| 会社名 | 山九株式会社 |
| 業種 | 陸運業 |
| 従業員数 | 連29614名 単12292名 |
| 従業員平均年齢 | 41.3歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 15.1年 |
| 平均年収 | 6411000円 |
| 1株当たりの純資産 | 5580.58円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 570.99円 |
| 決算時期 | 3月 |
| 配当金 | 232円 |
| 配当性向 | 50.3% |
| 株価収益率(PER) | 10.74倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 10.7% |
| 営業活動によるCF | 435億円 |
| 投資活動によるCF | ▲264億円 |
| 財務活動によるCF | ▲253億円 |
| 研究開発費※1 | -円 |
| 設備投資額※1 | 22.92億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 512.37億円 |
| 株主資本比率※2 | 40.6% |
| 有利子負債残高(連結)※3 | 712.29億円 |
経営方針
| 1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、「人を大切にすることを基本理念とし、お客様にとってなくてはならない存在としての山九を築きます。そして、社業の発展を通じて社員の福祉向上並びに社会の発展に貢献します。」とする経営理念のもと、各事業分野における豊富な実績と、技術・技能に裏付けられた質の高いサービスを提供することにより、お客様・株主・従業員・社会(地域)から信頼を獲得し、世の中から選ばれる企業であり続ける事を目指してまいります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題世界の人口構造変化、地政学的リスクの高まり、気候変動対応やデジタル技術の進展に伴う競争激化など、当社グループを取り巻く環境は、先を見通すことが難しい混沌とした状況が続いています。そのような環境下、我々の最も重要な経営資源である「人」の確保に関わる労働力不足の問題をはじめ、サプライチェーンの変化、カーボンニュートラル、DXなど、様々な事業環境変化による課題への対応が迫られています。このような状況を踏まえ、2023年度を初年度とする「Vision2030」、「中期経営計画2026」を2023年1月に公表いたしました。当計画に基づき、急速に変化する事業環境においても、世界の産業を支え続けるという使命を果たしていけるよう、取り組んでまいります。 <Vision 2030>1.パーパス「心に「Thank you」を、世界の産業に山九を。」私たち山九は自分たちを取り巻く様々な人たちへ常に感謝の念を忘れません。その想いを分かち合うパートナーとともに、 新たな価値を創造し、世界の産業とその先にある暮らしを支え続けます。 2.あるべき姿「人・社会・環境への感謝」を事業で実現する人間力企業 3.長期経営戦略2030あるべき姿を実現するための3つの方針方針1.事業ポートフォリオのマネジメントと再構築 将来の事業環境変化に備え、人材・投資を適切に管理し、経営資源を最適配分する仕組みの構築 ・経営資源の有効活用を目的とした事業ポートフォリオマネジメント ・データ活用による経営意思決定の高度化(経営の見える化) 方針2.既存顧客の領域拡大(ビジネスモデル革新) 最新技術の活用による生産性向上と新たな付加価値サービスの構築 ・現場の知恵とテクノロジーを融合した事業モデルの構築(DX) ・サービスの付加価値創造(人にしか出来ない作業の追求) 方針3.成長市場への挑戦 ソリューション力を高め、社会課題解決への対応力強化 ・山九グループの強みを活かした新規事業創出 ・海外(グローバル)展開の強化 ・グリーン成長戦略の強化 <中期経営計画2026> 直近の急速な事業環境の変化に伴い、中期経営計画の見直しを行いました。中期経営計画における4つの基本戦略の取り組みは変えずに、物流事業におけるコスト構造を意識した収益力の改善、機工事業への人的投資、資本収益性のバランスの最適化を目指してまいります。また、物流事業のコスト構造の変革によって創出された人材をリスキリングすることで、機工事業やコーポレートスタッフとして活躍させてまいります。1.4つの基本戦略(1)既存事業の収益力強化世の中の変化が加速する中においても、中期4年間においては、既存領域における需要は旺盛であると見込んでいます。安全・品質・技術・技能・生産性を徹底的に高めて差別化を図り、顧客ニーズを捉え、確実な案件獲得に繋げてまいります。 (2)海外事業拡大日本で培った事業のノウハウ・強みを活かして海外展開を拡大してまいります。日系企業に留まらず、現地の有力企業との取引拡大を見据え、海外ナショナル社員の育成拠点整備、物流施設の整備を進め、サービスレベルの高度化、グローバルな人材の流動化を図ることで、海外売上高比率を高めてまいります。 (3)グリーン機会の獲得・準備主要顧客においても、既にカーボンニュートラルに向けた取り組みが進んでおり、将来の機会獲得に向けた積極的な顧客へのサポートや、必要な技術・人材等への先行投資を行ってまいります。再生可能エネルギー関連等の事業拡大も図り、既存事業の需要を獲得しながら、将来の事業機会獲得に備えることで、継続的な事業拡大・成長を図ってまいります。 (4)新規事業領域進出我々がこれまで培ってきた物流・操業・設備工事・メンテナンスなどの既存の強みを活かし、新たな事業領域への拡大に挑戦することで、事業の可能性を広げてまいります。 2.基本戦略を支える機能強化と経営基盤強化(1)機能強化①人材強化事業拡大に必要な人材を確保・育成し、個人の能力と組織のパフォーマンスを最大化②DX推進現場力(人)とデジタル/先進技術を融合し、生産性向上とビジネスモデル変革を推進③パートナー連携強化パートナーとの協調・協創による機能の補完・拡充 (2)経営基盤強化、リスクマネジメント安全・品質・コンプライアンス・ガバナンス強化の継続、及び多様化する事業環境変化に対して、中期計画を確実に進めるためのリスクマネジメントの強化を行ってまいります。 3.各事業戦略基本戦略に基づき、物流・機工各事業の戦略を策定し、持続的成長に向けた取り組みを推進してまいります。 (1)物流事業物流事業においては、2026年のあるべき姿を「顧客ロジスティクスの最適化・高度化を担うソリューション企業」と定めておりますが、今般の中期経営計画見直しにおいて、当社の強みが活かせる鉄鋼・化学・電気電子業界にターゲット業界の絞り込みを行いました。2030年の長期に向けては、個別の顧客から業界全体の最適化を提供することを目指してまいります。あるべき姿の実現に向け、以下の戦略を推進してまいります。 ①既存事業の収益力改善当社の強みである、鉄鋼・化学・電気電子業界をターゲット業界として、オペレーション部門における多重構造の見直しや、中国の市場環境に順応させた事業運営体制のスリム化等のコスト構造改革を行い、強固な収益構造の再構築に取り組んでまいります。 ②デジタル化・自動化とデータ連携強化事業拡大の最も重要な要素として、デジタル化・自動化等による顧客とのデータ連携強化を図ってまいります。基幹システムの再構築によるビッグデータの蓄積、自動化・省力化設備の積極的な導入により、顧客の最適なサプライチェーンの構築、CO2削減、生産性向上などに寄与する、ソリューション物流企業を目指してまいります。 ③パートナーとの協調・協創、不足機能の補完・拡充国内外において効率的に事業を推進するために補完・拡充が必要な機能については、外部パートナーとの協調・協創を推進することで、目標達成を目指してまいります。 (2)機工事業機工事業においては、2026年のあるべき姿を「基盤事業の盤石化と成長事業への挑戦」と定義し、2030年の長期に向けては、保全・工事ノウハウを進化させ、世界の成長領域で戦えるポジションの確立を目指してまいります。あるべき姿の実現に向け、以下の戦略を推進してまいります。 ①収益基盤となる事業の深化と強化既存の主要業界である、石油・化学・鉄鋼の分野においては、国内外において引き続き旺盛な需要があると見込んでおり、強みである動員力や技術・技能を活かし、既存領域における事業強化を図ってまいります。今後、人手不足が深刻化する中でサービスの高度化を実現するために、人材リソースや技術・技能のデータベース化、プロジェクト管理のシステム化、最新技術を用いた予防保全サービスの提供など、効率化・生産性向上に向けたDX推進を実施してまいります。 ②成長事業と新規事業への挑戦既存事業で培ってきたノウハウと強みを活かし、国内外の中規模EPCや、再生可能エネルギーなどのグリーン関連事業、老朽化する社会インフラのメンテナンスなど、成長領域・新規領域における事業の拡大を図ってまいります。電気・計装などの補強が必要な機能は、外部のパートナーを選定し、資本提携等の手段も含めて連携することで機能強化を図ってまいります。 ③プロジェクトマネージャー・エンジニアの育成と流動化機工事業の拡大に最も重要な要素となる、プロジェクトマネージャー・エンジニアの育成に関しては、日本・東南アジア・中東の3つの人材育成拠点、エンジニアリング拠点を整備し、グローバルに人材育成と流動化を図ってまいります。また、物流事業から創出した人材への積極的なリスキリングを行い、品質を保ちながら事業機会の拡大に努めてまいります。 (3) 投資計画2026年度までの中期4年間、2030年度までの長期8年間における累計の成長投資額および人材投資額は、次のとおりであります。 中期4年間累計(見直し前)中期4年間累計(見直し後)長期8年間累計成長投資額1,000億円規模900億円規模1,600億円規模人材投資額150億円規模150億円規模300億円規模 (4) 目標とする経営指標①財務指標 財務指標中期目標2026年度(見直し前)中期目標2026年度(見直し後)長期目標2030年度売上高6,300億円 以上6,600億円7,000億円 以上営業利益率6.7% 以上7.1%8.0% 以上海外売上高成長率(2021年度比)25% UP25% UP65% UPROIC8.0% 水準9.0%10.0% 水準 ②非財務指標 非財務指標中期目標2026年度長期目標2030年度CO2排出量削減(2020年度比)(Scope1,2、単体及び国内連結子会社)18% 削減42% 削減女性管理職比率9.5%11.0% (5) 資本政策中期経営計画2026においては、事業活動における安定した営業キャッシュ・フローの創出を見込んでいる一方、中期4年間において将来の持続的成長に向けた多くの戦略投資を計画しています。財務の健全性・安定性を確保しながら、負債も積極的に活用し成長投資に充てることで資本コストの抑制を図る方針に変更はありませんが、今般の中期経営計画見直しにより「配当性向40%水準」に加え、この期間において下限配当として「前年度1株当たり年間配当額」を設定し、自己株式の取得については4年間で700億円を実施することといたします。上記の資本政策を実施することで、より充実した株主還元を図り、資本効率性を重視しながら企業価値の最大化を目指してまいります。 指標中期目標2026年度(見直し前)中期目標2026年度(見直し後)ROE10% 水準10%ROIC8.0% 水準9.0%配当性向40% 水準40% 水準4年間の総還元性向70% 水準100% 水準4年間の自己株取得額400億円700億円 また併せて、最適自己資本額につきましては、2030年度に2,700億円水準に設定し、過去最高のROE水準を目指してまいります。 |
経営者による財政状態の説明
| 4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1) 業績当連結会計年度における世界経済は、サービス業が世界的に好調を維持し、インフレ圧力の緩和で消費回復、IT関連財の需要回復で情報通信サービスが好調に推移しました。一方、製造業における生産活動の回復が力強さに欠け、関税リスクの高まりが景気の不確実性を増しております。米国では、良好な所得環境が個人消費を下支えし、EV関連を中心に設備投資が堅調に推移しました。中国では、インフラ投資・設備投資において政策的回復の動きを見せましたが、外需の低迷、住宅販売・個人消費の低迷等が内需を中心に影響し、日系企業の生産活動にも影響しました。東南アジアでは、IT関連財の需要回復で輸出が好調に推移し、インフレ圧力の緩和で内需も堅調に推移しておりますが、化学業界ではメンテナンス案件が端境期で減少しました。国内経済では、半導体需要、サービス輸出は堅調に推移しておりますが、中国景気の減速で対中輸出に影響がでております。また、国内需要は、人手不足の影響はありますが、価格転嫁の動き、化学業界の旺盛なメンテナンス需要、堅調な設備更新・環境関連投資に支えられ、回復の動きを見せています。 このような経済情勢の下、当連結会計年度における売上高は6,067億91百万円と前連結会計年度に比べ7.7%の増収、利益面においては営業利益が439億45百万円と24.8%の増益、経常利益が446億79百万円と22.0%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益が307億47百万円と26.1%の増益となりました。 セグメントごとの業績は次のとおりであります。① 物流事業 港湾国際では、新規作業の開始及び国内のプロジェクト輸送案件、倉庫保管・梱包作業が増加しました。3PL一般では、国内での鋼材・化学品関連等の保管・輸送作業の増加があった一方で、消費財等の取扱いが減少。また、中国域内での自動車部品・消費財の輸送作業等、内需不振の影響を受けて低調に推移しました。構内では、国内客先の単価改定の進展、出荷作業の増加に加え、中東での新規作業の増加及び昨年度計上した追加コストの剥落影響等がでております。以上の結果、物流事業全体の売上高は2,955億64百万円と前期比4.0%の増収、セグメント利益(営業利益)は96億81百万円と前期比20.2%の増益となりました。なお、当連結会計年度の売上高に占める割合は48.7%であります。 ② 機工事業設備工事では、国内産業の設備更新・脱炭素需要等を背景に、鉄鋼・化学・環境関連工事での据付・建設工事の増加に加え、米国でのEV関連の工場建設・増強工事が増加しました。