株式会社電通グループの基本情報

会社名株式会社電通グループ
業種サービス業
従業員数連67667名 単131名
従業員平均年齢44.9歳
従業員平均勤続年数14.1年
平均年収15075028円
1株当たりの純資産1383.86円
1株当たりの純利益(単体)-734.56円
決算時期12月
配当金139.5円
配当性向0%
株価収益率(PER)15.6倍
自己資本利益率(ROE)(連結)4.8%
営業活動によるCF599億円
投資活動によるCF▲309億円
財務活動によるCF▲657億円
研究開発費※119.18億円
設備投資額※116.94億円
販売費および一般管理費※11276.13億円
株主資本比率※234.7%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 新中期経営計画2025年度以降も予断を許さない事業環境が予想されるなか、業界内外での巨大プレーヤーの台頭やテクノロジー企業、コンサルティング企業等による巨額のAI投資といった要因が競争環境を激化させ、当社グループのポジションも相対的に変化していくことが想定されます。こうした環境認識の下で、過去のM&A偏重の成長戦略を見直し、当社グループが力強いオーガニック成長に回帰するために策定したのが、新たに発表した中期経営計画です。本計画の実行を通じて、事業ポートフォリオの見直しを行い、資本・人財を集中させ、競争優位性を回復することで、最終年度である2027年度にオーガニック成長率4%、オペレーティング・マージン16-17%まで回復することを目標としています。 (2) 不振ビジネスの見直しと経営基盤の再構築中期経営計画の目標達成に向けて当社グループがまず着手する取り組みが不振ビジネスの見直し・経営基盤の再構築を中心とした収益性の回復です。不振ビジネスの見直しにおいては、投下資本が大きく、複数年連続で最終赤字となったマーケットが当社グループの業績悪化の主要因となっている現状を踏まえ、スピード感を持って対策を進め、2026年度中に赤字マーケットをなくすことを目指します。また、過去の買収案件についても規律を持ってレビューを行っており、業績面で基準に満たない事業は、改善策の早期実行・売却などを迅速に進めることで将来における業績悪化リスクを排除します。これらを通じ、2026年度には海外事業全体を回復軌道に乗せ、2027年度には全4事業地域(リージョン)がそれぞれ株主価値の向上に貢献する状態を目指します。併せて、経営基盤の再構築を行い、計画的かつ持続的なコスト改善に取り組みます。具体的には、東京とロンドンに分散・重複していた本部機能の統合、各リージョン本部の役割再定義による業務簡素化、マーケットのコストコントロール等に注力し、AIやアウトソーシングの活用も含めた徹底的な効率化を通じて2027年度に最大で年間500億円規模のコスト削減効果を見込んでいます。 (3) 事業戦略のフォーカス当社グループがクライアントに提供するサービスは、マーケティング、テクノロジー及びコンサルティングが融合する領域並びにスポーツ&エンターテインメント領域において、保有するユニークで多岐に渡るケイパビリティを統合し、クライアントの持続的な成長を実現する「インテグレーテッド・グロース・ソリューション」です。それを下支えする当社グループの強みは、日本で培ったクライアントビジネスへの深い理解に基づいて構築されたクライアントとの長期的な関係、クライアントの複雑なニーズに応えるマーケット毎の特色ある革新的なソリューションによる連続的なイノベーションの提供、それらを確実に実現し社会に大きなインパクトを生み出す人財、の3つです。新中期経営計画においては、これらの強みをベースに各マーケットにおけるクライアントのグロースパートナーとなることを目指します。そして、この成功を積み上げることでグローバルでの成長を実現していきます。 (4) 株主価値・資本効率を重視した経営及び財務方針前述の戦略と施策は利益成長を通じて中長期的な株主価値の向上を目指すものですが、その実現を確かなものとするため、ROEを経営指標に追加いたしました。具体的には2027年度にはROE10%台中盤の達成を目標としております。この目標を達成するため、改めて財務方針を設定し、規律を持って管理・運用してまいります。必要となる資金の規模を厳密に見極め、資本と負債とのバランスなどを慎重に管理し、バランスシートの健全性を改善してまいります。その上で、キャピタルアロケーションにおいては、まず2025年度に実施する経営基盤の再構築に係る費用、及び事業成長のための内部投資を優先し、業績の再建を進めます。また、株主視点での経営を継続し、2025年度以降の配当方針としては、基本的1株当たり調整後当期利益に対する配当性向を35%とします。なお、構造改革費用投下が先行する2025年度は、一時的措置として、当期と同額の1株当たり139.5円を予定しております。買収などの投資は、2024年度以降抑制しておりましたが、M&Aプレイブック等の整備により十分な規律が担保できる状態となったことに伴い、従前より厳格な規律の下で、業績回復の進捗や見通しに応じて徐々に再開し、事業戦略に整合した案件を選択的に実施してまいります。なお、財務方針の管理・運用にあたっては、取締役会の諮問機関として2024年度に新設された、社外取締役を中心に構成されるファイナンス委員会と連携し全般的な財務規律を強化します。 (5) ガバナンス及び内部統制の向上当社グループは、One dentsuオペレーティング・モデルの適切な運用に向けて、グループ横断でのガバナンス体制の構築、責任者の明確化、事業運営の簡素化等を通じたガバナンス及び内部統制の向上に引き続き努めてまいります。