会社名 | 武田薬品工業株式会社 |
業種 | 医薬品 |
従業員数 | 連49281名 単5474名 |
従業員平均年齢 | 43.3歳 |
従業員平均勤続年数 | 14.6年 |
平均年収 | 10813000円 |
1株当たりの純資産 | 2604.87円 |
1株当たりの純利益 | 216.6円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 188円 |
配当性向 | 86.8% |
株価収益率(PER) | 19.3倍 |
自己資本利益率(ROE) | 8.2% |
営業活動によるCF | 7163億円 |
投資活動によるCF | ▲4638億円 |
財務活動によるCF | ▲3544億円 |
研究開発費※1 | 7299億円 |
設備投資額※1 | 3244億円 |
販売費および一般管理費※1 | 388.86億円 |
株主資本比率※2 | 45.1% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 タケダの企業理念と「私たちの約束」当社の企業理念は、当社が誰であるか、何を行うか、どのように行うか、なぜそれが重要なのかというタケダの豊かなストーリーを伝えています。当社は、240年以上前の創業から現在に至るまで、社会にも役立つ誠実さで患者さんに貢献しています。データ、デジタルおよびテクノロジー(DD&T)の力を活用し、「Patient」(すべての患者さんのために)、「People」(ともに働く仲間のために)、「Planet」(いのちを育む地球のために)に取り組む「私たちの約束」は、「私たちの価値観」(バリュー)に基づき、「私たちが目指す未来」(ビジョン)と「私たちの存在意義」(パーパス)を実現するために果たすべきことを示しています。私たちの存在意義(パーパス)「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」私たちが目指す未来(ビジョン)当社のビジョンは、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために。私たちはこの約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続けること」です。私たちの価値観(バリュー):タケダイズムタケダイズムとは、まず誠実であること。それは公正・正直・不屈の精神で支えられた、当社が大切にしている価値観です。当社は、これを道しるべとしながら「1.患者さんに寄り添い(Patient)、2.人々と信頼関係を築き(Trust)、3.社会的評価を向上させ(Reputation)、4.事業を発展させる(Business)」を日々の行動指針とします。私たちの約束(インペラティブ)当社には、患者さん、ともに働く仲間、そして地域社会に対して果たすべき責任があります。この「私たちの約束」は「私たちの存在意義」と「私たちが目指す未来」を実現するために欠かせない要素です。すべての患者さんのために・私たちは、倫理観をもってサイエンスの革新性を追求します。そして、人々の暮らしを豊かにする医薬品の創出に取り組みます。また、私たちの医薬品を、より多くの人々に迅速にお届けします。ともに働く仲間のために・私たちは、理想的な働き方を実現します。いのちを育む地球のために・私たちは、自然環境の保全に寄与します。データとデジタルの力で、イノベーションを起こします・データを活用して導き出された成果をもとに、もっとも信頼されるバイオ医薬品企業として、これからも変革し続けます。当社は、サイエンスに基づき、最も信頼されるデジタルバイオ医薬品企業として、変革し続けることを目指しています。当社は、中核とする事業を通じて、患者さん、株主、社会に対して長期的な価値を提供するとともに、ともに働く仲間や地域コミュニティ、さらには地球に対して良い影響を与えることができるように努めています。 事業環境当社は、当社のビジョンを実現するため、地政学的な不確実性、高騰するヘルスケアに対する支出、急速な技術革新といった課題を克服しなければならないと考えています。 世界経済の先行きは、ウクライナや中東における紛争や、中国と米国やヨーロッパ、その他諸外国との間の地政学的な緊張が続いており不透明さが残る中、リスクは一段と高まっていると考えています。当社は、グローバル企業として、常に変化する経済環境とそれに伴うリスクに注意を払い、事業戦略を適応させる必要があります。 当社を取り巻く事業環境は、各国政府のヘルスケア政策にも影響を受けます。近年においては医療イノベーションによる成果が現れてきているものの、高齢化や生活スタイルの変化、複合疾患に対するより高度で先進的な治療法の利用等によってヘルスケアに対する支出額は数十年間、先進国の国内総生産や国内総所得を上回る速度で増加してきました。このため、保険者は保険償還対象となる医薬品をより厳格に選定するようになりました。各国政府は後発品やバイオシミラーの使用を促進し、薬価引き下げの圧力を強めています。米国のインフレ抑制法の導入は、医療費の予測可能性の向上等、メディケア受給者に利点をもたらした一方、政府によるかつてない薬価設定制度の設立は、製薬企業による米国内における研究開発投資を減速させる可能性があります。さらに、医療アクセスの格差が拡大していることから、医療の公平性に対処するための医療アクセスの改善や政策の必要性が高まっています。当社は、現在主流の「出来高払いの診療報酬モデル」から、成果に基づく支払と品質の確保を目指す「価値に基づく保険医療モデル」への移行により、保険給付対象の拡大と公平性を改善しながらも、医療費の増加ペースを抑えることができると考えています。 当社はまた、急速な技術革新も事業計画に戦略的に取り入れる必要があると考えています。世界の製薬産業におけるイノベーションのスピードは、がん免疫療法、細胞療法、遺伝子治療等の医療技術によって加速し続けており、最近の人工知能(AI)の急速な普及によってさらに促進されています。疾患や治療の管理を行うためのAIを活用したイノベーションの開発は非常に大きな可能性を有しており、製薬産業に革新をもたらすと考えています。 このような課題やその他さまざまな要因が事業環境に影響を与える状況において、当社の患者さんへのコミットメントと、患者さんをサポートするための取り組みは、これまで以上に重要になっています。 Patient(すべての患者さんのために)当社は、人生を変え得る科学の力を追求し、希少疾患とより有病率が高い疾患の両方における最も高いアンメット・メディカル・ニーズに対して集中的に取り組んでいます。当社の研究開発プログラムは、ヒトにおけるバリデーションがなされたターゲットに基づき、多様なモダリティ(創薬手法)を網羅するものです。当社は、パイプラインの開発加速から、製造工程における品質と効率性の向上、医療従事者や患者さんの対応に至るまで、DD&Tを幅広く活用しています。 当社は、患者さんをサポートするため、事業活動にAIを活用する取り組みを増やしています。例としては、マサチューセッツ工科大学との共同プロジェクトにおいて、ファブリー病などの希少疾患の診断を加速するためにAIを活用する取り組みがあります。また、AIプラットフォームを使用した医師との関わり方の個別化、臨床試験を多様化しデータ収集を改善することなどもあります。当社は、AIに係る将来の規制環境を予測しながら、倫理的な方法で使用することにも意識を向けています。当社は、患者さんが疾患や治療を管理するためのAIを活用したイノベーションには非常に大きな可能性があると考えています。 2023年度には、転移性大腸がん治療剤のFRUZAQLA、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)治療剤のアジンマ、および好酸球性食道炎治療剤のEOHILIAの3つの新規化合物を含め、9つの承認を米国食品医薬品局(FDA)から取得しました。主要な研究開発活動の内容および進捗の詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。 タケダの成長製品・新製品は引き続き好調に推移しています。当社の売上トップ製品であるENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)は、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病の維持療法に使用する皮下注射製剤を米国において上市し、患者さんに治療の柔軟性や選択肢を提供することができるようになりました。 また、デング熱ワクチンQDENGAのグローバル展開にも注力しています。QDENGAは1年以上前に最初に上市されてから、本ワクチンの需要が最も高い多くの流行国を含め、世界20カ国以上で接種できるようになりました。2023年には、デング熱の症例が世界的に急増し、これまで影響を受けていなかった地域にも広がりました。当社は現在、生産拡大とともに、デング熱感染率の上昇に対抗するためQDENGAを必要とする世界中のコミュニティと連携することに取り組んでいます。 当社は、2030年までに年間1億回接種分のQDENGAの供給目標を達成するため、インドのBiological E社と提携契約を締結しました。同社は、年間最大5,000万回接種分を製造する予定です。本契約は、ドイツのジンゲンにある当社の工場とIDT Biologika GmbH社との長期提携による既存のワクチン製造能力に加えての提携になります。 People(ともに働く仲間のために)当社は、科学技術がどれほど進歩しても、意義のある変革をもたらすことができるのは「人」の力であることを認識しています。当社は、多様性、公平性、包括性(DE&I)に係る取り組みを通じてインクルーシブな職場環境を整備し、生涯学習と人材育成やキャリアアップを推進し価値に基づく企業文化を醸成し、従業員の心身の健康維持(ウェルビーイング)を優先することで、患者さんやコミュニティに人生を変え得る医薬品やワクチンをお届けすることを目指しています。 当社には、80を超える国と地域でさまざまな経歴や経験を持つ人々が集まっています。当社では、多様性を受け入れるとともに、患者さんや従業員に公平な機会を提供できるよう努めています。当社は、DE&Iへの投資を拡大しており、グローバルDE&Iカウンシルにおいては、戦略的な方向性の策定、関係構築、グローバル規模での健康格差や不平等に対処するための取り組み支援に重点を置いています。 生涯学習やキャリアアップは従業員のやる気や専門性を高め、新しい発想につながり、結果的に患者さんへの価値創造につながります。当社は、従業員のスキルアップやケイパビリティを開発し、持続的な成長に向けて、機動的で柔軟な組織を構築しています。当社のAIを活用した新たなプラットフォームであるCareer Navigatorは、従業員が個人の能力の最高に到達できるよう、個人の経験や能力にあった社内ポジションを提案し、メンター制度や学習の機会を提供しています。さらに当社では、現在の製薬業界に影響をもたらしている急速な技術発展を活用するとともに、ヘルスケアの未来に貢献できる従業員のデジタルスキルの強化に努めています。 当社は、職場環境を改善する取り組みの一環として、当社オフィスを従業員のウェルビーイングと学びを中心とした「タケダ・コミュニティスペース」に変革しました。これらの空間は対面での交流を最大化するために設計されており、持続可能な環境において人々が集中し、協力し、より密接につながることができるものとなっています。また、当社は行動保健プラットフォームであるThriveと提携し、従業員の全体的なウェルビーイングの改善、精神的回復力の構築、生産性の向上を支援しています。これらは、ウェルビーイングを促進し業績を向上させ、柔軟性を受け入れて定期的な対面での交流の価値を重視することにつながるなど、従業員の理想的な働き方の実現を支援する取り組みです。 Planet(いのちを育む地球のために)気候変動が及ぼす現実的な課題は、今やすべてのビジネスの意思決定プロセスにおいて考慮しなければならない事項になっています。公衆衛生は気候変動が及ぼす影響と密接に関連しており、気温の上昇に伴い広がる感染症や影響を受ける地域の患者さんの医療アクセスに関連する課題が生じます。 当社は、気候変動や環境汚染が人々の健康に影響を及ぼすことを認識しており、環境課題に対する高い意識を持って積極的に取り組んでいます。