会社名 | 三井化学株式会社 |
業種 | 化学 |
従業員数 | 連19861名 単5199名 |
従業員平均年齢 | 40歳 |
従業員平均勤続年数 | 16年 |
平均年収 | 8641248円 |
1株当たりの純資産 | 2967.54円 |
1株当たりの純利益 | 288.57円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 140円 |
配当性向 | 69.5% |
株価収益率(PER) | 12.11倍 |
自己資本利益率(ROE) | 10.1% |
営業活動によるCF | 1652億円 |
投資活動によるCF | ▲603億円 |
財務活動によるCF | ▲873億円 |
研究開発費※1 | 55億円 |
設備投資額※1 | 478.37億円 |
販売費および一般管理費※1 | 6752.23億円 |
株主資本比率※2 | 31.1% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題当社グループは、「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」ことを企業グループ理念として掲げ、ESGを中核に据えた経営を行っていくことで、事業活動を通じた社会貢献を目指しております。また、目指すべき企業グループ像として、「化学の力で社会課題を解決し、多様な価値の創造を通して持続的に成長し続ける企業グループ」を掲げております。2021年度に策定した長期経営計画「VISION 2030」では、当社グループが目指す未来社会「環境と調和した循環型社会」、「健康・安心にくらせる快適社会」、「多様な価値を生み出す包摂社会」の実現に向けて、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定し、それらを前提に5つの基本戦略を策定しました。「社会課題視点」、「ソリューション型ビジネスモデル」、「サーキュラーエコノミー型ビジネスモデル」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を全社・全事業に展開して従来型の素材提供型ビジネスからの転換を図るとともに、強靭な「経営基盤・事業基盤」を構築し、変革を加速してまいります。 <目指す未来社会/マテリアリティ> <VISION 2030基本戦略> また、マテリアリティに紐づくKPIを非財務指標として定めております。KPIマネジメントを推進することにより、事業・機能部門の相互連携を強化し、VISION 2030の実行力の強化に取り組んでおります。(KPIの詳細は次頁をご参照ください)。 <VISION 2030 計数目標(KPI)/投資資源配分>財務KPI目標(2030年) 投資資源配分コア営業利益2,500億円 成長投資枠1.8兆円(10年間) 戦略投資枠:9,000億円 自力成長投資:9,000億円 親会社の所有者に帰属する当期利益1,400億円 ROIC8.0%以上 Net D/E0.8以下 ROE10%以上 マテリアリティ非財務KPI目標(2030年)持続可能な社会への貢献・気候変動・サーキュラーエコノミー・健康とくらし・住みよいまち・食の安心・ライフサイクル全体を意識した製品設計Blue ValueR製品売上収益比率40%Rose ValueR製品売上収益比率40%GHG排出量削減率(Scope1、2)40%(2013年度比)事業継続の前提となる課題人権尊重人権リスクへの対応国内外全拠点での人権デュー・ディリジェンスシステム構築によるリスク把握と是正安全重大事故・重大労災件数ゼロ(VISION 2030期間を通じて)コンプライアンス重大な法令・ルール違反数品質PL事故、重大品質インシデント件数安定生産高額損失トラブル件数(損失額≧1億円/件)ゼロ事業継続に不可欠な能力企業文化エンゲージメント調査エンゲージメントスコア50%人的資本戦略重要ポジション後継者候補準備率250%執行役員多様化人数(女性・外国籍・中途採用)10名以上(うち、女性3名以上、提出会社)女性管理職(課長級以上)比率15%(提出会社)生活習慣病平均有所見率8.0%以下(提出会社)メンタル不調休業強度率0.25(提出会社)デジタルトランスフォーメーションデータサイエンティスト数165名(2025年度)イノベーションパイプラインの充実事業部所管テーマ数2倍以上(2020年度比)未来技術創生センターにおける開発新領域数3領域以上パートナーシップ持続可能な調達持続可能な調達率80% (注)Blue ValueRとRose ValueRとは、当社グループが目指す未来社会実現のため、提供する製品・サービスの環境および社会への貢献を見える化し、その価値をステークホルダーの方々と共有できるようにしたものです。製品・サービスを用途別に独自の指標で評価し、環境貢献価値の高いものをBlue ValueR製品、QOL向上貢献価値の高いものをRose ValueR製品として認定しております。 また、当社は、長期経営計画に基づき毎年向こう3ヵ年の事業計画の見直しを行うというローリング方式を採用しています。社会環境の変化が急速かつ大きくなる中で、長期的な視野を持ちつつ、経営の環境適応性を高め、戦略推進を加速してまいります。このような経営ビジョン及び経営計画のもと、2024年度において、当社は、次のように経営環境を認識し、VISION 2030達成に向けて取り組んでまいります。 <経営環境>2024年度の世界経済は、中国経済の停滞、地政学的リスク、調整局面が続く金融政策等の影響により、回復の鈍化が懸念されるものの、回復基調は継続することが見込まれます。