住友化学株式会社の基本情報

会社名住友化学株式会社
業種化学
従業員数連29279名 単6669名
従業員平均年齢42.1歳
従業員平均勤続年数16.3年
平均年収8183357円
1株当たりの純資産240.68円
1株当たりの純利益(連結)23.59円
決算時期3月
配当金9円
配当性向60.9%
株価収益率(PER)24.47倍
自己資本利益率(ROE)(連結)14.5%
営業活動によるCF2330億円
投資活動によるCF852億円
財務活動によるCF▲3007億円
研究開発費※199億円
設備投資額※1129.98億円
販売費および一般管理費※1611.1億円
株主資本比率※219.9%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現時点で入手している情報や合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。 (1) 2022-2024年度中期経営計画:総括 ラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニー(以下「ペトロ・ラービグ社」という。)を中心とした石油化学関連事業での著しいマージンの悪化に加え、住友ファーマ株式会社(以下「住友ファーマ社」という。)での非定型抗精神病薬ラツーダのパテントクリフが重なったこと等により、2023年度の業績は1,490億円のコア営業損失を計上することになりました。これに対し、短期集中業績改善策及び抜本的構造改革を全社一丸となって進めた結果、2024年度のコア営業利益は1,405億円となり、V字回復を達成することができました。短期集中業績改善策については、ベストオーナー視点での事業売却等を進めたほか、在庫削減、投資厳選、資産の売却等により、約7,000億円のキャッシュを創出しました。抜本的構造改革(再興戦略)については、住友ファーマ社とペトロ・ラービグ社という2つの課題解決に向けた施策を打ち出しました。住友ファーマ社では、徹底的なコスト削減や基幹3製品の拡販で2024年度での黒字化を達成するとともに、ペトロ・ラービグ社では、債権放棄を含む財務リストラを実施しました。残る課題については、本中期経営計画期間中に解決の目途をつけるべく、取り組んでまいります。 (2) 長期的に目指す姿当社は、創業以来、住友の事業精神「自利利他 公私一如」(住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならない)のもと、自らの成長と社会への貢献を実現してまいりました。そして、この考え方を基軸に、長期的に目指す企業像を「Innovative Solution Provider」と定めました。この目指す企業像に向け、当社が強みを持つ技術や事業のアセットから、取り組むべき社会課題を「食糧」「ICT」「ヘルスケア」「環境」に定めるとともに、2024年10月、これらの4つの課題に対応して事業部門を再編しました。それぞれの事業部門では、これまで培ってきた当社固有の6つのコア技術、そしてそこから生まれる3つのX(GX・DX・BX)を切り口とした重要アセットを活用することで、革新的なソリューションを次々と生み出し、広く社会へ提供してまいります。そして、この先もグローバルに存在感のある会社であり続けるとともに、持続的な企業価値向上を目指してまいります。 (3) 2025-2027年度中期経営計画:全社方針 新たな中期経営計画のスローガンについては、「現状を超え、更なる高みに飛躍する」という意味をあらわす「Leap Beyond」といたしました。今後、先行きが一段と不透明な事業環境が見込まれる中で、新しい発想をもって変革を続けることで、成長軌道へと回帰するとともに、その先の持続的成長を遂げていくという想いを込めております。このスローガンのもとで、本年4月から新たな経営体制をスタートさせております。当面の成長ドライバーとなる「アグロ&ライフ」「ICT&モビリティ」領域への経営資源の集中により、事業ポートフォリオの高度化を加速させます。また、ROIC志向経営を再徹底することで、収益力・資本効率の改善に注力いたします。2027年度の財務目標に関しては、コア営業利益2,000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,000億円、ROE8%、ROIC6%といたしました。本中期経営計画で掲げた5つの基本方針に沿って取り組みを進めることで、この目標を確実に達成し、更なる高みを目指してまいります。 基本方針01 新成長戦略による事業ポートフォリオ高度化各事業領域の位置付けを明確化し、メリハリのあるリソース配分を行います。アグロ&ライフ、ICT&モビリティを当面の成長ドライバーとし、設備投資等の戦略投資を集中配分するとともに、両領域に戦略投資を上回る研究開発投資を行います。また、アドバンストメディカルは将来の3つ目の柱に育成し、エッセンシャル&グリーンマテリアルズは環境負荷低減事業等による価値創造に大きく舵を切ってまいります。 基本方針02 構造改革の継続的な遂行による強靭化ペトロ・ラービグ社の収益力改善、止血から再成長へと着実な歩を進めた住友ファーマ社の持続的成長に貢献できるベストパートナーの検討、さらに、国内及びシンガポールにおける石油化学事業の構造改革などを遂行し、事業構造の一層の強靭化を目指してまいります。 