楽天グループ株式会社の基本情報

会社名楽天グループ株式会社
業種サービス業
従業員数連29334名 単9885名
従業員平均年齢35.3歳
従業員平均勤続年数5.8年
平均年収8208366円
1株当たりの純資産717.08円
1株当たりの純利益(単体)-75.61円
決算時期12月
配当金0円
配当性向0%
株価収益率(PER)7.4倍
自己資本利益率(ROE)(連結)8.1%
営業活動によるCF11908億円
投資活動によるCF▲9217億円
財務活動によるCF7574億円
研究開発費※1171.36億円
設備投資額※12569.7億円
販売費および一般管理費※11276.13億円
株主資本比率※229.4%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、イノベーションを通じて、人々と社会に力を与えること(エンパワーメント)を経営の基本理念としています。ユーザー及び取引先企業へ満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていくことに寄与していきます。グローバル イノベーション カンパニーであり続けるというビジョンのもと、当社グループの企業価値・株主価値の最大化を目指します。 (2) 目標とする経営指標主な経営指標として、全社及び各事業の売上収益、Non-GAAP営業利益、流通総額(商品・サービスの取扱高)、会員数及びクロスユース率等のKPIs(Key Performance Indicators)を重視し、成長性や収益性を向上させることを目指します。 (3) 中長期的な会社の経営戦略① 経営環境インターネットをはじめとする情報通信技術(ICT)の発展・普及がもたらした新しい経済、そして社会の姿は「デジタル経済」と呼ばれるようになってきており、政府は、その進化の先にある社会として「Society 5.0」を掲げています。「Society 5.0」においては、IoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータといった社会の在り方に影響を及ぼす新たな技術があらゆる産業や社会生活に取り入れられ、経済発展と社会的課題の解決が両立されることが期待されています。当社においても、当社の持つ様々な先端技術を利活用し、社会に貢献したいと考えています。また、近年、AI技術が飛躍的に発展し、社会に大きな変革を生み出す兆しを見せている中、当社としても、AIがビジネスにもたらす影響やその重要性を認識しており、事業運営や価値創造にAIとデータの持つ力を最大限活用しながら、消費者やビジネスパートナーに対し、革新的なサービスを提供していくことを目指しています。経済産業省の調査(注1)によれば、2023年における日本のBtoC-EC市場規模は24.8兆円に達しました。また、BtoC市場における物販系EC化率は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で市場規模が拡大した後、伸び率は鈍化しつつも増加した結果、9.38%となる等、商取引の電子化が進展し続けています。さらに、日本の同比率は諸外国のそれに比して未だ低いことから、当社グループが推進するEC事業の拡大余地は引き続き大きいと考えています。キャッシュレス決済においては、2018年4月に経済産業省により策定された「キャッシュレス・ビジョン」で、2025年までに我が国におけるキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げることが目標とされています。さらに、将来的には同比率を世界最高水準の80%まで引き上げることを目指すとされており、クレジットカード決済、QRコード・バーコード決済等の様々な決済手段によるキャッシュレス決済規模の一層の拡大が見込まれます。当社グループのフィンテック事業各社は当該分野におけるリーディングカンパニーとして、引き続き同市場の拡大に貢献していきます。移動通信においては、ネットワークの高度化の進展とともに、スマートフォンの普及、それと並行してSNS、ゲーム、動画・音楽配信、地図、検索等のエンドユーザー向けのコンテンツ・アプリケーション市場が拡大する中、モバイル端末の利用シーンが大きく広がっています。総務省の報告(注2)によれば、2024年9月末時点における日本の携帯電話の契約数は2億1,790万件に達する等、国内移動通信市場の拡大が継続しています。当社グループが展開するモバイル事業においても、グループ経済圏の強みを最大限に活かしながら、お客様へのクロスセル等を通じて、利便性の高い様々なサービスを提供していきます。このように当社グループをとりまく経営環境はデジタル・トランスフォーメーションが加速する社会の中で、絶えず変化を続けており、当社グループにおいては恒常的な技術革新への対応や迅速・柔軟な経営判断等により、これらの変化に対応していく必要があります。(注1) 出典:「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」(経済産業省)(注2) 出典:「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表       (令和6年度第2四半期(9月末))」(総務省) ② 経営戦略当社グループは、楽天グループ会員を中心としたユーザーに対し、様々なサービスを提供するビジネスモデル楽天エコシステムを構築し、拡大することを基本的事業戦略としています。当社グループが保有するメンバーシップ、データ及びブランドを結集したビジネス展開による楽天エコシステムの拡大により、国内外の会員がEC、フィンテック、デジタルコンテンツ、携帯キャリア事業等の複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値(ライフタイムバリュー)の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果を創出し、グループ収益の最大化を目指します。