株式会社三越伊勢丹ホールディングスの基本情報

会社名株式会社三越伊勢丹ホールディングス
業種小売業
従業員数連9467名 単394名
従業員平均年齢47.3歳
従業員平均勤続年数23.6年
平均年収8832676円
1株当たりの純資産1582.36円
1株当たりの純利益145.79円
決算時期3月
配当金34円
配当性向53.2%
株価収益率(PER)17.1倍
自己資本利益率(ROE)9.8%
営業活動によるCF568億円
投資活動によるCF▲270億円
財務活動によるCF▲684億円
研究開発費※1-円
設備投資額※149.82億円
販売費および一般管理費※12645.68億円
株主資本比率※266%
有利子負債残高(連結)※31207.54億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針当社グループは、創業以来一貫して“お客さま第一”の精神を持ち、常に時代の変化や価値観の多様化に合わせ、生活に豊かさを提供することに邁進してまいりました。長期に目指す姿を「お客さまの暮らしを豊かにする、“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」と定め、その実現に向け、中期経営計画(2022年度~2024年度)に取り組んでおります。今後も、「お客さまのお困りごとを感動的に解決し、関心ごとに対し革新的に提案する」ことを通じ、さらなる企業価値の向上を目指してまいります。 (2)目標とする経営指標当社グループは、営業利益をはじめとする複数の経営指標を掲げ、将来にわたる企業の持続的成長と企業価値の向上に取り組んでおります。現中期経営計画(2022年度~2024年度)の最終年度となる2024年度には640億円の実現を目指してまいります。 (3)経営環境及び対処すべき課題①事業構造当社グループは、持株会社である当社のもと、百貨店事業を中心とした各事業会社により構成されています。このうち主要事業である国内の百貨店事業では、収支構造を抜本的に見直すことを目的とした「百貨店の科学」の取り組みを首都圏店舗だけでなく地域店舗にまで波及浸透させ、経費コントロールの徹底により収益構造が大幅に改善しております。今後は、デジタルを活用し、要員構造変革期を見据えた業務改革を推進し、個客業へビジネスモデルを転換しながら、生産性向上と高収益化の確立を目指してまいります。また、不動産事業では全国の保有不動産のバリューアップや、百貨店で培った建装事業・物流事業の外部への販売活動をさらに強化してまいります。金融事業では百貨店と連携したファイナンスや金融サービスを拡大提供することで、より強固な事業ポートフォリオの構築を目指してまいります。 ②市場環境当社グループを取り巻く環境は大きく変化しており、そのスピードも高まっております。足元のマクロ環境においては、ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクの顕在化、資源・エネルギー価格の高騰や急激な為替変動、大幅な物価上昇等、当社グループに影響を与える不透明な状況が増しております。中長期における環境の変化として、人口動態においては国内人口の減少や高齢化の進行が見込まれておりますが、世界人口はアジア圏も含め引き続き増加すると予測されております。経済成長においては、1人当たり実質GDP成長率の鈍化が見込まれておりますが、純金融資産1億円以上を保有する世帯数は増加が予測されております。小売市場においては、縮小が見込まれておりますが、一方でこだわり消費市場の拡大が予測されております。当社グループでは、環境が大きく変化する中でも成長が見込まれる要素を機会ととらえて、中長期的な成長を目指してまいります。 ③競合他社との比較主要事業である百貨店事業において、重点戦略である「高感度上質戦略」による、店舗リモデルと外商改革の取り組み等を強化した結果、首都圏店舗の大幅な増収増益につながりました。さらに首都圏店舗と地域店舗による個人外商の連携、拠点ネットワークによる地域百貨店へのMD供給フローの構築により、岩田屋本店(福岡)や丸井今井札幌本店等の地域主要店舗も大幅に増収増益となりました。今後も、高感度上質コンテンツの提供拡大と外商活動等の強化を継続し、百貨店事業の収益拡大を目指してまいります。また、「連邦戦略」により、百貨店事業の法人外商による各事業の外部販売を強化することで、国内関連会社の収益を改善することができました。今後は、デジタルを活用したマーケティング活動を強化しながら個客軸での品揃えや、各事業の連携による連邦事業機会を最大化させて、さらなるグループの収益拡大を目指してまいります。 ④顧客動向・顧客基盤重点戦略に位置づける「個客とつながるCRM戦略」の推進により、「三越伊勢丹・カスタマープログラム」の強化と個客軸のマーケティングを高度化させることで識別顧客の客単価が継続拡大しました。つながる個客数の拡大としては、アプリ会員の新規獲得が大きく伸長し、顧客の識別化が順調に進展しました。外商顧客施策では、デジタルの活用で顧客分析による商品提案を高度化させ、全国の外商顧客の売上高が継続して拡大しました。インバウンド顧客においては、海外顧客向けの外商機能とSNSによる販売促進を拡充させ、インバウンドによる売上高がコロナウイルス感染症拡大前の2018年度を上回りました。