| 会社名 | 株式会社西武ホールディングス |
| 業種 | 陸運業 |
| 従業員数 | 連20993名 単337名 |
| 従業員平均年齢 | 41.1歳 |
| 従業員平均勤続年数 | 15.8年 |
| 平均年収 | 8912702円 |
| 1株当たりの純資産 | 2117.32円 |
| 1株当たりの純利益(連結) | 901.99円 |
| 決算時期 | 3月 |
| 配当金 | 40円 |
| 配当性向 | 64.5% |
| 株価収益率(PER) | 3.66倍 |
| 自己資本利益率(ROE)(連結) | 52.2% |
| 営業活動によるCF | 4743億円 |
| 投資活動によるCF | ▲936億円 |
| 財務活動によるCF | ▲1363億円 |
| 研究開発費※1 | -円 |
| 設備投資額※1 | 355.7億円 |
| 販売費および一般管理費※1 | 337.9億円 |
| 株主資本比率※2 | 36.1% |
| 有利子負債残高(連結)※3 | 6523.79億円 |
経営方針
| 1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 本資料に記載されている当社グループの業績予想、目標、計画、予想その他の将来情報については、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき作成した当該時点における当社の判断又は考えに過ぎず、実際の当社グループの業績、財政状態その他の結果は、国内外の政治、経済、金融情勢の変動や、意図する施策の状況その他の本資料の作成時点で不確実な要素等により、本資料の内容又は本資料から推測される内容と大きく異なる場合があります。 当社グループは、メガトレンドや昨今の経営環境の変化に対し、グループの持つ強みを生かし、社会的価値と企業価値を極大化していくため、不動産事業を核とした成長戦略からなる長期戦略を2024年5月9日に策定いたしました。2035年のありたい姿(アウトカム)を「Resilience & Sustainability」とし、「安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する」企業グループを目指してまいります。 当社グループとしては以下4点の取り組みを踏まえ、株価や資本コストを重視した経営をおこない、今後とも持続的かつ健全な成長を目指してまいります。 <長期戦略及び中期経営計画の取り組み> 長期戦略及び中期経営計画の2年目を迎えるにあたって、当社グループの企業価値をさらに向上させていくために、以下の課題の解決に取り組んでまいります。 ①不動産事業を核として持続的な成長を実現 2025年4月より始動した不動産4社体制により、「保有」と「キャピタルリサイクル」の両輪での成長を目指します。キャピタルリサイクルに関しては、不動産回転型ビジネスを加速させるために、開発・新規物件の取得を継続するとともに、聖域なき流動化を検討し、持続的に進捗させてまいります。また、保有物件をファンドに拠出し、運用から得られるフィービジネスに加え、管理・運営を通じて、不動産事業の収益最大化を図ります。なお、2024年10月に新たに設立した株式会社西武不動産投資顧問においては、2026年度中に投資運用業のライセンスを取得し、2026~2027年度で西武ファンドを組成することを目指します。その後は、ダイヤゲート池袋の一部フロアやエミテラス所沢なども候補として、西武ファンドへの流動化を予定しております。 また、モルガン・スタンレー・キャピタル株式会社(以下、「MSC」)及びMSC又はMSCの関係会社が運営もしくは助言をおこなう不動産ファンドとの共同SPC(特別目的会社)に賃貸住宅資産を組み入れ、2027年度までには運用資産残高(AUM)1,000億円を目指してまいります。 これらの取り組みを踏まえて、不動産流動化による含み益の顕在化、得られた資金の再投資を通して、不動産価値の最大化(NAV成長)を着実に進展させてまいります。 事業所の収益力・資本効率性の改善に向けては、2024年度より導入した西武ROICにより事業所モニタリングを徹底し、各事業所の収益力向上を追求いたします。また、改善が見込めない既存事業所については在り方を見直し、事業価値を創出する事業に対して適切に資本を配分してまいります。 ②インバウンド需要の取り込み、値上げの継続、国内外250ホテル体制の構築(MC拡大)によるホテル・レジャー事業の収益性向上 国内ホテル業における堅調なインバウンド需要の取り込みや値上げの取り組みなどにより、売上の最大化をはかってまいります。また、2024年4月25日より開始した国内外共通会員プログラム「Seibu Prince Global Rewards(セイブ プリンス グローバル リワーズ)」などを活用し、顧客ロイヤルティのさらなる醸成をはかります。また、会員プログラムの顧客データの活用をおこない、直販率の向上、さらなる効率化をはかってまいります。 加えて、RevPAR向上に向けた投資を着実に実行していくとともに、次期中期経営計画期間中に品川プリンスホテルのバリューアップ投資を実施してまいります。足許、品川プリンスホテルは事業別ハードルレート・全社ハードルレートを超える高いROIC水準を誇りますが、さらなるNAV成長ならびに、収益力の向上を目指します。また、バリューアップ投資後の一部流動化も検討してまいります。 引き続き、国内外250ホテル体制を目指して、運営ホテル数の拡大を着実に進めてまいります。 ③企業価値向上につながる成長投資を優先しつつ、株主還元の安定性および継続的な強化を図る 今後も、長期戦略で定めた株主還元方針に則り、DOE2.0%を下限とする累進配当を実現し、安定的な配当とあわせ、収益向上を通じた増配を目指してまいります。 また、2024年12月13日より700億円の自己株式取得を実施しておりますが、引き続きバランスシートの状況を踏まえ、機動的に対応してまいります。 ④新たな長期戦略・中期経営計画を実行するための基盤となるコーポレート・ガバナンスを強化 取締役会と経営会議の実効性を向上させるべく、それぞれの役割を再定義し、運用の見直しなどをおこなってまいりました。今後これらの取り組みを着実に実行してまいります。 