加えて、ステークホルダーとのエンゲージメントを通じて2021年に当社グループのサステナビリティ戦略(優先的に取り組むESG課題)を改訂し、「事業基盤」、「従業員と共に成長」、「持続可能なプラットフォームとサービスの提供」、「グローバルな課題への取り組み」の4つの分野を特定しました。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。特に「事業基盤」である、倫理的な事業慣行、情報セキュリティとプライバシー、製品サービスの品質は、当社グループにとって従来より重要性が高く、強固な管理・取組体制がある課題と捉えています。重点分野である「従業員と共に成長」、「持続可能なプラットフォームとサービスの提供」及び「グローバルな課題への取り組み」には様々なESG課題が含まれます。具体的には、従業員のダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンや持続可能な生産と消費、気候変動等の課題に取り組んでいます。こうした取組を通じ、国内及び進出先国・地域の活性化、日本及び世界経済の発展に貢献し、ステークホルダーの皆様から信頼され続ける企業を目指します。 (4) 優先的に対処すべき課題「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」企業グループとして、事業環境の変化に柔軟に対応し、持続可能な成長に向けた仕組みを構築することが、当社グループの対処すべき課題です。長期にわたる持続的な成長により、当社グループの企業価値・株主価値の最大化を図るとともに、社会全体に便益をもたらすグローバル イノベーション カンパニーであり続けることを目指します。 ① 事業戦略当社グループが保有するメンバーシップ、データ及びブランドを核とする楽天エコシステムにおいて、国内外の会員が複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値(ライフタイムバリュー)の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果の創出及びグループ全体の価値最大化を目指し、また、メンバーシップ及び共通ポイントプログラムを基盤にしたオンライン・オフライン双方のデータ、AI等の先進的技術を活用したサービスの開発及び展開を進めています。EC及び旅行予約をはじめとしたインターネットサービスにおいては、新規顧客の獲得、クロスユースの促進、自治体や地域事業者との連携を深化させたサービス開発及び地域経済活性化等に取り組むとともに、データやAI等の活用を通じた新しい市場の創造により、流通総額及び売上収益の成長を目指します。クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービス、保険サービス、ペイメントサービス等を提供するフィンテックにおいては、各サービスにおける顧客基盤及び取扱高の拡大を目指します。また、政府によるキャッシュレス普及が推進されている中、QRコード・バーコード決済、電子マネー、ポイント等を含む総合的なキャッシュレス決済の推進に向け、決済サービス導入箇所の拡大や、アクティブユーザーを増やすための施策等に取り組んでいます。加えて、最大の強みであるクレジットカードを中心とした決済サービスプラットフォーム構想の実現に向けて引き続き注力し、楽天エコシステム内における送客効果を更に高めていきます。モバイルにおいては、自社ネットワーク回線エリア及びパートナー回線の拡充に伴う99.9%の人口カバー率達成及び通信品質向上を通した顧客体験改善に加え、楽天モバイルの強みである競争力の高い料金プラン、楽天エコシステムを活用した魅力的なマーケティング施策を打ち出していくとともに、当社グループと取引のある全国の法人企業や自治体等に対する提案を通じ更なる契約者獲得を進めます。加えて、2024年6月に商用サービスを開始した700MHz帯域(プラチナバンド)の展開を順次拡大させることで、より高品質なネットワーク環境を提供し、契約者獲得のペース加速に繋げるとともに、モバイル事業における早期の黒字化を目指します。また、通信事業者におけるネットワーク機器の構成を刷新する取組や基地局のオープン化がグローバルで進む中、革新的なモバイルネットワーク技術を用いた通信プラットフォーム等を提供している楽天シンフォニーにおいては、日本国内において最新のインフラを構築した実績に基づき、的確に商機を捉えながらグローバル展開を進めていきます。こうした個々のビジネスの成長や事業間シナジーの最大限の追求に加え、当社グループが持つメンバーシップやAIの活用による革新的で効率的なマーケティング手法の確立、グループシナジーを生かした広告事業の活用、さらに国内外におけるブランド認知度、価値の向上等により、今後も楽天エコシステムを国内のみならずグローバルでも拡大していきたいと考えています。このためにはグローバル経営を一層強化する必要があり、経営資源配分の最適化を図るための事業ポートフォリオの見直し・強化を行うほか、AIを活用した生産性・事業効率の向上等にも力を入れていきます。 ② 経営体制当社グループは、「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」ことを経営の基本理念としています。ユーザー及び取引先企業へ満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていきます。その実践のために、コーポレート・ガバナンスの徹底を最重要課題の一つと位置づけ、様々な施策を講じています。当社は、経営の透明性を高め、適正性・効率性・公正性・健全性を実現するため、独立性の高い監査役が監査機能を担う監査役会設置会社の形態を採用しており、経営の監査を行う監査役会は、社外監査役が過半数を占める構成となっています。また、当社は、経営の監督と業務執行の分離を図るため執行役員制を導入しており、取締役会は経営の意思決定及び監督機能を担い、執行役員が業務執行機能を担うこととしています。