日本テレビホールディングス株式会社の基本情報

会社名日本テレビホールディングス株式会社
業種情報・通信業
従業員数連5771名 単227名
従業員平均年齢48.7歳
従業員平均勤続年数17.4年
平均年収13903413円
1株当たりの純資産3833.19円
1株当たりの純利益(連結)183.42円
決算時期3月
配当金40円
配当性向144.4%
株価収益率(PER)16.7倍
自己資本利益率(ROE)(連結)4.9%
営業活動によるCF478億円
投資活動によるCF▲263億円
財務活動によるCF▲160億円
研究開発費※15.47億円
設備投資額※1109.34億円
販売費および一般管理費※1949.49億円
株主資本比率※259%
有利子負債残高(連結)※338.23億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。 (1)経営環境及び対処すべき課題当社グループは、メディア・コンテンツ事業においては、地上波テレビ放送で長年培ってきたコンテンツ制作力と媒体力をコアコンピタンスとし、事業を拡大し成長させてまいりました。しかし、インターネットメディアの普及等に伴うコンテンツ視聴環境の変化や、それに伴う広告手法の進化によって、インターネット広告へのシフト、動画配信市場の拡大等が進み、テレビが持つメディアとしてのパワーの維持が大きな課題となっています。また、オリンピック等の大型スポーツイベントを中心に放送権料が高騰しているほか、AIの活用などの新技術対応のためのコストも必要となり、収益の確保が難しくなってきていると認識しています。一方で、インターネットを通じた動画配信事業は、社会のデジタルシフトを受け、市場全体が右肩上がりに成長していくことが見込まれているものの、豊富な資金力を有する外資系企業が日本に進出しているほか、国内配信事業の統合もあり、会員獲得に多額の投資が必要なビジネスモデルとなっていることから、厳しい競争環境に晒されています。生活・健康関連事業においては、総合型スポーツクラブから特化型スポーツクラブへの利用者ニーズの移行に伴い、小規模事業者の新規参入が容易な状況となっており、24時間営業のトレーニングジム、ホットヨガ、ストレッチ専門店等に加え、アプリ等を利用した自主トレーニングなど多様化が進んでおります。また、コロナ禍において減少した会員数の回復に時間を要しているなど、厳しい状況が継続しています。また、人権尊重のために企業が果たすべき社会的責任として、人権方針の策定、人権デューデリジェンスなどを進めてきました。しかし、メディア業界全体についてハラスメントなど重大な人権課題を指摘されており、今後はより一層、実効的な人権救済システムの整備、取引先を含めた意識の啓発、ガバナンス全体の体制強化などが求められております。これらに加えて、急激な社会のデジタル化へのシフト、不安定な世界情勢、甚大な被害を伴う自然災害といった外的要因による大きな経営環境の変化が生じております。当社グループはこのような経営環境の変化に適切に対処し、進化していくことが重要な課題であると認識しております。当社グループはこの度、経営理念を改定し、経営ビジョンを新しく定めるとともに、2025年度から2027年度を計画期間とする中期経営計画を策定いたしました。前中期経営計画2022-2024においては「コンテンツ中心主義」の下、良質なコンテンツ提供により地上波広告収入を確保するとともに、グローバル動画配信プラットフォームに向けたコンテンツ供給を推進しました。また、スタジオジブリの子会社化など将来の成長に向けた投資にも積極的に取り組んできました。中期経営計画2025-2027は、10年後にありたい姿としての経営ビジョン「コンテンツの力で、“世界”を変える。」実現に向け、強靱な地上波テレビネットワークを基盤とし、「日テレ、開国! Gear up, go global」をスローガンに、コンテンツ製作領域に注力することでグローバルコンテンツ企業への変革を推進する取り組みと目標を示すものです。 (2) 経営理念及び経営ビジョン 経営理念 正確で速やかな報道、良質なコンテンツの提供と、多彩な文化の創造により、人々の生活を豊かなものにする。 経営ビジョン コンテンツの力で、“世界”を変える。Change the‘World’ Through the Power of Content 日本テレビグループが「感動×信頼のNo.1企業」として実現したいのは、私たち1人1人が紡ぎ出す様々なサービス、プロダクトを含めた「コンテンツ」を通じて、豊かな未来を創り出すこと。よりよい未来が拡がる“世界”に向けて、私たちはこれからも「コンテンツ」を生み出し、作り、そして届けていきます。 (3) 長期目標 当社グループは、今後3つの中期経営計画を経て、2033年度に連結売上高7,000億円(うち海外売上高1,000億円)、連結営業利益700億円を目指します。 