今後も、より一層「個客とつながるCRM戦略」を推進し顧客基盤の拡大を目指してまいります。 (4)中長期的な経営戦略当社は、長期に目指す姿とする「お客さまの暮らしを豊かにする、“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」の実現に向けて、昨年制定した「三越伊勢丹グループ 企業理念」により、グループの力を集結させながら、さらなる企業価値の向上を目指してまいります。「再生」「まち化準備」「結実」の3つのフェーズで長期スパンでの持続的な成長を描き、重点戦略をバックキャストで組み立てております。本年度「再生」フェーズの早期達成が現実的となり、「まち化準備」フェーズとなる次期中期経営計画の策定をスタートいたしました。次期中期経営計画は、まち化の着工と竣工時期を踏まえて2025年度~2030年度の6ヶ年を対象とし、この期間を個客業への変革を進める重要な準備期間として位置づけております。「まち化準備」フェーズでは、今までの“館”の力だけに頼ったマス向けのビジネスモデルから、「まち」の力を加えることで世界中からお客さまを集め、識別してつながったお客さまに多様な顧客価値を提案する個客業のビジネスモデルへの転換を目指してまいります。これまでの「高感度上質戦略」「個客とつながるCRM戦略」を土台としながら、百貨店事業を各事業が補完する体制から全事業が並列となる体制へ移行していきます。各事業を推進することで生まれるユニークな顧客体験と事業間の連携による「連邦戦略」を組み合わせて、一人ひとりのお客さまに向けた多様な顧客価値を提供してまいります。 ■事業別戦略①百貨店事業 百貨店事業では、「まち化」の中核として圧倒的な独自性で世界から顧客を集める“特別な”百貨店を目指します。世界からの集客に向けて、高感度上質コンテンツの拡充や顧客接点の拡大により、マーチャンダイジング活動を強化していきます。加えて、100%識別顧客化に向けて外国人顧客向けアプリの導入、三越伊勢丹アプリの利便性向上に取り組みます。基幹店舗は、それぞれのコンセプトで独自性を磨き、世界中のお客さまから選ばれる店になるためのリモデル投資を行います。地域百貨店は、地方都市において“高感度上質消費”を最も幅広く支え、グループ力を活かして地域貢献できる唯一無二の存在を目指してまいります。 ②海外事業 海外事業では、選択と転換を加速し、“小売”の暖簾価値と“不動産開発”によるバリューアップで新たなビジネスモデルを展開します。エリアコンディションに応じた構造改革や、国内百貨店の事業改革モデルを海外店舗へ展開することで事業構造改革を推進します。また、フィリピン・マニラ、タイ・バンコクではレジデンスやオフィスを小売と掛け合わせた複合不動産開発に参画しております。 ③不動産事業 不動産事業では、世界中から顧客を集め、用途をつなぎ合わせ、まちの価値を最大化させる“まち化”の具現化を目指します。まち化における各開発計画と顧客価値設計を本格化させながら、ホテルやレストランなどの高感度上質コンテンツの探索や専門人財の育成に取り組みます。 ④金融事業 金融事業では、暖簾の価値とグループ顧客基盤を活かし、“ならではの価値”を提供する金融サービス業を確立します。カード領域では、ファイナンスを強化しながら、アプリ会員などの百貨店ライトユーザーに向けた年会費永年無料のエントリーカードを導入します。金融領域では、百貨店ならではの金融サービスを拡充させるとともに、カード会員以外へのサービス提供に取り組みます。 ⑤国内関連事業国内関連事業では、「BtoB」「BtoC」ビジネスの拡大による、各事業の収益拡大とビジネスモデルの進化を目指します。連邦によるマネタイズを拡大しながら、各事業のユニークポイントを強化し、外部収益をさらに拡大していきます。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが2023年5月に5類感染症へと移行したことに伴い、行動制限の緩和による外出機会の増加や消費意欲の上昇・拡大などの兆しが見られました。非製造業の業況はバブル期以降の最高水準に達しており、特に娯楽や宿泊・飲食などの対面サービス業や小売業を中心に回復基調が継続しております。さらに、訪日外国人旅行者数の復調に伴い過去最高のインバウンド消費額が記録されるなど、社会経済活動の正常化に向けた進展が見られました。一方、世界経済においてはウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクや、各国の金融引き締め政策継続による景気の下振れリスク、急激な為替変動等の影響に対する懸念が見られました。また、世界的インフレによってエネルギーや原材料価格が高騰し、国内においても所得の伸びを上回る物価上昇による節約志向の高まり等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。こうした環境下において当社グループは、2023年に新たに制定した「三越伊勢丹グループ 企業理念」のミッションとして「こころ動かす、ひとの力で。」を掲げ、「お客さまの暮らしを豊かにする“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」というビジョンの実現に向け、中期経営計画(2022~2024年度)に基づいて事業活動を進めてまいりました。