「私たちの存在意義」(パーパス)を実現するためには、人々の健康には健全な地球環境が必要であり、人々の健康に貢献するだけでは充分ではないと考えています。当社では、環境負荷を低減するためにクリーンエネルギーを優先的に使用するだけでなく、ネットゼロの達成およびバリューチェーン全体で温室効果ガス排出を無くすべく取り組んでいます。当社は、2022年度まで、カーボンニュートラルを維持してきましたが、2024年度からは気候変動対策の指標としてのカーボンニュートラルからの転換を行い、ネットゼロのロードマップを進めるための取り組みにリソースを集中させるとともに、バリューチェーンを超えた自然の力を活かしたカーボン除去プロジェクトへの投資を継続していきます。具体的には、Science Based Targets initiative(SBTi)企業ネットゼロ基準に従ったネットゼロの達成(2035年までに当社の事業活動における温室効果ガス排出量を、2040年までにバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量をネットゼロ)、天然資源の保全、サステナビリティ原則を念頭に置いた製品の設計に注力していきます。 当社における温室効果ガス排出量の削減目標に向けた進捗は顕著であり、幾つかの製品に関しては環境サステナビリティ改善計画を策定しました。例えば、日本においてCMYKインク(シアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、キー・プレート(黒))印刷を先駆けて採用し、本取り組みをグローバルに展開していく予定です。特色インク印刷からの切り替えにより、サプライヤーにおける未使用インクの廃棄量を削減し、印刷機の洗浄に必要な溶剤の使用量や異なる包装間の切り替え時に発生する廃棄物の量も削減されることが期待されています。さらに、製品の二次包装の53%は、森林管理協議会(FSC)認証またはリサイクルコンテンツ認証された紙または板紙で作られています。 2023年10月、当社は、オーストリアのリンツに温室効果ガス排出量ゼロの施設として運営される初めての血漿収集センターを開設したことを公表しました。また、オーストリアの最大の製造拠点であるウィーンにおいては、画期的なヒートポンプシステムを導入し、本システムが設置された製造エリアにおける温室効果ガス排出量は最大90%削減されることになります。 DD&Tは、当社の環境への取り組みを支える重要な要素でもあります。大阪工場では、水使用の各箇所にセンサーやモニターを設置、データを解析して水の使用量を最適化する方法を検討、成功事例を標準化することで、年間約46万リットルの蒸留水の使用量を削減し、年間200万リットル以上の水道水の使用量を削減しました。同様のプロジェクトとして、電力消費量の削減や太陽光やその他のグリーンエネルギーの利用拡大にも取り組んでいます。 財務実績当社は、将来予測に基づき、財務プロファイルを計画・管理しており、インフレ耐性を高め、金利上昇に対するエクスポージャーを最小限に抑えた強固な財務基盤を有しています。 このような財務基盤のもと、当社は、現在、臨床段階にある約30の開発プログラムについて、社内の研究開発エンジンおよび200社以上との提携を通じて多様なパイプラインの強化に向けた取り組みを進めています。さらに、長期的な成長力を獲得するため、財務規律により創出されるフリー・キャッシュ・フローを通じて、社内外の投資機会に戦略的に投資を行っています。 研究開発においては、FRUZAQLA、アジンマ、EOHILIAの承認、および潜在的に大きな事業機会が見込め優先度の最も高いプログラムであるzasocitinib(TAK-279)とTAK-861における進展にみられるように、中期から後期のパイプラインが順調に進捗しています。 zasocitinibは、乾癬や炎症性腸疾患、乾癬性関節炎を含む複数の免疫介在性疾患において、ベスト・イン・クラスになり得る高度に選択的な経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬であり、継続して開発を推進するため、乾癬を対象として2つの臨床第3相試験を開始しました。当社は、2026年度から2027年度にかけて、乾癬を適応症として当局に承認申請を行っていくことを目指しています。 TAK-861はオレキシン2受容体作動薬のリード化合物であり、ナルコレプシーの病態生理の根本に作用する可能性を有しています。当社は2024年2月にナルコレプシータイプ1を対象とするTAK-861の臨床第3相試験の開始を決定しており、さらに、今後10年の成長に向けた取り組みを強化していきます。 短期的には、主に米国の注意欠陥/多動性障害治療剤VYVANSEの米国における独占販売期間が満了したことにより大きな減収圧力に見舞われていますが、中長期的には、タケダの成長製品・新製品*が売上収益の成長を牽引していくことを見込んでいます。2022年には、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)について、グローバル売上の持続的な成長見通しとバイオシミラー参入時期の想定の見直しに基づき、将来売上予測のレンジを75億米ドルから90億米ドルに引き上げました。今後の新製品の上市も売上収益の伸長をさらに加速させるものと見込んでいます。 中長期的には、当社はCore営業利益率を30%前半から半ばまでに回復させることを目指し、潤沢なキャッシュ・フローを維持してまいります。当社は、パイプライン拡充のための社内外における投資機会、新製品の上市、血漿分画製剤事業に対して、また、株主還元のコミットメントに向けて引き続き資金を配分してまいります。 * タケダの成長製品・新製品(2024年度)消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、LIVTENCITY、アジンマ血漿分画製剤:GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、 HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLAワクチン:QDENGA [主要製品一覧]消化器系疾患領域における主要製品は以下の通りです。・ENTYVIO(ベドリズマブ):ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。ENTYVIOは、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2024年3月期の当社グループの売上トップ製品でした。現在、ENTIVIOは世界70カ国以上で承認され、皮下注射製剤は米国、欧州および日本において承認されました。当社は本剤の可能性を最大化するため、その他の国においても本剤の承認取得を進め、さらなる適応症の開発を行ってまいります。2024年3月期におけるENTIVIOの売上収益は8,009億円となりました。・アロフィセル(ダルバドストロセル):アロフィセルは、非活動期/軽度活動期の成人の管腔型クローン病患者さんにおける、少なくとも一回以上の既存治療または生物学的製剤による治療が効果不十分であった複雑痔瘻に対する治療薬です。アロフィセルは、2018年に欧州の中央審査により販売承認(MA)された、欧州初の同種異系幹細胞療法であり、日本でも2021年に承認されました。2024年3月期におけるアロフィセルの売上収益は35億円となりました。・EOHILIA(ブデソニド経口懸濁液):EOHILIAは好酸球性食道炎(EoE)の治療薬で、コルチコステロイド薬です。米国食品医薬品局(FDA)による承認を受けた初めてかつ唯一の11歳以上のEoE患者さんへの12週間の投与を適応とする 経口治療薬です。2024年2月に米国FDAによる承認取得後上市しました。2024年3月期におけるEOHILIAの売上収益は2億円となりました。・タケキャブ/VOCINTI(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤タケキャブは、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。タケキャブ(中国の製品名:VOCINTI)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として中国で承認されました。2024年3月期におけるタケキャブ/VOCINTIの売上収益は1,185億円となりました。・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。成人用および小児用の効能を有するGATTEX/レベスティブが米国、欧州、日本において承認されました。2024年3月期におけるGATTEX/レベスティブの売上収益は1,193億円となりました。希少疾患領域における主要製品は以下の通りです。・タクザイロ(ラナデルマブ):タクザイロは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。タクザイロは、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。タクザイロは(12歳以上の患者さんへの適応として)2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2023年に、2歳以上の小児患者さんに対する治療薬として、FDAおよび欧州委員会の承認を取得しました。2024年3月期におけるタクザイロの売上収益は1,787億円となりました。・LIVTENCITY (maribavir):LIVTENCITYは、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35 kg以上)に対する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12月に米国において発売され、2022年11月に欧州、2023年12月に中国において承認されました。LIVTENCITYは、高いアンメット・メディカル・ニーズによる順調な市場浸透、急速なエリア拡大、迅速なマーケットアクセスにより、上市後も好調な業績となりました。2024年3月期におけるLIVTENCITYの売上収益は191億円となりました。・アジンマ(遺伝子組換え ADAMTS13-krhn):アジンマは先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の成人および小児患者さんの予防的治療薬ならびに酵素補充療法であり、欠乏したADAMTS13酵素を補充することによりcTTP患者のアンメット・メディカル・ニーズに対応するFDAに承認された初めてかつ唯一の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)です。 また、日本において、アジンマ(一般名: アパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)が、12歳以上の患者さんを対象としたcTTP治療薬として承認されました。 2024年3月期におけるアジンマの売上収益は4億円となりました。・エラプレース(イデュルスルファーゼ):エラプレースは、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。2024年3月期におけるエラプレースの売上収益は916億円となりました。・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):リプレガルは、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2024年3月期におけるリプレガルの売上収益は736億円となりました。・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):アドベイトは、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に使用されます。2024年3月期におけるアドベイトの売上収益は1,229億円となりました。・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):アディノベイト/ADYNOVIは、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。