当該取り組みの進捗については、取締役会等でも定期的に確認しております。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関する独占禁止法違反被告事件について「テストイベント計画立案等業務」において法令違反の談合行為があったことを厳粛に受け止め、真摯な反省に基づく再発防止の取り組み等を説明・実施してきました。一方で、判決は法令違反の対象が「テストイベント実施等業務」「本大会運営等業務」にも及ぶとしており、その点については当社グループの主張と異なることから控訴しております。2023年度に策定した改革の17施策は2024年度に全て完了しましたが、従業員調査などを通じて確認した課題への対応については、2025年度より新たな体制で意識行動改革を推進いたします。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(経営成績等の状況の概要)(1) 財政状態及び経営成績の状況<事業全体の概況>2024年の世界経済は、不安定な国際情勢の長期化、世界的な物価上昇とそれに対処するための各国中央銀行による金融引き締めや急激な為替の変動、中国経済の減速など先行き不透明な状況が続きました。こうした環境下、当期(2024年1月1日~12月31日)における当社グループの業績は下表の通りであります。売上総利益のオーガニック成長率は△0.1%でしたが、為替レートが全般的に円安となっていること及びM&Aにより、売上総利益は前期比5.0%増、調整後営業利益は同7.8%増、オペレーティング・マージンは同30bps増、親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は同3.4%増となりました。一方、減損損失の計上などにより営業損失は1,249億92百万円(前期は営業利益453億12百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は1,921億72百万円(前期は当期損失107億14百万円)となりました。 調整後営業利益は、営業利益から、買収行為に関連する損益及び一時的要因を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。買収行為に関連する損益:買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用一時的要因の例示:構造改革費用、減損、固定資産の売却損益、割増退職金など 親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は、当期利益から、営業利益に係る調整項目、条件付対価に係る公正価値変動額(アーンアウト債務再評価損益)・株式買取債務に係る再測定額(買収関連プットオプション再評価損益)、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社の所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標であります。      当期の連結業績(単位:百万円、△はマイナス)科目当期前期前期比・差収益1,410,9611,304,5528.2%売上総利益1,201,6471,144,8195.0%営業利益(△は損失)△124,99245,312―親会社の所有者に帰属する当期利益(△は損失)△192,172△10,714△181,458      当期の主要な利益指標(単位:百万円、△はマイナス)科目当期前期前期比・差調整後営業利益176,233163,5157.8%オペレーティング・マージン14.8%14.5%30bps親会社の所有者に帰属する調整後当期利益92,93689,8393.4% ※ ロシア事業については2024年7月に譲渡取引が完了していますが、譲渡が完了するまでの期間に発生したロシア事業に係る営業損益は、一時的要因として調整後営業利益には含めておりません。 <当期の連結業績のポイント>売上総利益については、連結オーガニック成長率は△0.1%でしたが、為替影響やM&Aによる貢献により、前期比5.0%の増収となり、4年連続で上場来最高となりました。調整後営業利益は、主にトップラインの伸長により前期比7.8%の増益となり、オペレーティング・マージンは前期比30bps向上し、14.8%となりました。一方、第4四半期に海外事業で210,162百万円ののれんの減損損失を計上したため、営業損失124,992百万円(前期は営業利益45,312百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失192,172百万円(前期は当期損失10,714百万円)となりました。当期は、インテグレーテッド・グロース・ソリューションの提供を加速・深化させるため、投資のバランスをM&Aから成長のための内部投資にシフトいたしました。既に獲得したアセットの進化や、他のケイパビリティとの統合の促進に注力した結果、Tagとの共同体制がクライアント獲得に結実するなど成果が表れて始めております。 <当期の連結業績:地域別>1.日本テレビ広告やインターネット広告をはじめとする広告事業の成長、BX・DX領域の成長などにより、売上総利益のオーガニック成長率は4.0%、売上総利益は4,667億46百万円(前期比4.0%増)と4年連続で過去最高を更新しました。