清水建設株式会社の基本情報

会社名清水建設株式会社
業種建設業
従業員数連20515名 単10949名
従業員平均年齢43.6歳
従業員平均勤続年数15.9年
平均年収9821000円
1株当たりの純資産1243.88円
1株当たりの純利益23.57円
決算時期3月
配当金20円
配当性向125.5%
株価収益率(PER)42.4倍
自己資本利益率(ROE)2%
営業活動によるCF▲212億円
投資活動によるCF▲53億円
財務活動によるCF▲239億円
研究開発費※1199億円
設備投資額※1584億円
販売費および一般管理費※11141.98億円
株主資本比率※228.2%
有利子負債残高(連結)※34990.37億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) シミズグループの中長期的な経営方針当社は、1887年に相談役としてお迎えした渋沢栄一翁の教えである道徳と経済の合一を旨とする「論語と算盤」を「社是」とし、この考え方を基に、「真摯な姿勢と絶えざる革新志向により、社会の期待を超える価値を創造し、持続可能な未来づくりに貢献する」ことを「経営理念」として定めております。当社は、2030年を見据えたシミズグループの長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」を定めるとともに、その実現に向けて、中期経営計画を策定し、実行しております。2023年度をもって、「中期経営計画〈2019‐2023〉」の計画期間が終了しましたので、その振り返りと当社を取り巻く環境認識に基づき、計画期間を3年とする「中期経営計画〈2024‐2026〉」を2024年5月に策定しました。 「SHIMZ VISION 2030」■目指す姿『スマート イノベーション カンパニー』建設事業の枠を超えた不断の自己変革と挑戦、多様なパートナーとの共創を通じて、時代を先取りする価値を創造(スマート イノベーション)し、人々が豊かさと幸福を実感できる、持続可能な未来社会の実現に貢献します。 ■シミズグループが社会に提供する価値イノベーションを通じた価値の提供により、SDGsの達成に貢献します。①安全・安心でレジリエント※1な社会の実現地震や巨大台風、豪雨などの自然災害リスクが高まる中、生活と事業を災害から守ることが求められております。強靭な建物・インフラの構築を通じて、安全・安心でレジリエントな社会の実現に貢献していきます。・強靭な社会インフラの構築・建物・インフラの長寿命化・防災・減災技術の普及・ecoBCP※2の普及※1 レジリエント:強くしなやかで復元力がある※2 ecoBCP:平常時の節電・省エネ(eco)対策と非常時の事業継続(BCP)対策を両立する施設・まちづくり ②健康・快適に暮らせるインクルーシブ※な社会の実現高齢化や人口減少、都市化などの急速な社会変化が進む中、誰もが安心して快適に暮らせる社会が求められております。人に優しい施設やまちづくりを通じて、健康・快適に暮らせるインクルーシブな社会の実現に貢献していきます。・ICTを活用したまちづくり・ユニバーサルデザインの普及・Well-beingの提供・人類の活躍フィールドの拡大(海洋、宇宙へ)※ インクルーシブ:すべての人が社会の一員として参加できる ③地球環境に配慮したサステナブル※な社会の実現地球温暖化や森林破壊、海洋汚染などが深刻化する中、次世代に豊かな地球を残すことが求められております。環境負荷低減を目指す企業活動を通じて、地球環境に配慮したサステナブルな社会の実現に貢献していきます。・再生可能エネルギーの普及 ・省エネ・創エネ、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化の推進・事業活動におけるCO2排出量削減・自然環境と生物多様性の保全※ サステナブル:地球環境を保全しつつ持続的発展が可能な ■ビジョンの達成に向けて3つのイノベーションの融合により、新たな価値を創造するスマート イノベーション カンパニーを目指します。①事業構造のイノベーションビジネスモデルの多様化とグローバル展開の加速、及び、グループ経営力の向上 ②技術のイノベーション建設事業の一層の強化に向けた生産技術の革新と未来社会のメガトレンドに応える先端技術の開発 ③人財のイノベーション多様な人財が活躍できる“働き方改革”の推進と社外人財との“共創”による「知」の集積 ■目指す収益構造スマート イノベーション カンパニーへの進化により、2030年度に連結経常利益2,000億円以上を目指します。連結売上利益の構成は、事業別では、建設65%、非建設35%、地域別では、国内75%、海外25%を想定しております。 (2) 経営環境及び対処すべき課題 「中期経営計画〈2019‐2023〉」の総括中期経営計画〈2019‐2023〉の最終年度である2023年度の業績について、売上高は大型プロジェクトの竣工及びM&A等の進展により、公表目標を上回りました。