アディノベイト/ADYNOVIは遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤アドベイトと同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。2024年3月期におけるアディノベイト/ADYNOVIの売上収益は663億円となりました。・ビプリブ(ベラグルセラーゼアルファ点滴静注用):ビプリブはI型ゴーシェ病に対する長期酵素補充療法治療剤です。2024年3月期におけるビプリブの売上収益は513億円となりました。血漿分画製剤(免疫疾患)領域における主要製品は以下の通りです。・GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG(静注用人免疫グロブリン10%製剤):GAMMAGARD LIQUIDは、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。GAMMAGARD LIQUIDは、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、GAMMAGARD LIQUIDは、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用されます。2024年1月に、米国において、GAMMAGARD LIQUIDが、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの治療薬として承認されました。GAMMAGARD LIQUIDは、米国以外の多くの国で製品名KIOVIGとして販売されています。KIOVIGは、欧州において、CIDPを含む、複数の適応症への使用が承認されています。・HYQVIA(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%):HYQVIAは、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。HYQVIAは、PID患者さんに対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮下注用治療薬です。HYQVIAは、米国では成人PID患者さんへの使用、また欧州においてPID症候群および骨髄腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの使用が承認されております。2024年1月に、HYQVIAは、米国において、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの再発予防の維持療法として、また、欧州においては、すべての年齢のCIDPの患者さんの維持療法として承認されました。? キュービトル(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):キュービトルは、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。キュービトルは、欧州では特定の続発性免疫不全の治療薬としても承認されています。キュービトルは、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。2024年3月期におけるGAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤の売上収益は6,446億円となりました。・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):FLEXBUMINおよびヒトアルブミンは、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、FLEXBUMIN 25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2024年3月期におけるFLEXBUMINおよびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)を含むアルブミン製剤の売上収益は1,340億円となりました。オンコロジー領域における主要製品は以下の通りです。・アルンブリグ(ブリグチニブ):アルンブリグは、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、クリゾチニブ投与中に進行した、またはクリゾチニブに不耐性を示す患者さんに対する治療薬として、2017年に米国で迅速承認され、2018年にEUにおいて、クリゾチニブの治療歴を有する患者さん向けの販売承認を取得しました。2020年に米国とEUの両方において、新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。2021年1月に、日本において、ファーストラインおよびセカンドラインの治療薬として承認されました。また2022年3月に、アルンブリグは中国において承認されました。2024年3月期におけるアルンブリグの売上収益は285億円となりました。・EXKIVITY(mobocertinib):EXKIVITYは、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行した上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬であり、2021年9月に米国において迅速承認制度のもとで承認され、2023年1月に中国の国家食品薬品監督管理局(NMPA)により承認されました。2023年10月に、当社は、EXKIVITYの販売や開発活動を全世界で自主的に中止する決定を公表しました。この決定は、臨床第3相EXCLAIM?2検証試験の結果に基づいており、この試験で主要評価項目が達成されなかったため、FDAから付与された迅速承認および他の国々における条件付き承認の検証データの要件を満たさなかったことによるものです。2024年3月期におけるEXKIVITYの売上収益は35億円となりました。・FRUZAQLA(フルキンチニブ):フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含む化学療法、抗VEGF療法、および抗EGFR療法(RAS野生型で医学的に適切な場合)の治療歴があるmCRC成人患者に対する治療薬です。FRUZAQLAは、バイオマーカーのステータスにかかわらず、治療歴を有するmCRC患者さんの治療薬として、米国で承認された、最初で唯一の3種類のVEGF受容体キナーゼすべてに対して選択性を有する阻害薬です。当社は中国本土、香港、マカオ外でのフルキンチニブのグローバル開発、商業化および製造をさらに進めるための独占的ライセンスを有しています。フルキンチニブは中国ではHUTCHMED社により開発および販売されています。2024年3月期におけるFRUZAQLAの売上収益は101億円となりました。・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):リュープリン/ENANTONEは、前立腺がんや乳がん、小児の中枢性思春期早発症、子宮内膜症、不妊の治療や、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。リュープロレリンの特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。2024年3月期におけるリュープリン/ENANTONEの売上収益は1,074億円となりました。・ニンラーロ(イキサゾミブ):ニンラーロは、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。ニンラーロは、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。日本においては、多発性骨髄腫の維持療法の治療薬としても承認を受けております。2024年3月期におけるニンラーロの売上収益は874億円となりました。・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):アドセトリスは、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で販売承認を受けております。当社は、現在ファイザー社の完全子会社であるSeagen社とアドセトリスを共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2024年3月期におけるアドセトリスの売上収益は1,094億円となりました。・アイクルシグ(ポナチニブ塩酸塩):BCR-ABLに作用するチロシンキナーゼ阻害薬であり、慢性骨髄性白血病(CML)とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の治療に適応となります。2016年に米国において全面的な承認を取得した後、2020年と2024年に米国において適用拡大の承認を取得しました。当社は米国とオーストラリアにおいて販売権を取得しております。米国とオーストラリア以外の地域では、認可を受けたパートナー5社により60を超える市場において販売されており、当社はこれらのパートナーから、供給、ロイヤリティおよびマイルストンの支払を受領しており、その水準はパートナーによって異なります。2024年3月期におけるアイクルシグの売上収益は547億円となりました。ニューロサイエンス領域における主要製品は以下の通りです。・VYVANSE/ELVANSE(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤です。2023年に米国において後発品が市場に参入したことにより、売上は減少しました。2024年3月期におけるVYVANSE/ELVANSEの売上収益は4,232億円となりました。・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):トリンテリックスは、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。トリンテリックスはH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2024年3月期におけるトリンテリックスの売上収益は1,048億円となりました。その他領域における主要製品は以下の通りです。・QDENGA(4価デング熱ワクチン):QDENGAは4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の“バックボーン”として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースに構築されています。QDENGAはテング熱流行国4カ国および欧州17カ国において販売されています。2024年3月期における QDENGAの売上収益は96億円となりました。売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。 売上収益4兆2,638億円[前年度比2,363億円(5.9%) 増] 研究開発費7,299億円[ 〃966億円(15.3%) 増] 営業利益2,141億円[ 〃2,764億円(56.4%) 減] 税引前当期利益528億円[ 〃3,223億円(85.9%) 減] 当期利益1,442億円[ 〃1,728億円(54.5%) 減] 基本的1株当たり利益92円09銭[ 〃112円20銭(54.9%) 減] 資産合計15兆1,088億円[前年度末比1兆1,510億円(8.2%) 増] 負債合計7兆8,348億円[ 〃2,317億円(3.0%) 増] 資本合計7兆2,740億円[ 〃9,193億円(14.5%) 増] なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。 ③ 生産、受注及び販売の状況 (a) 生産実績当年度における生産実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業2,468,42610.3合計2,468,42610.3 (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。 