清水建設株式会社の基本情報

会社名清水建設株式会社
業種建設業
従業員数連21286名 単11163名
従業員平均年齢43.7歳
従業員平均勤続年数16年
平均年収10116000円
1株当たりの純資産1260.48円
1株当たりの純利益(連結)94.8円
決算時期3月
配当金38円
配当性向42.6%
株価収益率(PER)14倍
自己資本利益率(ROE)(連結)7.6%
営業活動によるCF1590億円
投資活動によるCF78億円
財務活動によるCF▲711億円
研究開発費※1212億円
設備投資額※1328億円
販売費および一般管理費※19523.83億円
株主資本比率※228.4%
有利子負債残高(連結)※35019.38億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) シミズグループの中長期的な経営方針当社は、1887年に相談役としてお迎えした渋沢栄一翁の教えである道徳と経済の合一を旨とする「論語と算盤」を「社是」とし、この考え方を基に、「真摯な姿勢と絶えざる革新志向により 社会の期待を超える価値を創造し 持続可能な未来づくりに貢献する」ことを「経営理念」として定めております。当社は、2030年を見据えたシミズグループの長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」を定めるとともに、その実現に向けて、2024年5月に、当社は、「中期経営計画〈2024‐2026〉」を策定しました。 「SHIMZ VISION 2030」■目指す姿『スマート イノベーション カンパニー』建設事業の枠を超えた不断の自己変革と挑戦、多様なパートナーとの共創を通じて、時代を先取りする価値を創造(スマート イノベーション)し、人々が豊かさと幸福を実感できる、持続可能な未来社会の実現に貢献します。 ■シミズグループが社会に提供する価値イノベーションを通じた価値の提供により、SDGsの達成に貢献します。①安全・安心でレジリエント※1な社会の実現地震や巨大台風、豪雨などの自然災害リスクが高まる中、生活と事業を災害から守ることが求められております。強靭な建物・インフラの構築を通じて、安全・安心でレジリエントな社会の実現に貢献していきます。・強靭な社会インフラの構築・建物・インフラの長寿命化・防災・減災技術の普及・ecoBCP※2の普及※1 レジリエント:強くしなやかで復元力がある※2 ecoBCP:平常時の節電・省エネ(eco)対策と非常時の事業継続(BCP)対策を両立する施設・まちづくり ②健康・快適に暮らせるインクルーシブ※な社会の実現高齢化や人口減少、都市化などの急速な社会変化が進む中、誰もが安心して快適に暮らせる社会が求められております。人に優しい施設やまちづくりを通じて、健康・快適に暮らせるインクルーシブな社会の実現に貢献していきます。・ICTを活用したまちづくり・ユニバーサルデザインの普及・Well-beingの提供・人類の活躍フィールドの拡大(海洋、宇宙へ)※インクルーシブ:すべての人が社会の一員として参加できる ③地球環境に配慮したサステナブル※な社会の実現地球温暖化や森林破壊、海洋汚染などが深刻化する中、次世代に豊かな地球を残すことが求められております。環境負荷低減を目指す企業活動を通じて、地球環境に配慮したサステナブルな社会の実現に貢献していきます。・再生可能エネルギーの普及 ・省エネ・創エネ、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化の推進・事業活動におけるCO2排出量削減・自然環境と生物多様性の保全※サステナブル:地球環境を保全しつつ持続的発展が可能な ■ビジョンの達成に向けて3つのイノベーションの融合により、新たな価値を創造するスマート イノベーション カンパニーを目指します。①事業構造のイノベーションビジネスモデルの多様化とグローバル展開の加速、及び、グループ経営力の向上 ②技術のイノベーション建設事業の一層の強化に向けた生産技術の革新と未来社会のメガトレンドに応える先端技術の開発 ③人財のイノベーション多様な人財が活躍できる“働き方改革”の推進と社外人財との“共創”による「知」の集積 ■目指す収益構造スマート イノベーション カンパニーへの進化により、2030年度に連結経常利益2,000億円以上を目指します。連結売上利益の構成は、事業別では、建設65%、非建設35%、地域別では、国内75%、海外25%を想定しております。 「中期経営計画〈2024‐2026〉」■位置付け及び基本方針社是「論語と算盤」及び経営理念を体現し、長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」で示した目指す姿を実現するための実行計画として中期経営計画〈2024‐2026〉を位置付けるとともに、役員・従業員一人ひとりが新たなマインドセット「超建設※」を共有し、本中期経営計画を実践することとしました。中期経営計画〈2024‐2026〉の基本方針は、前中期経営計画〈2019‐2023〉の振返りにより浮き彫りとなった諸課題をふまえ、「持続的成長に向けた経営基盤の強化」としました。