三菱HCキャピタル株式会社の基本情報

会社名三菱HCキャピタル株式会社
業種その他金融業
従業員数連8380名 単2102名
従業員平均年齢40.5歳
従業員平均勤続年数15年
平均年収10076000円
1株当たりの純資産1246.64円
1株当たりの純利益(連結)94.19円
決算時期3月
配当金40円
配当性向120.8%
株価収益率(PER)10.7倍
自己資本利益率(ROE)(連結)7.8%
営業活動によるCF▲2968億円
投資活動によるCF▲969億円
財務活動によるCF3536億円
研究開発費※1-円
設備投資額※1-円
販売費および一般管理費※1768.83億円
株主資本比率※219%
有利子負債残高(連結)※369423.41億円
※「▲」はマイナス(赤字)を示す記号です。
経営方針
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。(1)経営の基本方針 当社は、経営の基本方針である「経営理念」、「経営ビジョン」および「行動指針」を以下のとおり定めています。 「経営理念」は、長期的な視点でめざす“ありたい姿”、「経営ビジョン」は、この“ありたい姿”を実現するためにめざすべきもの、「行動指針」は、経営理念・経営ビジョンを実現するために社員一人ひとりが持つべき価値観・心構え、取るべき行動です。◎ 経営理念わたしたちは、アセットの潜在力を最大限に引き出し社会価値を創出することで、持続可能で豊かな未来に貢献します。◎ 経営ビジョン・ 地球環境に配慮し、独自性と進取性のある事業を展開することで、社会的課題を解決します。・ 世界各地の多様なステークホルダーとの価値共創を通じて、持続可能な成長をめざします。・ デジタル技術とデータの活用によりビジネスモデルを進化させ、企業価値の向上を図ります。・ 社員一人ひとりが働きがいと誇りを持ち、自由闊達で魅力ある企業文化を醸成します。・ 法令等を遵守し、健全な企業経営を実践することで、社会で信頼される企業をめざします。◎ 行動指針・ チャレンジ     : 未来志向で、責任を持って挑戦する。・ デジタル      : デジタルリテラシーを高め、変革を創り出す。・ コミュニケーション : 対話を通じて相互理解を深め、社内外のステークホルダーと信頼関係を築く。・ ダイバーシティ   : 多様性を受容し、相互に尊重する。・ サステナビリティ  : 人・社会・地球と共生し、持続可能な世界を実現する。・ インテグリティ   : 高い倫理観を持ち、絶えず基本に立ち返る。 (2)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題① 経営環境 昨今の外部環境の変化は激しく、「地政学と経済」「気候変動」「テクノロジーの広がり」「人口動態」といった中長期的に内外経済の動向を左右する潮流、メガトレンドを認識する必要性が増しています。 このような外部環境の変化の中で、当社グループに求められる役割は、従来型のリース・ファイナンスに加えて、事業投資・運営などを通じた社会的課題の解決へと変化しています。また、想像以上のスピードで産業レベルでのビジネスモデルチェンジが生じるとみられ、各企業が環境変化に適応していくうえでは、アセットに関する多様な機能を有し、金融機能にとどまらない柔軟なサービスを提供する当社グループの存在意義がさらに高まるものと考えています。② 当社グループの進むべき方向性と中期経営計画 当社グループは、10年後のありたい姿として「未踏の未来へ、ともに挑むイノベーター」を掲げました。これは、3次にわたる中期経営計画(「ホップ」・「ステップ」・「ジャンプ」)を経て、到達をめざしていきます。2023年度(2024年3月期)からの3年間を対象期間とする中期経営計画(以下、2025中計)は「ホップ」の位置づけで、「ステップ」・「ジャンプ」に向けた飛躍につながる「種まき」と「足場固め」をキーワードに取り組んでいます。 ③ 事業戦略ビジネスモデルの進化・積層化 当社グループのビジネスを以下の5つに分類し、事業ポートフォリオ変革を実現するために「ビジネスモデルの進化・積層化」を進めています。 事業戦略の前提 利益成長は、「ビジネスモデルの進化・積層化」を通じて、事業ポートフォリオやアセットの質を中長期的に転換していくことにより実現します。そのためにも、配当後のキャッシュ・フローは中長期的視点で積極的に投資していきます。 その取り組みを下支えするため、バランスシートを最適化することで中長期的な資本収益性と財務健全性を両立し、企業価値を最大化していきます。 セグメント別の事業戦略 セグメント別の事業戦略は以下のとおりです。セグメント2025中計達成のための道筋カスタマーソリューション・収益性の高いセグメント資産の増加による収益規模拡大。・中古半導体製造装置等のリファービッシュ※1事業やPC-LCM※2事業等の高収益ビジネスの推進。・外部パートナー企業との高付加価値ビジネスの市場投入を加速。・新顧客情報管理システムによる組織間情報連携の向上と顧客・社会課題を的確に捉えた提案手法の浸透により、データに基づく営業活動に転換。海外地域<欧州>・主要事業の成長に加え、欧州モビリティ事業の業績回復。・高収益資産の積み上げ、継続的なシステム強化・デジタル投資を通じたビジネスプロセス効率化による収益性向上。<米州>・ベンダーファイナンス事業は、リスク管理の高度化に加え、トランスポーテーション以外の分野の拡大。・コマーシャルファイナンス事業は、既存事業の継続的な拡大とともにAs-a-Service、FMVリース※3といった高付加価値商品への取り組みを推進。