人員増強による人件費の増加はあったものの、トップラインの伸長などにより、調整後営業利益も過去最高の1,141億84百万円(同10.4%増)となり、オペレーティング・マージンは24.5%(前期は23.0%)となりました。 2.Americas(米州)Americasにおける売上総利益のオーガニック成長率は、米国を中心に厳しい状況で△4.1%となりました。CXMは厳しい事業環境が継続したものの、メディアは通期で前年並みとなり、四半期ごとのオーガニック成長率は前年第4四半期を底に継続的に改善しました。為替レートが全般的に円安となっていること及び2023年6月に買収が完了したTagの通年効果などにより、Americasの売上総利益は、3,346億42百万円(前期比3.9%増)、調整後営業利益は751億61百万円(同2.9%増)、オペレーティング・マージンは22.5%(前期は22.7%)となりました。 3.EMEA(ロシアを除くヨーロッパ、中東及びアフリカ)EMEAにおける売上総利益のオーガニック成長率は、前期のDACH(ドイツ・オーストリア・スイス)区域で複合的な事業変革とシステム・インテグレーションを背景とした一時的財務影響の反動増等により、2.2%となりました(同影響を除くと△1.5%)。主要マーケット別にみると、スペイン、フランスなどは好調でしたが、イギリス、イタリア、デンマークなどは厳しい状況となっております。為替レートが全般的に円安となっていること及び2023年6月に買収が完了したTagの通年効果などにより、EMEAの売上総利益は、2,692億54百万円(前期比13.4%増)、調整後営業利益は384億66百万円(同58.7%増)、オペレーティング・マージンは14.3%(前期は10.2%)となりました。 4.APAC(日本を除くアジア太平洋)APACにおける売上総利益のオーガニック成長率は△7.0%となりました。インド、台湾、タイは堅調でしたが、市場規模が大きい中国、オーストラリアが厳しい状況となっております。為替レートが全般的に円安となっていること及び2023年6月に買収が完了したTagの通年効果などにより、APACの売上総利益は、1,164億13百万円(前期比2.8%増)となりましたが、トップラインの鈍化及び営業費の増加等により調整後営業利益は10億50百万円(前期比86.8%減)、オペレーティング・マージンは0.9%(前期は7.0%)となりました。   地域別のオーガニック成長率(△はマイナス成長) 当期2024年度第4四半期(10-12月)2024年度第3四半期(7-9月)2024年度第2四半期(4-6月)2024年度第1四半期(1-3月)日本4.0%8.4%2.8%1.8%2.4%Americas△4.1%△2.9%△3.1%△3.7%△6.6%EMEA2.2%3.5%6.9%7.8%△9.4%APAC△7.0%△3.9%△11.6%△6.2%△7.1%連結△0.1%2.6%0.3%0.2%△3.7% <当期における中期経営計画の進捗について>2021年度から2024年度を対象期間とした中期経営計画の結果は、以下のとおりとなりました。 前事業年度の有価証券報告書に記載された当社グループが設定した経営目標等は、以下のとおりです。① 事業変革による成長戦略の実践・オーガニック成長率:2021年度を基準に2024年度まで年平均成長率ベースで4~5%とする・売上総利益に占める「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」領域の構成比を今後50%に高めることを目指す② 収益性と効率性の改善・2023年度までオペレーティング・マージンを17.0~18.0%のレンジで管理し、2024年度には18.0%を確保する③ 財務基盤の改善と、株主価値の持続的向上 ・Net debt/調整後EBITDA(期末)の上限を1.5倍とし、中期的な目線を1.0~1.5倍とする (IFRS第16号の適用影響を控除したベース)・配当性向(基本的1株当たり調整後当期利益ベース)を漸進的に高め、2024年度までに35%とする④ ESG経営の推進・温室効果ガス(GHG)排出量を2030年までに46.2%削減する(2019年度比)・再生可能エネルギー使用率を2030年までに100%にする(再生可能エネルギーが利用可能な国・地域限定)・従業員エンゲージメントスコアを向上させる・従業員のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)の強化。2030年度までに女性リーダー比率を45%とする 以上の経営目標等に対し、2024年度の結果は以下のとおりでした。① 事業変革による成長戦略の実践・オーガニック成長率:2021年度は13.1%、2022年度は3.2%、2023年度は△4.9%、2024年度は△0.1%となり、2021年度を基準とした2024年度までの年平均成長率の目標値4~5%を下回る結果となりました。・売上総利益に占める「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」領域の構成比:2020年度は27.5%、2021年度は29.1%、2022年度は32.1%、2023年度は31.9%、2024年度は28.3%となりました。② 収益性と効率性の改善・調整後オペレーティング・マージン:オペレーティング・マージンは、2020年度は14.8%、2021年度は18.3%、2022年度は18.4%、2023年度は14.5%、2024年度は14.8%となり、2024年度における目標値18.0%を下回る結果となりました。