基本方針03 財務・資本効率の改善ROIC志向経営を再徹底し、収益力強化及び投下資本適正化により、2027年度のROICは6%を目指します。また、短期集中業績改善策として進めてきたキャッシュ創出は、本中期経営計画期間で新たに2,000億円を目標に取り組むこととし、財務体質の改善に努めます。 上記3つに加え、「3つのXを基軸としたR&D戦略」や「新成長戦略を支える経営基盤の強化」についても取り組みます。 (4) 2025-2027年度中期経営計画:各部門の取り組み各事業部門における、本中期経営計画のアクションプランは以下のとおりであります。 アグロ&ライフソリューション部門リジェネラティブ農業とサステナブル社会の実現に貢献すべく、当社が強みを持つケミカル・バイオラショナル・ボタニカル製品の拡販を加速させます。とりわけ低環境負荷に資する主力殺菌剤インディフリンと不耕起栽培にも適応する除草剤ラピディシルの主要市場における上市・地域拡大・販売増加を進めるとともに、次のブロックバスター製品の創出に向けた開発を強化します。国内外の製造・供給体制の強靭化、最適化を実現し、さらには運転資金の圧縮や在庫適正化とあわせて、資本効率の向上を目指してまいります。 ICT&モビリティソリューション部門半導体材料関連事業では、拡大する需要を確実に取り込みつつ、半導体の技術革新に対応した先端材料の開発・拡販を推進します。化合物半導体分野においては、省エネ化や高効率化等の社会課題解決に貢献するため、次世代パワーデバイス材料の事業化を目指します。ディスプレイ材料事業においては、高機能分野へシフトし、超薄膜化、高画質化により事業規模再拡大と利益率の向上を併せて実現してまいります。また、新規事業開拓のため、社外とも積極的に連携しながら、次世代高速通信用材料をはじめとする先端分野の開発に注力します。 アドバンストメディカルソリューション部門「“化学とバイオの力”で人々の健康と未来を支えるソリューションを提供する」というビジョンのもと、当社の強みである総合対応力(開発、生産技術、薬事、品質管理、分析)を活かした高度化低分子医薬CDMOでの拡販や、長鎖核酸に焦点を当てた医療用オリゴ核酸CDMOでの事業機会拡大により、オーガニックな事業成長を推進します。また、再生・細胞医薬事業においては、製造設備の拡充を通じてCDMO事業を拡大するとともに、創薬事業の早期育成・事業化に努めることで、先端医薬領域における成長戦略を具体化してまいります。 エッセンシャル&グリーンマテリアルズ部門国内・シンガポール石油化学事業では企業連携も含めた事業構成の最適化に取り組むとともに、不採算・ノンコア事業のさらなる整理を進め、本中期経営計画期間中での事業再構築の完遂を目指します。また、高収益製品の開発・拡販により収益力を強化するほか、ライセンス・触媒事業において、他社との協業による事業基盤強化に取り組み、主力事業として育成します。環境負荷低減ソリューションの提供に向けては、研究開発に注力するほか、市場拡大に向けた活動の推進、非化石由来原料確保への取り組みを強化するなど、事業基盤の構築を進めてまいります。 持続的な成長に向けて長期的なポートフォリオとしては、2030年まではアグロ&ライフ、ICT&モビリティが成長をけん引しますが、2030年以降は、ヘルスケア・環境分野でのソリューションが加わり、新生スペシャリティケミカル企業としてグローバルで存在感のある会社を目指します。そして、持続的な企業価値の向上を実現することで、ステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1) 重要性がある会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り、判断及び仮定を行っておりますが、実際の結果は、見積り及び仮定に関する不確実性があるために、翌連結会計年度に係る連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループの財政状態または経営成績等に重要な影響を及ぼす会計上の見積り、判断及び仮定は、以下のとおりであります。 ・非金融資産の減損有形固定資産、のれん及び無形資産の減損テストにおいて、資金生成単位を判別したうえで、当該資金生成単位における使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか高い方を回収可能価額として測定しております。当該処分コスト控除後の公正価値算定上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資金生成単位の使用期間中及び使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率等の仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、有形固定資産、のれん及び無形資産に係る減損損失額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。 ・共同支配企業に対する投資の評価当社は、当社の持分法適用会社であるペトロ・ラービグ社に対する投資について、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合には減損テストを実施しております。