東レ株式会社の基本情報

会社名東レ株式会社
業種繊維製品
従業員数連48140名 単6995名
従業員平均年齢40.7歳
従業員平均勤続年数17.4年
平均年収7651000円
1株当たりの純資産750.48円
1株当たりの純利益24.44円
決算時期3月
配当金18円
配当性向63.6%
株価収益率(PER)29.2倍
自己資本利益率(ROE)3.4%
営業活動によるCF2034億円
投資活動によるCF▲978億円
財務活動によるCF▲612億円
研究開発費※1705億円
設備投資額※170億円
販売費および一般管理費※1387.99億円
株主資本比率※246.9%
有利子負債残高(連結)※3※40円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】以下の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 東レ理念東レグループは、1926年の創業以来、「企業は社会の公器であり、その事業を通じて社会に貢献する」との経営思想の下、社会から尊敬される企業体として存在することを目指してきました。1955年にはこの考え方を初めて明文化した「社是」を制定し、創立60周年を迎えた1986年には現在の「企業理念」を最上位とする経営理念体系を整備しました。この経営理念は一部改定しながら受け継がれており、2020年5月に「東レ理念」として創業以来の考え方を改めて体系化しております。「東レ理念」は、従来の経営理念である「企業理念」「経営基本方針」「企業行動指針」に加え、企業理念を具現化するための企業姿勢を端的に示した「コーポレートスローガン」、東レグループが将来に向けて進む方向性を示した「ビジョン」、これらの考え方の基礎となる創業以来受け継いできた価値観・経営観などの「企業文化」、「経営者の信条」から構成されております。 当社は企業理念の具現化において、社会の中で、お客様、社員、株主など数多くのステークホルダーによって支えられていることを認識し、それぞれに対して責任を果たし、広く社会に貢献していきます。 (企業理念)わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します(経営基本方針)お客様のために新しい価値と高い品質の製品とサービスを 社員のために働きがいと公正な機会を 株主のために誠実で信頼に応える経営を 社会のために社会の一員として責任を果たし相互信頼と連携を (2) 東レグループ サステナビリティ・ビジョン(ビジョン)人口増加、高齢化、気候変動、水不足、資源の枯渇など世界が直面する「発展」と「持続可能性」の両立をめぐる地球規模の課題に対し、革新技術・先端材料の提供によって、本質的なソリューションを提供していくことが東レグループの使命と考えます。「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」は、「2050年に向け東レグループが目指す世界」、その実現に向けた「東レグループが取り組む4つの課題」及び「2030年度に向けた数値目標(KPI)」を定めております。「2030年度に向けた数値目標(KPI)」については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティに関する考え方及び取り組みの状況 ④ 指標及び目標」に記載しております。 (2050年に向け東レグループが目指す世界) (3) 長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030”東レグループの長期戦略は、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」に示す「2050年に向け東レグループが目指す世界」の実現に向けて、そのマイルストーンとしての「2030年度に向けた数値目標」の達成を目指します。今後の事業環境は、人口分布・環境問題・技術イノベーションなどで大きな変化が想定され、産業構造や社会システムの変化により事業機会が創出される一方で、これまで存在した事業が縮小するリスクもあります。私たちは産業の潮流の変化を的確に捉えて、「ビジネスモデルの変革」を進めながら「持続的かつ健全な成長」を実現することを目標としております。 (4) 中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”2023年度から2025年度までの3年間を対象期間とする中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”は、「東レ理念」を起点として、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」に示す「『発展』と『持続可能性』の両立をめぐる地球規模の課題の解決への貢献」を通じた「持続的かつ健全な成長」の実現を目指し、その成長戦略を可能にするための価値創造、それを支える人材基盤の強化に注力して、投下資本効率、財務体質、人材の面から成長投資を可能にする経営基盤強化を進めます。