さらに、筆頭株主である株式会社NWコーポレーションとの関係については、当連結会計年度に同社の株式を追加取得し連結子会社化しましたが、今後は完全子会社化に向けて検討を進めてまいります。 加えて、保有継続の合理性が認められない政策保有株式については縮減をしてまいります。 <突発的な地政学リスクに向けて> 持続的な成長に向けて、突発的な地政学リスクに対して引き続き注視し、影響が顕在化した際には速やかに対策を講じてまいります。特に、インバウンド減少の影響、株価下落・企業業績悪化に起因した消費マインドの低下、輸出産業への波及効果、金融市場への影響などにともなう日本経済全体へのリスクを想定し、機動的に対応してまいります。 <重視する経営指標> 2035年度当社グループの営業利益1,000億円以上の達成に向けて、不動産事業を核とした成長戦略からなる「西武グループ長期戦略2035」を実行してまいります。なお、資本効率や最適資本構成を示す経営指標等について、下記4つの「財務KPI」を設定しております。 ・ROE 恒常的に8%を達成(2035年度に10%以上を目指す)・ROA 2.7%以上・自己資本比率 25~30%・格付け機関の評価 A格を維持 今後、これらの重視する経営指標の水準に到達できるよう努めてまいります。 当社グループは、これまでもこれからも「でかける人を、ほほえむ人へ。」を変わらぬスローガンとして掲げ、お客さま、地域社会とともに成長していく企業として、お客さまの行動と感動を創造し、豊かで持続可能な社会を実現してまいります。また、「Resilience & Sustainability – 安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する -」ことを目指し、社会的価値と株主価値の極大化に向けて企業運営をおこなってまいります。 |
経営者による財政状態の説明
| 4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 業績 当社グループは、メガトレンドや昨今の経営環境の変化に対し、グループの持つ強みを生かし、社会的価値と企業価値を極大化していくため、不動産事業を核とした成長戦略からなる「西武グループ長期戦略2035」(以下、「長期戦略」)を2024年5月9日に策定いたしました。2035年のありたい姿(アウトカム)を「Resilience & Sustainability」とし、「安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する」企業グループを目指してまいります。 当連結会計年度においては、長期戦略における「種まき期」の「西武グループ中期経営計画(2024~2026年度)」の1年目として、株価や資本コストを重視した経営をおこない、今後とも持続的かつ健全な成長を目指していく上で、以下4点の取り組みを進めてまいりました。 <長期戦略及び中期経営計画の取り組み> ①不動産事業を核として持続的な成長を実現 2025年2月28日に株式会社西武リアルティソリューションズ(2025年4月1日より株式会社西武不動産に商号変更)が、収益の極大化を企図するとともに、西武グループの不動産回転型ビジネスの推進による西武グループ全体の企業価値を向上させることを目的とし、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を実行いたしました。また、当社グループのキャピタルリサイクルモデルの実現に向けた体制整備として、2024年10月1日にアセットマネジメント機能を有する「株式会社西武不動産投資顧問」、PM/BM/CMを融合させた質の高いサービスをワンストップで提供するため、2024年11月15日に不動産運営会社である「株式会社西武不動産プロパティマネジメント」を設立いたしました。あわせて、当社グループのキャピタルリサイクルの流れを本格化する仕組みの整備に向けて、モルガン・スタンレー・キャピタル株式会社(以下、「MSC」)及び MSC又はMSCの関係会社が運営もしくは助言をおこなう不動産ファンド(以下、「PRIME Asia」)の間で、パートナーシップに関する基本合意書を締結いたしました。 さらには、事業ポートフォリオの最適化を実現するため、当連結会計年度より、資本効率性の判断材料として、西武ROIC※を導入いたしました。 ※ 営業利益×0.7/(有形無形固定資産*+販売用不動産) *負担金工事の前受金分(固定資産を圧縮する金額)を控除 ②インバウンド需要の取り込み、値上げの継続、国内外250ホテル体制の構築(MC拡大)によるホテル・レジャー事業の収益性向上 国内ホテル業における堅調なインバウンド需要の取り込みや値上げの取り組みなどに加え、今後250ホテル体制を目指すにあたり、H.A.アドバイザーズ株式会社の阿部博秀氏をエグゼクティブアドバイザーとして迎えております。また、2024年6月18日に株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが、「プリンス スマート イン 名古屋栄」を開業いたしました。 さらには、ホテル・レジャー部門の顧客化や相互送客を強化することを企図し、株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが、当社の国内を中心とした会員プログラム及びオーストラリアを拠点とする子会社 Seibu Prince Hotels Worldwide Asia Pacific Pty Ltdや米国・ハワイ州にあるガバナンス会社 Prince Resorts Hawaii Inc.の会員プログラムを統合し、国内外共通会員プログラム「Seibu Prince Global Rewards(セイブ プリンス グローバル リワーズ)」を創設し、「Seibu Prince Global Rewards」及びSeibu Prince Global Rewards アプリの運用を2024年4月25日より開始いたしました。 ③企業価値向上につながる成長投資を優先しつつ、株主還元の安定性および継続的な強化を図る DOE2.0%を下限とする累進配当を導入しており、安定的な配当とあわせ、収益向上を通じた増配を実現していくことを配当方針としております。