この基本方針及びそれに基づく事業展開は、「超建設」のマインドセットの下、レジリエント・インクルーシブ・サステナブルな社会の実現に象徴される「お客様・社会への提供価値」を常に念頭において実践してまいります。※超建設:当社グループにおいて大切にしてきた価値を基礎とし、既存の事業や組織の枠を超えて、お客様や社会の本質的なニーズや課題を積極的に探究しつつ、建設をはじめとするあらゆる事業を通じて、お客様や社会に新しい価値を提供し、その結果、当社グループも共に成長していくという考え方 ■経営基盤の強化中期経営計画〈2024‐2026〉を構成する第一の柱として「経営基盤の強化」を挙げております。経営基盤のコアである人財と組織力の成長と、当社グループ内の諸機能の連携を強化することによりサステナビリティ経営の進化を図ることを通じ、戦略実行力の向上を目指します。 ①人財と組織力の成長当社グループは、人財の成長を支援する仕組みを整備することによって「挑戦し共創する多様な人財」を育成し、そうした人財が経営戦略・事業戦略の実現に貢献するとともに、経営が更なる人財の成長機会・基盤を提供することで、従業員の自己実現と自律的なキャリア形成を可能にします。それらが好循環の原動力となり、経営基盤のコアである「人財の力・組織カルチャー・マネジメント力」を強化することで、経営戦略・事業戦略の実現と、人財・従業員の自己実現・自律的なキャリア形成を推進していきます。 ②機能連携の強化によるサステナビリティ経営の進化企業の社会的責任と事業機会の探究を両立しながら環境・社会・経済の全てで持続可能性を実現するサステナビリティ経営を体現します。これに向けて、重要視する機能としてマーケティング、技術開発・知的財産、デジタル、グローバル化、サプライチェーン、グループ経営の6つを特定し、全社横断でそれらの連携を強めて戦略実行力を強化することにより、企業の社会的責任と事業機会探究の両面でサステナビリティ経営の進化を目指します。 ■非財務KPI中期経営計画〈2024‐2026〉では、経営基盤の強化で掲げた「人財と組織力の成長」及び「機能連携の強化によるサステナビリティの進化」をふまえ、従業員のエンゲージメント・多様性・専門性に加え、ESGの観点で選定した合計9つの指標を設定し、PDCAサイクルによるモニタリングを実施します。 ■事業戦略中期経営計画〈2024‐2026〉における事業戦略では、各事業セグメントの成長段階と位置付けの整理に基づき、各事業に応じた戦略の方向性を策定し、事業ポートフォリオの充実を図ってまいります。 ①更なる収益力向上を目指す事業:建設事業(建築・土木)当社グループの建設事業は、「高収益な事業体質への転換」及び「ものづくりの魅力を追求できる生産体制の再構築」の2つの方向性を目指して重点施策を構成し、技術・品質の追求と収益力向上に取り組みます。同時に、建設業界が共通に抱える課題にも挑戦を続け、持続可能な建設業の実現を目指します。また、社会ニーズに照らし、建築・土木事業における今後の有望マーケットとしてリニューアル、環境、防災・減災、原子力発電関連、伝統・最先端の木質建築、スマートシティ、国土強靭化、インフラ更新、再生可能エネルギー関連施設等を見定め、着実に対応力強化を図っていきます。 ②収益拡大と安定化を目指す事業:不動産開発事業、エンジニアリング事業両事業は事業規模拡大のフェーズにあり、成長と同時に収益の安定化を目指し、技術・ノウハウの蓄積と深化による成長軌道の維持及び発展領域への挑戦に努めます。不動産開発事業では取組みアセットの多様化、既存ビルのバリューアップ事業、アイマーク、S・LOGI、VIEQU等のグループ不動産ブランド価値の向上、グループ内連携による不動産バリューチェーン拡大等に注力してまいります。エンジニアリング事業では、再生可能エネルギー・GX、先端・戦略製品の生産施設、DX、環境浄化等の成長分野における受注拡大に注力するとともに、洋上風力のトップランナーとして、発電施設EPC事業とSEP船運用事業で収益安定化・受注拡大を目指します。 ③スケール化を目指す事業:グリーンエネルギー開発事業、建物ライフサイクル事業これらの事業が手掛ける市場は、今後サステナビリティの観点で拡大・多様化が期待されることから、成長ドライブ加速のための投資を継続します。グリーンエネルギー開発事業では、再エネの電源開発と電力小売、そしてHydro Q-BiC等の水素活用技術の開発・実装に注力してまいります。建物ライフサイクル事業では、建物のライフサイクルを通じ、当社グループ全体で一貫したサービス提供と、DX、GXニーズに対応した付加価値の向上を図り、お客様の大切な不動産の価値を高め、長寿命化を実現するソリューションパートナーを目指します。 ④ビジネスモデルの確立を目指す事業:フロンティア事業フロンティア領域として、宇宙開発、海洋開発、自然共生の3分野で、それぞれ技術開発と事業モデルの確立・収益化を目指し、成長投資を継続します。宇宙開発においては、小型ロケット打上げ事業をはじめとした宇宙輸送関連事業の収益化、高精度衛星測位サービス QuartetS(カルテットエス)の事業化及び月資源利用・月面構造物建設等の研究開発を推進します。海洋開発では、浮体構造物やその係留に関する設計・施工技術の確立を進めるとともに、浮体式建築の市場創出に向けた活動を推進します。自然共生については、北海道の大規模ハウスによるイチゴ栽培をはじめとした地域農業の再生・地方創生への貢献に努めます。 ■グローバル展開海外拠点の経営自立化を重点的に推進し、エリアごとの事業機会・リスク・収益性を見究め、進出国に根差した持続的・安定的な事業展開を図る中で収益力強化を目指すとともに、拠点経営を支える人財、ガバナンス、国内外の連携及びローカルパートナーとの連携促進・M&Aを含むグローバルなプラットフォームを進化させ、東アジア・東南アジア、西南アジア・アフリカ、北米の主要エリアで、更なる飛躍を目指します。 ■業績目標及び財務KPI経営基盤強化と事業戦略・グローバル展開の着実な取組みにより、収益力向上と持続的成長に向けた堅固な足場を再構築します。 ■キャッシュアロケーション3年間で稼得する営業キャッシュフローに加え、賃貸用不動産や政策保有株式の着実な売却を通して得たキャッシュを、持続的成長に向けた投資と、積極的・継続的な株主還元に振り向け、更なる企業価値の向上に努めてまいります。 ■資本コストや株価を意識した経営の実現資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、中期経営計画〈2024‐2026〉に定めた事業戦略、成長投資、資本政策、株主還元などを着実に実行することにより、株主資本コストを上回る収益力の確保・維持に加え、持続的成長期待の創出を推進することで、企業価値向上とPBRの早期改善を目指してまいります。 「中期経営計画〈2024‐2026〉」の詳細については、下記URLよりご参照ください。https://www.shimz.co.jp/company/about/strategy/index.html#sec4 (2) 経営環境2024年度の当社グループの経営環境については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①経営成績の分析」に記載のとおりであります。2025年度の日本経済は、雇用・所得環境の改善や、堅調な企業収益等を背景とした緩やかな回復が期待されますが、通商政策など米国の政策動向や金融資本市場の変動等の影響を受けるおそれがあります。建設業界においては、公共投資は堅調な推移が見込まれますが、海外経済の不確実性が民間設備投資に与える影響や建設コストの上昇傾向の継続に加え、担い手不足の一層の進行等の懸念材料もあり、動向を引き続き注視する必要があります。 (3) 対処すべき課題■中期経営計画〈2024‐2026〉の達成に向けた取組み「経営基盤の強化に向けた新たなスタートの年」と位置付けた2024年度は、収益力向上や品質確保などの経営課題に全社を挙げて取り組んでまいりました。2025年度も、新たな経営体制の下、引き続き中期経営計画〈2024‐2026〉の4つの柱である①経営基盤の強化、②事業戦略、③グローバル展開、④資本政策・成長投資を着実に実行し、当社グループの企業価値向上と持続的成長の実現に結び付けてまいります。 ①経営基盤の強化経営基盤の強化のうち「人財と組織力の成長」においては、経営戦略・事業戦略と連動した人財マネジメント体系の再構築を目指して、人事制度の改正やスキル、適性等の可視化・一元管理システムの導入、人財育成施策の整備などを進めております。従業員が成長する機会・体験とそのための制度や仕組みを提供することで、「挑戦し共創する多様な人財」を育成し、経営基盤のコアである「人財の力」、「組織カルチャー」、「マネジメント力」の強化を実現してまいります。また、中期経営計画で重要視する6つの機能(マーケティング、技術開発・知的財産、デジタル、グローバル化、サプライチェーン、グループ経営)の連携強化に向けた取組みとして、部門単独では解決できない課題に対する部門横断の対話や深堀りを推進しております。今後も柔軟かつスピード感ある機能連携を目指し、企業の社会的責任の遂行と事業機会の探究を両立したサステナビリティ経営を実践してまいります。 ②事業戦略事業戦略については、事業ごとの重要課題・重点取組み事項への確実な対処、実行により、事業ポートフォリオの最適化を図ってまいります。 ③グローバル展開グローバル展開においては、拠点経営の自立化による進出国に根差した持続的・安定的な事業展開の実現に向けて、海外直轄拠点を会社組織とみなすカンパニー制を導入しました。海外拠点のガバナンス強化と拠点の力量に応じた権限移譲を進めることで、拠点経営を支えるグローバルプラットフォームの進化を図ってまいります。なお、2024年11月にシンガポールの内装工事会社「Grandwork Interior Pte Ltd」を子会社化、2025年2月に米国の改修・内装工事会社「Cross Management Corp.」をグループ会社化しました。引き続き、グローバル事業の成長戦略の一環として、事業の強化・拡大に資するアライアンスやM&Aを進めていく方針であります。 ④資本政策・成長投資業績、財務KPI、非財務KPIの目標に対する2024年度の実績は以下のとおりであります。 成長投資については、中期経営計画〈2024-2026〉の期間中における計画値3,600億円に対し、2025年3月末時点で698億円の実績となりました。事業の着実な推進により営業キャッシュフローを増加させるとともに、賃貸不動産等の売却や政策保有株式の縮減を継続し、創出したキャッシュを持続的成長に向けた投資、株主のみなさまへの還元に配分してまいります。 