会社名 | 明治ホールディングス株式会社 |
業種 | 食料品 |
従業員数 | 連17270名 単116名 |
従業員平均年齢 | 45.7歳 |
従業員平均勤続年数 | 20.9年 |
平均年収 | 10368000円 |
1株当たりの純資産 | 2674.72円 |
1株当たりの純利益 | 181.64円 |
決算時期 | 3月 |
配当金 | 95円 |
配当性向 | 80.6% |
株価収益率(PER) | 18.6倍 |
自己資本利益率(ROE) | 6.9% |
営業活動によるCF | 1079億円 |
投資活動によるCF | ▲246億円 |
財務活動によるCF | ▲437億円 |
研究開発費※1 | 204.87億円 |
設備投資額※1 | 152.06億円 |
販売費および一般管理費※1 | 2430.23億円 |
株主資本比率※2 | 65.7% |
有利子負債残高(連結)※3 | 499.26億円 |
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、グループ理念に掲げる使命・役割のもと、「食と健康」の企業グループとしてお客さまの生活充実に貢献することで持続的な成長・発展をすべく全力を尽くし、あらゆるステークホルダーとの信頼に基づき企業価値の向上を図ってまいります。 [グループ理念]私たちの使命は、「おいしさ・楽しさ」の世界を拡げ、「健康・安心」への期待に応えてゆくこと。私たちの願いは、「お客さまの気持ち」に寄り添い、日々の「生活充実」に貢献すること。私たち明治グループは、「食と健康」のプロフェッショナルとして、常に一歩先を行く価値を創り続けます。 [経営姿勢]グループ理念を実現させていくにあたり、経営の基本姿勢を表明したものです。1.「お客さま起点」の発想と行動に徹する。2.「高品質で、安全・安心な商品」を提供する。3.「新たな価値創造」に挑戦し続ける。4.「組織・個人の活力と能力」を高め、伸ばす。5.「透明・健全で、社会から信頼される企業」になる。 (2) 中長期的な経営戦略と経営環境及び優先的に対処すべき課題当社グループは、移り変わる環境下にあってもグループ理念を体現し、成長し続ける企業グループであるために、2026年度(2027年3月期)までの長期ビジョンを策定し、その実現を目指しています。実現に向けては3年ごとの中期経営計画を策定してより具体的な実行計画に落とし込み、取り組んでいます。また、2021年6月1日にはグループスローガンを「健康にアイデアを」に刷新しました。当社グループは100年以上にわたり「おいしさ・楽しさ・健康・安心」の世界を拡げることに努めてまいりました。これからはグループ内外の食と医薬の知見を融合させ、新しい価値を創造します。特に「健康」というフィールドで「meijiらしい健康価値」を提供し、これまで以上に大きな役割を果たしていくことを目指します。「meijiらしい健康価値」とは、CURE(なおす)、CARE(まもる)、SHARE(わかちあう)のサイクルでひとりの健康をみんなの笑顔につなげていき、健康であることの幸せを周囲に拡げ、社会、地球が健康である「より良い未来」に貢献していくことです。 ① 長期ビジョン「明治グループ2026ビジョン」(2018年5月発表)目指す企業グループ像明治グループ100年で培った強みに、新たな技術や知見を取り入れて、「食と健康」で一歩先を行く価値を創造し、日本、世界で成長し続ける。 目標水準・営業利益成長率 1桁台半ば以上(年平均)・海外売上高比率 20%を目指す・ROE 10%以上を維持 重点方針1.コア事業での圧倒的優位性の獲得2.海外市場での成長基盤の確立3.健康価値領域での新たな挑戦4.社会課題への貢献 同ビジョンの実現に向けては、重点方針に沿って策定した「事業ビジョン」「サステナビリティビジョン」「経営基盤ビジョン」をもとに、活動を推進しています。 事業ビジョン(食品セグメント)国内ではコア事業であるヨーグルト、チョコレート、栄養食品に注力すると同時に、さらなる事業ポートフォリオの強化を目指します。海外では、各地域で明治らしい、差別化された商品を展開し、独自のポジションを確立します。そしてブランド認知を獲得し、成長を加速させます。 (医薬品セグメント)感染症治療薬やジェネリック医薬品、バイオ医薬品などを国内のみならず、海外展開も含めてトータルで拡大します。特に感染症領域ではアジアのリーディングカンパニーとなるべく、生産能力、研究開発、普及活動をそれぞれ強化します。 (グループ全体)食品、医薬品の各事業で培ったノウハウ・強みを生かすとともに、オープンイノベーションにより社外の知見を積極的に取り入れることで、健康・予防領域における独自価値の創出を目指します。 サステナビリティビジョン人びとが健康で安心して暮らせる持続可能な社会の実現を目指して、事業を通じた社会課題の解決に貢献すべく「こころとからだの健康に貢献」「環境との調和」「豊かな社会づくり」を主要活動テーマに掲げ、推進します。 経営基盤ビジョン機能的・戦略的なマネジメント体制の確立や、一人一人の力が発揮できる環境・仕組み・風土づくり、さらにはmeijiブランドの進化に向けた取り組みを推進します。 ② 経営環境及び優先的に対処すべき課題 当社グループを取り巻く市場環境は、競争の激化、原材料市況や為替の変動などに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市場構造や消費マインドの変化など、不透明な状況が続いています。また、気候変動や環境問題への対応、人権や多様性の尊重、持続可能な調達活動など、企業が果たすべき役割や責任も増大しています。企業価値評価の考え方も大きく変わっており、企業の持続可能性、リスクへの強靭性、社会への貢献度が重視されています。 