会社名 | 出光興産株式会社 |
業種 | 石油・石炭製品 |
従業員数 | 連13814名 単5060名 |
従業員平均年齢 | 42歳 |
従業員平均勤続年数 | 17年 |
平均年収 | 9936913円 |
1株当たりの純資産 | 1404.8円 |
1株当たりの純利益(連結) | 77.83円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 36円 |
配当性向 | 166.1% |
株価収益率(PER) | 13.5倍 |
自己資本利益率(ROE)(連結) | 5.9% |
営業活動によるCF | 4767億円 |
投資活動によるCF | ▲1185億円 |
財務活動によるCF | ▲3434億円 |
研究開発費※1 | 5億円 |
設備投資額※1 | 134.73億円 |
販売費および一般管理費※1 | 611.1億円 |
株主資本比率※2 | 23.1% |
有利子負債残高(連結)※3 | 11663.74億円 |
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)2050年ビジョン・2030年ビジョン当社はカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」、「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通して、「人びとの暮らしを支える責任」「未来の地球環境を守る責任」を果たしていくことを、2050年ビジョン「変革をカタチに」として定めています。その手前では2030年ビジョン「責任ある変革者」を掲げ、エネルギー・マテリアルの安定供給責務を果たしながら、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた取組みを具現化させる時期と位置づけています。 (2)2030年基本方針現行の中期経営計画の期間中、様々な地政学リスクやカーボンニュートラルの世界的潮流において大きな環境変化に直面したものの、当社は掲げた中長期ビジョンを軸にぶれることなく、引き続きエネルギー・マテリアルの安定供給という使命を果たしながら、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上と、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた準備を並行して進めています。これにより当社は持続的に成長を続け、社会とともに未来に進んでいけるものと考えています。また、事業構造改革と並んで、当社の経営戦略の根幹となる人財戦略については、人的資本投資を通じて、従業員の成長・やりがいの最大化を図り、競争力の源泉となる人財育成を推進しています。事業構造改革と人財戦略を柱とする経営戦略を加速させるべく、ビジネスプラットフォームの進化に向けDX戦略やガバナンスの進化にも取組み、変革の基盤を築いていきます。(3)中期経営計画2年目の進捗①事業構造改革の取組み―既存事業の資本効率・収益力向上当社では、エネルギー・マテリアルの安定供給を果たすためには、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上が非常に重要だと考えています。この方針の下、2023年度は機能化学品事業の構造改革、太陽光発電システムのオンサイトでの導入、潤滑油事業では車両の低コスト化や高性能化へ貢献するEVやHEVの駆動ユニット向けオイルなどの高付加価値製品の新開発・販売拡大、また資源事業ではボガブライ鉱山への石炭生産の集約等に取り組みました。さらに2024年度は以下の主な取組みを通じ、資本効率・収益力の向上に加えCO?排出量の削減を加速させました。 <2024年度の主な取組み> 精製・製造拠点の競争力の強化 ・西部石油㈱の精製機能停止とCNXセンター化に向けた検討推進・富士石油㈱との資本業務提携・三井化学㈱との千葉地区エチレン装置集約による生産最適化検討 サービスステーション(SS)ネットワークの維持・強化と顧客体験価値の向上 ・「スマートよろずや」に向けた、SSの収益力を強化する各種施策の全国展開・顧客体験価値を向上させる「DriveOn(アプリ)」の普及拡大(1,100万ダウンロード突破)と新業態の展開(apolloONE・Type Green) 高機能材、先進マテリアル領域の拡大 ・海外市場における潤滑油“Idemitsu Brand Motor Oil”の販売拡大・アグロ カネショウ㈱の完全子会社化によるバイオ・ライフソリューション事業の基盤強化 次世代燃料導入の加速 ・「出光バイオディーゼル5」の販売開始・「出光リニューアブルディーゼル」の販売開始・「出光バイオ重油」の船舶燃料実証 ②事業構造改革の取組み―カーボンニュートラル・循環型社会を見据えた取組み当社は前述のとおりカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通じて、事業ポートフォリオの転換を推進しています。