当社の取締役会においては、独立性が高く多様な分野の専門家である社外取締役を中心として客観的な視点から業務執行の監督を行うとともに、経営に関する多角的な議論を自由闊達に行っています。さらに取締役会とは別に、社外役員含む全ての役員が原則出席するグループ経営戦略等に関する会議を開催し、短期的な課題や取締役会審議事項に捉われない中長期的視野に立った議論も行うことで、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めています。加えて、業務執行における機動性の確保、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化を実現するために社内カンパニー制を導入しています。当社グループでは、今後もこうした取組を通じて、迅速な経営判断を可能にし、より実効性の高いガバナンス機能を有する経営体制を構築していきます。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP指標」)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益(以下「IFRS営業利益」)から、当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する会計基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産償却費等を指します。(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照していますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。 ① 当期の経営成績(Non-GAAPベース)当連結会計年度における世界経済は、一部の地域において足踏みがみられるものの持ち直しており、その先行きについては、欧米における高い金利水準継続等の影響による景気の下振れリスクの高まりや、米国の今後の政策動向等による影響に留意する必要があります。日本経済については、個人消費の持ち直しに一部足踏みが残るものの、景気の緩やかな回復が続くことが期待されています。「情報通信白書」(注)によると、情報通信分野の技術政策は、あらゆる産業や社会活動の基盤となり、国境を越えて活用されていくことが見込まれるBeyond 5Gに向けた取組を中心に推進されています。また、AI等のデジタルを利用した新テクノロジーは、この先更に私たちの社会・経済活動を変革していくと期待されています。このような環境下、当社グループは、メンバーシップ及び共通ポイントプログラムを基盤にしたオンライン・オフライン双方のデータ、AI等の先進的技術を活用したサービスの開発及び展開、モバイルサービスにおけるネットワーク品質の向上及びユーザー獲得等を積極的に進めています。楽天エコシステムを更に進化・拡大させることで、当社グループの競争力を高めていくとともに、インターネットサービス、フィンテック、モバイル等、多岐にわたるサービスを通じて蓄積したユニークなデータ資産を保有している当社グループだからこそ可能であるソリューションサービスを開発していくことで、「AIエンパワーメントカンパニー」としても進化し、人々の生活をより便利で豊かにすることを目指しています。また、足元において物価上昇等の景気の先行きへの不透明感が伴う中、多種多様な事業ポートフォリオを有する当社グループが強みとして発揮できる相乗効果を最大限生かすことで、消費者動向やニーズを的確に捉え、更なる成長機会を捉えていきます。インターネットサービスにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長のために、新規顧客の獲得、クロスユースの促進、自治体や地域事業者との連携を深化させたサービスの開発、地域経済活性化等に注力するとともに、マーケティング施策変更により、収益性の向上を目指した結果、大幅な増益を達成しました。フィンテックにおいては、各サービスにおける顧客基盤及び取扱高の拡大に努めた結果、更なる売上高の伸長とセグメント利益の向上につながりました。また、モバイルにおいては、自社エリア及びパートナー回線の活用による効率的なネットワーク品質の改善が進み、マーケティング活動の強化を行った結果、契約回線数が増加し売上収益が拡大したことに加え、コスト最適化努力を継続したことで、セグメント損失は着実に縮小傾向にあります。この結果、当社グループの当連結会計年度における売上収益は2,279,233百万円(前連結会計年度比10.0%増)、Non-GAAP営業利益は7,048百万円(前連結会計年度は153,041百万円の損失)となりました。また、当連結会計年度において、Non-GAAP営業利益は2019年連結会計年度以来5年ぶりに黒字化を達成しました。(注) 出典:「令和6年版情報通信白書」(総務省) (Non-GAAPベース)(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率 (自2023年1月1日至2023年12月31日)(自2024年1月1日至2024年12月31日)売上収益2,071,3152,279,233207,91810.0%Non-GAAP営業利益又は損失(△)△153,0417,048160,089-% ② Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整当連結会計年度において、Non-GAAP営業利益にて控除される無形資産償却費は6,821百万円、株式報酬費用は15,910百万円となりました。なお、前連結会計年度に計上された非経常的な項目には、ネットスーパー事業の運営方法の変更に伴う固定資産の減損損失15,922百万円、モバイル事業におけるローミング契約の見直しに基づき設備投資計画を変更したことに伴い一時的に発生した基地局工事等のキャンセルに係る費用等13,598百万円、株式会社西友ホールディングスの全株式を譲渡したことに伴い発生した売却損益、2022年連結会計年度に発覚した子会社の元従業員及び取引先の共謀による不正行為に係る弁護士費用等、外部の専門家に対する報酬等が含まれています。