会社名 | 味の素株式会社 |
業種 | 食料品 |
従業員数 | 連34862名 単3480名 |
従業員平均年齢 | 44.5歳 |
従業員平均勤続年数 | 19.9年 |
平均年収 | 10727465円 |
1株当たりの純資産 | 790.28円 |
1株当たりの純利益 | 268.52円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 74円 |
配当性向 | 27.6% |
株価収益率(PER) | 21.1倍 |
自己資本利益率(ROE) | 35% |
営業活動によるCF | 1680億円 |
投資活動によるCF | ▲1324億円 |
財務活動によるCF | ▲67億円 |
研究開発費※1 | 3.55億円 |
設備投資額※1 | 736.08億円 |
販売費および一般管理費※1 | -9002000000円 |
株主資本比率※2 | 35% |
有利子負債残高(連結)※3※4 | 0円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 <「中期ASV経営2030ロードマップ」初年度の振り返り> 味の素グループでは、従来型の3ヵ年中期経営計画を廃止し、長期視点のありたい姿から挑戦的な「ASV指標(*1)」を掲げ、バックキャスト(*2)して2030年までのありたい姿への道筋である「中期ASV経営 2030ロードマップ」を発表し、2023年3月から取組みを開始しました。 *1 味の素グループが事業を通じて得た財務パフォーマンスを示す経済価値指標と、提供・共創したい価値に基づく社会価値指標から成る、更なる成長やチャレンジを後押しする指標。 *2 未来を起点に現在を振り返り、今何をすべきか考える未来起点の発想法。 <改訂した「志」(パーパス)の自分ごと化プログラムの開始> 「中期ASV経営 2030ロードマップ」策定時に進化させた味の素グループの「志(パーパス)」である「アミノサイエンスR(*3)で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」の従業員への理解促進を目的として、「パーパス自分ごと化」プログラムを、2023年度は全社展開へ先立ち、経営メンバー(執行役、執行理事・理事)から開始しました。 *3 創業以来、アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわった研究プロセスや実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・技術・サービスを総称したもの。また、それらを社会課題の解決や“Well-being”への貢献につなげる、味の素グループ独自の科学的アプローチ。 <味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)> 多様な関係者の皆様とも対話を重ね、社外有識者を中心としたサステナビリティ諮問会議からの答申を基に2023年に設定した価値創造のフレームワーク(考え方)を活用して、2024年は、味の素グループがマルチステークホルダーから期待されていること、社会に対して提供していく価値の視点から、現在の味の素グループが取り組む「重要テーマ」を次の6項目に整理しました。①「持続可能な地球環境の実現」②「食を通じたウェルビーイングの実現」③「先端医療・予防への貢献」④「スマートソサエティ(*4)の進化への貢献」⑤「多様な価値観・人権の尊重」⑥「経営基盤の強化」*4 企業・行政・生活者等がネットワークでつながり、社会課題を解決していく社会のこと。 (1)中期ASV経営へのマネジメント変革 「中期ASV経営 2030ロードマップ」の1つ目のポイントは「中期ASV経営」へのマネジメント変革(計画中心から継続的に実行力を磨き込む経営に進化させること)です。「2030年のありたい姿」に向けて掲げた挑戦的な目標である「ASV指標」とのギャップ(課題)を明らかにし、そのギャップを埋めるために、自組織の枠を超えて新たな価値や事業モデル変革を追求し続ける取組みを開始しました。 一方で、事業環境の変化を機敏に捉え柔軟に打ち手を講じていくフォーキャスティング(*5)の重要性も実感しており、バックキャストとフォーキャストを上手く組み合わせながら、実行力を磨き込んでいきます。また従業員一人ひとりが、高い目標に対し挑戦することを称える企業風土を醸成して、それらも原動力に企業価値を飛躍的・継続的に向上させていきます。 *5 現在の延長線上で未来を予測する発想法。 (2)ポートフォリオマネジメントの進化 2つ目のポイントは最適な資産配分を検討するポートフォリオマネジメントの進化です。事業・機能・地域等の各種ポートフォリオ(組み合わせ)について、効率性向上やアセットライト(有形資産を軽くする取組み)は継続しつつ、より中長期の成長性を意識した検討を進めています。新たなポートフォリオの考え方では縦軸は中長期の成長性とし、横軸は競争優位性の構築や持続可能性として、成長分野に経営資源を集中させ、高収益な事業構造への転換を図っています。同時に、将来を見据えた種蒔きを続け、機敏な撤退判断も行いながら、①集める、②変える、③始める、④止める、によって常に新しく進化する当社らしいポートフォリオの「型」の構築を目指しています。2023年はフォージ・バイオロジクス社の買収により、遺伝子治療CDMO(*6)の事業基盤と独自の差別化技術を獲得し、さらにシナジーによる事業強化・創出や、細胞治療分野への展開の足掛かりを得ました。 *6 製造受託とともに、製造方法の開発を受託・代行する事業・会社(Contract Development & Manufacturing Organization) (3)無形資産への重点投資 最後のポイントは、無形資産への投資です。当社における競争優位の源泉は技術資産・人財資産・顧客資産・組織資産といった無形資産にあると考えています。 2023年度は無形資産強化によるASV経営の進化へのつながりを、グローバルにおけるうま味調味料事業のバリューチェーンを通じた価値創出の事例で可視化しました。生活者視点での取組みにより、経済・社会価値が創出され、長期的な経済価値につながり、さらなる無形資産が蓄積されるという好循環につながっています。 うま味調味料事業 ASVの実現と無形資産の循環 <リスクマネジメント体制の強化> 近時、事業環境の変化は激しく、これまで以上に包括的なリスクマネジメントが重要であると認識しています。これまでは、サステナビリティ委員会の下部機構であるリスククライシス小委員会がリスクマネジメントを担う体制としていましたが、新型コロナウイルスのパンデミックや、最近の地政学的な紛争を踏まえ、リスク管理を強化しレジリエントな経営体制を構築するため、2023年4月、経営リスク委員会を設置しました。サステナビリティ委員会と経営リスク委員会は連携して味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に基づくリスクと機会の選定、抽出を行います。その上で、環境課題やサプライチェーンにおける人権課題等はサステナビリティ委員会で、経営がイニシアチブをもって対処すべきリスク(パンデミック、地政学リスク、情報セキュリティリスク等)は経営リスク委員会で対策の立案と進捗管理を行うことで、味の素グループのリスクを適切に管理しています。 |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】業績等の概要 当社グループは、IFRSの適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しております。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 2023年度は、「成長性」と「効率性」の両立を図るべく、現在の事業の効率化や差別化等のための設備投資を行うとともに、今後の医療モダリティ成長や社会的貢献が見込まれる遺伝子治療CDMO領域への投資を実施しました。これらの投資に加えて、「効率性」を志向した900億円の自己株式取得や約380億円の配当など、過去最高となった営業キャッシュ・フローのおおよそ1.5倍の投資および株主還元を行いました。 2024年度以降も成長4領域への差別化等のための積極投資による「成長性」と資本等の「効率性」を一層追求するため、ネットD/Eレシオのレンジを0.4~0.6倍に引き上げます。同時に、さらなるキャッシュ・フロー創出のための運転資金改善プログラムの強化、EBITDAマージン改善のグループベースでの取り組みや政策保有株の売却も、引き続き行っていきます。 ユニークで強靭な高収益構造へシフトするための資本戦略の3つの実行1.各事業部のパフォーマンスをコーポレートとして支える型化や仕組みの実行2.競争優位性視点で事業ポートフォリオの変化を実現3.投資家の支持を得るためのエンゲージメント強化 ①事業のパフォーマンスを支える型化や仕組みの組織開発と実行 国内外グループ会社の知見を結集して、企業価値のさらなる向上のため、会社の発展段階(新規設立or取得or成長or成熟)や事業形態に応じて、将来の事業成長を見据えた多面的な構造解析で改善方法等の「型」の「学びあい」の場を設けています。たとえば、以下が「型」の例です。 (ⅰ)月次ローリング・フォーキャストの実施による経営品質の向上活動 (ⅱ)クロス・ファンクショナルな購買活動の新たな視点でのキャッシュ・フロー改善 (ⅲ)与信管理枠定期見直しにおける自動化プログラム (ⅳ)SKUごとの物流費まで含めた多面的で徹底的な採算管理 これは、管理会計の基本の「型」を重視する取り組みで、FP&A人財が、財務・経理・税務部門の出身者だけではなく、事業部、地域本部、他のコーポレート部門、製造部門や研究開発部門等、相互に交流するなかで、基本の徹底を学ぶ重要な取り組みと考えています。 <グローバル標準の型化と展開> ②競争優位性視点で事業ポートフォリオの変化を実現 事業ポートフォリオについては、持続的成長をもたらし、志(パーパス)を追求し続けるための当社グループらしい「型」を創ります。既存事業と4つの成長領域(新規領域)の融合による事業モデル変革(BMX)によって、提供価値起点の事業ポートフォリオへと進化していきます。 事業ポートフォリオの進化に向けては、既存事業の成長性と収益性を把握しつつ、各組織の中期的ロードマップにおけるキー戦略を4つのアクション(①集める、②変える、③始める、④止める)で整理し、成長への資源配分の優先順位を定めます。長期軸ではイノベーション戦略と連動し、未来構想の仮説抽出を行う仕組みを構築します。 そして、事業のステージ、事業領域ごとの成長メカニズムや事業特性に応じ、成長加速のための資源配分を行っていきます。 <キャッシュ・アロケーションの考え方><ポートフォリオ再設計の検討> ③投資家の支持を得るためのエンゲージメント強化 中期ASV経営の推進による2030ロードマップ実現に向けて、株主・投資家の皆様からご期待をいただくとともに、エンゲージメントを通じて多くの示唆をいただいています。