東京地下鉄株式会社の基本情報

会社名東京地下鉄株式会社
業種陸運業
従業員数連11328名 単9462名
従業員平均年齢39.5歳
従業員平均勤続年数18.1年
平均年収7950155円
1株当たりの純資産1233.27円
1株当たりの純利益(連結)92.51円
決算時期3月
配当金40円
配当性向44.8%
株価収益率(PER)19.6倍
自己資本利益率(ROE)(連結)7.8%
営業活動によるCF1235億円
投資活動によるCF▲895億円
財務活動によるCF▲509億円
研究開発費※1-円
設備投資額※18.45億円
販売費および一般管理費※1337.9億円
株主資本比率※233.3%
有利子負債残高(連結)※38543.79億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】  文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、東京を中心とした首都圏の鉄道ネットワークの中核を担う交通事業者として、2004年4月の発足時に定めたグループ理念である「東京を走らせる力」を念頭に、様々な取組を進めてきました。そして、2024年10月に当社は東京証券取引所プライム市場に株式を上場し、変革と飛躍にドライブをかける新たなステージを迎えることとなりました。この株式上場を契機に従前の経営体系図を見直し、当社グループのミッションである「東京を走らせる力」を中心に、実現したい未来である「ビジョン」、約束する価値である「バリュー」、大切にする精神である「スピリット」からなる経営指針を新たに策定しました。 <東京メトログループ理念> 東京を走らせる力 私たち東京メトログループは、 鉄道事業を中心とした事業展開を図ることで、首都東京の都市機能を支え、 都市としての魅力と活力を引き出すとともに、 優れた技術力と創造力により、安全・安心で快適なより良いサービスを提供し、 東京に集う人々の活き活きとした毎日に貢献します。 (2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 当社の基幹事業である鉄道事業における旅客運輸収入は、東京都心部の開発進展やインバウンドの増加をはじめとしたお出かけ需要により着実に回復し、コロナ禍で取り組んだコスト構造改革の取組も功を奏し、経営は堅調に推移しています。一方で、自然災害の激甚化、テレワーク・オンライン会議の定着等による移動需要の減少、労務費、原材料費等の物価上昇や人手不足の本格化、さらにはテロ・サイバー犯罪のリスクの増加等、当社を取り巻く外部環境は大きく変化しています。このような状況を踏まえ、2025年度は新たに作成した3か年の中期経営計画の初年度として、各種事業戦略及びコーポレート戦略の着実な実施に努めていきます。具体的には鉄道の安全性・利便性向上を第一に、自然災害対策、バリアフリー設備整備、無線式列車制御システム(CBTCシステム)や状態基準保全(CBM)といった新技術の開発・導入、クレジットカードやQRコード(※)といった新乗車サービスの推進のほか、海外鉄道ビジネスの展開等による事業領域の拡大にも取り組んでいきます。また、鉄道駅バリアフリー料金を活用し、ホームドア整備を進めていきます。有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)は2024年11月に工事着手し、新たな未来へ向けた第一歩を踏み出しました。引き続き、十分な公的支援をもとに2030年代半ばの開業に向け、着実に取り組んでいきます。※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。都市・生活創造事業では、将来開発を見据えた不動産取得の推進による不動産事業の拡大や、新規ビジネス開発を含めたライフサービス事業・ビジネスサービス事業の推進を通じて成長を目指していきます。また、長期環境目標「メトロCO?ゼロ チャレンジ 2050」の実現に向けた取組を引き続き推進するほか、人的資本経営、DE&Iの推進により社員一人ひとりの最大活躍を目指していきます。さらに、人権の尊重、コーポレート・ガバナンスの更なる充実、デジタル技術の活用・促進により経営基盤の強化を図っていきます。 (当社グループ中期経営計画「Run!?次代を翔けろ?」に基づく取組について)(1)運輸業① 鉄道事業の安全性・利便性向上激甚化する自然災害への対策や、駅構内及び車両内の防犯カメラの高度化、巡回警備の強化等社会情勢の変化に応じたセキュリティ強化及びお客様の利便性向上に向けた取組により、安全・安心な鉄道サービスを提供していきます。全てのお客様が鉄道を安心してご利用いただけるよう駅や車両の更なるバリアフリー化のため、ホームドア整備(大規模改良工事実施中の南砂町駅を除き2025年度に全駅設置完了予定)やエレベーター整備等を促進していきます。② 新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)の着実な推進2024年11月に着手した新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)は、当社の未来への成長戦略であり、十分な公的支援をもとに引き続き2030年代半ばの開業に向け、着実に取り組んでいきます。また、2025年3月に基本合意を締結した有楽町線延伸部と東武スカイツリーライン・伊勢崎線・日光線との相互直通運転(住吉・押上間は半蔵門線と線路共用)に向けた取組の推進による鉄道ネットワークの強化を通じて、臨海部・都心部へのアクセス利便性の向上や沿線まちづくりへの寄与、東京圏の国際競争力強化に貢献していきます。