このような環境下、当社グループはグローバルで健康・栄養の社会課題の解決に貢献できる企業として持続的な成長を目指すべく、次の課題に適切に取り組んでまいります。 ・経済価値と社会価値を同時に実現(トレード・オン)するビジネスモデルの確立を目指します。 ・社会課題解決への取り組みは事業成長やイノベーションのためのシーズと捉え、新たな価値創造に果敢に挑戦 します。 ・ROICを活用した経営管理体制を強化し、最適な事業ポートフォリオを構築することで、資本生産性のさら なる向上を目指します。 ・赤ちゃんからお年寄りまであらゆる世代の「こころとからだの健康」に貢献するユニークな企業グループとし ての強みに磨きをかけ、グループシナジーの創出を実現します。 ③ 2026中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)「2026中期経営計画」では、市場・事業・行動の変革を通じた成長軌道への回帰を目指し、「2023中期経営計画」で掲げた明治ROESGR経営をさらに進化させていきます。社会課題の解決を事業戦略に取り込み、サステナビリティ・イノベーションにより社会価値を創出します。そして、経済価値と社会価値を同時に実現(トレード・オン)することで持続的な成長を目指します。※ ROESGは一橋大学教授・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。 重点戦略および目標指標は、次のとおりであります。 重点戦略1.成長事業への経営資源の投入2.安定したキャッシュ創出力の維持・強化3.経営戦略に即した人財戦略の推進 目標指標 指標2026年度 目標(2027年3月期) 統合目標 明治ROESGR9.8ポイント 成長性・収益性 連結営業利益1,165億円 ・食品セグメント830億円 ・医薬品セグメント400億円 連結当期純利益765億円 海外売上高2,525億円 効率性・安全性 ROIC8.5%以上 株主還元 ROE9.5%以上 総還元性向50%以上 2026中期経営計画において、明治ROESGR計算式の見直しを行いました。 2024年3月期における2023中期経営計画の達成状況は、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況に記載のとおりであります。 重点戦略における具体的な戦略のポイントは、次のとおりであります。 重点戦略1.成長事業への経営資源の投入 食品セグメントでは、海外での飛躍的な成長に向け、キューブタイプ粉ミルクなどの技術・知財面で競争優位性のある商品や、チョコスナックなどの味や食感の設計、製造技術などで差別性のある商品で、積極的な事業拡大を目指します。現地ニーズに合致した商品開発やグローバル生産・供給体制の確立、マーケティングの強化に注力するほか、M&Aやアライアンスにも取り組みます。国内では、BtoB事業において、新規開発素材や自社ブランドを活用した売上拡大を図ります。 医薬品セグメントでは、新規発売医薬品の価値最大化に取り組むとともに、画期的な新薬パイプライン開発を確実に進めます。 重点戦略2.安定したキャッシュ創出力の維持・強化 食品セグメントでは、既存事業領域においてサステナビリティを付加価値や経済価値につなげる「市場創造型」の商品開発を推進します。「明治サステナブルプロダクツ認定制度」を設け、バリューチェーン上のあらゆるプロセスでサステナビリティ活動を推進し、商品コンセプトへのサステナビリティの組み込みを促進します。また、「Meiji NPS(明治栄養プロファイリングシステム)」を活用し、栄養価値の高い商品の開発・改良を促進します。デジタル技術を活かした新規ソリューション事業の立ち上げや、マーケティングへの活用による既存商品の価値の最大化にも取り組みます。 医薬品セグメントでは、国家戦略と連動した医薬品の安定供給に取り組むほか、企業連携によるジェネリック医薬品バリューチェーンの強靭化を目指します。 また、食品、医薬品セグメントともに、ROICの活用により経営管理体制を強化し、資本生産性の向上に取り組みます。食品と医薬品でハードルレートを別に設定し、事業別のROIC管理体制を強化します。継続的に営業利益率の向上を図るとともに、投下資本をコントロールしていきます。 重点戦略1・2をふまえた各事業およびサステナビリティの主な取り組みは、次のとおりであります。 (食品セグメント)・デイリー事業国内での安定的な利益体質とグローバルでの成長基盤の確立に向け、高付加価値商品の提案、生産体制の見直しを起点とした収益性の向上、中国事業の立て直しを中心に取り組みます。・カカオ事業グローバル展開を前提とした付加価値の高い事業への転換を図ります。サステナブルカカオ豆調達と連動した新たな価値提供、国内外において独自性の高い商品投入やマーケティング施策の実行、グローバルでの競争力向上のための開発・生産・販売体制の強化に取り組みます。・ニュートリション事業国内での新市場育成や独自価値を持った新商品の展開に取り組むとともに、海外展開の加速やさらなる成長にも取り組みます。・フードソリューション事業業務用領域を成長ドライバーとして売上規模拡大と収益性向上を目指します。アプリケ―ションセンターを活用して新規提案力を強化し、新たな高収益事業を立ち上げます。付加価値乳原料などのグローバル展開にも取り組みます。市販領域では、低収益事業の改革に取り組むほか、アイスクリームやチーズなど主力ブランド強化に取り組みます。 (医薬品セグメント)・国内事業感染症治療薬やワクチンの安定供給に取り組み、新興・再興感染症の脅威への対応など社会課題解決型企業としての持続可能な収益基盤の確立を目指します。