいります。グローバルでより現物現場で基本に忠実にPDCAを回し、ブリヂストンのDNAである継続的改善とイノベーションを組み合わせ、オペレーショナルエクセレンスを追求してまいります。これを可能とするために、2024年1月1日より、より進化させた「グローカル体制」を構築しております。当社グループのビジネスを、主に米欧を中心とするBridgestone West(ブリヂストン ウェスト)、日本・アジアを中心とするBridgestone East(ブリヂストン イースト)の2つのリージョンとして区分し、さらにその下に地域、市場、ビジネスの特性に合わせて細かく47エリアを設定し、現物現場で価値創造へフォーカスする体制といたしました。プレミアムタイヤ事業においては、収益性の低い地域である欧州事業を中心に不採算ビジネスの削減や小売事業の再編、再構築など、よりプレミアム領域にフォーカスするためのビジネス再編・再構築を実行し、稼ぐ力を強化することで、今後の成長につなげてまいります。また、2024年に変化に対応できる強いブリヂストンに戻した後、基本ビジネスシナリオに沿って、2025年から2026年に着実に成長を実現するため、成長へ向けた基盤を構築してまいります。その中核は、「良いタイヤを創る」と「良いビジネスを創る」です。「良いタイヤを創る」では、当社が独自に創造する「新たなプレミアム」として位置付けた商品設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」技術を搭載した断トツ商品を、EVを含めた新車装着用タイヤから市販用タイヤへ拡大すると共に、生産・開発をシンプル化し、コストを最適化するモノづくり基盤技術BCMA(Bridgestone Commonality Modularity Architecture(ブリヂストン コモナリティ モジュラリティ アーキテクチャ))の導入を推進し、価値創造を加速させてまいります。断トツ商品の拡大においては、その価値を認めて頂くことにより価格ポジションを向上させると共に、鉱山車両用タイヤの断トツ商品である「Bridgestone MASTERCORE(ブリヂストン マスターコア)」や、乗用車用及びトラック・バス用プレミアムタイヤの販売拡大・シェアアップも継続強化してまいります。「良いビジネスを創る」では、お客様が断トツ商品を使っていただく段階において、断トツ商品の価値を増幅させることを目指し、小売拠点の拡大や質の強化など、販売・サービスチャネルを進化させてまいります。特に、日本・米国において、現物現場でお客様一人ひとりに寄り添い、困りごとを解決した上で、高品質なサービス・ソリューションを提供するリアルと、Eコマースを含めたデジタルを活用したサービスを強化する計画です。加えて、サステナブルなグローバルモータースポーツ活動をコアとして新たなコーポレートブランディングへ着手いたします。その活動を通じ、モータースポーツ文化の発展を支え続けると共に、「Passion to Turn the World(パッション トゥ ターン ザ ワールド)(世界を変えていく情熱)」というメッセージを中心に、レースに掛ける情熱、「自ら極限へ挑戦」する姿を示していくことで、多くのステークホルダーの皆様に共感を頂きながら、サステナブルなプレミアムブランドを構築し、企業価値の向上を目指してまいります。最後に、4つ目の「良い種まきをし、新たなビジネスを創る」では、2027年以降の次期中期事業計画期間も含め、「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」で設定した実現したい姿への布石を打ってまいります。まずは、生産財(鉱山車両用、航空機用、トラック・バス用タイヤ)ソリューションにおいて、断トツ商品・現物現場におけるサービスなどの強いリアルと、デジタルを駆使した独自のアルゴリズムの構築により、タイヤの摩耗予測を耐久予測ソリューションへ進化させることに着手をいたします。鉱山車両用、航空機用タイヤソリューションにおいては、お客様との共創を推進し、価値創造を進めております。また、トラック・バス用タイヤにおいては、米国を中心にプレミアムタイヤとリトレッド、メンテナンス、車両運行モニタリングを一括したパッケージとして、お客様にご提供する「Fleetcare(フリートケア)」プログラムの拡大を推進してまいります。これらの事業は、モビリティテック事業として、構築を進めてまいります。さらに、化工品・多角化事業においては、当社グループの強みが活きる領域にフォーカスし、油圧ホース事業などを強化し、探索事業ではリサイクル事業、ソフトロボティクス事業、グアユール事業を技術開発から事業化へ向けた取り組みを推進してまいります。経営の中核であるサステナビリティについては、商品を「創って売る」「使う」、原材料に「戻す」という、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化(脱炭素化)、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を推進する取り組みとビジネスを連動する当社グループ独自のサステナビリティビジネスモデルを進化させてまいります。