地上波広告ビジネスとコンテンツビジネスの両輪で売上を創出し、2033年度にはコンテンツビジネスをグループの中核事業にしていきます。 (4) 中期経営計画2025-2027 中期経営計画2025-2027のスローガン 日テレ、開国!Gear up, go global 日本発グローバルコンテンツメーカーへ 中期経営計画2025-2027 重点目標 グローバルコンテンツ企業への変革IP(知的財産)創出にこだわったコンテンツビジネスの展開企画開発におけるAIの活用、テクノロジーの積極的導入生活者に貢献するウェルネス事業の拡大1,000億円の投資枠設定による成長支援の加速報道の信頼性向上と社会課題解決への貢献 「売上高5,400億円」、「営業利益580億円」へ ①中期経営計画2025-2027定量目標 最終年度(2027年度)に、連結売上高は過去最高の5,400億円、連結営業利益は580億円を目指します。 (単位:億円) 2024年度実績2027年度目標連結売上高4,619 5,400  コンテンツ・メディア事業*4,309 4,960  コンテンツビジネス1,329 1,870 広告事業2,4822,500物販事業334360イベント・テーマパーク事業163 230 ウェルネス事業*264 400 不動産関連事業45 40 連結営業利益549 580  *2026年3月期第1四半期より、従来「メディア・コンテンツ事業」としていた報告セグメントの名称を「コンテンツ・メディア事業」に、「生活・健康関連事業」としていた報告セグメントの名称を「ウェルネス事業」に変更いたします。これらの変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。 ②中期経営計画2025-2027の取り組み  A グローバルコンテンツ企業への変革 放送や国内市場を主なターゲットとしてきた企画・制作体制を、海外市場を強く意識した体制に再構築し、海外市場での売上拡大を実現していきます。 コンテンツのグローバル化ドラマの世界配信や国際共同製作のほか、海外でのバラエティフォーマット販売を拡充します。また、細田守監督の最新作「果てしなきスカーレット」の全米公開など、コンテンツのグローバル展開を進めていきます。2027年度の海外売上高300億円を実現します。 コンテンツのグローバル展開体制を構築海外向け制作スタジオ「GYOKURO STUDIO」を新設するとともに、米国ロサンゼルスに新たなビジネス拠点を開設します。また、海外の有力スタジオとのパートナーシップ契約の締結を進めていきます。 「見たい」コンテンツを多様なチャネルで展開TVer、Huluでのリーチ拡大を軸に、グローバル配信プラットフォームとの連携を通じてコンテンツの世界展開を進めます。地上波放送でも、リアルタイムで視聴されるコンテンツの開発を強化していきます。 スタジオジブリ作品の海外展開スタジオジブリ作品は、劇場公開や配信を通じて、海外でも多くの方にご覧いただいています。関連商品や出版物の展開や、展示や舞台なども継続的に開催予定です。 B IP(知的財産)創出にこだわったコンテンツビジネスの展開 オリジナルコンテンツの開発や他社とのアライアンスを強化し、ドラマ、映画、音楽、キャラクタービジネスでIPを生み出す基盤を作り、多面的な収益を獲得します。 多様なオリジナルIP創出とIP協業の推進アーティスト、キャラクター、アニメなどを中心に、パートナー企業との連携や協業を進めてオリジナルIPの創出を実現します。国内のみならずグローバル市場でのIPビジネス拡大を進めます。 組織強化とコンテンツプロダクション連携による製作体制の増強社内組織の強化に加え、本年4月に資本業務提携したKANAMEL社をはじめとした多くのコンテンツプロダクションとの連携を強め、IP創出を実現する確固たる製作体制を築きます。 C 企画開発におけるAIの活用、テクノロジーの積極的導入 AIの活用によるコンテンツ開発・制作モデルを確立し、よりクリエイティブな環境の下、ヒットコンテンツの量産につなげます。また、テクノロジーによるテレビ広告ビジネスの変革を主導します。 コンテンツ企画制作へのAIエージェントの実装AIによる支援を通じ、限られたリソースを最適化することでクリエイティブ力を強化する「コンテンツテクノロジー戦略」を推進し、コンテンツ制作数の拡大や質向上につなげます。 アドテクを活用した地上波広告ビジネスの変革本年4月にスタートした運用型地上波広告「スグリー」を拡大していきます。2027年度には取引先数を2倍とすることを目指します。 D 生活者に貢献するウェルネス事業の拡大 成長ポテンシャルが高いウェルネス市場の中で、まずは当社グループのウェルネス事業の中核であるティップネスを中心とした“運動”分野から、人々の生活を豊かにする活動を推進します。