画期的新薬の開発や供給により、アンメット・メディカルニーズにも対応していきます。・海外事業CMO/CDMO事業における生産能力増強により、人口が増加しているアジアやアフリカなどにおける医薬品アクセスの向上にも貢献します。グローバル製品の開発を推進するとともに、ヒト用ワクチンの海外展開も検討いたします。・ワクチン・動物薬事業ワクチンにおいては、次世代mRNAワクチン(レプリコン)「コスタイベ筋注用」の普及促進のほか、インフルエンザワクチンの収益最大化、5種混合ワクチン「クイントバックR水性懸濁注射用」のシェア拡大、新領域への参入を進めます。動物薬においては、国内市場での収益性強化に努めるとともに、海外市場での事業拡大にも取り組みます。 (サステナビリティ)<こころとからだの健康>・健康と栄養「Meiji NPS(明治栄養プロファイリングシステム)」による当社商品の栄養価値の評価を実施し、栄養不良の二重負荷(低栄養・過栄養)に対応した商品開発を強化します。・新興・再興感染症の脅威への対応新型コロナウイルスワクチンの開発・供給に取り組むとともに、デング熱などのワクチン開発や薬剤耐性菌に対応する医薬品開発を進めます。・医薬品の安定供給堅牢なサプライチェーン構築により、基礎的医薬品、安定確保医薬品、ワクチン、血漿分画製剤の安定供給体制の確立に取り組みます。・製品品質の安全性・信頼性食品では、製品の安全体制強化に取り組みます。医薬品では、新分野やグローバル展開に対応した信頼性保証体制を構築します。 <環境との調和>・気候変動への対応(脱炭素社会)省エネ・創エネ活動の強化、再生可能エネルギーへの移行により、Scope1、2排出量の削減に取り組みます。また、酪農分野でのGHG排出量削減などによるScope3排出量の削減も推進します。・資源循環の推進(循環型社会)プラスチック容器包装の「リデュース」の取り組みを進めるとともに、バイオマスプラスチックや再生プラスチックの使用比率を拡大します。また、食品ロス削減にも取り組みます。・水資源の確保水使用量を削減するとともに、工場の水源地での森林保全などによる水源涵養活動を拡大し、水リスクへの対応を進めます。・生物多様性TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応を強化します。 <豊かな社会づくり>・多様な人財の成長と活躍グローバルビジネス人財の育成強化や、女性社員のキャリア支援と意識醸成に注力するとともに、多様な人財の活躍を推進する管理者マネジメントスキルの強化に取り組みます。・バリューチェーンにおける人権の尊重人権デュー・ディリジェンスの強化に取り組みます。・高い倫理観に基づいたマーケティング責任あるマーケティングの強化やポリシーの策定に取り組みます。 <持続可能な調達活動>・人権や環境に配慮した責任あるサプライチェーンを構築します。またカカオ豆では、明治サステナブルカカオ豆の調達拡大、トレーサビリティの100%確立、森林減少ゼロ・児童労働ゼロに向けた調達活動の取り組みを進めます。 重点戦略3.経営戦略に即した人財戦略の推進 「多様な人財が自律・挑戦・成長・共創し、イノベーションを生み出す」との考え方のもと、経営戦略に基づいた人財・組織風土のあるべき姿を定め、それを実現する人財戦略を推進します。 (人財・組織風土のあるべき姿)・挑戦と成長を続け、世界の食と健康をリードするプロフェッショナル人財・多様な人財一人一人のウェルビーイングの実現を支え、個人・チームの可能性を最大限引き出す組織風土 財務戦略・営業キャッシュ・フローは、重点戦略に沿って適切に戦略投資および経常投資に配分します。・M&A・アライアンス実行時は、現在の信用格付維持を前提としたD/Eレシオ0.5倍程度以内での負債調達 を必要に応じて実施します。・株主還元については、総還元性向50%以上とし、継続的な増配を目指します。また、最適資本構成の観点から 自己株式の取得も検討します。・政策保有株式は2027年3月期末において、連結純資産比5%未満とします。 サステナビリティ戦略(方針)当社グループは、2026中期経営計画において「サステナビリティと事業の融合」を重要なコンセプトの一つとして掲げています。時代とともに変化する社会課題の解決を事業戦略に取り込み、サステナビリティ・イノベーションにより社会価値を創出し、経済価値とトレード・オンにすることで持続的な成長を目指します。 (戦略領域) 2026中期経営計画で特定した12のマテリアリティは4つの活動テーマに分類されます。4つの活動テーマは、明治グループらしい独自性が発揮できる取り組みと企業活動の基盤となる取り組みの2つの要素で特徴付けができ、マテリアリティを体系的に位置付けています。マテリアリティに対して、事業を通じた取り組みを積極的に推進することで「サステナビリティと事業の融合」を図ります。 <サステナビリティ活動の構造> (ESG投資)環境分野を中心に取り組み施策を推進する為に、ESG投資枠500億円を設定しています。主な項目2026中期経営計画における投資計画CO?排出量の削減・省エネ機器の導入・太陽光発電設備の導入 など脱フロン対策・ノンフロン冷蔵/冷凍設備の導入プラスチック使用量の削減・容器包装軽量化のための設備投資 など水使用量の削減・水の効率的な使用に資する設備の導入医薬品の安定供給・ペニシリン原薬の国産化に資する設備投資 など労働環境整備・労働安全対策、ダイバーシティ推進の為の環境整備 など |