③ 新技術の導入及びDX等による鉄道オペレーションの進化 無線技術を活用した列車制御により、列車間隔を詰めることが可能となり高い遅延回復効果を発揮できるCBTCシステムの仕様共通化や、稠密運行路線において必要な要件を有した乗務員が先頭車両に乗務する自動運転技術(GOA2.5)等新技術の導入により、安全性の確保を前提に運行安定性を向上させ、輸送システムの変革を目指していきます。また、更なる安全・安定性向上、メンテナンスの共通化、コスト削減及び保全業務の生産性向上を目指すべく、設備状態データに最新のAI・ビッグデータ分析技術等を用いて、故障予知や劣化予測を行うCBMを推進していきます。加えて、これまで培ってきた鉄道運営ノウハウ(グループ会社も含めた鉄道技術、知見、システム、教育)を活用した他鉄道事業者向けサービスの提供を行い、事業領域を拡大するとともに、鉄道業界における鉄道インフラの維持・サービス向上に貢献していきます。④ 鉄道需要創出の促進お出かけ機会を創出するため、メトポの「ランク制度」や「休日メトロ放題」を引き続き提供するほか、「東京メトロmy!アプリ」の利便性向上や魅力向上に向けた取組を推進していきます。また、インバウンド旅行者のご利用促進を図るべく、資本業務提携先であるリンクティビティ株式会社と連携し、Tokyo Subway Ticketや観光施設・体験とのセット商品(Tokyo City Pass等)の販売を強化するほか、2025年3月から開始したクレジットカードのタッチ決済及びQRコードを活用した企画乗車券サービスに続き、クレジットカードのタッチ決済による後払い乗車サービスの実施に向けた検討も進めていきます。このほか、デジタル領域での取組を強化し、そこから得られるデータを統合的に活用することで、お客様一人ひとりのニーズを細やかに把握し、お客様への提案精度向上、沿線地域・他社との結びつき強化、グループ全体でのマーケティング推進につなげていきます。⑤ 海外鉄道ビジネスの拡大今後の成長の牽引役の1つとして、海外鉄道ビジネスの取組を強化していきます。約100年に渡り培ってきた鉄道運営に関する技術やノウハウを活用し、世界のO&M市場に進出し、新たな収益源を獲得していきます。また、環境に優しい鉄道技術の海外展開を通じて世界各都市の持続可能な発展に貢献していきます。 (2)不動産事業① 不動産開発、まちづくりとの連携強化東京においてまちづくり・鉄道成長にも寄与する不動産開発を強化していくとともに、駅周辺の都市開発と一体となった魅力的な空間の構築を図ることで、人々の快適な生活環境の形成に貢献していきます。② 不動産取得の推進、保有物件の価値向上不動産事業の拡大を目的に、駅直結物件や保有資産の隣接地に加え、これまで獲得したノウハウを活かし相互直通先沿線も含めた駅徒歩圏まで不動産取得エリアを拡大し、資本コストを考慮しつつオフィスビル・商業ビル・住宅・ホテル・開発用地等の不動産を取得していきます。また、保有不動産の売却で得た資金を新たな開発・取得に活用し、不動産循環型事業モデルを推進していきます。③ 新たな領域への挑戦都心部でのインバウンド需要をはじめとした、更なる宿泊ニーズの高まりを見据え、ホテルを開発するとともに当社が主体となって東京の来街者に対してホスピタリティ溢れるサービスを提供するために、ホテル経営・運営事業への参画を目指していきます。 (3)ライフサービス事業・ビジネスサービス事業① 高架下商業施設のリニューアル、駅ナカの魅力向上東西線高架下の商業施設をリニューアルし、まちと一体となった賑わいを創出するほか、駅ナカの様々なサービスを拡充させることによって、駅まちの魅力向上に取り組んでいきます。② 既存アセットの有効活用改札口ディスプレイ跡地を活用したデジタルサイネージの開発の推進に加え、クライアントニーズを踏まえたデジタルサイネージの増設や移設、媒体の仕様変更を行うことにより、媒体価値の向上に取り組んでいきます。また、当社グループが保有する発車メロディや駅案内標等のアセットに広告価値を付加した活用により、収益の向上を図っていきます。③ 新たな分野への挑戦事業領域の拡大として、沿線エリアのお客様の生活基盤を支えるサービスや、生活を豊かにするサービスを当社グループ自らの手で提供するとともに、東京に集う人々が関心を寄せワクワクするような体験を提供するコンテンツビジネスへの参画を目指すことで、ライフサービス事業・ビジネスサービス事業の拡大を加速させていきます。 (4)その他(新たな取組)コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)活動「Tokyo Metro Ventures」当社グループが保有する事業アセットとスタートアップ企業の技術やアイデアを掛け合わせることで、東京の未来を創る革新的なサービスの開発と社会実装を推進し、東京の多様な魅力と価値の向上を目指していきます。 (5)サステナビリティ(ESG)の取組① 環境への取組鉄道をより一層環境に優しい交通手段にしていくとともに、脱炭素社会の実現に向け、当社グループ全事業が排出するCO?量について、これまで2030年度目標として定めていた△50%(2013年度比)の目標年次を2027年度に前倒すとともに、2030年度目標を△50%から△53%(2013年度比)に高め、「メトロCO?ゼロ チャレンジ 2050」の達成に向け、更なる推進を図っていきます。② 社会とのつながり強化各地域のコミュニティと連携しながら、東京の鉄道事業者として、事業基盤である沿線地域の成長・発展に対し継続的にサポートを行うとともに、お客様、取引先、社員、地域・社会をはじめとする全ての人々の人権を尊重し、多様な価値観を活かした事業活動を進めていきます。 ③ ガバナンス体制の充実社会情勢の変化、法令改正の状況等を踏まえ、必要に応じ、コーポレート・ガバナンスの更なる充実に向けて随時取組の見直しを行っていきます。 (6)人財戦略人的資本経営の更なる推進・人事施策「採用強化」「働きやすさ向上」「やりがい創出」「人財育成」「福利厚生拡充」「健康経営推進」の観点から各種人事施策を実行し、人財獲得及び社員一人ひとりの最大活躍を実現していきます。また、エンゲージメント調査等を通じて人財戦略の実効性を検証し、推進していきます。 (7) デジタル戦略データ共有基盤の整備・デジタル技術の活用とデジタル人財育成新たな価値創出の源泉としてデータとデジタル技術を積極的に活用するため、データ共有基盤の整備や生成AIの活用・DXの促進、XR事業に取り組むとともに、全社員のデジタルリテラシーの底上げを図っていきます。 当社グループは、中長期的視点で期待される様々な施策を実現していくとともに、新たな価値の創造により、持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーから信頼され、選択され、支持される企業を目指していきます。 (3) 目標とする経営指標 当社グループは、中期経営計画「Run!~次代を翔けろ~」における経営目標として、資本効率を意識することで企業価値及び経営効率の向上を目指すという観点から連結ROE、持続的な成長に向けて本業の収益力を向上させていくという観点から連結営業利益、キャッシュ創出力を持続的に向上させていくという観点から連結EBITDA、本業から得られるキャッシュと負債のバランスを踏まえて一定の財務健全性を確保するという観点から連結純有利子負債/EBITDA倍率の4つを定めています。なお、目標値は当社グループの経営上の目標を示すものにすぎず、その達成を保証するものではありません。当該目標値の達成については、後記「3 事業等のリスク」に記載しているリスクの顕在化により影響を受けます。 経営指標2028年3月期末目標連結ROE(注1)7.7%連結営業利益930億円連結EBITDA(注2)1,740億円連結純有利子負債/EBITDA倍率(注3、4)6.3倍(新線除く 5.2倍) (注)1 親会社株主に帰属する当期純利益/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものとします。   2 営業利益+減価償却費により計算したものとします。   3 (債務残高-現金及び現金同等物)/(営業利益+減価償却費)で計算したものとします。    4 新線建設推進長期借入金(1,921億円)及び新線建設費を含めた数値とします。 「Run!~次代を翔けろ~」において目標とする経営指標である連結ROE、連結営業利益、連結EBITDA及び連結純有利子負債/EBITDA倍率に関連する各連結指標並びにセグメント毎の連結経営指標の推移は以下のとおりです。回次第16期第17期第18期第19期第20期第21期決算年月2020年3月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月営業収益(注)2(百万円)433,147295,729306,904345,370389,267407,832 運輸業(百万円)383,889255,784276,255312,260356,467372,917 不動産事業(百万円)13,91313,47413,63013,74013,65414,663 流通・広告事業(百万円)41,75031,08621,74623,65623,92025,017 その他(百万円)3,4023,1603,3083,7073,7264,066 調整額(百万円)△9,808△7,776△8,035△7,994△8,500△8,832営業利益又は営業損失(△)(注)2(百万円)83,917△40,299△12,11727,77776,35986,942 運輸業(百万円)70,999△50,791△23,65614,60463,78574,161 (営業利益率)(%)(18)(△20)(△9)(5)(18)(20) 不動産事業(百万円)4,6674,4994,6095,3474,5634,200 (営業利益率)(%)(34)(33)(34)(39)(33)(29) 流通・広告事業(百万円)8,3275,3446,7937,6877,9698,406 (営業利益率)(%)(20)(17)(31)(32)(33)(34) その他(百万円)52434035△6462 (営業利益率)(%)(2)(1)(1)(1)(△2)(2) 調整額(百万円)△12960496103106112EBITDA(注)3(百万円)166,58046,47576,10198,155150,106159,042 運輸業(注)4(百万円)149,96431,83560,58881,567133,968142,572 不動産事業(注)4(百万円)6,9036,8546,9477,5366,8816,692 流通・広告事業(注)4(百万円)9,9027,1678,4618,9439,2489,632 その他(注)4(百万円)75636147△5078有利子負債残高(百万円)756,051903,872971,2951,139,9881,118,8981,086,812現金及び現金同等物(注)5(百万円)65,54270,820111,66488,98290,66573,762純有利子負債(注)6(百万円)690,508833,052859,6301,051,0061,028,2331,013,049連結ROE(注)7(%)7.4△7.8△2.14.47.17.8純有利子負債/EBITDA倍率(注)8(倍)4.117.911.310.76.96.4 (注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第18期の期首から適用していますが、上表の第17期以前の連結経営指標等については、当該会計基準の変更を反映していません。