引き続き、資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、成長戦略、資本政策、株主還元を柱として、株主資本コストを上回る収益力の確保・維持に加え、持続的成長期待の創出を推進することで、企業価値とPBRの向上に取り組んでまいります。 ■政策保有株式に関する方針・縮減状況 ①政策保有株式に関する方針当社は、営業政策上の必要性がある場合、主に「取引先との信頼関係の維持・強化」の目的で、政策保有株式として取引先の株式を保有しております。主要な政策保有株式については、取締役会が保有によって得られる当社の利益と取得額、株価変動リスク等を総合的に勘案して取得の可否を判断しております。また、保有株式については、毎年、個別銘柄毎に、保有に伴うコストやリスク、営業上の便益等の経済合理性を総合的に勘案のうえ、取締役会にて保有の必要性を検証しており、検証の結果、保有意義が希薄化した株式については、取引先との信頼関係を確認しながら、売却を進めております。 ②政策保有株式の縮減状況当社は、2024年11月12日開催の取締役会において、「資本コストや株価を意識した経営」を一層推進するため、政策保有株式の残高について、従来の目標(2027年3月末までに連結純資産の20%以下)については1年前倒しの2026年3月末までに達成するとともに、2027年3月末までに連結純資産の10%以下とする目標を新たに設定しております。2024年度に売却した上場株式の銘柄数は31銘柄(一部売却を含む)、売却額は586億円となり、2018年度から2024年度までに売却した上場株式の銘柄数は91銘柄(一部売却を含む)、売却額は2,086億円となりました。その結果、上場株式の銘柄数は、2018年3月末時点の187銘柄から、2025年3月末時点では123銘柄へと減少しております。なお、2025年3月末時点における政策保有株式残高の連結純資産に対する割合は27.0%となっております。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況  当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3.0%減少し1兆9,443億円となりました。  利益については、営業利益は710億円(前連結会計年度は246億円の損失)、経常利益は716億円(前連結会計年度は198億円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ284.6%増加し660億円となりました。   セグメントの業績は、以下のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。) (当社建設事業)  売上高は、前連結会計年度に比べ5.6%減少し1兆3,808億円となりましたが、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ171.4%増加し564億円となりました。 (当社投資開発事業)  売上高は、前連結会計年度に比べ35.2%減少し535億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ38.9%減少し168億円となりました。 (道路舗装事業)  売上高は、前連結会計年度に比べ2.4%増加し1,642億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ26.3%増加し98億円となりました。 (その他)  当社が営んでいるエンジニアリング事業、グリーンエネルギー開発事業、建物ライフサイクル事業及び子会社(日本道路㈱を除く)が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ4.2%増加し4,965億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ10.7%減少し249億円となりました。 ② キャッシュ・フローの状況  当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、財務活動により711億円資金が減少しましたが(前連結会計年度は239億円の資金減少)、営業活動により1,590億円資金が増加し(前連結会計年度は212億円の資金減少)、投資活動により78億円資金が増加した結果(前連結会計年度は53億円の資金減少)、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ989億円増加し4,381億円となりました。 ③ 生産、受注及び販売の状況  当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では、「生産」を定義することが困難であり、また、子会社が営んでいる事業には、「受注」生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。  また、当社グループの主な事業である建設事業では、請負形態をとっているので、「販売」という概念には適合しないため、販売実績を示すことはできません。  