“プロジェクト AP-G 2025”では、「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」を基本戦略として掲げ、成長領域であるサステナビリティイノベーション(SI)事業(注)とデジタルイノベーション(DI)事業の拡大、事業の高度化・高付加価値化及び品質力・コスト競争力強化に取り組みます。同時に、財務健全性を確保するために、利益、キャッシュ・フロー、資産効率性のバランスに配慮した事業運営を行います。また、新たな成長軌道を描くために、高成長・高収益事業の拡大、低成長・低収益事業の構造改革を推進します。“プロジェクト AP-G 2025”の財務目標については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 経営上の目標の達成状況」に記載しております。 (注) サステナビリティイノベーション(SI)事業「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の実現に貢献する事業・製品群。 (“プロジェクト AP-G 2025”の基本戦略と具体的取り組み) (“プロジェクト AP-G 2025”での各セグメント戦略と取り組み)① 繊維事業3大合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリル)を有し、テキスタイル、縫製品までのサプライチェーン一貫型事業をグローバルに展開しております。また衣料用途のみならず、工業、土木、農業、ライフサイエンスといったあらゆる用途で進化しており、近年はサステナビリティへの要請の高まりを受けて、バイオマス由来素材やリサイクル素材の開発・展開を強化しております。当社グループは、(a) 技術開発力と多彩な素材群、(b) サプライチェーンへの対応力、(c) グローバルな事業展開、からお客様にソリューションを提供できることが特徴であり、“プロジェクト AP-G 2025”では「環境配慮型素材を活用した高感性・高機能商品による成長領域での事業拡大」「価値創出力強化による収益力向上」「競争力強化」を成長戦略として推進します。具体的にはリサイクルサプライチェーンの再構築、自動車向け人工皮革、エアバッグ事業の拡大、革新複合紡糸技術NANODESIGNRを活用した高付加価値製品の開発、及び衣料用途におけるファイバー・テキスタイル・縫製品の一貫供給体制の強化に取り組み、お客様と付加価値の創出に取り組みます。 ② 機能化成品事業 (樹脂・ケミカル事業)自動車の動力源が本格的に電動化し、自動化・IoT化が進むほか、サステナブル社会の本格化から、産業構造変化に応じた製品を先行的に投入することが重要となります。樹脂事業は、多くの自動車用部品や民生用途に採用されておりますが、材料供給に留まらず、設計・加工法まで含めたトータルソリューションを提供することでお客様とともに社会問題を解決するパートナーとしてバリューチェーンを築いており、成長領域であるxEV向けの開発を進めて事業拡大を図ります。また、サステナブル社会への対応として環境対応(リサイクル)材料の事業規模を拡大するとともに、ケミカルリサイクルの技術開発を推進してリサイクルの高度化なども進めていきます。ケミカル事業は、世界トップシェアであるファインケミカル事業において、食料の安定供給に貢献する農薬原料や半導体製造に貢献する溶剤を拡大するほか、3Dプリンターの造形素材に最適なPPS微粒子の自動車部品等への適用を進めます。 (フィルム事業)自動車のxEV台数の拡大や自動化、コネクト化の進化により、車載用需要が拡大するほか、5G、IoTなど情報・インターフェースの進化により、回路材料での高精細化が進むと想定しております。また、世界的に環境規制の強化が進み、廃プラ削減・リサイクルへの要請が強まることから、マテリアルリサイクルの本格運用、ケミカルリサイクルへの参画のほか、モノマテリアル化への設計変更、生分解性フィルムの開発などに取り組みます。具体的には、世界トップシェアのポリエステルフィルムで、MLCC (積層セラミックコンデンサ)離型用途において薄膜化・高電圧化への特性に対応するほか、半導体関連用途での高精細化の追求によってお客様の製品価値を向上し、サプライチェーンにおける付加価値を創出します。また、サステナビリティ対応の強化として離型用途フィルムの回収システムを構築していきます。 (電子情報材料事業)半導体市場では、xEVや再生可能エネルギーの普及でパワー半導体の需要が増加しております。ディスプレイ市場においては、低消費電力の志向から有機EL比率は今後も堅調に上昇していくと想定しております。高度なコア技術をベースに、お客様との強い信頼関係のもとで将来ニーズを先取りし、早期採用を実現するほか、強固な参入障壁を構築して業界標準化を実現し、有機EL関連材料や、半導体・実装・電子部品用高機能材料における市場拡大を着実に取り込み、事業の成長につなげていきます。 ③ 炭素繊維複合材料事業航空機用途において、ボーイング787の生産機数の回復が想定されるほか、新エネルギーの拡大、環境対応ニーズによる風力発電翼や燃料電池車用途(水素タンクや電極基材)、UAM (Urban Air Mobility)といった新しい事業機会が期待できます。当社グループは50年におよぶ研究開発、データ蓄積に加えて、世界最高性能を有するレギュラートウ、最強のコスト競争力を有するラージトウをグローバルに提案・供給できる事業体制を擁し、世界の有力企業との信頼関係を築いております。