2 セグメント毎の営業収益はセグメント間の内部営業収益又は振替高を含めた金額を記載しています。また、セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)は、セグメント間の取引消去前の金額を記載しています。なお、セグメント毎の営業利益率は、セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)をセグメント毎の営業収益で除して算出しており、小数点以下第1位を四捨五入しています。3 営業利益又は営業損失(△)+減価償却費により算出したものです。4 セグメント毎の営業利益又は営業損失(△)+セグメント毎の減価償却費により算出したものです。なお、セグメント利益又は損失(△)の調整額は含めていません。5 現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。6 有利子負債残高-現金及び現金同等物により算出したものです。7 親会社株主に帰属する当期純利益又は損失(△)/((期首純資産+期末純資産)/2)で計算したものです。また、小数点以下第2位を四捨五入しています。8 小数点以下第2位を四捨五入しています。
経営者による財政状態の説明
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、緩やかに回復しているものの、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇や金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。このような状況下で、当社グループは、2022年4月に公表し、2023年3月に設備投資計画の見直しやポストコロナを見据えた経営目標値の上方修正等を行った中期経営計画「東京メトロプラン2024」(2022年度~2024年度)に基づき、各種施策を積極的に推進しました。本計画期間において、鉄道事業の持続可能性の向上を図るべく、安全の確保を前提に、次世代に向けたコスト構造や業務の抜本的な見直し等、『構造変革』に取り組むとともに、新線建設、お出かけ機会の創出、都市・生活創造事業の強化等、『新たな飛躍』を目指した各種施策に取り組みました。当連結会計年度の業績は、経済活動の活性化等により、都心部を中心に沿線全域で平日、休日ともに好調に推移したことに伴い、旅客運輸収入が増加し、営業収益が4,078億3千2百万円(前期比4.8%増)となり、営業利益が869億4千2百万円(前期比13.9%増)、経常利益が770億8百万円(前期比16.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が537億4千8百万円(前期比16.2%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。[運輸業]① 安全性・利便性の向上 (セキュリティ強化)テロ行為や犯罪に備え、全車両への車内セキュリティカメラ設置を2024年度末までに完了しました。 (自然災害対策)阪神・淡路大震災及び東日本大震災後の通達に基づく耐震補強(高架橋、石積み擁壁)は完了しています。また、熊本地震後の通達に基づく震災対策として、早期運行再開を目的としたロッキング橋脚、こ線道路橋・人道橋の補強は完了し、現在はトンネル中柱の耐震補強工事を進めています。大規模浸水対策として、浸水深等に応じた駅出入口の止水板の改良、防水扉の設置、上屋建て替えによる完全防水型出入口への改良、換気口浸水防止機の改良、換気塔の嵩上げ、地上駅・地上設備の外壁の鉄筋コンクリート化、トンネル坑口への防水ゲートの設置等を進めており、現在61.1%の進捗となっています。 (お客様の円滑な移動の実現)お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様に安心してご利用いただけるよう、エレベーター、エスカレーター及びバリアフリートイレの整備を進めており、2024年5月に東西線南砂町駅にエレベーター、同年11月に副都心線池袋駅にエレベーター、日比谷線茅場町駅にエレベーター及びエスカレーターを設置しました。また、ホームと車両床面の段差・隙間縮小のため、東西線、半蔵門線、南北線及び副都心線(※)においてホームの嵩上げ、くし状ゴムの設置を進めています。※銀座線・丸ノ内線・日比谷線・千代田線は完了ホームドアの整備については、2025年度中の全路線全駅(大規模改良中の南砂町駅を除く)への設置完了を予定しており、2路線において設置工事を進めています。現在の全線及び設置工事中2路線の整備率は、以下のとおりです(※)。 全線東西線半蔵門線整備率94%65%79% ※他路線は設置完了また、東西線南砂町駅においては、混雑緩和を目的としたホーム2面3線化のため、2024年5月に第1回線路切替工事を行い、新設したホーム、出入口、改札等の供用を開始しました。(その他)日本の地下鉄で初めての無線式列車制御システム(CBTCシステム)を丸ノ内線全線で2024年12月から使用開始しました。CBTCシステムは無線通信技術を利用した信号保安システムで、高い遅延回復効果や軌道回路に起因する輸送障害の減少等により運行の安定性が向上しています。