日本経済においても、為替の変動、物価の上昇及び海外需要の鈍化等に伴う景気下振れのリスクがあるものの、回復基調は継続することが見込まれます。化学工業界においても、為替の変動、物価の上昇及び海外需要の鈍化等の影響が懸念されるものの、景気持ち直しの動きに伴う需要の拡大が期待されます。 <VISION 2030達成に向けた2024年度における取り組み> 早期の成長軌道回帰へ向けた、以下の基本方針のもとでのスピード感を持った戦略の実行 ・事業ポートフォリオ変革は未だ道半ばとの認識に立った、成長領域の成長スピード回復に向けた戦略見 直し ・クラッカー最適生産体制の構築を始めとするベーシック&グリーン・マテリアルズ再構築第2幕の加速 ・不透明感を増す地政学リスクや急激な環境変化に備えたキャッシュフローマネジメントの徹底 ・財務・非財務双方の視点での実効性あるKPIマネジメントの推進 ・カーボンニュートラル実現に向けた、ファーストムーバーとしての地域・他社連携の拡大・加速 ・DX推進及び働き方改革を通じた事業基盤の強靭化 ・更なる株主還元強化及び全社的なライトアセット化を通じた更なる資本効率の改善 このような情勢のもと、2024年度の当社グループの業績は、下表のとおりとなることを予想しております。 2024年度連結業績予想2023年度連結業績売上収益(億円)18,50017,497コア営業利益(億円)1,250962営業利益(億円)1,130741親会社の所有者に帰属する当期利益(億円)730500※当社は2020年度より国際財務報告基準(IFRS)を適用しております。コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因(事業撤退や縮小から生じる損失等)により発生した損益を除いて算出しております。 (2) 事業領域ごとの環境分析及び戦略 ①ライフ&ヘルスケア・ソリューション世界の総人口増加・健康寿命延伸などを背景として生活の質(QOL)向上、安全・安心な食への貢献が求められています。ライフ&ヘルスケア・ソリューション事業は、ライフケア、ウェルネス、メディカルという3つの事業領域にわたって、いのちと健康、豊かな暮らしに貢献するソリューションを提供し、第1の収益の柱として当社グループの持続的成長に寄与していきます。 (主要製品) ビジョンケア材料、不織布、オーラルケア材料、パーソナルケア材料及び農業化学品を事業展開しています。<ライフケアソリューション>?ビジョンケア材料・プラスチックメガネレンズ材料(MR?、RAV7?、Do Green?)・フォトクロミックメガネレンズ材料(SunSensors?)・コーティング材料(Crystal Coat?)?不織布・不織布(エアリファR、シンテックスR、エルタスR、タフネルR、プレシゼR、エコライズR)・フィルター(ユーテックR)・形状保持材料(テクノロートR)、通気性フィルム(エスポアールR)?パーソナルケア材料・アクリルアマイド、メタクリルアミド、合成パルプ(SWPR)・抗菌・防カビ剤(ヨートルRDP95、ヨートルRDP-CD)、DMIR <ウェルネスソリューション>?農業化学品・殺虫剤、殺菌剤、除草剤、生活環境用薬剤、ペット用薬原料?パーソナルケア材料・メディカル材料(タウリン) <メディカルソリューション>?オーラルケア材料・修復材(ビーナスR、カリスマR)、接着用セメント(スーパーボンドR)・義歯関連(パラR)、3Dプリンターインク(ディーマR)?パーソナルケア材料・メディカル材料(タウリン、セリン、PLGAR) (強み)<ライフケアソリューション>?ビジョンケア材料・幅広い製品ラインナップ?不織布・統合シナジーを活かした生産・技術力?パーソナルケア材料・酵素技術、有機合成技術を基盤とした研究開発力 <ウェルネスソリューション>?農業化学品・有機合成を基盤とした独自性の高い創薬力と生産技術・安全で環境負荷の少ない天然物由来の製品ポートフォリオ・顧客ニーズに対応可能な製剤開発力 <メディカルソリューション>?オーラルケア材料・グローバルでのブランド力・ポリマーサイエンス・精密合成技術と歯科臨床知識の組み合わせによる製品開発力?整形外科材・歯科材料などに展開している素材技術 (基本戦略)<ライフケアソリューション>?ビジョンケア材料・多様な顧客ニーズに応じた高付加価値材料の開発・レンズ製造工程に必要なコーティング材料と加工機器も含めた製品・サービスの提供?新領域・ビジョンケア以外の新たな柱の育成(生活環境・水環境分野での新事業・新製品開発) <ウェルネスソリューション>?農業化学品・成長ドライバーの海外展開・環境配慮型農薬の拡充・蚊が媒介する伝染病撲滅および防蟻活動への取り組み?新領域・健康・バイオ技術関連領域を拡大(ニュートリション分野、検査・診断分野での新事業・新製品開発) <メディカルソリューション>?オーラルケア材料・注力歯科領域(修復材、義歯関連、3Dプリンターインク、接着用セメント)の新製品開発および市場への継 続投入・グループ連携強化?新領域・整形外科領域、医薬CDMO事業への拡大 (基本戦略を推進する上での課題と方策)<ライフケアソリューション>?ビジョンケア材料・メガネレンズ材料の需要拡大に即した供給能力確保 → MR?生産能力増強計画の実行・グローバルでのサプライチェーンの強靭化 → 海外ストックポイント設置や原料複数購買化のさらなる推進?不織布・産業資材シフト加速によるポートフォリオ転換 → NanoMBならびに新製品の拡大、開発シナジーの実現・衛生材料高付加価値化 → 伸縮不織布等の差別化製品の拡販、統合シナジーの実現 <ウェルネスソリューション>?