環境エネルギー<国内>・持分容量(太陽光・風力等)の拡大と付加価値向上策の推進。・ポートフォリオ入れ替えと利益創出を目的とした一部太陽光発電事業等の売却。<海外>・European Energy A/Sを通じた再生可能エネルギー事業の展開と並行し、インフラ案件の売却によるポートフォリオの入れ替え。航空・商品多様化等の成長戦略とグループ内連携のさらなる強化によるアセット回転量・収益性の向上。・次世代航空技術・脱炭素化分野の研究開発を進め、将来の事業基盤を構築。ロジスティクス・海上コンテナリース事業は、市況を見極めた新規投資による優良資産の積み上げ、満了契約の延長・不稼働コンテナのリース付けによる高稼働率の維持、売却益の最大化。・北米貨車リース事業は、高稼働率の維持・リース料値上げ・リース期間長期化による採算向上、資産回転型モデルの推進による売却益の最大化。不動産・開発機能やリノベーション・コンバージョン等のバリューアップ力の強化を通じた期中収益の向上、資産売却益の獲得。・アセットマネジメント事業のファンド化推進による回転型ビジネスの強化。モビリティ<国内>・EV統合型サービスの提案加速化を通じたオートリースの顧客基盤拡大。・オートリース会社2社の合併にともなう営業力強化による車両管理台数の拡大。<ASEAN>・パートナー連携により、プレゼンスの向上および提案高度化等を実現し資産獲得を加速。※1 リファービッシュ:新品に準じる状態に整備、仕上げること。※2 PC-LCM(PC-Life Cycle Management):パソコン導入時の設定・設置から故障時の修理や代替機提供まで、お客さまのさまざまなご要望にお応えするサービス。※3 FMV(Fair Market Value)リース:リース期間満了後にお客さまが返却や買い取り、リース延長等のオプションを選択し、その際の取引価格を公正市場価格にて決定する柔軟なリース契約。 組織横断重要テーマ 組織横断的に当社グループの総力を挙げて取り組んでいくテーマを以下のとおり設定しています。 各テーマは、当社グループだけではなく、パートナー企業とともに社会的課題の解決を通じて社会価値を創造し、持続可能で豊かな未来に貢献していく、当社のありたい姿につながるものとしています。 将来のめざす姿水素低炭素水素※製造を軸とした水素サプライチェーンの構築に貢献。EVEVを起点にカーボンニュートラル社会の実現に貢献。物流物流サプライチェーン上の社会的課題・顧客ニーズに対し、有力パートナーと協働し、最適な物流ソリューションを構築・提供。脱炭素ソリューション脱炭素社会の実現に向けた総合サービスプロバイダー。※ 低炭素水素:製造にともなって排出される二酸化炭素の量が一定の値以下で、経済産業省令で定める要件に該当する水素。④ 経営基盤強化戦略 以下の4つの戦略を中心に経営基盤を強化しています。 2025年度計画(主な取り組み)人材の育成・確保・職務類型ごとの適性人員の把握および人材情報のマッチングによる充足度の可視化。・業績貢献型処遇制度の運用拡充。・エンゲージメントサーベイ分析高度化、エンゲージメント維持・向上策の実施。財務基盤・社内基盤の強靭化・ALM※1最適化、米国でのCMS※2導入等によるリスク管理の高度化および資金原価の低減。・リスクアペタイトステートメント※3の改善および他ビジネスへの展開、応用検討。・全社データ利活用環境の機能・用途の段階的拡張。コーポレート・ガバナンス体制の強化・新ビジネスのリスク評価手法導入。・営業現場のリスクオーナーシップ強化。・国内外グループ全体の監査品質の向上。ステークホルダーエンゲージメントの向上・投資家向け事業別説明会の継続的実施。・コーポレートサイトの全面リニューアル(2026年度リリース予定)。・サステナビリティ経営のPDCAサイクルの確立および進捗状況の対外開示。※1 Asset Liability Management:資産、負債の総合的な管理。※2 Cash Management System:グループ全体の資金を一元的かつ効率的に管理するシステム。※3 リスクアペタイトステートメント:事業運営に関係するリスクの種類やそれに応じたリスクテイクやリスク管理に係る考え方などを文書化したもの。⑤ 変革を促す仕組み 変革の実現に向けて障害となるものを取り除き、変革に向けた意識改革を実施します。 従来の延長線ではない新たな視点で各種施策においてスピード感を持って推進します。 打ち手の方向性1 変革の土壌を「整える」全社員の変革意識の醸成。2 変革を「生み出す」変革に資する取り組みが活発に生み出されるための仕組みを構築。3 変革を「推進する」効率的な意思決定プロセスや権限委譲等を進めることで、アジャイル(迅速)な検討態勢を構築し、変革を推進。 (3)優先して対処すべき事業上の課題 当社グループは、「10年後のありたい姿」の実現のために、データ等、有形・無形のアセットの潜在価値を最大限に活用したサービスや事業経営などを推進することで、「ビジネスモデルの進化・積層化」を進めています。 この「ビジネスモデルの進化・積層化」を進めていくには、社員一人ひとりの意識改革が必要だと考えています。そのための仕掛けとして、「変革を促す仕組み」を構築し、「変革の土壌を整える」、「変革を生み出す」、「変革を推進する」の3つの切り口から打ち手を実施し、従来の延長線ではない新たな視点で各種施策を実行しています。 (4)目標とする経営指標 2025中計の対象期間である2023年度から2025年度(2024年3月期から2026年3月期)において、以下の財務目標および非財務目標の達成をめざします。 (財務目標)項目目標財務目標(2026年3月期)親会社株主に帰属する当期純利益1,600億円(2023年3月期実績比 年平均成長率+11.2%)ROA1.5%程度※1(2023年3月期実績比 +0.4pt程度)ROE10%程度※2 (2023年3月期実績比 +1.8pt程度)配当方針(2025中計期間)配当性向40%以上・ 株主還元は配当によって行うことを基本とする。・ 利益成長を通じて配当総額を高めていく。財務健全性(2025中計期間)A格の維持・ 健全な財務基盤と積極的な投資戦略の両立。・ 現行スタンドアローン格付※3の維持。(注)ROAおよびROEの算定においては、親会社株主に帰属する当期純利益を使用しています。※1 2026年3月期の業績予想はROA1.4%。※2 2026年3月期の業績予想はROE8.8%。※3 当社単独ベースの信用力評価。 (非財務目標)KPI目標(2025中計期間)経営戦略に合致した人材ポートフォリオの充足度(単体)人材ポートフォリオの枠組みを策定、充足度を可視化。従業員エンゲージメントサーベイ結果(単体)サーベイの内容を精緻化し、分析を高度化。DXアセスメント※1「スタンダード」レベル以上の人材比率(単体)80%以上月平均残業時間(業務効率)(単体)14時間以下有給休暇取得率(単体)70%以上温室効果ガス排出量(Scope3※2)(連結)影響度の高いカテゴリーを主に分析し、Scope3※2を可視化。温室効果ガス排出量(Scope1※2,2※2)(連結)2030年度:2019年度対比△55%2050年度:ネットゼロエネルギー使用量(国内)(単体+国内グループ会社)前年度比△1%を継続。※1 DXアセスメント:外部業者提供のDXリテラシー水準を測るツールを活用し、結果により「ビギナー」  「スタンダード」「エキスパート」の3つのレベルに分類している。※2 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)。   Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用にともなう間接排出。   Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。
経営者による財政状態の説明
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は次のとおりです。なお、記載のセグメント利益の合計は、連結損益計算書の親会社株主に帰属する当期純利益と一致しています。(連結経営成績)                                    (単位:億円) 2024年3月期2025年3月期増減増減率(%)売上高19,50520,908+1,402+7.2売上総利益3,8004,626+825+21.7営業利益1,4611,871+409+28.0経常利益1,5161,935+419+27.7親会社株主に帰属する当期純利益1,2381,351+113+9.1契約実行高30,51933,117+2,597+8.5(連結財政状況)                                    (単位:億円) 2024年3月期2025年3月期増減増減率(%)純資産17,05318,045+991+5.8総資産111,498117,623+6,124+5.5有利子負債84,39788,407+4,010+4.8自己資本比率(%)15.115.2+0.1pt- ① 財政状況および経営成績等の状況 当連結会計年度の経営成績等は、営業面では契約実行高は前期比2,597億円(8.5%)増加の3兆3,117億円となりました。 収入面では、売上高は前期比1,402億円(7.2%)増加の2兆908億円となりました。 損益面では、売上総利益は前期比825億円(21.7%)増加の4,626億円、営業利益は前期比409億円(28.0%)増加の1,871億円、経常利益は前期比419億円(27.7%)増加の1,935億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比113億円(9.1%)増加の1,351億円となりました。 当期末の総資産は前期末比6,124億円(5.5%)増加の11兆7,623億円、純資産は前期末比991億円(5.8%)増加の1兆8,045億円、有利子負債(リース債務を除く)は前期末比4,010億円(4.8%)増加の8兆8,407億円、自己資本比率は前期末比0.1ポイント上昇の15.2%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末比445億円(13.3%)減少の2,908億円となりました。 資金が445億円減少した内訳は、財務活動により3,536億円の資金を獲得した一方、営業活動により2,968億円、投資活動により969億円の資金使用があったことによるものです。 営業活動におけるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,956億円に、賃貸資産に係る減価償却費・除却損及び売却原価6,005億円、その他の営業資産に係る減価償却費・売却原価280億円を調整した収入等を、主に新規案件の積み上げにより、賃貸資産およびその他の営業資産の取得による支出1兆200億円、貸付債権の増加による支出1,153億円等に振り向けた結果、2,968億円の資金支出となりました(前期は491億円の支出)。 