このため、「生産、受注及び販売の状況」については、記載可能な項目を「① 経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。  なお、参考のため当社単体の事業の状況は次のとおりであります。 a. 受注(契約)高、売上高、及び次期繰越高期別種類別前期繰越高(百万円)当期受注(契約)高(百万円)計(百万円)当期売上高(百万円)次期繰越高(百万円) 第122期 自 2023年4月1日 至 2024年3月31日 建設事業 建築工事1,473,7411,385,8202,859,5611,174,9721,684,589土木工事599,014335,177934,191260,007674,183計2,072,7551,720,9973,793,7531,434,9802,358,772開発事業等78,610131,183209,793142,92866,864合計2,151,3651,852,1814,003,5471,577,9092,425,637 第123期 自 2024年4月1日 至 2025年3月31日 建設事業 建築工事1,684,5891,048,3142,732,9041,099,2901,633,614土木工事674,183228,689902,873282,673620,200計2,358,7721,277,0043,635,7771,381,9632,253,814開発事業等66,864127,215194,080119,55674,523合計2,425,6371,404,2203,829,8571,501,5192,328,337 (注) 1 前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注(契約)      高にその増減額を含んでおります。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。    2 開発事業等は、投資開発事業、エンジニアリング事業、グリーンエネルギー開発事業及び建物ライフサイクル事業等であります。  b. 受注工事高の受注方法別比率  工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。期別区分特命(%)競争(%)計(%)第122期(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)建築工事34.565.5100土木工事6.293.8100第123期(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)建築工事62.038.0100土木工事14.385.7100 (注) 百分比は請負金額比であります。  c. 売上高期別区分官公庁(百万円)民間(百万円)合計(百万円)第122期自 2023年4月1日 至 2024年3月31日 建設事業 建築工事108,3261,066,6461,174,972土木工事151,549108,458260,007計259,8751,175,1051,434,980開発事業等1,542141,386142,928合計261,4181,316,4911,577,909第123期自 2024年4月1日 至 2025年3月31日 建設事業 建築工事108,853990,4361,099,290土木工事165,372117,300282,673計274,2261,107,7371,381,963開発事業等772118,784119,556合計274,9981,226,5211,501,519 (注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。     第122期森ビル㈱虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業に係るA街区・B-2街区施設建築物等新築建築工事 勝どき東地区市街地再開発組合パークタワー勝どきミッド 名古屋プロパティー特定目的会社ロジポート名古屋 環境省令和2年度中間貯蔵施設(大熊2・4工区)の受入分別処理・貯蔵工事 国土交通省東京外環中央JCT北側A・Hランプシールド工事     第123期野村不動産㈱BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S キオクシア㈱キオクシア岩手第2製造棟工事 ㈱西武リアルティソリューションズSMFLみらいパートナーズ㈱エミテラス所沢 PT PLN(インドネシア 国有電力会社)アサハン第3水力発電所Lot-Ⅰ (独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構相鉄・東急直通線、新横浜駅他  d. 次期繰越高(2025年3月31日現在)区分官公庁(百万円)民間(百万円)合計(百万円)建設事業 建築工事164,0941,469,5191,633,614土木工事410,226209,973620,200計574,3211,679,4932,253,814開発事業等1,94272,58074,523合計576,2631,752,0732,328,337 (注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。