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績の状況① 事業全体の状況 (単位:百万円) 売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益1株当たり当期純利益(円 銭)当連結会計年度1,105,49484,32276,02050,675181.64前連結会計年度1,062,15775,43374,16069,424247.39前年同期比(%)104.1%111.8%102.5%73.0%-(注)2023年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益を算定しております。 「2023中期経営計画」の最終年度である2024年3月期は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和などにより、経済活動の正常化が見られた一方、国内の生乳取引価格や円安進行にともなう海外輸入原材料価格の上昇が、当社グループ業績にも影響を及ぼしました。 食品セグメントでは、原材料価格の上昇に対して、多くの商品カテゴリーで価格改定を実施し、コスト上昇分の吸収に努めました。また、価格改定による数量減の影響を最小限にとどめるべく、主力商品の価値訴求強化や積極的なマーケティング活動に取り組み、徐々に数量回復の兆しも出てきました。海外では、中国における生産販売能力を強化し、販売エリア拡大と高付加価値商品の売上拡大を進めました。菓子や業務用の牛乳・クリーム事業は好調に推移したものの、経済情勢の変化や競争激化の影響により市販用の牛乳・ヨーグルト事業が苦戦しました。米国においては、チョコレートスナックを中心に取り組み、販路を着実に広げました。アジアにおいても、シンガポールに新たなチョコレートのラインを導入し、アジア各国や中東への輸出を積極的に進めました。 医薬品セグメントでは、感染症領域に経営資源を集中し、ワクチンと感染症治療薬のトップ企業としての競争優位性確立に取り組みました。新型コロナウイルス感染症に対する次世代mRNAワクチン(レプリコン)「コスタイベ筋注用」については、2023年11月に国内の製造販売承認を取得し、現在、変異株への対応を進めています。同感染症に対する小児用の不活化ワクチンについても、最終段階となる変異株対応の臨床試験を実施しています。加えて、新薬パイプラインの開発加速にも取り組み、5種混合ワクチン「クイントバックR水性懸濁注射用」や、造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)の治療薬である選択的ROCK2阻害剤「レズロックR錠」の製造販売承認を取得しました。海外では、受託製造/受託製造開発(CMO/CDMO)事業の強化・拡大に注力し、インドに完成した新製造棟における商業出荷に向けた準備を確実に進めるなど、生産能力の向上にも努めました。 サステナビリティに関しては、「2023中期経営計画」の基本コンセプトである「明治ROESGR経営の実践」に基づき事業との融合に取り組みました。酪農分野での温室効果ガス(GHG)排出量削減に向け、J-クレジット制度を活用したビジネスモデルの構築に取り組んだほか、カカオ生産を持続可能なものにするため、フルーツや機能素材としてのカカオの可能性を追求し、新しい価値創造にも挑戦してきました。 なお、2024年4月9日付「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」で公表のとおり、食品セグメントにおいて、中国で牧場を運営する持分法適用会社のAustAsia Group Ltd.が、中国国内における飼料代高騰や生乳価格下落の影響により収益性が悪化したことなどを受け、AustAsia Group Ltd.に係る減損損失62億円を、持分法による投資損失として営業外費用に計上しました。また、中国の市販向け牛乳・ヨーグルト事業において、競合他社との価格競争が激化したことなどによる収益性の悪化を受け、牛乳・ヨーグルト事業に係る有形固定資産の減損損失143億円を特別損失に計上しました。この結果、当連結会計年度の売上高は 1兆1,054億94百万円(前期比 4.1%増)、営業利益は 843億22百万円(同 11.8%増)、経常利益は 760億20百万円(同 2.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 506億75百万円(同 27.0%減)となりました。また、ROEは 6.9%、1株当たり当期純利益は 181.64円となりました。② セグメントの状況 (単位:百万円) 報告セグメント合計食品医薬品前連結会計年度当連結会計年度増減前連結会計年度当連結会計年度増減前連結会計年度当連結会計年度増減売上高865,609900,12734,518197,280206,1098,8291,062,8891,106,23743,347セグメント利益55,87464,3158,44021,72122,71799577,59687,0329,436(注) 売上高、セグメント利益は、セグメント間の取引を消去する前の金額によっております。 セグメントの業績の詳細は、次のとおりであります。 Ⅰ.食品当セグメントにはヨーグルト・チーズ事業 (プロバイオティクス、ヨーグルト、チーズ)、ニュートリション事業 (乳幼児ミルク、スポーツ栄養、流動食、美容)、チョコレート・グミ事業、牛乳事業、業務用食品事業、フローズン・調理食品事業 (アイスクリーム、調理食品、バター・マーガリン類)、海外事業 (海外子会社、輸出)、その他・国内子会社 (国内独立系子会社、キャンデー、OTC)による製造・販売、運送等が含まれております。 売上高は、価格改定効果もあり前連結会計年度を上回りました。幅広い事業で前連結会計年度を上回り、特に業務用食品事業や海外事業は大幅に上回りました。セグメント利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。