併せて、日本テレビグループの基盤である信頼性をもとに、エビデンスに基づいた最先端のウェルネス情報を発信していきます。 E 1,000億円の投資枠設定による成長支援の加速 戦略的な投資と予算の投下により、各事業の成長支援を加速することに加え、新規事業開発や不動産事業の推進により、収益基盤の強化を目指します。 戦略的投資と戦略費投下による成長投資の加速合計で1,000億円の成長投資枠を設定します。コンテンツ・グローバル領域、ウェルネス領域、新規事業領域に戦略的投資を行うほか、社内事業の育成や業務を変革するための戦略的な費用投下を進めます。 人材と資金の積極投入による新規事業開発の推進収益基盤の多様化に向け、事業のフェーズに応じて、戦略的予算の投下や分社化、M&Aなどの施策を迅速に実施していきます。売上高50億円以上の事業を継続的に創出、育成していきます。 既存アセットの有効活用とコンテンツビジネスを支える不動産事業の推進保有する資産の有効活用を通じ、コンテンツビジネスを持続可能なものにする不動産事業を推進します。また、スポーツ・エンタメの興行会場をはじめとした多様なアセット投資を行っていきます。 F 報道の信頼性向上と社会課題解決への貢献 報道機関として信頼性を追求し、ネットワークの強靱化を図るとともに、サステナビリティ活動を通じて社会課題の解決に貢献していきます。 報道機関としての信頼性追求国民から信頼される正確・迅速かつ公平・公正なニュースを提供し、日本テレビのニュースブランドを世界に確立します。また、調査報道の強化で日本の社会課題解決のきっかけを生み出していきます。 日本テレビネットワークの強靭化新たに設立された読売中京FSホールディングス株式会社(FYCSHD)及び、ネットワーク各社とさらに緊密な連携を進め、地域社会の発展や活性化に貢献していきます。 サステナブルな社会に向けた取り組み「サステナビリティポリシー」で定めた6つの重要課題へ積極的に取り組みます。企業や自治体のメディアパートナーとして、社会課題解決に向けた共創事業を推進し、社会的価値の創出と拡大に努めます。 すべての人の人権が尊重される社会に向けた取り組み人権がより尊重されるビジネス実現のための人権デューデリジェンスを推進していきます。また、多様性をテーマにした番組キャンペーンや啓発イベント等を積極的に発信していきます。 G 資本政策・株主還元方針 2025年度から2027年度の間に生み出したキャッシュフローで成長投資を賄い、収益基盤の拡大を目指します。政策保有株を縮減し、継続的で安定的な株主還元を基本方針としつつ、総還元性向35%以上を新たな目標とします。果敢な投資を通じて成長戦略を推進し、企業価値の向上に邁進していきます。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、予想される将来のキャッシュ・フローや経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告されている数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」にて記載しておりますが、経営者による見積りを要する主な会計方針及びそれらに内在する見積り要素は下記のとおりです。なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5「経理の状況」の連結財務諸表の「重要な会計上の見積り」に記載しております。① 貸倒引当金の計上売上債権等の貸倒損失に備えるため回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。将来、債務者の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。 ② 棚卸資産、番組勘定の評価棚卸資産、番組勘定は、評価基準として原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。市場の需給動向や回収可能額を超える番組制作費の発生等により、棚卸資産、番組勘定の収益性が低下した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。 ③ 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。 ④ 退職給付に係る負債及び退職給付費用の算定退職給付に係る負債及び退職給付費用は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算定されております。これらの前提条件には、長期的な金利水準、将来の給付水準、退職率等が含まれますが、実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。 ⑤ 固定資産の減損処理固定資産については、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失として計上しております。回収可能価額は、正味売却価額と使用価値のいずれか大きい方としていることから、不動産取引相場や賃料相場が変動した場合や固定資産の収益性が低下した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。 ⑥ 投資の減損処理所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。将来の市況悪化や投資先の業績不振など、現在の投資簿価に反映されていない損失が発生するなどにより投資簿価の回収が困難となった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。 (2) 経営成績の概要・分析当連結会計年度における我が国の経済を概観すると、景気は一部に足踏みが残るものの緩やかに回復しており、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあって、回復の継続が期待されています。しかしながら、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策などアメリカの政策動向による影響などが、我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、金融資本市場の変動等の影響にも十分注意する必要があります(政府「月例経済報告」2025年3月)。 こうした経済環境の中、2024年の日本の総広告費(暦年、㈱電通調べ)は、過去最高の7兆6,730億円(前年比+4.9%)と3年連続で過去最高を更新しました。このうち地上波テレビ広告費は1兆6,351億円(+1.6%)となりました。インターネット広告費は3兆6,517億円(+9.6%)と引き続き好調に推移し、このうちテレビ番組の見逃し配信やリアルタイム配信サービスなどテレビメディア放送事業者が主体となったインターネット動画配信の広告費である「テレビメディア関連動画広告費」が653億円(+47.4%)と引き続き大きく伸長しました。 テレビメディア広告費(関連動画広告費含む)とインターネット広告費(暦年)(単位:億円) 2021年2022年2023年2024年テレビメディア広告費18,39318,01917,34717,605(うち地上波テレビ関連)17,18416,76816,09516,351インターネット広告費27,05230,91233,33036,517テレビメディア関連動画広告費249350443653 (㈱電通調べ「2023年/2024年 日本の広告費」) このような状況の下、当社グループは、在京キー局間の2024年の年間・年度の平均個人視聴率では、ゴールデン帯(19時~22時)でトップを獲得しました。また、平均コア視聴率(男女13歳~49歳) では、全日帯(6時~24時)・プライム帯(19時~23時)・ゴールデン帯(19時~22時)のすべてでトップとなり、年間は12年連続・年度は13年連続で「コア視聴率三冠王」を獲得しました。 日本テレビの年度平均個人視聴率と在京キー局間の順位(関東地区個人視聴率) 2021年度2022年度2023年度2024年度全日帯4.0%(1位)3.6%(1位)3.5%(1位)3.4%(2位)プライム帯5.8%(1位)5.4%(2位)5.2%(2位)5.0%( 2位)ゴールデン帯6.2%(1位)5.8%(1位)5.6%(1位)5.3%( 1位) (㈱ビデオリサーチ調べ) 日本テレビの年度平均コア視聴率と在京キー局間の順位(関東地区コア視聴率) 2021年度2022年度2023年度2024年度全日帯3.3%(1位)2.9%(1位)2.6%(1位)2.4%( 1位)プライム帯5.2%(1位)4.7%(1位)4.3%(1位)3.9%( 1位)ゴールデン帯5.5%(1位)4.9%(1位)4.5%(1位)4.1%( 1位) (㈱ビデオリサーチ調べ) 当連結会計年度における当社グループの売上高は、主たる事業であるメディア・コンテンツ事業において、スポット収入やデジタル広告収入、大阪・関西万博の受注などのコンテンツ制作収入、番組キャラクターグッズ等の物品販売収入が好調であったほか、前第1四半期連結会計期間以降に3社を連結子会社化した影響などにより、前連結会計年度に比べ383億9千1百万円(+9.1%)増収の4,619億1千5百万円となりました。売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用は、事業費や諸経費が増加したほか、前第1四半期連結会計期間以降に3社を連結子会社化した影響などにより、前連結会計年度に比べ253億5千1百万円(+6.6%)増加の4,069億9千8百万円となりました。