2 生産実績金額は、販売価格によっております。 (b) 受注状況当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。 (c) 販売実績当年度における販売実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業 4,263,762 5.9 (国内)(451,391)(△11.8) (海外)( 3,812,371)(8.4)連結損益計算書計上額(うちライセンス供与による収益・役務収益) 4,263,762 5.9 ( 100,110)( △4.8) (注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。 相手先前年度当年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)アメリソースバーゲン・コーポレーションおよびそのグループ会社575,29414.3579,06513.6マッケソン・コーポレーションおよびそのグループ会社540,35613.4578,76713.6カーディナルヘルス Inc.およびそのグループ会社424,52710.5436,95110.2 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容(a) 当年度の経営成績の分析 (ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項事業の概況当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を主要な事業としており、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー(がん)、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の5つの主要ビジネスエリア(注1)にフォーカスしています。研究開発においては、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの3つの重点疾患領域に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。当社は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。当社は、患者さんやコミュニティに高品質の医薬品やワクチンをできる限り早くお届けするために、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても、未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)に集中して取り組んでいます。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。当社はこれまで、地理的拠点の拡大、消化器系疾患、オンコロジー、ならびにニューロサイエンス領域を強化するとともに、希少疾患および血漿分画製剤での主導的地位を構築し、ベスト・イン・クラスあるいはファースト・イン・クラスになり得るパイプラインの強化にも取り組んできました。販売においては、米国、欧州および成長新興国におけるプレゼンスを飛躍的に向上させました。また、当社は事業運営をより効果的かつ効率的に行うため、データ、デジタルおよびテクノロジーの活用を促進し、イノベーションの創出の増進およびステークホルダーへの価値提供に取り組んでいます。当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2024年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ4兆2,638億円および2,141億円であります。(注1)2025年3月期より、従来の「血漿分画製剤(免疫疾患)」は、それまで「希少疾患」に含まれていたファイバやCINRYZEなどのすべての血漿由来の製品を含め「血漿分画製剤」という名称とします。また、2025年3月期より、それまで「その他」に含まれていたワクチンは、デング熱ワクチンQDENGAの戦略的重要性を踏まえ、主要ビジネスエリアの一つとして「ワクチン」と表示します。 当社グループの経営成績に影響を与える事項当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。特許保護と後発品との競争医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しております。以下は、過去2年間において、後発品またはバイオシミラーが発売された当社の一部の主要製品の業績を示しております。(「CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベース」の増減は、IFRSに準拠した指標ではありません。詳細については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。)(単位:億円、%以外) 売上収益対前年度前年度当年度増減額CERベース増減率ベルケイド27855△222△81.3%VYVANSE/ELVANSE4,5934,232△361△14.1%アジルバ729336△393△53.9% 2022年にベルケイドに含まれる有効成分であるボルテゾミブの特許権満了に伴う後発品の参入により、ベルケイドの売上収益が2023年3月期には278億円、2024年3月期には55億円までに減少しました。2023年8月には米国においてVYVANSEの特許権が満了しました。また、2023年2月にアジルバの後発品が日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)により承認されたことを受け(競合品の薬価収載は2023年6月に承認)、関連する国・地域において、両製品の売上収益が減少しました。VYVANSEの売上収益は2023年3月期の4,593億円から2024年3月期には4,232億円に減少し、アジルバの売上収益は2023年3月期の729億円から2024年3月期には336億円に減少しました。2025年3月期においても、両製品ともに減少傾向が続くと見込んでおります。後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。 新製品の開発・商業化および既存製品の拡大当社は特に売上収益を伸長し、独占権喪失の影響を相殺することを目指しており、当社の事業において、新規のバイオ医薬品の開発・商業化のほか、既存製品の適応拡大および(または)地理的市場拡大による既存製品の拡大は重要な取組みです。これらの目標達成までのプロセスは長期にわたり多額の費用を伴い、多額の研究開発費が発生します。これらは当社の連結損益計算書上営業費用として計上しています。当社の研究開発の取組みに関する詳細については、本報告書の「6.研究開発活動」、製品に関連する研究開発費(償却および減損を含む)および無形資産の会計方針については、本報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」をご参照ください。当社は、当社のポートフォリオのうち、一部の製品を当社の成長製品・新製品として特定しております。特にライフサイクルの初期段階にある製品の多くは連結売上収益への貢献は限定的でありますが、当社の経営者はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニターしており、これらの製品に関する情報は、当社が今後成長を見込んでいる領域を投資家に理解していただくにあたり有用であると考えています。当グループを構成する製品は随時変更され、臨床試験の結果や規制当局の認可取得等により、製品を追加または除外する場合があります。2024年3月期において、当社は次の製品を成長製品・新製品として特定しました:ENTYVIO、アロフィセル、EOHILIA、タクザイロ、LIVTENCITY、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN・FLEXBUMINを含む)、アルンブリグ、EXKIVITY、FRUZAQLAおよびQDENGA2024年3月期において、これらの成長製品・新製品は、当社の連結売上収益の43%を占める1兆8,330億円でありました。2024年3月期の内訳としては、ENTYVIOは8,009億円(当社の連結売上収益の19%)、当社の3つの免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、キュービトル)は6,446億円(当社の連結売上収益の15%)、アルブミン製剤は1,340億円(当社の連結売上収益の3%)、タクザイロは1,787億円(当社の連結売上収益の4%)となりました。また、2024年3月期にアロフィセルおよびEXKIVITYの治験が失敗し、これらの製品の商業的予測が変更されたため、2025年3月期の成長製品・新製品(注)から除外しております。一方、新製品FRUZAQLAおよびQDENGAは今後成長し、長期的に収益成長に大きく貢献すると見込まれるため、これらの製品を追加しております。変更後の成長製品・新製品は、2024年3月期における連結売上収益の43%を占める1兆8,260億円となります。(注)本年次報告書日現在において、2025年3月期の成長製品・新製品は、以下のとおりです。ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、LIVTENCITY、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含む)、アルンブリグ、FRUZAQLAおよびQDENGA 買収当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業または資産を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。2023年2月、当社グループは、高度に選択的な経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬TAK?279に関連する知的財産権およびその他の関連する資産を所有または支配する、Nimbus Therapeutics, LLC(以下、「Nimbus社」)の完全子会社であったNimbus Lakshmi, Inc.の全株式を取得しました。契約条件にもとづき、当社グループは一時金として40億米ドルを本取引完了後に支払い(注)、また、「TAK?279」(Nimbus社における旧「NDI?034858」)のプログラムから開発された製品の年間の売上高が40億米ドルと50億米ドルとなった場合には、それぞれにつき10億米ドルのマイルストンを同社に支払います。さらに、本取引に関連して、当社グループは、Nimbus社とBristol?Myers Squibbおよびその子会社である Celgene Corporationとの間の2022年1月の和解契約におけるNimbus社の義務である「TAK?279」のプログラムから開発された製品の開発、薬事規制上の承認、および売上に関するマイルストン支払い義務を引き受けることに合意しました。これらの買収は企業結合または資産の取得として会計処理されております。企業結合の場合、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産の公正価値の増加や、取得した有形固定資産および無形資産の償却費により影響を受けます。また、資産の取得の場合、取得した資産は取引価格で計上されております。企業結合または資産の取得の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。買収および上記の影響により、当社グループの業績は期間比較ができない可能性があります。(注)当社グループは、一時金40億米ドルのうち、2023年2月に30億米ドル、2023年4月に9億米ドル、2023年8月に1億米ドルをそれぞれ支払っております。 事業売却買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。2023年3月期から2024年3月期および本報告書提出日時点において、重要な事業売却はありません。 