2024年5月にブルーアンモニア、e-メタノール、SAF、リチウム固体電解質を重点4事業に設定しました。また、使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置の建設を開始しました。 <2024年度の主な取組み>●一歩先のエネルギー ブルーアンモニア 石炭や重油の代替として期待されるアンモニアは、石油製品と同様の輸送・保管が可能であり、既存設備やサプライチェーンの活用が可能です。当社は徳山事業所のアンモニア供給基地化及び周南コンビナート各社への供給インフラの構築に向け検討を進めているほか、2024年10月、三菱商事㈱とともに、エクソンモービル社が推進する製造プロジェクトへの参画、アンモニア調達等の共同検討など、2030年までに年間100万トン超の供給体制構築に向けた取組みを進めています。アンモニアの次世代の製造技術の研究開発においても、2024年7月、常温・常圧下で進行するアンモニアの連続電解合成で世界最高性能の達成を発表しました。 徳山事業所 (アンモニア貯蔵検討を進めているLPGタンク) e-メタノール e-メタノールなどのe-fuel(合成燃料)は、自動車等の内燃機関(エンジン)に手を加えることなく利用可能であり、早期の実用化が期待されています。当社は、再生可能エネルギーをベースにした合成燃料製造プロジェクトを推進するグローバル企業、HIF Global社にJOGMECと共同で出資するなど、政府機関とも連携を行いつつ、海外からの調達に向けた検討を進めています。当社北海道製油所のある苫小牧エリアにおいても、パートナー企業と連携して水素サプライチェーン構築とe-メタノール製造の検討を進めています。これら国内外の拠点において、2030年までに年間28万トン規模の供給体制構築を目指し取組みを進めていきます。 北海道製油所 SAF(持続可能な航空燃料) 国内航空業界では、2030年に使用燃料の10%(年間約170万KL)をSAFへ置き換える目標を掲げるなど、近い将来の需要が見込まれています。当社は2030年までに年間50万KLの国内供給体制の構築へ向けた取組みを進めており、2028年度までの生産開始を目指し、千葉・徳山両事業所において製造装置の建設に向けた検討を進めています。海外では、豪州Jet Zero Australia社との協業のほか、安定的な原料確保に向け、2025年1月から豪州にて米国Terviva社と原料(ポンガミア)の試験植林を開始するなど、グローバルサプライチェーンの構築に向けた取組みを進めています。 ●多様な省資源・資源循環ソリューション リチウム固体電解質 安全面のほか、充電時間短縮や航続距離などの飛躍的な性能向上が期待される、次世代のEVバッテリー「全固体電池」について、主要原料である固体電解質の開発・量産に向けた取組みを進めています。2027~28年度の全固体電池実用化を目指し、トヨタ自動車㈱と固体電解質の量産技術開発、性能向上に向けた協業を行うとともに、製造設備建設に向けた取組みを進めています。2024年10月、大型パイロット装置の基本設計を開始したほか、2025年2月に固体電解質の中間原料である硫化リチウムの大型製造装置の建設を決定しました。 固体電解質 使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル 2025年度の商業運転開始を目指し、千葉事業所隣接エリアにて使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置(処理能力年間2万トン)の建設を進めています。2024年3月、㈱本田技術研究所とともに実証実験を実施し、使用済自動車由来プラスチックスからケミカルリサイクル油を生産、あわせて石油化学製品原料としての有用性を確認しました。 ③人的資本―人財戦略当社では事業を通じて人を育てる、「人が中心の経営」を実践することを大切にしています。現行の中期経営計画では「企業理念・ビジョンの体現」「DE&Iの深化」「個々人の能力・個性の発揮」の3本の柱として各施策を推進し、いかなる環境になろうとも難題を克服できる人財を育てていきます。人財戦略の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本の多様性に関する戦略並びに指標及び目標」に記載のとおりです。 ④ビジネスプラットフォームの進化―DX人財の育成と生産性向上当社は、事業構造改革を成し遂げるためにデジタル化を進め、「変革をカタチに」することを目指しています。エネルギーや産業構造の変化に対応し、ITインフラの再構築や様々なデジタルツールを活用し、仕事の質やビジネスモデルの革新に取り組んでいます。この変革の鍵は「ひとのチカラ」であり、DX人財の育成が重要であると考えています。