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ130億4千万円(+31.1%)増益の549億1千7百万円、経常利益は162億2千1百万円(+32.8%)増益の657億2千4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は113億4千万円(+32.7%)増益の460億円となりました。  セグメント別の経営成績は次のとおりです。 (メディア・コンテンツ事業)地上波テレビ広告収入のうちタイム収入は、「パリ2024オリンピック」や「MLB開幕シリーズ2025」などのスポーツ中継番組のセールスが堅調だったものの、レギュラー番組セールスの減速が続き、前連結会計年度に比べ1億1千3百万円(△0.1%)減収の1,050億3千9百万円となりました。スポット収入は、地区投下量が前連結会計年度を上回る中、在京キー局の中で高いシェアを維持したことにより、30億5千1百万円(+2.7%)増収の1,169億2千5百万円となりました。この結果、地上波テレビ広告収入は前連結会計年度に比べ29億3千7百万円(+1.3%)増収の2,219億6千4百万円となりました。BS・CS広告収入は、㈱BS日本におけるスポット収入が好調だったことにより、前連結会計年度に比べ7億9千5百万円(+5.3%)増収の157億7千1百万円となりました。デジタル広告収入は、民放公式テレビ配信サービス「TVer」における動画広告セールスが堅調に推移し、前連結会計年度に比べ36億6千2百万円(+53.4%)増収の105億2千2百万円となりました。コンテンツ販売収入は、前第3四半期連結会計期間において㈱スタジオジブリを連結子会社化した影響や、ドラマのグローバル配信事業者向けセールスが好調だったことにより、前連結会計年度に比べ134億6千6百万円(+16.9%)増収の932億3千7百万円となりました。コンテンツ制作収入は、㈱ムラヤマにおける大阪・関西万博などの受注に加えて、ドラマやスポーツの制作受託が堅調だったことにより、前連結会計年度に比べ48億2千7百万円(+19.9%)増収の290億6千2百万円となりました。物品販売収入は、前第1四半期連結会計期間においてla belle vie㈱を、第1四半期連結会計期間より㈱ライツ・インを連結子会社化した影響や、番組キャラクターグッズ等の販売好調により、前連結会計年度に比べ101億8百万円(+43.4%)増収の334億1千2百万円となりました。興行収入は、映画事業において「キングダム 大将軍の帰還」などの当年度公開作品が好調であったことや、「アンパンマンこどもミュージアム」の入場者数が堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ11億4千5百万円(+7.9%)増収の156億8千5百万円となりました。その他の収入は、前連結会計年度に比べ12億5千9百万円(+13.5%)増収の106億4百万円となりました。この結果、メディア・コンテンツ事業の売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ375億5千2百万円(+9.5%)増収の4,311億2千万円、営業利益は前連結会計年度に比べ136億5千1百万円(+35.4%)増益の521億9千万円となりました。 メディア・コンテンツ事業の外部顧客への売上高の内訳は次ページの表のとおりです。当社グループにおける地上波テレビ広告収入は、2024年度はやや持ち直したものの漸減傾向となっています。このため、地上波テレビ広告収入の在京キー局間トップを継続しながら、媒体力を明確に示す為のデータ活用や、クライアントのニーズに即したセールス改革を通じて、テレビ広告の価値向上に努めております。また、インターネット広告へのシフトが進む中、広告付き無料動画配信を営む民放公式テレビポータル「TVer」によるデジタル広告収入の伸長を継続しております。加えて、㈱スタジオジブリやla belle vie㈱の連結子会社化、グローバル配信事業者に向けたドラマセールスの展開など、収益基盤の多角化に努めております。今後は、「日テレ、開国! Gear up, go global」をスローガンに、海外市場を強く意識した企画・制作体制を推進し、海外市場での売上拡大を実現してまいります。