一方、コロナ禍及び地政学的リスクの顕在化並びに資材・労務価格の上昇などの環境変化への対応の遅れに加え、国内外の高難度な超大型プロジェクトにおける工程逼迫、工事原価の増大、品質不具合事象等の影響により、売上利益や経常利益は目標未達となりました。非財務KPIについては、超大型プロジェクトを中心に生産性向上の難しさを経験した一方で、CO2排出量は目標を大幅に上回る削減を果たし、脱酸素社会の実現に向けた取組みを進展させました。また、働きがい指標については、柔軟で多様な働き方が進み、働きやすさが向上したことに加え、1on1ミーティングの職場定着や健康経営の推進等によって、職場の信頼関係及び心身の健康に関するスコアが大きく改善しました。しかしながら、繁忙等により働きがい指標の向上に課題が残りました。 ■投資計画の実施状況当社グループは、前中期経営計画〈2019‐2023〉を、長期ビジョン達成のための新たな収益基盤確立に向けた先行投資期間と位置づけ、投資環境を精査しながら5年間で5,240億円の投資を実施しました。今後これらの投資から得られる短期的又は中長期的な成果を、事業活動や更なる持続的成長に向けた投資に活用します。 ①生産性向上・研究開発投資生産性向上・研究開発投資については、実績は460億円となりました。建物高さ300メートル超の超高層建築物をはじめ、超大型・高難度プロジェクトへの挑戦・経験を通じて獲得した対応力・技術は、高い技術競争力と高度なお客様ニーズの実現を可能にしました。また、2020年策定の中期デジタル戦略「Shimzデジタルゼネコン」のコンセプトに基づき、「ものづくりをデジタルで」、「デジタルな空間・サービスを提供」、「ものづくりを支えるデジタル」を着実に進めました。こうした取組みが高く評価され、当社は、経済産業省、東京証券取引所及び(独)情報処理推進機構が共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」に2021~2023年度の3年連続で選定されました。 ②不動産開発事業不動産開発事業では、国内外で3,280億円の新規投資を行い、国内外のオフィス、生産・物流施設、ホテル、集合住宅等、アセットの充実を図る一方で、私募REIT「清水建設プライベートリート投資法人」を設立し、開発から保有、売却、再投資のサイクルを確立するとともに、グループ企業がAM・PM業務を受託することで、当社グループのバリューチェーンを拡充する不動産循環型ビジネスモデルを構築しました。また、東京都江東区豊洲に、オフィスビルとホテル、バスターミナル等で構成する複合施設「ミチノテラス豊洲」を整備しました。ここをスマートシティ推進の拠点と位置付け、国土交通省及び東京都が各々推進する豊洲スマートシティプロジェクトに参画するとともに、全国各地で未来の街づくりを研究する自治体、研究機関、企業等との協働を拡充し、事業機会の探究を図っております。 ③インフラ・再生可能エネルギー・新規事業他インフラ・再生可能エネルギー・新規事業関連では、810億円の投資を実施しました。再生可能エネルギー分野においては、洋上風力発電施設建設の受注トップシェア獲得に向けた、世界最大級の搭載能力及びクレーン能力を備えた自航式SEP船「BLUE WIND」を建造しました。初稼働となった富山県入善町沖の洋上風力発電所に加え、北海道石狩湾新港洋上風力発電所の国内プロジェクトを無事に竣工するなど、着実に実績を積んでおります。現在は、台湾の洋上風力発電所プロジェクトにて稼働するなど、その活躍の場をグローバルに広げており、収益拡大・安定化に寄与しております。また、日本国内で太陽光・バイオマス・水力発電所のグリーンエネルギー開発を進め、脱炭素社会の実現へ向けた取組みを推進しています。 ④イノベーション・人財関連イノベーション・人財関連では、690億円の投資を実施しました。代表的なものに、イノベーションと人財育成の拠点「温故創新の森 NOVARE」の整備があります。「温故創新」とは、ものづくりの原点に立ち返る「温故」と、進取の精神を育む「創新」を実践するという意味が込められており、「森」はそれが自律的に循環するエコシステムを意味しております。このコンセプトのもと、同施設にて、「SHIMZ VISION 2030」に掲げる事業構造・技術・人財の3つのイノベーションを積極的に推進するとともに、それらを融合させるべく同施設を社内外の交流の場とすることで、オープンイノベーションの実践を目指してまいります。 ■非財務KPIの達成状況前中期経営計画〈2019‐2023〉では、基本方針で「ESG経営の推進」を掲げ、「持続可能な地球環境への貢献」、人権尊重の徹底やサプライチェーンを含む労働環境の整備、地域社会との共生など「すべてのステークホルダーとの共生」、「コンプライアンスの徹底とリスクマネジメントの強化」を図るべく、非財務KPIにおいてE・S・Gに生産性を加えた4つの指標を設定しました。