さらなる進化を実現するためのアミノサイエンスRを通じた価値創造、強みの源泉である人財をはじめとした無形資産の強みなど、株主・投資家の皆様のご理解を深めていただくために株主総会や各種説明会、年間700社を超える個別対話を積極的に展開しています。 短期業績の着実な成長とともに、株主・投資家の皆様から中長期目線での成長に対するご期待をいただけるよう取り組んでいます。サステナビリティへの取り組みを通じネガティブインパクトの低減だけでなく、イノベーションによるポジティブインパクトの創出にチャレンジしていくことを積極的に情報開示し、企業価値評価モデルの持続的な成長性や資本コスト低減も推進しています。 持続的な企業価値向上の実現を目指すとともに、資本効率性の追求にも積極的に取り組み、2030年までに2022年比でEPS3倍の実現を目指します。 まだまだ味の素グループをご存じではない機関投資家や個人投資家がたくさんいらっしゃいます。中期ASV経営を支えていただく株主資本構成の実現に向け、2024年度には新たにIR室を設置し、株主・投資家の皆様との接点を拡充するとともに、さらなる企業価値向上につなげていきます。 <様々なステークホルダーとの継続的な対話> (2) 生産、受注及び販売の実績 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 このため生産、受注及び販売の実績は、「(4) 当連結会計年度の経営成績の分析」における各セグメント業績に関連付けて示しております。 (3) 重要性がある会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。この連結財務諸表の作成に当たって必要な見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び同「5.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。 (4) 当連結会計年度の経営成績の分析 当連結会計年度の売上高は、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)の販売減の影響等によりヘルスケア等セグメントが減収となったものの、販売単価の上昇や換算為替の影響等により調味料・食品セグメント及び冷凍食品セグメントが増収となった結果、前期を801億円上回る1兆4,392億円(前期比105.9%)となりました。 事業利益は、ヘルスケア等セグメントの減収等の影響を受けたものの、調味料・食品セグメント及び冷凍食品セグメントの増収効果等により、前期を123億円上回る1,476億円(前期比109.1%)となりました。 営業利益は、その他の営業収益で前期に当期を大幅に上回る固定資産の売却益の計上等があったため、前期を22億円下回る1,466億円(前期比98.5%)となりました。 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期を69億円下回る871億円(前期比92.6%)となりました。 当連結会計年度のセグメント別の概況 セグメントごとの業績は、次のとおりです。 対前期実績売上高(億円)事業利益(億円)第146期前期増減前期比第146期前期増減前期比調味料・食品8,469719109.3%1,115267131.5%冷凍食品2,818146105.5%9575475.7%ヘルスケア等2,945△5198.3%243△24250.1%その他158△1392.1%2122- 合計14,392801105.9%1,476123109.1%(注)各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。 ① 調味料・食品セグメント 調味料・食品セグメントの売上高は、販売増や換算為替の影響等により、前期を719億円上回る8,469億円(前期比109.3%)となりました。事業利益は、増収効果等により、前期を267億円上回る1,115億円(前期比131.5%)となりました。 <主要な変動要因>・調味料は、全体で増収。日本は、主に単価上昇により増収。海外は、販売増や為替影響等により増収。・栄養・加工食品は、全体で増収。日本は、主に単価上昇により増収。海外は、為替影響や販売増等により増収。・ソリューション&イングリディエンツは、日本における外食向け製品の販売増や、海外における為替影響等により増収。<主要な変動要因>・調味料は、全体で大幅増益。日本は原材料等のコストや戦略的費用の増加を単価上昇により吸収し、前年並み。海外は、増収効果等により大幅増益。・栄養・加工食品は、全体で増益。日本は増収も、原材料等のコスト増影響により減益。海外は、増収効果等により大幅増益。・ソリューション&イングリディエンツは、主に日本における外食向け製品や、加工用うま味調味料が増益となり、全体で大幅増益。 ② 冷凍食品セグメント 冷凍食品セグメントの売上高は、販売単価の上昇や換算為替の影響等により、前期を146億円上回る2,818億円(前期比105.5%)となりました。事業利益は、増収効果や構造改革効果等により、前期を75億円上回る95億円(前期比475.7%)となりました。 <主要な変動要因>・冷凍食品は、全体で増収。日本は、単価上昇効果あるも、数量減により減収。海外は、単価上昇、為替影響等により増収。<主要な変動要因>・冷凍食品は、全体で大幅増益。日本は減収も、単価上昇やコスト改善効果等により増益。海外は、増収効果や構造改革効果等により大幅増益。 ③ ヘルスケア等セグメント ヘルスケア等セグメントの売上高は、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)の販売減の影響等により、前期を51億円下回る2,945億円(前期比98.3%)となりました。