外部顧客への売上高(メディア・コンテンツ事業)(単位:百万円) 2021年度2022年度2023年度2024年度地上波テレビ広告収入タイム121,066111,392105,153105,039スポット124,534120,343113,874116,925計245,601231,735219,027221,964BS・CS広告収入15,39315,18414,97515,771デジタル広告収入4,5755,1556,86010,522コンテンツ販売収入71,13273,71679,77193,237コンテンツ制作収入―22,00624,23529,062物品販売収入19,44418,09523,30433,412興行収入5,7809,87914,54015,685不動産賃貸収入445608676672その他の収入17,3617,9759,34510,604合計379,733384,358392,736430,934 (生活・健康関連事業)スポーツクラブ運営による施設利用料収入を主とする生活・健康関連事業の売上高は、キッズ会費収入の増加などにより、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ2億9千9百万円(+1.1%)増収の267億5千5百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ3億5千1百万円(△65.2%)減益の1億8千7百万円となりました。当社グループは、健康ニーズに迅速・的確に応えるコンテンツ・サービスの開発に取り組み、減少した会員数の回復を図ると共に、生活者に有益なウェルネス事業開発を推進しております。 (不動産関連事業)汐留及び番町地区を主とする不動産関連事業の売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ3億2千3百万円(+2.9%)増収の115億3千万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ1億4千4百万円(+3.3%)増益の44億4千5百万円となりました。当社グループは、不動産賃貸事業を行っており、保有地の活用検討を進めております。 (3) 財政状態の概要・分析(資産)流動資産は、現金及び預金が減少した一方、購入に伴う有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べ356億1千4百万円増加し、3,518億1千3百万円となりました。固定資産は、購入や時価上昇に伴う投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べ132億4百万円増加し、8,803億4百万円となりました。この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ488億1千8百万円増加し、1兆2,321億1千7百万円となりました。(負債)流動負債は、未払金が減少した一方、未払費用の増加などにより、前連結会計年度末に比べ3億1千6百万円増加し、1,185億9千9百万円となりました。固定負債は、リース債務が減少した一方、投資有価証券の時価上昇に伴う繰延税金負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ48億5百万円増加し、1,225億2千6百万円となりました。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ51億2千2百万円増加し、2,411億2千5百万円となりました。(純資産)純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加や、投資有価証券の時価上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ436億9千6百万円増加し、9,909億9千2百万円となりました。なお、主要な自己資本比率の推移は下記のとおりです。 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本比率(%)79.680.877.677.9時価ベースの自己資本比率(%)30.628.149.462.1 (4) キャッシュ・フローの状況の概要・分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は下記の通りです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、478億9千8百万円となりました(前連結会計年度は446億6千9百万円の資金の増加)。これは主に、税金等調整前当期純利益690億9千1百万円や減価償却費の計上134億1千9百万円による増加があった一方で、投資有価証券売却損益98億8千6百万円の計上や法人税等の支払い202億9千6百万円による減少があったことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、263億7千5百万円となりました(前連結会計年度は74億9千3百万円の資金の増加)。