投資活動におけるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入320億円および連結の範囲の変更を伴う子会社株式等の売却による収入104億円等に対し、投資有価証券の取得による支出1,262億円等により969億円の資金支出となりました(前期は1,433億円の収入)。 財務活動におけるキャッシュ・フローは、直接調達で3,903億円の純収入、銀行借入等の間接調達で298億円の純収入、配当金の支払560億円等により、3,536億円の資金収入となりました(前期は2,229億円の支出)。 ③ 営業取引の状況a.契約実行高 連結会計年度における契約実行高の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 前連結会計年度(単位:億円) 報告セグメント調整額合計カスタマーソリューション海外地域環境エネルギー航空ロジスティクス不動産モビリティ契約実行高9,84813,8962284,5633831,520143△6430,519 当連結会計年度(単位:億円) 報告セグメント調整額合計カスタマーソリューション海外地域環境エネルギー航空ロジスティクス不動産モビリティ契約実行高9,19913,7982995,4752,2122,016116-33,117 b.営業実績 連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。前連結会計年度(単位:億円) 報告セグメント調整額連結損益計算書計上額カスタマーソリューション海外地域環境エネルギー航空ロジスティクス不動産モビリティ売上総利益1,1591,35310449135523812843,800セグメント利益3811667327317811927181,238 当連結会計年度(単位:億円) 報告セグメント調整額連結損益計算書計上額カスタマーソリューション海外地域環境エネルギー航空ロジスティクス不動産モビリティ売上総利益1,1201,39579851424561131814,626セグメント利益368264747223212231511,351 c.セグメント資産残高 連結会計年度末におけるセグメント資産残高は、次のとおりです。前連結会計年度(単位:億円) 報告セグメント調整額連結貸借対照表計上額カスタマーソリューション海外地域環境エネルギー航空ロジスティクス不動産モビリティセグメント資産29,66530,7084,16620,20010,9905,2545199,994111,498(注)セグメント資産は、営業資産、持分法適用会社への投資額、のれんおよび投資有価証券等です。調整額には各報告セグメントに帰属しないセグメント資産およびセグメント資産合計と連結総資産の差額である現金及び預金や社用資産等が含まれています。 当連結会計年度(単位:億円) 報告セグメント調整額連結貸借対照表計上額カスタマーソリューション海外地域環境エネルギー航空ロジスティクス不動産モビリティセグメント資産30,04530,7494,86324,48112,8935,7055888,295117,623(注)セグメント資産は、営業資産、持分法適用会社への投資額、のれんおよび投資有価証券等です。調整額には各報告セグメントに帰属しないセグメント資産およびセグメント資産合計と連結総資産の差額である現金及び預金や社用資産等が含まれています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 連結経営成績 当連結会計年度の経営成績は、海外地域セグメントと環境エネルギーセグメントにおいて貸倒関連費用が増加したものの、連結子会社であるJSA International Holdings, L.P.およびその子会社の決算期変更にともなう決算取込期間の調整による期初計画織り込み済みの増益効果※に加え、航空セグメントとロジスティクスセグメントの好調な業績推移や、環境エネルギーセグメントの海外インフラ案件売却に係る投資有価証券売却益の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比113億円(9.1%)増益の1,351億円となりました。 これにより、連結業績予想(親会社株主に帰属する当期純利益1,350億円)を達成し、3期連続で過去最高益を更新しました。※ 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 3. 連結子会社の事業年度等に関する事項 (3)」に記載しています。 親会社株主に帰属する当期純利益の増減要因                                       (単位:億円)  ※1 インカムゲインの金額は、売上総利益(アセット関連損益の金額を除く)と営業外損益(償却債権取立益の金額を除く)の合計金額としています。 ※2 アセット関連損益の金額は、カスタマ―ソリューション、環境エネルギー、航空、ロジスティクス、不動産の5セグメントにおける保有資産に係る売上総利益ベースの売却損益および減損等(時価評価損益を含む)の合計金額としています。  親会社株主に帰属する当期純利益の主な増減要因は、次のとおりです(記載の金額は、税金等調整前当期純利益に対する影響額としています)。  