また、当連結会計年度に計上された非経常的な項目には、保険事業の生損保一体型基幹システム及びその他のシステムの一部に係る除却損5,863百万円、損害保険事業における基幹システムの開発計画の見直しに伴う固定資産の減損9,662百万円、令和6年能登半島地震における基地局の保守修繕費等の発生費用1,154百万円、モバイル事業における一部代理店との契約の見直し及び取引の再評価による契約獲得のためのコストから認識した資産等の取崩し損失5,411百万円、楽天シンフォニー事業における先進的なネットワークソフトウエア開発により注力する形のビジネスモデル転換に伴う除却損1,891百万円及び資金生成単位の変更に伴う固定資産の一部減損2,155百万円、楽天農業事業及び海外広告事業の将来の収益見通しを再評価したことによる固定資産の減損1,667百万円、楽天チケット事業のリストラクチャリングに伴う固定資産の減損等1,305百万円、Viber Media S.a.r.l.の株式のグループ内譲渡及び楽天カード株式会社の株式の一部譲渡に伴う租税公課4,151百万円、海外子会社の売却未収金の回収不能リスクに伴い計上した貸倒引当金繰入額4,386百万円、International Business Machines Corporationとの間の訴訟の解決に係る費用、AST SpaceMobile, Inc.株式の会計上の取り扱いの変更による再測定益106,906百万円並びにみん就株式会社の譲渡益1,613百万円等が含まれています。なお、連結損益計算書において、モバイル事業における契約獲得のためのコストから認識した資産等の取崩し損失並びにViber Media S.a.r.l.の株式のグループ内譲渡及び楽天カード株式会社の株式の一部譲渡に伴う租税公課は営業費用に、それ以外の収益及び費用は主にその他の収益及びその他の費用に計上されています。 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額 (自2023年1月1日至2023年12月31日)(自2024年1月1日至2024年12月31日)Non-GAAP営業利益又は損失(△)△153,0417,048160,089無形資産償却費△13,564△6,8216,743株式報酬費用△14,318△15,910△1,592非経常的な項目△31,93468,658100,592IFRS営業利益又は損失(△)△212,85752,975265,832 ③ 当期の経営成績(IFRSベース)当連結会計年度における売上収益は2,279,233百万円(前連結会計年度比10.0%増)、IFRS営業利益はAST SpaceMobile, Inc.株式の会計上の取り扱いの変更による再測定益の影響等により52,975百万円(前連結会計年度は212,857百万円の損失)、当期損失(親会社の所有者帰属)は繰延税金資産の一部取崩し等の影響により162,442百万円(前連結会計年度は339,473百万円の損失)となりました。なお、当連結会計年度において、IFRS営業利益は2019年連結会計年度以来5年ぶりに黒字化を達成しました。 (IFRSベース)(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率 (自2023年1月1日至2023年12月31日)(自2024年1月1日至2024年12月31日)売上収益2,071,3152,279,233207,91810.0%IFRS営業利益又は損失(△)△212,85752,975265,832-%当期損失(△)(親会社の所有者帰属)△339,473△162,442177,031-% ④ セグメントの概況各セグメントにおける業績は次のとおりです。IFRS上のマネジメントアプローチの観点から、セグメント損益をNon-GAAP営業利益ベースで表示しています。 1) モバイルセグメント関連投資第3四半期連結会計期間より、モバイルセグメントに関連する投資の今後増加想定に基づき、当該投資を管轄する組織を設立しました。これによりモバイルセグメント関連投資の管理方法が変更となり、前連結会計年度のインターネットサービスセグメントに係るセグメント利益は1,700百万円減少し、モバイルセグメントに係るセグメント損失は同額減少しています。 2) モバイルエコシステム貢献第3四半期連結会計期間より、楽天エコシステム内におけるセグメント間の相互貢献効果が拡大している状況を踏まえ、相互貢献効果及び相互送客効果(以下「モバイルエコシステム貢献」)も含めて精緻に業績評価を行えるよう、これらのモバイルエコシステム貢献をセグメント損益に反映しています。モバイルエコシステム貢献は、特に楽天モバイルMNO契約者が非契約者と比較して当社グループの各種サービスを利用する傾向が高くなることに基づき算出された貢献効果から、各セグメントから享受する送客効果を控除した指標であり、セグメント間の相互貢献効果及び相互送客効果を数値化すべく以下のとおり計算し、当連結会計年度のセグメント情報に反映しています。これに伴い、各セグメント損益は後述の表のとおり、前連結会計年度のセグメント情報を修正再表示しています。なお、連結上の売上収益、Non-GAAP営業損益、営業損益に与える影響はありません。 モバイルエコシステム貢献=ⅰ)楽天モバイルMNO契約者の粗利益ベースのアップリフト効果-ⅱ)グループ会社からモバイル事業への送客効果 セグメント間のアップリフト効果及び送客効果の計算方法ⅰ) 楽天モバイルMNO契約者の粗利益ベースのアップリフト効果当社グループの各事業の特性に応じて、下記いずれかの方法により月額を計算しています。 (a) 楽天モバイルMNO個人契約者と非契約者を比較した場合の当社グループ各事業における各月の直近1年間のユーザー1人当たり月次平均売上の差×各月の各事業の粗利率×各月末の楽天モバイルMNO個人契約数 (b) 楽天モバイルMNO個人契約者と非契約者を比較した場合の当社グループ各事業における年間利用率の差×各事業の直近1年間のユーザー1人当たり月次平均売上×各月の各事業の粗利率×各月末の楽天モバイルMNO個人契約数 ⅱ) グループ会社からモバイル事業への送客効果グループ会社のサイトからモバイル事業の契約に至った各月の楽天モバイルMNO個人契約数×送客コスト ※ アップリフト効果の計算対象事業18事業(楽天市場、楽天ブックス、楽天24、楽天ビック、楽天Kobo、楽天ファッション、楽天トラベル、楽天マート、楽天ビューティー、楽天ペイアプリ決済、楽天ペイオンライン決済、楽天Edy、楽天ポイントカード、楽天カード、楽天銀行、楽天証券、楽天生命、楽天損保)を対象としています。 (インターネットサービス)主力サービスである国内ECにおいては、収益性の向上を企図したマーケティング施策変更の影響を受け、前連結会計年度と比べ流通総額の成長率は一時的に鈍化したものの、国内ECの成長が増収増益を牽引しました。インターネット・ショッピングモール『楽天市場』においては、新規顧客獲得やクロスユースの促進等に注力しました。インターネット旅行予約サービス『楽天トラベル』においては、顧客の利便性や満足度の向上を追求した各種施策に加え、引き続き好調なインバウンド需要の取り込みにより、流通総額が拡大しました。海外インターネットサービスを運営するインターナショナル部門においては、米国のオンライン・キャッシュバック・サービス『Rakuten Rewards』が堅調な売上成長を継続しました。海外コンテンツ事業においては、電子書籍サービスの『Kobo』の新カラー対応端末の売上が引き続き好調だったほか、ビデオストリーミングサービスの『Viki』において利用者が増加する等、各事業が着実に成長を継続し、インターナショナル部門での年間黒字化を達成、セグメント利益の拡大に寄与しました。この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は1,282,087百万円(前連結会計年度比5.8%増)、セグメント利益は85,137百万円(前連結会計年度比29.8%増)となりました。 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率 (自2023年1月1日至2023年12月31日)(自2024年1月1日至2024年12月31日)セグメントに係る売上収益1,212,3141,282,08769,7735.8%セグメント損益 考慮前75,13196,94021,80929.0%モバイルエコシステム貢献額△9,564△11,803△2,239-%考慮後65,56785,13719,57029.8% (フィンテック)フィンテックにおいては、クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービス、ペイメントサービス等において、前連結会計年度比での増収増益を達成しました。クレジットカード関連サービスにおいては、2024年6月に『楽天カード』の累計発行枚数が3,100万枚を突破した後も顧客基盤の拡大が継続し、ショッピング取扱高が伸長しました。これらに加え、マーケティング最適化等も奏功し、大幅な増益が継続しました。銀行サービスにおいては、顧客基盤の拡大に伴う運用資産の増加及び日銀の政策金利の引き上げに伴う運用利回りの向上により、資産運用収益が拡大し、大幅な増収増益となりました。証券サービスにおいては、顧客基盤の継続的な拡大に加え、収益源の多様化等により、国内株式取引を手数料無料化しつつも増益を達成しました。また、ペイメントサービスにおいても効率的なマーケティング施策等により事業成長が継続しています。この結果、フィンテックセグメントにおける売上収益は820,419百万円(前連結会計年度比13.1%増)、セグメント利益は153,377百万円(前連結会計年度比37.9%増)となりました。 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率 (自2023年1月1日至2023年12月31日)(自2024年1月1日至2024年12月31日)セグメントに係る売上収益725,165820,41995,25413.1%セグメント損益 考慮前122,915167,99445,07936.7%モバイルエコシステム貢献額△11,691△14,617△2,926-%考慮後111,224153,37742,15337.9% (モバイル)モバイルにおいては、ネットワーク品質の向上及びその認知拡大努力に取り組むとともに、「最強家族プログラム」や「最強青春プログラム」等の各種プログラムの展開、『楽天市場』や『楽天カード』をはじめ楽天エコシステムの各種サービスを活用したマーケティング施策展開等の結果、2024年12月に、契約回線数(法人向けのBCPプラン含むMNO、MVNE、MVNOの合算)が830万回線超となりました。ARPUについても、データ利用量の増加に加え、一部オプションの有料化、Rakuten Linkにおける広告売上の増加に伴うその他ARPUの向上等を背景に、B2C及びB2BのARPUが前第4四半期連結会計期間と比較してそれぞれ上昇しました。また、楽天モバイルMNO契約者のロイヤルユーザー化も進展し、モバイルエコシステム貢献額の増加につながりました。引き続き、様々なユーザーニーズに対応して、分かりやすく、コストパフォーマンスの高いサービスを提供することで、顧客満足度の最大化を図ってまいります。この結果、モバイルセグメントにおける売上収益は440,698百万円(前連結会計年度比20.9%増)、セグメント損失は208,933百万円(前連結会計年度は314,569百万円の損失)となりました。特に、モバイル事業においては、2024年12月に単月でのEBITDA黒字化を達成しました。 