そして、当事業年度の年間配当金につきましては、株主へ長期継続的に還元することを意識し、1株当たり40円(中間配当金15円、期末配当金25円)といたしました。 また、自己株式取得につきましては、バランスシートの状況を踏まえ、機動的に実施することとしておりますが、資本効率性の向上(BSコントロール、ROE・EPS向上)を企図し、2024年12月13日より700億円の自己株式取得を実施しております。 ④新たな長期戦略・中期経営計画を実行するための基盤となるコーポレート・ガバナンスを強化 コーポレート・ガバナンスの強化に向けて、不動産事業の体制を強化すべく、2024年6月21日付で石原雅行氏を取締役に選任いたしました。あわせて、2024年6月21日付で、新たに小林洋子氏、高橋雅美氏及び池田唯一氏が社外取締役に就任し、社外取締役比率が上昇しております。 そして、筆頭株主である株式会社NWコーポレーション(以下、「NW社」)との関係の在り方を見直し、当連結会計年度にNW社の株式の追加取得をおこない、連結子会社化いたしました。 当連結会計年度における経営成績の概況は、国内ホテル業における堅調なインバウンド需要の取り込みや鉄道業における定期外収入の好調などに加え、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化にともない、営業収益は、9,011億31百万円と前期に比べ4,235億32百万円の増加(前期比88.7%増)となりました。営業利益は、増収により、2,927億35百万円と前期に比べ2,450億23百万円の増加(同513.6%増)となり、償却前営業利益は、3,471億25百万円と前期に比べ2,452億57百万円の増加(同240.8%増)となりました。 経常利益は、2,876億39百万円と前期に比べ2,446億39百万円の増加(同568.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、増収に加え、NW社株式の追加取得にともなう連結子会社化により、2,581億82百万円と前期に比べ2,311億91百万円の増加(同856.6%増)となりました。 各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。 なお、当連結会計年度よりセグメントの区分を変更しております。(単位:百万円) 営業収益 営業利益 償却前営業利益セグメントの名称当連結会計年度前期比増減前期比増減率 (%)当連結会計年度前期比増減前期比増減率 (%)当連結会計年度前期比増減前期比増減率 (%) 不動産事業480,608401,528507.8237,617224,900-248,118223,882923.8 ホテル・レジャー事業241,25913,1495.818,640△840△4.333,708△1,359△3.9 都市交通・沿線事業152,6673,8412.611,315△1,977△14.933,962△683△2.0 その他51,2976,42314.32,06462743.66,62596217.0 合計925,832424,94284.8269,637222,709474.6322,415222,801223.7 調整額△24,701△1,409-23,09722,314-24,70922,455996.4 連結数値901,131423,53288.7292,735245,023513.6347,125245,257240.8(注)1 調整額については、主に連結会社間取引消去等であります。2 償却前営業利益は、営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加えて算定しております。3 当連結会計年度より、2024年4月より連結子会社化した株式会社DAY ONEとともにペット事業をリモデルするため、株式会社西武ペットケアのセグメントを「ホテル・レジャー事業」から「その他」へ変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。 ①不動産事業 不動産事業の内訳は開発・賃貸業、投資運用業、マネジメント業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。(単位:百万円) 2024年3月期2025年3月期増減額 営業収益79,079480,608401,528 開発・賃貸業43,86944,345476 投資運用業2,219403,263401,044 マネジメント業8,0598,353293 その他24,93124,645△286(注) 当連結会計年度より、キャピタルリサイクルの実施にともない、不動産事業の内訳を変更しております。前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。 開発・賃貸業では、当社グループが手掛ける所沢エリア開発の集大成となる「エミテラス所沢」を2024年9月24日に開業いたしました。また、将来的な流動化を見据えた新規物件の取得を5件実施いたしました。新規取得した物件につきましては、バリューアッドを実施し、物件価値向上をはかってまいります。 投資運用業では、収益の極大化を企図するとともに、西武グループの不動産回転型ビジネスの推進による西武グループ全体の企業価値を向上することを目的とし、2025年2月28日に東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を実行いたしました。 マネジメント業では、アセットマネジメント業及びビルマネジメント業をおこなっており、不動産事業の各機能の専門性強化を目的に2025年4月1日に組織再編をおこないました。 不動産事業の営業収益は、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化にともない、4,806億8百万円と前期に比べ4,015億28百万円の増加(同507.8%増)となりました。営業利益は、増収により、2,376億17百万円と前期に比べ2,249億円の増加(前期は、営業利益127億16百万円)となり、償却前営業利益は、2,481億18百万円と前期に比べ2,238億82百万円の増加(同923.8%増)となりました。 不動産事業の定量的な指標は以下のとおりであります。 (建物賃貸物件の営業状況) 期末貸付面積 (千㎡)期末空室率 (%) 2024年3月期2025年3月期2024年3月期2025年3月期 商業施設2562901.91.6 オフィス・住宅2031111.62.9(注) 土地の賃貸は含んでおりません。当連結会計年度の期末貸付面積(オフィス・住宅)の減少及び期末空室率(オフィス・住宅)の増加については、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化によるものです。 ②ホテル・レジャー事業 ホテル・レジャー事業の内訳は国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)、スポーツ業(保有・リース)、スポーツ業(MC・FC)、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。(単位:百万円) 2024年3月期2025年3月期増減額 営業収益228,109241,25913,149 国内ホテル業(保有・リース)136,446151,69815,252 国内ホテル業(MC・FC)11,59812,8921,293 海外ホテル業(保有・リース)36,96433,933△3,030 海外ホテル業(MC・FC)45752972 スポーツ業(保有・リース)14,69515,551855 スポーツ業(MC・FC)2,2762,447170 その他25,67024,205△1,464(注) 2024年3月期より、ホテル・レジャー事業の内訳を変更しております。また、当連結会計年度より、2024年4月に連結子会社化した株式会社DAY ONEとともにペット事業をリモデルするため、株式会社西武ペットケアのセグメントを「ホテル・レジャー事業」から「その他」へ変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。 国内ホテル業では、お客さまに非日常体験を提供できるように努め、ホテルオペレーターである株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが運営をおこなう、ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町、ザ・ホテル青龍 京都清水の2ホテルで、ミシュランガイドが発表したアジア初のミシュランガイドホテルセレクションにおいて、1ミシュランキー(ワンミシュランキー)に認定されるなど、国際的に高い評価を獲得いたしました。また、サービスの向上に合わせ、レベニューマネジメントを強化し、値上げに取り組んでおります。新規出店も進めており、「プリンス スマート イン 名古屋栄」を2024年6月18日に開業いたしました。そのほか、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化にともなう資金を活用し、建物機能の維持・向上を企図した修繕等(約44億円)をおこないました。 海外ホテル業では、2025年度のオープンに向けて、マウナ ケア ビーチ ホテルの改装工事を開始いたしました。 そのほか、2024年4月25日より国内外共通会員プログラム「Seibu Prince Global Rewards(セイブ プリンス グローバル リワーズ)」を開始いたしました。 ホテル・レジャー事業の営業収益は、国内ホテル業における堅調なインバウンド需要の取り込みや値上げの取り組みなどにより、2,412億59百万円と前期に比べ131億49百万円の増加(同5.8%増)となりました。営業利益は、増収ではあったものの、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化にともなう資金を活用し、建物機能の維持・向上を企図した修繕等をおこなったことなどにより、186億40百万円と前期に比べ8億40百万円の減少(同4.3%減)となり、償却前営業利益は、337億8百万円と前期に比べ13億59百万円の減少(同3.9%減)となりました。 ホテル・レジャー事業の国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)の定量的な指標は以下のとおりであります。 (国内ホテル業の運営形態別施設概要) 施設数(か所)客室数(室)宴会場数(室)宴会場面積(㎡) 国内ホテル業6020,25831978,094 保有・リース4213,30323851,022 MC・FC186,9558127,072 (国内ホテル業のエリア別施設概要) 施設数(か所)客室数(室)宴会場数(室)宴会場面積(㎡) 首都圏・中日本2610,92822247,817 高輪・品川エリア45,13810120,000 東日本195,5023814,252 軽井沢エリア3687113,670 西日本153,8285916,025 (注)1 面積1,000㎡以上の宴会場は21室であります。2 首都圏・中日本の代表例として高輪・品川エリア、東日本の代表例として軽井沢エリアを記載しております。3 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。4 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。 (海外ホテル業の施設概要) 施設数(か所)客室数(室)宴会場数(室)宴会場面積(㎡) 海外ホテル業263,9108713,791 保有・リース121,499334,932 ハワイエリア31,064224,090 The Prince Akatoki1823162 MC・FC142,411548,859(注)1 海外ホテル業(保有・リース)の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiを記載しております。2 ハワイエリアに含まれるホテルはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルであります。 (国内ホテル業の運営形態別営業指標) 2024年3月期2025年3月期RevPAR(円) 保有・リース14,32716,852 MC・FC11,69413,809宿泊部門全体13,54815,919 平均販売室料(円) 保有・リース20,45422,622 MC・FC19,22521,184宿泊部門全体20,12622,221 客室稼働率(%) 保有・リース70.074.5 MC・FC60.865.2宿泊部門全体67.371.6 (国内ホテル業のエリア別営業指標) 2024年3月期2025年3月期RevPAR(円) 首都圏・中日本15,09418,235 高輪・品川エリア14,09517,362 東日本11,44113,181 軽井沢エリア25,77929,959 西日本10,92712,038宿泊部門全体13,54815,919 平均販売室料(円) 首都圏・中日本21,25724,131 高輪・品川エリア19,27121,389 東日本19,84421,708 軽井沢エリア38,62844,195 西日本16,43216,789宿泊部門全体20,12622,221 客室稼働率(%) 首都圏・中日本71.075.6 高輪・品川エリア73.181.2 東日本57.760.7 軽井沢エリア66.767.8 西日本66.571.7宿泊部門全体67.371.6(注)1 首都圏・中日本の代表例として高輪・品川エリア、東日本の代表例として軽井沢エリアを記載しております。2 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。3 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。 (海外ホテル業の営業指標)・ハワイエリアの営業指標 2024年3月期2025年3月期 RevPAR (円)44,90943,358 RevPAR (米ドル)345.45321.17 平均販売室料 (円)54,59153,939 平均販売室料 (米ドル)419.93399.54 客室稼働率 (%)82.380.4 ・The Prince Akatoki Londonの営業指標 2024年3月期2025年3月期 RevPAR (円)42,54644,851 RevPAR (ポンド)254.10246.66 平均販売室料 (円)58,00061,083 平均販売室料 (ポンド)346.40335.92 客室稼働率 (%)73.473.4(注)1 海外ホテル業の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiのうち、直営のThe Prince Akatoki Londonを記載しております。2 ハワイエリアに含まれるホテルはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルであります。 (国内ホテル業における宿泊客の内訳)(単位:名、%) 2024年3月期邦人客外国人客計 比率 比率 比率宿泊客3,460,32871.81,361,56628.24,821,894100.0 保有・リース2,361,307 1,007,702 3,369,009 MC・FC1,099,021 353,864 1,452,885 2025年3月期邦人客外国人客計 比率 比率 比率宿泊客3,320,62966.61,665,63333.44,986,262100.0 保有・リース2,238,258 1,179,196 3,417,454 MC・FC1,082,371 486,437 1,568,808 ③都市交通・沿線事業 都市交通・沿線事業の内訳は鉄道業、バス業、沿線生活サービス業、スポーツ業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。(単位:百万円) 2024年3月期2025年3月期増減額 営業収益148,826152,6673,841 鉄道業100,739104,2383,499 バス業23,89424,877982 沿線生活サービス業18,19017,228△962 スポーツ業2,2912,461170 その他3,7103,861151(注) 2024年3月期より、都市交通・沿線事業の内訳を変更しております。 鉄道業では、永続的に鉄道事業を運営し、お客さまへ良質かつ快適なサービスを提供するため、2026年3月(予定)の改定実施に向けて、2025年3月に鉄道旅客運賃の変更認可申請をおこないました。また、ホームドア整備、車内防犯カメラ設置をはじめとした安全・安心なサービスのさらなる追求のための設備投資を着実に実行し、2024年12月よりクレジットカードやスマートフォン等で利用可能なタッチ決済による乗車サービスの実証実験を開始する等、DX・デジタル化施策にも積極的に取り組みました。そのほか、沿線地域を活性化させるエリアマネジメントを実現するため、2024年8月に飯能市、株式会社ムーミン物語、西武鉄道株式会社の3者で「地域活性化に向けた連携に関する基本協定」を締結する等、沿線自治体・地域との連携を深める施策に取り組みました。 バス業では、乗合バスに関して、いわゆる2024年問題をはじめとした乗務員の人員不足の影響等があるものの、堅調に回復する移動需要の着実な取り込みとともに、効率的な事業運営に努めました。また都区内エリアにおいては、2025年6月の実施に向けて、2024年12月に運賃改定を申請いたしました。加えて、貸切バスについても、運賃単価向上に取り組みました。 都市交通・沿線事業の営業収益は、定期外利用やレジャー施設の利用が進み、1,526億67百万円と前期に比べ38億41百万円の増加(同2.6%増)となりました。営業利益は、設備投資の増加にともなう減価償却費の増加や電気動力費、人件費の増加などにより、113億15百万円と前期に比べ19億77百万円の減少(同14.9%減)となり、償却前営業利益は、339億62百万円と前期に比べ6億83百万円の減少(同2.0%減)となりました。 都市交通・沿線事業の主要な会社である西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績は以下のとおりであります。 (西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績)種別単位2024年3月期2025年3月期 営業日数日366365 営業キロキロ176.6176.6 客車走行キロ千キロ169,850170,407 輸送人員 定期千人348,589355,907 定期外千人239,127249,221計千人587,716605,128 旅客運輸収入 定期百万円39,57440,434 定期外百万円55,60458,112計百万円95,17898,547 運輸雑収百万円3,5283,256 収入合計百万円98,706101,803 一日平均収入百万円260269 乗車効率%35.436.2(注)1 乗車効率は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)×100 により、算出しております。2 千キロ未満、千人未満及び百万円未満を切り捨てて表示しております。3 運輸雑収は鉄道業以外の収入を含んでおります。 ④その他 スポーツ事業では、プロ野球球団である埼玉西武ライオンズの試合開催のほか、ベルーナドームを最大限活用したサービスや演出、イベント開催などにより、楽しんでいただけるスポーツ・エンターテインメント体験の提供に努めてまいりました。伊豆箱根事業では、バス事業を中心に観光需要の取り込みに努めたほか、近江事業においては、2024年4月より鉄道事業の公有民営方式による上下分離に移行し、運営を開始しております。新規事業では、ツアー造成による体験価値の創出ノウハウのシナジーを企図し、2024年12月25日に奥ジャパン株式会社の全株式を取得し子会社化するなど、当社グループの新規事業分野創出に向けた取り組みをおこなっております。 営業収益は、2024年度よりデジタル広告の強化を企図し、西武グループのコンテンツビジネスを推進する株式会社ブルーミューズ(2025年4月1日より株式会社西武メディア・コミュニケーションズに商号変更)に西武鉄道株式会社の広告事業を移管したことや、埼玉西武ライオンズにおける観客動員数の増加などにより、512億97百万円と前期に比べ64億23百万円の増加(同14.3%増)となりました。営業利益は、上記広告事業移管にともなう費用の増加はあったものの、株式会社西武ライオンズの営業収益の増加などにより、20億64百万円と前期に比べ6億27百万円の増加(同43.6%増)となり、償却前営業利益は、66億25百万円と前期に比べ9億62百万円の増加(同17.0%増)となりました。 (2) 生産、受注及び販売の実績 当社グループは役務提供を中心とした事業展開をおこなっており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の実績については、「(1)業績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。 (3) 財政状態、経営成績の分析 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。 ② 財政状態の分析1 資産 流動資産は、3,598億16百万円と前連結会計年度末に比べ2,585億53百万円増加いたしました。その主たる要因は、現金及び預金の増加(2,023億27百万円)であります。 固定資産は、1兆4,743億4百万円と前連結会計年度末に比べ594億52百万円減少いたしました。その主たる要因は、有形固定資産の減少(832億2百万円)であります。 以上の結果、総資産は1兆8,341億20百万円と前連結会計年度末に比べ1,991億1百万円増加いたしました。 2 負債 流動負債は、4,300億79百万円と前連結会計年度末に比べ449億73百万円増加いたしました。その主たる要因は、未払法人税等の増加(818億92百万円)であります。 固定負債は、8,369億12百万円と前連結会計年度末に比べ191億33百万円増加いたしました。その主たる要因は、繰延税金負債の増加(586億42百万円)であります。 以上の結果、負債合計は1兆2,669億92百万円と前連結会計年度末に比べ641億6百万円増加いたしました。 3 純資産 純資産は、5,671億28百万円と前連結会計年度末に比べ1,349億94百万円増加いたしました。その主たる要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(2,581億82百万円)及び自己株式の増加(1,324億79百万円)であります。 なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ4.5ポイント上昇し30.6%となっております。 ③ 経営成績の分析1 営業収益及び営業利益 営業収益は、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化の実施による大幅な増収に加え、円安にともなうインバウンド観光客の増加や値上げの取り組み、鉄道業における定期・定期外旅客の増加などにより、9,011億31百万円(前期比88.7%増)となり、営業利益は増収による増益により、2,927億35百万円(同513.6%増)となりました。 なお、各セグメントにおける業績につきましては、「(1) 業績」をご覧ください。 2 営業外損益及び経常利益 営業外収益は、前期に計上した為替差益(7億50百万円)が今期は為替差損(7億円)に転じたことなどにより、42億78百万円(同4.8%減)となり、営業外費用は、93億73百万円(同1.8%増)となりました。 以上の結果、経常利益は2,876億39百万円(同568.9%増)となりました。 3 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益 特別利益は、負ののれん発生益(540億96百万円)の計上などにより、759億39百万円(同224.6%増)となりました。 特別損失は、減損損失の減少(100億57百万円)などにより、137億65百万円(同39.5%減)となりました。 以上の結果、税金等調整前当期純利益は3,498億13百万円(同701.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,581億82百万円(同856.6%増)となりました。 (4) キャッシュ・フローの分析 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,451億23百万円増加し、当連結会計年度末には2,769億53百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3,498億13百万円に、減価償却費や棚卸資産の増減額、法人税等の支払額などを調整した結果、4,743億78百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ3,824億2百万円の資金収入の増加となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、936億92百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ497億58百万円の資金支出の増加となりました。その主たる要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出の増加であります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,363億94百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ939億56百万円の資金支出の増加となりました。その主たる要因は、借入金の返済の増加及び自己株式の取得による支出の増加であります。 (5) 資本の財源及び資金の流動性について(キャピタルリサイクルの実施) 当社グループは不動産事業を核として持続的な成長を実現するため、資本効率性を追求し、保有とキャピタルリサイクルの両輪で成長させるビジネスモデルで成長してまいります。当連結会計年度は、「キャピタルリサイクルの最大の原動力」として東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を実施いたしました。今後についても、聖域なき流動化の検討、継続的なキャピタルリサイクルの実施により得られた資金を再投資に振り向け、不動産価値を最大化してまいります。 (資金調達〈キャッシュイン〉) 当社グループでは、鉄道業及びホテル業を中心とした日々の事業活動によって営業キャッシュ・フローを安定的に確保し、必要な資金に充当しております。不動産事業での新規取得物件に対するバリューアッドの展開、既存物件の賃料引き上げや最有効活用の検討、ホテル・レジャー事業でのMC(マネジメントコントラクト)を中心とした国内外250ホテル体制の実現に向けた、ホテル新規出店数の拡大やブランド力の向上による値上げの実施等により、営業キャッシュ・フローの最大化をはかっております。 さらに、上記に加えて、継続的なキャピタルリサイクルを実施することで、持続的な企業価値創出の基盤となる資金を生み出しております。 不足する資金については、金融機関からの借入や社債の発行など、市場環境や金利動向を総合的に勘案し、最適な資金調達手段を選択しております。加えて、固定資産の比率が高い事業特性を踏まえ、長期負債を中心とした資金調達をおこなうとともに、年度ごとの返済額平準化を進めております。併せて、調達手段の多様化や外部格付の維持・向上にも取り組んでおります。 また、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化で得た資金や、今後当社グループが推進する保有とキャピタルリサイクルの両輪で成長させるビジネスモデルを通じて得られる資金を活用し、将来の大規模開発(高輪・品川・芝公園エリア等)に向けたデットキャパシティの創出を目的に、借入の適正な水準の維持に努めてまいります。 (資金使途〈キャッシュアウト〉) 当社グループでは、「成長投資を優先しつつ、株主還元も拡充させていく」方針のもと、資金使途を決定しております。 当連結会計年度は総額1,032億51百万円の設備投資を実施いたしました。不動産事業においては、当連結会計年度にエミテラス所沢(所沢駅西口開発計画)が竣工いたしました。加えて、沿線価値向上を目指した設備投資を継続的におこなうとともに、新規物件の取得を実施してまいりました。都市交通・沿線事業においては、より一層の安全・安定輸送の実現、環境負荷の削減を目指すとともに、おでかけしたくなる駅・まちづくり、及び次世代に向けた技術革新に充当しております。加えて、都市交通・沿線事業に限らず、ホテル・レジャー事業などの多くの事業において職場環境の改善や、従業員の満足度向上を企図して設備投資を実施してまいりました。 当事業年度の配当金につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、1株当たりの普通配当を過去最高額である40円としております。また、2024年12月13日より700億円の自己株式取得を実施しております。2026年3月期の配当予想についても、1株当たり配当金40円としており、長期戦略で定めた株主還元方針に則り、DOE2.0%を下限とする累進配当を実現し、安定的な配当とあわせ、収益向上を通じた増配を目指してまいります。自己株式の取得についても、引き続きバランスシートの状況を踏まえ、機動的に対応してまいります。 また、今後の成長投資については、営業キャッシュ・フローやキャピタルリサイクルで得た資金を活用し、投資規律を遵守したうえで、不動産事業での都心再開発や西武鉄道沿線の再開発、リゾート開発、新規物件の取得及びバリューアッド、ホテル・レジャー事業でのホテル改装、海外ホテルのM&A、ブランド価値及び収益力向上を目的とした主要ホテル(品川プリンスホテル等)のバリューアップ投資、都市交通・沿線事業での沿線価値向上施策、デジタル化などに積極的に投資してまいります。 (資金の流動性) 鉄道業・ホテル業を中心とした日々の収入金により必要な流動性資金を確保するとともに、キャッシュマネジメントシステム(CMS)などによりグループ内余剰資金の有効活用に努めております。 (6) 経営者の問題意識と今後の方針について 有価証券報告書提出日現在、コロナ禍で生じた価値変容・行動変容の定着に加え、地政学リスク、技術革新や日本国内の少子高齢化の加速、SDGs(持続可能な開発目標)・カーボンニュートラル(脱炭素社会)への意識の高まり、低PBRの是正など、社会経済環境や事業環境は急速に変化し、将来予想が非常に困難な時代、いわゆる「VUCAの時代」に突入しております。 