また、2021年6月に発生した日比谷線八丁堀駅における多機能トイレの機能不備によるお客様の発見遅れについては、公表した再発防止対策報告書に基づく取組を確実に推進し、当社施設の確実な施工、保守・点検及び適切な取扱いを徹底しています。 ② 有楽町線延伸・南北線延伸等によるネットワーク発展・充実 (有楽町線・南北線の延伸)新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)については、都市計画決定が告示され、工事施行認可を受けたことを踏まえ、地質及び埋設物の調査並びに設計及び工事説明会を実施し、2024年11月に工事着手しました。 ③ 鉄道事業の成長に向けたアクションプラン (目的地と連動した移動価値)沿線施設と連動したお出かけ機会の創出に向けて、企業や自治体とタイアップしたスタンプラリーや観光施設等の入場券とTokyo Subway Ticketのセット発売及び商業施設で使用可能なクーポンと東京メトロ24時間券のセット発売を行いました。また、2025年3月から様々な観光施設をおトクに周遊できる乗車券付きの観光チケット「Tokyo City Pass」を発売しました。  (他サービスと連携した移動価値)「東京メトロmy!アプリ」を介して、お出かけ情報の提供や二次交通との連携による観光予約等、ご乗車の機会が増えるような「楽しみ」の企画・提案を行っています。2024年4月から、同アプリを介して飲食店ポータルサイトであるオズモールを予約いただいたお客様に、メトロポイントクラブ(メトポ)のポイント付与を開始しました。また、同年9月に、キッザニア東京と同アプリを介した通年での利用予約を開始したほか、2025年3月から、クレジットカードのタッチ決済及びQRコード(※)を活用した乗車サービスの開始に合わせ、同アプリと乗車券販売サイトとの連携を開始しました。 ※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。(頻度に応じた移動価値)より分かりやすくお得に多くのお客様にご利用いただけるよう、2024年4月に、PASMOをお持ちの方を対象とした「メトロポイントクラブ(メトポ)」とTo Me CARDをお持ちの方を対象とした「メトロポイント」の2つのポイントサービスを統合しました。また、同年5月に、モバイルのPASMOをご利用のお客様において、モバイルPASMOアプリ上でメトポの登録手続及びポイントからのチャージを可能にしました。さらに、2025年3月に、カード型PASMOも含めてWeb上でのメトポの登録手続に対応したことで、全てのお客様の登録手続がオンラインで可能となりました。 ④ 新技術の導入とDXによる鉄道オペレーションの進化 (技術開発ビジョン)新技術の導入・開発やDXの推進等により、持続的な企業価値向上を図り、将来にわたる安心の提供を実現するため、状態基準保全(CBM)の一環として、車両・設備の状態監視を進めています。また、故障予知技術・劣化予測技術の促進の検討を進めています。2024年11月には、鉄道会社として初めてお客様向けチャットボット及びお客様センター業務双方への生成AIの本格的な活用を開始しました。 ⑤ 不動産事業の拡大とまちづくりとの連携 (まちづくりとの連携)駅周辺開発を計画・検討する都市開発事業者等と連携した「えき・まち連携プロジェクト」として、5駅において開発提案を募集しています。 ⑥ 海外鉄道ビジネスの拡大・新規ビジネスの開発推進 (海外鉄道ビジネス)海外鉄道ビジネスについては、O&M(オペレーション&メンテナンス)事業において、英国に本社を置く鉄道事業者The Go-Ahead Group Limited、住友商事株式会社及び当社の3社で出資設立した事業会社GTS Rail Operations Limitedが、英国ロンドン市における地下鉄Elizabeth line(エリザベス・ライン)の運営事業を受注しました。同社は、現行の運営事業者からの移管を経て2025年5月から鉄道運営事業を開始します。また、都市鉄道整備が進むフィリピン、ベトナム等において、鉄道整備、技術支援に係る各プロジェクトを推進したほか、世界の鉄道関係者向けオンライン講座・訪日研修の「Tokyo Metro Academy」を開催(オンライン講座18講座及び訪日研修3回)しました。 (新規ビジネスの開発)新規事業の創出を目的とした社内事業開発プログラム「メトロのたまご」を通じて社員が提案したスケートボードパーク&スクール事業「RAMP ZERO」を、日比谷線南千住駅高架下において2024年4月に営業開始しました。また、「Tokyo Metro ACCELERATOR 2022」で最終審査を通過したSTUDIO BUKI株式会社との協業施策として、子どもが作中で東京メトロの運転士になれるパーソナライズド絵本「僕は私は運転士!」を同年4月に販売開始しました。同様に、最終審査を通過した株式会社休日ハックとの協業施策として、漫画・謎解き・街歩きを掛け合わせたオリジナル体験型エンターテイメント「メトロタイムゲート」を同年5月から8月まで実施したところ、期間終了前に早期に完売したため、2025年2月から3月までリバイバル開催しました。また、「東京メトロ×プログラボ」を中心とした教育事業のスムーズな運営と拡大を目指し、2024年12月に「東京メトロエデュケーショナル株式会社」を設立しました。今後、プログラボが理念に掲げる「未来を担う子ども達の『夢を実現するチカラ』を育む」ことを目指して教室運営を行います。