メンテナンスでも、国内SDM(大型定期修理工事)の工事量がメジャー年による影響で増加したことに加え、日常メンテナンス作業も好調に推移しました。以上の結果、機工事業全体の売上高は2,832億89百万円と前期比12.1%の増収、セグメント利益(営業利益)は320億1百万円と前期比27.4%の増益となりました。なお、当連結会計年度の売上高に占める割合は46.7%であります。 ③ その他鉄鋼関連工事及びSDMの工事量増加に伴い機材賃貸が増加しました。以上の結果、その他全体の売上高は279億37百万円と前期比4.7%の増収、セグメント利益(営業利益)は22億18百万円と前期比20.2%の増益となりました。なお、当連結会計年度の売上高に占める割合は4.6%であります。 (2) 財政状態の状況① 資産当連結会計年度末における総資産は5,451億89百万円であり、前連結会計年度末に比べ401億43百万円増加しました。この増加の主な要因は、売掛金と契約資産の増加、海外での建設仮勘定の増加等によるものです。 ② 負債当連結会計年度末における負債の部は2,481億26百万円であり、前連結会計年度末に比べ285億13百万円増加しました。この増加の主な要因は、長期および短期借入金の増加等によるものです。 ③ 純資産当連結会計年度末における純資産の部は、2,970億63百万円であり、前連結会計年度末に比べ116億29百万円増加しました。この増加の主な要因は、配当金の支払いおよび自己株式の取得による減少と当期純利益の差等によるものです。その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末を2.0ポイント下回る53.8%、D/Eレシオについては前連結会計年度末より0.02ポイント増加し、0.28倍となっております。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ54億63百万円減少し、当連結会計年度末残高は413億84百万円となりました。 ① 営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における営業活動による資金の増加額は、435億32百万円となりました。前連結会計年度との比較では、税金等調整前当期純利益が増加したこと、法人税等の税金支払い額が減少したこと等により、資金の収入は218億円増加しました。 ② 投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における投資活動による資金の減少額は、264億72百万円となりました。前連結会計年度との比較では、固定資産の取得による支出が増加したこと等により、資金の支出は80億38百万円増加しました。 ③ 財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における財務活動による資金の減少額は、253億13百万円となりました。前連結会計年度との比較では、社債の発行による収入がなかったこと、長期借入金の返済による支出が増加したこと等により、資金の支出は161億71百万円増加しました。 (生産、受注及び販売の状況)当社連結グループが営んでおります事業では生産実績を定義することは困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。 (1) 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメント名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)物流事業295,4163.8587△20.1機工事業296,08913.493,94315.8その他27,9116.2832△3.1合計619,4178.395,36315.3 (2) 売上実績当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメント名称売上高(百万円)前年同期比(%)物流事業295,5644.0機工事業283,28912.1その他27,9374.7合計606,7917.7 (注)1.当社連結グループの事業では、「販売実績」という定義は実態にそぐわないため、各事業の売上実績を記載しております。 2.主な相手先別の売上実績および当該売上実績の総売上実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度売上高(百万円)割合(%)売上高(百万円)割合(%)日本製鉄㈱73,95613.186,85614.3 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績① 既存事業の維持・領域拡大物流事業においては、外部環境変化・海外経済低迷の影響・DX変革の遅れ等はありますが、国内における化学品(危険物含む)物流拡大に向けた基盤整備、新規お客様の獲得や既存事業領域の深耕拡大を図るとともに、お客様との適正な単価収受への交渉、その成果は着実に出ているものと考えております。