そのような状況下において、2024年5月9日に「西武グループ長期戦略2035(以下、長期戦略)・中期経営計画(2024~2026年度)」を策定し、概ね10年後の2035年度を見据え、西武グループのありたい姿(アウトカム)として「Resilience & Sustainability -安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する-」を設定し、着実に取組を進めてまいりました。あらゆる状況下においても対応できる力「Resilience(レジリエンス)」と、それをもとに持続的に成長できる力「Sustainability(サステナビリティ)」を兼ね備えた企業グループを目指してまいります。 長期戦略では下図のとおり、アウトカム実現に向けての価値創造ストーリーを定めており、6つのマテリアリティに基づいた成長戦略を進めております。 昨今では、米国の関税政策をはじめとした地政学リスクの高まりがあり、注視すべき課題であると認識しております。当社グループへ与える影響について、有価証券報告書提出日現在発現していないものの、このような事態に対しては、当社グループへの短期的・直接的な影響のみならず、より長期的かつ日本経済全体へのリスクを想定し、機動的に対応していく所存です。 長期戦略では、「恒常的にROE8%を達成、2035年度に10%以上を目指していく」という財務KPIを掲げており、その達成に向けて、収益性と効率性を向上させていくことが急務であると認識しており、長期戦略において、不動産事業におけるキャピタルリサイクルの推進や、ホテル・レジャー事業における国内外250ホテル体制の構築・ブランド力向上、さらには成長の源泉となる人財への投資に重点的にキャッシュアロケーションをおこなうことで、資本効率性を高めていく所存です。 当連結会計年度は、長期戦略の中で「種まき期」と位置付けた中期経営計画期間の初年度であり、「不動産を核とした持続的な成長」に向けて、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化をはじめとしたキャピタルリサイクルの実行や、西武ファンドのアセットマネジメント機能を担う株式会社西武不動産投資顧問の設立を含む不動産4社体制のスタートなど、様々な取組を進めることができました。一方、一般的なPBRに対して、賃貸等不動産や今後再開発を予定しているエリア(高輪、品川、芝公園、軽井沢エリア)の含み益を考慮したNAVに対するPBRは大きく伸びしろがあると認識しております。引き続き、モルガン・スタンレー・キャピタル株式会社及びPRIME Asiaとの共同SPC運営や、株式会社西武不動産投資顧問による投資運用業等のライセンス取得、西武ファンドの設立及び運用開始など体制を整備したうえで、不動産流動化を進めるとともに、高輪地区をはじめとする都心の再開発、軽井沢、箱根、富良野、日光などのリゾートエリアの開発や品川プリンスホテルの改装バリューアップ投資、新規物件の取得に充当するなど、キャピタルリサイクルを実現し、さらなる資本効率性の向上と、着実なNAVの成長、そして株主価値の向上につなげてまいります。 加えて、ホテル・レジャー事業においても、国内外250ホテル体制を引き続き目指してまいります。MCをはじめとしたホテルを新規出店していくことに加え、ブランド力をさらに高め、日本をオリジンとしたグローバルオペレーターを実現していく所存です。 また、都市交通・沿線事業においても、安全・安心を事業の根幹とし、「住みたい沿線」「訪れたい沿線」を実現すべく沿線価値向上に向けた施策をおこなってまいります。 株主還元につきましては、企業価値向上につながる成長投資を優先しつつも、DОE2.0%を下限とする累進配当を基本とし、安定的な配当とあわせ収益向上を通じた増配を目指してまいりますが、今期は東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化の資金の活用により、2024年12月13日より700億円の自己株式取得を実施するとともに、年間配当金は、過去最高額の1株当たり40円の実現を予定しております。今後も、資本効率性の向上により、株主還元の強化をはかってまいります。 今後の時代を力強く生き抜き、社会に貢献しながら持続的な成長を遂げていくため、総力を挙げて各種施策に取り組んでいます。その中でも、日本全国に優良な不動産を保有するとともに、日本有数のホテル・レジャーのネットワーク、強固な地盤を有する都市交通・沿線事業という事業ポートフォリオは、他にないユニークなものであり、その強みを活かしていくことにより、力強い成長が実現できると考えております。西武ならではの再開発やバリューアップ投資を積極的にはかり、当社グループの企業価値の最大化、そして地域社会ひいては日本全体の社会課題解決に貢献していくことができると認識しております。長期戦略の実現により、社会的価値・株主価値の極大化に努めてまいります。 |
※本記事は「株式会社西武ホールディングス」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)
※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。
※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100
※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー
連結財務指標と単体財務指標の違いについて
連結財務指標とは
連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。
単体財務指標とは
単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。
本記事での扱い
本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。
この記事についてのご注意
本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。
報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)


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