インカムゲインの増加    +416億円 アセット関連損益の増加   +403億円 貸倒関連費用の増加     △300億円 経費の増加         △99億円 特別損益の減少       △139億円 その他(税金費用等)の増加 △166億円 (主なトピックス)2024年4月 ・太陽光発電や蓄電池などの脱炭素に貢献する設備の導入を支援するため、パシフィックパワー株式会社と特別目的会社の設立を発表。・再生可能エネルギーおよび次世代エネルギー事業を展開するデンマーク王国のEuropean Energy A/Sへの出資が完了し、持分法適用関連会社化※。※ 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)(株式取得による持分法適用関連会社化)に記載しています。2024年5月 ・2024年3月期決算発表時点の「中期経営計画(2025中計)の進捗」※を公表。※ 同6月20日に当社ホームページにて「中期経営計画(2025中計)の進捗-2024年3月期決算発表時点」資料を掲載。(当社ホームページ 中期経営計画ページ) https://www.mitsubishi-hc-capital.com/investors/managementplan/index.html2024年6月 ・一般財団法人電力中央研究所ならびに株式会社ネクステムズとともに、日本初となる資源循環型の第三者保有オンサイト型水素供給モデルをめざし、宮古島でのグリーン水素製造実証事業協業の検討開始を発表。・連結子会社である三菱HCキャピタルエナジー株式会社は、日精ホールディングスグループのサステナビリティ経営加速に向けて、同社子会社である日精株式会社の福島工場におけるPPA※を締結。※ PPA(Power Purchase Agreement)は電力購入契約に基づき、電力需要拠点と離れた発電設備から需要拠点に電力を供給する契約形態。・2025中計において非財務目標の一つとして掲げる「DXアセスメント※『スタンダード』レベル以上の人材比率80%以上(単体)」を前倒しで達成。※ 外部業者提供のDXリテラシー水準を測るツールを活用し、結果により「ビギナー」「スタンダード」「エキスパート」の3つのレベルに分類している。2024年7月 ・リース・割賦取引を通じてお客さまの脱炭素投資を支援し、お客さまが使用するリース物件が低炭素設備であることを証明するGX Assessment Leaseの提供を開始。・航空業界の脱炭素手段として期待されているSAF※の生産拡大に貢献するため、企業間アライアンスである「Sustainable Aviation Fuel Financing Alliance」への参画と、SAF特化型ファンドの「SAFFA Fund I, LP」への出資を発表。※ SAF(Sustainable Aviation Fuel)は持続可能な航空燃料。2024年8月 ・三菱HCキャピタルエナジー株式会社がサムスン物産株式会社と、系統用蓄電池事業に関する合弁契約の締結を発表。・当社ならびにグループ会社である三菱オートリース株式会社がGO株式会社と、法人向けEV用の充電インフラを整備・拡充するため、EV導入・運用に関する顧客ニーズの収集、情報連携などを含めた協業の開始を発表。2024年9月 ・連結子会社である株式会社御幸ビルディングの全株式を譲渡。・神奈川県横浜市に所在する大規模複合商業施設「ゆめが丘ソラトス」の清掃業務を担当している相鉄企業株式会社に清掃ロボットを提供し、同施設での本格運用を開始。2024年10月 ・新ビジネスの開発加速を図る取り組みの一つである「Zero-Gravity Venture Lab」において、社内起業の機会を提供する「ファウンダープログラム」の第2期最終審査通過案件を決定。・株式会社神戸新聞社と、神戸エリアの大学・高等専門学校の学内にデジタルサイネージを設置し、兵庫県内の企業を中心としたPRや認知度向上コンテンツなどを配信する実証実験を開始。2024年11月 ・株式会社日立製作所ならびに株式会社ハピネスプラネットとともに、新たな福利厚生サービスの創出に向けた協創を開始。・国内最大級の新事業創出アイデアソン「CLAP WakBiz」を開催。上場企業を中心に55社の新事業開発担当者と当社社員が参加。2024年12月 ・株式会社フルタイムシステム、その子会社の株式会社フルタイムロッカーならびに日本郵便株式会社とともに、サーキュラーエコノミ―の実現および再配達削減を目的とした協業開始を発表。 2025年2月 ・東日本旅客鉄道株式会社、株式会社日立製作所ならびに日本建設工業株式会社とともに、TAKANAWA GATEWAY CITYにおける再生可能エネルギー由来の水素を用いたオフサイト型水素サプライチェーンの構築を発表。・連結子会社である三菱HCキャピタルエステートプラス株式会社は、同社の子会社であるPT HCD Properti Indonesiaの全株式の譲渡を決定。(2025年3月25日譲渡実行)・社内起業プログラム第1期通過案件である中古半導体製造装置のリファービッシュ※事業において、1年間の事業化検証期間を経て、新会社「MHCセミテクノロジーズ株式会社」を設立。※ 新品に準じる状態に整備、仕上げること。2025年3月 ・グループ会社であるJSA International U.S. Holdings, LLCが、Airbus S.A.S.に航空機50機の発注を決定。・北陸電気工業株式会社と、フォークリフトの運転中の事故抑制や運用効率化を図る「IoTフォークリフトサービス」の提供を開始。・当社ならびに三菱オートリース株式会社が、EV向けカーボンオフセット付きオートリースの提供を開始。・山銀リース株式会社と、当社が提供するGX Assessment Leaseに関する連携協定を締結。 (当連結会計年度に公表済のイノベーション投資ファンド※1を活用した投資案件)出資先企業名事業概要株式会社エムネス医療支援クラウドサービス、遠隔画像診断支援サービスの提供株式会社MUSE小売店舗向けロボットの開発および販売Formic Technologies Inc.米国において、製造業向けにRobot as a Serviceモデルで産業用ロボットを提供株式会社ソラリスソフトロボティクス・メカトロニクスの研究開発・販売・サポート、人工筋肉の開発と販売株式会社エネコートテクノロジーズペロブスカイト太陽電池(PSCs)※2およびその関連材料の開発・製造・販売など株式会社LexxPluss工場・倉庫内物流の自動搬送ロボットの開発・製造(2025年3月に協働で、物流事業者向けロボットサブスクリプションサービスの提供を開始)株式会社AEOS安心・安全な生活を支えるIT環境に関する研究・開発日々の暮らしをアシストするAIエンジンの研究・開発人々と社会をつなぐデータモデルに関する研究・開発SPACECOOL株式会社放射冷却※3素材の開発・販売株式会社PXPフレキシブル太陽電池の開発建ロボテック株式会社建設現場の省人化・省力化ソリューションの開発・提供リノべる株式会社中古不動産の流通・利活用を推進するリノベーションプラットフォームの運営株式会社IDOM CaaS Technology独自の与信審査システム、AI残価予測モデルを活用したリース・レンタカー事業※1 新サービスの創出や新事業開発の促進を目的に、2023年4月に運用を開始したスタートアップ企業対象の総額100億円の投資枠。※2 ペロブスカイト構造と呼ばれる結晶構造を持つ化合物を発電層として用いた薄く、軽く、曲げることが可能な次世代太陽電池。※3 物体が周囲に赤外線を放射し温度が下がる自然現象。 ② 報告セグメント別の経営成績 報告セグメント別の経営成績ならびに主な増減要因は次のとおりです。 各セグメントの事業内容は、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しています。 セグメント利益(セグメント別の親会社株主に帰属する当期純利益)の前期比                                       (単位:億円)(カスタマーソリューション) 関係会社株式売却益の計上などがあったものの、連結子会社であったディー・エフ・エル・リース株式会社、首都圏リース株式会社ならびに積水リース株式会社の連結除外による減益影響や、貸倒関連費用の増加などによりセグメント利益は前期比12億円(3.3%)減益の368億円となりました。 (海外地域) 米州運送セクターの市況低迷を背景とした貸倒関連費用の増加や、前期にあった米州子会社再編にともなう決算取込期間の調整による増益効果※の剥落などによりセグメント利益は前期比139億円(83.9%)減益の26億円となりました。※ 2023年4月1日付で決算期の異なる米州子会社3社を経営統合。存続会社は3月決算である一方、消滅会社2社は12月決算であったことから、前期は存続会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの実績に加え、消滅会社2社の2023年1月1日から同年3月31日までの実績も計上したもの。 (環境エネルギー) 海外インフラ案件の売却に係る投資有価証券売却益の計上などがあったものの、国内の再生可能エネルギープロジェクト案件に係る大口貸倒関連費用の計上や、前期に減損損失を計上した国内太陽光発電案件において追加の減損損失を計上したことなどによりセグメント利益は前期比25億円(35.0%)減益の47億円となりました。 (航空) リース料収入や売却益の増加に加え、JSA International Holdings, L.P.およびその子会社の決算期変更にともなう決算取込期間の調整による増益効果などによりセグメント利益は前期比198億円(72.7%)増益の472億円となりました。 (ロジスティクス) 船舶の売却益は減少したものの、海上コンテナリース事業と鉄道貨車リース事業のリース料収入や売却益が増加したことなどによりセグメント利益は前期比53億円(30.2%)増益の232億円となりました。 (不動産) 前期に計上した複数案件の大口売却益や株式会社センターポイント・ディベロップメントの完全子会社化にともなう段階取得に係る差益の剥落、連結子会社であった株式会社御幸ビルディングの株式譲渡に係る関係会社株式売却損の計上があったものの、同株式譲渡以前に同社で大口売却益を計上したことや、米国案件の時価評価損失の減少などによりセグメント利益は前期比2億円(2.4%)増益の122億円となりました。 (モビリティ) 持分法適用関連会社である三菱オートリース株式会社の業績が堅調に推移し、持分法による投資利益が増加したことによりセグメント利益は前期比3億円(10.9%)増益の31億円となりました。 ③ 連結財政状態 当期末の総資産は前期末比6,124億円(5.5%)増加の11兆7,623億円、純資産は前期末比991億円(5.8%)増加の1兆8,045億円、有利子負債(リース債務を除く)は前期末比4,010億円(4.8%)増加の8兆8,407億円、自己資本比率は前期末比0.1ポイント上昇の15.2%となりました。 ④ 資本の財源および資金の流動性に係る情報 当社グループは、リース取引に係るリース物件の取得や貸付等の事業を行うにあたって、内外の通貨により多額の資金調達を行っています。 