特に、環境面は、2050年を見据えた環境長期目標を2012年に策定し、これを達成するために2030年を目標とした環境中期目標「マイルストン2030」を設定し、その実現に向けた取り組みを進めております。カーボンニュートラル化へ向けては、2030年にCO2の総量(Scope1、2)(注)を2011年対比50%削減、2050年にカーボンニュートラル化という明確なターゲットを掲げており、2023年は30%削減の目標を上回る約50%の削減を見込んでおります。このCO2排出量削減に向けたグローバル各工場における再生可能エネルギー(電力)比率についても、2023年は50%の目標を上回る約60%を見込んでおり、2030年目標の100%達成に向けて取り組みを進めてまいります。バリューチェーン全体のCO2排出量(Scope3)(注)については、2030年までに、商品・サービス・ソリューションのライフサイクルを通じて、Scope1、2における排出量の5倍以上のCO2削減に貢献(基準年:2020年)することを目標とし、活動を進めてまいります。サーキュラーエコノミーの実現に向けては、2030年までに再生資源・再生可能資源比率を40%に向上、2050年までにサステナブルマテリアル化を目標としており、2023年は再生資源・再生可能資源比率の目標37%の達成を見込んでおります。引き続きENLITEN(エンライトン)、リトレッドを含む商品戦略を進化させると共に、リサイクル事業、天然ゴム事業、グアユール事業などを通じた再生可能資源の活用を強化してまいります。さらに、中期事業計画(2024-2026)期間全体においては、森林破壊防止や小規模農家支援など、ネイチャーポジティブの実現に向けた取り組みをより一層強化してまいります。これらのサステナビリティに関する取り組みについては、サステナブルなグローバルモータースポーツ活動の推進を通じて、原材料調達からリサイクルまで、モータースポーツタイヤのバリューチェーン全体で、サステナブル化をいち早く進めることで、経営全体もアジャイルでサステナブルな経営に進化することを目指してまいります。また、事業環境が常に変化していく中、変化に動じないためにグローバル経営リスク管理を強化してまいります。各地域事業のトップマネジメントで構成されるグローバル経営リスクコミッティにおいて、経営リスクについて幅広い議論を実施し、3つの重点アイテムを設定しております。重点アイテムごとにプロジェクトチームを設置し、それぞれのアイテムについてリスクの洗い出しと対策を推進してまいります。1つ目は、地政学リスクであります。リスク発生時のビジネス影響の分析とその最小化に向けた対策の検討、実行体制を整備し、従業員の安全確保、資産保護、顧客対応、企業・ブランドイメージの保護、原材料の代替ソーシング検討及び確保などの対応を進めてまいります。2つ目は、TRWP(Tire Road Wear Particle(タイヤ ロード ウェア パーティクル))、6PPD(タイヤ業界で一般的に使用される老化防止剤)についての対応であります。TRWPは、タイヤが安心安全な移動を支えるために必要な路面と摩擦することによって発生する粉塵で、タイヤの表面であるトレッドと道路舗装材の混合物です。当社グループは業界のリーダーとして、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)傘下のタイヤ産業プロジェクトや、各地域業界団体での取り組みをリードし、他の業界関係者や学術機関などとも連携しながら、タイヤのライフサイクルにおける環境への影響についての調査を推進してまいります。その他、ロングライフ商品などの訴求やソリューション事業との連携を含め、継続的なアプローチを進めてまいります。6PPDについては、業界全体として取り組み、代替品の評価を進めております。3つ目は、サイバー攻撃への対応であります。当社グループでは2022年第1四半期に米国子会社においてサイバー攻撃が発生し、各地域においても緊急対策を実施、グローバルでセキュリティー対応チームを立ち上げ、抜本的な対策を進めております。2023年には、グローバルアセスメントを実施し、サイバー攻撃に対応する当社グループのグローバル標準の設定を進めております。これら全ての企業活動の基盤となる人財については、生産性・創造性の向上を基本として、「人財投資を強化し、付加価値をあげ、価値創造の好循環を生む」ことを目指しております。その取り組みを表す指標として「人的創造性」をグローバル経営指標として2023年から試行いたしました。厳しい事業環境下においても、人財投資を拡大し、日本においては、リスキリングやデジタル研修、現場での挑戦を後押しする現場100日チャレンジ、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテック・プログラム、生産現場の環境改善を実行するなど、多様な人財が輝く場、働きやすい職場づくりを進めております。2024年からは、人的創造性を正式なグローバル経営指標へ加え、より一層の取り組み強化を計画しております。また、人的創造性向上に関連した活動を連動し、企業文化の進化も推進してまいります。