多くの従業員が仕事の中で、自然とデジタル技術を活用できている状態を目指しています。2024年度は、DX人財の育成と生産性向上を図るべく、以下の主な取組みを行いました。 <2024年度の主な取組み> DXを支える人財育成 ・DXリテラシー研修の受講者が4,000名を突破 AIの活用による生産性向上と価値創出 ・陸上配車・外航船配船システムへのAI活用・製油所・事業所のデータの一元化・生成AIによる人財マッチング 研究領域におけるMI*+AI活用の強化 体系的研修を導入し、研究者の3割がMIスキル保有者*マテリアルズ・インフォマティクス(ITを活用した材料開発) ⑤業績見通し (中期経営計画期間累計及び2025年度)中期経営計画期間(2023-2025年)累計の業績見通しについては、中期経営計画策定時点(2022年11月)の当初目標を上回る想定です。2025年度業績見通しは、米国の関税政策による影響を踏まえ、ドバイ原油価格、豪州一般炭市況等の前提を引き下げた結果、前年対比減益を想定しています。不透明な事業環境が想定されるものの、事業所稼働の更なる安定化、海外トレーディング事業の拡大、M&Aの加速といった追加施策を今後具現化し、更なる収益改善に向けた取組みを推進していきます。 中期経営計画期間(2023-2025年)累計業績見通し 当初目標最新見通し増減営業+持分損益※5,600億円6,722億円+1,122億円当期純利益※3,800億円4,369億円+569億円※在庫影響除き2025年度連結業績見通し 2024年度実績最新見通し増減営業+持分損益※2,147億円1,470億円△677億円当期純利益※1,248億円1,200億円△48億円※在庫影響除き主要市況前提 2024年度実績2025年度見通し増減ドバイ原油価格($/バレル)78.565.0△13.5豪州一般炭*($/トン)134.895.0△39.8為替(円/$)152.6145.0△7.6*1~12月平均⑥資本・財務戦略及び株主還元投資配分については、戦略投資を中期経営計画より増額し、既存事業の収益力強化のための投資を促進すると共に、重点4事業を中心としたカーボンニュートラル投資を通じてCO?排出量削減と事業ポートフォリオ転換を推進しています。株主還元については、2023年11月に年間配当を24円から32円へ増配、さらに2024年11月に年間配当を32円から36円へ増配し、併せて2025年度までの下限配当水準に設定しました。加えて、株価水準を意識した機動的な自己株式取得を推進するなど、株主還元の更なる充実を図っています。また、財務構成の最適化については、現行格付維持による財務安定性の確保を前提として、資本効率の更なる向上を図るため、株主還元方針に加え1,000億円の自己株式取得を実施する方針を2024年5月に決定し、2024年度中に取得を完了しています。なお、2025年度の配当については、不透明な事業環境ではあるものの、株主還元方針に基づき1株当たり年間36円(中間18円、期末18円)を予定しています。 株主還元方針2023~2025年度の3カ年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施します。 配当 1株当たり36円、当水準を下限とする 自己株式取得 株価水準を意識し機動的に実施する |
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況ア.一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用や所得環境の改善を背景として、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化など地政学リスクの影響の長期化や米国新政権の政策動向等、依然として不安定な状況が続いています。国内石油製品販売量は、ガソリン等主燃料は2020年以降のコロナ禍における需要減からの回復が一服し、前年度から減少しました。ジェット燃料は需要の回復が続くものの、当社においては官公庁向け入札案件の減少により前年度から減少しました。原油価格は、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとガザ地区での緊張などの地政学リスクの高まりによる一時的な上昇局面はあったものの、米中の経済指標の弱さから景気減速が意識され、年間を通じて下落基調で推移しました。この結果、ドバイ原油価格は前期比3.8ドル/バレル下落の78.5ドル/バレルとなりました。円の対米ドルレートは、日米の金融政策の差異を背景に円安ドル高が進行し、7月には160円/ドルに近い水準に到達したものの、8月以降は日米金利差を背景に上昇と下落を繰り返し、結果として、平均レートは前期比8.0円/ドル円安の152.6円/ドルとなりました。 イ.業績当社グループの当期の売上高は、円安影響などにより、9兆1,902億円(前期比+5.4%)となりました。