4指標のうち環境(E)とガバナンス(G)については目標を達成しました。生産性向上と社会(S)については、生産性向上に寄与する技術開発や働きやすさの向上に寄与する人事制度・労働環境面の整備の着実な進展を図った一方で、超高層・高難度工事のマネジメントの難しさや繁忙状況の影響を受け、目標未達となりました。これらの経験を活かし、受注管理の高度化や人事・組織制度を含む生産体制改革を実施していきます。 ■環境認識をふまえた中期経営計画〈2024‐2026〉への課題社内環境(当社グループの強み、中期経営計画〈2019‐2023〉の成果・継続課題)及び外部環境をふまえ、中期経営計画〈2024‐2026〉にて取り組むべき経営課題を3つ特定しました。・戦略実行力の向上を目指した経営基盤強化・収益力の向上と技術・品質確保に向けた事業戦略・グローバル展開の着実な実行・強みと先行投資成果の活用、多様化するお客様・社会の本質的ニーズの実現 「中期経営計画〈2024‐2026〉」の策定 ■位置付け及び基本方針社是「論語と算盤」及び経営理念を体現し、長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」で示した目指す姿を実現するための実行計画として中期経営計画〈2024‐2026〉を位置付けるとともに、役員・従業員一人ひとりが新たなマインドセット「超建設※」を共有し、本中期経営計画を実践することとしました。中期経営計画〈2024‐2026〉の基本方針は、前中期経営計画〈2019‐2023〉の振返りにより浮き彫りとなった諸課題をふまえ、「持続的成長に向けた経営基盤の強化」としました。この基本方針及びそれに基づく事業展開は、「超建設」のマインドセットのもと、レジリエント・インクルーシブ・サステナブルな社会の実現に象徴される「お客様・社会への提供価値」を常に念頭において実践してまいります。※超建設:当社グループにおいて大切にしてきた価値を基礎とし、既存の事業や組織の枠を超えて、お客様や社会の本質的なニーズや課題を積極的に探究しつつ、建設をはじめとするあらゆる事業を通じて、お客様や社会に新しい価値を提供し、その結果、当社グループも共に成長していくという考え方 ■経営基盤の強化中期経営計画〈2024‐2026〉を構成する第一の柱として「経営基盤の強化」を挙げています。経営基盤のコアである人財と組織力の成長と、当社グループ内の諸機能の連携を強化することによりサステナビリティ経営の進化を図ることを通じ、戦略実行力の向上を目指します。 ①人財と組織力の成長当社グループは、人財の成長を支援する仕組みを整備することによって「挑戦し共創する多様な人財」を育成し、そうした人財が経営戦略・事業戦略の実現に貢献するとともに、経営が更なる人財の成長機会・基盤を提供することで、従業員の自己実現と自律的なキャリア形成を可能にします。それらが好循環の原動力となり、経営基盤のコアである「人財の力・組織カルチャー・マネジメント力」を強化することで、経営戦略・事業戦略の実現と、人財・従業員の自己実現・自律的なキャリア形成を推進していきます。 ②機能連携の強化によるサステナビリティ経営の進化前中期経営計画〈2019‐2023〉では、基本方針にESG経営の推進を掲げ、事業活動を通して企業の社会的責任を果たすことを主眼としていましたが、本中期経営計画〈2024‐2026〉では更に前進し、企業の社会的責任と事業機会の探究を両立しながら環境・社会・経済の全てで持続可能性を実現するサステナビリティ経営を体現します。これに向けて、計画期間で重要視する機能としてマーケティング、技術開発・知的財産、デジタル、グローバル化、サプライチェーン、グループ経営の6つを特定し、全社横断でそれらの連携を強めて戦略実行力を強化することにより、企業の社会的責任と事業機会探究の両面でサステナビリティ経営の進化を目指します。 ■非財務KPI中期経営計画〈2024‐2026〉では、経営基盤の強化で掲げた「人財と組織力の成長」及び「機能連携の強化によるサステナビリティの進化」をふまえ、従業員のエンゲージメント・多様性・専門性に加え、ESGの観点で選定した合計9つの指標を設定し、PDCAサイクルによるモニタリングを実施します。 ■事業戦略中期経営計画〈2024‐2026〉における事業戦略では、各事業セグメントの成長段階と位置付けの整理に基づき、各事業に応じた戦略の方向性を策定し、事業ポートフォリオの充実を図ってまいります。 ①更なる収益力向上を目指す事業:建設事業(建築・土木)当社グループの建設事業は、「高収益な事業体質への転換」及び「ものづくりの魅力を追求できる生産体制の再構築」の2つの方向性を目指して重点施策を構成し、技術・品質の追求と収益力向上に取り組みます。同時に、建設業界が共通に抱える課題にも挑戦を続け、持続可能な建設業の実現を目指します。