回収可能価額は公正価値で算定しており、公正価値は市場価格を用いております。回収可能価額は将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、持分法で会計処理されている投資の金額に重要な影響を生じさせる可能性を有しております。 ・繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産については、将来減算一時差異等を利用できる将来課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。当該回収可能性の判断は、当社グループの事業計画に基づいて決定した将来の各事業年度の課税所得の見積りを前提としております。当該将来の課税所得の見積りは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、繰延税金資産の計上額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。 ・引当金の測定引当金は、将来において債務の決済に要すると見込まれるキャッシュ・フローの期末日における最善の見積りに基づいて測定しております。将来において債務の決済に要すると見込まれるキャッシュ・フローは、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しております。これら引当金の測定において使用される仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、引当金の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。 ・金融商品の公正価値特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いております。当該観察不能インプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。 (2) 経営成績当連結会計年度の世界経済は、生成AI需要の拡大による米国を中心とした生産、貿易の回復や、サービス業の好調な経済活動により、底堅い成長を維持しました。また、国内経済についても、家計の節約志向の高まりを主因として年度後半に個人消費の伸びが鈍化したものの、インバウンド需要の拡大や堅調な設備投資の継続などにより、景気は緩やかに回復しました。このような中、当社グループは、短期集中業績改善策と抜本的構造改革を強力に進めてまいりました。この結果、当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度に比べ1,594億円増加し、2兆6,063億円となりました。損益面では、コア営業利益は1,405億円、営業利益はペトロ・ラービグ社に対する貸付金の債務免除に伴い持分法による投資利益等を計上したことにより1,930億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、ペトロ・ラービグ社に対する貸付金の債権放棄に伴う損失等を計上し386億円となりました。いずれの損益段階においても前連結会計年度を大幅に上回りました。 (売上収益)売上収益は、住友ファーマセグメントにおいて、基幹3製品であるオルゴビクス(進行性前立腺がん治療剤)、マイフェンブリー(子宮筋腫・子宮内膜症治療剤)、ジェムテサ(過活動膀胱治療剤)の売上が拡大しました。アグロ&ライフソリューションセグメントにおいて、農薬の出荷が増加しました。ICT&モビリティソリューションセグメントにおいては、需要の拡大に伴い出荷が増加しました。この結果、売上収益は、前連結会計年度の2兆4,469億円に比べ1,594億円増加し、2兆6,063億円となりました。 (コア営業損益/営業損益)コア営業損益は、住友ファーマセグメントにおいて、基幹3製品の売上が拡大したことに加え、研究開発費を含む販売費及び一般管理費が大幅に減少しました。エッセンシャル&グリーンマテリアルズセグメントにおいては、製品市況の上昇に伴い交易条件が改善しました。アグロ&ライフソリューションセグメントにおいては、メチオニン(飼料添加物)の市況が上昇した他、農薬の出荷が増加しました。ICT&モビリティソリューションセグメントにおいては、出荷が増加しました。また、その他セグメントにおいて、事業の売却を行いました。この結果、コア営業損益は、前連結会計年度の1,490億円の損失に比べ2,896億円改善し、1,405億円の利益となりました。 コア営業損益の算出にあたり営業損益から控除した、非経常的な要因により発生した損益は、当連結会計年度に、ペトロ・ラービグ社に対する貸付金の債務免除に伴い持分法による投資利益(非経常要因)等を計上したことから、前連結会計年度の3,398億円の損失に比べ3,923億円改善し、525億円の利益となりました。以上の結果、営業損益は、前連結会計年度の4,888億円の損失に比べ6,819億円改善し、1,930億円の利益となりました。 (金融収益及び金融費用/税引前損益)金融収益及び金融費用は、ペトロ・ラービグ社に対する貸付金の債権放棄に伴う損失を計上したことにより、1,349億円の損失となり、前連結会計年度の260億円の利益に比べ1,610億円悪化しました。