中期経営計画の中間年度である当期は、第1フェーズである「百貨店の再生」を掲げた2年目として、スピード感を持ちながら着実に重点戦略の実行を進め、再生フェーズの早期達成を図ってまいりました。また同時に次期フェーズである「まち化準備」フェーズに向けた取り組みを加速させるべく、地域百貨店や関係会社の事業構造改革への注力、「百貨店の科学」のグループ会社への浸透による経費コントロールを推し進め、国内百貨店事業を筆頭とした経営効率の大幅な改善により財務体質の強化を図ってまいりました。 「百貨店の科学(収支構造改革)」の取り組みでは、地域店舗への波及により百貨店事業全体で固定費と変動費の徹底したコントロールにより損益分岐点を引き下げました。売上回復局面において利益を拡大させやすい構造への転換が進んだことにより、業績の回復に大きく寄与いたしました。「高感度上質戦略」では、更なる高感度上質店舗化に向けたMDバランスの修正としてラグジュアリーブランドや化粧品等のハイタッチMDを拡大するリモデルを伊勢丹新宿店本店と三越日本橋本店、三越銀座店で実施しました。外商セールスとバイヤー、店頭スタイリストが連携した販売体制の取り組みが首都圏店舗や地域店舗においても外商顧客に支持されました。両本店のグループ上位向け顧客イベント「丹青会」「逸品会」では、過去最高売上を更新しました。「個客とつながるCRM*1戦略」においては、個客軸のマーケティングにより、一人ひとりのお客さまのニーズへの対応を強化することで客単価が拡大して識別顧客の売上高を伸長させることができました。加えて、インバウンド需要が高まる中で海外顧客向けの外商機能とSNSによる販売促進を拡充させることで、インバウンドによる売上高はコロナウイルス感染拡大前の2018年を大幅に上回る1,000億円を超えることができました。「高感度上質戦略」と「個客とつながるCRM戦略」の取組みにより、三越伊勢丹単体では、統合以降過去最高売上を更新することができました。当社グループが持つスキルやノウハウを組み合わせてグループの総合力を発揮させる「連邦戦略」においては、国内関係会社が百貨店事業を補完する体制から、全ての事業が並列となり連携する体制へ移行していきます。グループ連携の新たな体制により、国内関係会社の外部販売実績が大幅に拡大しております。「まち化戦略」では、「新宿三丁目駅前西地区市街地再開発準備組合」等へ参画しております。また、開発計画ごとのタイムラインや各用途のコンテンツ導入準備についての具体化や、まち化事業機会の最大化に向けたグループ連携等に着手しております。経営基盤としての「サステナビリティ」では、「三越伊勢丹グループ 企業理念」のもとで重点取り組み(マテリアリティ)を事業戦略とつなぎ合わせ、一体的に推進しております。「人・地域をつなぐ」取り組みでは、文化と伝統の振興・継承として創業350周年を迎えた三越各店で「伝統を越える革新性」をテーマに日本の伝統工芸の魅力の発信等の取り組みを実施しました。「持続可能な社会・時代をつなぐ」取り組みでは、環境への対応として伊勢丹新宿本店でAIスマート空調を試験的に導入しました。循環型社会の実現に向けて、衣類カバーの簿肉化や食料品フロアにおけるカトラリーの素材切り替え等によりプラスチック使用総量の削減も進めております。サプライチェーンマネジメントの推進として「お取組先行動規範」を制定し、環境や人権に配慮した当社における調達活動の方針へのご理解とご協力をお願いしております。当社は、企業理念のミッションとして「こころ動かす、ひとの力で。」と掲げている通り、持続的な成長を続けるうえで最も大切な資本は「多様な従業員一人ひとりの持つ個の力」であると考えています。「従業員満足度の向上」の取り組みとして、昨年度に三越伊勢丹グループにおける人財マネジメント方針である「人と組織の基本的な考え方」を策定いたしました。“ひとの力の最大化”に向け、「従業員への期待」と「上司・会社の責任」を明確にし、従業員・上司・会社が三位一体となることで、個人と会社のさらなる成長を目指してまいります。上記の取り組みを進めた結果、当連結会計年度において、計画当初の長期目標である10年スパンでの営業利益額50,000百万円を大きく上回りながら2年目で達成することができました。さらに、2008年4月の三越と伊勢丹統合以降の最高営業利益についても更新しました。当連結会計年度の連結決算につきましては、売上高は536,441百万円(前連結会計年度比10.1%増)、営業利益は54,369百万円(前連結会計年度比83.6%増)、経常利益は59,877百万円(前連結会計年度比99.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は55,580百万円(前連結会計年度比71.7%増)となりました。   *1 CRM=カスタマー・リレーションシップ・マネジメント セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。百貨店業国内百貨店においては、社会経済活動の正常化に伴い、入店客数が大幅に増加したほか、訪日外国人旅行者によるインバウンド消費も全国的に活況を呈しました。