見直しを行った中期目標実現に向けて、鉄鋼・化学・電気電子業界を基軸とした国内外の競争力を強化していきます。また、優位性のある貨種をターゲットに、ノウハウの水平展開、同業他社との協業・提携を進めております。さらに、デジタル化・省人化を促進し、業務の効率化や人材の適正配置、コスト削減を中心としたコスト構造改革を進めるとともに、サービスの付加価値向上を行い、競争力を強化してまいります。機工事業においては、当社のビジネスモデルを武器にお客様のアウトソーシングニーズを着実に取り込み、ここ数年は国内外において、特にメンテナンス事業が大きく伸長いたしました。これはお客様を取り巻く経営環境が大きく変化する中で、生産の効率化・基盤強化・環境関連投資等への旺盛なニーズに対して、当社の強みである動員力と技術力が選ばれてきた結果だと考えております。見直しを行った中期目標実現に向けて、既存事業の優位性を更に強化し、主要業界である鉄鋼や石油化学の需要を確実に取り込むとともに、カーボンニュートラル関連、社会インフラ関連や海外事業などの成長領域への取り組みを強化していきます。また、サービスの高度化を伴う生産性向上を図り、機工人材の確保の面では、海外教育センターの稼働により人材育成と流動化の加速、処遇の見直し、外国人材の活用を図ってまいります。 ② 現在から未来への持続的な収益力の確保(成長市場への挑戦)長期経営戦略の1st Stage「変革期」として、「経営基盤強化」、「リスクマネジメント強化」を経営戦略に掲げ、持続的な収益力の確保を取り組んで参りました。物流事業においては、コスト構造の見直しや適正単価収受の交渉を進め、採算性の低い拠点の集約や作業撤退等を実行することで事業体質の改善を進めております。また、素材・エネルギー物流の拡大、アセットライト経営・デジタル化施策の推進で生産性向上を進めてまいります。機工事業においては、事業本部が主導し、大型プロジェクトの進捗管理を徹底することで、事業全体の収益性が向上いたしました。工事工程の見直しや新技術の活用による省力化を進めるとともに、協力会社も含めた要員・機材をグループ全体で管理し、その効率的な配置にも継続的に取り組んでおります。また、グローバルな要員の流動化、社会インフラ・環境ビジネスの体制構築、新技術獲得などを通じて事業基盤・成長基盤の強化を図ってまいります。これらの取組結果として、世界経済の不確実性が増す中において収益性を損なうことなく、安定した利益を生み出す収益体質を構築することができました。見直しを行った中期経営計画2026では、「売上高6,600億円」、「営業利益率7.1%」という目標を掲げ、更なる収益性の向上に取り組んでおります。 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社連結グループの主な資金需要は、事業運営に必要な労務費、外注費、材料費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用、さらには当社連結グループの設備新設、改修等に係る投資であります。2027年3月期を最終年度とする中期経営計画2026では「資本効率性を重視しながら、持続的成長と企業価値の最大化を実現」としており、2027年3月期までの今後2年間で創出が見込まれる営業キャッシュ・フロー1,020億円に、政策保有株式の売却や負債活用等による380億円を加えた1,400億円を財源にして、海外における高機能物流センターの構築、当社グループの認知度向上施策、M&Aなどの成長投資に750億円、株主還元に650億円を配分する計画としております。株主還元については、中期経営計画2026の資本政策「連結配当性向40%水準」に加え、この期間において下限配当額として「前年度1株当たり年間配当額」を設定し、より安定的な利益還元を目指すとともに、自己株式の取得については、この期間において累計400億円を取得する計画から、2027年3月期までに累計700億円を取得する計画に増額し、株主還元を強化しております。また、自己株式の保有については、発行済株式総数の5%程度を目安とし、それを超える株式は原則として消却すること、保有した自己株式は、役員報酬制度に使用する等、企業価値向上に向けて有効に活用することを方針としております。これらの必要資金は、まずは営業活動によるキャッシュ・フローと自己資金にて賄い、必要に応じて金融機関からの借入または社債発行等にて対応することとしております。