この結果、税引前損益は、前連結会計年度の4,628億円の損失に比べ5,209億円改善し、581億円の利益となりました。  (法人所得税費用/親会社の所有者に帰属する当期損益及び非支配持分に帰属する当期損益)法人所得税費用は154億円となり、税引前損益から法人所得税費用を控除した当期損益は、427億円の利益となりました。非支配持分に帰属する当期損益は、主として住友ファーマ社等の連結子会社の非支配持分に帰属する損益からなり、前連結会計年度の1,536億円の損失に比べ1,577億円改善し、41億円の利益となりました。以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、前連結会計年度の3,118億円の損失に比べ3,504億円改善し、386億円の利益となりました。 当連結会計年度のセグメント別の業績の概況は、次のとおりであります。なお、セグメント損益は、持分法による投資損益を含む営業損益から非経常的な要因により発生した損益を控除した経常的な収益力を表す損益概念であるコア営業損益で表示しております。 (アグロ&ライフソリューション)農薬は米州地域において市況が悪化しましたが、インド等において出荷が堅調に推移しました。メチオニン(飼料添加物)は前連結会計年度に比べ市況が上昇しました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、246億円増加し5,402億円となりました。コア営業利益は前連結会計年度に比べ、286億円増加し550億円となりました。また、生産規模は、約2,850億円となりました。(販売価格ベース) (ICT&モビリティソリューション)ディスプレイ関連材料、半導体プロセス材料である高純度ケミカルやフォトレジストのいずれも、需要の拡大により出荷が増加しました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、196億円増加し6,070億円となり、コア営業利益は前連結会計年度に比べ、205億円増加し706億円となりました。また、生産規模は、約4,910億円となりました。(販売価格ベース) (アドバンストメディカルソリューション)医薬品原薬・中間体については出荷が堅調に推移しました。この結果、売上収益は前連結会計年度並みの621億円となりました。コア営業利益は固定費の増加等により前連結会計年度に比べ、21億円減少し40億円となりました。また、生産規模は、約510億円となりました。(販売価格ベース) (エッセンシャル&グリーンマテリアルズ)合成樹脂やメタアクリル、各種工業薬品等は原料価格の上昇により、販売価格が上昇しました。一方で、事業撤退に伴い、アルミニウム等の出荷が減少しました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、132億円増加し8,990億円となりました。コア営業損益は持分法適用会社であるペトロ・ラービグ社の業績が悪化した一方で、市況の改善により前連結会計年度に比べ、306億円改善し585億円の損失となりました。また、生産規模は、約5,630億円となりました。(販売価格ベース) (住友ファーマ)北米においてオルゴビクス(進行性前立腺がん治療剤)、マイフェンブリー(子宮筋腫・子宮内膜症治療剤)、ジェムテサ(過活動膀胱治療剤)の売上が拡大しました。一方、国内においては、薬価改定等の影響がありました。この結果、売上収益は前連結会計年度に比べ、842億円増加し3,980億円となりました。コア営業利益は、売上収益の増加に加え、北米グループ会社の再編等による事業構造改善効果の発現や研究開発投資の選択と集中による削減等により、研究開発費を含む販売費及び一般管理費が大きく減少したことから、前連結会計年度に比べ、1,618億円改善し353億円となりました。なお、再生・細胞医薬のCDMO事業は本セグメントに属さないことや当社連結決算処理の影響等により、本セグメントの売上収益及びコア営業利益は、連結子会社である住友ファーマ社の売上収益及びコア営業利益と異なります。また、生産規模は、約2,610億円となりました。(販売価格ベース) (その他)上記5セグメント以外に、放射性診断薬、電力・蒸気の供給、化学産業設備の設計・工事監督、運送・倉庫業務等を行っております。これらの売上収益は前連結会計年度に比べ、141億円増加し999億円となり、コア営業利益は、連結子会社であった日本メジフィジックス株式会社の株式譲渡、連結子会社であった住友ケミカルエンジニアリング株式会社及び持分法適用会社であった住友ベークライト株式会社の一部株式譲渡により、前連結会計年度に比べ553億円増加し669億円となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。① 生産実績及び受注状況当社グループ(当社及び連結子会社)の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産製品の規模は小さいため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産の状況については、セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。