事業利益は、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)、バイオファーマサービス&イングリディエンツいずれも減益となり、前期を242億円下回る243億円(前期比50.1%)となりました。 <主要な変動要因>・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、主に為替影響により、全体で増収。・ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)は、電子材料の販売減により減収。・その他は、全体で増収。<主要な変動要因>・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、医薬用・食品用アミノ酸、バイオファーマサービス(CDMO)ともに大幅減益。・ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)は、減収に伴い大幅減益。・その他は、増収に伴い増益。 ④ その他 その他の事業の売上高は、前期を13億円下回る158億円(前期比92.1%)となり、事業利益は、前期を22億円上回る21億円となりました。 当連結会計年度の連結損益計算書の段階ごとの概況① 売上高 売上高は前期を801億円上回る1兆4,392億円(前期比105.9%)となりました。地域別に見ますと、日本では、前期を1億円上回る5,101億円(前期比100.0%)となりました。海外では、前期を800億円上回る9,291億円(前期比109.4%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ3,992億円(前期比113.4%)、3,789億円(前期比107.1%)及び1,508億円(前期比105.4%)となりました。売上高海外比率は64.6%(前期は62.5%)となりました。なお、売上高は販売元の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。 ② 売上原価、販売費、研究開発費及び一般管理費、持分法による損益 売上原価は、売上高の増加に伴い、前期から390億円増加し、9,277億円(前期比104.4%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.9ポイント改善し、64.5%となりました。販売費は、主として広告費の増加や為替影響等により、前期から151億円増加し、2,016億円(前期比108.1%)となりました。研究開発費は、前期から28億円増加し、287億円(前期比111.2%)となりました。一般管理費は、主として従業員給付費用の増加や為替影響等により、前期から110億円増加し、1,380億円(前期比108.7%)となりました。持分法による損益は、47億円の利益(前期は43億円の利益)となりました。 ③ 事業利益 事業利益は、前期を123億円上回る1,476億円(前期比109.1%)となりました。地域別に見ますと、日本では609億円(前期比108.8%)、海外では867億円(前期比109.4%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ683億円(前期比132.8%)、107億円(前期比58.8%)及び76億円(前期比80.2%)となりました。事業利益海外比率は58.7%(前期は58.6%)となりました。なお、事業利益は販売元の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。 セグメント別の事業利益の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記7.セグメント情報」をご参照ください。 ④ その他の営業収益(費用) その他の営業収益は、前期に当期を大幅に上回る固定資産の売却益の計上等があったことにより、前期から204億円減少し、204億円(前期比50.0%)となりました。その他の営業費用は、前期に味の素フーズ・ノースアメリカ社に係るのれんについて減損損失の計上等があったことにより、前期から59億円減少し、214億円(前期比78.4%)となりました。 ⑤ 営業利益 営業利益は、前期を22億円下回る1,466億円(前期比98.5%)となりました。 ⑥ 金融収益(費用) 金融収益は、前期から16億円増加し、77億円(前期比127.5%)となりました。金融費用は、前期から25億円減少し、124億円(前期比82.8%)となりました。 ⑦ 親会社の所有者に帰属する当期利益 親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を69億円下回る871億円(前期比92.6%)となり、1株当たり当期利益は167円44銭(前期は175円97銭)となりました。 (5) 当連結会計年度の連結財政状態の分析 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1兆5,117億円に対して2,627億円増加し、1兆7,744億円となりました。これは主として、Forge Biologics Holdings, LLC(以下、Forge社)の全持分取得に伴うのれん等の増加に加え、換算為替の影響による各資産残高の増加によるものです。 負債合計は、前連結会計年度末の6,887億円に対して2,016億円増加し、8,904億円となりました。