原材料の調達による影響重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。 外国為替変動2023年3月期および2024年3月期において、当社グループでは日本以外の売上がそれぞれ87.3%、89.4%を占めております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。とりわけ、2023年3月期および2024年3月期において、他の通貨に対する円安により、当社の売上収益はプラスの影響を受けました。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。前年度からの為替レートの変動が当社グループの業績に与える影響を投資家がより良く理解できるよう、当社グループは、補足的にCER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減を「CER」の表記で示しています。IFRSに準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減は「AER」の表記で示しています。CERベースの増減率に基づく対前年度の業績比較分析については、下記の「(ⅲ) 当年度における業績の概要」及び「(ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要」をご参照ください。また、「CERベースの増減」は、国際会計基準(IFRS)に準拠した指標ではありません。詳細については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。なお、為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、特定のヘッジ手段を利用しております。これには、主に個別に重要な外貨建取引に対する先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションが含まれます。 季節的要因当社グループの売上収益は、2023年3月期および2024年3月期において第4四半期に減少しています。これは、卸売業者は年末年始休暇に向けてあらゆる国・地域における在庫数を増やす傾向にあること、年間にわたって価格が上昇していること、暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。 (ⅱ) 重要な会計方針当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。 収益認識「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針 (5) 収益」をご参照ください。 のれんおよび無形資産の減損当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2024年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ5兆4,101億円および4兆2,747億円計上しており、これは総資産の64.1%を占めております。上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。仕掛研究開発品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。・将来キャッシュ・フローの金額および時期・競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)・規制当局からの承認の取得可能性・将来の税率・永続成長率・割引率将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失およびのれんを除き減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれんおよび12 無形資産」をご参照ください。 訴訟に係る偶発事象当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2024年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について223億円の引当金を計上しております。 法人所得税当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションに関する負債の見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。収益力に基づく将来課税所得は、主に当社グループの事業計画を基礎として見積られており、当該事業計画に含まれる特定の製品に係る売上収益の予測が変動した場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2024年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除はそれぞれ1兆1,861億円、2,631億円、および237億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。 事業構造再編費用当社グループでは、費用削減に関連した取り組みに関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金は、事業構造再編に係る詳細な公式計画を策定し、かつ計画の実施や影響を受ける関係者への主要な特徴の公表を通じて、影響を受ける関係者に当該事業構造再編が実行されるであろうという妥当な期待を惹起した時点で認識しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。2024年3月31日現在において、当社グループは、事業構造再編に係る引当金を121億円計上しております。事業構造再編に係る引当金の詳細および推移は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。また、2024年5月9日に当社は、組織の機動性の向上・簡素化、調達モデルの改善、デジタル、自動化、人工知能(AI)技術の活用による生産性・効率性の向上の取り組みなど、効率化と収益性の向上を目指す複数年にわたる全社的なプログラムを実施することについて、公表しました。主に、2024年5月に公表した当該取り組みにより、2025年3月期に1,400億円の事業構造再編費用を計上することを見込んでおり、それ以降の年度においても減少はするものの、費用が発生する可能性があります。 (ⅲ) 当年度における業績の概要 前年度および当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度対前年度AERベースCERベース増減額増減率増減率売上収益40,27542,6382,3635.9%1.5%売上原価△12,441△14,267△1,82614.7%9.8%販売費及び一般管理費△9,973△10,538△5655.7%0.9%研究開発費△6,333△7,299△96615.3%8.4%製品に係る無形資産償却費及び減損損失△5,424△6,521△1,09720.2%12.2%その他の営業収益254194△60△23.8%△26.3%その他の営業費用△1,452△2,065△61342.2%34.5%営業利益4,9052,141△2,764△56.4%△50.3%金融収益及び費用(純額)△1,068△1,678△61057.1%78.3%持分法による投資損益△8665151- - 税引前当期利益3,751528△3,223△85.9%△84.1%法人所得税費用△5819141,495- - 当期利益3,1701,442△1,728△54.5%△57.0% 本項において、前年度に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減率」の定義については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。 〔売上収益〕売上収益は、4兆2,638億円(+2,363億円および+5.9% AER、+1.5% CER)となりました。これは主に、為替相場が円安に推移したこと、血漿分画製剤(免疫疾患)、消化器系疾患、希少疾患およびオンコロジー(がん)において事業が好調に推移したことによるものです。これらビジネスエリアでの増収は、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の減収により相殺されました。当社の主要なビジネスエリア以外における減収は、主に日本において高血圧症治療剤アジルバの売上収益が減収となったこと、および日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンによる売上貢献が減少したことによるものです。アジルバの売上は、336億円(△393億円および△53.9% AER、△53.9% CER)となり、日本において後発品の参入による影響を受け、減収となりました。 地域別売上収益各地域の売上収益は以下のとおりです。(単位:億円、%以外)売上収益:前年度当年度対前年度AERベースCERベース増減額増減率増減率 日本5,1204,514△607△11.8%△12.1% 米国21,03821,9579194.4%△2.2% 欧州およびカナダ8,4279,6681,24214.7%4.5% アジア(日本を除く)2,2502,61236216.1%12.1% 中南米1,6041,98137723.5%48.4% ロシア/CIS884726△158△17.9%△6.5% その他(注1)9521,17922723.9%32.6% 合計40,27542,6382,3635.9%1.5% (注1) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。 当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度対前年度AERベースCERベース増減額増減率増減率消化器系疾患: ENTYVIO(注1)7,0278,00998214.0%6.6%GATTEX/レベスティブ9311,19326228.1%22.7%タケキャブ/VOCINTI(注2)1,0871,185989.0%8.2%PANTOLOC/CONTROLOC(注3)455465102.1%△6.6%DEXILANT694453△241△34.7%△39.6%アロフィセル2735828.9%18.2%その他7248229813.6%6.6%消化器系疾患 合計10,94512,1621,21711.1%4.7%希少疾患: 希少血液疾患: アドベイト1,1821,229474.0%1.1%アディノベイト/ADYNOVI666663△2△0.4%△3.6%ファイバ413405△7△1.8%△5.3%ボンベンディ1221624032.5%23.1%RECOMBINATE128121△7△5.6%△11.8%その他537473△64△12.0%△13.0%希少血液疾患 合計3,0473,05360.2%△2.9%希少遺伝子疾患およびその他: タクザイロ1,5181,78726917.7%11.6%エラプレース853916627.3%7.3%リプレガル6677366810.2%15.1%ビプリブ484513296.0%9.1%LIVTENCITY1051918681.7%68.7%その他560512△48△8.5△12.5%希少遺伝子疾患およびその他 合計4,1874,65446711.1%9.2%希少疾患合計(注5)7,2347,7074736.5%4.1% (単位:億円、%以外) 前年度当年度対前年度AERベースCERベース増減額増減率増減率血漿分画製剤(免疫疾患): 免疫グロブリン製剤5,2226,4461,22423.4%16.8%アルブミン製剤1,2141,34012510.3%5.9%その他3484005215.0%8.4%血漿分画製剤(免疫疾患)合計(注5)6,7848,1861,40120.7%14.4%オンコロジー: アドセトリス8391,09425530.4%31.3%リュープリン/ENANTONE1,1131,074△40△3.6%△7.1%ニンラーロ927874△53△5.7%△9.2%アイクルシグ4725477515.9%7.5%アルンブリグ2062858038.8%35.3%FRUZAQLA-101101-- ベルケイド27855△222△80.0%△81.3%EXKIVITY3735△3△7.3%△10.9%その他516559448.5%7.5%オンコロジー 合計4,3874,6242365.4%2.5%ニューロサイエンス(神経精神疾患): VYVANSE/ELVANSE(注4)4,5934,232△361△7.9%△14.1%トリンテリックス1,0011,048474.7%△1.1%ADDERALL XR28641813246.0%36.6%インチュニブ164336172105.2%100.8%その他334237△97△29.1%△31.6%ニューロサイエンス 合計6,3776,270△107△1.7%△7.8%その他: アジルバ(注2)729336△393△53.9%△53.9%ホスレノール135135△0△0.0%△8.3%その他3,6823,217△464△12.6%△10.8%その他 合計(注5)4,5463,689△857△18.8%△17.7%総合計40,27542,6382,3635.9%1.5% (注1)国内製品名:エンタイビオ(注2)配合剤、パック製剤を含む。