また、社会ニーズに照らし、建築・土木事業における今後の有望マーケットとしてリニューアル、環境、防災・減災、原子力発電関連、伝統・最先端の木質建築、スマートシティ、国土強靭化、インフラ更新、再生可能エネルギー関連施設等を見定め、着実に対応力強化を図っていきます。 ②収益拡大と安定化を目指す事業:不動産開発事業、エンジニアリング事業両事業は事業規模拡大のフェーズにあり、成長と同時に収益の安定化を目指し、技術・ノウハウの蓄積と深化による成長軌道の維持及び発展領域への挑戦に努めます。不動産開発事業では取組みアセットの多様化、既存ビルのバリューアップ事業、アイマーク、S・LOGI、VIEQU等のグループ不動産ブランド価値の向上、グループ内連携による不動産バリューチェーン拡大等に注力してまいります。エンジニアリング事業では、再生可能エネルギー・GX、先端・戦略製品の生産施設、DX、環境浄化等の成長分野における受注拡大に注力するとともに、洋上風力のトップランナーとして、発電施設EPC事業とSEP船運用事業で収益安定化・受注拡大を目指します。 ③スケール化を目指す事業:グリーンエネルギー開発事業、建物ライフサイクル事業これらの事業が手掛ける市場は、今後サステナビリティの観点で拡大・多様化が期待されることから、成長ドライブ加速のための投資を継続いたします。グリーンエネルギー開発事業では、再エネの電源開発と電力小売、そしてHydro Q-BiC等の水素活用技術の開発・実装に注力してまいります。建物ライフサイクル事業では、建物のライフサイクルを通じ、当社グループ全体で一貫したサービス提供と、DX、GXニーズに対応した付加価値の向上を図り、お客様の大切な不動産の価値を高め、長寿命化を実現するソリューションパートナーを目指します。 ④ビジネスモデルの確立を目指す事業:フロンティア事業フロンティア領域として、宇宙開発、海洋開発、自然共生の3分野で、それぞれ技術開発と事業モデルの確立・収益化を目指し、成長投資を継続します。宇宙開発においては、小型ロケット打上げ事業をはじめとした宇宙輸送関連事業の収益化、高精度衛星測位サービス QuartetS(カルテットエス)の事業化及び月資源利用・月面構造物建設等の研究開発を推進します。海洋開発では、浮体構造物やその係留に関する設計・施工技術の確立を進めるとともに、浮体式建築の市場創出に向けた活動を推進します。自然共生については、北海道の大規模ハウスによるイチゴ栽培をはじめとした地域農業の再生・地方創生への貢献に努めます。 ■グローバル展開海外拠点の経営自立化を重点的に推進し、エリアごとの事業機会・リスク・収益性を見究め、進出国に根差した持続的・安定的な事業展開を図る中で収益力強化を目指すとともに、拠点経営を支える人財、ガバナンス、国内外の連携及びローカルパートナーとの連携促進・M&Aを含むグローバルなプラットフォームを進化させ、東アジア・東南アジア、西南アジア・アフリカ、北米の主要エリアで、更なる飛躍を目指します。 ■業績目標及び財務KPI経営基盤強化と事業戦略・グローバル展開の着実な取組みにより、収益力向上と持続的成長に向けた堅固な足場を再構築します。 ■キャッシュアロケーション3年間で稼得する営業キャッシュフローに加え、賃貸用不動産や政策保有株式の着実な売却を通して得たキャッシュを、持続的成長に向けた投資と、積極的・継続的な株主還元に振り向け、更なる企業価値の向上に努めてまいります。 ■資本コストや株価を意識した経営の実現資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、中期経営計画〈2024‐2026〉に定めた事業戦略、成長投資、資本政策、株主還元などを着実に実行することにより、株主資本コストを上回る収益力の確保・維持に加え、持続的成長期待の創出を推進することで、企業価値向上とPBRの早期改善を目指してまいります。 「中期経営計画〈2024‐2026〉」の詳細については、下記URLよりご参照ください。https://www.shimz.co.jp/company/about/strategy/index.html#sec4 政策保有株式に関する方針・縮減状況①政策保有株式に関する方針当社は、営業政策上の必要性がある場合、主に「取引先との信頼関係の維持・強化」の目的で、政策保有株式として、取引先の株式を保有します。主要な政策保有株式については、取締役会が保有によって得られる当社の利益と取得額、株価変動リスク等を総合的に勘案して取得の可否を判断しています。保有株式については、毎年、個別銘柄毎に、株式保有に伴うコストやリスク、営業上の便益等の経済合理性を総合的に勘案のうえ、取締役会にて、保有の必要性を検証しており、検証の結果、営業上の保有意義が希薄化した株式については、取引先との信頼関係を確認しながら、適宜売却をしております。なお、当社は、資本の有効活用を図るため、2027年3月末までに政策保有株式の残高を連結純資産の20%以下とすることを目標に、取引先との対話を重ね、政策保有株式の縮減を積極的に進めております。 ②政策保有株式の縮減状況2023年度に売却した上場株式の銘柄数は16銘柄(一部売却を含む)、売却額は621億円となり、2018年度から2023年度までに売却した上場株式の銘柄数は67銘柄(一部売却を含む)、売却額は1,500億円となりました。その結果、上場株式の銘柄数は、2018年3月末時点の187銘柄から、2024年3月末時点では138銘柄へと減少しております。2024年3月末時点における政策保有株式残高の連結純資産に対する割合は、保有銘柄の株価上昇が影響し、2023年3月末の30.6%から34.8%へ上昇しておりますが、目標達成に向けて今後、縮減を加速してまいります。