価格改定効果が原材料コストの上昇や数量減の影響をカバーしました。 事業別の概況は、次のとおりです。 ■ヨーグルト・チーズ事業 (プロバイオティクス、ヨーグルト、チーズ)売上高は前連結会計年度並みとなりました。プロバイオティクスは前連結会計年度並みとなりましたが、ヨーグルトはドリンクタイプの大容量品の終売の影響で減収となりました。チーズは需要拡大や販促強化により、スライスチーズを中心に伸長しました。営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。原材料コストが増加しましたが、価格改定効果がコスト増や数量減の影響を上回りました。価格改定による数量への影響を最小化すべくマーケティング投資を強化しました。 ■ニュートリション事業 (乳幼児ミルク、スポーツ栄養、流動食、美容)売上高は前連結会計年度を上回りました。乳幼児ミルクは、価格改定効果に加え、外出機会の増加などにより液体ミルクが大幅に伸長したことで増収となりました。スポーツプロテイン「ザバス」は、粉末タイプが増収となったことに加え、たんぱく質配合量を20gに増量した商品の発売により、ドリンクタイプも大幅に伸長しました。営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。原材料コストが増加しましたが、価格改定効果がコスト増や数量減の影響を上回りました。 ■チョコレート・グミ事業売上高は前連結会計年度並みとなりました。チョコレートは、主力の「チョコレート効果」が好調に推移したほか、人流回復やインバウンド需要によりナッツチョコレートが大幅に伸長しました。グミは、子会社譲渡による減収の影響を受けましたが、主力品が好調に推移し、前連結会計年度並みとなりました。営業利益は、価格改定効果に加えて、構造改革による製造間接費の減少により前連結会計年度を上回りました。■牛乳事業売上高は、価格改定効果に加え、「明治おいしい牛乳」シリーズの中小容量品が好調に推移したことにより前連結会計年度を上回りました。営業利益は、国内生乳価格上昇の影響を受けたものの、価格改定効果や中小容量品の数量増などにより前連結会計年度から損失額が縮小しました。 ■業務用食品事業売上高は前連結会計年度を大幅に上回りました。人流回復により市場が拡大した影響もあり、クリームやバター、カカオなどが伸長しました。営業利益は、原材料コストと減価償却費などの製造間接費が増加しましたが、価格改定効果や数量増により前連結会計年度を大幅に上回りました。 ■フローズン・調理食品事業 (アイスクリーム、調理食品、バター・マーガリン類)売上高は前連結会計年度を上回りました。アイスクリームは、主力の「明治エッセルスーパーカップ」や付加価値型新商品が好調に推移しました。バター・マーガリン類も好調に推移しました。調理食品は、2023年2月に冷凍ピザを終売した影響により減収となりました。 営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。価格改定効果が原材料コストや拡売費の増加を上回りました。 ■海外事業 (海外子会社、輸出)売上高は、前連結会計年度を大幅に上回りました。中国の業務用市乳事業や菓子事業、米国や東南アジアの子会社が好調に推移しました。 営業利益は、前連結会計年度から損失額が拡大しました。中国の子会社が、市販用の牛乳・ヨーグルト事業において拡売費が増加したことに加え、2023年1月の天津工場稼働に伴う新規開拓費用や減価償却費も増加したことにより、大幅減益となりました。米国や東南アジアの子会社は増益となりました。 ■その他・国内子会社 (国内独立系子会社、キャンデー、OTC)売上高は前連結会計年度並みとなりました。糖類を扱う商社などが好調に推移しましたが、ガムなどの終売や子会社譲渡が影響しました。営業利益は、原材料コストの増加に加え、ガムなどの終売影響により前連結会計年度を大幅に下回りました。 Ⅱ.医薬品当セグメントには、国内医薬品事業、海外医薬品事業、ヒト用ワクチン事業、動物薬事業(動物薬、動物用ワクチン)が含まれております。 売上高は前連結会計年度を上回りました。国内医薬品事業と海外医薬品事業は前連結会計年度を上回り、ヒト用ワクチン事業と動物薬事業は前連結会計年度を下回りました。セグメント利益は、海外医薬品事業やヒト用ワクチン事業の増益により、前連結会計年度を上回りました。 事業別の概況は、次のとおりです。 ■国内医薬品事業売上高は前連結会計年度を上回りました。抗菌薬「スルバシリン」や「メイアクト」に加え、血漿分画製剤が増収となりました。営業利益は、薬価改定の影響に加え、アストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチンに関する受託収入の減少や研究開発費の増加により前連結会計年度を大幅に下回りました。 ■海外医薬品事業売上高は前連結会計年度を上回りました。ロイヤリティ収入が減少しましたが、為替影響に加え、スペインやタイの子会社が好調に推移しました。営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。海外子会社の増収やインドの子会社の原価低減が寄与しました。 ■ヒト用ワクチン事業売上高は前連結会計年度並みとなりました。4種混合ワクチン「クアトロバック」は好調に推移しましたが、インフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチン「ビームゲン」が減収となりました。営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。