(注3)一般名:pantoprazole(注4)国内製品名:ビバンセ(注5)翌年度より、従来の「血漿分画製剤(免疫疾患)」は、それまで「希少疾患」に含まれていたファイバやCINRYZEなどのすべての血漿由来の製品を含め「血漿分画製剤」という名称とします。また、「その他」に含まれていたワクチンは、デング熱ワクチンQDENGAの戦略的重要性を踏まえ、主要ビジネスエリアの一つとして「ワクチン」と表示します。この新区分を適用した場合、「希少疾患」の売上収益は当年度6,884億円、前年度6,398億円、「血漿分画製剤」の売上収益は当年度9,037億円、前年度7,654億円、「ワクチン」の売上収益は当年度504億円、前年度787億円、「その他」の売上収益は当年度3,157億円、前年度3,727億円となります。 各ビジネスエリアにおける売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。 – 消化器系疾患消化器系疾患領域の売上収益は、1兆2,162億円(+1,217億円および+11.1% AER、+4.7% CER)となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の売上は、8,009億円(+982億円および+14.0% AER、+6.6% CER)となりました。米国における売上は、5,461億円(+542億円および+11.0% AER)となりました。この増収は、円安による増収影響、および炎症性腸疾患の主に潰瘍性大腸炎に対する生物学的製剤の新規投与の需要によるものです。欧州およびカナダにおける売上は、1,958億円(+334億円および+20.5% AER)となりました。この増収は、円安による増収影響、および皮下注射の使用拡大に伴い新規患者が増加したことによるものです。短腸症候群治療剤GATTEX/レベスティブの売上は、1,193億円(+262億円および+28.1% AER、+22.7% CER)となりました。この増収は、主に米国、欧州および日本において需要が増加したこと、処方拡大(乳児までを対象とする適応拡大および地理的拡大)、および円安による増収影響によるものです。酸関連疾患治療剤タケキャブ/VOCINTIの売上は、1,185億円(+98億円および+9.0% AER、+8.2% CER)となりました。この増収は、主に日本やブラジルおよび中国を含む成長新興国において本剤の売上が増加したことによるものです。逆流性食道炎治療剤DEXILANTの売上は、453億円(△241億円および△34.7% AER、△39.6% CER)となりました。この減収は、米国における独占販売期間満了による影響、およびオーソライズド・ジェネリックのプログラム終了による影響によるものです。 – 希少疾患希少疾患領域の売上収益は、7,707億円(+473億円および+6.5% AER、+4.1% CER)となりました。希少血液疾患領域の売上収益は、3,053億円(+6億円および+0.2% AER、△2.9% CER)となりました。血友病A治療剤アドベイトの売上は1,229億円(+47億円および+4.0% AER、+1.1% CER)となりました。この増収は、円安による増収影響、加えてブラジルおよび中国を含む成長新興国において本剤の売上が増加したことによるものです。フォン・ヴィレブランド病治療剤ボンベンディの売上は、162億円(+40億円および+32.5% AER、+23.1% CER)となりました。この増収は、主に米国において需要が増加したことによるものです。血友病Aおよび血友病B治療剤ファイバの売上は、405億円(△7億円および△1.8% AER、△5.3% CER)となりました。この減収は、主にブラジルにおける競合品の影響を受けたことによるものです。血友病A治療剤RECOMBINATEの売上は、121億円(△7億円および△5.6% AER、△11.8% CER)となりました。この減収は、主に米国において次世代治療薬が市場浸透し本剤の需要が減少したことによるものです。上記製品による増収は、その他の希少血液疾患の製品の減収影響により相殺されました。希少遺伝子疾患およびその他の疾患領域の売上収益は、4,654億円(+467億円および+11.1% AER、+9.2% CER)となりました。遺伝性血管性浮腫治療剤タクザイロの売上は、1,787億円(+269億円および+17.7% AER、+11.6% CER)となりました。上市以降の好調な売上推移の維持、小児適用など新たな患者層への拡大、診断率の上昇、予防投与向け市場の拡大、および円安による増収影響が継続的な成長に貢献しました。移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療剤LIVTENCITYの売上は、191億円(+86億円および+81.7% AER、+68.7% CER)となりました。この増収は、主に米国において上市後、順調に市場浸透していることに加え、欧州において、引き続き販売エリアが拡大したことおよびマーケットアクセス(保険償還手続き)が迅速に進んだことによるものです。ファブリー病治療剤リプレガルの売上は、736億円(+68億円および+10.2% AER、+15.1% CER)となりました。この増収は、主に成長新興国において堅調な需要が増加したことによるものです。酵素補充療法のハンター症候群治療剤エラプレースの売上は、916億円(+62億円および+7.3% AER、+7.3% CER)となりました。この増収は、主に成長新興国において堅調な需要が増加したことによるものです。 – 血漿分画製剤(免疫疾患)血漿分画製剤(免疫疾患)領域の売上収益は、8,186億円(+1,401億円および+20.7% AER、+14.4% CER)となりました。免疫グロブリン製剤の売上合計は、6,446億円(+1,224億円および+23.4% AER、+16.8% CER)となりました。原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤GAMMAGARD LIQUID/KIOVIGおよび皮下注製剤であるキュービトルとHYQVIAの3つのグローバル製品の売上は、引き続きグローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したこと、皮下注製剤は静脈注射に比べ投薬の利便性が高いこと、また円安による増収影響により、前年度から2桁台の売上収益増収率となりました。主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられるHUMAN ALBUMINとFLEXBUMINを含むアルブミン製剤の売上合計は、1,340億円(+125億円および+10.3% AER、+5.9% CER)となりました。この増収は、主に中国における需要が増加したことによるものです。 – オンコロジーオンコロジー領域の売上収益は、4,624億円(+236億円および+5.4% AER、+2.5% CER)となりました。悪性リンパ腫治療剤アドセトリスの売上は、1,094億円(+255億円および+30.4% AER、+31.3% CER)となりました。この増収は、成長新興国および欧州における好調な伸長が牽引したことによるものです。大腸がん治療剤FRUZAQLAの売上は、101億円となりました。FRUZAQLAは、2023年11月に米国において上市しました。非小細胞肺がん治療剤アルンブリグの売上は、285億円(+80億円および+38.8% AER、+35.3% CER)となりました。この増収は、すべての地域において需要が堅調に推移したことによるものです。白血病治療剤アイクルシグの売上は、547億円(+75億円および+15.9% AER、+7.5% CER)となりました。この増収は、円安による増収影響および米国における堅調な伸長によるものです。多発性骨髄腫治療剤ベルケイドの売上は、55億円(△222億円および△80.0% AER、△81.3% CER)となりました。この減収は、米国において後発品が市場浸透したことによるものです。多発性骨髄腫治療剤ニンラーロの売上は、874億円(△53億円および△5.7% AER、△9.2% CER)となりました。この減収は、円安による増収影響が一部相殺したものの、主に米国における競争激化の影響や需要減少の影響があったことによるものです。 – ニューロサイエンス(神経精神疾患)ニューロサイエンス領域の売上収益は、6,270億円(△107億円および△1.7% AER、△7.8% CER)となりました。注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)の売上は、4,232億円(△361億円および△7.9% AER、△14.1% CER)となりました。この減収は、米国において2023年8月から複数の後発品が参入したことによるものです。この減収影響は、欧州における成人向け市場の拡大や円安による増収影響により一部相殺されております。ADHD治療剤ADDERALL XRの売上は、418億円(+132億円および+46.0% AER、+36.6% CER)となりました。この増収は、主に米国における後発品である競合他社の即放性製剤の供給不足による本剤に対する増収影響、および円安による増収影響によるものです。ADHD治療剤インチュニブの売上は、336億円(+172億円および+105.2% AER、+100.8% CER)となりました。この増収は、主に2023年4月に日本における本剤に係る権利を買い戻したことによるものです。 〔売上原価〕売上原価は、1兆4,267億円(+1,826億円および+14.7% AER、+9.8% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を含む主要なビジネスエリアの好調な売上および円安による為替影響によるものです。なお、この増加は、Shire社買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の費用が減少したことにより一部相殺されております。 〔販売費及び一般管理費〕販売費及び一般管理費は、1兆538億円(+565億円および+5.7% AER、+0.9% CER)となりました。この増加は、円安による為替影響およびデータ、デジタルおよびテクノロジーへの投資の増加によるものですが、様々な費用効率化の取り組みにより一部相殺されております。 〔研究開発費〕研究開発費は、7,299億円(+966億円および+15.3% AER、+8.4% CER)となりました。この増加要因は主に、パイプラインへの研究開発投資および円安による為替影響によるものです。 〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、6,521億円(+1,097億円および+20.2% AER、+12.2% CER)となりました。この増加は主に、仕掛研究開発品および上市後製品に係る減損損失の増加、円安による為替影響に伴う無形資産償却費の増加によるものです。