これは主に、投資有価証券の取得による支出620億3千1百万円や有価証券の取得による支出350億円による減少があった一方で、有価証券の償還等による収入577億6千8百万円や投資有価証券の償還等による収入101億8千3百万円による増加があったことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、配当金の支払い103億4千7百万円や自己株式の取得による支出35億1千7百万円等により160億6千5百万円となりました(前連結会計年度は149億6千万円の資金の減少)。 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より57億6千7百万円増加し、1,182億3千9百万円となりました。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性に係る情報は下記の通りです。(基本的な考え方)当社グループはこの度、経営理念を改定し、経営ビジョンを新しく定めるとともに、2025年度から2027年度を計画期間とする中期経営計画を策定いたしました。これは10年後にありたい姿としての経営ビジョン「コンテンツの力で、“世界”を変える。」実現に向け、強靭な地上波テレビネットワークを基盤とし、「日テレ、開国! Gear up, go global」をスローガンに、コンテンツ製作領域に注力することでグローバルコンテンツ企業への変革を推進する以下の取り組みと目標を示すものです。(ア) グローバルコンテンツ企業への変革(イ) IP(知的財産)創出にこだわったコンテンツビジネスの展開(ウ) 企画開発におけるAIの活用、テクノロジーの積極的導入(エ) 生活者に貢献するウェルネス事業の拡大(オ) 1,000億円の投資枠設定による成長支援の加速(カ) 報道の信頼性向上と社会課題解決への貢献(キ) 資本政策・株主還元方針中期経営計画2025-2027の詳細につきましては、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]をご覧ください。また、株主還元の詳細につきましては、「第4[提出会社の状況]2[自己株式の取得等の状況]及び3[配当政策]」をご参照ください。 (経営資源の配分に関する考え方)当社グループは、上記経営計画に従い、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めてまいります。また、安定的な経営及び事業展開に伴う資金需要等に対して機動的に対応するため、十分な現金及び現金同等物を保有しております。特に報道機関としての使命を果たすべく、いかなる有事でも放送を維持するための緊急時資金として2,000億円を手許資金として継続保有することといたします。これらの事業活動等にかかわる資金以外につきましては金融情勢等を勘案しつつ、適切な金融商品にて運用してまいります。 (資金需要の主な内容と資金調達)当社グループにおける資金需要の主な内容は、当社及び子会社が事業活動を行っていく上で必要な運転資金、投資枠設定による成長支援の加速に沿った投資資金、現有設備の更新を中心とした設備投資や当社グループの人的資本にかかわる投資資金、株主還元方針に沿った株主還元にかかわる資金及び有利子負債の返済資金等であります。これらの資金需要につきましては、主に事業活動によって獲得する自己資金によって賄う予定ですが、加えて、一部の政策保有株式の縮減によって得た資金を充当する予定です。これらを超える資金需要が発生する場合には、当社グループを取り巻く環境や金融情勢等を勘案しつつ、当該時点で最適と考えられる方法により資金調達を行います。なお、当連結会計年度末における有利子負債の概要は以下の通りです。 年度別要支払額(百万円) 合計1年以内1年超3年以内3年超5年以内5年超短期借入金2,3992,399---長期借入金1,424-1,424--リース債務7,0581,4382,2851,5111,822 このほか、オペレーティング・リース取引を行っており、解約不能のものに係る未経過リース料は137億4千1百万円(1年以内:41億3千3百万円、1年超:96億8百万円)です。 (5) 生産、受注及び販売の実績① 制作(生産)実績当社グループの主たる事業であるメディア・コンテンツ事業の大きな柱は地上波テレビ放送事業であり、下記に記載のプライム帯(19~23時)などの番組を中心にタイムテーブルを編成し、広告枠の販売を行いました。当連結会計年度における日本テレビ放送網㈱の番組制作費は、レギュラー番組を中心にコストコントロールを行ったことに加え、前連結会計年度に計上した「パリ2024オリンピック」の放送権料に係る評価損の反動等により、前連結会計年度に比べ16億1千5百万円(△1.8%)減少の877億1千5百万円となりました。 (主な地上波レギュラー番組)[プライム帯(19~23時)](バラエティ他) (ドラマ)番組名 番組名月有吉ゼミ 土4月期花咲舞が黙ってない 世界まる見え!テレビ特捜部  街並み照らすヤツら しゃべくり007 7月期GO HOME~警視庁身元不明人相談室~ 月曜から夜ふかし マル秘の密子さん火ヒューマングルメンタリーオモウマい店 10月期放課後カルテ 踊る!さんま御殿!! 潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官 ザ!世界仰天ニュース 1月期相続探偵 カズレーザーと学ぶ。 アンサンブル水有吉の壁 日4月期ACMA:GAMEアクマゲーム 1億人の大質問!?笑ってコラえて! 7月期降り積もれ孤独な死よ 上田と女が吠える夜 10月期若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私- 世界頂グルメ(注) 1月期ホットスポット木THE突破ファイル ぐるぐるナインティナイン 秘密のケンミンSHOW極 [情報・報道番組] ダウンタウンDX 番組名金ニノさん(注) 月~金ZIP! 沸騰ワード10 DayDay. 金曜ロードショー ヒルナンデス!土嗚呼!!みんなのどうぶつ園 news every. with MUSIC(注) news zero日ザ!鉄腕!DASH!! 土 ズームイン!!サタデー 世界の果てまでイッテQ! 日シューイチ 行列のできる相談所 真相報道バンキシャ! (注) 当連結会計年度内に改編を行っております。 (主な地上波単発番組)[当連結会計年度] [(参考)前連結会計年度]番組名 番組名 5月ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ2024 5月ワールドレディスチャンピオンシップ        サロンパスカップ20237月THE MUSIC DAY 2024 サプライズ 7月THE MUSIC DAY 2023 あなたを変えた音7~8月パリ2024オリンピック 8~9月24時間テレビ47「愛は地球を救う」愛は地球を救うのか? 8月24時間テレビ46「愛は地球を救う」明日のために、今日つながろう。 8~9月 FIBAバスケットボールワールドカップ202310月NNN 衆院選 zero選挙2024 9~10月ラグビーワールドカップ2023 フランス12月史上最大32名×超高額自腹!!ピタリでたら1000万円 大晦日もゴチになります!SP 12月笑って年越し!THE笑晦日1月第101回東京箱根間往復大学駅伝競走 1月第100回東京箱根間往復大学駅伝競走3月MLB開幕シリーズ2025 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円) 前年同期比(%)メディア・コンテンツ事業2,93037.45,53455.1生活・健康関連事業----不動産関連事業----合計2,93037.45,53455.1 (注) 当初に予想される契約期間が1年以内の契約については受注実績に含めておりません。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)前年同期比(%)メディア・コンテンツ事業430,934109.7生活・健康関連事業26,408100.2不動産関連事業4,572103.0合計461,915109.1 (注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。2.当社グループは、主要な顧客である広告主に対し、広告代理店を通じてテレビ広告枠の販売などを行っております。最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合を広告代理店別に示すと次のとおりです。相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)㈱電通111,35526.3115,42525.0㈱博報堂DYメディアパートナーズ72,48017.174,05216.0 (6) 経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」に記載のとおりです。 (7) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (4) 中期経営計画 2025-2027 ①中期経営計画2025-2027定量目標」に記載のとおりです。

※本記事は「日本テレビホールディングス株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

スポンサーリンク

連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

コメント