加えて、スタートアップ企業との協業や出資を通じて、革新的なサービスを創出し、東京の未来を共に創ることを目的としたCVC活動「Tokyo Metro Ventures」を2025年3月から開始しました。 ⑦ 脱炭素・循環型社会への貢献 (脱炭素社会への取組)脱炭素社会の実現に向けた取組として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、当社の気候関連リスク、機会等を特定し、開示しています。指標、目標として掲げている長期環境目標「メトロCO?ゼロ チャレンジ 2050」について、2030年度目標を△50%から△53%(ともに2013年度比)に高め、更なる推進を図っています。電力由来エネルギーの脱炭素化として、2024年4月に丸ノ内線・南北線は使用電力全てを水力発電由来の再生可能エネルギーに置き換えました。また、鉄道業界では初となる取組として、同年7月に小水力発電を、同年10月には陸上風力発電を活用したバーチャルPPA(需要家が発電事業者から再生可能エネルギーの環境価値のみを仮想的に調達する契約)による環境価値の調達を行いました。このほか、変電所や車両、その他電気設備が保有するデータを分析・見える化し、変電所電圧の適正化や駅補助電源装置の制御方式を変更することで、回生電力のロスを削減するなど、更なるエネルギーの有効活用化を推進しました。また、これらの取組に加えて、当社の鉄道運行を通じて生まれた社会における環境面でのポジティブインパクト(削減貢献量)を活用し、他者と連携した取組を実施することにより、鉄道の環境優位性をPRしました。 (循環型社会の実現に向けた取組)当社グループ運営の飲食店等から排出される使用済み油をSAF(Sustainable Aviation Fuel:化石燃料以外を原料とする持続可能な航空燃料)の原料に再利用する取組に参加し、2024年6月に、東西線浦安駅で使用済み油回収イベントを実施しました。 ⑧ 経営基盤の強化 (安全文化の醸成)お客様の安全を第一に、事故の未然防止、再発防止に取り組むため、グループ全役員・社員を対象にした安全研修をはじめとし、「安全を最優先する企業風土の形成」「ヒューマンファクター概念の浸透」「部門間連携強化による総合力の発揮」「PDCAサイクルによる安全管理体制の強化」を実現するための施策を継続実施したほか、社員一人ひとりが自ら考え行動を起こすことができる安全文化の醸成に努めています。(豊かな社会のためのパートナーシップ)女子駅伝部やパリ2024パラリンピック競技大会に出場したパラフェンシング選手である安直樹選手の活動支援のほか、東京マラソンへの参画を通じて、スポーツ選手が活躍できる環境づくりに貢献するとともに地域・社会の活性化に取り組んでいます。安選手は、2025年2月に開催されたパラフェンシングのブラジルワールドカップにおいて、エペ、フルーレの2種目で銅メダルを獲得しました。女子駅伝部は、2024年11月、第44回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会(クイーンズ駅伝)に初出場を果たしました。さらに2025年3月に開催された名古屋ウィメンズマラソンにおいて、上杉真穂選手が全体4位(日本人2位)の好成績を収めました。また、沿線の盲学校と連携し、当社総合研修訓練センターにある模擬ホーム等を活用し、生徒たちが線路の幅やレールの形状、ホームの高さ等に触れて駅設備の仕組みを学ぶ体験会を実施しました。運輸業の当連結会計年度の業績は、経済活動の活性化等により、都心部を中心に沿線全域で平日、休日ともに好調に推移したことに伴い、旅客運輸収入が増加し、営業収益が3,729億1千7百万円(前期比4.6%増)、営業利益が741億6千1百万円(前期比16.3%増)となりました。(運輸成績表)種別単位第20期連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)第21期連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)営業日数日366365旅客営業キロキロ195.0195.0客車走行キロ千キロ289,825289,057輸送人員定期千人1,248,0781,297,833 定期外〃1,136,6531,197,916 計〃2,384,7312,495,750旅客運輸収入定期百万円124,581129,995 定期外〃199,427209,370 計〃324,009339,366乗車効率%4648 (注)1 記載数値は、千キロ未満、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。   2 乗車効率の算出方法:人キロ÷(客車走行キロ×客車平均定員)×100 3 第17期から第19期の各連結会計年度における、旅客運輸収入は下表のとおりです。 種別単位第17期第18期第19期決算年月2021年3月2022年3月2023年3月旅客運輸収入定期百万円107,587105,483111,990定期外〃116,341139,609169,374計〃223,928245,092281,364 [不動産事業]不動産事業においては、収益性の向上を図るべく、駅周辺の都市開発と一体となった建物の整備を進めています。2024年4月には神宮前六丁目用地再開発建物が東急プラザ原宿「ハラカド」として開業したほか、同年12月には、池袋二丁目用地に「スーパーホテル池袋西口天然温泉」が開業しました。また、新宿駅西口地区開発計画においては新築工事を推進し、東上野地区においては東上野四丁目A―1地区再開発準備組合へ事業協力者として参画しています。