② 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)アグロ&ライフソリューション540,2214.8ICT&モビリティソリューション606,9953.3アドバンストメディカルソリューション62,1456.3エッセンシャル&グリーンマテリアルズ899,0291.5住友ファーマ398,00126.8その他99,89016.5合計2,606,2816.5 (注) 1 上記販売実績は、外部顧客への売上収益を示しております。2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。 (3) 財政状態当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ4,950億円減少し3兆4,398億円となりました。株式譲渡等によりその他の金融資産が減少しました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,051億円減少し、2兆3,654億円となりました。有利子負債は、前連結会計年度末に比べ2,774億円減少し、1兆2,861億円となりました。資本合計(非支配持分を含む)は、有価証券評価差額などのその他の資本の構成要素が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ900億円減少し、1兆744億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べて1.6ポイント増加し、26.2%となりました。 (4) キャッシュ・フロー当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が大きく改善したことにより、前連結会計年度に比べ2,843億円増加し、2,330億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資の売却及び償還による収入の増加により、前連結会計年度に比べ1,975億円増加し、852億円の収入となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度の1,636億円の支出に対して、当連結会計年度は3,183億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の減少等により3,008億円の支出となりました。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、売却目的で保有する資産への振替額も加味すると、前連結会計年度末に比べ76億円減少し、2,098億円となりました。 当社グループの資金需要及び資本の財源並びに資金の流動性は、次のとおりであります。当社グループの資金需要には、通常の営業活動に必要となる運転資金や既存設備の定期修理のための資金に加え、中期経営計画(2022-2024年度)の基本方針の一つである「事業ポートフォリオの高度化(事業の強化と変革)」を推進するための投資に必要となる資金があります。成長への目配りもしながら案件を徹底的に厳選するとともに、資産売却やCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)短縮等により財務体質の改善に努めてまいります。また、当社グループは株主還元についても、経営上の最重要課題の一つと考えております。各期の業績、配当性向並びに将来の事業展開に必要な内部留保の水準等を総合的に勘案の上、安定的な配当を継続することを基本とし、中長期的に配当性向30%程度を安定して達成することを目指しております。 当社グループの財務活動の方針は、低利かつ中長期にわたり安定的な資金調達を行うこと、及び十分な流動性を確保することです。D/Eレシオ(有利子負債/純資産)については、フレキシブルな資金調達が可能な現在の当社格付を維持することを考慮し、中長期的に0.7倍程度を目安としております。当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、銀行借入、資本市場における社債及びコマーシャル・ペーパー(当連結会計年度末の当社発行枠2,500億円)の発行等により、必要資金を調達しております。 当社グループは、前連結会計年度より導入したキャッシュマネジメントシステム及びグループファイナンス等により手元資金の最大活用を図っており、現金及び現金同等物の保有額は事業遂行上必要な水準に維持することを目指しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は2,098億円であり、流動比率(流動資産/流動負債)は152.4%であります。また、大手邦銀のシンジケート団による1,300億円のコミットメント・ライン及び大手外銀のシンジケート団による180億円のマルチカレンシー(円・米ドル・ユーロ建)によるコミットメント・ラインを有しており、事業等のリスクの顕在化等による突発的な資金需要に備え、手元流動性を確保しております。 (5) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

※本記事は「住友化学株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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