当期計上した1,306億円の減損損失には、主にクローン病に伴う複雑痔瘻治療剤アロフィセルの臨床第3相 ADMIRE-CD Ⅱ試験のトップライン結果を踏まえて計上した740億円の減損損失、非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYの販売や開発活動を全世界で自主的に中止する決定を行ったことに伴い計上した285億円の減損損失、およびオンコロジーにおけるTAK-007やmodakafusp alfa(TAK-573)などの仕掛研究開発品の開発中止の決定により計上した減損損失が含まれておりますが、2024年2月に好酸球性食道炎治療剤EOHILIAが米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことによる357億円の減損損失の戻し入れを計上したことにより一部相殺されております。 〔その他の営業収益〕その他の営業収益は、194億円(△60億円および△23.8% AER、△26.3% CER)となりました。 〔その他の営業費用〕その他の営業費用は、2,065億円(+613億円および+42.2% AER、+34.5% CER)となりました。この増加は主に、事業構造再編費用、AbbVie, Inc.(以下、「AbbVie社」)との供給契約に関する訴訟について当期に計上した費用の増加、および主としてXIIDRA、EOHILIAに係る条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動による評価損によるものです。 〔営業利益〕営業利益は、上記の要因を反映し、2,141億円(△2,764億円および△56.4% AER、△50.3% CER)となりました。 〔金融損益〕金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,678億円の損失(+610億円および+57.1% AER、+78.3% CER)となりました。前年度からの損失の増加は主に、従来持分法を適用していた会社の買収に伴う投資の再測定に係る利益および当社が株式を保有する企業のワラントにかかるデリバティブの再測定によるプラス影響を前年同期に計上したこと、ならびにAbbVie社との供給契約に関する訴訟費用にかかる利息の計上や超インフレ会計による費用といった金融費用が増加したことによるものです。 〔持分法による投資損益〕当年度の持分法による投資損益は、65億円の利益(+151億円、前年度は86億円の損失)となりました。 〔法人所得税費用〕法人所得税費用は、△914億円(△1,495億円、前年度は581億円)となりました。この減少は主に、税引前当期利益の減少、および2014年にShire社がAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と和解したこと(以下、「AbbVie社からの違約金に関する和解」)に伴い和解金を超える部分の未払法人所得税を振り戻したことによる税金費用の減額635億円によるものです。これらの減少は、組織再編にかかる税金費用および繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しと一部相殺されております。 〔当期利益〕当期利益は、上記の要因を反映し、1,442億円(△1,728億円および△54.5% AER、△57.0% CER)となりました。 (ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要 補足的分析:Core財務指標に基づく業績(IFRSに準拠しない指標)IFRSに準拠して作成された業績に加え、当社グループは、補足的に、Core財務指標に基づく業績も表示しております。投資家におかれましては、 Core財務指標の定義、有用性の限界、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標への調整を含む、より詳細な情報については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。当社グループは、また、Core財務指標のCERベースの増減率についても表示しております。詳細については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。 Core業績 (単位:億円、%以外) 前年度当年度対前年度AERベースCERベース増減額増減率増減率Core売上収益40,27542,6382,3635.9%1.5%Core営業利益11,88410,549△1,335△11.2%△13.3%Core当期利益8,6647,569△1,095△12.6%△15.0%Core EPS(円)558484△75△13.4%△15.7% 〔Core売上収益〕当年度のCore売上収益は、4兆2,638億円(+2,363億円および+5.9% AER、+1.5% CER)となりました。この増加は主に、為替相場が円安に推移したこと、および当社の事業を好調に牽引したタケダの成長製品・新製品(注)の売上収益、1兆8,330億円(+2,972億円および+19.3% AER、+12.8% CER)によるものです。 (注)当年度のタケダの成長製品・新製品消化器系疾患:ENTYVIO、アロフィセル、EOHILIA希少疾患:タクザイロ、LIVTENCITY、アジンマ血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、 HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤オンコロジー:アルンブリグ、EXKIVITY(グローバルに自主的な販売中止を決定)、FRUZAQLAその他:QDENGA 〔Core営業利益〕当年度のCore営業利益は、1兆549億円(△1,335億円および△11.2% AER、△13.3% CER)となりました。Core営業利益の内訳は以下の通りです。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度対前年度AERベースCERベース増減額増減率増減率Core売上収益40,27542,6382,3635.9%1.5%Core売上原価△12,084△14,263△2,17918.0%13.0%Core販売費及び一般管理費△9,973△10,530△5565.6%0.8%Core研究開発費△6,334△7,296△96315.2%8.3%Core営業利益11,88410,549△1,335△11.2%△13.3% 報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。 〔Core売上原価〕Core売上原価は、1兆4,263億円(+2,179億円および+18.0% AER、+13.0% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を含む主要なビジネスエリアの好調な売上および円安による為替影響によるものです。 〔Core販売費及び一般管理費〕Core販売費及び一般管理費は、1兆530億円(+556億円および+5.6% AER、+0.8% CER)となりました。この増加は、円安による為替影響およびデータ、デジタルおよびテクノロジーへの投資の増加によるものですが、様々な費用効率化の取り組みにより一部相殺されております。 〔Core研究開発費〕Core研究開発費は、7,296億円(+963億円および+15.2% AER、+8.3% CER)となりました。この増加要因は主に、パイプラインへの研究開発投資および円安による為替影響によるものです。 〔Core当期利益〕Core当期利益は、7,569億円(△1,095億円および△12.6% AER、△15.0% CER)となりました。Core当期利益は、Core営業利益に基づき、以下の通り算出されます。 (単位:億円、%以外) 前年度当年度対前年度AERベースCERベース増減額増減率増減率Core営業利益11,88410,549△1,335△11.2%△13.3%Core金融収益及び費用(純額)△1,266△1,420△15412.2%13.9%Core持分法による投資損益25957- - Core税引前当期利益10,6209,188△1,432△13.5%△16.0%Core法人所得税費用△1,956△1,619337△17.2%△20.2%Core当期利益8,6647,569△1,095△12.6%△15.0% 報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。 〔Core金融損益〕Core金融収益とCore金融費用をあわせた金融損益は、1,420億円の損失(+154億円および+12.2% AER、+13.9% CER)となりました。 〔Core持分法による投資損益〕Core持分法による投資損益は、59億円(+57億円)となりました。 〔Core税引前当期利益〕Core税引前当期利益は、9,188億円(△1,432億円および△13.5% AER、△16.0% CER)となりました。 〔Core法人所得税費用〕AbbVie社からの違約金に関する和解の影響額635億円を除いたCore法人所得税費用は、1,619億円(△337億円および△17.2% AER、△20.2% CER)となりました。この減少は主に、税引前当期利益の減少によるものです。 〔Core EPS〕当年度のCore EPSは、484円(△75円および△13.4% AER、△15.7% CER)となりました。 (b)当年度の財政状態の分析〔資産〕当年度末における資産合計は、15兆1,088億円(+1兆1,510億円)となりました。この増加は、のれん、有形固定資産および棚卸資産(+6,193億円、+2,985億円および+2,234億円)が、主に為替換算の影響によりそれぞれ増加したことによるものです。これらの増加は、現金及び現金同等物の減少(△757億円)と一部相殺されております。 〔負債〕当年度末における負債合計は、7兆8,348億円(+2,317億円)となりました。当年度末における社債及び借入金合計は、4兆8,438億円(注)(+4,614億円)となり、この増加は、主に為替換算の影響およびコマーシャル・ペーパーが純額で増加したことによるものです。その他の金融負債合計の増加(+1,114億円)は、主に米国におけるリース期間延長および為替換算の影響によるものです。これらの増加は、繰延税金負債、未払法人所得税、および仕入債務及びその他の債務の減少により一部相殺されております。繰延税金負債の減少(△1,568億円)は、主に米国における無形資産の償却並びに研究開発費が税務上資産化および償却の対象とされた影響によるものです。未払法人所得税合計の減少(△1,426億円)は、法人所得税の計上によって一部相殺されているものの、主に法人所得税の支払いおよびAbbVie社からの違約金に関する和解を含む税務関連の和解に伴う取崩によるものです。仕入債務及びその他の債務の減少(△1,017億円)は、主に前年度にNimbus Therapeutics, LLC(以下、「Nimbus社」)から取得したTAK-279に関連する一時金の残額、および同じく前年度にHUTCHMED(China)Limited(以下、「HUTCHMED社」)と締結した独占的ライセンス契約に関連する未払金の支払いによるものです。(注)当年度末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆929億円および7,509億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。 