特に、伊勢丹新宿本店、三越銀座店は両店舗ともに、総額売上高が過去最高額を記録し、計画値を大きく上回り好調に推移しました。さらに国内百貨店全体では、韓国や台湾、タイ、米国などからの訪日客数および購買金額が伸長いたしました。その結果、コロナ禍前の2018年度の免税売上高を大幅に上回るとともに、過去最高額を更新いたしました。重点戦略である「高感度上質戦略」、「個客とつながるCRM戦略」を象徴する取り組みの一つでもある伊勢丹新宿本店の「丹青会」や三越日本橋本店の「逸品会」では、自動車や楽器、不動産等の通常、店舗では取り扱いのない百貨店外MDや特別企画品をご紹介しました。個客の多様なご要望にお応えすることで、2024年2月開催時において共に過去最高の売上を更新しました。一方、経費面においては全国の店舗で「百貨店の科学(収支構造改革)」による取り組みを進めた結果、固定費の圧縮や販売管理費の抑制などの経費コントロールが進み、百貨店業全体として大幅な収支の改善につながりました。なお海外店舗では、2024年4月に中国・天津市内の2店舗(天津伊勢丹・天津濱海新区伊勢丹)を賃貸借契約終了に伴い閉店しております。海外計では増収増益となり、引き続き国・地域ごとの状況に合わせた、“選択と転換“を加速させ、商業運営ノウハウを活かした新たな取り組みの拡大を進めてまいります。このセグメントにおける売上高は448,319百万円(前連結会計年度比7.8%増)、営業利益は45,159百万円(前連結会計年度比121.0%増)となりました。 クレジット・金融・友の会業クレジット・金融・友の会業は、株式会社エムアイカードが、百貨店業の売上拡大に伴うグループ内でのクレジットカード利用が好調に推移したほか、社会経済活動の正常化により航空・旅行・飲食領域等のグループ外加盟店での取扱高も大幅に増加し、カード手数料収入が拡大しました。また、カードファイナンスの強化が奏功し、割賦手数料収入も伸長しました。さらに、収支構造改革の実行と経費コントロールの徹底により運営費を大幅に圧縮し、前年に対し増収増益を達成しました。今後もさらなる利便性の向上や将来を見据えた新たな金融サービスの開発等を推進し、お客さまの暮らし全般のニーズにお応えしてまいります。このセグメントにおける売上高は32,766百万円(前連結会計年度比6.3%増)、営業利益は4,050百万円(前連結会計年度比6.8%増)となりました。 不動産業不動産業は、株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザインが、高い技術力と高付加価値な提案営業の強みを活かし、ホテル・オフィス・商業施設等からの受注が増加しました。さらに都心の大型案件の完工等により、売上が拡大し、原材料価格の高騰の影響を強く受けながらも、前年に対し増収増益を確保しました。一方、保有物件におけるテナントの入れ替え等により、賃料収入が減収となりました。このセグメントにおける売上高は26,787百万円(前連結会計年度比30.6%増)、営業利益は3,044百万円(前連結会計年度比24.1%減)となりました。 その他旅行業の株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベルは、国内外の旅行需要が本格的に回復し、三越創業350周年を記念した特別旅行企画や欧州リバークルーズ客船旅行など、同社の強みを活かした高付加価値な旅行企画を中心に好調に推移しました。円安の長期化や世界的インフレによるエネルギー価格の高騰等の影響を受けながらも、コロナ禍における固定費の削減などの損益分岐点の引き下げの取り組みも寄与し、前年に対し増収増益を達成し、4年ぶりの黒字転換となりました。メディア事業の株式会社スタジオアルタは、グループのリソースを最大限活用し収益を拡大させる「連邦戦略」推進の一環として、本年より百貨店内の広告メディア事業を統合したグループ統合ハウスエージェンシー化を進めております。グループ内の広告案件の請負や主力の屋外広告販売が好調に推移し、前年に対し大幅に増収増益となりました。このセグメントにおける売上高は91,123百万円(前連結会計年度比17.2%増)、営業利益は2,073百万円(前連結会計年度比82.4%増)となりました。 当連結会計年度末の総資産は1,225,103百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,795百万円増加しました。これは売上増による売掛債権の増加、持分法適用会社に対する持分相当額利益増加などによるものです。負債合計では624,278百万円となり、前連結会計年度末から40,509百万円減少しました。これは主に、有利子負債の減少などによるものです。また、純資産は600,824百万円となり、前連結会計年度末から48,304百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことおよび為替換算調整勘定が増加したことなどによるものです。