農業化学品・成長ドライバーの海外展開加速 → テネベナールR、フルピリミンの海外重点国での販売促進・サプライチェーンの強靭化 → 大牟田工場・北上工場での原体生産体制の強化・環境配慮型農薬の拡充 → 高い安全性・環境負荷の少ない革新的化学農薬の創薬推進、天然物をはじめとす るバイオソリューションの研究推進および生産技術の強化・QOL向上 → マラリア根絶に資するVECTRON? T500のアフリカ諸国での登録推進および販売促進?検査・診断・新事業開発の加速 → DNAチップ研究所との協業を通じた開発推進 <メディカルソリューション>?オーラルケア材料・欧州市場での事業拡大および基盤強化 → 新製品の継続投入・日本市場での事業拡大および基盤強化 → グループ連携強化?整形外科材・製品開発の加速と事業基盤強化・拡充 → 日本エム・ディ・エムとの協業を通じた開発推進と戦略の具体 化・実行?パーソナルケア材料・QOL向上に資する新事業立ち上げ → 核酸医薬CDMO事業基盤獲得 ②モビリティソリューション 世界的な環境意識の高まりや社会的責任への対応要請を背景に、サプライチェーンにおける環境負荷低減の重要性が高まっており、モビリティの燃費向上、リサイクル材料、バイオ材料の活用、省エネルギーや再生可能エネルギーの利活用拡大等への貢献が求められています。また、CASEやMaaSの進展により、移動空間としての快適性の向上や車室の高機能化といった、モビリティにおける多様なニーズや機会の創出に繋がると期待されています。 当社では、自動車を中心としたあらゆる種類の人・モノの移動手段を「モビリティ」と定義しています。このモビリティ領域において、多様化するニーズに対応したソリューションの提供と個々の事業の競争力強化を通じた持続的な成長を実現していきます。 (主要製品) エラストマー、機能性コンパウンド、ポリプロピレン・コンパウンド、複合材料、ソリューション事業等において、モビリティにおける軽量化、燃費向上、電動化、自動化等のためのソリューションを提供しています。<素材提供型ビジネス>?エラストマー重合製品・エチレン・プロピレンゴム(三井EPTTM)、α-オレフィンコポリマー(タフマーR)、液状ポリオレフィンオリ ゴマー(ルーカントR)?複合材料製品・接着性ポリオレフィン(アドマーR)、熱可塑性エラストマー(ミラストマーR)、エンジニアリングプラスチ ック(アーレンR)、PPコンパウンド、金属樹脂一体成形部品(ポリメタックR)、不飽和ポリエステル(ポリ ホープR)、成形用コンパウンド(ポリマールRマット) <ソリューション型ビジネス>・ARRKグループ、共和工業㈱ (強み)・幅広い材料ラインナップ・高い技術力と品質・グローバルネットワークを活かした幅広い顧客基盤・技術サービス・バリューチェーンを通じたトータルソリューション提案力 (基本戦略)<素材提供型ビジネス>・「高成長 & サステナビリティへの貢献」×「競争優位」な領域に対する販売・開発の集中・需要に応じた生産能力増強、グローバル拠点を最大活用したレジリエントな生産体制の構築 <ソリューション型ビジネス>・当社グループが保有する機能・技術・素材と、他社との連携により創出するモジュールコンセプト開発の推進・当社グループが保有する技術・知見を活かしたサービス提供による事業機会探索 (基本戦略を推進する上での課題と方策)・市場変化や需要増加に対応するための生産供給能力の不足、および柔軟な生産体制の構築 → 需要に応じた適切な生産能力増強の実行、製品や組織を超えた生産体制最適化の実現 ③ICTソリューション デジタル化の進展により、半導体等ICT関連製品への需要は益々高まっています。ICTソリューションでは、①半導体・実装、②イメージング、③電池材料、④コンバーティングの各領域に重点的に取り組んでおり、事業ポートフォリオの変革を通じたソリューション型ビジネスモデルの構築を加速してまいります。 また、安全・快適なインフラ、健康な暮らし、持続可能な地球環境を支えるAI、Beyond 5G・6G、ロボティクス等の進化といった様々な社会課題の解決に貢献する『ユニーク』なICTソリューション事業の創造・拡大を図ります。 (主要製品) 半導体・電子部品工程部材、光学材料、リチウムイオン電池材料・次世代電池材料、高機能食品包装材料等を事業展開しています。<半導体・実装ソリューション>フォトマスク用防塵カバー(三井ペリクルTM)、成膜プロセス用高純度ガス(シラン・ジシラン)、フォトレジスト原料(ミレックスR)、半導体製造工程用テープ(イクロステープTM)、シリコーンコートフィルム(SP-PETTM)、耐熱離型フィルム(オピュランR) <イメージングソリューション>レンズ材料(アペルR)、液晶反射フィルム用材料(TPXR)、液晶・有機ELシール材(ストラクトボンドR)、太陽電池用封止シート(ソーラーエースTM) <電池材料ソリューション>LiBセパレータ用材料(ハイゼックスミリオンR)、LiB用電解液(ミレットR)、LiBパウチ用接着剤(ユニストールR)、耐熱コート材(ボンロンR) <コンバーティングソリューション>環境配慮型紙包装材用ヒートシール剤(ケミパールR)、サステナブル包材用バリアコート剤(タケラックRWPB)、包装用接着剤(タケネートR、タケラックR) (強み)・半導体・実装領域およびイメージング領域におけるユニークでシェアの高い製品・高い技術力と品質、技術サービス・グローバルでの顧客基盤・バリューチェーンを通じたトータルソリューション提案力 (基本戦略)<半導体・実装ソリューション>既存事業の強化・拡大と半導体・実装プロセス革新に対して競争優位性の高い新製品・ソリューションの提案強化 <イメージングソリューション>先端ニーズへの先着に向けた競争優位性の高い新製品・ソリューションの提案強化 <電池材料ソリューション>次世代電池材料の開発強化 <コンバーティングソリューション>環境対応包材の拡大 (基本戦略を推進する上での課題と方策)・ICT顧客のスピードに適した仕組みづくり → ニーズ起点である海外拠点の企画・マーケティング力強化や 社外パートナーとの共同開発強化・ICTプラットフォーマーとの協働関係構築・強化 → 顧客拠点におけるソリューション・製品・技術の訴求 する「Mitsui Day」の開催・顧客プロセス適合性評価等の研究開発機能の強化 → クリエイティブインテグレーションラボの開設、評価 設備の集約・拡充を通じた顧客との共創の推進 ④ベーシック&グリーン・マテリアルズ 石化・基礎化学品を中心とする当本部の事業は、自動車、住宅、家電、インフラ、食品包装をはじめ、様々な分野に素材提供を行っています。特徴のある技術と付加価値製品群の拡大、さらなるコスト競争力強化により、安定した収益を確保し、当社グループの基盤事業を目指します。 近年、事業最適化・再構築の実行により、収益構造が着実に改善してきています。基礎原料であるエチレンについては、千葉地区で出光興産株式会社と装置集約の本格検討を開始しました。また、合成樹脂などの原料となる基礎化学品フェノールでは国内生産能力の削減を決定、ウレタン樹脂原料となるTDI(トルエンジイソシアネート)では需要動向に合わせたプラント能力の最適化を意思決定するなど、資本効率の向上を目指して事業の再構築を進めております。事業を取り巻く環境は不透明なものの、高付加価値製品の拡充や、徹底した合理化を推進し、市況・需給等の変動を受け難い、安定した収益基盤を築き上げていきます。 また、「グリーンケミカル」を成長領域と位置付け、バイオマスナフサ・廃プラスチック分解油への原料転換やプラスチックリサイクル、CCUS(Carbon dioxide Capture Utilization and Storage)などの幅広い分野での事業化を目指します。原料転換の取り組みとしては、バイオマスナフサおよび廃プラスチック分解油を導入し、日本初のバイオ&サーキュラークラッカーを実現しました。今後、クラッカーを起点としたバイオマス製品・ケミカルリサイクル製品の更なる拡充を図ります。プラスチックリサイクルに関しては、他社との協働により、優位な技術を互いに持ち寄った循環型スキームを構築し、これらの早期の社会実装化を目指しています。これら施策により当社グループの基盤となる事業展開を目指します。 (主要製品) エチレン・プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、触媒、フェノール類、高純度テレフタル酸、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリウレタン材料、工業薬品等の事業を展開しています。<石化製品>エチレン、プロピレン、高密度ポリエチレン、メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(エボリューR)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン重合触媒 <基礎化学品>フェノール、ビスフェノールA、アセトン、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン、高密度テレフタル酸、PET樹脂、エチレンオキサイド、エチレングリコール、ハイドロキノン(HQ)、メタ/パラクレゾール、アンモニア、尿素、メラミン <ポリウレタン原料>TDI(コスモネートR)、MDI(コスモネートR)、PPG(アクトコールR、エコニコールR、NextyolR) (強み)・世界トップクラスの競争力を有するナフサクラッカー・メタロセンをはじめとするポリオレフィン触媒技術・ウレタン製品差別化のための高機能ポリオール、高機能MDI・バイオマスポリオールの開発、製造技術・バイオマスナフサおよび廃プラスチック分解油の原料投入による、バイオマス製品・ケミカルリサイクル製品 の幅広い展開 (基本戦略)<再構築>更なる再構築推進による資本効率性の向上・需要に見合った能力最適化(岩国大竹PET樹脂停止、大牟田TDIダウンサイジング、市原フェノール停止)・他社提携による再編・競争力向上(ナフサクラッカー、ポリオレフィン) <グリーンケミカル>グリーンケミカルの拡大による環境対応強化・原料転換(バイオマスナフサ、廃プラスチック分解油)・燃料転換(アンモニア燃焼炉)・バイオマス誘導品、リサイクル製品の拡大 <ダウンフロー強化>高機能化・ニッチ品の拡大など、ダウンフロー強化による収益安定化・高機能PP、高機能MDI・HQ、触媒ライセンス (基本戦略を推進する上での課題と方策)・需要に見合った能力最適化・再編 → 資本効率が低い製品の縮小や撤退、他社連携による事業リスクの低減・高機能製品の強化・拡大 → エンドユーザー起点の素材開発、MI活用の拡大による新銘柄開発や処方開発、 マテリアル・ケミカルリサイクル起点での製品開発(石油由来同等の物性など)・製造における低炭素化(SCOPE1+2) → 省エネ、再生エネルギーの活用、低炭素原料・燃料への転換、高エ ネルギー効率機器の導入・製品によるGHG削減 → 製品提供を通じたGHG削減貢献量の最大化(Blue Value?