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率 (自2023年1月1日至2023年12月31日)(自2024年1月1日至2024年12月31日)セグメントに係る売上収益364,556440,69876,14220.9%セグメント損益 考慮前△335,824△235,353100,471-%モバイルエコシステム貢献額21,25526,4205,16524.3%考慮後△314,569△208,933105,636-% ⑤ 生産、受注及び販売の状況(生産実績)当社グループは、インターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしていません。(受注実績)モバイルセグメントにおいて、Open RANベースの通信インフラプラットフォーム及びサービスの提供等を行っており、受注実績は次のとおりです。その他のセグメントは、インターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、受注生産を行っていませんので、受注実績に関する記載はしていません。 セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)モバイル41,1341,132.377,891△31.8 (注) セグメント間取引については、相殺消去しています。 (販売実績)当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)インターネットサービス1,282,0875.8フィンテック820,41913.1モバイル440,69820.9内部取引等△263,971-合 計2,279,23310.0 (2) 経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 経営成績の分析(売上収益)当連結会計年度における売上収益は2,279,233百万円となり、前連結会計年度の2,071,315百万円から207,918百万円(10.0%)増加しました。これは、インターネットサービスにおける、『楽天市場』に代表される国内既存事業の成長に加え、『Rakuten Rewards』や『Rakuten Kobo』等海外事業の成長が売上収益に貢献したこと、フィンテックにおける、『楽天カード』の会員基盤拡大に伴う手数料収入等の増加及びリボルビング払いやキャッシングニーズの回復傾向が見られたことに伴う各手数料収入の伸長、銀行サービスの運用資産の順調な積み上げ及び政策金利の引き上げによる金利収益の伸長、証券サービスの預り資産の順調な積み上げ及び収益源の多様化による手数料及び金利収益の伸長、『楽天ペイ』の会員基盤拡大に伴う手数料収入等の増加、モバイルにおける通信料金収入の増加や、楽天シンフォニー事業における製品販売収益の増加等が売上収益に貢献したこと等によるものです。 (営業費用)当連結会計年度における営業費用は2,303,806百万円となり、前連結会計年度の2,234,959百万円から68,847百万円(3.1%)増加しました。これは、モバイルにおいて基地局設備投資等の見直しやローミング費用を含む各種コスト削減を実施した一方、フィンテックにおける銀行サービスの預金が増加したことに伴う支払利息の増加や、モバイルにおける楽天シンフォニー事業の製品原価の増加等によるものです。 (その他の収益)当連結会計年度におけるその他の収益は125,784百万円となり、前連結会計年度の10,272百万円から115,512百万円(1,124.5%)増加しました。これは、AST SpaceMobile, Inc.株式の会計上の取り扱いの変更による再測定益を106,906百万円計上したこと等によるものです。 (その他の費用)当連結会計年度におけるその他の費用は48,236百万円となり、前連結会計年度の59,485百万円から11,249百万円(18.9%)減少しました。これは、前連結会計年度にネットスーパー事業の運営方法の変更に伴う固定資産の減損損失を15,922百万円計上したこと等によるものです。 (営業利益)当連結会計年度における営業利益は52,975百万円となりました(前連結会計年度は、212,857百万円の損失)。これは、インターネットサービス、フィンテック及びモバイルにおいて、事業が堅調に推移し、売上収益が増加したことに加え、全社において、コスト削減施策等が奏功したこと及びAST SpaceMobile, Inc.株式の会計上の取り扱いの変更による再測定益を計上した結果、前連結会計年度と比較して業績が大幅に改善したことによるものです。 (持分法による投資損益)当連結会計年度における持分法による投資損失は9,032百万円となりました(前連結会計年度は、13,731百万円の損失)。これは、AST SpaceMobile, Inc.に対する投資損失が減少したこと等によるものです。 (税引前当期利益)当連結会計年度は16,277百万円の税引前当期利益となりました(前連結会計年度は、217,741百万円の損失)。これは、営業利益で説明した要因等により業績が大幅に改善したことによるものです。 (法人所得税費用)当連結会計年度における法人所得税費用は145,762百万円となりました(前連結会計年度は111,794百万円)。これは、当連結会計年度において、楽天カード株式会社がグループ通算制度から離脱したことに加え、その他通算グループにおける予算未達の状況に起因する将来所得の不確実性を考慮し、繰延税金資産を取崩したこと等によるものです。 (当期損失)以上の結果、当期損失は129,485百万円となりました(前連結会計年度は、329,535百万円の損失)。 (親会社の所有者に帰属する当期損失)以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期損失は162,442百万円となりました(前連結会計年度は、339,473百万円の損失)。 ② 財政状態の分析(資産)当連結会計年度末の資産合計は26,514,728百万円となり、前連結会計年度末の資産合計22,625,576百万円と比べ、3,889,152百万円増加しました。