当社グループは、「Bridgestone E8 Commitment(ブリヂストン イーエイト コミットメント)」を未来からの信任を得ながら経営を進める軸及びベクトルとして、サステナビリティとビジネスの成長を両立し、社会・パートナー・お客様といった様々なステークホルダーと共に価値を創出することで、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。 (注) Scope1は企業が直接排出するCO2(自社工場のボイラーなどからの排出)、Scope2はエネルギー起源間接排出(電力など他社から供給され、自社で消費したエネルギーに伴うCO2排出)、Scope3はライフサイクルにおける原材料調達、流通、顧客の使用と廃棄・リサイクル段階のCO2排出量等を指します。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度より、当社グループではグローバルサプライチェーンマネジメントへの日本の生産拠点の貢献を評価する目的から、一般タイヤ取引における日本の輸出損益について、「全社又は消去」から「日本」セグメントへ変更しております。これにより、前連結会計年度の数値についても新たなセグメント区分に組み替えたうえで表示しております。また、当社グループは米国建築資材事業、防振ゴム事業、化成品ソリューション事業を非継続事業に分類しており、前連結会計年度及び当連結会計年度の金額から非継続事業を控除しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」に記載のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において、判断したものであります。 (1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況a.業績全般 当連結会計年度前連結会計年度増減金額比率 億円億円億円%売上収益43,13841,101+2,037+5調整後営業利益4,8064,826△20△0営業利益4,8184,413+405+9税引前当期利益4,4424,235+207+5親会社の所有者に帰属する当期利益3,3133,003+310+10 当社グループは、企業理念の「使命」として掲げる「最高の品質で社会に貢献」の下、「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」というビジョンの実現に向け、2021年2月に発表した中期事業計画(2021-2023)に沿って活動を進めてまいりました。また、使命、ビジョンの下に、従業員、社会、パートナー、お客様と共に持続的な社会を支えることにコミットする「Bridgestone E8 Commitment」を企業コミットメントとして制定し、これを価値創造の軸及びベクトルとしております。当社創立100周年となる2031年へ向けて実現したい姿を描いた「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」を道筋として、歩みを進めております。 当連結会計年度は、下期以降に顕著となった米欧の市販用トラック・バス用タイヤの需要減速及び低迷などを背景に、想定以上に厳しい事業環境となる中、中期事業計画(2021-2023)の最終年として「実行と結果」に拘り、変化に対応できる強いブリヂストンへ戻すことを目指し、プレミアムタイヤ事業における「稼ぐ力の再構築」と、厳しい事業環境においてもプレミアムタイヤ生産強化を中心に戦略的成長投資を厳選して実行し、「将来への布石を打つ」ことに注力いたしました。 プレミアムタイヤ事業においては、市販用タイヤの全体需要環境が厳しく、グローバルの販売数量が前連結会計年度比減少する中、プレミアム領域へのフォーカスを一層強化いたしました。市販用乗用車用タイヤにおいては、戦略的価格マネジメントを推進すると共に、環境変化に対する影響が比較的少なく安定した需要を維持した高インチタイヤの販売拡大を中心に、赤字・不採算領域の削減を推進すると共に、高性能・高付加価値な断トツ商品を投入し、販売MIX改善を徹底いたしました。高い商品力、サービス拠点網などの強いビジネス基盤を持つ北米での市販用トラック・バス用タイヤにおいては、想定した以上に新品タイヤの需要が厳しくなる中、リトレッド(更生)タイヤを組み合わせ、プレミアム領域における新品タイヤ、リトレッドタイヤのシェアを向上することができました。また、断トツ商品を基盤にタイヤのメンテナンス・サービスなど現物現場の強い力を発揮し、堅調な販売・シェア向上を達成した鉱山車両用タイヤが、厳しい事業環境下、全社業績を下支えした結果となりました。一方で、これまでも収益性や事業基盤の面で当社グループの経営課題であった欧州事業については、厳しい事業環境下に、販売チャネル基盤などの弱さが顕在化し、その改善へ向けた課題が残っております。米州事業では、超インフレ会計(注)を適用しておりますアルゼンチンにおいて、大幅な通貨の切り下げ影響が業績を大きく押し下げ、全社業績にネガティブな影響を与えました。 以上を踏まえ、当連結会計年度の業績については、変化への対応不足が顕在化し、変化を捉える兆候管理、変化へ素早く対応する感度、PDCAサイクルの質・スピードの改善が来期へ向けて急務となり、期初に目標としていた「変化に対応できる強いブリヂストン」へは課題を残す結果となりました。