売上原価は、8兆5,008億円(前期比+8.0%)となり、販売費及び一般管理費は、5,272億円(前期比+5.3%)となりました。営業損益は、燃料油セグメントにおける原油価格下落による在庫影響や基礎化学品セグメントにおける数量減少及び製品市況の下落、資源セグメントにおける石炭市況の下落などにより、1,622億円(前期比△53.2%)となりました。営業外損益は、持分法投資利益の増加などにより、526億円(前期比+35.1%)となりました。その結果、経常損益は2,148億円(前期比△44.3%)となりました。特別損益は、固定資産の減損損失の計上などにより、△564億円(前期比+21億円)となりました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、563億円(前期比△43.6%)となり、非支配株主に帰属する当期純損失は20億円(前期比+22.0%)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,041億円(前期比△54.5%)となりました。 セグメント別売上高(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (2024年3月期)(2025年3月期)増減額増減率燃料油70,80876,964+6,156+8.7%基礎化学品6,0165,872△144△2.4%高機能材5,1545,034△120△2.3%電力・再生可能エネルギー1,4151,276△139△9.9%資源3,7052,652△1,052△28.4%その他・調整額95105+9+9.9%合計87,19291,902+4,710+5.4% セグメント別利益又は損失(△)(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (2024年3月期)(2025年3月期)増減額増減率燃料油(在庫評価影響除き)2,197(1,672)1,221(1,520)△975(△152)△44.4%(△9.1%)基礎化学品220△80△300-高機能材276282+7+2.4%電力・再生可能エネルギー△76△123△47-資源1,169774△396△33.9%その他512+6+122.0%調整額△161△238△77-合計(在庫評価影響除き)3,630(3,106)1,848(2,147)△1,782(△959)△49.1%(△30.9%)(注)セグメント別利益又は損失(△)は、セグメント別の営業損益と持分法投資損益の合計額です。 (ア)燃料油セグメント燃料油セグメントについては、売上高は原油価格が下落したものの、円安影響などにより、7兆6,964億円(前期比+8.7%)となりました。セグメント損益は、国内製品マージンが堅調であったものの、海外マージン悪化に伴う輸出利益の減少などにより、1,221億円(前期比△44.4%)となりました。 (イ)基礎化学品セグメント基礎化学品セグメントについては、製品市況の悪化及び定期修繕や製造装置トラブルに伴う数量減などにより、売上高は5,872億円(前期比△2.4%)、セグメント損益は△80億円(前期比△300億円)となりました。 (ウ)高機能材セグメント高機能材セグメントについては、機能化学品製造設備の定期修繕に伴う数量減があったものの、潤滑油事業の販売ポートフォリオの改善などにより、売上高は5,034億円(前期比△2.3%)、セグメント損益は282億円(前期比+2.4%)となりました。 (エ)電力・再生可能エネルギーセグメント電力・再生可能エネルギーセグメントについては、トラブルに伴う調達コストの増加やバイオマス原料コストの増加などにより、売上高は1,276億円(前期比△9.9%)、セグメント損益は△123億円(前期比△47億円)となりました。 (オ)資源セグメント(石油・天然ガス開発事業・地熱事業)石油・天然ガス開発事業・地熱事業については、円安影響があったものの、原油価格の下落などにより、売上高は404億円(前期比+5.4%)、セグメント損益は187億円(前期比△2.3%)となりました。 (石炭事業・その他事業)石炭事業・その他事業については、石炭市況の下落に伴う価格要因などにより、売上高は2,248億円(前期比△32.3%)、セグメント損益は587億円(前期比△40.0%)となりました。 以上の結果、資源セグメントの売上高は2,652億円(前期比△28.4%)、セグメント損益は774億円(前期比△33.9%)となりました。 (カ)その他セグメントその他セグメントの売上高は105億円(前期比+9.9%)、セグメント損益は12億円(前期比+122.0%)となりました。②財政状態の状況要約連結貸借対照表(単位:億円) 前連結会計年度(2024年3月期)当連結会計年度(2025年3月期)増減流動資産29,16826,499△2,670固定資産20,95521,257+303資産合計50,12347,756△2,367流動負債21,92520,974△951固定負債10,0739,405△668負債合計31,99830,379△1,619純資産合計18,12517,377△748負債純資産合計50,12347,756△2,367 ア.