生産効率化に加え、ロイヤリティ収入も寄与しました。 ■動物薬事業(動物薬、動物用ワクチン)売上高は、低収益品の品目数削減の影響を受けましたが、海外向け販売の寄与により前連結会計年度並みとなりました。営業利益は、原材料コストの増加などにより前連結会計年度を大幅に下回りました。 ③ 2023中期経営計画の振り返り(2022年3月期~2024年3月期)「2023中期経営計画」で掲げた2024年3月期の各指標の達成状況については次表のとおりであります。食品セグメントにおける価格改定などもあり連結売上高目標は達成したものの、コスト高騰などの影響により連結営業利益は目標に届かず、ROEやROICの目標も未達となりました。「明治ROESGR」については、5つのESG外部指標は全て目標水準を達成したものの、ROEが低下したことにより目標未達となりました。 指標2022年3月期実績2023年3月期実績2024年3月期実績2023中期経営計画(2024年3月期)当初目標統合目標明治ROESGR12.3ポイント13.8ポイント12.2ポイント13ポイント成長性・収益性連結売上高1兆130億円1兆621億円1兆1,054億円1兆800億円・食品セグメント8,260億円8,656億円9,001億円8,745億円・医薬品セグメント1,879億円1,972億円2,061億円2,090億円連結営業利益(率)929億円(9.2%)754億円(7.1%)843億円(7.6%)1,200億円(11.1%)・食品セグメント759億円558億円643億円1,020億円・医薬品セグメント186億円217億円227億円185億円海外売上高929億円1,200億円1,323億円1,345億円効率性・安全性ROIC8.4%6.3%6.2%10%以上株主還元ROE13.5%10.0%6.9%11%以上 2023中期経営計画における明治ROESGRの計算式および2024年3月期の実績は、次のとおりであります。 2023中期経営計画の総括は次のとおりであります。 ●明治ROESGRを掲げ、利益成長とサステナビリティ活動の同時実現を目指した3年間 ・食品 国内コア事業の成長力回復は道半ば。海外事業は、米国が順調に拡大。 先行投資してきた中国の一部事業で減損発生 ・医薬品 構造改革を断行し、安定して収益が得られるビジネスモデルに転換。 mRNA技術の獲得など次の成長をけん引するパイプラインも充実 ・新領域への挑戦 新たな製品やビジネスモデルの創出に向けて、ベンチャー企業やアカデミアとの連携が進む ・サステナビリティ 着実に取り組み、ESG評価は上昇。事業との融合に必要な評価基準などの整備にも取り組む ●ROICを活用した経営管理体制の確立を進める中で、運用方法改善の必要性が生じる。 事業単位や組織などを見直し、ROICによるマネジメントの定着を急ぐ ●ROICの観点から設備投資の一部を選別。戦略的な投資やESG投資は計画通りに進む ●政策保有株式の縮減や固定資産の圧縮に取り組み、強固な財務体質を維持。10期連続で増配 ④ 来期の見通しについて2025年3月期は、世界経済や国内の消費動向に加え、為替の変動、人件費や物流費の上昇などが懸念されますが、当社グループは当期より始まる「2026中期経営計画」の基本方針に則り、目標達成に向けて各戦略を着実に実行してまいります。 食品セグメントでは、国内は、既存ブランドにおける価値訴求強化と高付加価値商品の投入に取り組みます。プロバイオティクスやヨーグルト、チョコレートなどの健康機能を訴求するほか、スポーツプロテインや流動食における提供価値の進化を目指します。また、サステナビリティと事業の融合にも取り組み、栄養による社会課題解決に向け、2023年6月に策定した「Meiji NPS(明治栄養プロファイリングシステム)」を活用し、栄養価値の高い商品の開発・改良を目指します。好調な業務用事業でも、当社の強みを活かした独自商品の展開により、売上規模拡大や収益性向上に取り組みます。海外は、中国において構造改革に注力します。苦戦している市販の牛乳・ヨーグルトは、独自価値商品を投入し、付加価値商品の構成比の拡大に取り組みます。好調な業務用の牛乳・クリームは新規販売先を開拓し、新工場が稼働するチョコレートやフローズンデザートは販売エリアの拡大を目指します。米国では、チョコレートスナックを中心に販路を拡大します。アジアでは、チョコレートや乳幼児ミルクの展開を加速させます。欧州では、ダノン社との協業による粉ミルクの展開を強化します。 医薬品セグメントでは、国内は、社会課題となっている感染症領域に経営資源を集中し、ワクチンと感染症薬のトップ企業としての競争優位性確立と収益性の強化に引き続き取り組みます。人流回復により感染症が流行し、高いレベルで需要が続いている抗菌薬の安定供給に取り組むほか、新たに上市する製品の拡売に注力します。また、当社グループが持つ感染症に関する高い技術・設備や豊富な経験を活かし、2024年秋冬シーズンにおいて、新型コロナウイルス感染症に対する次世代mRNAワクチン(レプリコン)「コスタイベ筋注用」を上市していきます。海外は、CMO/CDMO事業の成長による収益最大化に取り組みます。メドライクグループの生産能力を増強し、既存の生産能力も効率的に活用します。 ⑤ 主要な経営指標の推移 (注)2021年度の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、上記の2021年度以降の指標については当該会計基準等を適用した後の金額となっております。(2)生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度の生産実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)食品930,277111.6医薬品156,894114.2 報告セグメント計1,087,172112.0合計1,087,172112.0(注)セグメント間の取引は含まれておりません。 ② 受注実績当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を立てて生産しております。一部受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。 ③ 販売実績当連結会計年度の販売実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)食品899,406104.0医薬品206,088104.5 報告セグメント計1,105,494104.1合計1,105,494104.1(注)1.総販売実績に対する売上の割合が10%以上の相手先はありません。2.セグメント間の取引は含まれておりません。 (3)財政状態の分析資産の部では、現金及び預金が前連結会計年度末に比べて 433億38百万円増加し、1,068億58百万円となりました。コミットメントラインの設定額200億円と合わせた手元流動性の残高は1,268億58百万円で、2023中期経営計画で目安としておりました手元流動性の水準(連結売上高の1か月程度)を確保いたしました。受取手形及び売掛金は、前連結会計年度末に比べて 292億38百万円増加し、2,022億39百万円となりました。これは食品セグメント及び医薬品セグメントでの増売や、期末日が金融機関休業日であった影響などによるものであります。有形固定資産は前連結会計年度末に比べて 72億47百万円減少し、4,805億7百万円となりました。これは中国のアイスクリーム工場における設備投資による増加の一方、明治産業㈱及び㈱スリーエスアンドエルの連結除外に伴う減少、中国の牛乳・ヨーグルト事業における固定資産の減損損失の計上などがあったためであります。投資有価証券は、前連結会計年度末に比べて 247億14百万円減少し、879億35百万円となりました。これは主に政策保有株式の売却による減少や、AustAsia Group Ltd.における持分法投資損失の計上などによるものであります。その結果、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて 690億70百万円増の 1兆2,052億88百万円となりました。 負債の部では、支払手形及び買掛金が前連結会計年度末に比べて 150億36百万円増加し、1,273億48百万円となりました。これは主に期末日が金融機関休業日であった影響によるものであります。未払法人税等が税金費用の増加などにより前連結会計年度末に比べて 58億23百万円増加し、171億22百万円となりました。また、流動負債のその他が未払設備代の増加などにより前連結会計年度末に比べて 259億97百万円増加し、884億75百万円となりました。有利子負債(社債、借入金)は、社債の償還などにより前連結会計年度末に比べて 144億44百万円減少し、499億26百万円となりました。その結果、当連結会計年度における負債合計は、前連結会計年度末に比べて 325億88百万円増の 4,174億94百万円となりました。 純資産の部では、純資産合計が前連結会計年度末に比べて 364億81百万円増の 7,877億93百万円となりました。これは政策保有株式の売却に伴いその他有価証券評価差額金が 98億75百万円減少した一方、利益剰余金が 241億15百万円、為替換算調整勘定が 126億46百万円増加したことなどによるものであります。 この結果、流動比率は前連結会計年度末に比べて 2.2ポイント減の174.7%、デット・エクイティ・レシオは0.02ポイント減の0.07倍、自己資本比率は 0.8ポイント減の61.9%となりましたが、資金の流動性及び財務の安定性を維持しております。なお、1株当たり純資産は前連結会計年度末に比べて 121円3銭増加し、2,674円72銭となりました。 自己資本及び自己資本比率の推移は、次のとおりであります。 (4)資本の財源及び資金の流動性① 資本政策の方針事業活動により得た資金は、持続的な成長に向けて、将来への成長投資や研究開発へ積極的に充当してまいります。また、グループ全体の資本効率の観点から、成長投資については財務規律との調和を図るとともに、政策保有株式などの非事業用資産については縮減します。株主還元についても経営における重要課題と認識しており、各年度で総還元性向50%以上を目安とし、1株当たり配当額の継続的な増配を目指します。 ② 資金調達の方針資金調達については、資金需要や金利環境等を踏まえつつ、多様化した調達手段の中から資本コストの低減を第一義として、負債により調達することを基本方針とします。一方で、負債の増加に伴う信用リスクの観点から、原則としてデット・エクイティ・レシオは0.5倍までを上限とし、金融情勢に左右されないような高い信用格付の維持にも努めます。なお、本報告書提出時点において、当社は日本格付研究所より「ダブルAマイナス(安定的)」の信用格付を取得しております。主要な金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業拡大、運営に必要な投資資金及び運転資金の金融機関からの調達に関しては問題なく実施できると認識しております。なお、国内の金融機関との間で合計200億円のコミットメントラインを設定しており、期中の現預金残高とコミットメントライン設定額を合わせた手元流動性の水準を、連結売上高の1か月程度に設定することで、緊急時の流動性を確保いたします。