経営者による財政状態の説明
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況  当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3.7%増加し2兆55億円となりました。  利益については、営業利益は246億円の損失(前連結会計年度は546億円の利益)、経常利益は198億円の損失(前連結会計年度は565億円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ65.0%減少し171億円となりました。   セグメントの業績は、以下のとおりであります。  なお、当連結会計年度から従来「その他」に含めていた「道路舗装事業」の量的な重要性が増したため、新たに報告セグメントとして区分しております。また、当連結会計年度の前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等)をご覧ください。) (当社建設事業)  売上高は、前連結会計年度に比べ1.7%増加し1兆4,629億円となりましたが、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ57.2%減少し207億円となりました。 (当社投資開発事業)  売上高は、前連結会計年度に比べ7.2%減少し826億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ27.7%減少し275億円となりました。 (道路舗装事業)  売上高は、前連結会計年度に比べ3.3%増加し1,605億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ37.5%増加し78億円となりました。 (その他)  当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社(日本道路㈱を除く)が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ15.4%増加し4,767億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ125.5%増加し279億円となりました。 ② キャッシュ・フローの状況  当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、営業活動により212億円資金が減少し(前連結会計年度は838億円の資金増加)、投資活動により53億円資金が減少し(前連結会計年度は524億円の資金減少)、財務活動により239億円資金を使用した結果(前連結会計年度は656億円の資金増加)、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ475億円減少し3,392億円となりました。 ③ 生産、受注及び販売の状況  当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では、「生産」を定義することが困難であり、また、子会社が営んでいる事業には、「受注」生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。  また、当社グループの主な事業である建設事業では、請負形態をとっているので、「販売」という概念には適合しないため、販売実績を示すことはできません。  このため、「生産、受注及び販売の状況」については、記載可能な項目を「① 経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。  なお、参考のため当社単体の事業の状況は次のとおりであります。 a. 