③ 財務基盤の改善と、株主価値の持続的向上・Net debt/調整後EBITDA(期末):Net Debt/調整後EBITDA倍率は2021年度末及び2022年度末においてマイナス、2023年度末は0.59倍、2024年度末は0.92倍となり、上限とした1.5倍に収まる水準で推移しました。・配当性向(基本的1株当たり調整後当期利益ベース):2020年度は28.5%、2021年度は30.0%、2022年度は32.0%、2023年度は35.0%、2024年度は39.3%と漸進的に配当性向を引き上げた結果、目標水準とする35%を達成しました。(なお、2023年度は、DACH(ドイツ・オーストリア・スイス)区域での複合的な事業変革とシステム・インテグレーションを背景とした一時的財務影響と、年内に計上した退職費用について、過去の一貫性に配慮し足し戻した「控除後基本的1株当たり調整後当期利益」ベースでの配当性向です。)④ ESG経営の推進・温室効果ガス(GHG)排出量を2030年までに46.2%削減する(2019年度比)・再生可能エネルギー使用率を2030年までに100%にする(再生可能エネルギーが利用可能な国・地域限定)詳細は、「サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候変動へのアクション ④目標と実績」をご参照下さい。 ・従業員エンゲージメントスコアの向上(全社員対象の調査を毎年実施):2024年度のスコアは以下のとおりとなっております。・当社グループ全体 66(2021年度スコア68、2022年度スコア68、2023年度スコア66)・国内 62(2021年度スコア63、2022年度スコア60、2023年度スコア60)・海外 68(2021年度スコア70、2022年度スコア71、2023年度スコア69) ・従業員のダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)の強化。2030年度までの女性リーダー比率向上:2024年12月末時点における当社グループにおける女性リーダーの比率は、当社グループ全体で32.5%であります。 <財政状態の状況について>当期末は、前期末と比べ、主に「営業債権及びその他の債権」が増加したものの、「のれん」が減少したことなどにより、資産合計で1,271億41百万円減少し、3兆5,072億60百万円となりました。一方、負債については、主に「売却目的で保有する非流動資産に直接関連する負債」が減少したものの、「社債及び借入金」が増加したことなどにより、負債合計で165億78百万円増加し、2兆7,382億24百万円となりました。また、資本については、主に当期損失の計上などにより「利益剰余金」が減少したことなどから、資本合計は1,437億19百万円減少し、7,690億35百万円となりました。 なお、前連結会計年度において、主に、ロシア事業に関する資産及び負債を、「売却目的で保有する非流動資産」及び「売却目的で保有する非流動資産に直接関連する負債」に分類しております。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 13.売却目的で保有する非流動資産」をご参照ください。 2025年2月に発表した中期経営計画では、新たな財務方針として、収益性・競争優位性の回復を通じたバランスシートの健全性の改善を設定しました。また、併せて政策保有株等、非事業資産の売却も継続していく方針です。キャピタルアロケーションにおいては、2025年度に実施する経営基盤の再構築に係る費用及び事業成長のための内部投資を優先させ、業績の再建を進めてまいります。 (2) キャッシュ・フローの状況当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」)は、3,719億89百万円(前期末3,906億78百万円)となりました。主に財務活動による支出などにより、前期末に比べ186億88百万円の減少となりました。 営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動の結果により得た資金は、前期に比べ152億83百万円減少し、599億84百万円となりました。主に税引前損失を計上したことや、運転資本が増加したことなどによるものであります。 投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動の結果支出した資金は、前期に比べ1,153億88百万円減少し、309億8百万円となりました。主に子会社の取得による支出が減少したことによるものであります。 財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動の結果支出した資金は、前期に比べ879億67百万円減少し、657億14百万円となりました。主に長期借入れによる収入が減少した一方で、長期借入金の返済による支出の減少、社債の償還による支出の減少などによるものであります。 (生産、受注及び販売の状況)販売実績当連結会計年度におけるセグメントの販売実績(収益)は次のとおりであります。 セグメントの名称収益(百万円)前期比(%)日本572,671104.8Americas380,869108.7EMEA320,024119.0APAC121,417105.4全社15,98067.8計1,410,961108.2  (注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては「(経営成績等の状況の概要) (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報① 資本政策・財務戦略の基本的な考え方当社グループは、2027年度を最終年度とする中期経営計画の戦略と施策により、利益成長を通じて中長期的な株主価値の向上を目指します。