当連結会計年度末における有利子負債(リース債務を除く)は、前期末比4,010億円増加の8兆8,407億円となり、負債合計は前期末比5,132億円増加の9兆9,578億円となりました。有利子負債のうち、長期借入金等の長期性の負債は前期末比4,727億円増加の5兆8,566億円、短期借入金、コマーシャル・ペーパー等の短期性の負債は前期末比716億円減少の2兆9,841億円となりました。 資金調達にあたっては、調達コストを抑制しつつ安定的に事業資金を確保していくことを念頭に、金融機関借入による間接金融と、社債、コマーシャル・ペーパー、リース債権流動化等による直接金融により、調達手段の多様化に努めています。間接金融においては、メガバンク・地域金融機関・生命保険会社等の幅広い金融機関と長きにわたって築き上げてきた良好な関係を生かし、安定した借入取引を継続しています。直接金融においては、金融機関や機関投資家からの調達のみならず、個人投資家向け社債を発行するなど、調達源の多様化も進めています。 なお、当社グループ全体の資金管理については、当社および地域財務拠点からのグループファイナンスも活用し、資金を効率的に融通する体制を整えています。 流動性の観点では、平時より綿密な資金繰り管理や、資金流動性リスクのモニタリング運営を実施しているほか、四半期ごとに開催されるALM委員会において流動性リスクについての現状および課題を把握し、リスクに対する対策を審議しています。当社グループでは、これらリスクマネジメントの取り組みを通じて、強固な財務体質をめざしています。 金融市場の混乱や、各種リスクによる調達環境の変化への備えとしては、複数の金融機関との間で当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結することで、緊急時の流動性補完手段を確保しています。当連結会計年度末において、当社グループにて締結しているコミットメントライン契約のうち未使用額は8,102億円となっています。 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 ⑤ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表および財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。 (3)特定金融会社等の開示に関する内閣府令(平成11年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく営業貸付金の状況 当社の営業貸付金の状況は次のとおりです。① 貸付金の種別残高内訳2025年3月31日現在 貸付種別件数(件)構成割合(%)残高(百万円)構成割合(%)平均約定金利(%)消費者向 無担保(住宅向を除く)240.30190.001.97有担保(住宅向を除く)-----住宅向5,17564.0422,9191.581.62計5,19964.3422,9381.581.63事業者向 計2,88235.661,430,66298.422.28合計8,081100.001,453,601100.002.23② 資金調達内訳2025年3月31日現在 借入先等残高(百万円)平均調達金利(%)金融機関等からの借入1,867,7971.94その他1,983,1280.95 社債・CP1,944,9600.96合計3,850,9261.43自己資本840,131- 資本金・出資額33,196-(注)1. 当期の貸付債権の譲渡の合計額は、0百万円です。2. 平均調達金利については、借入金等の期末残高に対する約定金利による加重平均金利を記載しています。 ③ 業種別貸付金残高内訳2025年3月31日現在 業種別先数(件)構成割合(%)残高(百万円)構成割合(%)製造業1102.2852,6453.62建設業100.217100.05電気・ガス・熱供給・水道業390.8176,4555.26運輸・通信業240.50259,39517.85卸売・小売業、飲食店1984.108,6360.59金融・保険業290.6037,5932.59不動産業1783.69499,32734.35サービス業3968.20448,27030.84農業----個人3,74477.5822,9381.58その他982.0347,6293.27合計4,826100.001,453,601100.00 ④ 担保別貸付金残高内訳2025年3月31日現在 受入担保の種類残高(百万円)構成割合(%)有価証券-- うち株式--債権5,0390.35 うち預金1,7180.12商品--不動産195,04313.42財団--その他9,5590.66計209,64314.42保証8,4740.58無担保1,235,48485.00合計1,453,601100.00⑤ 期間別貸付金残高内訳2025年3月31日現在 期間別件数(件)構成割合(%)残高(百万円)構成割合(%)1年以下1,00912.4977,3865.321年超 5年以下8039.94543,25137.375年超 10年以下89211.04553,93138.1110年超 15年以下1091.35201,01713.8315年超 20年以下2723.3628,6191.9720年超 25年以下1,23815.329,7790.6725年超3,75846.5039,6152.73合計8,081100.001,453,601100.00一件当たり平均期間7.25年(注)期間は、約定期間によっています。