加えて、遊休資産の有効活用として同年7月には北馬込一丁目用地(旧家族寮)に介護付有料老人ホームの「チャームスイート旗の台」、同年12月には弥生町五丁目用地(旧研修施設)に「メトロステージPLUS中野弥生町」がそれぞれ開業したほか、同年12月に東陽町スクウェアビル、2025年2月にTS青山ビルをそれぞれ取得しています。そのほか、不動産事業の成長を目的に不動産アセットマネジメント事業へ参入するため2024年4月に設立した「東京メトロアセットマネジメント株式会社」は、2025年3月から「東京メトロプライベートリート投資法人」の運用を開始しました。不動産事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が146億6千3百万円(前期比7.4%増)、営業利益が42億円(前期比7.9%減)となりました。 [流通・広告事業]流通・広告事業においては、収益性の向上を図るとともに、お客様の「新たな日常」を支え、ニーズに迅速に対応するため、各種開発を推進しました。流通事業については、2024年11月に日本橋駅構内に「日本橋メトロピア」、2025年3月に錦糸町駅構内に「錦糸町メトロピア」を開業しました。東西線高架下においては同年3月に葛西駅西側の開発に加え、浦安駅に「M’av浦安」を開業しました。そのほか、駅構内店舗等における店舗入替や駅構内の空きスペースにおける自動販売機、コインロッカー等の増設、東西線高架下や錦糸町駅における新規店舗の開発を進めました。広告事業については、改札口付近にデジタルサイネージ及び広告看板を新設したことに加え、デジタルサイネージの販売促進や、中づり・まど上、駅ばりポスターの貸切商品等、クライアントニーズに応じたインパクトのある商品の展開により、収益拡大に努めました。流通・広告事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が250億1千7百万円(前期比4.6%増)、営業利益が84億6百万円(前期比5.5%増)となりました。 当社グループの財政状態については、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ72億2千1百万円増の2兆297億4千5百万円、負債合計は409億1千2百万円減の1兆3,132億1千5百万円、純資産合計は481億3千3百万円増の7,165億2千9百万円となりました。資産の部の増加については、設備投資に伴う固定資産の増加等によるものです。負債の部の減少については、長期債務の償還等によるものです。純資産の部の増加については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によるものです。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、35.3%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ169億3百万円減少し、当連結会計年度末には737億6千2百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,235億4千4百万円(前期比115億2千2百万円収入減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益743億3千2百万円(前期比87億9千万円の収入増)と非資金科目である減価償却費720億9千9百万円(前期比16億4千8百万円の収入減)を計上したこと等によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、895億4百万円(前期比107億2千5百万円支出減)となりました。これは主に、設備投資等を中心に有形及び無形固定資産の取得による支出1,159億8千万円(前期比118億4千7百万円の支出増)と有形及び無形固定資産の売却による収入218億6千3百万円(前期比216億1千6百万円の収入増)があったこと等によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、509億4千3百万円(前期比177億8千9百万円の支出増)となりました。これは、長期借入れの返済による支出が320億8千6百万円(前期比209億9千6百万円の資金の減少)及び配当金の支払額が185億9千2百万円(前期比69億7千2百万円の資金の減少)あったこと等によるものです。 ③ 生産、受注及び販売の実績当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績を記載することとしています。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。  (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)増減額増減率 % 営業収益389,267407,83218,5644.8 営業費312,908320,8897,9812.6 営業利益76,35986,94210,58313.9 営業外収益2,0552,125693.4 営業外費用12,54812,060△488△3.9 経常利益65,86677,00811,14116.9 特別利益13,07410,065△3,008△23.0 特別損失13,39812,741△657△4.9 税金等調整前当期純利益65,54174,3328,79013.4 親会社株主に帰属する 当期純利益46,26253,7487,48516.2 [営業収益及び営業利益]当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ185億6千4百万円増の4,078億3千2百万円となりました。 