売上収益は、米欧の市販用トラック・バス用タイヤ需要の大幅な減少に起因する販売数量減少及びアルゼンチンの超インフレ会計による影響がある中、市販用乗用車用プレミアムタイヤ(18インチ以上高インチタイヤ、各地域において高収益なプレミアムタイヤブランドなど)の販売拡大による販売MIX改善、鉱山車両用タイヤの前連結会計年度比販売数量増を達成し、為替の追い風もあり前連結会計年度比で増収となりました。調整後営業利益については、原材料価格・インフレ(エネルギー費、労務費等)等による原価・経費面のマイナス影響を売値・販売MIXの改善でカバーし、徹底した経費マネジメント・生産現場の生産性改善に継続的に取り組みましたが、販売数量減少による工場操業度悪化による加工費増及びアルゼンチンの超インフレ会計に関連する減益が大きく影響し、為替影響込みで前連結会計年度比減益となりました。アルゼンチンの超インフレ会計による前連結会計年度比減益影響は約100億円であり、当該影響を除けば前連結会計年度比増益となりました。調整後営業利益率は前連結会計年度比0.6ポイント低下の11.1%と前連結会計年度に及ばず、今後も、変化に対応できるビジネス体質の向上に向けて取り組みを加速してまいります。 以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上収益は43,138億円(前連結会計年度比5%増)、調整後営業利益は4,806億円(前連結会計年度比0.4%減)、営業利益は4,818億円(前連結会計年度比9%増)、税引前当期利益は4,442億円(前連結会計年度比5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は3,313億円(前連結会計年度比10%増)となりました。 (注) IAS第29号超インフレ会計 b.セグメント別業績 当連結会計年度前連結会計年度増減金額比率 日本 億円億円億円%売上収益12,42411,571+854+7調整後営業利益2,0651,506+559+37中国・アジア・大洋州売上収益4,6114,570+41+1調整後営業利益416399+17+4米州売上収益20,80019,880+920+5調整後営業利益2,1202,512△392△16欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ(注)売上収益9,0858,700+385+4調整後営業利益251664△412△62その他売上収益784805△21△3調整後営業利益5673△17△24連結 合計売上収益43,13841,101+2,037+5調整後営業利益4,8064,826△20△0(注) ロシア事業は2023年12月に譲渡が完了しております。 [日本] 売上収益は12,424億円(前連結会計年度比7%増)、調整後営業利益は2,065億円(前連結会計年度比37%増)となりました。 市販用乗用車及び小型トラック用タイヤ、並びにトラック・バス用タイヤの販売本数は前連結会計年度比で下回った一方で、戦略的価格マネジメントに加え、低採算領域の削減によりプレミアム領域へのフォーカスを強化し、原材料高騰・インフレ影響を売値・販売MIX改善でカバーいたしました。鉱山車両用タイヤの販売拡大並びに乗用車用及びトラック・バス用タイヤの海外向け輸出が堅調であったことに加え、為替円安の追い風もあり前連結会計年度比増収増益となりました。[中国・アジア・大洋州] 売上収益は4,611億円(前連結会計年度比1%増)、調整後営業利益は416億円(前連結会計年度比4%増)となりました。 販売本数では、新車用・市販用合計にて乗用車及び小型トラック用タイヤは前連結会計年度を下回り、トラック・バス用タイヤは前連結会計年度並みに推移した一方で、域内各国での売値改善、プレミアム領域へのフォーカス徹底による販売MIX改善を達成し、為替円安の追い風もあり前連結会計年度比増収増益となりました。[米州] 売上収益は20,800億円(前連結会計年度比5%増)、調整後営業利益は2,120億円(前連結会計年度比16%減)となりました。 北米タイヤ事業において、販売本数は新車用・市販用を合わせて、乗用車及び小型トラック用タイヤ全体では前連結会計年度並みとなり、トラック・バス用タイヤは大幅な需要減速の影響もあり、前連結会計年度を大きく下回りました。一方で、売値・販売MIXは着実に改善いたしました。コスト面においては、インフレ及び販売本数減により生産調整を行い、加工費が悪化したことに加え、アルゼンチンの超インフレ会計に関連する減益が大きく影響し、為替の追い風があったものの前連結会計年度比増収減益となりました。 [欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ] 売上収益は9,085億円(前連結会計年度比4%増)、調整後営業利益は251億円(前連結会計年度比62%減)となりました。 欧州事業において、販売本数は市販用乗用車及び小型トラック用タイヤ並びにトラックバス用タイヤにて前連結会計年度を大幅に下回り、特にトラック・バス用タイヤでは需要低迷が続き販売へ大きく影響いたしました。