“プロジェクト AP-G 2025”においては、圧力容器等産業用途向けの生産設備を増強し、回復する航空機用途の取り込みだけではなく、成長する産業用途の事業拡大を図り、航空用途に依存しない事業基盤を構築します。 ④ 環境・エンジニアリング事業水処理事業では、人口の急速な増加などにより、自然の浄化作用だけでは「水量」と「水質」の確保が世界的に困難なことから、高品質・高速処理・省エネプロセスの膜処理技術が21世紀の必須技術となっております。当社グループが有する水処理分離膜のうち、海水淡水化・飲料水製造に用いられるRO膜(逆浸透膜)、及び下廃水再利用などに用いられるUF膜(限外ろ過)において高い市場成長を想定しております。“プロジェクト AP-G 2025”においては、RO膜のグローバル供給体制の強化を推進するとともに、提案力や技術サービスなどの非価格競争力とコスト体質の徹底強化を継続し、グローバルシェアNo.1の獲得を目指します。また、渇水で苦しむ国・地域においては下廃水再利用の動きが加速していることから、RO膜とUF膜とを組み合わせた事業拡大を推進します。エンジニアリング事業では、ライフサイエンス分野や半導体分野の成長を想定し、プラント事業・エレクトロニクス機器事業において拡大を図ります。 ⑤ ライフサイエンス事業医薬事業において、膵がん診断薬の事業化のほか、既存製品の海外展開や適応拡大を目指します。医療機器事業においては、透析事業において、AIを用いた治療法の最適化等によりQOL向上を目指すほか、HotBalloon?の改良品開発を推進して、患者数が増加している心房細動の根治可能な治療法として拡大を図ります。 (5) 事業環境変化への対応新型コロナウイルスの感染拡大を機に、人々の行動が変容したほか、地政学リスクの増大やデジタル技術の進化など、事業環境が大きく変化しました。しかし、地球環境問題や、エネルギー問題、健康長寿、新興国の人口増加など、世界が直面している大きな課題に変わりはなく、それら課題に、素材メーカーとして取り組んでいくという当社の姿勢も基本的には変わりません。“TORAY VISION 2030”で目指す「持続的かつ健全な成長」の実現に向けた事業方針の下、サステナビリティイノベーション(SI)事業及びデジタルイノベーション(DI)事業を推進します。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来における事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 経営成績の状況の概要及び分析当連結会計年度の世界経済は、米国は堅調でしたが、欧州は低迷、中国が鈍化したこと等から回復に力強さを欠きました。国内経済については、緩やかな回復の動きが続いていますが、世界景気の先行き不透明感や半導体市場の調整長期化が下押し圧力となりました。このような事業環境の中で、当社グループは「持続的かつ健全な成長」を掲げ、2023年度からは「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」の5つを基本戦略とした中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”を推進しています。以上の結果、当社グループの連結業績は、売上収益は前期比1.0%減の2兆4,646億円、事業利益は同6.9%増の1,026億円となりました。また、炭素繊維複合材料事業において、風力発電翼用途の需要低迷に伴い減損損失を計上したこと等から、営業利益は同47.1%減の577億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同69.9%減の219億円となりました。 (単位:億円) 前連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)当連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)増減率(%)売上収益24,89324,646△1.0事業利益(注)9601,0266.9営業利益1,090577△47.1親会社の所有者に帰属する当期利益728219△69.9 (注) 事業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出しております。 セグメントごとの売上収益は、前期に比べ、炭素繊維複合材料事業、環境・エンジニアリング事業で増収となった一方、繊維事業、機能化成品事業、ライフサイエンス事業で減収となりました。事業利益は、繊維事業、機能化成品事業、環境・エンジニアリング事業で増益となった一方、炭素繊維複合材料事業、ライフサイエンス事業で減益となりました。セグメントごとの売上収益及び事業利益、並びに事業利益の増減要因は、以下のとおりです。 (単位:億円) 売上収益前連結会計年度当連結会計年度増減繊維事業9,9929,748△244機能化成品事業9,0948,861△233炭素繊維複合材料事業2,8172,90588環境・エンジニアリング事業2,2882,441153ライフサイエンス事業538522△15その他(注)11641695合計24,89324,646△247 (単位:億円) 事業利益増減の内訳 前連結会計年度当連結会計年度増減数量差価格差費用差ほか海外子会社の邦貨換算差繊維事業51254735 △30109△5712機能化成品事業30436763 1139103炭素繊維複合材料事業159132△27 △2978△793環境・エンジニアリング事業19723235 3718△233ライフサイエンス事業2△13△15 △4△2△90その他(注)125338 9―△1△0調整額(注)2△239△272△32 ――△32―合計9601,02666 △7241△19122 (注) 1.「その他」は分析・調査・研究等のサービス関連事業等です。2.「調整額」はセグメント間取引消去及び全社費用です。 ・「数量差」は、機能化成品事業や炭素繊維複合材料事業において自動車市場や航空機需要の回復を着実に捉えて稼働率が向上した一方、炭素繊維複合材料事業の風力発電翼用途が調整局面となったことや、構造改革で推進している事業高度化による品種構成変化の影響等により、合計で7億円の減益要因となりました。・「価格差」は、原料価格軟化の効果を取り込んだことを主因に、合計で241億円の増益要因となりました。・「費用差ほか」は、稼働率向上に伴う費用の増加等により、合計で191億円の減益要因となりました。 セグメントごとの経営成績の詳細は、以下のとおりです。 (繊維事業)衣料用途が欧米の市況悪化、衛材用途が需給バランス悪化の影響を受けて低調に推移しました。産業用途は自動車用途の需要回復、EV向け拡大から回復傾向が続きました。以上の結果、繊維事業全体では、売上収益は前期比2.4%減の9,748億円、事業利益は同6.8%増の547億円となりました。 (機能化成品事業)樹脂・ケミカル事業は、樹脂事業が中国市場の需要減少等の影響により低調でしたが、国内自動車用途において改善傾向が見られました。ケミカル事業は堅調に推移しました。フィルム事業は主力のPETフィルムの電子部品関連用途は緩やかに回復していますが、一部にサプライチェーンの在庫調整の影響が残りました。電子情報材料事業は、有機EL関連材料・回路材料の需要に回復が見られました。以上の結果、機能化成品事業全体では、売上収益は前期比2.6%減の8,861億円、事業利益は同20.8%増の367億円となりました。 (炭素繊維複合材料事業)航空宇宙用途は順調に回復していますが、風力発電翼用途で調整局面となったほか、圧力容器を含む一般産業用途の需要が軟化しました。以上の結果、炭素繊維複合材料事業全体では、売上収益は前期比3.1%増の2,905億円、事業利益は同17.2%減の132億円となりました。 (環境・エンジニアリング事業)水処理事業は、逆浸透膜の2大市場である米中での出荷が堅調に推移しました。また、国内の建設子会社の売上が堅調に推移したほか、エンジニアリング子会社のプラント関連事業が伸長しました。以上の結果、環境・エンジニアリング事業全体では、売上収益は前期比6.7%増の2,441億円、事業利益は同17.7%増の232億円となりました。 (ライフサイエンス事業)医薬事業は、経口そう痒症改善薬レミッチR(注)において、後発医薬品発売の影響と薬価改定の影響を受けたほか、経口プロスタサイクリン誘導体製剤ドルナーRが海外で在庫調整の影響を受けました。医療機器事業は、透析機器が原燃料価格高騰の影響を受けましたが、血液透析ろ過用ダイアライザーの出荷が国内で堅調に推移しました。以上の結果、ライフサイエンス事業全体では、売上収益は前期比2.8%減の522億円、事業利益は同15億円減の13億円の損失となりました。 (注) レミッチRは、鳥居薬品㈱の登録商標です。 (その他)売上収益は前期比3.1%増の169億円、事業利益は同31.5%増の33億円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の状況については、各セグメントの業績に関連付けて示しております。 (2) 財政状態の状況の概要及び分析当連結会計年度末の財政状態は、資産・負債ともに、円安による海外子会社の円換算額増加の影響がありました。資産は、営業債権及びその他の債権や有形固定資産、その他の金融資産が増加したことを主因に、前連結会計年度末に比べ2,725億円増加し3兆4,665億円となりました。負債は、繰延税金負債が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ619億円増加し1兆6,202億円となりました。資本は、利益剰余金やその他の資本の構成要素の増加を主因に、前連結会計年度末に比べ2,106億円増加し1兆8,464億円となり、このうち親会社の所有者に帰属する持分は1兆7,360億円となりました。当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ2.0ポイント上昇し50.1%、D/Eレシオは同0.07低下し0.55となりました。 (3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析① キャッシュ・フローの状況の概要及び分析当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加が投資活動による資金の減少を647億円上回った一方、長期借入金の返済を主因に財務活動による資金の減少が704億円となったこと、及び為替変動による増加が176億円となったことにより、前連結会計年度末に比べ119億円増の2,359億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業債権及びその他の債権の増加額が前期比548億円増加した一方、棚卸資産の減少額が同565億円増加、営業債務及びその他の債務の減少額が同76億円減少、法人所得税等の支払額が同125億円減少したこと等により、営業活動による資金の増加は同405億円(27.9%)増の1,857億円となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資の売却及び償還による収入が前期比179億円増加した一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が同319億円増加したこと等により、投資活動による資金の減少は同183億円(17.8%)増の1,210億円となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)短期借入債務の純増額が前期比130億円減少したこと等により、財務活動による資金の減少は同130億円(22.6%)増の704億円となりました。 ② 資金需要当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と当社製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金需要です。このうち、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」に記載しております。 ③ 財務政策当社グループは、資金需要の見通しや金融市場の動向などを総合的に勘案した上で、最適なタイミング、規模、手段を判断して資金調達を実施しております。また、財務健全性を維持しつつ、事業拡大を推進することを基本方針とし、運転資金の圧縮、固定資産の稼働率向上、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内余剰資金の有効活用等、資産効率の改善にも取り組んでおります。財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、借入金、社債等による資金調達により、事業拡大に必要な資金を十分に賄えると考えております。また、業績やキャッシュ・フローの悪化等により緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱に備え、国内外の金融機関とコミットメントライン契約、当座貸越契約等を締結し、資金流動性を確保しております。 (4) 経営上の目標の達成状況中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”の財務目標に対する進捗は以下のとおりです。 2023年度実績2024年度見通し(注)1 2025年度目標(注)2売上収益24,646億円26,200億円 28,000億円事業利益1,026億円1,350億円 1,800億円事業利益率4.2%5% 6%ROIC (注)32.8%約4% 約5%ROE (注)41.3%約5% 約8%フリー・キャッシュ・フロー647億円― プラス(3年間累計)D/Eレシオ0.55約0.6 0.7以下(ガイドライン) (注) 1.為替レートの前提は、140円/米ドルです。2.為替レートの前提は、125円/米ドルです。3.税引後事業利益/投下資本(期首・期末平均)4.親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分(期首・期末平均) 2024年度の連結業績予想につきましては、売上収益は2兆6,200億円、事業利益は1,350億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は810億円を見込んでおります。世界経済は、欧米での高金利による個人消費や設備投資の意欲低下、中国経済の足踏みにより、回復ペースは緩やかなものに留まると見られます。国内経済は緩やかな回復が見込まれます。ただし、中国での不動産不況の長期化、欧米での利下げ開始時期の遅れによる消費減速、中東情勢の緊迫化、日銀の金融政策変更や為替変動等が内外経済の下振れ材料として挙げられます。このような状況の下、当社グループは、“プロジェクト AP-G 2025”の基本戦略を推進し、不確実性に備えた事業運営を実行していきます。 なお、サステナビリティ目標に対する進捗については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティに関する考え方及び取り組みの状況 ④ 指標及び目標」に記載しております。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた重要な会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。

※本記事は「東レ株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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