製品の売上収益比率の拡 大)・サーキュラーエコノミーへの対応強化 → バイオマス・マテリアル・ケミカルリサイクル製品の拡大 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容 ①全般的状況当連結会計年度における世界経済は、飲食・宿泊等のサービス業を中心に景気持ち直しの動きが継続しましたが、製造業においては、世界的な需要の低迷や金融引き締めの動き等を背景とする、回復鈍化の傾向が続きました。日本経済においても、景気持ち直しの動きが継続したものの、物価の上昇や海外需要の鈍化等により回復が停滞する状況も見られました。また、化学工業界においては、川下製品の需要鈍化の影響を受け、国内のナフサクラッカーの稼働率は低調に推移しました。このような情勢のもとで、当社グループは、成長領域の「ライフ&ヘルスケア・ソリューション」、「モビリティソリューション」、「ICTソリューション」の拡大・成長、「次世代事業」の創出・育成、「ベーシック&グリーン・マテリアルズ」の更なる競争力強化に取り組みました。ライフ&ヘルスケア・ソリューション領域では、先進国の少子高齢化や新興国の経済成長・人口増加に伴い、生活の質(QOL)向上や、食資源の不足等の社会課題への関心が高まっています。世界トップシェアのビジョンケア材料では、アジアで高まる高機能品需要、北米で進むポリカーボネート素材からの切替え需要等により世界で成長を続ける高屈折レンズ市場に対応するため、当社大牟田工場のプラントにおいて生産能力を増強し、2024年1月に営業運転を開始しました。次期増強計画も推進しております。不織布事業においては、旭化成㈱との共同新設分割によりエム・エーライフマテリアルズ㈱を設立しました。当社と旭化成㈱がこれまで培ってきた技術やノウハウを融合させ、シナジーの最大化を図り、不織布における世界的なリーディングカンパニーを目指します。モビリティソリューション領域では、自動車業界において燃費向上ニーズや電動化へのシフトに加え、軽量化・快適性の向上といった多様化したニーズが生まれています。グローバルに高いシェアを有し、自動車の軽量化に貢献するポリプロピレン・コンパウンドでは、高まる環境対応ニーズに向けた取り組みとして、子会社であるAdvanced Composites, Inc.において、ポストコンシューマー材料を3~5割含有するリサイクルコンパウンド材を開発し、自動車メーカー向けに採用が決定しました。また、素材とサービスを融合した新たなソリューションを提供するソリューション事業においては、EV次世代駆動システム「E-Axle」向け量産部品の提供を開始しました。この開発にあたっては、従来顧客で実施していた設計~試作~解析~評価に至る各プロセスを当社グループの中で同時進行することで、通常3~5年を要する開発期間を1年に短縮することができました。ICTソリューション領域では、高速通信、AIの開発等、世界的なデジタル化の進展に伴い、安全・快適なインフラ、持続可能な地球環境を支えるAI、Beyond 5G等の情報通信(ICT)分野における進化の重要性が高まっております。中長期的な拡大と継続的な技術革新が見込まれる半導体関連市場において、当社グループとしてのシナジーをこれまで以上に追求するとともに、迅速な意思決定を実現するため、子会社である三井化学東セロ㈱のICT事業を分割し、新たに三井化学ICTマテリア㈱を設立することを決定しました。また、三井化学東セロ㈱のパッケージソリューション(PS)事業については、同社を存続会社として、レンゴー㈱と㈱トクヤマの合弁会社であるサン・トックス㈱を吸収合併し、PS事業統合会社(4月1日付にて商号をアールエム東セロ㈱に変更)となりました。当社は引き続き株主として同社に参画致します。また、ICT領域の開発をさらに強化するため、当社名古屋工場内にICT研究棟を開設することを決定しました。ベーシック&グリーン・マテリアルズ領域では、石化・基礎化学品を中心とする従来の基盤素材領域において、ボラティリティ低減及びダウンフロー強化を通じた高機能・ニッチ品の拡大を通じて事業再構築を進めており、引き続き収益安定化に向けて更なる再構築を推進致します。2024年10月には、安価な海外品の輸入拡大と再生ペットボトル需要増加により低稼働を余儀なくされた当社岩国大竹工場のポリエチレンテレフタレート(PET)プラントを停止します。また、中国を中心としたアジアでの新設備稼働に伴う大幅な供給過多や国内需要の縮小により収益確保が困難になったため、当社市原工場のフェノールプラントを、遅くとも2026年度までに停止することを決定しました。これらに加えて、千葉地区においては、出光興産㈱との間で、エチレン装置集約による生産最適化について検討することを合意しております。また、カーボンニュートラルの実現に向けて、当社大阪工場をモデルに、ナフサクラッカーの原燃料転換、CO2の利活用・貯蔵等、2030年近傍に実現可能な技術をパッケージ化した「大阪工場カーボンニュートラル構想」を策定しました。今後、具現化を進めていきます。 これらの取組みにより、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。なお、当社は経営指標の一つとしてコア営業利益を採用しております。コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出しております。 