これに対し、市販用乗用車用タイヤを中心に、戦略的価格マネジメント・低採算領域の削減を加速することで対応し、売値・販売MIXは改善した一方で、コスト面におけるインフレ及び販売本数減のための生産調整による加工費悪化が大きく、為替の追い風があったものの前連結会計年度比増収減益となりました。 (注) セグメント別の金額はセグメント間の取引を含んでおり、連結合計の金額はそれらを消去した後の数値であります。c.財政状態(流動資産) 流動資産は、棚卸資産が167億円、売却目的で保有する資産が256億円減少したものの、現金及び現金同等物が2,057億円増加したことなどから、前連結会計年度末比1,848億円増加(同7%増)し、26,974億円となりました。(非流動資産) 非流動資産は、有形固定資産が1,818億円、無形資産が409億円増加したことなどから、前連結会計年度末比2,808億円増加(同11%増)し、27,304億円となりました。(流動負債) 流動負債は、引当金が161億円減少したものの、社債及び借入金が1,502億円、未払法人所得税等が373億円増加したことなどから、前連結会計年度末比1,790億円増加(同16%増)し、12,648億円となりました。(非流動負債) 非流動負債は、リース負債が133億円増加したものの、社債及び借入金が1,058億円減少したことなどから、前連結会計年度末比1,063億円減少(同12%減)し、7,576億円となりました。 なお、流動負債及び非流動負債に計上された有利子負債(注)の合計は、前連結会計年度末比630億円増加(同8%増)し、8,302億円となりました。(注) 有利子負債には社債及び借入金、リース負債を含んでおります。(資本) 資本合計は、配当金(親会社の所有者)により1,301億円減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により3,313億円増加したことなどから、前連結会計年度末比3,929億円増加(同13%増)し、34,054億円となりました。 これらの結果、当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて4,656億円増加(同9%増)し、54,278億円となりました。また、当連結会計年度の親会社所有者帰属持分比率は61.8%となり、前連結会計年度末比2.0ポイントの上昇となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度前連結会計年度増減金額 億円億円億円営業活動によるキャッシュ・フロー6,6142,685+3,930投資活動によるキャッシュ・フロー△2,977△3,380+403財務活動によるキャッシュ・フロー△1,837△3,641+1,805現金及び現金同等物に係る換算差額255652△397現金及び現金同等物の増減額2,055△3,685+5,740現金及び現金同等物の期首残高5,1897,875△2,686売却目的で保有する資産に含まれる現金及び現金同等物の増減額2998△997現金及び現金同等物の期末残高7,2465,189+2,057 当連結会計年度における当社グループの現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、全体で2,057億円増加(前連結会計年度は2,686億円の減少)し、当連結会計年度末には7,246億円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動による資金収支は、6,614億円の収入(前連結会計年度比3,930億円の収入増)となりました。これは、未払賞与の減少額108億円(前連結会計年度は13億円)や、営業債務及びその他の債務の減少額553億円(前連結会計年度は営業債務及びその他の債務の増加額525億円)や、法人所得税の支払額580億円(前連結会計年度は862億円)などがあったものの、税引前当期利益4,442億円(前連結会計年度は4,235億円)や、減価償却費及び償却費3,058億円(前連結会計年度は2,821億円)や、営業債権及びその他の債権の減少額568億円(前連結会計年度は営業債権及びその他の債権の増加額1,396億円)や、棚卸資産の減少額853億円(前連結会計年度は棚卸資産の増加額1,954億円)などがあったことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動による資金収支は、2,977億円の支出(前連結会計年度比403億円の支出減)となりました。これは、有形固定資産の売却による収入296億円(前連結会計年度は277億円)や、投資有価証券の売却による収入279億円(前連結会計年度は29億円)や、貸付金の回収による収入149億円(前連結会計年度は195億円)などがあったものの、有形固定資産の取得による支出2,824億円(前連結会計年度は2,213億円)や、無形資産の取得による支出605億円(前連結会計年度は334億円)や、長期貸付けによる支出211億円(前連結会計年度は289億円)などによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動による資金収支は、1,837億円の支出(前連結会計年度比1,805億円の支出減)となりました。