資産の部当期末における資産合計は、原油価格の下落等による棚卸資産の減少や前期末の休日影響等による売掛債権の減少などにより、4兆7,756億円(前期末比△2,367億円)となりました。 イ.負債の部当期末における負債合計は、有利子負債の減少や前期末の休日影響による未払金の減少などにより、3兆379億円(前期末比△1,619億円)となりました。 ウ.純資産の部当期末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加がありましたが、自己株式の取得や配当金の支払いなどにより、1兆7,377億円(前期末比△748億円)となりました。 以上の結果、自己資本比率は前期末の35.9%から当期末は36.0%(前期末比+0.1ポイント)となりました。また、当期末のネットD/Eレシオは0.6(前期末:0.7)となりました。 ③キャッシュ・フローの状況要約連結キャッシュ・フロー計算書(単位:億円) 前連結会計年度(2024年3月期)当連結会計年度(2025年3月期)営業活動によるキャッシュ・フロー3,7744,767投資活動によるキャッシュ・フロー△658△1,185財務活動によるキャッシュ・フロー△2,805△3,435現金及び現金同等物に係る換算差額2718現金及び現金同等物の増減額(△は減少)338166現金及び現金同等物の期首残高1,0311,369連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)-2連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)-106現金及び現金同等物の期末残高1,3691,643 当期末の現金及び現金同等物は、1,643億円となり、前期末に比べ、274億円増加しました。その主な要因は次のとおりです。 ア.営業活動におけるキャッシュ・フロー税金等調整前当期純利益や減価償却費等、運転資本の減少などの資金増加要因が、未払金の減少などの資金減少要因を上回ったことにより、4,767億円の収入となりました。 イ.投資活動におけるキャッシュ・フロー製油所設備の維持更新投資等による有形固定資産の取得などにより、1,185億円の支出となりました。 ウ.財務活動におけるキャッシュ・フロー有利子負債の返済や自己株式の取得、配当金の支払いなどにより、3,435億円の支出となりました。 ④生産、受注及び販売の実績ア.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)燃料油3,748,76393.7基礎化学品475,85991.0高機能材327,004107.7電力・再生可能エネルギー--資源186,84874.8その他--合計4,738,47693.3(注)上記の金額は、資源セグメントは販売金額、その他のセグメントは製品生産額によって記載をしています。 イ.受注実績当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。 ウ.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)燃料油7,696,391108.7基礎化学品587,19597.6高機能材503,36697.7電力・再生可能エネルギー127,57390.1資源265,24671.6その他10,452109.9合計9,190,225105.4(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.「主な相手先別の販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しています。3.各セグメントの販売実績は、外部顧客への売上高を記載しています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①経営成績の分析経営成績の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」における「イ.業績」に記載しています。 ②資本の財源及び資金の流動性についての分析ア.資金需要当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原油・原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いなどによるものです。設備投資資金については、エネルギー安定供給のための操業維持投資に加え、販売・供給体制の競争力強化を目的とした投資、一歩先のエネルギーや多様な省資源・資源循環ソリューション及びスマートよろずや等の事業ポートフォリオ転換推進投資、石油開発事業等における保有鉱区の開発・安定生産継続に向けた投資等の需要があります。 