三菱地所㈱大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業(TOKYO TORCH)Torch Tower(B棟)新築工事 日本橋一丁目中地区市街地再開発組合日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業C街区新築工事 豊海地区市街地再開発組合豊海地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事 フィリピン共和国政府マニラ地下鉄 CP101工区建設工事 東日本高速道路㈱東京外かく環状道路本線トンネル(南行)大泉南工事 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 経営成績の分析  2024年度の日本経済は、雇用・所得環境の改善の下、インバウンド需要の拡大等により景気の緩やかな回復が継続しましたが、国内の物価上昇の継続や国際情勢の不安定化に伴う景気の下押しリスクが、企業活動と国民生活に広く影響を及ぼしました。  建設業界においては、公共投資の底堅い推移と民間設備投資の持ち直しの動きが見られましたが、供給面では、建設資材やエネルギー価格、労務費をはじめとする建設コストの上昇等による影響があり、厳しい経営環境が続きました。  このような状況の下、当社グループの売上高は、完成工事高及び開発事業等売上高が減少したことにより、前連結会計年度に比べ3.0%減少し1兆9,443億円となりました。  利益については、開発事業等総利益が減少したものの、国内建築工事の工事採算が持ち直したことなどにより、完成工事総利益が増加したことなどから、営業利益は710億円(前連結会計年度は246億円の損失)、経常利益は716億円(前連結会計年度は198億円の損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に保有株式の売却に伴う固定資産売却益などを計上した結果、前連結会計年度に比べ284.6%増加し660億円となりました。   セグメントの業績は、以下のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また、報告セグメントの利益は、連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。) (当社建設事業)  売上高は、前連結会計年度に比べ5.6%減少し1兆3,808億円となりましたが、セグメント利益は、工事採算の改善により前連結会計年度に比べ171.4%増加し564億円となりました。  なお、セグメント情報の当社建設事業における完成工事総利益に、引当金の繰入額及び取崩額を含めるなどの調整を行った当社個別の完成工事総利益は、前連結会計年度に比べ1,165億円増加し1,091億円となりました。 (当社投資開発事業)  開発物件の売却が減少したことなどにより、売上高は、前連結会計年度に比べ35.2%減少し535億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ38.9%減少し168億円となりました。 (道路舗装事業)  売上高は、前連結会計年度に比べ2.4%増加し1,642億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ26.3%増加し98億円となりました。 (その他)  当社が営んでいるエンジニアリング事業、グリーンエネルギー開発事業、建物ライフサイクル事業及び子会社(日本道路㈱を除く)が営んでいる各種事業の売上高は、前連結会計年度に比べ4.2%増加し4,965億円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ10.7%減少し249億円となりました。 ② 財政状態の分析  当連結会計年度末の資産の部は、現金同等物(現金預金及び有価証券に含まれる譲渡性預金)は増加したものの、受取手形・完成工事未収入金等及び保有株式の売却に伴う投資有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べ149億円減少し2兆5,237億円となりました。  当連結会計年度末の負債の部は、工事損失引当金は減少しましたが、支払手形・工事未払金等や預り金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ92億円増加し1兆5,999億円となりました。  連結有利子負債の残高は5,913億円となり、前連結会計年度末に比べ118億円減少しました。  