これは、短期借入金の増加額209億円(前連結会計年度は216億円)や、長期借入れによる収入231億円(前連結会計年度は6億円)などがあったものの、長期借入金の返済による支出207億円(前連結会計年度は541億円)や、リース負債の返済による支出684億円(前連結会計年度は658億円)や、配当金の支払額(親会社の所有者)1,300億円(前連結会計年度は1,190億円)などがあったことによるものであります。③ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)(注1)前連結会計年度比(%)日本798,975+4.4中国・アジア・大洋州363,838+3.9米州1,611,785△1.8欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ(注2)741,073△4.7合計3,515,672△0.5 (注1) 金額は、販売価格によっております。 (注2) ロシア事業は2023年12月に譲渡が完了しております。 b.受注実績 当社グループは、少数の特殊製品(特殊ホース等)について受注生産を行うほかは、すべて見込生産であります。 c.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)日本946,547+6.4中国・アジア・大洋州398,135+5.7米州2,063,073+4.7欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ(注)888,479+3.7その他17,543+3.8全社又は消去23△42.0合計4,313,800+5.0 (注) ロシア事業は2023年12月に譲渡が完了しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月26日)現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。 なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因や当該事項への対応については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 (売上収益、調整後営業利益及び営業利益) 売上収益、調整後営業利益及びセグメント別の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。また、営業利益は、上記による影響に加えて、その他の一時的かつ多額の費用が178億円、減損損失が157億円それぞれ減少したことなどにより前連結会計年度比405億円増加(同9%増)し、4,818億円となりました。 この結果、調整後営業利益率は11.1%となり、前連結会計年度比0.6ポイントの低下となりました。 (親会社の所有者に帰属する当期利益) 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比310億円増加(同10%増)し、3,313億円となりました。これは、金融費用が364億円増加したものの、営業利益が405億円増益、金融収益が171億円増加したことなどによるものです。 ③ 資本の財源及び資金の流動性 現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比2,057億円増加し、7,246億円となりました。なお、活動区分ごとのキャッシュ・フローについては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。 資金調達にあたっては、金融機関からの借入れに加え、引き続き、国内普通社債やコマーシャル・ペーパーなどの直接金融手段や、売上債権の証券化、リースの活用など、リスク分散や金利コストの抑制に向けその多様化を図ってまいります。 資金使途につきましては、主に稼ぐ力の強化、価値創造へのフォーカス、サステナブルなプレミアムブランド構築のための戦略的成長投資による持続的な成長と企業価値向上の実現を優先しつつ、適正な財務体質の維持と株主還元に活用してまいります。 ④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2023年に最終年を迎えた中期事業計画(2021-2023:2023年度 売上収益3兆3,000億円レベル、調整後営業利益4,500億円レベル、調整後営業利益率13%レベル、ROIC10%レベル、ROE12%レベル)においては、事業環境の変化に対応できる強いブリヂストンへ戻すことを目指して歩を進めてまいりました。 当連結会計年度においては、売上収益4兆3,138億円、調整後営業利益4,806億円、調整後営業利益率11.1%、ROIC8.7%、ROE10.4%となりました。(注) ROEにつきましては、親会社の所有者に帰属する当期利益のうち継続事業に係る金額に基づいて算出しております。 |
※本記事は「株式会社ブリヂストン」の令和5年12期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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