そして、その実現を確かなものとするため、ROEを経営指標に追加し、2027年度にはROE10%台中盤の達成を目標としております。この目標達成を下支えするため、改めて財務方針を設定し、規律を持って管理・運用してまいります。具体的には、必要となる資金の規模を厳密に見極め、資本と負債とのバランスなどを慎重に管理し、バランスシートの健全性を改善することにより、高い信用格付の維持を目指してまいります。また、内部資金、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパー、債権流動化、又はコミットメントライン等により、十分な手元流動性を確保することとしております。さらに、急速な外部環境変化等に万全を期すため、引き続き金融機関との間で追加の銀行融資枠を設定しております。これらにより、急激な事業環境の変化等に対するリスク耐性が高い状態を維持できるよう努めてまいります。投資については、2025年度に実施する経営基盤の再構築に係る費用、及び事業成長のための内部投資を優先し、業績の再建を進めてまいります。株主還元に関しては、これらの活動を通して得られる利益の適切な配分と本源的な企業価値の向上を通じて株主の皆様への利益還元に努めることとし、配当方針としては、基本的1株当たり調整後当期利益に対する配当性向を35%とする所存です。但し、2025年度の1株当たり配当金につきましては、上記方針に基づきつつ、競争力及び収益性の回復のための投資が先行する過渡期である点に鑑み、一時的措置として当期と同額の年間配当金139.50円を維持する予定であります。 ② 資金需要の主な内容当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金及び制作費の支払等並びに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。また、2027年度を最終年度とする中期経営計画において、2025年は不振ビジネスの見直しと、経営基盤の再構築による収益性の回復に集中するため、競争力及び収益性の回復のための投資に係る資金需要が見込まれます。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「(経営成績等の状況の概要) (2) キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。 ④ 資金調達及び流動性の状況 当社グループは、内部資金、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパー、又は債権流動化等の多様な手段の中から、その時々の市場環境や長期資金の年度別償還額も考慮した上で、有利な手段を機動的に選択し、資金調達を行っております。なお、長期資金については、原則として当社で一元的に資金調達しております。また、緊急時の流動性を確保するため、当社はシンジケーション方式による極度額1,000億円のコミットメントラインを設定しております。加えて、急速な外部環境変化等に万全を期すため、引き続き金融機関との間で追加の銀行融資枠を設定しております。さらに、グループ内の資金調達の一元化・資金効率の向上・流動性の確保の観点から、資金余剰状態にある子会社から当社が資金を借り入れ、資金需要が発生している子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。 当社グループは、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題と認識しており、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期格付AA-、短期格付a-1+を取得しております。また、主要な内外金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、当社グループの事業の維持拡大、必要な運転資金の確保、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能であると認識しております。 (3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会により公表されたIFRSに基づき作成されております。また、当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務等オフバランス取引の開示、報告期間における財政状態及び経営成績について影響を与える見積りを行わなければなりません。経営陣は、例えば、投資、企業結合、退職金、法人税等、偶発事象や訴訟等に関する見通しや判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、資産・負債の簿価、収益・費用の報告数字についての根拠となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は、以下のとおりであります。 ① 有形固定資産、のれん及び無形資産の減損当社グループは決算日において、棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額に基づき減損テストを実施しております。