受注(契約)高、売上高、及び次期繰越高期別種類別前期繰越高(百万円)当期受注(契約)高(百万円)計(百万円)当期売上高(百万円)次期繰越高(百万円) 第121期 自 2022年4月1日 至 2023年3月31日 建設事業 建築工事1,520,6161,142,6882,663,3051,189,5631,473,741土木工事578,965258,591837,556238,542599,014計2,099,5821,401,2793,500,8611,428,1052,072,755開発事業等93,221114,608207,829129,21978,610合計2,192,8031,515,8873,708,6911,557,3252,151,365 第122期 自 2023年4月1日 至 2024年3月31日 建設事業 建築工事1,473,7411,385,8202,859,5611,174,9721,684,589土木工事599,014335,177934,191260,007674,183計2,072,7551,720,9973,793,7531,434,9802,358,772開発事業等78,610131,183209,793142,92866,864合計2,151,3651,852,1814,003,5471,577,9092,425,637 (注) 1 前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注(契約)      高にその増減額を含んでおります。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。    2 開発事業等は、投資開発事業、エンジニアリング事業及びLCV事業等であります。  b. 受注工事高の受注方法別比率  工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。期別区分特命(%)競争(%)計(%)第121期(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)建築工事40.759.3100土木工事10.489.6100第122期(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)建築工事34.565.5100土木工事6.293.8100 (注) 百分比は請負金額比であります。  c. 売上高期別区分官公庁(百万円)民間(百万円)合計(百万円)第121期自 2022年4月1日 至 2023年3月31日 建設事業 建築工事128,2311,061,3311,189,563土木工事152,08186,460238,542計280,3131,147,7921,428,105開発事業等1,517127,702129,219合計281,8301,275,4941,557,325第122期自 2023年4月1日 至 2024年3月31日 建設事業 建築工事108,3261,066,6461,174,972土木工事151,549108,458260,007計259,8751,175,1051,434,980開発事業等1,542141,386142,928合計261,4181,316,4911,577,909 (注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。     第121期東急㈱㈱東急レクリエーション東急歌舞伎町タワー 大名プロジェクト特定目的会社福岡大名ガーデンシティ シンガポール共和国政府シンガポール国立がんセンター 東京都東京都市計画道路幹線街路環状第5の1号線 中日本高速道路㈱新東名高速道路 萱沼トンネル     第122期森ビル㈱虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業に係るA街区・B-2街区施設建築物等新築建築工事 勝どき東地区市街地再開発組合パークタワー勝どきミッド 名古屋プロパティー特定目的会社ロジポート名古屋 環境省令和2年度中間貯蔵施設(大熊2・4工区)の受入分別処理・貯蔵工事 国土交通省東京外環中央JCT北側A・Hランプシールド工事  d. 次期繰越高(2024年3月31日現在)区分官公庁(百万円)民間(百万円)合計(百万円)建設事業 建築工事211,5011,473,0881,684,589土木工事433,279240,903674,183計644,7801,713,9922,358,772開発事業等23166,63366,864合計645,0121,780,6252,425,637 (注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。日本橋一丁目中地区市街地再開発組合日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業C街区新築工事 野村不動産㈱(仮称)芝浦一丁目計画 第Ⅰ期(S棟)新築工事 豊海地区市街地再開発組合豊海地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事 フィリピン共和国政府マニラ地下鉄 CP101工区建設工事 東日本高速道路㈱東京外かく環状道路本線トンネル(南行)大泉南工事 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 経営成績の分析  2023年度の日本経済は、社会経済活動の正常化やインバウンド需要の復調等により、景気には緩やかな回復が見られました。