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて36,649百万円減少し、72,390百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、56,895百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が9,406百万円減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が27,293百万円増加したものの、売上債権の増減額が23,615百万円増加したこと及び持分法による投資損益が5,131百万円増加したことなどによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、27,015百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が11百万円減少しました。これは主に、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出が9,186百万円増加したことに対して、前連結会計年度は連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出10,599百万円があったことなどによるものです。  (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、68,485百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が52,287百万円増加しました。これは主に、長期借入金や社債、コマーシャル・ペーパーなどの返済による支出44,500百万円があったこと及び、自己株式の取得による支出15,012百万円などによるものです。 ③ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績及び受注実績当社及び当社の関係会社においては、その他事業の一部に実績がありますが、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。 b.販売実績販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)百貨店業445,4827.8クレジット・金融・友の会業19,3676.9不動産業21,11919.9その他50,47231.7合計536,44110.1 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  注記事項」の(重要な会計上の見積り)に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営成績の分析 1)概要 2024年3月期前期実績 (百万円)当期実績 (百万円)前年差 (百万円)前年比 (%)売上高487,407536,44149,034110.1売上総利益286,550318,93732,387111.3販売費及び一般管理費256,943264,5687,625103.0営業利益29,60654,36924,762183.6経常利益30,01759,87729,860199.5親会社株主に帰属する当期純利益32,37755,58023,203171.7  2)営業外損益 2024年3月期前期実績 (百万円)当期実績 (百万円)前年差 (百万円)前年比 (%)営業外収益4,53610,4615,924230.6 受取利息368562194152.9 受取配当金604570△3394.4 持分法による投資利益1,8016,9335,131384.8 その他1,7622,394632135.9営業外費用4,1264,953827120.0 支払利息776731△4594.2 固定資産除却損1,2181,986767163.0商品券回収損引当金繰入額25226310104.2 その他1,8781,97394105.0  3)特別損益 2024年3月期(百万円)主な内容特別利益1,446  投資有価証券売却益1,446 特別損失6,203  減損損失1,456イセタン(シンガポール)、立川伊勢丹 他 投資有価証券評価損444  賃貸借契約変更損1,179店舗賃貸借契約変更店舗閉鎖損失2,941海外店舗、エムアイフードスタイル(クイーンズ伊勢丹) 他事業構造改善費用180広島三越、高松三越  4)資本の財源及び資金の流動性 当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、充分な流動性の確保及び財務健全性の維持を常にめざし、安定的な営業キャッシュ・フローの創出と幅広い資金調達手段の確保に努めております。 運転資金及び収益基盤拡大に必要な投融資資金は、営業キャッシュ・フローに加え、銀行借入金、社債、コマーシャル・ペーパー等により賄っております。 また、一時的な資金不足に備え、主要取引銀行とのコミットメントライン契約及び当座借越契約、並びにコマーシャル・ペーパー発行枠により、充分な流動性を確保しております。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

※本記事は「株式会社三越伊勢丹ホールディングス」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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