イ.財務政策当社グループは、中長期的な成長を維持するために資本効率と財務健全性のバランスを勘案しつつ、必要な運転資金及び設備投資資金を、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパーの発行、及び流動性確保のための特定融資枠契約(コミットメントライン契約)の維持等、多様なリソースから効果的に組み合わせて調達しています。なお、国内子会社は、当社が一括して資金調達し、子会社に融通するグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。また、海外子会社は金融機関からの借入れの他、子会社間のグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。また、円滑な資金調達を行うため、当社は格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)の2社から格付けを取得しています。当連結会計年度末において当社の格付けはR&IがA(方向性:安定的)、JCRがA+(見通し:安定的)となっています。 (特定融資枠契約)当社グループは、運転資金の効率的な調達や十分な流動性確保、また、災害発生時の円滑な資金調達のため、取引先銀行で作られるシンジケート団と短期借入を実行できる特定融資枠契約2,100億円を締結し、機動的・安定的な資金調達が可能な体制を敷いています。当連結会計年度末において同契約にかかる借入残高はありません。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標当社グループは、2030年ビジョン「責任ある変革者」の実現に向けて、事業構造改革投資と人的資本投資の両輪により事業ポートフォリオの転換を進めるため、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ネットD/Eレシオ、自己資本比率を主要な経営指標としています。2025年3月期の自己資本利益率(ROE)が前期対比で減少している主な要因は、基礎化学品セグメントにおける数量減少及び製品市況の下落、資源セグメントにおける石炭市況の下落などによる、在庫影響除き親会社株主に帰属する当期純利益の減少によるものです。また、同様に実態投下資本利益率(ROIC)の主な増加要因は、燃料油セグメントにおける国内製品マージン堅調などによる在庫影響及びタイムラグ影響を除いた営業利益の増加、自己株式の取得や借入返済に伴う投下資本の減少によるものです。 当社グループの主要な経営指標のトレンドは次のとおりです。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本利益率(ROE)(%)2.69.214.211.37.1投下資本利益率(ROIC)(%)(全社計)2.86.86.28.46.0実態投下資本利益率(ROIC)(%)(既存事業計)--3.44.86.5ネットD/Eレシオ(倍)1.00.90.90.70.6自己資本比率(%)29.130.733.235.936.0(注)1.各指標は、以下の計算式によって計算しています。自己資本利益率(ROE):在庫影響除き親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)※2024年3月期より算定方法を変更しています。その結果、2021年3月期、2022年3月期及び2023年3月期の指標も変更しています。投下資本利益率(ROIC):(在庫影響除き税後営業利益+持分法投資損益)/(株主資本+有利子負債)※2024年3月期より算定方法を変更しています。その結果、2023年3月期の指標も変更しています。実態投下資本利益率(ROIC):計算式は投下資本利益率(ROIC)と同様。ただし、大きな外部環境影響を除いて比較するため、燃料油セグメントのタイムラグ影響、資源セグメントの石炭価格(実績を2026年3月期計画前提である120USD/tへ)等を補正ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)自己資本比率:(純資産-非支配株主持分)/総資産2.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及び長期借入金として連結貸借対照表に計上されている金額及びリース債務の金額を使用しています。3.2021年3月期及び2022年3月期の実態投下資本利益率(ROIC)については、主要な経営指標に含んでいなかったため記載していません。 |
※本記事は「出光興産株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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