手許の資金流動性につきましては、グループ内資金を有効活用するため、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を活用し、資金効率の向上に努めるとともに、資金の調達手段を多様化することにより、事業運営に必要な流動性を確保しております。また、急激な金融環境の変化や突発的な資金需要への備えとして、迅速かつ機動的に資金調達ができるコミットメントライン契約を金融機関と締結しております。なお、キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。 (3) 財政状態当社連結グループでは、事業の選択と集中を実施し、政策保有株式の見直し、不稼動・低稼働資産の集約・売却等による資産圧縮を行います。その上で、フリーキャッシュフローの有効活用を進める過程で、3PLや3PM(一括メンテナンス)の高度化、中東・インドを中心とした海外事業拡大、事業領域の拡大・新規領域への進出への投資の集中を図っております。また、資金調達に関しては、営業キャッシュ・フローと負債の活用、設備投資の支出の状況、現預金残高の水準等を総合的に勘案し、適正な範囲内でかつ機動的に実施することを基本方針としており、その方針のもと、資金調達手段の多様化やグループ内余剰資金の有効活用等の各種施策を継続的に推進しています。 ① 流動資産当連結会計年度末における流動資産は2,802億56百万円であり、前連結会計年度末に比べ184億89百万円、7.1%増加しました。主な要因は、売掛金と契約資産の増加等によるものです。 ② 固定資産当連結会計年度末における固定資産は2,649億33百万円であり、前連結会計年度末に比べ216億54百万円、8.9%増加しました。主な要因は、海外での建設仮勘定の増加等によるものです。 ③ 流動負債当連結会計年度末における流動負債は1,390億70百万円であり、前連結会計年度末に比べ317億32百万円、29.6%増加しました。主な要因は、固定負債からの振替による1年内償還予定の社債の増加等によるものです。 ④ 固定負債当連結会計年度末における固定負債は1,090億55百万円であり、前連結会計年度末に比べ32億18百万円、2.9%減少しました。主な要因は、長期借入金の増加と流動負債への振替による社債の減少との差等によるものです。 ⑤ 純資産当連結会計年度末における純資産は2,970億63百万円であり、前連結会計年度末に比べ116億29百万円、4.1%増加しました。主な要因は、配当金の支払いおよび自己株式の取得による減少と当期純利益の差等によるものです。当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末を2.0ポイント下回る53.8%となっております。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社連結グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。 ① 繰延税金資産当社連結グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。 ② 退職給付債務および退職給付費用退職給付債務および退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績および将来の経済・市場環境の見通し等を基礎として設定しております。割引率および長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。 ③ 工事損失引当金受注工事・作業の将来の損失に備えるため、未成工事・作業のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事・作業について、工事損失引当金を計上することとしております。技術的難易度の高い長期請負工事や海外でのカントリー・リスク等のある工事・作業において、工事・作業の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合等は、当社連結グループの業績を悪化させる可能性があります。 ④ 完成工事高および完成工事原価の計上成果の確実性が認められる工事契約については、履行義務の充足に係る進捗度(工事の進捗度の見積りはインプット法)に基づき完成工事高を計上しております。想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高および完成工事原価が影響を受け、当社連結グループの業績を変動させる可能性があります。 |
※本記事は「山九株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)


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