社債:銘柄(外貨建発行額)発行時期償還期限帳簿価額米ドル建無担保普通社債(1,301百万米ドル)2015年6月2025年6月~2045年6月1,981億円米ドル建無担保普通社債(3,000百万米ドル)2016年9月2026年9月4,397億円ユーロ建無担保普通社債(3,000百万ユーロ)2018年11月2026年11月~2030年11月4,874億円米ドル建無担保普通社債(1,750百万米ドル)2018年11月2028年11月2,637億円ハイブリッド社債(劣後特約付社債)2019年6月2079年6月4,996億円米ドル建無担保普通社債(7,000百万米ドル)2020年7月2030年3月~2060年7月1兆537億円ユーロ建無担保普通社債(3,600百万ユーロ)2020年7月2027年7月~2040年7月5,841億円円貨建無担保普通社債2021年10月2031年10月2,495億円コマーシャル・ペーパー2024年2月~2024年3月2024年5月~2024年6月3,170億円合計 4兆929億円 借入金:名称 (外貨建借入額)借入時期返済期限帳簿価額シンジケートローン2016年4月2026年4月1,000億円〃2017年4月2027年4月1,135億円〃(1,500百万米ドル)2017年4月2027年4月2,270億円〃2023年4月2030年4月1,000億円その他のバイラテラルローン2016年3月~2023年3月2024年4月~2029年3月2,100億円その他 4億円合計 7,509億円 当社は、2023年4月26日に、シンジケートローン1,000億円の満期返済を実行するとともに、同日付けで、2030年4月26日を返済期日とする新たなシンジケートローン1,000億円の借入を実行しました。また、2023年9月23日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高1,000百万米ドルについて満期償還を実行しました。さらに、2023年11月26日には、2018年11月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高500百万米ドルについて満期償還を実行しました。なお、当年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は3,170億円となりました。 〔資本〕当年度末における資本合計は、7兆2,740億円(+9,193億円)となりました。この増加は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が増加(+1兆12億円)したことによるものです。この増加は、当期利益の計上があったものの、主に配当金の支払いに伴う2,878億円の減少による利益剰余金の減少(△1,499億円)と一部相殺されております。 (c)流動性および資金調達源資金の調達および使途当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ8,987億円および4,967億円であります。また、2024年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは311億円であります。加えて、2024年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記32 コミットメントおよび偶発債務」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。当社の配当金の支払額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ2,808億円および2,885億円であります。2024年3月期については、1株当たり年間配当金額を188円(中間配当金および期末配当金それぞれ94円)としましたが、2025年3月期については、中間配当金および期末配当金をそれぞれ98円ずつとし、年間196円とすることを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2024年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ1,130億円、8,672億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、コミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2023年3月31日および2024年3月31日現在において、金融機関から極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。当社グループは、引き続き、資金調達の状況について注視しており、短期的には、一般的な市況による資金調達不足または流動性不足は現在見込んではおりません。なお、必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。2024年3月31日現在において、当社グループは、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた制限付き預り金1,078億円を含む、4,578億円の現金及び現金同等物と、7,000億円の未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しており、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。 連結キャッシュ・フロー連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。(単位:億円) 前年度当年度営業活動によるキャッシュ・フロー9,7727,163投資活動によるキャッシュ・フロー△6,071△4,639財務活動によるキャッシュ・フロー△7,091△3,544現金及び現金同等物の増減額△3,391△1,019現金及び現金同等物の期首残高8,4975,335現金及び現金同等物に係る換算差額229262現金及び現金同等物の期末残高5,3354,578 〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕営業活動によるキャッシュ・フローは、7,163億円(△2,608億円)となりました。この減少は、主に引当金の変動により資産及び負債の増減額が減少、ならびに非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の当期利益が減少したことによるものです。これらの減少は、その他(純額)の増加により一部相殺されております。〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕投資活動によるキャッシュ・フローは、△4,639億円(+1,432億円)となりました。この増加は、主に無形資産の取得による支出が減少(+1,877億円)(注)したことによるものです。(注)前年度のTAK-279取得に伴うNimbus社への支払いは30億米ドルであった一方、当年度のTAK-279取得に伴うNimbus社への支払いは10億米ドルおよびHUTCHMED社と締結したFRUZAQLAの独占的ライセンス契約に関連する支払いは4億米ドルとなりました。〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕財務活動によるキャッシュ・フローは、△3,544億円(+3,547億円)となりました。この増加は、主に、当年度にコマーシャル・ペーパーにおける増加影響(+2,370億円)や、社債の償還による支出が純額で減少(+609億円)したこと、および社債に係る金利通貨スワップの決済が行われたことによるものです。 補足的分析:フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー(IFRSに準拠しない財務指標)フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)指標であります。詳細については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。(単位:億円) 前年度当年度営業活動によるキャッシュ・フロー(IFRS)9,7727,163フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS)8,3655,409調整後フリー・キャッシュ・フロー(Non-IFRS)4,4622,834 調整後フリー・キャッシュ・フローは、2,834億円(△1,628億円)となりました。この減少は、主に、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた現金の変動調整後の営業活動によるキャッシュ・フローの影響によるものです。この減少は、無形資産の取得による支出が減少したことにより一部相殺されております。 有利子負債および金融債務2023年3月31日および2024年3月31日現在において社債および借入金はそれぞれ4兆3,823億円、4兆8,438億円であります。これらの有利子負債は、当社が発行した無担保社債、普通社債、バイラテラルローン、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社の借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。当社グループは、2023年4月26日に、シンジケートローン1,000億円の満期返済を実行するとともに、同日付けで、2030年4月26日を返済期日とする新たなシンジケートローン1,000億円の借入を実行しました。また、2023年9月23日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高1,000百万米ドルについて満期償還を実行しました。さらに、2023年11月26日には、2018年11月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高500百万米ドルについて満期償還を実行しました。なお、当年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は3,170億円となりました。2024年3月31日時点において、当社グループは一定の財務制限条項の含まれる長期融資契約を保有しております。当該財務制限条項の重要な条項は、毎年3月末および9月末において連結財政状態計算書における調整後純負債の過去12か月間の調整後EBITDA(調整後EBITDAは契約書にて定義されたもの)に対する比率が一定水準を上回らないことを求める財務制限条項が含まれています。2024年3月31日時点においては、2023年3月31日時点と同様に、当社グループは全ての制限条項を遵守しております。また、2019年に設定された7,000億円の未使用のコミットメントラインからの借入を制限する事象はありません。当コミットメントラインは、現在の期限は2026年9月であります。当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャル・ペーパープログラムを保有しております。2023年3月31日現在におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は400億円、2024年3月31日現在におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は3,170億円となりました。当社グループは、さらに2023年3月31日および2024年3月31日現在において、極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。社債及び借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。 信用格付け当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。格付会社カテゴリー信用格付アウトルック評価構造S&Pグローバル・レーティング発行体格付け/外貨長期および国内通貨長期BBB+安定的11段階の格付けのうち4番目であり、同じカテゴリーの中で最上位(例:BBB+,BBB,BBB-は同じカテゴリーに属する)発行体格付け(短期)A-26段階の格付けのうちの2番目ムーディーズ長期発行体格付および長期優先無担保格付けBaa1安定的9段階の格付けのうち上から4番目であり、同じカテゴリーの中で1番目(例:Baa1,Baa2,Baa3は同じカテゴリーに属する) この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。 契約上の負債2024年 |
※本記事は「武田薬品工業株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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