これは主に、証券事業の金融資産が1,083,744百万円増加、現金及び現金同等物が1,043,214百万円増加、銀行事業の貸付金が743,902百万円増加、銀行事業の有価証券が721,923百万円増加したことによるものです。 (負債)当連結会計年度末の負債合計は25,276,214百万円となり、前連結会計年度末の負債合計21,537,853百万円と比べ、3,738,361百万円増加しました。これは主に、銀行事業の預金が1,579,145百万円増加、証券事業の金融負債が1,275,775百万円増加、社債及び借入金が414,829百万円増加したことによるものです。 (資本)当連結会計年度末の資本合計は1,238,514百万円となり、前連結会計年度末の資本合計1,087,723百万円と比べ、150,791百万円増加しました。これは主に、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期損失を162,442百万円計上したこと等により、利益剰余金が180,709百万円減少した一方で、楽天カード株式会社の株式の一部譲渡等により資本剰余金が107,869百万円増加、非支配持分が59,495百万円増加、米ドル建永久劣後特約付社債の発行によりその他の資本性金融商品が81,401百万円増加、円安の影響による為替換算調整勘定の変動等によりその他の資本の構成要素が76,861百万円増加したことによるものです。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ1,043,214百万円増加し、6,170,888百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,190,882百万円の資金流入(前連結会計年度は724,192百万円の資金流入)となりました。これは主に、証券事業の金融資産の増加による資金流出が1,083,478百万円、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が742,063百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が1,574,499百万円、証券事業の金融負債の増加による資金流入が1,275,335百万円となったことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、921,724百万円の資金流出(前連結会計年度は597,416百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が715,151百万円(取得による資金流出が1,742,002百万円、売却及び償還による資金流入が1,026,851百万円)、無形資産の取得による資金流出が159,285百万円となったことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、757,469百万円の資金流入(前連結会計年度は291,956百万円の資金流入)となりました。これは主に、社債の償還による資金流出が323,397百万円となった一方で、社債の発行による資金流入が601,313百万円、長期借入れによる資金流入が195,279百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による資金流入が164,997百万円となったことによるものです。 ④ 収益の認識及び表示方法収益の認識及び表示方法については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記2. 重要性がある会計方針 (15) 収益」をご参照ください。 ⑤ 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産は、それらが利用される将来の課税所得を稼得する可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異及び全ての未使用の繰越欠損金及び税額控除について認識しています。当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり行っている見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しています。ただし、これらの見積りは当社グループとしても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社グループが繰延税金資産を減額する可能性もあります。 ⑥ 公正価値で測定する金融資産公正価値で測定する金融資産については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 48. 金融商品の公正価値」をご参照ください。 (3) 資産の財源及び資金の流動性 ① 財務運営の基本方針当社は、グループの持続的成長の実現を可能とするための資金ニーズに対し、安定的かつ多様な資金調達手段の確保を行うこと、また、金融事業に従事する子会社の財務健全性を堅持するため、十分な流動性の確保を図ることを財務運営の基本方針としています。経営の独立性が求められるフィンテックセグメントに属する子会社及び外部金融機関からのリース調達をしている楽天モバイル株式会社を除く子会社においては、原則として銀行等の外部金融機関からの資金調達を行わず、グループ内のキャッシュ・マネジメント・サービスの活用により、当社が資金調達、グループ資金効率の向上、流動性の確保等を行っています。また、成長が続くインターネットサービスセグメントにおける運転資金の増加等については、営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金や、コマーシャル・ペーパー等の短期借入金を充当することを基本方針としています。