一方で、世界的な物価高や各国の金融引き締めに加え、ウクライナ危機の長期化など国際情勢の不安定化が進み、企業活動と国民生活に広く影響を及ぼしました。  建設業界においては、公共投資の底堅い推移と民間設備投資の持ち直しの動きが見られましたが、供給面では、建設資材・エネルギー価格の高止まりや労務費の上昇等による影響があり、厳しい経営環境が続きました。  このような状況のもと、当社グループの売上高は、完成工事高及び開発事業等売上高が増加したことにより、前連結会計年度に比べ3.7%増加し2兆55億円となりました。  利益については、国内・海外の複数の大型建築工事において、工事採算の大幅な悪化に伴い工事損失引当金を計上したことにより、完成工事総利益が減少したことなどから、営業利益は246億円の損失(前連結会計年度は546億円の利益)、経常利益は198億円の損失(前連結会計年度は565億円の利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に保有株式の売却に伴う固定資産売却益などを計上した結果、前連結会計年度に比べ65.0%減少し171億円となりました。   セグメントの業績は、以下のとおりであります。  なお、当連結会計年度から従来「その他」に含めていた「道路舗装事業」の量的な重要性が増したため、新たに報告セグメントとして区分しております。また、当連結会計年度の前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等)をご覧ください。) (当社建設事業)  売上高は、前連結会計年度に比べ1.7%増加し1兆4,629億円となりましたが、セグメント利益は、工事採算の低下により前連結会計年度に比べ57.2%減少し207億円となりました。  なお、セグメント情報の当社建設事業における完成工事総利益に、引当金の繰入額及び取崩額を含めるなどの調整を行った当社個別の完成工事総利益は、前連結会計年度に比べ820億円減少し74億円の損失となりました。 (当社投資開発事業)  売上高は、前連結会計年度に比べ7.2%減少し826億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ27.7%減少し275億円となりました。 (道路舗装事業)  売上高は、前連結会計年度に比べ3.3%増加し1,605億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ37.5%増加し78億円となりました。 (その他)  当社が営んでいるエンジニアリング事業、LCV事業及び子会社(日本道路㈱を除く)が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ15.4%増加し4,767億円となり、セグメント利益は、SEP船による洋上工事の利益が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ125.5%増加し279億円となりました。 ② 財政状態の分析  当連結会計年度末の資産の部は、受取手形・完成工事未収入金等や株式相場の上昇に伴う保有株式(投資有価証券)の含み益の増加などにより、前連結会計年度末に比べ907億円増加し2兆5,387億円となりました。  当連結会計年度末の負債の部は、支払手形・工事未払金等は減少しましたが、工事損失引当金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ499億円増加し1兆5,907億円となりました。  連結有利子負債の残高は6,031億円となり、前連結会計年度末に比べ259億円増加しました。  当連結会計年度末の純資産の部は、自己株式の取得を実施したものの、保有株式の時価の上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ407億円増加し9,480億円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.2ポイント上昇し35.0%となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析  当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、営業活動により212億円、投資活動により53億円、財務活動により239億円それぞれ資金が減少した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ475億円減少し3,392億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)  