これは主として、有利子負債の増加によるものです。有利子負債残高は、短期借入金の増加及びコマーシャル・ペーパーやサステナビリティ・リンク・ボンドの発行等により、前連結会計年度末に対して1,551億円増加し、4,916億円となりました。 資本合計は、自己株式の取得により減少した一方、主に円安の進行に伴う在外営業活動体の換算差額の増加により、前連結会計年度末に対して610億円増加しました。資本合計から非支配持分を引いた親会社の所有者に帰属する持分は、8,146億円となり、親会社所有者帰属持分比率は45.9%となりました。 セグメントごとの概況は、次のとおりです。① 調味料・食品セグメント 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の6,003億円に対して466億円増加し、6,469億円となりました。② 冷凍食品セグメント 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の2,003億円に対して95億円増加し、2,099億円となりました。③ ヘルスケア等セグメント 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の3,373億円に対して1,320億円増加し、4,694億円となりました。これは主として、Forge社の全持分取得に伴うのれん等の増加によるものです。 (6) キャッシュ・フローの分析当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況 (億円) 2023年3月期2024年3月期差額営業活動によるキャッシュ・フロー1,1761,680504投資活動によるキャッシュ・フロー△300△1,324△1,023財務活動によるキャッシュ・フロー△1,110△671,043現金及び現金同等物に係る換算差額489850現金及び現金同等物の増減額△186387574現金及び現金同等物の期末残高1,3271,715387 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,680億円の収入(前期は1,176億円の収入)となりました。税引前当期利益が1,420億円であり、減価償却費及び償却費782億円、法人所得税の支払額545億円があったこと等によるものです。 投資活動によるキャッシュ・フローは、1,324億円の支出(前期は300億円の支出)となりました。連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出743億円、有形固定資産の取得による支出657億円があったこと等によるものです。 財務活動によるキャッシュ・フローは、67億円の支出(前期は1,110億円の支出)となりました。短期借入金の増加738億円やコマーシャル・ペーパーの増加530億円があったものの、自己株式の取得による支出913億円や配当金の支払額384億円があったこと等によるものです。 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,715億円となりました。 (7) 当連結会計年度の資金の流動性及び資金の調達、使途① 資金の流動性について 当連結会計年度は短期流動性に関し、コミットメントライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段によって十分な手元流動性を確保しております。 また、十分な手元流動性比率の維持に加え、主要取引銀行と締結しているコミットメントラインにより資金の安全性を確保しており、当連結会計年度末のコミットメントラインの未使用額は円貨で1,700億円、外貨で100百万米ドルです。さらに、資金流動性リスク等が発生する可能性のある海外連結子会社に対して、当社が緊急貸付枠を設定し、一時的な資金繰りの支援体制を整備しております。② 資金の調達 当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス及び長期と短期の資金調達のバランスを勘案し、事業資金及びForge社の持分取得に関し、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー発行等による資金調達活動を行いました。また、サステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワークを策定し、これに基づき2023年6月にサステナビリティ・リンク・ボンドを発行しております。③ 資金の使途 当連結会計年度の資金の使途は、主として事業資金及びForge社の全持分取得であります。 (8) 経営上の目標の達成状況について 経営上の目標の達成状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。 |
※本記事は「味の素株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
※4. この企業は、連結財務諸表ベースで見ると有利子負債がゼロ。つまり、グループ全体としては外部借入に頼らず資金運営していることがうかがえます。なお、個別財務諸表では親会社に借入が存在しているため、連結上のゼロはグループ内での相殺消去の影響とも考えられます。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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