売上収益コア営業利益営業利益親会社の所有者に帰属する当期利益当連結会計年度(億円)17,497962741500前連結会計年度(億円)18,7951,1391,290829増減率(%)△6.9△15.5△42.5△39.7 売上収益は、前連結会計年度に比べ1,298億円減(6.9%減)の1兆7,497億円となりました。これは、需要の低迷による販売数量の減少や、子会社の売却などによるものです。 海外売上収益は8,837億円となり、売上収益全体に占める割合は前連結会計年度に比べ1.5ポイント増の50.5%となりました。 コア営業利益は、前連結会計年度に比べ177億円減(15.5%減)の962億円となりました。これは、需要の低迷による販売数量の減少や、持分法による投資利益の減少があったことなどによるものです。なお、当連結会計年度の為替レートは145円/$、国産ナフサ価格は69,100円/KLとなりました。 営業利益は、コア営業利益の減少に加え、前連結会計年度における関係会社株式売却益がなくなったことなどにより、前連結会計年度に比べ549億円減(42.5%減)の741億円となりました。 金融収益・費用は、前連結会計年度に比べ109億円改善の8億円の損失となりました。 以上により、税引前利益は、前連結会計年度に比べ440億円減(37.5%減)の733億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ329億円減(39.7%減)の500億円となり、基本的1株当たり当期利益は262.99円となりました。 ②セグメント別の状況セグメント別の業績は、次のとおりであります。 (ライフ&ヘルスケア・ソリューション)当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ135億円増の2,717億円、売上収益全体に占める割合は15%となりました。また、コア営業利益は、主にビジョンケア材料及び不織布の販売が低調に推移したものの、農業化学品の海外の販売が堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ8億円増の300億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・増益となりました。ビジョンケアのメガネレンズ用材料は、上期の在庫調整の影響により、販売が低調に推移しました。オーラルケアは、販売が前連結会計年度並で推移しました。農業化学品は、海外の販売が堅調に推移しました。不織布は、需要鈍化の影響を受け、販売が低調に推移しました。 (モビリティソリューション)当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ224億円増の5,440億円、売上収益全体に占める割合は31%となりました。また、コア営業利益は、主に販売数量の増加及び交易条件が改善したことにより、前連結会計年度に比べ84億円増の577億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・増益となりました。エラストマーは、販売が増加しました。また、価格改定及び為替差等により交易条件が改善しました。PPコンパウンドは、自動車生産台数の回復に伴い販売が増加しました。ソリューション事業は、試作・開発案件の受注が増加しました。 (ICTソリューション)当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ18億円増の2,375億円、売上収益全体に占める割合は14%となりました。一方、コア営業利益は、為替差等により交易条件が改善したものの、主に半導体市場の回復遅れにより、前連結会計年度に比べ14億円減の224億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・減益となりました。半導体・光学材料は、半導体市場の回復遅れにより販売が減少しました。コーティング・機能材及び産業用フィルムは、価格改定及び為替差等により交易条件が改善しました。 (ベーシック&グリーン・マテリアルズ)当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ1,672億円減の6,818億円、売上収益全体に占める割合は39%となりました。また、コア営業損益は、需要鈍化による販売数量の減少及び在庫評価益の縮小等により、前連結会計年度に比べ281億円悪化の103億円の損失となりました。以上により、セグメント全体では、減収・減益となりました。ポリオレフィン及びフェノール類の販売は、需要鈍化の影響により、前連結会計年度に比べ減少しました。また、ナフサクラッカーの稼働率は、川下製品の需要鈍化の影響を受け、低調に推移しました。 (その他)当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ3億円減の147億円、売上収益全体に占める割合は1%となりました。一方、コア営業損失は、前連結会計年度に比べ11億円改善の17億円の損失となりました。 売上収益とコア営業利益のセグメント別増減内訳はそれぞれ以下のとおりであります。 (売上収益)(単位:億円) 第26期 第27期 増減 計数量差価格差ライフ&ヘルスケア・ソリューション2,5822,7171354887モビリティソリューション5,2165,440224291△67ICTソリューション2,3572,37518△7694ベーシック&グリーン・マテリアルズ8,4906,818△1,672△1,467△205その他150147△3-△3消去又は全社-----合計18,79517,497△1,298△1,204△94 (コア営業利益)(単位:億円) 第26期 第27期 増減 計数量差交易条件固定費差他ライフ&ヘルスケア・ソリューション2923008△3758△13モビリティソリューション493577845496△66ICTソリューション238224△14△2069△63ベーシック&グリーン・マテリアルズ178△103△281△126△89△66その他△28△1711--11消去又は全社△34△1915--15合計1,139962△177△129134△182(注) 交易条件=価格差+変動費差(主として原燃料価格差) ③経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下のとおりであります。なお、当社グループは、ライフ&ヘルスケア・ソリューション、モビリティソリューション、ICTソリューション及びベーシック&グリーン・マテリアルズの各セグメントにおいて、多種多様な製品を取り扱っており、それぞれの製品によって経営成績に影響を与える要因及びその程度は異なります。 a 売上収益について 売上収益は、販売数量及び販売価格等により変動します。 販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。 販売価格については、主にナフサ等の原燃料価格の変動の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。 b コア営業利益について コア営業利益は、販売数量、交易条件及び固定費等により変動します。 販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。 交易条件については、主にナフサ等の原燃料価格の変動、原燃料価格の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。 固定費については、主に生産設備の新増設、研究開発の状況等の要因によって影響を受ける可能性があります。 ④生産、受注及び販売の実績a 生産実績及び受注実績 当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 このため生産実績及び受注実績については、「(1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容 ②セグメント別の状況」におけるセグメント別の業績に関連付けて示しております。 b 販売実績セグメントの名称当連結会計年度自 2023年4月1日至 2024年3月31日前年同期比(%)ライフ&ヘルスケア・ソリューション(百万円)271,7025.2モビリティソリューション(百万円)543,9784.3ICTソリューション(百万円)237,4970.8ベーシック&グリーン・マテリアルズ(百万円)681,781△19.7報告セグメント計(百万円)1,734,958△6.9その他(百万円)14,785△2.0合計(百万円)1,749,743△6.9 (注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先前連結会計年度自 2022年4月1日至 2023年3月31日当連結会計年度自 2023年4月1日至 2024年3月31日金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)三井物産㈱383,22120.4326,42318.7 (2) 財政状態の概況、認識及び分析・検討内容 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,476億円増の2兆2,158億円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ461億円増の1兆2,310億円となりました。また、有利子負債は168億円増の8,115億円となりました。この結果、資産合計に対する有利子負債の比率は前連結会計年度末に比べ1.8ポイント減の36.6%となりました。 第23期第24期第25期第26期第27期有利子負債残高(億円)5,9945,6387,1517,9478,115有利子負債比率(%)39.236.237.038.436.6 当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ1,015億円増の9,848億円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ0.9ポイント増の38.9%となりました。以上により、当連結会計年度末のネットD/Eレシオ(ネット有利子負債(有利子負債-現預金・長期性預金)/親会社の所有者に帰属する持分)は、前連結会計年度末に比べ0.08ポイント減の0.69となりました。ネットD/Eレシオの推移は以下のとおりであります。 (3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性 ①キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ240億円増加し、当連結会計年度末には2,103億円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ601億円増の1,613億円となりました。これは主に、税引前利益の悪化があったものの、運転資本が減少したことなどによるものです。