これは、経済活動の活性化等により、都心部を中心に沿線全域で平日、休日ともに好調に推移したことに伴い、旅客運輸収入が増加したこと等によるものです。営業費は、前連結会計年度に比べ79億8千1百万円増の3,208億8千9百万円となりました。これは、修繕工事に伴う修繕費の増等があったこと等によるものです。以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ105億8千3百万円増の869億4千2百万円となりました。なお、各セグメントの営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。 [営業外損益及び経常利益]当連結会計年度の営業外収益は、固定資産維持管理協力金等の計上により、前連結会計年度に比べ6千9百万円増の21億2千5百万円となりました。営業外費用は、支払利息の減少等により、前連結会計年度に比べ4億8千8百万円減の120億6千万円となりました。以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ111億4千1百万円増の770億8百万円となりました。 [特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益]当連結会計年度の特別利益は、鉄道施設受贈財産評価額の減少等により、前連結会計年度に比べ30億8百万円減の100億6千5百万円となりました。特別損失は、固定資産圧縮損の減少等により、前連結会計年度に比べ6億5千7百万円減の127億4千1百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は743億3千2百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ74億8千5百万円増の537億4千8百万円となりました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動により得られた資金並びに社債及び借入金を設備投資等に充当しています。当社グループの主な資金需要は、営業活動に係る資金支出では、鉄道事業に係る修繕費や管理委託費等の経費、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金支出では、車両更新やホームドア整備などの安全対策、バリアフリー整備などの旅客サービス等の運輸業への投資、持続的な成長を実現する不動産事業及び流通・広告事業への投資のほか、有楽町線、南北線延伸事業等に係る投資があります。資金調達の方法は、償却前営業利益を基本に、不足する資金を金融市場動向等に鑑み、社債の募集及び金融機関からの借入により長期資金を調達しています。また、運転資金として短期的に資金を必要とする場合は、国内金融機関との当座貸越契約により短期資金を調達することで、緊急時の流動性を確保しています。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金、設備投資資金の調達は問題なく対応可能と認識しています。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。ⅰ固定資産の減損当社グループは多くの固定資産を保有しており、回収可能価額を将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しています。そのため、景気低迷、他事業者との競合、市場価格の下落、感染症の発生等により当初見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失を認識する可能性があります。 ⅱ繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。 ⅲ退職給付債務及び費用従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等の前提条件に基づいて算出しています。 実際の結果が、前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社の経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の推移につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。なお、第17期及び第18期において、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、旅客人員の減少等により営業損益がマイナスとなったため、EBITDAが減少しましたが、その後は回復傾向にあり、足元の状況は堅調に推移しているものと判断しています。また、連結純有利子負債/EBITDA倍率につきましても、第21期において6.4倍となっており、堅調に推移しているものと判断しています。

※本記事は「東京地下鉄株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

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連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

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