当連結会計年度末の純資産の部は、保有株式の売却や保有株式の時価の下落に伴うその他有価証券評価差額金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ242億円減少し9,238億円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.9ポイント低下し34.1%となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析  当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、財務活動により711億円資金が減少しましたが、営業活動により1,590億円、投資活動により78億円それぞれ資金が増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末に比べ989億円増加し4,381億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)  営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,083億円の計上や売上債権の減少などにより1,590億円の資金増加となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)  投資活動によるキャッシュ・フローは、賃貸事業をはじめとする事業用固定資産の取得や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得を行いましたが、保有株式の売却などにより78億円の資金増加となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)  財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や借入金の返済などにより711億円の資金減少となりました。 ④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報  当社グループの資金需要の主なものは、建設事業における工事代金の立替金や販売費及び一般管理費などの営業活動に伴う支出、不動産開発事業における賃貸事業用資産の取得などの設備投資に伴う支出であります。これらの資金需要に対し、自己資金に加え、金融機関からの借入金やノンリコース借入金などの有利子負債を活用することにより、必要資金の調達を行う方針であります。  また、当社グループは、2024年5月に策定した「中期経営計画〈2024‐2026〉」において、持続的成長に向けた投資として、2024年度から3年間で人財、生産性向上・研究開発、不動産開発、グリーンエネルギー開発、新規事業などに3,600億円の投資を計画しており、加えて、M&Aなどの更なる企業価値向上に向けた投資も計画しております。これらの資金需要に対しては、事業の着実な推進により営業キャッシュフローを増加させるとともに、賃貸不動産等の売却や政策保有株式の縮減を継続し、創出したキャッシュにより、必要資金の調達を行う方針であります。  なお、財務体質の健全性を維持するため「中期経営計画〈2024‐2026〉」では、自己資本比率を35%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を1.0倍以内、また、中長期的(次期中期経営計画期間中)には、自己資本比率40%以上、負債資本倍率(D/Eレシオ)を0.7倍程度とすることを財務上のKPIとして設定しております。 ⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末日時点の状況をもとに種々の見積りを行っておりますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なることがあります。当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 (工事契約における収益認識)当社グループは、工事契約について、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、工事原価総額に対する発生原価の割合に基づき算定しております。収益の認識にあたり、工事原価総額の変動は、履行義務の充足に係る進捗度の算定に影響を与えるため、期末日における工事原価総額を合理的に見積る必要がありますが、工事は一般に長期にわたることから、建設資材単価や労務単価等が請負契約締結後に想定を超えて大幅に上昇する場合など、工事原価総額の見積りには不確実性を伴うため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (固定資産の減損)当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しておりますが、市況の変動などにより前提条件に変更があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等  2024年5月に策定した「中期経営計画〈2024‐2026〉」の初年度である2024年度の実績は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

※本記事は「清水建設株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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