営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益335億円を計上しましたが、仕入債務の減少などにより212億円の資金減少となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)  投資活動によるキャッシュ・フローは、イノベーション拠点の建設に伴う固定資産の取得などにより53億円の資金減少となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)  財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払などにより239億円の資金減少となりました。 ④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報  当社グループの資金需要の主なものは、建設事業における工事代金の立替金や販売費及び一般管理費などの営業活動に伴う支出、不動産開発事業における賃貸事業用資産の取得などの設備投資に伴う支出であります。これらの資金需要に対し、自己資金に加え、金融機関からの借入金やノンリコース借入金などの有利子負債を活用することにより、必要資金の調達を行う方針であります。  また、当社グループは、2024年5月に策定した「中期経営計画〈2024‐2026〉」において、経営基盤強化、事業戦略、グローバル展開を推進するとともに、経営数値目標の達成と資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、2024年度から3年間で人財、生産性向上・研究開発、不動産開発、グリーンエネルギー開発、新規事業などに3,600億円の投資を計画しております。これらの資金需要に対しては、事業の着実な推進により営業キャッシュフローを増加させるとともに、賃貸不動産等の売却や政策保有株式の段階的縮減を継続し、創出したキャッシュにより、必要資金の調達を行う方針であります。  なお、財務体質の健全性を維持するため「中期経営計画〈2024‐2026〉」では、自己資本比率を35%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を1.0倍以内、また、中長期的(次期中期経営計画期間中)には、自己資本比率40%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を0.7倍程度とすることを財務上のKPIとして設定しております。 ⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末日時点の状況をもとに種々の見積りを行っておりますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なることがあります。当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 (工事契約における収益認識)当社グループは、工事契約について、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、工事原価総額に対する発生原価の割合に基づき算定しております。収益の認識にあたり、工事原価総額の変動は、履行義務の充足に係る進捗度の算定に影響を与えるため、期末日における工事原価総額を合理的に見積る必要がありますが、工事は一般に長期にわたることから、建設資材単価や労務単価等が請負契約締結後に想定を超えて大幅に上昇する場合など、工事原価総額の見積りには不確実性を伴うため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (固定資産の減損)当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しておりますが、市況の変動などにより前提条件に変更があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等  2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」の最終年度である2023年度の実績及び2024年5月に策定した「中期経営計画〈2024‐2026〉」における経営数値目標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

※本記事は「清水建設株式会社」の令和6年3月期 有価証券報告書を参考に作成しています。

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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