この結果、営業キャッシュ・フローに対する有利子負債の比率は前連結会計年度の7.8から5.0に減少し、インタレスト・カバレッジ・レシオは17.2倍から21.6倍に増加しました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によって使用された資金は、前連結会計年度に比べ176億円増の1,239億円となりました。これは主に、設備投資による支出が増加したことなどによるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によって使用された資金は、260億円(前連結会計年度は25億円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払いがあったことなどによるものです。なお、キャッシュ・フローに関する指標は以下のとおりであります。 第23期第24期第25期第26期第27期親会社所有者帰属持分比率(%)34.639.036.838.038.9時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)25.644.030.931.337.2キャッシュ・フロー対有利子負債比率4.23.27.77.85.0インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)25.537.123.317.221.6(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。※有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 キャッシュ・フローの推移は以下のとおりであります。 ②資金の調達について当社グループの資金調達については、1)高い格付けを維持し、資金需要に応じて都度、社債、借入及びコマーシャル・ペーパーを主体に低コストの資金調達を行うこと。2)一定割合の間接金融を導入し、資金調達の安定化を図ること。3)売上債権流動化等の資産の流動化により、資金調達の多様化を図ること。を基本的な考え方として実施しております。 また、子会社(日米欧、中国、シンガポール)の資金調達については、原則として、当社及び地域統括会社を通じたグループファイナンスを行うことにより、グループ全体での有利子負債削減と資金効率の向上に努めております。 ③資金の流動性について 資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、手元流動性を確保すると共に、コミットメント・ライン、当座貸越枠等の代替調達手段を備えております。 ④資本政策のための基本方針 当社は、資本コストを意識した経営が重要との認識の下、投資効率性の向上と資本コストの低減に向けた取り組みを通じて、企業価値の最大化を図っております。投資効率性向上の取り組みとして、当社は「ポートフォリオマネジメント」、「KPIマネジメント」、「投資評価適正化」を推進しています。一方資本コスト低減に向けては、「収益ボラティリティの低減」、「最適資本構成の実現」、「投資家とのコミュニケーション強化」に取り組んでおります。 このうち、最適資本構成については、財務健全性と資本コスト最小化を両立できる資本構成を追及しております。足下のネットD/Eレシオの状況は財政状態に記載のとおり安定して推移しており、営業キャッシュ・フローも高水準な状況が継続しております。 今後につきましては、現状の財政状態の水準を維持しつつ、積極投資を継続して事業の成長・拡大による更なる企業価値の向上を推進してまいります。 一方で、当社は株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と位置づけています。当社の株主還元方針としては、業績の動向を踏まえながら、安定的かつ継続的な配当の実現と、機動的かつ柔軟な自己株式の取得により、株主還元の充実を図ることといたします。 (4) 目標とする経営指標の達成状況等 2030年度長期経営目標に対する2023年度の達成・進捗状況は以下のとおりであります。 当連結会計年度(計画)当連結会計年度(実績)当連結会計年度(計画比)2030年度長期経営目標コア営業利益1,500億円962億円538億円減(35.9%減)2,500億円親会社の所有者に帰属する当期利益1,000億円500億円500億円減(50.0%減)1,400億円親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)12.3%6.1%6.2ポイント減10%以上Net D/E0.750.690.06ポイント減0.8以下投下資本利益率(ROIC)6.3%4.1%2.2ポイント減8%以上 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。また、当社は連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第93条の規定を適用しております。連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。 当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 |
※本記事は「三井化学株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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