のれんは償却を行わず、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、又は減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、当該資産は回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来キャッシュ・フロー、成長率、割引率等について一定の仮定を用いております。これらの仮定は過去の実績や当社経営陣により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業戦略の変更や市場環境の変化等により影響を受ける可能性があり、仮定の変更が必要となった場合、認識される減損損失の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。のれんの減損テストにおける主要な仮定や感応度分析等の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表注記 15.のれん及び無形資産 (3)のれんの減損テスト」をご参照ください。 ② 使用権資産当社グループは、借手としてのリースについて、リースの開始日において、使用権資産及びリース債務を認識しております。使用権資産は開始日において取得原価で測定しております。開始日後においては、原価モデルを適用して、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定しております。 当社グループは構造改革の一環として不動産の適正化を行っており、一部の不動産リース契約について、サブリースの活用を見込んでおります。当該リース契約に関する使用権資産の残高は、基本サブリース料、リース期間におけるリース支払料の想定増加率、リースインセンティブ及びサブリース開始時期を含む空室期間に仮定をおいて算定しております。市場環境の変化や予測不能な事象の発生等により上記仮定の見直しが必要となった場合には、翌連結会計年度において使用権資産に係る追加の減損又は減損の戻入れが発生する可能性があります。 ③ 金融商品(条件付対価及び株式買取債務を含む)の評価当社グループは有価証券やデリバティブ等の金融資産を保有しており、当該金融資産の評価に当たり一定の仮定を用いております。公正価値は、市場価格の他、マーケット・アプローチやインカムアプローチ等の算出手順に基づき決定しております。具体的には、株式及びその他の金融資産のうち活発な市場が存在する銘柄の公正価値は市場価格に基づいて算定し、活発な市場が存在しない銘柄の公正価値は観察可能な市場データを用いて算定した金額、観察不能なインプットを用いて主としてインカムアプローチやマーケット・アプローチで算定した金額で評価しております。企業結合の結果生じる条件付対価及び株式買取債務の公正価値等は、観察不能なインプットを用いて割引キャッシュ・フロー法で算定した価額で評価しております。当社経営陣は金融商品の公正価値等の評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により見積りの変更が必要となった場合、認識される公正価値等の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ④ 確定給付制度債務の評価確定給付制度債務及び退職給付費用は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率等が含まれます。当社経営陣はこれらの前提条件は合理的であると判断しておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、認識される費用及び計上される債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 引当金当社グループは、過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、債務の決済を要求される可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼性のある見積りが可能である場合に引当金を認識しております。貨幣の時間価値の影響が重要である場合、引当金は当該負債に特有のリスクを反映させた割引率を用いた現在価値により測定しております。これらの引当金は、決算日における不確実性を考慮した最善の見積りにより算定しておりますが、予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、計上される債務の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎決算日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。当社グループは、将来の課税所得及び慎重かつ実現性の高い継続的なタックス・プランニングの検討に基づき繰延税金資産を計上しており、回収可能性の評価に当たり行っている見積りは合理的であると判断しておりますが、見積りは予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、認識される費用及び計上される資産に重要な影響を及ぼす可能性があります。

※本記事は「株式会社電通グループ」の令和6年12期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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