また、投資フェーズにあるモバイルセグメントでの設備投資資金への資金充当については、下記「③ 今後の資金調達のニーズ及び資金調達の見通し」をご参照ください。なお、投資等の新規に資金投下を要する案件等については、外部有識者を含むメンバーで構成される投融資委員会において、案件の取り進めの可否を事前審議しており、その審議結果については、取締役会に報告することに加え、一定額以上の案件につき当社の取締役会の承認決議を要件とすることとしています。さらに、投資後のモニタリングを継続的に実施し、必要に応じて機動的にポートフォリオの見直しを実施しています。これらを通じて、グループ全体でのリスク管理及び最適な経営資源の配分を実現することを目標としています。以上を踏まえ、具体的な資金調達手法及び資金調達のタイミングに関しては、グループ全体の事業計画に基づくキャッシュ・フロー、手元流動性の状況等を踏まえて判断しています。資金調達に関するリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク 3 事業運営全般リスク (9) 財務・資金に関するリスク ① 資金調達等に関するリスク」をご参照ください。 ② 現状当社グループは、当連結会計年度末時点において、総額5,461,713百万円の社債及び借入金を有しており、前連結会計年度比666,540百万円増となりました。このうち、短期の社債及び借入金は前連結会計年度比207,299百万円増の458,978百万円で、内訳は、短期借入金271,878百万円、コマーシャル・ペーパー187,100百万円となっています。なお、当連結会計年度末時点の当社の長期及び短期の信用格付けは、日本格付研究所(JCR)でA-/J-1、格付投資情報センター(R&I)でBBB+/a-2、S&Pグローバル・レーティングでBB(長期)となっています。 ③ 今後の資金調達のニーズ及び資金調達の見通し連結子会社の楽天モバイル株式会社は、2018年4月に「第4世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画」、2019年4月に「第5世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設計画」の認定をそれぞれ受け、2020年4月に4Gサービスを本格的に開始し、同年9月には5Gサービスを開始しました。当該認定された計画における設備投資額は2026年3月末までに最大800,000百万円程度となる見通しです。また、2021年4月には「第5世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画」の認定を受け、当該認定された計画における設備投資額は2029年3月末までに約118,600百万円程度となる見通しです。その後、4Gに係る設備投資額については、基地局の高密度化による通信品質の向上、今後見込まれる利用者の増加やデータ利用量の増加等に対応するため、基地局数を当初計画より増やして設置を進めており、それに伴い基地局向け設備投資額も増加しています。加えて、2023年10月に「700MHz帯における移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画」の認定を受け、2033年度末までに累計約54,400百万円の設備投資を行う予定です。モバイル事業における今後の必要資金については、当社から楽天モバイル株式会社への投融資、楽天モバイル株式会社におけるリース、流動化ファイナンス等を活用して調達する予定です。これまでの当該投融資については、当社が2018年12月に発行した利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)により調達した182,000百万円(そのうち、75,000百万円については2021年7月に買入消却を実施)、2020年11月に発行した利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)により調達した120,000百万円、2021年3月に実行した第三者割当による新株の発行及び自己株式の処分により調達した242,347百万円、同年4月に発行した米ドル及びユーロ建永久劣後特約付社債により調達したそれぞれ1,750百万米ドル、1,000百万ユーロ、同年12月に発行した無担保社債により調達した300,000百万円(そのうち、55,800百万円については2024年4月に買入消却を実施)、2022年6月に発行した無担保社債により調達した150,000百万円、同年11月に発行したドル建無担保社債により調達した500百万米ドル(そのうち、150百万米ドルについては2024年2月に買入消却を実施)、2023年1月に発行したドル建無担保社債により調達した450百万米ドル(その全額について2024年2月に買入消却を実施)、同年2月に発行した無担保社債により調達した250,000百万円、2023年5月に実行した公募及び第三者割当による新株の発行での調達資金等の全部又は一部を充当しています。なお、2025年12月期の楽天モバイル株式会社における設備投資額は、約150,000百万円を予定しています。また、今後、5Gサービス等における設備投資の前倒し等により、当社から楽天モバイル株式会社への更なる出資等が求められる可能性もあります。その場合においては、上記の「① 財務運営の基本方針」も踏まえ、最適な資金調達手段を検討していきます。 (4) 経営成績に重要な影響を与える要因経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計上の見積り及び判断」をご参照ください。

※本記事は「楽天グループ株式会社」の令和6年12期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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