※本記事は「三菱HCキャピタル株式会社」の令和7年3月期の有価証券報告書を参考に作成しています。(データが欠損した場合は最新の有価証券報告書より以前に提出された前年度等の有価証券報告書の値を使用することがあります)

※1.値が「ー」の場合は、XBRLから該当項目のタグが検出されなかったものを示しています。 一部企業では当該費用が他の費用区分(販管費・原価など)に含まれている場合や、報告書には記載されていてもXBRLタグ未設定のため抽出できていない可能性があります。

※2. 株主資本比率の計算式:株主資本比率 = 株主資本 ÷ (株主資本 + 負債) × 100

※3. 有利子負債残高の計算式:有利子負債残高 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債 + リース債務(流動+固定) + コマーシャル・ペーパー

スポンサーリンク

連結財務指標と単体財務指標の違いについて

連結財務指標とは

連結財務指標は、親会社とその子会社・関連会社を含めた企業グループ全体の経営成績や財務状況を示すものです。グループ内の取引は相殺され、外部との取引のみが反映されます。

単体財務指標とは

単体財務指標は、親会社単独の経営成績や財務状況を示すものです。子会社との取引も含まれるため、企業グループ全体の実態とは異なる場合があります。

本記事での扱い

本ブログでは、可能な限り連結財務指標を掲載しています。これは企業グループ全体の実力をより正確に反映するためです。ただし、企業によっては連結情報が開示されていない場合もあるため、その際は単体財務指標を代替として使用しています。

この記事についてのご注意

本記事のデータは、EDINETに提出された有価証券報告書より、機械的に情報を抽出・整理して掲載しています。 数値や記述に誤りを発見された場合は、恐れ入りますが「お問い合わせ」よりご指摘いただけますと幸いです。 内容の修正にはお時間をいただく場合がございますので、予めご了承ください。

報告書の全文はこちら:EDINET(金融庁)

コメント