また、グループ会社を対象に、資金調達の安定化と調達コストの低減を図るため、グループファイナンス制度を導入しております。当社は、「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」の実現に向けた活動に必要な資金調達の手段として、ICMA(国際資本市場協会:International Capital Market Association)の定めるグリーンボンド原則及びソーシャルボンド原則に基づいた、「サステナビリティファイナンス・フレームワーク」を策定しており、2021年4月に第10回無担保社債(サステナビリティボンド、5年100億円)を発行して資金を調達しました。今後も、本フレームワークに基づき、サステナビリティファイナンスを積極的に活用し、社会課題解決への貢献を一層進めてまいります。 ③ キャッシュ・フローの状況区分前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー85,013107,98322,969投資活動によるキャッシュ・フロー△36,788△24,60412,184フリー・キャッシュ・フロー48,22483,37835,154財務活動によるキャッシュ・フロー△54,734△43,77210,962現金及び現金同等物に係る換算差額2,5762,286△289現金及び現金同等物の増減額(△減少)△3,93341,89345,827現金及び現金同等物の期首残高64,87260,939△3,933現金及び現金同等物の期末残高60,939102,83241,893 キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりであります。区分第11期第12期第13期第14期第15期自己資本比率(%)56.358.260.362.761.9時価ベースの自己資本比率(%)111.596.883.377.478.4キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)0.90.80.60.80.5インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)157.0197.2246.3193.6266.3 (注)各指標の算出方法自己資本比率:(純資産の部-非支配株主持分)/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(期末株価終値×発行済株式総数)/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い(利息の支払額)※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 229億69百万円収入増の 1,079億83百万円の収入となりました。これは売上債権が増加した一方で、棚卸資産の減少や仕入債務の増加、法人税等の支払額の減少などがあったためであります。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 121億84百万円支出減の 246億4百万円の支出となりました。これは前連結会計年度において横浜研究所の売却などがあり、有形及び無形固定資産の売却による収入が減少した一方で、有形固定資産の取得による支出の減少、政策保有株式の売却による収入や明治産業㈱及び㈱スリーエスアンドエルの子会社株式の売却による収入があったためであります。これにより、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は、前連結会計年度より 351億54百万円収入増の 833億78百万円の収入となりました。創出したフリー・キャッシュ・フローについては、配当金の支払いにより株主還元を行うとともに、有利子負債の返済に充当しております。配当については増配を実施し、株主還元の充実に努めました。今後も安定的継続的な利益還元を実施します。なお、配当金の支払額は前連結会計年度より 18億37百万円支出増の 264億44百万円、配当性向は 52.3%であります。財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 109億62百万円支出減の 437億72百万円の支出となりました。これは前連結会計年度において自己株式の取得による支出があったことなどによるものです。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は 1,028億32百万円となりました。 当連結会計年度においては、事業活動に伴う運転資金は金融機関からの借入れ及びコマーシャル・ペーパーにより調達いたしました。 当連結会計年度におけるキャッシュアロケーションは、次のとおりであります。 配当金及びEPS(1株当たり当期純利益)の推移は、次のとおりであります。(注)2015年10月1日付および2023年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施しており、2013年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり配当金及び1株当たり当期純利益を算定しております。 (5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。 |
※本記事は「明治ホールディングス株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)
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